PandoraPartyProject

シナリオ詳細

1000回目のありがとう

完了

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オープニング

●ぼくのなまえ
 きっと望まれていなかったかもしれない。
 きっと不器用だったかもしれない。
 きっと下手くそだったかもしれない。
 それでもあなたは生まれてきてくれた。それだけが嬉しい。愛しくて、堪らない。
 手を重ねて、繋いで。そうやって過ごすことを当たり前にできたこと。そのよろこび。
 あなたはどれだけ知っているだろう。ちっぽけだと思って居た自分を特別にしてくれたあなたのことを、ぼくがどれだけ大切に思って居ることを!
 どうやったって伝えることが出来ない。この電子の障壁を乗り越えることは叶わないから。だから、その代わりにこの声を届けよう。そうすることができれば、きっとあなたは喜んでくれるだろうか?

 ぼくのなまえはサンタクロース!
 みんなに幸せをとどけたい。けれど年一回じゃ足りないから、早めに出発することにしたんだ。
 え、トナカイ? 今日はお留守番だよ。だってこれでおじいちゃんから怒られちゃったら、トナカイがかわいそうだろう?
 おじいちゃんは立派なサンタクロースでね、今は父さんのばん。父さんがおじいちゃんくらいになったらつぎはぼくのばんなんだ!
 でもでも、年一回にしか会えないのってなんだかとっても寂しいんだ。こころがさびしくて、めそめそしちゃう。
 そこでぼくは閃いたのです。皆にありがとうを伝えるための、特別な夜が欲しいんだ……ってね!
 ぼくはまだ見習いのサンタクロースだけど、それでもみんなをしあわせにしたい。わるいことじゃあないでしょう?
 ……ってことで、がんばるぞう。おー!

●しあわせでそまっているから
「ちびっこサンタクロースをみなかった?!」
「ああもう、あの子はいつもこの日にかぎって走り回るんだ!」
 カストルは肩で息をして、ポルックスはきょろきょろと周りを見渡して。
「えへへっ、だって楽しいんだもん!」
「あっ、いた!」
「もう、逃げちゃあだめだろう?」
「ごめんごめん! それで、きみたちがおてつだいをしてくれるひと?」
 こちらをみたサンタクロースは、随分と幼いようだ。それに。
「おんなのこ……?」
「あっ、こら! ぼくはおとこのこだもんね!」
「……サンタクロースの初孫で、二代目サンタクロースの愛娘。それが彼女だよ」
「お名前はカノンちゃん! かわいいでしょう?」
「だ、だーかーらー、ぼくはサンタクロースなんだってばぁ!」
 ぷうぷうと頬を膨らませたサンタクロースに、双子星は笑って。
「ともかく、彼女はみんなに幸せを届けたいらしいんだ。そのお手伝いを頼めるかい?」
「きっと悪い仕事じゃあないわ。おねがい!」
 微笑んだカストルとポルックス。足元にはカノン。どうやら断るのは、難しそうだ。

NMコメント

 11/7で登録二周年になりました。ハッピーバースデー染。
 記念日的なライブノベルを何か残したいな、なんて思って書き認めています。
 宜しければどうぞ、ご参加くださいね。

●依頼内容
 ちびっこサンタ、『カノン』のお手伝い!

 たくさんのプリザーブドフラワーを持ってきたようで、これで花束をつくって渡すのだと意気込んでいます。
 皆さんも大切な人への花束を作ってみませんか?

●カノン
 サンタクロース一族の末娘、カノンはサンタクロースになることを夢見る女の子。
 年一回しか会えないのを不満に思い、今日はこっそり会うために抜け出したようです。
 せっかくのチャンスを逃したく無いようで、しあわせについてかんがえています。

●世界観
 冬の混沌ににた何処か。誰かの幸せを祈るちびっこサンタのものがたり。
 外へと探索すればうっすらと雪が降っていることでしょう。

●できること
 ・カノンのおてつだい
 ・探索
 ・プレゼントを持ってくる!

 などなど、思いついたことを自由にしてもらって大丈夫です。
 大切な人への贈り物、花だけじゃたりない! というかたは、何かを持ち込んで貰ったり、ここで購入してもらっても大丈夫です。

●その他
 ・アドリブが多めになる傾向にあります。
 ・執筆はゆっくりです!(うそになるかもしれません)
 ・年を越すまで運営するつもりです。(うそになるかもしれません)
 ・誰かとご一緒の場合は【グループタグ】や【ID】をご記載くださいね

 以上となります。皆さんのお越しをお待ちしています!

  • 1000回目のありがとう完了
  • NM名
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年11月23日 21時45分
  • 章数1章
  • 総採用数3人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

チェル=ヴィオン=アストリティア(p3p005094)
カードは全てを告げる

「ごきげんよう、カノンさん。花束をいただけます?」
「うん、もちろん!」
 小さなカノンの手がプリザーブドフラワーを集めて、小さな花束を作り出す。優しいまなざしでそれを見つめたチェル。
「一人で生きてゆくすべを持たなかった幼いわたくしに、「占い師」という生き方を教えてくれた、魔女のおばあさんに、贈りたいのです」
「わぁ、すてき!」
「もうずいぶんと前に亡くなられましたけれどね。立派なお墓はありませんけれど、おばあさんのために、枯れない花を捧げたいと思いますの」
「うんうんっ、きっと喜んでくれるとおもうなぁ!」
「ふふ、そうですね。
 アストリティアの名前も、カードも、礼儀作法も、イカサマ…ええと、こほん、占いのやり方も、みんな、おばあさんから受け継ぎましたのよ」
 どんな人へ贈りたいのか。貴方というひとが、どんな人なのか。チェルが話し、それに頷き、カノンは花を選ぶ。
 良い子のために贈るわけではないけれど。ただ、大切な人へ、想いを込めて贈りたいのだと。こころからの、感謝を込めて。
 カノンが選んだ花はピンクのバラとガーベラ。愛らしくも上品な花の組み合わせ。
「カノンさん」
「はい!」
「貴女もどうか、大切な人を、大切になさってね」
「うん! たいせつにします!」
 チェルの言葉に、頷いた。

 ──おばあさん、わたくしに生きる道を教えてくださって、ありがとうございます
 溌剌と笑ったカノンは立ち上がり、花束を手渡して。

成否

成功


第1章 第2節

ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを

「まあ、沢山の、ブリザードフラワー!」
 ネーヴェは瞬いた。小さな手でうんしょ、うんしょと花束を結わえるカノン。その隣に腰掛けて。
「いったい…どのくらい、花束を作るのでしょう?
 1人では、大変でしょう、から。わたくしも、お手伝いいたします、ね!」
「わあ、ありがとう!」
 手に取るは淡く咲いた花。小ぶりなそれを小さな花束を、たくさん、たくさん集めて。
 ばら撒いても、余りあるくらいに。手から溢れるほどに。
 誰もに、小さな幸せが訪れるように。
「そういえば……カノン様は、あげたい方は、いらっしゃらないの?」
「ぼくはサンタだからね。みんなに、あげたいな!」
 えっへんと胸を張るカノンに、小さく首をふって。
「サンタクロースだから、ではなくて…個人的に、の意味で。きっと、貰われる方も、とても、とても、喜ぶと思うのです」
「ど、どうして?」
 ぱちぱちと、大きな瞳に疑問の光を宿して。くすくす笑ったネーヴェは、微笑んだ。
「だって、カノン様からの、手作りの花束になるでしょう?」
「そっかぁ……! じゃあ、パパとママに!」
「ええ、お父様と、お母様に。作るのであれば、他と混ざってしまわぬよう、気をつけて……わかる場所に、置いておきましょう、ね」
「うんっ!」
 満開の笑み。満面の笑み。
 小さなサンタを愛する、いとしいひとへ。
 ネーヴェの手にも、小さな花束を伸せて。紺碧の夜空はひかりをのせて、煌めいた。

成否

成功


第1章 第3節

ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを

「お父様と、お母様。大好きなのですね」
「うん! ぼくをそだててくれたひとだもの!」
 溌剌と笑ったカノン。にこにこと頷きながら、ネーヴェは見つめて。
「おじいさまには、プレゼントしないのかしら?」
「はっ、そうだね。おじいちゃんにもプレゼントしないと!」
 小さなサンタはわくわくとプレゼントを作り出して。微笑んでいたネーヴェの頭をよぎるのは、彼の姿で。
「…わたくしも、大切な人に、作って良いでしょうか」
「うん? いいよ!」
 何も考えていないのだろう、カノンはにこにこと頷いた。
 ネーヴェの暗い表情には気付かずに。
 近くにいても、ずっと遠くにいるのだと、気付かされてしまったあの人へ。
(いつかに行った、花畑。あの時の花を思わせるような、花束を)
 ネーヴェは理解していた。これは逃げだと。
 あの人に──ルドラス渡せると夢を見てる。
 向き合うことの出来なかった現実など見向きもせずに。仲直りをして、その手を取れるのだと、子供のような駄々をこねて。
(だから、決断の時が来てしまうまでは、どうか、その夢に浸らせて)
 本当はわかっているはずだ。他にも大切な人は沢山いて、彼については行けないのだと。
 自分がついていこうものなら、悲しむ人はいるのだと。
(……それでも、まだ、)
 その手を取りたいと、思ってしまうから。
 だから、今は。
「……できた」
 彼を優しい思い出のままで、閉じ込めておきたいのだ。

成否

成功

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