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シナリオ詳細

温泉ペンギンの脱走

完了

参加者 : 1 人

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オープニング



 ●激レア? 温泉効能を持つペンギン

 ちょっぴり、不思議の多い世界。
 たとえば、とある少女はおまじないが使えたり。
 たとえば、とある犬は人と話せたり。 
 そんな、ほんの少しだけ変わった世界で。
 今回の出来事は、始まったのである。


「温泉ペンギンが居なくなった?」
「ええ。私がふと、目を離した隙に」

 街の警備隊に、若女将のサユリはそう話した。

「温泉ペンギンといや、この街の代名詞じゃないですか」

 この街は温泉が多い観光地として有名だ。
 その中でも一際目立っているのが、この老舗旅館「山茶花」の<温泉ペンギン>の存在である。

 山茶花では、十数年前から温泉が失われていた。
 いや、正しくは枯渇してしまったと言った方が正しいだろう。
 その影響で客足もすっかり遠のき、旅館を畳むことも考えていた。
 そんな折りに現れたのが、謎の<温泉ペンギン>だ。

 彼は不思議にも温泉と同じ効能を、身振り手振りによって発揮するという特異なペンギンだった。
 彼に会いに来た人々は温泉に浸かった後のような気分で帰って行く。
 巷では、枯渇した温泉の化身なのではないかとも言われている。

 そんな彼の主人こそ、山茶花の若女将であるサユリなのだ。

「やんちゃではあれど、逃げることなんて一度もなかったのに」
「何か、温泉ペンギンを傷つけるようなことは?」
「いいえ。そのようなことは」

 サユリは首を横に振った。
 その答えに、警備隊は顎に手を遣る。
 では、何故温泉ペンギンは逃げ出してしまったのだろうかと。
 さらに彼らは言いにくそうに、サユリに告げる。

「残念ながら、我々警備隊も出払っておりまして」

 捜索をするにも、今はどうしても人手が足りないと。
 申し訳なさそうに、頭を下げた。

「あぁ、困りました」

 温泉ペンギンの無事を祈り、サユリは目を閉じた。
 

 ●ペンギンに、興味はあるかい?

「温泉ペンギン。何とも稀有な存在だよね」

 境界案内人・カストルは彼女の想いを本から受け取った。
 何か思い馳せるように天井を見ると、こちらに視線を移す。

「やぁ、こんにちは。珍しいペンギンに、興味はあるかい?」

 突然の質問に彼らは困惑する。
 しかし、カストルにとってその反応は想定内だったようで。
 「困らせたよね、ごめんね」と謝罪をする。 

「君たちに頼みたいのは、温泉ペンギンと呼ばれている存在の捜索。どうやら、主人の元から脱走してしまったみたいなんだ」

 カストルはそう言うと、温泉ペンギンについての情報は主人のサユリに聞くといい、と彼らに伝える。

「温泉街についてもかなり詳しいから、まずは彼女を訪ねる事をおすすめするよ。成功には彼女の情報が不可欠だ」

 さらにカストルは付け加えて、こんなことを。

「先に情報をひとつ言っておくと、温泉ペンギンは魅力的な美貌の持ち主に寄り付く習性というか、そういうのが好きだとかないとか?」

 それも詳しくはサユリに聞いたらいいよ、と。

「じゃあ、君たちの無事と成功を祈ってるよ。温泉ペンギンを見つけられたら、ついでにその疲れを癒やしてもらうといいよ」

 カストルは優しく笑って、手を振った。

NMコメント

 ●世界説明
 ちょっぴり不思議の多い世界
 その温泉街にある有名な老舗旅館「山茶花」
 今回はこの温泉街が探索対象である。

 ●目標
 <温泉ペンギン>の捕獲

 ●他に出来る事
 街人への聞き込み
 高所からの捜索(灯台・屋根の上等)
 温泉街・大広場でのパフォーマンス
 温泉街の観光(散歩・買い物・温泉に入る等)

 ●NPC
 サユリ
 老舗旅館「山茶花」の若女将で、温泉ペンギンの主人。
 容姿端麗。淑やかな振る舞いで、彼女自身も人気がある。
 温泉ペンギンの特徴や行動パターンを教えてくれる。

 ●サンプルプレイング①
 温泉街で仕事だなんて、すっごい魅力的だよね!
 しかも捜索の対象が温泉効能のあるペンギン?
 そんなの、アタシのこの美貌で惹き付けてあげるんだから!
 で、あとはしっかりと捕獲すれば任務完了よ。
 さて、ゆっくり残り時間は温泉とか観光とか楽しもうっと♪
 
 ●サンプルプレイング②
 温泉街で仕事か、何とも粋だねェ。
 だが、捜索するのが温泉効能のあるペンギン?なんだ、そりゃあ?
 まぁ、ハンターの俺に掛かれば捕獲なんざお手の物。
 若女将も別嬪だし、仕事の後は酒の一杯でも注いでもらいたいねェ?

 ●最後にNMよりごあいさつ

 こんにちは、悠空(yuku)です。
 平和に紛れる闇が好物です。

 今回は旅館で大人気の<温泉ペンギンの捕獲>です。

 温泉の失われた旅館「山茶花」に代わり、身振り手振りによって温泉の効能を発揮する、なんとも特異なペンギンくんです。
 そんな彼(?)も何故か主人の元を脱走してしまいました。
 自慢の美貌で惹き付けるのも良し、スタンダードに力で圧倒して捕獲しても良し。
 あなたの得意なスキルで、温泉ペンギンを捕獲してください。

 意外と温泉街を楽しんでいるとひょっこり現れるかも……?

  • 温泉ペンギンの脱走完了
  • NM名悠空(yuku)
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年12月18日 22時05分
  • 参加人数1/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 1 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(1人)

リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール

リプレイ

 ●最初に探すのは?


 まずは飼い主のサユリに聞くといい。境界案内人のカストルからそう言われ、リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)は、温泉街に降り立つと、老舗旅館「山茶花」へと早速向かった。
 温泉に浸かるのと気分を味わうのとでは満足度に差があるのではと疑問が生じるのですが。
 もしかすると、それも感じさせない程に実は効果があるのでしょうか?

 リディアは温泉ペンギンに興味を持って、この依頼を受けることにした。
 ──出来ることなら、温泉ペンギンを抱きかかえてみたいです。
 そんな小さな願いを胸にリディアは「山茶花」の若女将、サユリを訪ねた。
  
「はるばる遠い所から、ようこそお越し下さいました」

 リディアが玄関口に入ると、清らかな|瓶覗《かめのぞき》の着物をまとった女性が出迎えた。
 旅館はとても雰囲気の良い場所だったが、温泉ペンギンの失踪により、閑古鳥が鳴いてしまっている。
「こんにちは、リディアです。あなたがサユリさん、ですか?」
「はい。若女将のサユリでございます」

 女性は恭しく頭を下げる。その振る舞いはゆったりとしていて、百合のように淑やかだった。

 すごく、清廉な人だ。

 リディアは純粋にそう感じた。こんなにも丁寧で綺麗な人の元を出て行くなんて、温泉ペンギンも何に惹かれてしまったのでしょうか。もしも、このサユリさん以上の美貌の持ち主を追ったのだとすると、少し捜索は大変かもしれない。
 リディアは見つけるにもイメージがないといけないと、まずは訊ねた。

「あの、温泉ペンギンの特徴を教えてもらえますか?」
 サユリは眉を下げ、申し訳なさそうに頷いた。
「温泉ペンギンは、名をジャックと言います」
 サユリは温泉ペンギン、もといジャックの特徴を順番に伝えていく。
 
 ジャックの体長は五十センチほど。リディアより一メートル小さい。そして、頬には赤い模様がある。
 成長途中のペンギンの子どもで、鈍足だが温泉の石鹸を用いて早く滑る。ちなみに「ペェ」とよく鳴く。ペンギンにしては珍しい鳴き声だな、とリディアはそこも頭に入れておいた。
 内面的な特徴としては、魅力的な美貌の持ち主が好きということだ。美しい、と言ってもそれは男女を問わず、ジャックが好む美しさというものがあるらしい。その価値観については、サユリも詳しくは分からないそうだ。
 果たして、ジャックはリディアを見てどういう反応をするのか。リディア自身は自らを魅力的な美貌の持ち主とは思ったことはない。どちらかと言えば、「可愛い」の方が周囲には言われている。

 また出会った経緯についても聞いた。十数年前に枯渇した「山茶花」温泉の近くにある日、突然現れた。温泉街にいて平気な顔をしているペンギンも珍しいと思ったが、彼の特性で最も驚いたのは「山茶花」温泉の効能と同じ治癒能力を有しているという事だった。

「枯渇した山茶花温泉に行けば、何かが分かるかも知れません」

 灯台下暗し、という言葉もある。意外にも一度探した場所に戻っている事を考えて。
 リディアは、すぐさまサユリに温泉へ入る許可を得る。
 
 枯渇した温泉があるのは旅館の一番奥、封鎖された大浴場だ。
 大きな錠を外して檜の戸を開けると、そこには。

「──ペェ?」
 
 大当たり。
 そこにはじと目の、頬の赤い模様が特徴的なペンギンが一羽。
(い、いました……!)

し、しかも、すごくモフモフしてる!
 ……ぎゅってして、抱きかかえたい!
 あまりの可愛さにテンションが上がるリディア。一方、こちらをじーっと見るジャック。
早速、考えついた作戦を実行する。
「ジャックさん、こっちに来て……?」
 くりくりとした緑の瞳で、上目遣いをしてみるリディア。
 一瞬、時が止まったかのようになるが。
「ペェッ、ペェッ!」
 突然に甲高く泣き喚きながら、パタパタと上下に手を振り始めるジャック。
「な、何ですか……⁉」
 全く読めない行動に、慌てるリディア。
 ジャックさんにはおそらく凶暴性はないと思いますが、一体何をするつもりなのでしょう?
 と、とにかく、捕獲しないとです!

「ジャ、ジャックさん? お願いですから、おとなしく──」
 両手を構え、そう言ってもう一度前を向くと、既にそこにはジャックはおらず。
「い、いつの間に……⁉」
 まさか、後方の竹の柵から、ひょいと町へ出て行ってしまったのでしょうか?
「温泉街へ逃げられては、土地勘のない私ではなかなか……」
「リディアさん」
 心配して見に来たサユリが、声を掛けてくる。
「サユリさん。ジャックさんが行きそうな場所に心当たりはありませんか?」
「温泉街中心の大広場と北端の灯台には観光客が多いので、もしかすると」
 そこにいるかもしれない、とサユリは言った。
 中央の大広場と北端の灯台間では、かなりの体力を消耗してしまいそうですが。
 でもこのお仕事が終えたら、ジャックさんを抱き抱えられるかもしれない。
 ついでに温泉も一緒に浸かりたい、なんて。ワガママでしょうか。
 ダメで元々ですが、そこはサユリさんに何とかお願いしましょう。


 ●温泉街の逃走劇、そして


リディアは南東のお土産通りで見つけたジャックを追っていた。
 
「ジャックさん、おとなしく私と温泉入ってください!」
「ぺエェ~~ッ!」
 嫌だ、断ると言われているかのような荒々しい鳴き声で、ペタペタと逃げていくジャック。しかし鈍足がゆえに距離はどんどん縮まっていく。
(もうすぐ、もうすぐ手が、届く……!)
 指先を出来るだけ伸ばし、少しだけジャックに触れた瞬間だった。

「ペペェッ!」
 ジャックは懐に隠していたの泡立つ石鹸を取り出し、それを少し先の地面に投げる。そうかと思うと彼は石鹸の上に器用にお腹で乗り上げ、まるでサーフィンをするかのように滑り出した。ジャックの鈍足により縮まった距離が、たった一つの石鹸によりまた広がっていく。
「あ、あぁ……」
 どんどん、ジャックの影が遠のいていく。
「ま、待ってください。ジャックさぁん……」
 おそるべし、泡立ち石鹸……。


 南東に始まり、北端、そして中央へと動き回らされたリディア。姿は見つかるのだが、捕獲が何とも上手くいかない。すっかり日は暮れ、彼女はすっかり汗でびっしょりだった。
 疲弊したリディアは、大きく溜息を吐いた。
 結局、ジャックさんは夜まで見つかりませんでした。
 サユリさんに、何と言えば良いのでしょう。
 大きな成果も得られず、足取りが重い。だが今日はもう遅いので、旅館「山茶花」に戻ってきた。
 玄関口の引き戸が開くと、そこにはサユリと、
「ペエッ!」
 その聞き覚えのある特徴的な鳴き声に、顔を上げるリディア。
「ジャ、ジャックさん⁉ どうして⁉」
「どうやら、遊んでくれるあなたが気に入った様でして」
ここで待っていれば来ると分かったみたいで、さっき戻ってきたんです、と。
 リディアはきょとんとする。
 こちらは走り回って、疲れ果てたというのに、肝心の彼は元気そうに鳴いている。
「は、はぁ~~~~」
 拍子抜けしてしまうような展開に、へたり込む。
「兎にも角にもありがとうございます、リディアさん。御礼に、おもてなしをして差し上げたいのですが」
 そのサユリの言葉に、リディアははっとして。
「じゃ、じゃあ……ジャックさんを抱きかかえて、温泉に入りたい、です」
 サユリは微笑み、そのようなお願いでしたら、とすぐに別の旅館に温泉予約の手続きを取ってくれた。
「それでは、しばらくジャックを宜しくお願いしますね」
 サユリからジャックを預かると、ジャックの頭を優しく撫でる。
「わぁ、モフモフですね」
「ペエェ~」
 さっきまでの逃走劇が嘘だったかのように、おとなしく抱きかかえられ気持ちよさそうにするジャック。
「では、一緒に温泉に行きましょうね」
「ぺ!」


 サユリが予約してくれた旅館の温泉も、かなり人気のあるものらしい。が、今回は温泉街のマスコットの一大事を救ったとして、一晩だけ貸し切りにしてくれた。
「はぁ……、気持ちいいですね」
 抱きかかえたジャックも気持ちよさそうに手をパタパタとさせる。すると、ほんのりと柔らかな光がジャックの手から放たれる。
「これが……あなたの能力ですか?」
「ペェ」
「ふふ、おかげで疲れもすっかり忘れてしまいました」

 夜空も綺麗に澄んでいて、小さな星の僅かな光も目に届く。
 身体的にも、精神的にも癒やされる夜をリディアはジャックと過ごした。
 
 

成否

成功

状態異常

なし

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