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シナリオ詳細

戦場の灯

完了

参加者 : 1 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 この世界は戦争の世界だ。行き交うのは馬車や車や旅客機などではない。戦車や戦艦、そして戦闘機。
 ここでは今日の命すらもどうなるかわからない……まさに戦場である。
「俺は……俺は! あの少女を置き去りに……っ」
「仕方なかった!! だって兵士が入ってきたんだぜ?!」
「そうだけどよ……でもあの子は俺達に優しくしてくれたんだぜ?」
 どこから来たかも解らない少女、優しく励ましてくれたのにそれを裏切る形となってしまったとこの男は話す。
「もうビービー喚くな! お前が泣くと兵士に見つかりそうでヒヤヒヤしちまう!!」
「け、けどよぉ……」
「あの子の為にも生きようぜ……兵士なんかに負けてられっかよ!」
「…………そう、だな。悪かった、もう泣かねぇよ」
「そうだと助かる」
 漸く泣き止んだ男は空を見上げる。
 いつからこんな灰が舞う街になっていたのか……自分達ではわからない。
「そう言えばどうしてこうなったか知りたいって情報を探してた連中が居たらしい……スパイか何かか?」
「や、どうやらそいつは食料を分け与えていたからなんとも言えないな」
「兵士に対して気絶させてた奴も見かけたな、すげぇ事する奴も居るもんだぜ」
「兵士は聞く耳を持たないからな……しかしこの世界がこうなった理由……俺達も知りてぇ」
「兵士の味方をしようとした無謀者も居たけどな、度胸は褒めてやりたい」
 先に来ていた特異運命座標達の活躍は平民の情報通の手によって様々なシェルターに伝わっているようだった。
「またああいうヤツらがいたら……この世界も変えられるか?」
「やめとけやめとけ、希望を抱くだけ無駄さ
 なんせこの世界は俺が生まれた時にはもう既に戦争があったんだぜ?」
「……それもそうだな」
 希望を抱くことを諦めてしまった民はまた火薬の空を見上げた。


「いやいや……本当にごめん!」
 開始直後に頭を下げたのは境界案内人のセイジ。
「僕自身もちょっと油断してて……まさかあんなにハードな世界だとは思わなかったよ」
 でも今回は前に来てくれた特異運命座標のお陰で少しは改善されてると思うんだと話す。
「情報はこの紙に書いてあるよ。それじゃ、何度も酷い世界に送ってしまって申し訳ないけれど……頼む、ね?」
 そうしてセイジは特異運命座標を世界へ再び送り出した。

NMコメント

 月熾です。
 調査としてはリベンジ編になるでしょうか。
 前回の続きとなりますが
 新しく参加されても引き続きの参加でも大歓迎です。

●世界説明
 戦争の世界。
 現地の兵士は自分の味方以外全てへ殺意を示し、殺しにかかります。

●目標
 調査、この戦況を見て何を思うか
 前回同様調査に失敗しても、この戦況に何を思うかで成功になります。

▶前回の成果で情報が開示されました。
●兵士(敵)
 兵士に見つかると問答無用で攻撃されあっという間に死にます。
 但し兵士同士では信頼関係が築かれているようです。
 すなわちそれは情報を聞くにあたって「兵士の味方に志願する」と言う形ではなく
 「味方に成りすます」と言う事が有効と見られます。

 また、自分が殺されると悟ると口内で隠し持っている毒で自殺を測ります。
 それ故に前回から同様兵士からの情報収集には他よりもグッと難易度が高いですが、世界がどうしてこうなったかについて近づく事も不可能では無いかもしれません。

●今回有効と思われる非戦
 前回は情報が少なすぎましたが、前回知れた情報から予測されたものになります。
変装、スペクター、闇の帳
スパイ、タフネゴシエイト、ソーシャルアーツ、絶対生存意志
 聞き込み調査は勿論、気配を潜めての調査
 または生き延びる為の知識として
 どれか一つでもきっとお役に立てるかもしれません。
 また、他の非戦でも是非挑戦してみて下さい。

●出来る事
 【調査】
(兵士は至る所に配置されています。戦況について調べたい事がありましたらジャーナリストよろしく動いてみるのも手でしょう)
(兵士への情報収集は難易度がグッと上がります)

 【現地兵士の味方】
(基本的に聞く耳を持たれないので高難易度)

 【隠密】
(敵に見つからないように過ごす。どうやって隠れるか、突然敵に見つかる場合もあります)

 【死亡】
(走馬灯を見たり、死に際に何を思うか)
※ライブノベルで死亡しても混沌では無事帰還出来ます。

●サンプルプレイング
【調査】
 情報収集難しくない?
 ったく……先に行ってた特異運命座標には感謝しねえと……俺も兵士に予習無しで突っ込むところだったぜ……。
 この世界がこうなった理由……平民たちは知らねーのかね?
 えらそーなやつとか、ほら長老?みたいなやっとかいたら話聞きてぇな!
 っと、兵士のヤツらが来ちまったな……
 よーし、俺が何とかしてやるから後でなにか教えてくれよな!


それではご参加お待ちしております。

  • 戦場の灯完了
  • NM名月熾
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年10月03日 22時05分
  • 参加人数1/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 1 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(1人)

ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)
陽気な骸骨兵

リプレイ



 この戦場に再び参入してくれた特異運命座標は一名。やはりここまで激しい戦場では特異運命座標と言えども飛び込む事にも躊躇いが生じる事になるのだろう。
「来てくれて本当に助かるよ。僕の情報開示の仕方が良くなくて先に行った皆を困らせてしまった分、君にはその皆からの情報がある……ほんの少しでも良いから収集して来てくれると嬉しい、かな」
 境界図書館のとある本棚の前、そう境界案内人のセイジが話す相手は『陽気な骸骨兵』ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)。
「なかなかハードな世界のようですな……しかしこのスケさんにかかれば! 期待していて欲しいですぞ!」
「そう言ってくれると頼もしいよ。それじゃ、この世界に送るね……死んでも戻れるけど無理はしないで!」
「大丈夫ですぞ〜!」
 なんせこのスケさんことヴェルミリオはダンジョンを守る骸骨兵で、死んでは生まれ、生まれては死んで……痛みも苦しみも矜持もなくそういう『役割』として戦っていた者だ。
 きっとこの世界においてはなかなか向いているスーパールーキーと言うところだろうか。
 そんなヴェルミリオがこの世界へ転移して辿り着いた場所は──

「ほほぉ〜これはこれは……見事に戦火が飛び交っておりますなぁ〜!」
 広がるのは薄暗い空気。火薬が飛び交ったであろうその地は視界が悪く、その向こうで時折光って見えるのは恐らく発砲時に起きる火花であろう。
 そんな最悪を窮めた戦場とてヴェルミリオは陽気な様子を崩さなかった。
「……さて、では調査を開始するとしますかな」
 そんな彼はふと静かに呟いて、そっと闇に紛れる。気配を殺し、足音も忍ばせ、この戦場の様子を見て回った。
(……どこもかしこも酷い有様、ですなぁ)
 転がるのは何も使い捨てられた武器、武具だけではない。この場で力尽きたと見られる兵士たちもそのまま放置され息絶えてしまったようだった。
「……」
 前の依頼報告書を確認していた時にも感じていたが、この世界の兵士たちは『戦争に慣れすぎている』。
 上官から撃てと言われれば撃ち、目の前に敵が現れれば躊躇いなく攻撃を加え、追い詰められ情報を取られそうなその時は口内に含んでいた毒を服用し簡単に死を選ぶ。
 そんな相手に果たしてどう情報を得たらいいのか。
「この辺りに気配がしたが……」
「──っ!」
 ヴェルミリオは息を潜め、兵士たちに見つからないように近くの影に隠れる。
「何もいないじゃないか」
「む……気のせいだったか。すまない、無駄足を働いてしまったな」
 どうやら彼らはヴェルミリオに気づいていないようだった。
「別にいいさ、もし本当に敵だったら一人たりとも残さず殲滅しなければならない」
「まぁな」
 そう頷いた兵士の一人が残骸に腰を下ろす。
「しかし……戦争はいつ終わるのか」
「我が王の命令は『敵は全て殺せ』しか出ていないからな……」
「現王が五十年前に即位し数日後からその命令は放たれていたらしいが、未だに解除されないのは何故なのか……」
「王の考えは俺たち平凡兵士では何とも計り知れないな……」
「ああ」
 ため息を着く兵士の顔色はどこか疲弊を表していた。それもそうだ、二人の話によれば五十年はこの戦争は続いている事になる。それに二人の兵士は見るからに若い、なれば戦争に参入してからの年数もそこまででは無いのだろう。
 そうした観点から二人の兵士が戦争の起点について知らない事は見て取れた。
(……次の兵士を探してみましょうかな)
 ここで見つかれば戦いは避けられない。若いと言えど戦争の為に訓練され覚悟を決めている兵士を前に出るなぞ、ルーキーの自分では自殺行為に等しい。ヴェルミリオはそう判断し闇に紛れたまま次の戦場へと静かに足を進めた。

(ここはまだ建物の崩れがそこまでではない……もしかしたら今の紛争地ですかな?)
 ヴェルミリオは高い建物が建ち並ぶ街に出た。中でも一際目立つのは大きな神殿のような建物だ。
(……兵士の数も結構増えてきましたな)
 先程の戦場とは打って変わり兵士たちは激しく武器を交わらせる光景が広がっている。
「グアッ?!」
「ひぃっ、ぁあっ!!」
 兵士たちは敵だけではなく、この街の人々にも手をかけているように見えた。
(な、何故……)
 その光景はあまりにも異質で。彼は大きく唾を飲む。
「狂王のご機嫌はまだ晴れないのかね」
 そこでボソリとボヤいたのは髭を蓄えた如何にも歴戦の兵士と言った風貌の男。
「もう五十年もこんな無意味な戦争が続いている。五十年だぞ? 最早人が死ぬなんぞ日常茶飯事さ」
「やめないか、あの王は狂わされたのだ。愛する事に飢えていたあまりに……はぁ、嘆かわしい」
「お前こそやめないか、王族への侮辱罪でお前を失うのはごめんだぞ!」
「はは、違いない」
(これは……痴情のもつれというやつでしょうかな……?)
 どうやらこの国の王様は狂っている。ということらしい。
「あの頃は若かった殿下も、今や狂ったように殺しの命令を下す陛下。我々は従う他なかろうが……流石に疲れましたな」
「そりゃ我々は八十をいく。そろそろ休ませて欲しいものなんだが」
 そして見た目からも想像は出来ていたが彼らの年齢もそれなりの高齢のようだった。
「あの頃は生涯兵士と誓ってはいたが……最近思うように身体が動かなくてな」
「お前もか、実は私もだ。この前危うく首を取られそうになってな……まぁ敵は何とか殺しはしたが」
「陛下も七十を迎える頃……我々を労わって欲しいのだが……」
「無理を言うでないよお前。そう思ってこの前五十年、何かあった試しはないだろう?」
「はっ……違いないな……」
 男たちから見て取れるのは諦念。あの狂った王はもう変わることは無い。戦争に生き、戦争で死ぬとやるせないようなそんな表情が見て取れた。
(……骸骨兵だった頃、今のように感情があったとしたら)
 このスケさんも同じ事を思っただろうか? と思いかけて首を激しく横に振った。
(元いた場所での事を思い出しても仕方ありませぬな……。けれども、ここの方々には近しいようなそんな……、いやいや! 調査に集中しなければなりませんぞ!)
 どうにも、前の世界にいた頃の自分と重なってしまうような気がした。無意味な戦場に立ち入り、何の為に戦っているのかわからないと言う靄のかかった感情はこの混沌に来てから芽生えたものだ。
「きゃああああ!!」
(!!)
 突然の悲鳴。その声の方へ振り返れば、少女が兵士に強引に髪を引っ張られ銃を突きつけられている光景があった。
(うっ……申し訳ない今回は助けられませんぞ……許してほしいのですぞ……)
 調査を優先したいヴェルミリオは握る手に力が入る。本当なら今からでも割り行って彼女を助けたい。だがそれをしてしまえば自分が的になることは明白だった。
「ううぅ……死にたくない……死にたくないわっ」
「黙れ、王の命令だ」
「っ! 大体王様の命令は「敵を殺せ」じゃない! 私知ってるのよ! なのに……なんで平民である私たちも殺されなくちゃ……っ」
「黙れ黙れ!! 平民であろうと敵になり得る。王は『平民の中にスパイが混じってるかもしれないから彼らも敵と判断しろ』と命令が出ている!!」
「っ……く……てる」
「なんだ」

「狂ってるって言ったのよ!! 馬鹿!!!!」

 それが彼女の最期の言葉だった。
(……ここの王様は誰も信じていないのですかな?)
 平民たちをも殺すところを見る限り、もう全てを敵と認識しているように見えた。
(ここまでこの世界の王を狂わせた痴情とは……一体何なのか)
 王の中では戦争が始まった時から時間が止まってしまっているのではないかと思えた。ああ、これを知る者はどこかに──
「きゃああああ!!」
(くっ……また!)
 殺しやすいからだろうか、悲鳴は女性のものばかりが響いている。
「たす……け……」

 その時、涙を流し助けを求める彼女と目が合ったような気がしてしまった。
「やめるんですぞ!!」
 だから、だから……兵士が彷徨く戦場、そのど真ん中だと言うのに、我慢が出来なかったヴェルミリオは声を上げてしまったのだ。
「き、貴様……どこから?! それに異質な姿……モンスターか? え、ええい! 何をしている!? そいつを始末しろーッ!!」
「アッ、ハッハ……やってしまいました、な……」
 身体が勝手に動いてしまったのは、きっと助けを求めてきたこの少女が『かつての少女』と似ていたからかもしれない。
(ああ、何ともままならない!)



 結論からいえばヴェルミリオは銃撃の雨を浴び、致命傷を受け倒れ込んだ。
 今、彼の額には散弾銃の先端を突きつけられている。
 周囲に少女の悲鳴が聞こえていたかもしれないが、死を察知した彼はもう何も聞こえなかった。
(ふむ……スケさんがスケさんになってから初めて死にますな。いやはや、これは……いかんともしがたい)
 その時、灰色の空気の狭間から空が見えた。

(ああ、どこであっても空は青いのだね……我が少女)

 そこでこの世界での彼の意識は途切れてしまった。





「……お帰り」
「……ここは、境界図書館?」
 ヴェルミリオが次に目覚めたのは見覚えのある本棚に囲まれた空間、境界図書館だった。
「うん、君はあの世界で死んだから、ね……戻ってきたんだよ」
「そうでしたか……。申し訳ない、あともう少しで情報が掴めそうだったんですがな……」
「ううん、充分さ! 一人で任せてこっちこそ申し訳ないんだ」
 申し訳なさそうな表情を浮かべる境界案内人セイジを横目に、ヴェルミリオはふと思い吹ける。
 ダンジョンを守る骸骨兵、死んでは生まれ、生まれては死んで……それを繰り返しては来た彼は、感情を得て命が尽きる瞬間とはこう言う気持ちなのだなと新たな発見を実感する。
「なあに、こちらでは生きております。そんなに案ずる事はないのですぞ!」

 だから彼は陽気に笑って見せた。

成否

成功

状態異常

なし

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