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シナリオ詳細

『リ』で名前が始まる女性をメス化させる大精霊~私は『リ』の女性が狼狽える姿を見たいんだ~

完了

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――その日、イレギュラーズ達は依頼の帰路にあった。
 EXシナリオ二本分に及ぶ大激戦を制したのだ。具体的な内容に関しては此処に記すとEXシナリオ二本分を書かないといけなくなるので避けますが、いやー大変な戦いでしたね。凄かった!! 特に溶鉱炉に親指立てながら沈んでいくへっちっちスライムは涙なしには……
「ふぅ、ふぅ。もう少しで街に辿り着きますね」
「そうですね! いやー本当に苦労する戦いでした……語り尽くせませんね……!」
 ともあれその戦いを制した一人であるリディア・T・レオンハート (p3p008325)は、隣にいるリリファ・ローレンツ(p3n000042)へと言葉を紡ぐ。流石にEXシナリオ二本分の死闘は彼女らから体力を大なり小なり奪ったのか、疲弊させている様だ。
 が、それもあと少しの辛抱。この道をしばらく進めば街が見えてくる。
 辿り着けば体を休める事が出来そうだと――安堵した、その瞬間。

「隙ありッ! くらえイレギュラーズ!」

 突如暗闇から何者かの襲撃を受ける――
 道行く全てのイレギュラーズを包み込む光が天より襲来。
 回避――いや防御しか間に合わぬか――!
 咄嗟に身構えるイレギュラーズ……だ、が。
 その光は当たっても特に痛みも何もなく。
「……? あれ? なんにもない、ね?」
「くっ! 何者ですか一体――貴方は!」
 不審がるリトル・リリー (p3p000955)。己が身を確認するが傷の一つもなく、であればリースリット・エウリア・ファーレル (p3p001984)は迎撃の態勢を整えて……
 が、その時気づいた。なんだが胸の奥が熱い。
 微かだが呼吸も荒くなっている様な――これは――!?
「ふっ――私の名か。別に名乗る程の者ではないが、そうだな、あえて名乗るなら……」
 直後。イレギュラーズ達を襲撃したその存在は――大仰なポーズと共に――

「私は――『リ』で名前が始まる女性をメス化させる大精霊!!」

 名を名乗っ……いや、えっ、はっ???
「……んっ? その、今なんて?」
「私は『リ』で名前が始まる女性をメス化させる大精霊!!」
「私は『リ』で名前が始まる女性をメス化させる大精霊!?」
 思わず聞き間違いかと思ったリウィルディア=エスカ=ノルン (p3p006761)だが、効き間違いではなかったらしい。嘘でしょそんなクソみたいな名前の名乗りあるの??? ていうかホントに大精霊なの??? そんなのいるの???
「いるぞ! ふっ、私は『リ』で名前が始まる女性達がメス化して慌てふためくのを見るのが好きでね……」
「ホントクソみたいな精霊ね――今すぐ潰しましょう」
「と、というかメ……メ、ス化? ってなんなんですかね……?」
 キレ気味リア・クォーツ (p3p004937)が武器を構え、リディア・ヴァイス・フォーマルハウト (p3p003581)は困惑しながら両者を交互に見据える者だ――さっきから平然と『メス化』などと言っているが、どういう意味なのかと。
 だが潰してしまえば全て解決だとリアが紡ごうと……するのだが。
 しかし妙な胸の鼓動。おかしい息切れ。脳裏に何か煌めく様な感覚が邪魔をする。これは――
「無駄だ! 先程のビームを浴びた『リ』で名前が始まる女性は今脳髄からメス化し始めていて戦闘どころではない!! 今君たちの脳裏には愛しい者や気になる者への思考で染まりつつあるはずだ! ちなみにこれが二十四時間経つと朝チュンモードになるまで止まらなくなる」
「はああああああああああ!!!?」
 朝チュン。それが如何なる意味を持つのかさっぱり分からないが、とんでもない事になりそうだ。まぁ強靭な精神力があればこのメス化とかいうふざけた効果に耐え続ける事も出来るだろうが……
「はぁ、はぁ! なら、その前に効果の主の貴方を倒すまでですよ!!」
「ふふ――素晴らしい。冷静な判断だな。その通り、これは私がボコられたら解除される」
 剣を構えるリディア――! なので。

「なので私は逃げる!! さようならイレギュラーズ諸君!!」
「貴様ァ――!!」

 どうも戦闘には一切の自信がないのか一目散に逃走!!
 なんなのだアイツ。どうして『リ』と名の付く女性にこんなことを――! いやそれより。
「まずい、まずいわよ、はぁ、はぁ! あああ正気が浸食される……!!」
「ま、まさかこんな、こんな事が……!!」
 リアが、リウィルディアが。胸元抑えて苦しそうに。
 瞼の裏に映るのは共に心の奥底に抱きし者らの顔――あ、まずいこれこのままだと理性消えるぞ。まずいまずいまずいって!! 姓名が変わるのもいいかな、なんて思ってる場合じゃないよ!! これあのクソ精霊早くボコらないと!! この情熱の儘に行動したら何をしでかしてしまうか分からない!! ま、まだ理性のある内に早くー!
「なぁ」
「ああもう!! どうやら街の方に逃げてるみたいですね……!!」
「なぁ、ちょっと」
「皆で手分けして探し出しま、しょうか……!」
「なぁなぁなぁ。いや、あの、な?」
「このままだと街の方にいる『リ』の付く女性も犠牲になるかもしれません……急がないと!」
 ――が、その時。リリファやリースリット、魔法少女の方のリディアらが結束を固めつつある陰で、何故か届かぬ言葉を紡ぎ続けるのは。

「あのな、いや、ちょっと……私はどうなんだ、おいっ!!? 私は『リ』だったのは以前なんだが!!?」

 彼女はマニエラ・マギサ・メーヴィン (p3p002906)――大激闘EXシナリオ二本分の依頼に参加してた最後の一人!! で、頭どころか名前のどこにも『リ』が一切入っていない――が!! それは今の話。かつては『リアナル』と名乗っていた彼女ははたして――!? 一応、光線を受けても無傷……に見えるものの。
 しかし油断は出来ない。
 もしもこの周囲のメス化状況が空気メス感染するものだった場合、マニエラにも遠からずメス化の被害があるかもしれないのだ。いやかつて『リ』を名乗っていたらやっぱり半分マニエラさんは『リ』の血族だから、やっぱり効果範囲対象に徐々になっていくのでは? このシナリオでは大宇宙の神秘的理由によりリアナルになってしまうのでは? 汝はリアナル!(大精霊による暗示術)
「うう。なんだか動悸があるような無いような……ええい!
 わからん。さっぱり分からん。なんだこの展開は――!!」
 天に轟くリアナ……マニエラの咆哮。
 かくして始まる『リ』で名前が始まる女性がメス化する大事件。
 ――後の世に街の名前からとって『グラン・テストメッス事変』と呼ばれる騒動の幕開けであった。

GMコメント

 なんですかねこの依頼!!!!!!!!!!!
 お、お茶は悪くねぇ!! これはリクエストシナリオだ!! お茶は悪くぬぇ――!!
 という訳で以下詳細です!!

●依頼達成条件
 『リ』で名前が始まる女性をメス化させる大精霊の撃破!!!

●フィールド
 幻想、バルツァーレク領の近くの小さな街『グラン・テストメッス』です。
 『リ』で名前が始まる女性をメス化させる大精霊はこの街に逃げ込みました! なんでか分かりませんがあちこちで光線放ちまくって『リ』で名前が始まる女性らをメス化させるテロ行為してるみたいです。やべぇ。
 そんなに『リ』で始まる女性ばっかりじゃないと思うけれど、イレギュラーズ七人もいるしね……もしかしたらこの街は『リ』で名前が始まる女性が偶々めっちゃ多いかもしれないですね……

 ちなみにこの街、なんでかデートスポットが多かったりとかするらしいです。あと教会とか花嫁衣裳飾ってたりする店とか……そういう場所に近寄ったりとかするとメス化脳がフル活性化してとんでもない言動を口走ったりするかも……

●『リ』で名前が始まる女性をメス化させる大精霊
 名前の頭に『リ』と付いている女性をメス化させて慌てふためき、あわよくばそのまま意中の相手とくっ付いて欲しいのを至上の楽しみとしているクソ精霊です。メス化させる光線を放つものの、自分から『リ』の女性に手を出したりなんかしません。
 違うんだ!! 俺は『リ』で名前が始まる女性がハッピーエンドを迎えてほしいだけなんだ!!(本人談)

 彼から生じる光線を受けると『リ』で名前が始まる女性は何とメス化してしまいます。

 具体的には意中の相手がいたり気になる人物がいたりするとその人物の事を想ってメス的思考に染まり尽くして『とんでもない想像』をしてしまったり『とんでもない行動』を取ってしまう能力なのです!
 あまつさえ言葉の一つ一つが『メス言語』に変換されるとか。(私も何言ってるのか分かりませんが、つまり私がアドリブする事があります)
 呼吸は荒く、場合によっては狼の様に獰猛に積極的になってしまうやも……まぁ別にそういう人がいなくてもメス化するんですけどね。なんで?

 これは精霊を撃破すると解除されます。多分。
 ですので頑張って撃破しましょう!!
 ちなみに光線を二重に受けたりすると症状が滅茶苦茶スピードアップします。

 あっ! それと戦闘能力は雑魚に等しいので「ボコる」って書いてたら倒せます。

●リリファ・ローレンツ(p3n000042)(味方NPC)
 彼女も光線を浴びてしまいました!! なんてこった!!
 何とかメス化を解除すべく大精霊を追いますよ。むきゃー!
 彼女も『リ』から始まるからなんか苦しんでるっぽいです。むきゃあ……

●情報精度
 このシナリオの情報精度は『リ』です。
 『リ』で名前が始まる女性にとっては何が起こるか分かりません!! やったね!!
 …………マニエラさんは???

●備考
 このシナリオの終了時、メス化が深刻な場合は一時的に姓名が意中の相手のを名乗る(相手の姓名と同じになる)かもしれません。ご承知の上でご参加くださ……リクエストシナリオだコレ!!

  • 『リ』で名前が始まる女性をメス化させる大精霊~私は『リ』の女性が狼狽える姿を見たいんだ~完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年09月30日 23時45分
  • 参加人数7/7人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(7人)

リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進

リプレイ


「う、ううっ……一体なんなんですか、あのふざけた名前の精霊は……
 こんな……メス化光線なんて、そんなものに私が……!」
『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)は苦しんでいた――
 大精霊の放ったメス化光線。その影響を受けたリディアは胸に苦しみを抱えていて。
「ていうかどうなるんでしょう……あの説明通りだとすると、リウィさんやリリーちゃん、リリファさんみたいに、素敵な彼氏さんがいる訳でもなし……あれ? リリファさんの所はまだ彼氏じゃなかったでしたっけ……?」
「む、むきゃあ!? 違いますよ! 月原さんとはそういう関係じゃないですー! ちょっと気になる友達ですよ、男友達! それだけなんですからね! 勘違いしないでください! 男女の友情ってやつですよー!」
 なんかリディアの言に勝手に口を滑らせてるリリファ。
 阿鼻叫喚地獄絵図。もうだめだ、リ族の世のおしまいだー!

「いやなんだよリ族の世って! そんな世が一体いつからあったんだ!?
 ていうかさっきから汝はリアナルって呪詛が聞こえるんだが?」

 マニエラだわ二度と間違えるな――
 呪いから逃れる『無限陣』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)さん! しかし彼女の懸念は別の所にあった……この事態を引き起こした自称大精霊をぶちのめす、のはいいのだが。先述のリディアの様に様子が若干おかしい者が多いのだ――例えば。
「とにかくなんとかしなきゃっ……! まずは居そうな所を見つけるべきだよね。例えば……そう、デート出来そうな所とか、もしかしたらいるかも。いやきっといるよね」
「デ、デデデデートスポット!!? まさかそんな所にいる筈が……だってデートスポットよ!? 油断してればキ、キキキ、キ……スとかそういうのが日常茶飯事的に行われている所でしょ!? そんな所――ガブリエル様ぁ……」
 駄目だこいつらとマニエラが見据える先にいるのは『マスターファミリアー』リトル・リリー(p3p000955)や『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)であった。いやどうしてそう言う所が選択肢に出てくるんだ、オイ! というマニエラの声も届かず。
(ああ……そんな、あたし、いつもいつもいっっっつも我慢しているんだから! 本当は……遠慮したり自重したりしてるけれどガブリエル様に褒めてもらいたい! 真っ先にガブリエル様の元に駆け付けたい! 優しく包み込むように抱きしめられて、あの繊細で綺麗な……でも男性らしいあの指で頭を撫でてもらって、指先は首筋から顎にソッと這わせる様にしてもらって……)
「そして、甘く蕩ける様なお声で『よく頑張りましたね、私のリア』って褒めてもらって……顔がどんどん近く……なんちゃってなんちゃって>< えへ、へへへ、へへへ」
「漏れてるぞ言葉。心の声が漏れてるぞ、オーイ!!」
「っ……なにが大精霊だ。なにがメス化だ。私利私欲に任せて僕を『こんな』目に遭わせるっていうのか? 幻想貴族、栄えあるノルン家の令嬢としても生まれたこの僕を?」
 とろぉんとした眼になってるリアに、マニエラのツッコミは届かない――その様を見据えているのは『女神の希望』リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)であり、胸元を押さえつつ幻想貴族としての誇りを――……いや、特にそんな考えはないけど。なんとなく言わなければいけない気がした。お約束? うんなんかそういう……
「はぁ、はぁ……そうだとも……大精霊なんて名乗ってはいたけれど、所詮僕らからすれば吹けば飛ぶような力しか持たない存在なんだ。それほどの脅威じゃない……だから……」
 だから――ちょっとぐらい寄り道してもいいよね――
 いや別に将来の為とか今後の為とかそういう理由じゃないんだけれども、デートスポットの多い街並みってどういうものなのかなって純粋に興味があるし、処罰を与えるのって別にその後でもいいんじゃないかなぁって思うし。それよりアオイが気に入りそうなお店とか無いかなぁって。
「おい。リウィルディア。なんでこの街の地図を手にもってるんだ。大精霊討伐にそんなの必要ないだろ!? しかも今から行く場所メモしてるのなんで……聞けよ全員!!」
「大丈夫です、マニエラさん――私は無事ですよ!」
 おおっ! と、リウィルディア=メス化=ノルンに見切りをつけてマニエラが振り向けば――其処にいたのは『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)であった。成程、魔法少女ならばメス化する要素はないッ――!
「朝チュンモードとかよくわからないけれど、非常に危険そうな感じがします……これは一刻も早く大精霊を討伐しないといけませんね! そうです――『彼』の為にも!」
「ちょっと待って、今なんて?」
「はぁ、はぁ……ともあれ、逃げたという事は、急に遠くに再出現したりするようなことは多分無い、はず。追うならばとにかくあの精霊のメス化? 光線が引き起こすだろう騒ぎを追っていくことが肝要でしょうか……」
 リディアは大丈夫かと思ったら、なんか不穏な単語が出てきたなぁ。と思っていたら『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)は頬が何故か紅くなりつつも、比較的マシに見える――流石リースリットさんだぜ!
「むしろ、進行ルートを割り出せば、先回りして待ち受ける事も可能な筈!
 行きましょう、リリファさんにも是非協力してもらえれば……!」
「はい! 勿論ですよ!! 早くこの街を回って、月原さんとの遊び場所増やしたいと思ってる所ですし……大精霊なんかにかかずらわってる場合じゃないですしね!」
 マニエラ。遂に頭を抱え始めた。
 頑張れマニエラ! 君だけが正常さ! 君に全てが掛かってる! ファイ・オー!!


「はーはっはっは! リ族よ、メスになるがいい――!!」
 きゃー! 街中を巡る様に光線が放たれていく。
 それが自称『『リ』で名前が始まる女性をメス化させる大精霊』の仕業であると見抜けたのは一体どれほどの人物がいただろうか――とにかく奴を倒さねば朝チュンモード確定である。大変だぁ。
「ここが――先程光が輝いた場所、ですね! はっ!! こ、ここは!!」
 で、あれば。レオンハート家の方のリディアは見た――恋人たちが多そうなお店通りを中心に探そうとした、その時。己が目の前にはウェディングドレスが飾られた――衣類店があったのだ――
 ふと、眼が奪われる。釘付けとなりて、眼が離せない。
「良いなぁ……師匠も、近いうちにあれを着るんですねぇ……
 ふふ、きっと盛大になるんでしょうねぇ……」
 師匠たる、とある人物に思いを馳せ、この純白を着込んで顔を真っ赤にしているのだろうかと想像すれば、なんとなし素敵だと思ってしまうものだ。きっと師匠によく似合う事だろう――え、リディア自身にはって?
「そりゃあ。私にだっていつか、白馬の似合う王子様が来るんですよ――♡
 金髪で、碧眼で、筋肉もそれなりにあって。優しい顔つきと鎧に身を包んだ……
 って、ちょいちょいちょ――い! 違うッ!!」
 ガラスウィンドゥに思わず手をドーン! と叩くリディア。
 今、ちょっと待って。誰を想像した? なんで? なんでお兄ちゃ――
「ありえないありえない、私はノーマル! アイ・アム・ノーマル!!」
「待て待て待て落ち着け鏡割ろうとすんな! こら、おい……デートスポットを巡ってるわけじゃあないんだよ! お前らもじもじするな!? 本当にメスになってるじゃねーか!!」
 何度も叩くので思わずマニエラガードが入りました。羽交い絞めして引きはがさんッ――! 正直ツッコミが追いつきません!
「わぁ、これ花嫁衣裳売ってる所もあるんだっ……綺麗なドレスだなぁ……いつかリリーも着たい、カイトさんに見せたい……喜んでくれるかな、カイトさん……ってそうじゃなくて、うう、頭からカイトさんの事が離れないよー!」
「あっ。これあの時のウェデイングドレスと同じメーカー……? ふふっ、そういえばあの時はアイススケートにも付き合ってもらったし、一緒に食べ歩きもしたし、手も繋いだし……試着もしましたね。懐かしいなぁ……」
「お前ら止せ!! このウェディングドレスには何か呪いでもかかってるのか!!
 見るな!! おら、メス化共、見るんじゃなーい!!」
 マニエラ、騎士のリディアを食い止めつつ渾身の叫びを繰り出すも――リリーと魔法少女のリディアの想像はもはや止まらない。愛しき飛行種との、教会のシーンをリリーは想像し。たくましい彼がスーツ、いやタキシードを着込んでいる様など……ふふっ。
 リディアも山田雪風との関係を想起し――友達以上恋人未満の関係性を進展させるために、もう教会で結婚式を挙げるしかないのではと結論付ける程だ。そうだ、よし。今からちょっと予約してこよう。
「くぉら!! 卑しい雌共、何をドレスの魔力に惹かれてるのよ!! ここはガブリエル様の領地の一角! 分かってるの!? ガブリエル様の為にもやり遂げるのよ! 走りなさい!」
 が、その時。皆を引き締める――様に見せて屈指の煩悩に塗れているリアが現れた。だって仕方ないじゃん! ここは何故かバルツァーレク領だし、もしかしたらまた沢山頑張れば、二人っきりでお話とか……もしかしたら、その、ま、また、キスとか……いやもしかしたらそれ以上の……あっ、ダメ……まだ日が暮れても……!
「頭ハッピーセット止めろ! 正気に戻れリア――!」
 再びとろぉんとメス顔になってる。やばいよあのシスターやばいよ!
 ――と、その時。

「ハハハ! 喰らえ、再び参上メス化ビーム!!」

 隙を突いた大精霊がイレギュラーズに光線を浴びせる。しまった――!!
「そうはいくか! マニエラ(旧:リアナル)ガードッ!!」
「リウィルディア、くぉらあああああ――ッ!! 元々メスの極みにある奴が他人を盾にしてどうするのよッ――!」
 ので。反射的にリウィルディアはマニエラを盾にした! さすれば被害は最小限に抑えられるだろうと……その目論見は成功したわけだが、でもなんでかマニエラからの視線が厳しい。なんで?
「どうしたんだマニエラ! さあ行こう! 観光……じゃない、此処に現れたという事はデートスポットを中心に出現しているのは間違いない。なら先回り出来る筈だ!」
「成程――街に点在するデートスポットに引き寄せられているという訳ですね」
「ああそうだ。だからボク達はデートスポットを巡るべきなんだ。将来アークライト姓になった時にも備えて……あ、いや彼がノルン姓を名乗る可能性もあるか……先走った想像をしてしまった」
 ふふっ、と照れたように笑うリウィルディアだが、そもそもその前提自体が結構先走ってる気がするのだが、大丈夫だろうかとリースリットは思うものである。
 しかし――愛しい者、気になる者……でしたっけ。
 なるほど。リアやリウィルディア、リリファにリリーやリディア(複数形)を見ると、なんとなく症状は理解できる……とはいえ、己はよくわからない。
「……いえ、というのは正しくないのでしょうね」
「ん? リースリットさん、何か言われました?」
「いえ、何も」
 リリファが振り向いて言葉を投げかけてくるが――そう、つまり『実感』として分からないという事だ。恋愛の事を何一つ知らないという訳ではないし、そういう感情の機微も全く知らない訳では無いと、思う、けれど。
 支えてあげたいと思う人には出会った。
 けれど、隣に居たいという人には――未だ――
「……なんとも、もどかしい感覚がずっと残るものです」
 胸の奥。そこに何かある様な気がして――握りしめる様に五指に力を込める。
 ……とはいえ思いが暴走するもアレだと思う。そろそろ大精霊を討伐すべきか、と。
「で、どこに張るんですか!? やっぱり――教会ですか!?」
「リリファさんも二回目の光を受けたからか大分染まってきましたね――ですが私もそう思います。最高の場所ですしね……!」
 なんだかもじもじし始めたリリファ。同意するのは魔法少女のリディア(単数形)の方だ。
 やはりこの街で一番メスになるのはどこか――? それは教会だろう。偏見? 知らない。
 リディアは想起する――以前試着したようなAラインのウェディングドレス着て誓いの言葉を交わしたり指輪の交換したり、それとかあとは誓いのキ、キスとか……。キスする時ってやっぱり目を瞑っていた方がいいですよね? どんな感じなんだろう? 雪風さんとキスしてみたいとか、一緒のベッドに入り込んで、それから……あぁそれ以上はいけない! 妄想止まれ! せめて山田リディアか、リディア・山田かを考える方がまだ健全!
「リア……リア・バルツァーレク……なるほどね……」
 なお。今さっきのリディアの想像は全部声にして漏れてました。
 さすれば感染する姓名合戦。ガ、ガブリエル様がお求めになるのでしたら、あんな事でもこんな事でも……あっでもせめて二人きりの時に……! いけませんこんな場所で、え、見せつけてやりましょうなんて、そんな大胆ッ――!

「…………って、あたしは! アホか!」

 ――刹那。リアが辛うじて正気を取り戻した。
 壁に頭を打ち付けてメスを振り払う――そうだ。ガブリエル様への想いは夢の果てに預けるって、互いの夢が重なる時を迎える為に、今はあの方に誇れる自分になるのだって、誓ったじゃねぇか! それを忘れたのかリア・バルツァーレク! 間違えたリア・クォーツ!
「はぁ、はぁ。あの精霊詰めに行くわよ、皆ァ!」
「ううっ!? 今度は純白のタキシード!? 純白のタキシードに身を包んだ――お、お姉様!? す、凄くお似合いで……えっ? そんな! でも、お、お姉様になら、私――♡♡ はい! 一回と言わず二回でも三回でも――!」
「こいつは一回朝チュンさせてやった方が煩悩晴れていいんじゃねーかな……」
 闘志を湧き上がらせるリア――の一方で騎士のリディアは新たなタキシード効果にもう脳髄蕩けてた。マニエラもそろそろ諦めるレベルである――ッ!
「あっ。く、来るよ! 大精霊がまっすぐ教会に……!」
「よし、またマニエラガードを用意しておこう! メス化ビームを受けたら厄介だからね」
「いやもうお前らこれ以上重症化する要素がないから逆に盾になってくれよ」
 そしてリリーが捉えた。使役していたファミリアーの眼で、大精霊の足取りを!
 光線放ちながらまっすぐ教会へと。これならば先回り出来そうだ!
 なので再びリウィルディアがリアなり皆なりを盾にせんとするが、二回目は通じないとマニエラは既に警戒態勢。チッ! そして――

「三度目の正直重ね掛けメス化光線ハイどーぞ!」

 大精霊が攻撃を仕掛けてきた――が!
「むきゃああああ!? 何故、何故私が盾に――!?」
「今だ――!! ボコりましょう!」
「ふっふっふ……見つけましたよ大精霊。よくも私の恥ずかしい姿を大勢に晒してくれましたね? 今まで清純派魔法少女としてやってきたイメージが台無しだわ! その命で贖ってもらいます――!」
 リリファガード! 鉄壁の盾で光線を凌げば、そこから一斉にイレギュラーズが往く。なお痙攣するように体が跳ねているリリファの口からは月……という単語が出てきたが、一体なんの事なんだろう。
 ともあれ騎士のリディアが――清純派魔法少女(?)のリディアが――襲い掛かるのだ。
 ガシッ! ボカッ! メスッ!
「風の精霊の力を借りて思い知らせるのです、シルフィオン! こんなのが大精霊などと――認めますまい!!」
「くだらない幻想によくも囚わせてくれたわね……覚悟ぉ!」
 次いでリースリットとリアも全霊の一撃を――さすれば。
「ぐあああああ!! リ族のメス化よ、永遠なれ!!」
「やかましい散々疲れさせられたのよ――往生しなさい!!」
 そんでもってツッコミに全力投じていたマニエラが一番力強くぶん殴り。
 夜空のお星さまになるかの如く――大精霊が彼方へと消えていく。
 これで大精霊は倒した……やがて効力も薄れていくことだろう、が。
「はぁ、はぁ……だめだ。ボコしても収まらない……
 ち、ちょっとリリー、カイトさんの所行ってくる! カイトさーん!!」
「……二十四時間がどうのこうのっていましたから、念のため部屋にこもった方がよさそうですね」
 リリーは我慢できず疾走する――愛しき、紅き者の懐へと。
 頭の中はずっと彼の事で一杯だったようだ。幸せの様な、大変な様な……
 さすればリースリットは未だ収まらぬ動悸を鎮める為にか頭を押さえて。
「うぅ~ひどい精霊でしたね……あっ、み、皆さん今日の事は忘れましょうね! ね!」
「ああそうだな――全く」
 復帰したリリファ。めっちゃ顔が赤いが、あわあわと手を振って忘れさせようとして。
 同時。マニエラは全てがおわったので――ようやくにも一息ついた。

「……まったく。動悸が激しかったとか、口がさけても言えねぇんだわ……」

 こいつらにバレれば絶対年齢を煽ってくるからゆるせねぇと。
 しかしメス化の影響か。ついうっかりポロっと最後に零してしまって――
 大精霊との鬼ごっこが終わったら、次はイレギュラーズとの鬼ごっこに勤しんだとか。

成否

成功

MVP

マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め

状態異常

なし

あとがき

 なんだこの依頼は!!!!!!!
 MVP? 貴方しかいませんね!!!

 はい、ところでですね。メス化が深刻な人がいますね。はい。
 後で一部の方の名前を24時間ほど弄ります!! お楽しみに!!!!

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