シナリオ詳細
オアシス・パラサイト
オープニング
●
ラサの砂漠は広大である。
どこまでも広がる砂の海は過酷であり――だからこそ時折存在するオアシスは貴重だ。
水こそが生命の根源。枯れ果てた世界に広がる一筋の癒し……が。
「ば、馬鹿な……なんだ、あれは……?」
ラサの西側に存在するオアシス街『カジー』にて一人の男が呆然としていた。
それも無理がない事だ――なぜならば彼の目の前には『昨日までは無かった筈の』巨大なサボテンが一つあったのだから。十メートルは優に超えているだろうか……超巨大と言ってもいいソレは、あろうことかオアシスの水源中央部にいつの間にか生えていた。
初めは己の目の錯覚かと疑ったが、しかし目を凝らしてもやはりサボテンはそこにある。やがて他の街の住民もサボテンの存在に気付き始めれば、幻覚の類ですらない事が残念ながら判明してしまった。
あまりに奇々怪々。
アレがなんなのか調べた方がいいのか、それとも下手に触れぬ方がいいのか……
と、そう悩んでいた次の瞬間。
「なんだ――お、おい! 水がどんどん減ってないか!!?」
「まさか……馬鹿な! あのサボテンが吸い上げているってのか!!?」
誰かが気付いた。オアシスの象徴たる貴重な水源が――少しずつ減っていると。
本当に少しずつだが、間違いない。確かに減っている! このような事態……あのサボテンが関わっていると見て間違いないだろう。小さいながらもこのオアシスの水源はずっと枯れた事はなかったのだから。
――ともかく緊急事態が発生すればもう放置してはおけない。
力自慢の男たちがサボテンをなぎ倒さんと斧を片手に接近を試みて……
「ぬ、ぐぁ!!? なんだ、これは……針!?」
「き、気を付けろ!! あのサボテン、攻撃してくるぞ!! 魔物の類だ!!」
が。近付けばサボテンより鋭い針が突如として降り注ぎ始めた。
明らかに自らに接近する者を対象に攻撃を仕掛けている――ッ! あんな巨大なサボテン、初めから普通の代物であるなどと思ってもいなかったが……事ここに至って確信に至った。アレは魔物の類であると!
――そう。街の者は知らなかったが、それは幾つかのオアシスを潰す事もある魔物だったのだ。
水を求めて移動し。水源を見つければ其処に寄生するように根を張り、根こそぎ水を吸い潰す怪物……
その名も『パラサイト・コピオピア』
――奴らは、誰にも邪魔させない。
この地の水は全て己のモノだという様に……
●
「そういう訳で至急、退治して頂きたいのです! なんとかしようとした街の者は、奴の針に撃たれて重傷を負ってしまった者もいまして……イレギュラーズだけが頼りなのです!!」
そしてラサのローレット支部に一つの依頼が持ちかけられた。
それこそパラサイト・コピオピアの撃破。このまま放置していればオアシスの水は地下水を含めて全て奴に飲み込まれてしまうだろうから、と……
「奴は水源の中央部に位置しており、普通に近づこうとすればある程度足が水に絡め捕られてしまう事でしょう。水中を移動しやすい海種の方々などでしたら特に問題ないかもしれませんが……」
「空から、という手段はとれないのか?」
「ああ勿論空から接近するのも十分可能だと思います」
ただ、と街の長はイレギュラーズに言葉を繋げて。
「いずれにせよ奴は接近する者に針を打ち出してきます。非常に鋭利なモノでして……まるで弾幕の様に撃ってくることも。それから、どうも奴は水を常に吸っている様で――体力を回復し続けて傷の治癒を並行しているようなのです」
「なんて迷惑な個体なんだ……」
パラサイト・コピオピアの心中にあるのは食欲だけなのかもしれない。
それを邪魔立てする者には容赦しないといった所だろうか――
ただ、水を吸い上げる速度は常に一定の様で、回復速度よりも早く傷を与え続けていれば、やがては奴を撃滅しうる事は十分に可能だろう。
しかし長期戦は駄目だ。
長期戦になれば水を全て吸われる可能性があり、そうなれば依頼としての意味がなくなてしまう。街の者は『水がなくなる前に』奴を倒してほしいのだから。
――早急なる伐採が必要だ。
砂漠にとって貴重なオアシスを護る為にも。貴方は席を立つのであった……
- オアシス・パラサイト完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年11月29日 22時25分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
砂漠の街から水が消える――困るな。それは困る。
「……カジーと言えば故郷と同じ西部の……あぁヴァズもオアシスの街でね。
万一、ウチにも来られちゃ困るんだよ」
眼前。件のサボテンを見据えながら『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は呟く。
彼女にとってこの砂の海は故郷に繋がっている。
深緑の玄関口に近いヴァズ――もしもカジーが吸い潰されれば次は『其処』やもしれぬとなれば、彼女の瞳には強い意志が宿るものだ。そして今も刻一刻とあのサボテンの活動が続いているのならば……
採る手段は速攻一択ッ!
「この街に、いや、ラサの様な、オアシスが重要な国家にとっては、死活問題だ、な。
景観は悪くないが……早い所終わらさせて、もらうとしよう。水浴びも、したいしな」
「生きるのに必要なのか、ただただ強欲なだけか……どっちの事情か知らねぇが、ぶちのめさせてもらう事に代わりはねぇな! オラ! 水を独り占めしてないでこっちにも寄こせやオラァ!!」
ラダが駆ける――さすれば同時に『訊かぬが華』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)や『餓狼』シオン・シズリー(p3p010236)も動くものだ。如何にサボテンが砂漠に咲く代物とは言え、斯様なはた迷惑は見過ごせぬ。
ラダは川岸を駆け抜け、射撃を行うに足るに十分な位置を探し。
シオンは水辺を承知で足を踏み入れるものだ。元より彼方より敵を打ち砕く術がないのであれば――何を躊躇う事があろうか。己が全霊を賭してあのサボテンを叩き折るだけだと刃携え。
斬撃一閃。同時、エクスマリアもまた奴めの再生能力をせき止めるが為の術式を紡ぐ。
波濤魔術と自身の瞳術の複合を此処に。攻勢の波に包みて――
『――――』
瞬間。サボテンが震えた――
それは反撃の為の動き。自らを攻撃してくる敵対者へと振るう棘の嵐。
刺されば身を蝕む殺意の銃撃がイレギュラーズに降り注いで。
「ぬぉおおおおおお!! 許せん!! いくら植物の仕業とは言え、このような危険な棘まで打ち出してくるとは放っておけんの!! 一思いにズバッと!! 伐採するのじゃ!!」
「ええ――急いで倒しましょう。このような砂漠の街で水がなくなってしまったら、皆さん困ってしまうでしょうから」
されど『元気なBBA』チヨ・ケンコーランド(p3p009158)は恐れぬ! 水上を、自らが沈む前に左足を出し、左足が沈む前に右足を出して移動するッ――! それはまるで飛行するように。このBBA……水の上を、こんな容易く……!!
ともあれ『砂漠の蛇』サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)も奴を素早く倒す事には同意するものだ。このような、水辺に寄生するサボテンの魔物もいるものですかと……初めて見た、珍しき光景を少しだけ眺めるものだ、が。
直後には動く。棘をいなし、反撃の一手を穿つのだ。
暗く輝く泥がサボテンに粘つく様に……
「ほっほっほ――ちぇすとおおおおお!!! そこじゃああ!!」
そこへ至るのがチヨの一撃だ。速度に身を任せ高速に到達するチヨの一撃が根元を穿つ。
彼女の――モンスターに対する知識が告げているのだ。維管束にダメージを与えれば、水を吸い上げる力を減少させることが出来ると。そしてそれは間違いではなかった――サボテンの揺らぎが大きく、明らかに効いているッ――! これがお婆ちゃんの知恵袋かっ!
「あお――ん! サボテンが、サボテンの棘がチクチクするよ~~!!
この、この!! こってり絞り上げてやるからね!! 覚悟しとくんだよ!!」
ならばと、この機を逃さぬのは涙目の『狼殺し』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)だ。足に棘が刺さっちゃったのか、痛そうである……
いやそもそもリコリスにとって『トゲ』の類はダメ、ダメなのだ。今は!
『針』『トゲ』『チクリ』みたいな単語を聞くと副反応……じゃなくてさぶいぼが出ちゃうんだ……ううっ。ついこの前予防接種を受けさせられたばかりなのにどうしてまた針とご縁が!!? さてはまたギルオスの所為だな!?
「ちくしょー! こうなりゃヤケだよ、これでも喰らえ――!!」
半ば怒りをぶつける様にリコリスは狙撃するッ――!
位置は浅瀬。犬かき姿勢をいつでも取れる濡れ犬スタイルで、弾丸を放つのだ――
その一撃たるや全てを見通す眼を宿しているが如く。
例えどれ程離れていようと着弾させる一撃が――サボテンへと。
「……被害状況さえ顧みないのであれば、オアシスの水に毒を混ぜるだけで終わるんだろうが……いや、生活用水としても使われているのなら、そんな方法は流石に採れないな。大勢の生活も懸かっている」
同時。そんなサボテンの様子を見上げる『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)の脳裏にはもっと効率的な駆除方法も思い浮かんでいる……が、それでは元も子もないかと首を振るものだ。流石に街の生活も壊してしまっては全てが無意味。
巨大な存在に内部より攻撃するのは常套手段でもあるが、やむを得ないと。
故、世界は小型船を繰り出しそれをもってしてサボテンへと接近す。水深が浅い事と小型船では的が大きくなる事により不利な面もあるが――しかし巧みな操船技術を持つ世界であれば些か話は別。
「さて。どこまで上手くやれるか試してみようか」
世界は船を操舵しつつ敵に撃を成す――
幸いにして敵は巨大。操舵しながらでも幾らでも当てようはあるものだと。
放つ一撃が――直撃した。
●
「同じラサに生きるものよ、何故そこまで水を欲する?
――自らが生きる事さえ出来れば他はどうでもよいとでも?」
イレギュラーズ達の攻勢が強まる中『砂礫の風狼』ウルファ=ハウラ(p3p009914)はサボテンと距離を取りながら――同時に、奴めへと言葉を語り掛ける。
敵は魔物。マトモな答えなど期待していないが……しかし問わずにはいられなかった。
「オアシスの水はそこに生きる万民の糧、独占して良いものではない。
去らぬなら、熱砂の風霊として汝を滅ぼそう。
誰しもの心にあって然るべき砂漠の法を知らぬのならば、それもやむを得まい?」
『――――』
穏やかに、しかし瞳はまっすぐに見据えて――
だがサボテンは言葉の代わりに棘を打ち出してきた。
それは明らかにウルファを仕留めんとしたもの。殺意の一撃にして、言の葉要らずの返答。
「成程な。分かりやすくていいというべきか、なんというか……
まあやれるだけのことはやってみよう」
「ほら、どうしました――? 早く追い返さないと私が全部吸い込んでしまいますよ?」
であればと世界が船を操舵し、サボテンの下へと向かう。
奴が強硬的にこちらの排除だけを企むのであれば、こっちも遠慮せずに済む――まぁもとより他者から水を強奪する者がこちらの話を聞かぬ事など考慮済みだが。船にサルヴェナーズも乗せて往く――
虚空に描いた白蛇の陣。世界の一撃がサボテンの各所に絡みて牙を突き立て。
サルヴェナーズの見定める魔眼が――囁くようにサボテンの思考を乱そう。
まるで競争相手が此処にいるのだと。相手の怒りを誘う様に……
「ったく、どんだけデカくて頑丈なんだよこいつは……!!」
さすればシオンもまた一撃を加えるものだ。
水中を自在に動く術を持つ彼女であれば水辺であることも苦に成らぬ。
奴の再生を阻害する為の斬撃を放ちて、叩き折らんと続けば。
「ほいさー! えいさー! 根元じゃ根元!!
そこが奴の弱き所であれば、攻撃を集中させて切り倒すのじゃ!!」
「よし。ならばそこへ急ごうか――水が少しずつ明らかに減ってきている所でもあるし、な」
更にチヨの跳躍。超速度で動くBBAの疾風が如き一撃がサボテンに再び。
放たれる棘があれば身を回転させながら機敏に躱して――返す形で紡がれるのがラダの銃撃だ。敵の態勢を乱した所へ、貫き穿つはまるで大嵐の如き銃撃音。
彼方より飛来するソレは絶死の一端。儚き夢を終わらせる滅殺の一撃。
「――見えたぞ。そこが傷口だな」
故。抉りこませるようにイレギュラーズらの攻撃で損傷している傷口を狙う。
手を休めず。敵より反撃の棘が降り注ごうとも――頓着せぬ。
水源が失われている事により己が攻撃を届かせる事の出来る場もまた広がっているのであれば、その好機を逃したりなど出来るものか。
……水源が失われる危機が近付くたびに戦いやすくなるとは、なんとも。
「全く皮肉なものだ……!」
言い放ちながらも続けての射撃。で、あればと。
「水を吸い上げようとする強欲っぷりが、自分の首を絞めてるって訳だね……よーし! やーい! やーい! ここまで飛んでおいで! その棘を飛ばせるならだけどねー! ――あ。あ、来た! まずいまずいまず」
尻尾ふりふり挑発の狼モードに至るのはリコリスだ――
自らの一撃を紡いで。しかし届かぬであろう場所があると分かれば鼻息荒くしながらサボテンを煽り倒す……! トドメにあっかんべーもすれば完璧な挑発ムーブ――してたらなんか棘が来た。なんでー! どうして届くのー!
「……もしや、肥大化、してるのか? 水を、吸う度に」
その時。見上げるのは――エクスマリアだ。
イレギュラーズの徹底した行動により再生自体は防げているが、水自体の吸い上げは止まっていない――つまり、サボテンの内部に蓄積され続けているのだ。その結果としてサボテンが大きくなっており、先程まで届かなかった地点にも攻撃が届いている。
「だが、それならそれで、希望も、あるものだな」
――だが。だからこそとエクスマリアは推察出来た。
再生の為に使われない水が蓄積されているだけならば、倒せばアレは破裂すると。
――水が戻る可能性がある。
ならばと、彼女の放つ超絶の一撃がサボテンの身を容赦なく削っていくものだ。
領域を削り採り、万物を砕く鉄の星が如きソレは効率的に。
リコリスの行った挑発やサルヴェナーズの注意を引き寄せる魔眼によりサボテンの戦意はあちらこちらへと散発的になっており、奴めの反撃は集中を欠いている――故に。
「切り倒して水を絞り出すとしましょうか――ええ。無遠慮に吸い上げた分は返して頂くとしましょう」
「――風狼よ、食らいつけ。奴めの生を終わらせてやるのだ」
更に畳みかける。サルヴェナーズが幻影の魔術を解き放ち、ウルファもまた風霊の力を顕現させサボテンの根を食い千切る様に。さすれば怒り狂うかのようにサボテンが震える様子を見せるものだ――が。
「全く。そろそろ折れてもらおうか」
「ふー! ふー! サボテンさん、お注射の時間だよ!
失血死するまで採血してあげるんだからね! 注射の恐ろしさ、思い知れー!」
世界の治癒術が放たれれば、完全に倒れる程の体力は持っていかれぬ――
また、世界は号令をもってして周囲の活力を維持し。頭に刺さった棘を引っこ抜いたリコリスがサボテンに更なる出血を強いんと銃撃を放ち続けるものだ。確実に奴の体力を削る為に全霊を尽くしていれば。
『――!! ――――!!』
サボテンの様子が段々と苦し気になり始めている。
巨大であるが故かラダやエクスマリアの放つ範囲を纏めて穿つ攻撃は特に有効な様だ――チヨの魔物に対する知識も共有されればサボテンに対する攻勢も強まるものであり。
「そろそろ観念しな! 大人しくしてりゃあもっと長生きできたかもしれねえのに……
欲張りすぎたのが運の尽きだな! 強欲は身を滅ぼすって――覚えておきな!」
尤も、お前に『次』はないだろうけどなと、紡ぐのはシオンだ。
針の攻撃を躱せる様な位置取りを続けながら一気に畳みかける。防御を打ち砕く左の一撃がサボテンの身を抉れば――既に奴の身はボロボロ。自慢の棘も、折る事が出来そうな程で。
「――注意しろ! 奴の棘の様子がおかしい……最後の足掻きが来るッ!」
瞬間。サボテンの異変に一早く気付いたのはラダだ。
優れし感覚を持つ彼女はサボテンの攻撃を素早く気取る事が出来たのだ――ダメージに震えているのではない、今までとは違う……そう。恐らく奴が生命の危機を感じて『足掻く』前兆があると気づいた。
直後に放たれるは全方位に対する棘の一閃。
イレギュラーズ達の身に突き刺さる数多の一撃――だが。
「手遅れ、だな。無数の針も分厚い果肉も、それらを物ともしない火力で灼けば、問題ない」
最早流れは変えられぬ。跳躍したエクスマリアが齎された負の要素を払う治癒の力を行き渡らせれ、ば。
「さぁ! 悪い子には教えてやらんといかんの――!!
これが――チヨ婆ちゃんの拳骨じゃああああッ――!!」
これで仕舞にせんとばかりに、チヨが往く。
五指に力を。魂を紡いだその拳に耐えられる『悪い子』がいられようか――
直撃。衝撃。破砕音。
サボテンの内部から――肉が崩れていく音がする――
チヨの、サボテンを粉砕するが如き一撃が……サボテンに終焉を齎したのだ。
●
パラサイト・コピオピアの身が粉砕される。
と、同時にその内側に独り占めせんと蓄積されていた水が――解放されるものだ。イレギュラーズの、回復を阻害させる力によりサボテンに一時吸収されたものの水はほとんど使われていない――これならば生活の為の水は存分に残っていると言えるだろう。
「はぁ、はぁ……よーやく終わりやがったか!
ちと……ほんの少しでいいからよ、水を飲ませてくれ……流石に暑いわ」
であればと、シオンは水を口に含むものだ。冬場であるというのにラサは厚い……少なくとも雪に塗れる鉄帝とは比べ物にならない程の熱気であると。このような場所で水を独り占めせんとすれば――そりゃ、恨まれるのも当然である。
「ふむ――後は一応雨乞いもしておくかの。
無事なのが多いとはいえ、ある程度は減っておろう」
「ま、そうだろうね。一応確認しておくかな……大丈夫だよな? この水」
そしてウルファは祈雨の術をしる作法にて舞を披露しよう。
雨よ訪れよと。彼方に見える雲が雨雲に至る様にと……
同時。世界はサボテンから放出された水を見てみるものだ。飲んでみても普通の水と変わらず、大丈夫そうではあるが……一時とは言え魔物に吸収された一部。危険はないかと、まじまじ見据えて。
「へへ。ボク、このオアシスに水と平穏が戻ったらひと泳ぎしたいと思ってたんだ……!
という訳で、わーい!! ざぶーん! ごつーん! ごぼごぼごぼごぼ!!」
ああ! 水深が低い所にリコリスが飛び込んだ所為で、頭打っちゃった!
ああ、下流の方に流されてる――!! まずいまずい助けろ助けろ!!
「うーむ。後は念のため寄生サボテンの根が残っとらんかだけ確認しておくかの!
後々復活してまた同じ事態が……などという事になったら大変じゃあああ!!」
「ええ。それに、あちこち残ってるサボテン肉の残骸から絞り出せるかもしれません。
……力仕事は得意ではないので、チヨさん手伝って頂けるとありがたいのですが」
「まかせんしゃい! BBAの力の見せどころじゃあああ!!」
「伐採か。なら私も手伝おうか。砂漠で水は貴重だ……少しでも無駄には出来ないしな」
どんぶらこと流されていくリコリスが救出されれば、チヨとサルヴェナーズはサボテンの『残り』がないかと注意するものだ。植物の類は根が残っていればまた再生するものであるから……そうでなくても、水は絞り出しておかねばと。
砂漠の出身であるラダは特に水の重要性を知っているのだから。
一滴でも無駄には出来ぬ――取り返しておこうと。
「……植物、か。そうか、そういえば、サボテンにも花は咲くらしい、な?」
であればと――思考を巡らせるのは、エクスマリアだ。
この巨大サボテンも、放置していたらいつかは花を咲かせていたのだろうか。
「それを、見れないのは、残念だ、が」
やむを得ないかとエクスマリアはサボテンの肉を一部拾い上げる。
折角だ。迷惑をかけた分、その身でもってして――具体的にはサボテンステーキにでもして――人々に迷惑料として返してもらおうかと。本物のサボテンではなく、あくまで魔物ならば食べられたものではないかもしれない、が。
勝利の美酒代わりに味わってみるのも良いだろうと思考するのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!!
砂漠で水の独り占めなど大罪ですね……ましてや生半可ではない量を吸い上げるなど。
皆さんのおかげでオアシスの平穏は取り戻されました――
ありがとうございました!!
GMコメント
●依頼達成条件
・サボテン型の魔物である『パラサイト・コピオピア』の撃破
・『パラサイト・コピオピア』が全ての水を吸い上げる前に撃破
両方を達成してください!
●フィールド
ラサの中でも西側に存在する『カジー』というオアシス街です。時刻は昼。
街と言ってもそう大規模ではなく、むしろ街そのものよりも中央に存在する泉の方が免責としては大きいぐらいです――が、現在はその泉の中央にサボテン型の魔物が突如として発生してしまいました。
皆さんはこの泉の中央に立ちそびえるサボテンを叩き折ってください。
周辺は当然泉……つまり水で満たされています。
そう深くはないので溺れる事はないでしょうが、水中行動や飛行の類などを持っていなければ水に脚を取られて、反応や回避に若干の影響があるかもしれません。
また、この泉はサボテンに少しずつ吸われている様で、少しずつ減っています。
完全になくなってしまう前に何とかサボテンを倒してください!
なお周辺住民は避難しているため、一般人を気にする必要はありません。
●『パラサイト・コピオピア』
外見は非常に巨大なサボテンの魔物です。
『コピオピア・ギガンデア』というサボテンに似ています。泉の中央に寄生しており、周辺の水を只管吸い続けています。それはオアシスが枯れるまで続ける事でしょう……そうなる前に燃やすなり叩き折るなりしてください!
能力としては、自らに近付く者全てに鋭利な針を飛ばしてきます。
『出血』系列のBSや、稀に『麻痺』系列のBSを付与することがある様です。
また、その針を弾幕の様に撃つことも可能な様です……
範囲攻撃などの他『スプラッシュ』や『連』などもあるのかもしれません。ご注意ください。
非常に巨大な存在であるためか、耐久力が非常に高いです。
ただし動く事は出来ない様なので回避力の類は最低レベルでしょう。
その他、オアシスの水を常に吸い上げているためか常にHPを回復し続けています。この速度が速くなることはないので、回復速度よりも早くダメージを与え続ければいずれは倒せることでしょう。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
Tweet