PandoraPartyProject

シナリオ詳細

暗殺令嬢(ブルーハワイ)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●美少女にゴミのような視線を向けられる素晴らしい一時――
「……は?」
 ――とか、言っている場合では無かった。
 その本質は兎も角として、平素イレギュラーズをにこやかな笑顔で出迎える『暗殺令嬢』リーゼロッテ・アーベントロートだが、今日は話がまるで違っていた。
 全身からピリピリとした殺気を放つ彼女は凡そ他の何かに喩えるのが難しいような強烈なプレッシャーを相対するイレギュラーズへ与えている。
「……ええと、仕事の依頼、だよな?」
「ええ、ええ。勿論、そうなりますわ。
 皆さんには可及的速やかに――そして完全に解決して貰いたい仕事がございますの。
 一つの失敗も遅延もなく、塵の一つも残さずに完璧に、ですわ!」
 早口のリーゼロッテの語調は強く、熱を帯びていて……さしものイレギュラーズもそれに口を挟む事は憚られた。触らぬ神に祟りは無く、君子は危うきに近寄らない。大本で言うならば、『今日の彼女がこんな』だと分かっていたなら薔薇の邸宅には近寄っていないのだが。
「説明を頼む」
「私、寡聞にして存じ上げなかったのですけれど」
 そう前置きをしたリーゼロッテの依頼内容は実に衝撃的なものだった。
 これまでのイレギュラーズは荒ぶる令嬢の雷の落ちる先に居る『誰か』に同情したような――他人事の顔をしていたが。この先の彼等は決してそうはならなかった。
「何でも市井では、私の――を販売する何者かが居たとか」
 ――を指す時、リーゼロッテの声のトーンは明らかに小さくなったが。生粋にして完璧にして嗜虐的にして暗殺者たる御令嬢に二度言葉を問い質すものは居ない。
「マサカ、ソンナコト、オソレオオイ。タダノウワサデショウ」
「身共の調査に不備があるとでも?」
「トンデモゴザイマセン。フテイヤロウデスネ。ユルサレナイ」
 明らかに常軌より外れたイレギュラーズの応答だが、彼等にとって幸いだったのはリーゼロッテが些か冷静さを失っていたからだろう。憤慨する彼女は目の前に居る『信頼すべき友人達の内の幾らかが自身の――を所有しているとは思っていない』。
「そ、それで仕事とは」
「――を集めていると聞く、不逞の輩を何とかする事です。
 全ての痕跡を焼き尽くし、二度とかような愚挙に及ばぬよう恐怖をくれてやりなさいな」
 何とか気を取り直したイレギュラーズが問えば、話は非常に物騒なものだった。
 何でも彼女の薔薇十字機関が掴んだ情報によれば自身の財力を使って――をかき集める何とも困った、命知らずな貴族が居たらしい。
「普通ならば私が自ら念入りに……ええ、念入りに仕留めてやる所です。
 しかし、彼はフィッツバルディ派に近い人物らしく。この時期に、折角の夏のバカンスを台無しにしかねない戦争の種を蒔くのは本意ではありません。それに」
「それに」
「ぶっちゃけ! 気持ち悪いので、全く関わりたくございませんの!」
 あー、ああー……
 汚物の処理はイレギュラーズがやっておけ、という事らしい。
 貴族の暗殺依頼とは中々穏やかな話ではないが、この一件イレギュラーズの中でも打算が働く内容である。下手にリーゼロッテの機嫌を損ねたまま話が長引き、闇市のあれとかそれとかが表に出ればうわなにするやめろぎゃー!
「……します」
「声が小さい」
「……………善処します」
「ああ、私。皆さんのやる気を疑って、この国をどうにかしてしまいそう!」
「善処いたします! いえ、完全無欠に完遂いたします! サー・イエッサー!」
「宜しい。それでこそ私の自慢の『オトモダチ』ですわね。
 いいこと? 今日の私は気が長くありませんの。寛容にあたるのも少し無理。
 くれぐれも――仕事の方は、しっかりお願いいたしますわよ?」
 イレギュラーズは念を押す彼女に最大の疑問を問えなかった。

 ――どうして、水着姿なの?

GMコメント

 YAMIDEITEIっす。
 水着の差分だからさ。オマエの顔色ブルーハワイ。
 コメディですが色んな攻略法があります。下手すれば失敗するので頑張って下さい。
 以下詳細。

●依頼達成条件
・ヤミー・イッチ・パンツスキー伯爵家のYAKIUCHI成功(全焼)

●ヤミー・イッチ・パンツスキー伯爵
 フィッツバルディ派に近いそこそこ有力な貴族。
 当主は若い男性。眼鏡にバンダナ、小太り。一人称は拙者。
 萌えやら燃えに一家言を持っており、キツめな美少女の蔑視とか大好物。
 立板に水を流すような弁舌スキルを持ち、性癖で殴る演説させたらかなりのもの。
 時におまえら。時におれたち。何を言っているかわかりませんが。
 リーゼロッテ曰く「ついでに殺しても構いませんわよ」だそうですが、そこそこ有力な貴族である事もあってリスクも鑑みてそこまでは厳命されていません。
 暗殺してもいいですが、イレギュラーズのリスクは相当高いです。

●伯爵家
 メフ・メフィートの中心地、貴族邸宅街に存在する別邸。
 伯爵家私兵が存在するのは勿論の事、メフ・メフィートで例外的に治安が抜群にいいエリアですので、比較的真面目な憲兵等も見回りを行っています。
 無策で挑めば逮捕される可能性があります。内部の情報は不明ですが、少なくとも門番の二名を含め、十二名程の私兵が邸内外に詰めています。

●君達は岐路に立たされている
 YAKIUCHIは必須条件ですが、伯爵本人を殺してしまうような事があるとイレギュラーズの立場が死ぬほど悪くなる可能性があります。その場合、リーゼロッテは知らぬ存ぜぬで秒で皆さんを見捨てます。
 但し、だからといって及び腰で仕事をしてはいけません。
 中途半端な対処、仕事の失敗等でリーゼロッテの苛立ちが悪化すると、闇市のアレとかそれが薔薇十字機関によって明るみに出る恐れがあります。そう、皆さんは可及的速やかにリーゼロッテからガスを抜き、余計な追求がこないよう全てを有耶無耶にする必要があるのです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『幻想』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。
 でも、リーゼロッテの中での名声は上がります。いつもより多めに。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●備考
『令嬢のぱんつ』を装備してこの依頼に参加すると面白おかしかったり酷い目に遭える可能性が上がります。お好み次第でハバネロ・ソースをどうぞ。

 当差分はただのポケットマネー。
 もう一種類位夏の内に出すかも知れません。
 え? まだあるのって?

 ……以上、宜しければご参加下さいませませ。

  • 暗殺令嬢(ブルーハワイ)完了
  • GM名YAMIDEITEI
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年07月23日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

猫崎・桜(p3p000109)
魅せたがり・蛸賊の天敵
ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)
強襲型メイド
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
コラバポス 夏子(p3p000808)
今日も良い日だ
諏訪田 大二(p3p001482)
リッチ・オブ・リッチ
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
業壊掌
ニル=エルサリス(p3p002400)
九重 竜胆(p3p002735)
一刀繚乱

リプレイ

●ブルーハワイ・ワークスI
 俺の名はリゲル。リゲル・アークライト。
 真なる騎士に――尊敬するレオパル聖騎士団長のような立派な聖騎士になる為、今日も特異運命座標として活動している。
 ああ、先の魔種との戦いでは『死力の聖剣』と呼ばれた事もあった。
 正直、まだ未熟な俺には勿体無い位の称号だが……いつか、それに敵う男になる為に。
 この世界を救う為に、これからも活動しようと決意を新たにした次第だ。
 そんな俺だが、今日は令嬢のぱんつ愛好家としてとある貴族に会いに行こうと思っている――

「あああああああ!」
 頭が煮える程、暑いのだ。草葉の陰できっとお芋ちゃんも煮えている。
「ああああああああああああああ!!!」
 全身に令嬢のぱんつをぶら下げた『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)の脳もきっと煮えているだろう。
 首元何かを良く冷やすのは熱中症対策にもそれなりに効果的であるらしい。
 暑さの酷い今年の夏の或る日、或る時――八人のイレギュラーズが請ける事になった仕事は、彼が何故壊れているのかを物語る……
 何とも首元が寒くなる、何とも因果なものだった。
『暗殺令嬢』の名で知られる幻想の毒花、リーゼロッテ・アーベントロートがローレットに厄介事を持ち込むのは決して珍しい話では無い。しかして、その仕事の大半は何某か(彼女にとって不都合な)『悪行』を働いた者の後始末であったり、彼女の享楽を満たす為であったり。少なくとも、イレギュラーズ本人は危険なクライアントの危険な興味の外に居た事は間違いない。
 しかして、今回はどうだろうか。
「どっからツッコメばいいかわからないけど……僕たちの身の安全の為にも依頼は完遂しないとだね」
 その愛らしい顔を些か引き攣らせた『特異運命座標』猫崎・桜(p3p000109)の言う通り、
「一介の美少女……いやさ、我々の協力者が水着姿で発注した依頼。
 何としても、その御心をお救いせねばなりますまい!」
 或いは、『駆け出し』コラバポス 夏子(p3p000808)が十二分に意気込んだ通りに。
 何はなくとも今回の依頼は『失敗出来ない属性』を持っていた。

 ――を集めていると聞く、不逞の輩を何とかする事です。
 全ての痕跡を焼き尽くし、二度とかような愚挙に及ばぬよう恐怖をくれてやりなさいな。

 リーゼロッテが今回の仕事につき、真顔で語ったのは自身の――を集める不逞の貴族の対処である。
 その達成条件に成敗が含まれなかったのは幸いだが、イレギュラーズが他人事の顔をしていられないのにも理由がある。
 昨今、ローレットを騒がせる闇市、闇商人達の取り扱い商品に『令嬢のぱんつ』なるカースドが混ざっていたのは周知の事実である。
 面々としてはこれがかのおぜうさまに露呈するより早く、何もかもを有耶無耶にしなければならないのは火を見るより明らかだった。
「火を見るより明らかだけど、これから火をつけに行くのよねぇ」
「最初に闇市に流した人間は凄いですね。暗殺令嬢から大量に盗みを働くとは……只者ではありません。
 大方始末されてるんでしょうが……さて、件の貴族の方はどうなるでしょうね?」
『一刀繚乱』九重 竜胆(p3p002735)の何とも言えない台詞と、冷静な『    』ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)に仲間も苦笑するしか無い。
「闇市で手に入れてしまったコレがまさかこんな事件に発展するとはね。
 ……ハァ、手元にまだ残っているコレ、どうしようかしら?」
「ダイジのコネを使って伯爵に接触する、でいいんだっけ?」
「うむ。ワシのコネクションに任せておけ。何、全員合わせて十枚もの――があるのじゃ。
 これを餌にすれば堂々と入館――大口の取引相手として迎えられる事も難しくはなかろう」
『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)の言葉に、力強く『リッチ・オブ・リッチ』諏訪田 大二(p3p001482)が頷いた。この大二という男、見るからに胡散臭い所はあるのだが、事が事だけに頼りになる度合いが半端無い。
 その場の全員が彼の提案に何となく頷いてしまうだけの説得力というものを持ち合わせていたのは改めて語るまでもないだろう。
「……売るほうも売るほうだけど買うほうも買うほうなんだお」
 深い溜息を吐き出したニル=エルサリス(p3p002400)が何とも言えない遠い目をしてそう言った。
「全く、最近の若い者は……
 下着を、それも1Gの安物を集めて得意になるとは。
 集めるならステータスとなる車、宝石、酒、株式等じゃろう。呪われるのも当然じゃ」
 大二の言葉は彼のキャラクターを良く表し、意外とまともな風情でもあったが。
 面々は安物扱いされたおぜうさまがここに居ない事に感謝した。
 仕事は不逞の輩の館をそのコレクションごとYAKIUCHIする事――イレギュラーズの仕事というものもいよいよ業が深いではないか。

●ブルーハワイ・ワークスII
「ようこそ!」
 応接間で両手を広げてパーティを出迎えたのは小太り眼鏡にバンダナ、リュックを背負い、チェックのシャツにオープンフィンガーグローブを身につけた大変親しみと愛情の持ちやすい、貴族の当主その人だった。
「どんなセキュリティですか、この家は」
 誰にも届かない位の小さな声で呟いたヘルモルトの目はゴミを見る目で、最早それ自体がご褒美と呼んで差し支えない。
 果たして、大二主導によるコネクション接触作戦は草が生える程に呆気無く完璧に決まっていた。
 一応これは仕事なのだから、もう少し疑われるとか何とか盛り上げろよというお声さえ聞こえて来そうだが、
「へへっお世話になっておりやすぅ」
「ウチは諏訪田ちゃんからゴイスーなモノが見れるってことで一緒にきたんだお!」
「フヒヒ、こちらこそ良い取引が出来ると聞いてきますた!
 拙者同好の士に出会えて感謝感激でありますぞ! ささ、夏子氏もニル氏もお気軽にお寛ぎ下さいな!!!」
 揉み手で下手に出る夏子、気楽なニルにクソ丁寧な応対を見せるヤミー・イッチ・パンツスキー伯爵は凡そ幻想貴族らしくない。
 ……こんなしょうもねぇキャラ造形をしてしまった以上、何かシリアスな判定とかドキドキな展開とかぶっちゃけ叶わぬ夢である。
 思惑通りYAKIUCHI対象の彼との接触に成功したイレギュラーズは思わず苦笑する程に簡単にその懐へ飛び込む事に成功したと言える。
(パンツ愛好家として接触を試みる、か……自分で考えておいて頭痛が止まないんだけど、ホント。
 私の場合は護衛なりで通した方がまだ良い気もするけど、アレだし、コレだし――)
 竜胆の視線の先の伯爵は、新たな――が得られるとあってか非常に上機嫌で、(結構顔が売れているにも関わらず)イレギュラーズの正体に気付いた風はまるでない。丁度あのフォルデルマン三世と同じように、俗世に生きていない事はここまでのやり取りだけで一撃分かるので最早アレ。
「いやあ、実際、伯爵のトークには興味があったんだよね。所謂HENTAI……じゃなかった、KODAWARIがあるんでしょ?」
 実際の所、下着に執着する気持ちは今一つ……今二つか三つは理解出来ないイグナートではあるのだが、ここは如才なく空気を読んでおく。
「むむ! イグナート氏も世界の選択を知りたいでござるか???」
「そうだね。もっとボウギョリョク重視かと思っていたらイガイにもウスデで興味深い。
 ガードをあえて下げることでミズカラの攻撃性を高めようとしているのかもシレナイし――」
「おお! 中々のマエストロ!」
 噛み合わない会話が結果として噛み合って(?)うんうんと頻りに頷く伯爵は全く上機嫌であった。
「サイキン手に入れたんだけれど。これ、オレがイチバン尊敬しているヒトのパンツなんだよ」
「――――」
 仲間達の顔が引き攣る『鉄帝のぱんつ』を見せつけたとしても。
「うーむ、マニアックな。お主、さては名のある男でござるな???」
 逆に感心したかのような伯爵は感嘆の声を上げるばかりなのである。
「ここに献上品がございます。願わくばど……同志として!
 伯爵のコレクションを一目拝見願えませんでしょうか……?」
 当初の錯乱と照れを何とか克服せんとするリゲル氏がおずおずと伯爵に切り出した。
 テーブルの上に広げられたのは令嬢のぱんつ、ぱんつ、ぱんつ、ぱんつ、ぱんつ。
「色合いから細部の装飾まで見事なものでしょう! ほこッ誇れるコレクションでありまひゅ!」
「wwwwwwwwww」
 この瞬間、リゲルは死力の性剣と化している。
 何処からどう見ても見事なまでに同好の士と化している。
「これはwwwww大変結構なものをwwwwww」
「きょ、恐縮でひゅ」
 全身をぱんつで固めた彼はおイケメンなその顔立ちに羞恥を乗せているので、それはそれで世のおねえさまの需要を満たす存在かも知れない。
(ふ、不穏なナレーションが聞こえた気がする。いや、きっと気の所為だ。頑張れ、俺!)
 要らない克己心が我が身を滅ぼす事を聖騎士は知らない。彼の未来が今日ばかりは定まっているのはさて置いて。
「是非、伯爵の薫陶をいただきたく!」
「そうね。もっと私達に貴方の実力を魅せて見なさいよ。
 貴方のソレは私達の心に何一つ響かす事の出来ないちっぽけなモノなの?
 いいえ、そうでは無い筈。貴方は命賭けなのだから――」
 リゲルと竜胆の言葉を受けた伯爵は鷹揚に頷き、息をすぅと吸い込んで――

 ――まず、何故リーゼロッテ様か分かるでござるか?
 ステシ見たでござるか? まず幼女!
 いやギリギリ少女! 限りなく少女! ちっぱいでござる!
 合法ロリ! 拙者、紳士でござる。違法ロリには手を出さない、これ。
 彼女、マジ目がヤバイの。ホントヤバイ。ちょっとキツイ女性は世に沢山居るでござるが、アレはガチ。
 殺処分とセーフのボーダーを行ったり来たりする所がマジ最高。萌え。たまんない。いや、ホントね。
 拙者も子供じゃないんで、世の中には開けちゃいけないタンスがある事は分かっているのでござるが!
 さりとて、拙者も男! 拙者ニンニンと忍びつつも、虎穴に入らねば虎児をフォカヌポゥwww

 忍んでない。全然忍んでない。
 大いなるNinjaの危険ぶりに空気が粟立つ。
「うわぁ」
「す、すごい……ね……すごい、よね」
 立板に水を流すように語り始めた伯爵にリアリティの篭った調子でニルが声を上げ、桜が何とか顔に出さない努力をした。
「…………」
 続・ヘルモルトの視線は汚物を見やるそれであり、
「伯爵はどの様な場合でどの様にこのお宝がdoされるのを好まれるので」
「それは勿論……」
「ほう! たくしあげる寄せ出すために分ける持ち上げるために下げるあえてそのまま?
 しかして……時に片脚にかける丸まっているズラす破くのもまた良し……ほぅ!」
「下着好きなら、スリーサイズも気になるじゃろ。んん? 上の方は要らぬのか?」
「それは未だ手に入れておらず! 大二氏はお持ちでござるか!?」
「どうかのう。しかし、ワシには心眼が……無論、男同士の秘密じゃぞ?」
「!!!!!」
 それは当然、机にパンツを並べたリゲル、上手く乗る夏子、おかしな心眼を持つ大二等にも例外なく注がれている。
 いや、多分。いや、勿論。彼等のも彼女のも仕事の一環である筈なのだ。そうに違いないでも。
(煽っといて言うのも何だけど……こいつ等、私の前で何て話をしてるのよ)
 ドン引きしている竜胆の心もまた、偽りのない事実だった。
「え、ええと、ちょっと席立っていいかな? 何って、それはその、あれだよ、お花畑?」
「お花畑は拙者の脳内――じゃなかった、突き当りを左に曲がって奥ですぞ!!!」
「あ、ありがとー……」
 盛り上がる(?)男子達の熱量に些か腰が引けながら、そろーっと桜が、ニルが動き出す。
 勿論彼女の狙いは伯爵の注意があっちに逸れている間に館をキャンプファイアーである。予め調べ、屋敷の作りをある程度は把握しているパーティである。加えて伯爵にはイレギュラーズがついているのだから、万が一にも逃げ遅れる事は無いだろう。
「シワとか結構ヤバくありません?張りにシワ コレがまた柔らかさと言うか……」
「分かるでござるか! 夏子氏! フレンド・ガラパゴス!!!」
「コラバポスです……」
「無いわ……キモッ……」
 部屋を出るニルはもう一度そちらを振り返り、心の底から声を出した。
 何だかこんなクソシナリオで活躍する夏子が概ね可哀相な気もするが、気にしない。

●ブルーハワイ・ワークスIII
「これほど透視を使いまくった事もない気がするっ……」
 桜の捜索能力はこの仕事に実に良く役立った。
 ミッションはぱんつを燃やす事だが、当然仕事に貴賤は無い。
「い、異常な位に良く燃えたんだお……」
「館以外に被害は出なかったよね……?」
「多分、ギャグだから大丈夫なんだお」
「……うん。きっとそういう話だったんだよね、これ」
 ニルの、桜の言う通り。こんなもん真面目に語るだけ馬鹿げたクソシナリオである事に疑いはない。
 いや、まぁ、失敗は出来るんだが、幸いにそういう話にはならなかった。運命を掴み取ったのだ!
 で、どうなったって? 結論から言えば萌えた……じゃない燃えた。
 そりゃそうである。伯爵の防御力はゼロで、イレギュラーズ優秀だから仕方ない。伯爵の顔色ブルーハワイ。
「……ああああああ……」
「危ないから、行っちゃダメ! 死ぬから、ホント!」
 業火に包まれる館を見つめる伯爵はイグナートに羽交い締めにされ、絶望の声を上げている。
 そんな彼に竜胆は小さく溜息を吐いた。
「貴方達の特に大事にしているソレにこんな噂があるのを知ってた?
 何でも、持っていると呪いで所有者を焼き焦がすんですって。
 まっ、噂よ。でも……どうやら噂は嘘とは言えなかったみたいね」
 呆れ顔の竜胆だったが、案外人が良いのも彼女の魅力の一つである。
「命は失われたら戻らない。でもパンツはまた集める事も出来る。そうでしょ?」
 伯爵の肩を叩いた彼女は一枚の布切れを放り投げた。
 涙を湛えた伯爵の目がその黒い布を捉え、戦慄く唇が震える声を吐き出した。
「り、竜胆氏……!」
「ただの供養よ。私は何も持っていなかった、ええ――」
「――い、今! 間違いなくフラグが立ったでござる! 恋に落ちる音がしたでござるよ!!!」
「立てないで。落ちないで」←ガチ
「オウフ! 致命傷!」
 ずんばらりん。
 伯爵を慰めるではないが、この世を儚まれても困る。
 全くフォローではないのかも知れないが、とんでもねぇ行動に出たのはヘルモルトだった。
「金に飽かせて――令嬢のぱんつを買い求めてるようではまだまだです。
 大体それは本物ですか? 騙されてませんか?
 そもそもぱんつとは令嬢のものだけではないのです
 それがわからぬようではぱんつ愛好家としては二流もいいところ」
「――――!」
 ヘルモルトのロングスカートはこんな時に便利である。過激なアクションでも年齢制限に引っかからない。
 もぞもぞごそごそやって、伯爵の眼前に白い布を放り出した彼女の様は白手袋を投げつける決闘の騎士が如く。
「誰のかもわからぬ物よりも脱ぎたての物(そ)の方が魅力的ではありませんか……拾っていいですよ?」
「ブヒィイイイイイイイイ!」
 飛びつく伯爵を踏みつけるヘルモルトの図は壮絶で、同時に何とも平和だった。
「興味は無かったが……意外なビジネスになるのかもしれんのう」
 何時も金の事は忘れない――大二の頭脳がそろばんを弾き始めた。
 燃えろや燃えろ、屋敷や燃えろ。
「……案外、いけるかも知れん」
 呟きは些か不穏だったが、令嬢の――なる、カースドアイテムが引き起こした事件はかくて幕を迎えるのであった。

●リゲル・ブルーハワイ
 仕事を終えたパーティはリーゼロッテに非常なお褒めの言葉を頂いた。
「やはり、皆さんは私の自慢のオトモダチですわ!」
 彼女は一人一人の手を取って感謝の意を示し、珍しい少女の顔をしてイレギュラーズに親愛の情を示すばかり。
「……いや、これしきの事。騎士たる自分には当然の事です」
(キリッ)とかそういう効果音を発したリゲルに「ふふ。貴方の恋人が羨ましくなりますわね」とリーゼロッテは微笑み――
 偶然に、嗚呼、偶然に。そこで悲劇が訪れた。

 ぱさり。

 姫の称賛に胸を張った騎士(リゲル)の懐から落ちたのは散々見慣れた黒い布。
 数多の運命を狂わせた呪われた黒い宝石(ブラック・ダイヤモンド)――

「……」
「……………」
「……………………」
「……ろ」
「……はい?」
「……ねろ」
「え、えと良く聞こえ――」
「――跳ねろ、と言ったのですわ」

 後にニル=エルサリスはこう語る。

 ――騎士は玩具のように跳ねて、黒ひげ危機必殺だったんだお。

 どっとはらい。

成否

成功

MVP

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣

状態異常

リゲル=アークライト(p3p000442) [重傷]
白獅子剛剣

あとがき

 YAMIDEITEIっす。

 二時間で書いた。反省はしない。
 おかしな称号ばら撒いときました。えへへ。

 シナリオ、お疲れ様でした。

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