シナリオ詳細
お化け屋敷のお手伝い!
オープニング
●夏は過ぎ去ったけど
とある現代世界、九重市に出来た大きなイベント会場。
そこには大きな2階建ての建物の中に、広大なお化け屋敷が作られている。
大人から子供まで楽しんでもらえるよう、いろいろな仕掛けが施されているため、様々な人が楽しみ、遊んでくれていた。
今日はテレビ撮影があるということで一般人の参加は早々に打ち切られ、撮影準備に入っていたのだが……ここでちょっとしたトラブルが発生し、人手が足りなくなって怖がらせる役が足りないという状態が発生した。
「おいおいどうするよ。次来るのって、あの俳優さんだろ?」
「そうです。今回はご友人と一緒に、カメラ撮影もあるそうで……」
イベント会場ではスタッフ達が大慌て。
当日になって休暇申請が出ている人数に相違があったということで、もともと2名の休みだったところが4名の休みになってしまってイベントが成り立たなくなる状態に発展していた。
このままでは、お化け屋敷の怖がらせ役がいなくてしょぼいイベントとして番組に載ってしまう。
外部からの手助けを借りなければと、スタッフは走ってスタッフを探しに出た。
●一方の参加者組
「いやぁ……なんで俺とお前とサライと瑞毅なわけ???」
「プロデューサーが1番怖がりそうな人連れてきてって言ったから、死なばもろともと思って」
「お前絶対許さねぇからな。絶対許さねぇからな」
九重市のイベント会場まで歩く顔が似通った男が4人。
それぞれが肩を落として、とぼとぼと会場へと歩いていた。
如月和泉《きさらぎ いずみ》 砕牙の知り合いの探偵。オカルト嫌い。
木々水紗来《きぎみず サライ》 砕牙のマネージャー。オカルト嫌い。
霧水砕牙《きりみず さいが》 今回の企画に呼ばれた俳優。オカルト嫌い。
鷺来瑞毅《さぎらい みずき》 砕牙の知り合いの教育実習生。オカルト嫌い。
どうやら砕牙は1人でイベントお化け屋敷に入るのは嫌だから、同じオカルト嫌いの連中を引っさげて行きゃいいなという感じに和泉、サライ、瑞毅の3人を連れてくることにしたようだ。
今回は特に九重市のイベントを盛り上げよう! という企画があるため、まあ、市内に一緒に住んでるんだから一緒に盛り上げてくれよ! と砕牙が持ち込んできたそうで。
「……いざとなったら砕牙を差し出しても許されねぇ?」
「勘弁して下さい。あとで塩豆大福奢るので」
「1人3個ずつな」
「うぐぅ」
そんな会話が繰り広げられて、彼らはイベント会場に辿り着こうとしていた。
●ということで
時はスタッフが外に出た頃までに遡り、境界図書館。
エーリッヒ・アーベントロートが声をかけてきた。
「少々季節外れに近いかもしれませんが、ちょっとお化け屋敷のお手伝いしてくれませんか?」
どういうことだろうと思っていると、エーリッヒがある本を片手に説明をしてくれた。
九重市の一大イベント、夏のオカルトパーティタイム。
今年は色々あってこの時期に開催されてしまったのだが、それでも大盛況なのだという。
しかし、スタッフ側の休暇取得ミスにより4人ほどの人数が不足してしまい、テレビ撮影が行われるというのに脅かし側が足りなくなったそうだ。
テレビ撮影が行われるとは言え、撮影時のスタッフは少なく、局側からの手助けはないとのことで急遽スタッフが外に探しに出たそうで。
「私が認識をあれこれぽんと変えとくので、ちょっとお手伝いに行ってくれません? スタッフさんに連れていかれやすくするので」
「なあに、参加者を脅かせば大勝利案件ですよ。簡単です。」
少々楽しそうに笑うエーリッヒは、お願いできますか? と軽く問いかけた。
さて、脅かす側になるとしたら、どう脅かしてやろうか……。
- お化け屋敷のお手伝い!完了
- NM名御影イズミ
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年09月30日 22時05分
- 参加人数4/4人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●開始前の軽い準備
スタッフによって集められたノリア・ソーリア(p3p000062)、ラクリマ・イース(p3p004247)、マリカ・ハウ(p3p009233)、ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)の4人はどうやって脅かそうかと思案を重ねる。
「とにかく4人を脅かせばいいのですよね! 任せて下さい!!」
白い衣装が特徴的なラクリマはケチャップを1.5秒ほど全力握りで塗りたくって。
「お母さん……。うぅん、ちょっと違うかなぁ?」
子供のように振る舞うマリカはターゲットに寄り添うために、多少の演技を練習し。
「死装束も考えたけど……普通の衣装に血糊も、らしさはあるよね!」
人魚の姿のノリアはちょっとかわいらしいキャミソール風の衣装に、ケチャップ1.5秒全力握り。
「ふーむ、衣装……軍服のほうが、雰囲気が盛り上がりますかな?」
見目が完全な骸骨なヴェルミリオは、ちょっと雰囲気を出すためにボロボロな衣装を身に纏った。
出会う順番、脅かす順番を軽くミーティングした後、スタッフからそろそろターゲットがやってくるということで準備に入った。
●お化け屋敷、スタート!
「じゃあ、こちらからお願いしまーす」
スタッフの声が聞こえてきたマリカは、そっと隠れて様子を伺う。
砕牙達が入ってきて、扉が閉められた時点でお化け役は動き出していいという指示をスタッフから受けているため、マリカはすぐさま彼らの前に出て迷子の子供を演じた。
「うう……お母さん、どこ……?」
「ん……どうしたんだお嬢ちゃん、迷子か?」
短髪の男性――和泉がマリカの目線となるようにしゃがみ、彼女に問いかける。
マリカは予定通りに母親とはぐれたことを伝えると、より一層涙を流す――フリをする。
「参ったな、どうする?」
「うーん、この先にいるかもしれねぇし、一緒に行こうぜ。一旦戻るのも番組的にアレだし」
一番のターゲットである砕牙が番組構成を意識して、マリカを一緒に連れて行くことを提案。
内心めちゃくちゃ楽しみながらも、マリカは泣き真似を続けて彼ら4人の中でも最もビビりそうな男……瑞毅を選んで手を繋ぐ。
そこから先は、マリカの思い通りに男達4人は動くことになった。
彼女が『あっちにいるかもしれない』と伝えると男達は何も疑問も持たずに先に進み、きっちりと恐怖体験を受けてくれる。
更には亡霊の『お友達』にも軽く協力してもらいながら、予定にはない仕掛けを動かしてもらったり、直接脅かしてもらったり等で彼らを目一杯脅かした。
「和泉と砕牙ァ!! てめぇら、俺を前にするんじゃねぇ!!」
「うるせぇ!! 女の子と手を繋ぐ特権を手に入れた罰だ!!」
「みずきちばっか後ろでいい思いさせねぇからな!!」
……何か妙なことを言っているが、彼らは十分に怖がっている様子。
引き続き『お友達』に協力してもらいながら、ホラーをたくさん準備しておいた。
屋敷に入って数分。中盤ぐらいに到達したところで、マリカは次の演者――ラクリマが隠れている位置に気づき、足を止めて4人の動きも一緒に止めておいた。
「あ……ここ、お母さんとさっき来た場所……!」
「おっと、そうなのか? じゃあ……」
「おかあさーん! お母さん、ここにいるよねー!」
話の続きが紡がれる前にマリカは瑞毅の手を離して、暗闇の先へと進む。
男達4人は追いかけるかどうか悩んだが……そんな悩みも吹っ飛ばすほどのやべぇのが、後ろから迫っていることに気づく。先にそれに気づいたのはカメラマンの役割も務めていたサライだった。
「ふははー! 泣け! 叫べー!!」
「砕牙ァー! 後ろぉ!!」
「おぅえぇえ!? なにあれ、なにあれー!!」
男達はラクリマの姿を見た瞬間、大声を上げて逃げ出した。
カメラマンであるサライもその姿を必死で捉えようとするのだが、その姿があまりにも異様なものだからカメラを向ける暇があるならとっとと逃げ出したいと叫んでいた。
4人が驚くのも無理はない。
ラクリマは身体中に血糊をつけただけではなく、なんとブリッジ体勢で4人を追いかける状態を作り出していたのだから。
流石に胆力がある人間でも、これは結構怖い。血糊がぼたぼたと床に落ちているのも相まって、余計に恐怖が引き立てられていた。
「なんなんだよこのお化け屋敷!! 今年ばちくそに怖くねぇか!?」
「やべえぐらいに進化してるううぅぅ!!」
去年を知っている砕牙とサライ曰く、去年のちゃちな仕掛けよりも格段にこのお化け屋敷が怖いと好評(?)だ。ラクリマは心の中でガッツポーズをしながらも、体力が続く限りブリッジ体勢で彼らを追いかけ続けていた。
「ふはははーー! さあ命乞いをしろ!! このままだと一生怖いままだぞ!!」
「命乞いしても怖いのは止まらないと思うんですけどーー!!」
泣き叫ぶ青年4人組を追いかける、ブリッジ体勢の血塗れの青年。
その構図はしっかりと、サライの持つ番組用カメラに収められたそうな。
追いかけっこは数分ほどすると終わった。
ラクリマの体力を鑑みたマリカが男達をこっちだよ、と呼び寄せて別の通路に案内してくれたため、ひとまず4人はほっとする。
お母さんを探していたんじゃなかったっけ? という4人の問いかけに、マリカは小さくいなかった、と返し……今度は砕牙の手を取って、こっちに行こう、と引っ張ってあげた。
その先にいる演者――ヴェルミリオのいる場所へと案内するために。
通路を進んだ先は、まるで終わった戦場のような場所。いくつも転がった骸骨の形に、男達は一瞬足を後退させそうになった。
だがマリカは再び手を離して暗闇の中へと走り、その瞬間、ヴェルミリオに合図を送って彼を倒してあげた。
「うおおぉぉ!?」
「あああぁぁ!?」
ガラガラと何かが崩れる音と、誰の声とも判断の付かない叫び声。
気づけば男達の眼下にはボロボロの軍服を来た骸骨――もといヴェルミリオが倒れこんでいた。
身体的接触はご法度と忠告を受けているため、行く手を阻むような形で倒れ込んだというのが真相。しかし彼ら4人にそんなことはわかるはずもないし、わかったとしても脳が理解を拒むだろう。
一度深呼吸をして、目の前の骸骨がただの飾りだと判断した男達。
ゆっくりとヴェルミリオの身体を踏まないように注意しながら通路を通り抜けるが、それでは面白くないなと思ったヴェルミリオはちょっと呻き声を上げてみた。
「う……うぅ……」
「ひっ……?!」
「しゃ、喋った?」
思った以上に反応があったため、ヴェルミリオはもう少しだけ呻き声を上げる。
男達は喋っているかどうかの確認をするためにヴェルミリオを囲んで眺めているため、今です! と言わんばかりにぐりんと首を動かしてみた。
その瞬間、男達の身体が1歩だけ後ろに下がったのが見えた。かなり効いている様子だ。
「……いや、マジで……今年のやっべぇ……」
砕牙のその言葉に、ヴェルミリオはこっそりとサムズアップしていたのだが、彼らにその様子は見えなかったようだ。
再びマリカと合流した男達は、げっそりとした様子でお化け屋敷を進む。
あまりに驚きすぎたものだから、ちょっと休憩、と砕牙がしゃがみこんで息を整え始めた。
もうすぐ終わりではあるのだが、この後もなにか来そうだからと砕牙は言う。
「お兄さん、大丈夫?」
「は、はは、ちょっと怖いけど、大丈夫」
そう言った瞬間、砕牙は表情を強張らせる。恐怖となりえる何かを見てしまった表情を、彼はマリカの背後に向けていた。
マリカは当然、それが何かを知っている。
最後の演者――ノリアが薄い壁の中をゆったりと泳げることを聞いているのだから。
当然、男達はその正体が何かなんて見当はつかない。ノリアはゆったり、のんびりと壁の中を泳ぎ……時々目があった彼らに対し、手を振り返してあげた。
「あ、あの」
「? どうしたの、お兄さん?」
「いや、あの、アレ、こっちに手を……」
振り返したよね? と尋ねようとした矢先、波を飛び上がるようにノリアが壁の中から出てきた。
可愛らしいキャミソールに血がこびり着いている人魚。つるんとしたとしたゼラチン質の尻尾が薄明かりの中でも淡く輝き、より一層異質さを引き立てる。
視界で入り込んだ情報があまりにも多すぎて、男達4人は一斉に出口まで走っていった。
●お化け屋敷は終わりも肝心!
「いや、今年マジでやばすぎるだろぉ!!」
砕牙の声が響き渡る。まさかここまで怖がらせに来るとは思っていなかった! と。
しかし出口がもうすぐである表記を見つけると、男達はホッと安心した様子を見せる。
だが、忘れないで欲しい。お化け屋敷は出るまでがお化け屋敷なのだ。
「……ん?」
和泉が足を止める。それと同時にサライ、砕牙、瑞毅も足を止めて……視界の先に見えたマリカの姿に、少々怪訝そうな顔を浮かべる。
――彼女は先程の人魚のところに置いてきたはずだが? と。
「一緒に探してくれてありがとう。お母さんは見つからなかったけど……でも、もう大丈夫だよ」
「え、なにが?」
「だって、こんなにいっぱいの『お友達』が出来たんだもの」
「……えっ?」
「ね。これでみんなみーんな、マリカちゃんとの……」
マリカの言葉に、一瞬にして顔を引き攣らせる男達。嫌な予感がする、と4人揃って口にしたのもつかの間、マリカの表情がゆっくり変わってゆく……。
「『お 友 達』」
その言葉を発したその瞬間、男達4人の後ろからノリア、ヴェルミリオ、ラクリマが登場時の姿そのままで集まってきた。更にはマリカの『お友達』も一緒に、皆揃って4人を追いかける。
男達の叫び声と、演者の楽しむ声と、マリカの笑い声。
渾然一体となった声は、ターゲット達が屋敷を出るまで続いたそうだ。
なお、この最後の場面は番組的には超美味しい場面だったそうです。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
はじめましての方ははじめまして、御影イズミです。
急に書きたくなったんです、NPCの4人組を脅かしてもらうシナリオが。
以下をご覧の上、いろんなオカルト系仕掛けを作って下さいな。
◆目標
参加者の4人(和泉、サライ、砕牙、瑞毅)を脅かす。
◆仕掛けについて
よくあるオカルトの仕掛け(火の玉や濡らした雑巾等)や効果音は揃ってます。
その他物理的に準備できそうなものはスタッフさんが揃えてくれます。
また魔法の類が無い世界ではありますが、イレギュラーズは例外的に使えるのでご活用ください。
ただしNPCや施設に傷をつけたりするのはダメです。あくまでも演出用です。
◆サンプルプレイング
4人のうち先頭に立ってるやつに向けて、風魔法をちょっと打ち出すかな。
傷をつけないように威力を極端に弱めて、と。
あ、髪の毛ちょっと巻き込むかもしれない。そのときはごめんな!
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