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シナリオ詳細

マジアの豊かな実りと共に

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●マジアの豊かな実りと共に
「……という訳でよォ、パカタグラと触れあう様なイベントをなァ、お嬢。パーッと祭りを開催したいって訳なんだぜェ」
 と、ケズ・ヘンネルの言葉を聞く『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)。
「分かりました。折角の機会ですし、盛大に開催するとしましょうか。パカタグラはこちらでも用意しますので、領の方々への告知とか、呼びかけは宜しくお願いしますね?」
「ん、ああ、了解。んじゃァ、宜しく頼むぜェ!」
 エルスの承諾を受けたケズは、口調は変わらずとも、どこか嬉しそうにその場を後にする。
 ……そして彼が退席した後に、彼と入れ替わるように入ってきたのはグエン(p3p007151)。
「……ん、どうかしマシタ?」
「ええ……ケズさんが、『マジア地区』でお祭りを開催したいって事でね。その事自体は問題無いんだけど……あの話を聞いてて、ちょっと上手く行くか心配な所があるのよ」
「ああ……そうデスね。ケズさん、情に厚くていい人デスが、口調とその風貌も相俟って、子供達からは怖がられてマスネ」
 二人が言うとおり、ケズは領民思いで素晴らしい区長ではあるが、元盗賊という事も有り、口調は荒々しく、その風貌も……言い方は悪いが、怖い。
 彼を見かけると、領に住む子供達らが怖くて泣いたり、逃げたりしてしまうという始末。
 今回のお祭りも、子供達に楽しんで貰いたいからというのもあるからこそ、今回の提案が出て来た訳である。
「そうデスねェ……」
 とグエンは少し考える。
 ……そして。
「折角の機会デスし、今回のお祭りを通じ、ケズさんが優しい人ト言うのを、皆に分かって貰える様にしたいデスね」
「そうね……私達もお祭りに参加しましょうか。子供達と一緒にお祭りを楽しみつつ、ケズさんの優しい一面を見せられれば、子供達もなついてくれるんじゃないかしら?」
「おお、それはいいデスね! 私たちだけでなく、お手伝い出来る人を広く募って、盛大にお祭りを盛り上げまショウ!!」
 ニッ、と笑みを浮かべたグエンと、頷くエルス。
 ティーネ領『マジア』地区の、晩夏の夏祭りが今、始まるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回はリクエスト頂き、ありがとうございます!

●成功条件
 ただ一つ、お祭りの成功です!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●周りの状況
 舞台となるのはエルスさんの領地、『ティーネ領マジア地区』になります。
 砂漠の地でありながら、かなり恵まれた環境で、厳しい環境ではありながら作物も色々と育っている様です。

 子供達については、純朴で快活な子供達が多く、元気いっぱいです。
 ただ、区長である『ケズ』さんは、顔がちょっと怖い、って事で子供達からは恐れられている様です。
 しかし彼の真摯な運営姿勢から、子供達の親などからの評価はかなり高いので、今回のポイントは子供達とケズさんの交流、という事になります。
 
 尚、ケズさんからは『パカタグラ』を中心としたお祭りにしたい、と言われておりますので、『パカタグラ』さんを用いたプレイングが可能です。
 ただ、『パカタグラ』さんを酷い目に遭わせるようなプレイングはしないで下さいね……?

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • マジアの豊かな実りと共に完了
  • GM名緋月燕
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年09月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
グエン(p3p007151)
光阴似箭
※参加確定済み※
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
※参加確定済み※
メルバ・サジタリウス・サーペンタリウス(p3p007737)
自称パッショニスタ
アルトゥライネル(p3p008166)
バロメット・砂漠の妖精
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年
ウルファ=ハウラ(p3p009914)
砂礫の風狼

リプレイ

●パカダクラと共に生きる
「青い空! からっとした空気! 砂漠だーーーっ!! オレ、初めて来た!!」
 と目を爛々と輝かせているのは、『ドキドキの躍動』エドワード・S・アリゼ(p3p009403)。
 『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)の収める領地が一つ、マジア地区。
 砂漠の中の地ではあるが、人が住まう為の水や農作物が育つという、恵まれた地域。
 ……そんな地域でお祭りを行いたい、という区長『ケズ・ヘンネル』の求めに応じ、イレギュラーズ達はこの地を訪れていた。
『えへへー、ほらほらー、こっちだよー!』
『あー、まてー!!』
 と、子供達の無邪気な声が響き、走り回る子供達がイレギュラーズ達にぶつかる。
『い、いててて……あ、ご、ごめんなさーい……』
 そして、しっかりと謝る子供……そんな心優し人が住むこの地でお祭りをやろう……砂漠と言えば、パカタグラとふれ合えるイベントにしよう、という彼の言葉を聞いたエルスと、『光?似箭』グエン(p3p007151)はとても嬉しそうで。
「マジア地区でお祭り、いいわね! パカダクラとめいっぱい楽しんだり、ラサでは貴重な収穫も楽しめたらいいわね……!」
「そうデスね。パカダクラがいっぱいいると心が和みマス! ワタシ、パカダクラ大好きデス! ケズサンもかっこよくて、ワタシ、好きデス!」
 二人もこの領地に関わっているからこそ、今回ケズが言い出してくれたことにとても嬉しかったり。
 そして、そんな二人の想いに同調した仲間達が、今回合流している。
「うんうん、お祭りはいいよね! みんなのパッションが溢れてて大好き!」
「そうだな! 今日はここで『パカダクラフェスティバル』って祭りだな! 出来る限り最高に盛り上げたいぜ!!」
 とテンション高めな『自称パッショニスタ』メルバ・サジタリウス・サーペンタリウス(p3p007737)とエドワードの二人。
 対し少しクール気味な『砂礫の風狼』ウルファ=ハウラ(p3p009914)と『可能性の壁』アルトゥライネル(p3p008166)が。
「ふむ……パカダクラのお祭りか! あやつらは軍馬にて砂漠の良き友。それを世話しているケズも良き者に違い無い。子供達にも、その点は良く知ってもらいたい所だな」
「そうだな。子供であれば、危険を察知するのは必要な能力だからな……ただ、外見で判断されて損をする気持ちは分かるつもりだ。あまり言動に出ない性質だからか、俺も旅先では何かと難癖を付けられたものだからな……その分だけ余計に、舞う事で自分を表現したいと鍛錬は欠かさない。というわけで……ケズにもそういうものがあると良いな」
 と、アルトゥライネルの言葉にエルスは。
「そうねぇ……ケズさんは、本当に領民想いな所があるのよね。その為にどういう事が出来るかを考えた結果、私の所に来たわけだし。本当いい区長さんだと思うわ」
 頷くエルスに納得する様に頷くウルファ、更に。
「よし、ラサの精霊手として、この祭りに協力させて貰おう!」
 と力強く声を上げると、『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)も。
「ああ……そういえば春にも祭りを手伝ったな。別の地区だけど。秋と言えば収穫祭だが、その前の時期の祭りは他所でも聞かない。パカダクラがメインというのなら尚更な。成功すれば、これはいい話題になりそうだ」
「そうデスネ! パカダクラとケズサンの魅力を知ってもらう為に頑張りマスヨ~。盛大なお祭りになるように頑張りマショー!!」
 強く拳を振り上げるグエンに、メルバも。
「そうだな! 気合いを入れてパカダクラフェスティバルの準備をするぞー!!」
 と同調していく。
 ……そんな仲間達の奮起を聞きつつも、小首を傾げているのは『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)。
「えーっと……パカタグラ……パカダクラ……パカラクダ……? ううん、ニルはちょっと混乱します……」
「ん……ああ、確かにちょっと紛らわしいよな。正しくはパカラクダ、だ」
「そうなのですね? ニル、了解しました。お祭り、素敵なものになるといいですね……!」
「ああ……いや、成功させるのさ」
 ニルの言葉に僅かに笑うラダ。
 そしてイレギュラーズ達は、それぞれのお祭りの準備を始めるのであった。

●祭りの時へ
「それじゃ、早速だが始めるとしよう。俺は取りあえず料理の準備をさせて貰う。一応料理人や調教師の確保はしてきたからな」
「料理! それは『おいしい』ですか?」
「ああ、おいしいものを作らないと、子供達も喜ばないだろうしな」
「それはいいですね! では、ニルもお手伝い、させてもらっていいですか?」
「もちろん構わないさ」
 ニルに頷くラダ、それにエドワードも。
「あ、オレも手伝いたいんだけどいいかー? ラダの喚んでくれた料理人と、子供が喜びそうな料理を作りたいんだ。そうだなぁー……カレーライスとか、パカタグラの焼き印が入った肉まんとか、パカダクラっぽい形をしたパンとかクッキーとかさ! 一応オレ、住んでいる所が喫茶店だからさ、台所周りはふつーにできるし!」
「それは、すごくいいですね! ニル、型を作るです!」
「了解。ニル、一緒に頑張ろーな!」
 エドワードの言葉のお陰か、段々とテンションが上がってくるニル。
 そしてラダは、雇った料理士達に対し、パカダクラをモチーフにした、子供達が喜びそうな料理を作るように指示しつつ、取りあえずニルの前にパカダクラを連れてきて。
「これがパカダクラだ」
「そうなのですね……! あの、えっと……色々、聞いてもいいですか?」
「そう言うだろと思ってな……パカダクラの調教師も雇っておいた。詳しい話は彼から聞いてくれ」
 と、ラダの雇った調教師からニルはパカダクラの好きな餌や、すきなおやつを聞き出し、それを上げてパカダクラを落ちつかせながら、その姿をじっくり観察。
 ……そして観察した姿そのままを、鉄板を折り曲げて象り、型作り。
 そして、その型を使って、クッキーなどの記事を切り抜いて……と、料理作り側は、順調に準備を進めていくのであった。

 その一方で、メルバとウルファは領地を隅から隅へと散策し始める。
 広大な農場と、肝心要の水道施設……そして特産品を売り買いする取引場など、様々な施設があるこの領地。
 そんな領地の中、レース場、食事処、休憩所という施設を先ずはピックアップ。
「メルバ、スタンプの絵を頼む」
「ん、了解だよ!」
 ウルファの言葉に頷くメルバ。
 レース場を駆けるパカダクラ、食事処で餌を食べるパカダクラ、休憩所でぐっすりと寝て居るパカダクラ、と三つの絵を仕上げると、それを元にスタンプラリー用にスタンプを削り出す。
 そして三つのスタンプを作っておく間に、メルバは。
「さぁさー、子供達ー。ちょっと見てってよー!」
 と周りの子供達を集める。
 そして……漲るパッションを込めて、メルバが子供達の目の前で書き上げるのは、マジア地区の穏やかさと豊かさを表し、更に温泉も含めて描いたお祭り用の看板。
「どう? という訳で子供達! 数日後になるけど、ここでお祭りをするから、楽しみにしててね!! そうそう、スタンプラリーもあるから。全部集めたら……ケズさんが肩車してくれるかも!?」
 子供達含め、周りに居る人達に告知。
 ……子供達は、ケズという下りは兎も角、面白そうとかなり食いつきが良く、嬉しそう。
 そんな子供達の表情に、ウルファは。
「……ふむ」
 と少し考えつつ、スタンプラリーの残り二箇所を検討。
 一つはパカダクラに乗った子供達の絵。そしてもう一つは……パカダクラと、ケズが笑う絵。
 もちろん、強面なケズの笑顔は余り想像がつかないので一旦ケズの下へ。
 ……そこには、祭りの準備で忙しくしているケズ。
 だが、彼は。
『なぁ、オレが着ぐるみって、そんな柄じゃねぇって!!』
 と叫ぶ。
「ん……どうしたの?」
 メルバが問いかけると、ケズは。
『エルスがよぉ、着ぐるみを着てって聞かねぇんだよ! オレ、そんな柄じゃねぇって!!』
 だがエルスは。
「だってお祭りの日、ケズさんが考えたんでしょ? そう、子供達に怖がられてばっかりではダメよ? あなたは凄い地区長だって……私、子供達にも知って欲しいんだから! だから……ケズさん、御願い……!」
 両手を合わせて、しっかりと御願いするエルス、それにアルトゥライネルも。
「ああ、そうだな……ほら、食わず嫌いってのがあるだろう? 子供達にとって、アンタは素晴らしい区長なんだから……そういうのも、区長に必要な仕事だろ?」
『そういう仕事な訳ねーだろう!!』
 ぎゃーぎゃーと言うケズだが……実際の所、そのやりとりを楽しんで居る様な感じが見て取れる。
 そしてイレギュラーズ達の説得の結果もあり……着ぐるみを着ることを承諾するケズ。
 ……そんなやりとりをしている中に、僅かに見せた笑顔を目に焼き付けたウルファが、ささっ、と先程のスタンプラリーの下絵を作る。
『お、おい……何する気なんだ!?』
 そんなケズの言葉に、ウルファは。
「なぁに任せておけ。その強面が祭の終わりには、自然な笑顔になる位の成功を目指すぞ」
 と小さく笑うのであった。

 そして祭りの準備もほぼ終わり、お祭りの直前。
「サァ、パカタグラをオシャレにするんデスって! 素敵デース! キラキラさせまショ! お祭りを、盛り上げマスヨ!!」
 最終準備として、張り切るグエン。
 会場を満遍なく金ピカの金箔を貼って飾り付けていく彼。
「我が家では『金箔貼ってりゃ何とかな』という家訓があったりなかったりしマース。キラキラしてるのはワタシも大好きですシ、きっと盛り上がるはずデス!」
 と綺羅びやかに会場を飾りつけ、更に準備為たパカタグラらにも、星や月のキラキラした装飾を飾り付ける……お祭りが楽しみで待ちきれなくなった子供達と一緒に。
「パカダクラももっとキラキラピカピカにしまショ。『大は小を兼ねる』ということわざ、知ってマス!」
 そんな事を良いながら、ドンドンと飾り付けていくグエン。
 ……そこに、色々料理作りを仕込んでいたエドワードとラダも合流。
「……それ、使い方違わないか?」
 とグエンにラダが突っ込むと。
「え……? 使い方違うデスカ? 言葉というものは難しいデスネ。ワタシよくわかりまセーン! でも、愉しければヨシ、デス!」
「ああ、そうだな! ほらっみんな! 一緒に走るパカダクラにさ、みんなで作った飾りを一つ贈ろうぜ! 煌々と輝く太陽の飾りを一つ、な!」
 グエン、更にエドワードはさほど気にせず、レースに出場するパカダクラをそれぞれ飾り付けていくのであった。

●子供と共に祝いし時
「さぁ皆さん! ティーネ領マジア地区、パカダクラフェスティバルへようこそ!!! 楽しんで行ってちょうだいね!」
 と、ティーネの開会宣言と共に、始まるお祭り。
 まずは、子供達と大人達をぐっとひきつける様に、アルトゥライネルが会場中央の広場へ。
 ……その横には、着ぐるみを着たケズ。
「ケズさーん、今日はよろしくねっ!」
 とエルスが激励するも、ケズは。
『な、なぁ……本当にこれでいいのかよっ!?』
 訝しがる彼だが……エルスは、その足が僅かに震えているのに気付く。
「……あら、緊張しているの? ふふ、いつものケズさんらしく、荒々しくても大丈夫! きっと成功に導くわ! 楽しんで行きましょ!!」
 ぽん、とケズの背中を叩くエルス、そして。
「ケズ……それじゃあ始めるぞ。オレの踊りに合わせて、ステップを踏むだけでいい」
『……っ、ああ、わかったって……!!』
 ほんのちょっと不服はまだ残っている様だが、大人しくアルトゥライネルの踊りに合わせ、可愛くステップを踏むケズ。
 いつもは怖い表情を浮かべている彼が、そんな事をするなんて……って大人達は驚き、子供達は。
『ねーねー、あれ……くちょーさんだよねー?』
『え? ……あー、ほんとだー……ぷぷっ、なんだかおもしろいだんすー!!』
『そうだねー、すっごくおもしろーい!!』
 と、何時も怖がっているのに、今日はどこか嬉しそう。
 着ぐるみに身を包んでいるから、怖さが大幅に減少しているというのもあるかもしれないし、着ぐるみダンスの奏功もあったかもしれない。
 ……そんな子供達の声はケズの所にも漏れ聞こえてきていて、ケズはちょっと驚いた表情を浮かべる。
 そんな彼に、アルトゥライネルが。
「……足りないものはこうして補える。誰かとだって補い合える。厳しい大地でサボテンのように、棘を持ちながら『あたたかい心』を忘れないアンタなら、自ずと受け入れられる。疑いようもない、だろう? ほら、下手くそでも楽しめ、笑え。今、この時に感じた気持ちだけが真実だ」
 と告げる。
 例え怖い顔であろうと、優しい心はにじみ出てくるもの。
 こうして意外な一面を見せれば、子供達もなついてくれる、という事は、今この場に居る子供達を見れば、明らかだろう。
 そんな事を想いながら、アルトゥライネルとケズの踊りが終わり、お祭りが始まる。
 ピカピカに飾り付けられた会場に街角に並ぶ、パカダクラをモチーフにした多くの料理。
 象られたクッキーや、ご飯をパカダクラの型珍にしたカレー、パカダクラの大好物の素材をふんだんに使ったオードブル料理等々、目にも鮮やかでどれも美味しそうな料理である。
「あ、これ、ニルの自信作です!」
 と胸を張るニルの手には、デザートとして作ったパフェ。
 もちろんこのパフェの最頂部には、パカダクラのクッキーが目立つように乗っけられている。
 そんな料理に舌鼓を打ちつつ、このパカダクラフェスティバルのメインの催し物へ。
「ほらみんな、パカダクラに乗ってみましょ!」
 エルスの傍らで草を食む、色々と飾り付けられたパカダクラ。
 ……ここは、子供達とパカダクラとの交流体験の場……昨日飾り付けた子供達はもうスッカリ慣れているけれど、居なかった子供達は、まだちょっと壊そう。
 のんびりとしているパカダクラ達は、子供達でも何度か見たいことはあるだろうが……実際に手を触れさせて触れあうなんて事は、余り無くて。
 ……そんな子供達の手を引くエルスとグエン。
「ん、パカダクラに乗るのが怖い? 餌やりも噛まれないか心配? 大丈夫、私が傍についててあげる!」
「ここのパカダクラ達は、みんな優しいデス! 噛む事はないデスヨ!」
 そう子供達を促す。
 それに子供達も恐る恐るではあるが、パカダクラに餌をあげたり、その顔をそっと撫でたり。
 ……優しいパカダクラ達の可愛い仕草に、順応力の高い子供達は自然と、早くもパカダクラに慣れていく。
 そして、パカダクラに乗って広場を一周したり、ちょっとした広場をつかって鬼ごっこしたり、と……パカダクラと思う存分遊ぶ子供達。
 そのお陰ですっかり子供達と仲良くなるパカダクラ……そして、その場に着ぐるみを脱いできたケズがやってくると。
『あー、ケズさんだー!! さっき、すっごくおもしろかったよー!!』
 と子供達は目をキラキラさせて、ケズの周りに集合する。
 ……今迄怖がって近づいてこなかったのに、真逆の状況。
『え、あ……??』
 きょとんとしている彼に、ウルファが。
「……ラサに暮らす者なら知っていよう。パカダクラは生活の友。こうして人懐っこいパカダクラが多いのは……育て上げた人間が信頼出来る、良い人だからじゃ。つまり……な?」
 尊大な口調ではあるが、ウルファなりに気付かせようとしたのだろう。
 ……そして、そんな人懐っこいパカダクラで、最後に行われる催しはパカダクラレース。
 広場を大きく一周して、一番早いパカダクラを予想する、というもの。
「みんな、自分が飾り付けた子を応援してみるといい。もちろん、どの子が一番ビリでも、応援してやってくれ!」
 そうラダは子供達を促す……やっぱりレースものというのは、大人も子供も盛り上がるもののようで、今迄よりも一際熱が上がる。
 そして、エドワードも。
「ああ、なんかすっげーわくわくしてきた! オレもこのレース、参加するぜ!! そうだな……こいつがいい! マジアの空みたいにやる気がアツアツな奴……オレと一緒に、走ってくれるか……?!」
 と、エドワードの言葉に頬をすりすりと擦り寄せてくるパカダクラ。
 位置について、よーい、スタート!
 子供達の期待を一身に背負うエドワードと……飛び入り参加のウルファ、そしてケズ。
 最後の直線まで競り合い、ギリギリの所で勝ったのはケズ。
『わぁーーー! すげーー!!』
 と、子供達の歓声が会場中を埋め尽くし……ケズを褒め称える人々。
 ……そんな領民達の歓声を木板イレギュラーズは、もう不安に思うことは無い。
 ケズは、この地の区長であり、領民にとって大切な人であるという事。
「うん……ケズさん、一杯遊んで、仲良くなれましたね!」
 笑うニルの言葉にグエンが。
「エエ! これできっと、大丈夫デス! ゲスサンは、立派な区長さんデスヨ!」
 と、満面の笑みを浮かべて頷いた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ティーネ領マジア地区のお祭りに参加戴き、ありがとうございました!
ケズさん……色んな意味で丸くなりましたね……着ぐるみケズさん、凄く面白かったです!

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