シナリオ詳細
<九重市百鬼夜行>門探しのお手伝い
オープニング
●百鬼夜行の原因
『百鬼夜行の起こる街・第三章』
本には、そう書かれている。
真っ暗な闇に包まれた、九重市。
今日は月もなく、星明かりだけが街を照らしていた。
夜は百鬼夜行の起こる時間。夜の間、出歩くと食べられてしまう。
風が冷たくなったら、百鬼夜行が始まって、こことは違うどこかへ連れて行かれてしまう。
……なんて話がこの都市には存在するのだが、そんな事を気にせず夜を出歩く男が1人。
「んんー……ハズレだなぁ」
『どうにも今日は、釣れないな』
「だなぁ。新月の夜だし、1箇所ぐらいはと思っていたんだけど……」
空を見上げ、星空に目を瞬かせる長月遼とぬいぐるみのハーヴィー。
彼らは何かを探し求めて、夜の九重市を歩いていた。
「ったく、誰だよ、新月の日なら門が見つかりやすいってネタぶっこんできたの」
『お前が仮説立てたんじゃねえか。そんでそれをブログに書いたら、思った以上に反響が出たから探しに行こうって言い出したのが30分前』
「てへぺろ☆」
どうやら彼らは昼間には見つからない、夜だけに見つかるもの――霊界と九重市を繋ぐ門を探しているようだ。
彼らが門を探す理由は、九重市の百鬼夜行を止めるというのが最大の理由。
門を見つけることで百鬼夜行が起こる原因を探ることが出来、ひいてはこの九重市に平和をもたらすことが出来るのではないか……と考えているという。
「あー……流石に俺1人だと、街中全部探すのは難しいな……」
『手助けがあると楽なんだがなぁ……』
「見つけるコツとか教えるから誰かマジで手伝ってほしい……」
大きくため息をついた遼とハーヴィーの姿が、夜闇の街の中に残されていた――。
●門を探し出せ。
ぱたん、と一つの本を閉じて、表紙を見せる男――境界案内人のエーリッヒ。
彼は貼り付けたような笑顔をこちらに向けると、手伝ってほしいという一言を添えて事情を説明してきた。
「百鬼夜行の起こる都市、九重市。ここでは夜になると魔物がやってきては、街を破壊していきます。それを食い止める人々もいますが……今回は根本的な部分を探すのが目的になります」
門の存在があるから魔物がやってきて、魔物の存在があるから九重市の夜が危険と言われてしまう。
それならば問題となる門そのものを見つけ出し、現地人である長月遼になんとかしてもらえばいい……というのが、エーリッヒの出した答えのようだ。
「彼が門を見つけるコツを教えると言ってますし、探索系の技術を持たない方でも探し出せそうですね」
「お手伝い……お願い、できますか?」
そう問いかけたエーリッヒに対し、あなたは……。
- <九重市百鬼夜行>門探しのお手伝い完了
- NM名御影イズミ
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年11月04日 21時40分
- 参加人数1/4人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 1 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(1人)
リプレイ
●お仕事、開始
「今回は探索するだけで、戦闘は無し。これは楽勝だな」
ふふん、と鼻を鳴らして余裕の表情を見せる回言 世界(p3p007315)。
戦闘よりも調査寄りの技術を持つ彼にとって、今回の門探しというのは気楽に行えて報酬がもらえる楽な仕事といったところだ。
ただ今回は1人で九重市を走り回る必要があるということで、時間がどれだけかかるかはわからない。ここだけが非常に難しいところで、歩いた分だけ報酬が上乗せになるかと言われたらそうではないのだ。
遼から地図を受け取り、門探しのコツを聞き出して世界は早速調査を開始。
1人でいくつか回るとなれば目や耳が足りない。そのため、人手を増やすために簡易式召喚陣を用いて精霊達に協力してもらうことに。
「片っ端から探していくから、1人よりはみんなで探したほうがいいかなと思って」
「♪」
りん、と楽しそうに反応した精霊達の音が鳴る。
友好的な精霊達は世界の命令を下すまでもなく、彼の目となり、彼の耳となり、門の居場所を探り続けてくれた。
●住宅街に現れる門
「まずは住宅街だな。コツを聞いておいたおかげで、ある程度場所は絞れそうだ」
遼と合流してすぐの地点、住宅街。夜なので静まり返っており、住民達が起きている気配はない。
大きな音でも聞こえない限り、住民達は門の存在に気づくこともなければ、世界がそれを探しているということも知らぬまま眠り続けるのだろう。むしろ、そのほうが良いと世界は考えていた。
「さて、まずは住宅街。……コツは確か、風の流れを読め、だったっけな」
百鬼夜行の起こる原因とされている『門』の存在。それが開かれる毎に百鬼夜行が起こっているのだが、開門する時には必ず風の流れが狂うと遼は言う。
遼曰く、向こう側の世界が九重市の空気を吸い込むように扉を開くものだから、本来の風の流れと違う流れが生まれる。少しでも風向きが変わったら、門が開かれたことを疑えとのこと。
「現在の風はー……」
きょろきょろとあたりを見渡した世界は住宅地に点在する木々の揺れ方で風を見る。
丁度いいタイミングで風が強く吹いたため、世界は精霊達にこの風はどうか、と問いかけてみると……これは普通の風だという返答が戻ってきた。
「ふーむ。この辺りは違うか」
普通の風なら門の干渉は少ないだろうと、世界はその場から移動する。
逐一風が吹く度に向きを確認して、精霊達の協力を得ながら住宅街の中を早歩きで歩き続けた。
そして、何度目かの大きな風。
強く吹いたその瞬間、世界は今流れているこの風が普通の風と違うことを感じ取った。
「なるほどな。感覚的にはこういうことなのか」
じわじわと皮膚が食われるような感触。慣れていない人間が触れればたちまちに恐怖が湧き上がるであろう感覚が、世界の身体を覆い尽くす。
最初は少しだけ恐怖するが、世界はまあこんなものかと、風の流れる方向へと急いだ。
「お、見つけた」
住宅街の途中に鎮座する地蔵が1つ。門自体は小さいが、吸引力が凄まじい。
子供達を見守るためのものなのだろうが、どうやら門を開くための中継地点として使われてしまっているようだ。
「閉じるのはやらなくていいから地図に書き込んでおいてくれ、だっけ」
遼から言われたのは門を見つけるだけで、封じることはしないこと。
封じるには専門の人間でなければならないため、ここは調査を行うだけが目的だと。
世界は言われたとおりに地図にメモを書き記し、ついでに風の流れについてもメモを記して、次の調査場所へと向かった。
●裏山に現れる門
「うおー……近づいたらめちゃくちゃわかりやすい……」
地図を頼りに裏山へとたどり着いた世界。
先程から風の流れが裏山に収束していることに気づいていたが、入り口に立つことでその感覚がはっきり伝わってくる。
精霊達もここは危ないと危険信号を鳴らしているが、入らないというわけにはいかない。山の何処に門が存在しているかまでを確認するまでが仕事なのだから。
「でもこれ、迷うやつだな!?」
明かりもない、月明かりだけの森の中。目印となるような木も暗闇の中となれば見えづらく、かなりの難関となる。
門の場所はすぐに分かるが、一度入って出られないなんてことになってしまったら目も当てられない。そのため世界は精霊達に明かりと目印になるように命令を下し、裏山の門を探し出す。
「け、傾斜が結構あるんだな、この山……!」
途中から道が舗装されていないせいか、山の中は結構傾斜がきつい。
道なき道をかき分けながら、呼吸を整えつつ世界は裏山を進む。
十数分ほど山の中を歩いていると、歩いている方向とは逆の方向から鋭い気配を纏った風が強く吹く。風の流れに従って世界は山道を走り、門の場所へと急いだ。
門が出来上がっていたのは、山の中腹にある洞窟。過去に何かしらが起こったのか、ぽっかりと開いた洞窟があり、そこに門が開いていた。
「他のところもこれだけわかりやすいと良いんだけど……」
門の場所を伝えるため、精霊達に留まってもらったところにいくつかの目印を付け、道を示す。
地図で記すにはどうしても場所の特定が難しいため、こうして現地に目印を残すことで遼に渡すことが出来る。
我ながら良い閃きだなと思いつつ、世界は次の場所へと向かった。
●海辺に現れる門
「んー……これが一番の難所かもな……」
風の流れを頼りに進んでみたが、海辺の方は潮風が混ざっているのもあって少々感覚が鈍ってしまい、反応が小さくて分かりづらい。
住宅街や裏山と違い、海辺にはわかりやすい目印は無いのも原因。そのためこの調査で一番の難所となるだろうと世界は高をくくった。
「そういやオカルトスポットがあると聞いているが……」
ふと思い出すのは、依頼をしてくれた遼の話。
どうやらこの海辺では『見えぬ瞳』という、誰かに見られているのはわかるのに何処から見られているのかわからない……と噂になっているオカルトスポットがあるらしい。
しかしその場所はなかなか見つけることは出来ず、遼も到達には至っていないとのこと。
「どう考えてもその場所にありそうだが……情報が少ないな」
遼もこの業界には詳しいらしいが、その彼でも見つけられないとなると見つけるのは至難の業だろう。世界はどこを巡ろうかと考え込んでしまった。
ところが思案を開始したところで、りん、りん、と精霊の音がいくつも鳴り続ける。
世界の目の前をくるくると回ったり、世界の服を掴んで引っ張ったりして、何かがあることを伝えていた。
「うお。何、どうした?」
精霊達に話を聞いてみようと思ったが、まずはそれよりも見てほしいものがあると言わんばかりに世界の服を引っ張り続けている。
話を聞く前に連れて行ってもらったほうが良さそうだと、精霊達につれられて海辺を走った。
連れてこられた先は、コンクリートで塗り固められた岸壁。だがそこには何もなく、さざ波が漂っているだけだ。
「……いや」
目を閉じて感覚を研ぎ澄ませてみると、風の流れが少しだけ違う。
この岸壁の直ぐ側に、門が開かれている。奇妙な感覚があることはわかったが……目を開けても、そこにはヒビが入った岸壁しか無い。
「……まさか」
『見えぬ瞳』という名前。誰かに見られているのに、誰もいない。
世界はあらゆる情報から考えをまとめると、そこらに転がっていた石を手に取って岸壁のヒビに突き立てる。
すると、割れた奥に地蔵のような残骸が残っており、ここに門が生成されていた。
残骸は古く、何百年も人の手が入っていない。コンクリートで覆って隠していたおかげで雨風は凌げていたが、あまり状態が良いとは言い切れなかった。
「確かに……これじゃあ、見つからないな」
大きくため息をついた世界は、手にしていた地図に印をつける。
見つけにくい理由やら何やらも同じようにメモを入れておき、遼が探しやすいようにとしっかりチェックを入れて次へ向かった。
●最終関門
「さっき一番の難所だと言ったな。アレは嘘だ……」
周りを飛び交う精霊達にそう声をかけた世界。
というのも、最終関門であるショッピングモール。この場所は特に分かりづらい。
店舗を挟んで一直線に伸びる道が風の流れをわかりづらくしている上に、様々な感覚が突き刺さっている。
「……どうしようかな。もう帰ろうかな……」
世界は悩んだ。3つは見つけたんだから、ここの探索は別に俺がやらなくても良くないか? と。
既に世界は住宅街、裏山、海辺の門を見つけているため、ここの手出しは別の人に任せても良い気がする。そんな感じで、ゆるゆるとショッピングモールを歩いていた。
「何かあるのはわかる。が、どこにあるのか全くわからねえ……」
そもそもショッピングモール全域って結構広くないか? と世界は顔を上げる。
先を見据えてみても、閉店中の店がずらりと並んでいる。こんなところに門が出来ることって本当にあるのか? とさえも思っていた。
適当にぶらついて、ここは見つかりませんでしたとでも言ってしまおうか? そう考えていた矢先のことだった。
「……ん??」
ふと、気になる店舗が見つかった。店舗の名前は読めないが、相応に朽ち果てている。
しかし集中してみると、朽ち果てた店舗の奥から微かな反応が感じ取れた。小さな門として開いているようで、ここもか、と呟きながらメモに記入をしておいた。
「よし、これで帰れるな。いつも貧乏籤ばかり引く俺だが、こういう時だけ地味に運がいい。嬉しくはないけど」
4つの場所が記された地図を片手に、世界は遼の下へと戻って情報を渡す。
門が4つも見つかったことで、遼は大喜びだ。これで百鬼夜行を少なく出来ると。
「歩いた甲斐があった……ってことかねぇ」
喜ぶ遼に向けて小さく呟いた世界は、とんとんと腰を軽く叩いていた。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
はじめましての方ははじめまして、御影イズミです。
九重市ライブノベル第三弾、珍しく遼君が巻き込まれてないお話です。
探索系のお話になりますので、気軽にご参加いただければ幸いです。
◆開始地点
街の住宅街にて、遼と合流して『門』を見つけるコツを聞いた後からスタートになります。
◆最終目標
『門』を見つけること。
あるいは『門』が実際に出来るところ目撃すること。
どちらかを達成するだけでOKです。
◆探索箇所
1行目にはどこを探索するかの記載をお願いします。
なお、探索箇所はバラけてもいいですし、どこか一箇所に固まっても問題ありません。
1.住宅街
スタート地点。
遼からコツを聞いた後、僅かに反応を感じ取れます。
2.裏山
オカルトスポットとして遼に教えてもらった場所。
反応が凄い。コツを聞いてなくても、ここにはなにかあると感じるでしょう。
3.海辺
オカルトスポットとして遼に教えてもらった場所。
反応はあるし、ここにはなにかあると感じます。が、探すのに少し苦労します。
4.ショッピングモール
以前遼が巻き込まれた『朽ち果て店舗』がある場所。
反応はないと思いきや……??
◆サンプルプレイング
住宅街を探索するよ!
コツを聞いたし、見つけて教えてあげたいよね。
……って言った矢先にあるし! ちょっと小さいけど、これも立派な門だよね!?
ってことで、この場所をメモしておいてと……。
次の門も探しておいたほうがいいよね。
説明は以上です。
物語の続きを、楽しみにしております。
Tweet