シナリオ詳細
<Closed Emerald>響く大樹の叫び
オープニング
●大樹の声
――いたい。やめて。苦しい。
大樹が嘆く。大樹が叫ぶ。
自らを傷つける者がいるが故の叫びに、大樹を守ろうとする精霊や魔物たちが刺激を受けて目覚め、無差別に攻撃を開始する。
その勢いは強烈で、嘆く大樹の周辺にある村々は襲われ、何とか逃げ帰って来た者達は全てを殲滅せんとする過激派ではなく、穏健派に助けを求め――封鎖してしまったファルカウだけでは手に余ると感じた穏健派は、これを密かに翡翠に辿り着いた異常を察知したイレギュラーズへ依頼として、助けを要請したのだった。
一体、この翡翠で何が起こっているのだろうか――? それを探るためにも、イレギュラーズたちは依頼を届けに走るのだった。
●
神妙な面持ちで、『黒猫の』ショウ(p3n000005)は集まったイレギュラーズたちへ今回の依頼内容――ひいては翡翠における異変を話し始めた。
突如として発生したクエスト。なんと『翡翠』方面のサクラメントが一斉に停止し、イレギュラーズ達が翡翠に直接転移することができなくなった――更にサクラメントのみならずR.O.Oの世界でも翡翠に入れなくなっている。完全に封鎖し、閉じられた国家となってしまったのだ。
恐らく、翡翠の国境線が封鎖されたと思わしい。元々現実の深緑よりもはるかに排他的であり過激な性質を持つ翡翠。鎖国政策が実行される事自体はそこまで不思議ではないが何の前触れもなく封鎖されるという事はなかった。
もしや、異常事態が翡翠内部で発生したのではないかと調査に乗り出した結果――自然を荒らしている『余所者』がいるが為に、翡翠は排他主義を強めているのだという。そのせいかい、周辺を無差別に攻撃する『大樹の嘆き』という存在が発生しているようだ。
「今回の依頼はその『大樹の嘆き』に襲われた住民たちの救出、および『大樹の嘆き』を退治することだよ」
ショウは逃げ延びた住民から得たモンスターの情報、そして襲われた村の座標が描かれた地図をイレギュラーズたちへ渡し、依頼の達成目標を伝える。普段なら、ここで皆を送り出すショウだが、今回の件で注意してほしいことがあると、イレギュラーズへ呼びかけた。
大樹を荒らすという『余所者』とは――バグによるNPC達のこと。
彼らが世界の流れを乱さんと、翡翠やその豊かな自然に密かに攻撃を仕掛けていたのである。
主軸となっているのは度々プレイヤー達の前に姿を現していた『ピエロ』と――『パラディーゾ』と呼ばれる者たち。
『パラディーゾ』とは、ログアウト不可能となったイレギュラーズ達のデータがバグらに解析され、その兵となってしまった存在達の事。――つまり、現実世界のイレギュラーズたちの姿形や能力などの情報が、兵として起用されているようだ。
翡翠の者達にとって見た事のない『余所者』が原因というのはあながち間違いではなかったのかもしれない。彼らは現実世界のイレギュラーズを見たことはないのだろうから――
『ピエロ』率いる『パラディーゾ』が一斉に翡翠各地に存在する『大樹』を攻撃し始めた事により『大樹の嘆き』という魔物の様な精霊の様な存在がこれまでになく活性化し、今回の依頼にも繋がったのだろう。
「どうやら情報によると、『大樹の嘆き』は発生した周辺を更地にするまで止まらぬかのように暴れ続けるみたいだ。敵も幻想種も自然も――なにもかも全て、無差別にね」
まるで今起こっている事件の様だろう? と、ショウは苦々しく笑ってイレギュラーズたちに得られただけの情報を伝える。
――今回の依頼には『ピエロ』や『パラディーゾ』などは出現する可能性は低くとも、今後、翡翠の依頼に出向くであろう彼らには、無関係と言うわけにもいかないのだから。
「外との交流を完全に絶った翡翠は、彼らの陰謀に対し外からの援軍など見込めない。更には『石花病』という病気の研究を進めていた人たちが何者かに襲撃される事件も起きたらしくてね……これらの騒動のせいか、一部の過激派は外の者達全てを敵視して、なりふり構わず倒そうって魂胆みたいだ。防御力が上がる装備はきちんと持っていくんだよ」
それに、とショウは言葉を続ける。
「このままでは翡翠全土が混乱の渦に呑まれて、無きものとなってしまうかもしれない。けれど――今回の依頼を含む、一部の穏健派たるの人たちが、翡翠内部に辿り着いたイレギュラーズに依頼を頼んだんだ。『大樹の嘆き』を発生させている危険人物たちを追い出してほしい、とね」
この依頼は危険人物たちを追い出すことにも繋がるであろう依頼。助け出した住民から何か情報を得られるかもしれないから、とショウは依頼の完遂をイレギュラーズたちへ頼んだ。
「危険人物の排除に成功すれば、深緑の巫女リュミエを説得するとも言っているようだから、翡翠との関係も良くなるはずさ」
気を付けて、と声を掛けて旅立つイレギュラーズたちの背中を見送るショウ。
停止されていた翡翠各地のサクラメントが解放され、新たな戦いが始まるのだった――
- <Closed Emerald>響く大樹の叫び完了
- GM名きみどりあんず
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年11月04日 21時40分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●
妙に静かな森を歩くイレギュラーズたち。
遠目からも被害が分かる程には、荒らされた村に向かって歩を進める。
村に着くあと少しという距離になったところで、事前に打ち合わせていた通り、二手に分かれることとなった。
大樹の嘆きと称されるモンスター。それらを抑える役目は『食いしん坊ドラゴン』リュート(p3x000684)、『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)、『夜桜』アルヴェール(p3x009235)、『書類作業缶詰用』黒子(p3x008597)の四名。
村人の救助に当たるのは『可能性の分岐点』スイッチ(p3x008566)、『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)、『Dirty Angel』ニアサー(p3x000323)、『ハンドルネームは』グレイ(p3x000395)の四名で当たることになっている。
リュートが索敵しながら村へ近づいていき――敵の気配が感じられないことに気づく。
感知範囲内であるはずなのに、感じ取れないという事は――
「危ないッ!」
咄嗟にリュートを突き飛ばしたルージュ。その背後には固い鱗さえ貫いてしまいそうな程に鋭い、木の根。モンスターの奇襲だった。
よく見れば、辺りにはドライアドが二体とコロポックルが三体。どうやらコロポックルの補助で索敵を感知されにくくされていたようだ。
「やられたッス……! ルージュ、大丈夫ッスか!?」
「おれは飛んでたから平気だぜ! にーちゃんも無事みたいだな」
無事を確認しあう二人に、待つことはしないと容赦なく周囲を巻き込むように枝を振り回し攻撃を仕掛けてくる。
「そうはさせない――!」
体勢の立て直しが間に合わない二人を庇うようにアルヴェールが飛び出し、一陣の風と共に桜を散らす。一瞬怯んだドライアドの狙いが逸れ、枝がアルヴェールの身体を少し掠めた。
――邪魔をしたな。そう言いたげにドライアドは狙いをアルヴェール一人に定めると、動きを封じるように根を何度も突き出し、激しい攻撃を繰り出してくる。
「今のうちッスね! ぎゃうぅー!!」
一か八かと、体勢を整えたリュートが力を乗せた声を放つと、モンスターの動きが少し鈍くなったように見える。
この隙にリュートは救助班へ目配せして、村の中へ入るように促した。その背中を守るようにルージュが立ちふさがり、救助班を追いかけようとした一体のドライアドに向かって、武器を構えた。
「こっちは通さないぜ! くらえー! ルージュアターック!」
ルージュが渾身の一撃を喰らわせると、ふらりと木の身体が揺らぎ、相当なダメージを負ったように見える。
しかし、まだ倒れず、もう一体も鈍る身体を無理矢理に動かして枝をアルヴェールに向かって振り回す。だが、アルヴェールの身体を覆う桜の花びらが、すぐさまに傷を癒し、逆に攻撃してきたモンスターたちを傷つけていく。
アルヴェールが前に出つつ、リュートとルージュ、黒子の三人が敵を攪乱しつつ確実にダメージを与え、弱らせていたが――黒子が何かに気づいた様子でモンスターから距離を取る。
「――アルヴェール様、ルージュ様、リュート様。なにやらあちら側の動きがおかしいので……ここはお任せしてもよろしいでしょうか」
「そういえば、黒子はあっちと連絡の様子が分かるッスね! ここは三人で何とかするッス! お願いするッスよ」
敵を抑えながらルージュとアルヴェールも頷く。
救助すべき住民がいる村の中心部で起こっているであろう敵の襲撃を食い止めるべく、黒子は救助班の方へ駆け出して行った――
一方で、救助するべく村の探索を行っていた四名は丁度、隠れていた村の住民たちを見つけたところだった。
どうやら避難場所を作り、逃げ遅れた者たち全てを集めて隠れていたらしい。モンスターに以前と同じような思考は無くなってしまったのだと、恐る恐る話す者。余所者は関わるなと怒る者。様々な反応を向けるが、皆助けが来たことに安堵している様だった。
「とりあえず、皆さんの中に怪我人はいませんか? ポーションや、水もありますよ」
カノンが率先して怪我人の確認をし、グレイも自身のスキルを使い、村人の救護に当たる。
「どうして……我々は大樹を大切にしていたのに……」
「天罰よ……天罰が下ったんだわ!」
狼狽える村人たちにその通りだというようにニアサーが避難場所にいたグレイとカノンにモンスターの対処を呼びかける。
「村の中心部で地面から生えるように現れたんだ! こちらの動きを察して向かってきている!」
「まだ応急処置が終わっていないのに……先に食い止めなくちゃ!」
「ああ。一先ずモンスターの対処に向かおう」
カノンは持っているポーションを村人たちに出来るだけ渡し、優しく言葉を掛ける。
「絶対に、この村を取り戻します! だから、待っていて下さいねっ」
ポーションを受け取った村人は、ドライアドよりコロポックルを先に。とだけ伝え、去って行くカノンたちを見守った。
村の中心部へ辿り着くと、ドライアドが三体、コロポックル二体が村の家々を破壊しながら避難場所へゆっくりと向かおうとしているところをスイッチがひとりで進行を食い止めていた。
「そんな大ぶりな攻撃に当たるわけにはいかないかな」
背中のスラスターで飛行しつつ攻撃を避けたスイッチは、余裕そうな言葉を発していたものの、一人で攻撃を避け続けるのは厳しい状況だった。
しかし、避難場所周辺にモンスターが居ないことを危惧して周辺を探索していたスイッチとニアサーが襲撃を受け、モンスターが向かおうとしている場所に気づいたため、応援を呼ぶ必要があった。
「来たね。飛んで翻弄するのが精一杯だったから、助かるよ!」
大きなダメージを受ける前に三人が来たことに内心安堵しながら一度距離を取って体勢を立て直すスイッチ。
「この先には行かせない――覚悟するんだね!」
息を合わせ、三体のドライアドをなるべく避難場所から遠ざけるために誘導しながら攻撃を仕掛けていく。
「こっちだ! お前に敵意を向ける者はここにいる!」
攻撃を仕掛けながらグレイがなるべく村の入り口付近で戦闘を行っている戦闘班と合流できるように誘導していくが、全く意に介さないドライアド。
「待ってください! 先にコロポックルを倒しましょう!」
カノンが先ほど村人に言われたことを思いだし、ドライアドの陰に隠れていたコロポックルを狙い撃つように魔力の球を放つ。
「――!」
スイッチがコロポックルが離れたドライアドの動きが変わったことに気づく。先ほどまで避難場所に狙いを定めていた足が、迷ったように足踏みをしている。
「コロポックルがドライアドを避難場所に誘導しているみたいだ!」
「なら、コロポックルさえ倒せれば、村人の避難が出来るね」
慌てたようにドライアドの元へ戻ろうとするコロポックルをスイッチが前に出て阻止する。
「キミに戦う力はないみたいだからね。悪く思わないでくれよ」
スイッチの振り下ろした刃をきっかけに、周囲を巻き込むほどの斬撃が襲い掛かり、コロポックルは泡のような光となって霧散する。
誘導する者を失ったドライアドの一体が、大きく枝を振り回してスイッチに近づいていくが、それをニアサーがつむじ風のように斬撃を繰り出して注意を引く。
イレギュラーズたち優位に思える状況に、スイッチがカノンとグレイに村人を逃がすよう指示しようとしたその時だった。
「ギ、ギギギ……」
木の軋む嫌な音がドライアドから発せられ、三体同時に地面へ根を突き刺し、滅茶苦茶に地面から根を飛び出させる。
あまりに速い動きに足を取られそうになりながらも避けていくが、皆徐々に追い詰められていく。
「う……妨害魔法を使うにも根に阻止される……! このままじゃ、まずいですっ……」
――焦りを見せるカノンに安心させるかのように、黒い装束が傍を通り過ぎた。
「一先ずこれで、体勢を立て直しましょう」
救援にやってきた黒子が放った黒い旋風は、固まった場所にいたドライアドを巻き込み、渦に呑まれていき、あれほど激しかった攻撃も収まる。
「ありがとう。これでわ――俺も……戦える!」
「うん。助かったよ。あとは一気に片付けてしまおうか!」
グレイとニアサー、スイッチとカノンがドライアドの両サイドに立ち、黒子が退路を塞ぐように敵を取り囲む。
全員が一斉に攻撃を叩きこむと、コロポックルの補助が無くなったせいか、枯れるようにドライアドはその身体を横たえた。
すう、と溶けるように光の粒となり消えていったドライアドを見送って、五人は急いで避難場所へ向かった。
五人が救助を進めている間――村の入り口に居たドライアドとコロポックルを相手にしていたリュート、ルージュ、アルヴェールは、コロポックルを最後の一体まで追い詰め、ドライアドも残り一体というところまで来ていた。
「コロポックルの支援、厄介ッス! 先にやっつけたいけど……」
「ぴったりとドライアドにくっついて離れないのが厳しいね……でも」
「まとめてやっつければいいんじゃないか? 愛の力なら、きっとできるはずだぜ!」
あと一息で倒せる。そんな予感がしているのに、なかなか倒れないのはコロポックルの支援によって回復しているからではないかと推測を立て、先に倒していたものの、相手もそれを分かっているのかコロポックルを守るようにこちらと距離を取りつつ行動するためか、最後の一撃がなかなか当たらずにいた。
「――それなら」
アルヴェールの瞳が鋭くなり、呼吸を整える。リュートとルージュを交互に見た後、作戦を伝える。
「俺が隙を作るから、その間にふたりは一斉に攻撃を仕掛けるんだ」
「わかったッス」
ぐっと武器や手を握りしめてタイミングを計る。
「さあ、花と散れ……『血桜』!」
呼吸を整えたアルヴェールの鋭い斬撃が、血の色を吸った桜の花びらのように舞い散る。ドライアドは多少怯むものの、コロポックルがすぐさま治癒を始める――はずだった。
「さあ! 観念するッス!」
リュートがじゃれるようにコロポックルに飛びつき、ドライアドから引きはがしすと、ルージュが武器から放つ光によってドライアドを撃つ。
しおしおと枯れるように力を失くし、光となって霧散したドライアドを見て、戦える者が居なくては敵わないと分かったのか、コロポックルは逃げていった。
「ふう……村の人たちが逃げられているか、ちゃんと確認しないと――あ!」
一息ついた後に、ルージュが村へ向かおうとすると、救助に向かった五人がこちらへ来ていることに気づき、走っていく。
「よかった。無事に救出は成功したみたいだね」
「安心したッス~! これで依頼は無事成功ッスね!」
リュートとアルヴェールもその後を追うようにして、合流し、村人たちを翡翠の中心部まで送り届けることとなった。
●大樹ファルカウにて
無事、逃げ遅れた村人を送り届けたイレギュラーズたちは、感謝の言葉や、助けてもらったことに対して未だ納得いかない者など、様々な言葉を掛けられた。この状況になっても余所者には厳しいままではあるが、この国の性質上なかなか心を開くことは難しいのかもしれない。
「本当にありがとうございました……家族が無事帰ってきて、安心しました……」
依頼人であろう穏健派のひとりは、誰よりも早く出迎えにやってきて、何度も何度もお礼を言っていた。
「……これで少しは翡翠の人もおれ達を認めてくれると良いんだけどなー」
そう零したルージュに、皆が静かに頷いた。
現実の深緑よりも、過激で閉鎖的な翡翠ではあるが、今回のことをきっかけに何か変わるのかもしれないと思いながら、村人たちの救護を続けるイレギュラーズ。
出来る限り怪我を治してから帰還しようとカノンが提案し、出来る限りの治療を施していた。
「コロポックルは、昔から森に優しいんだ」
イレギュラーズたちに声を掛けたのは、カノンにポーションを渡された村人。
「きっと……村が奉る大樹に何かあったから、あそこまで怒り狂っていたんだ。そうでなくちゃ……」
村人は悔し気に唇を食いしばって真っ直ぐイレギュラーズたちを見る。
「君は……コロポックルと友達だった?」
「――! ええ、そうです。彼らは友好的で……人を傷つけるなんて、する筈がなかったんだ」
村人が言うに、ドライアドもコロポックルも、人と共存して生きているような精霊と同じような存在。それが友好的にしていた者たちにまで攻撃を仕掛けてきたという事は、彼らの命が危ぶまれるようなこと――つまり、彼らの命の源である大樹を傷つけられた事により、生存本能の方が理性より上回ってしまったのだろうと村人は語った。
「ピエロの奴のせいだと思うけど、本当にロクな事をしねーな!!」
ルージュがこの事件の原因になったであろう黒幕の名を出しながら怒りに声を張り上げる。
「そうだね。ここは俺の故郷の深緑とは違う国とは言え、起きている問題は他人事ではないから……胸が痛いよ」
自然との共存が出来なくなってしまった悲しみは、鎖国するほどの翡翠ではとても苦しいことだろうと、アルヴェールも共感する。
「お願いします……ここと同じようなことになっている者たちのことを……こんなことをしたヤツを、倒してください」
村人は深く頭を下げてイレギュラーズたちへ心の底から願った。
「頭を上げてください。貴方様がそこまでする必要はありませんよ」
「そうですよっ。悪いのはこんな事をした人ですから! それに、任せて下さい。もう二度とこんなことが起きないようにしますから、ね?」
「ああ。絶対に、私……俺たちがそうはさせない」
村人に頭を上げるよう言って、イレギュラーズたちはその願いを受け取った。
かくして事件は一旦収束し、依頼は完了したのであった。
●ギルドにて
「お疲れ様。無事に帰ってきてよかったよ」
依頼の報告に来たイレギュラーズたちを迎えた『黒猫の』ショウ(p3n000005)は、穏やかに微笑みながら労う。
救助もしつつ敵を退けることはなかなかに難しかっただろうとショウは言いたげではあるが、イレギュラーズたちの瞳は困難であったとは思わず、ただ次の依頼に行くための意気込みを秘めていた。
「今回の件で、翡翠の状況が少しでもよくなることを願うばかりではあるけれど、一先ず――村の人々が救われたことを祝おう」
ショウのその言葉に、皆ゆっくりと頷いて顔を合わせ合う。
新しい事件、新たな敵。まだまだR.O.Oの世界での問題は山積みだ。少しずつでも解決していくしか方法はないのだろう。
「それじゃあ、次の依頼も頑張って。ゆっくり休むんだよ」
ショウの気遣いの言葉を背に、イレギュラーズたちはそれぞれの道を歩く。新たな事件を解決するため、自身のやりたいことをやるため、など各々の目的のため散り散りになっていく。
再び戦うその時まで、その刃を携えながら――
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
戦闘メインという事で出来るだけスタイリッシュにしてみました。(当GM比)
カッコいいプレイヤーの皆様を描けていれば幸いです!
今回も良き依頼となりました。
GMコメント
まずはOPをご覧いただきありがとうございます。
きみどりあんずと申します。
今回は翡翠で起きた騒動の一部、『大樹の嘆き』に襲われた村、そして逃げ遅れた村人を救出することが目的のクエストとなります。
今回は戦闘多めのシナリオとなります。
●成功条件
『大樹の嘆き』に襲われた村を解放する。
●場所
翡翠の森林の中にある辺境の村
●スタート地点
迷宮森林を抜けた先、目的の村が見える程度の森の中です。
●モンスター 『ドライアド』×5 『コロポックル』×2
・ドライアド
普段は大人しい森を守る妖精のような魔物ですが、『大樹の嘆き』により普段とは違い攻撃的になっています。
小さな木のような体から枝を振り回し、広い範囲に攻撃をしてきます。その分、隙は大きめです。
地面から鋭い根を突き出し、隙の少ない攻撃を繰り出すこともあります。
・コロポックル
ドライアドと同じく大人しく、人型の妖精のような見た目をした魔物です。
戦闘能力は低めですが、補助魔法を持ち、ドライアドを支援することがあります。
※重要な備考『デスカウント』
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
●重要な備考
<Closed Emerald>には敵側から『トロフィー』の救出チャンスが与えられています。
<Closed Emerald>ではその達成度に応じて一定数のキャラクターが『デスカウントの少ない順』から解放されます。
但し、<Closed Emerald>ではデスカウント値(及びその他事由)等により、更なるログアウト不能が生じる可能性がありますのでご注意下さい。
●『パラディーゾ』イベント
<Closed Emerald>でパラディーゾが介入してきている事により、全体で特殊イベントが発生しています。
<Closed Emerald>で『トロフィー』の救出チャンスとしてMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
但し、当シナリオではデスカウント値(及びその他事由)等により、更なるログアウト不能が生じる可能性がありますのでご注意下さい。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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