PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<月没>罪喰らい

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<月没>罪喰らい
 大正ロマンな世界が広がるここ、帝都高天京。
 どこかレトロな雰囲気が漂うレンガ造りの建物が建ち並び、高天京の筈なのだが……何だかちょっと異世界な雰囲気も感じてしまう、そんな場所。
 そんな街に棲まう人達の移動手段としては、馬車や路面電車。
 更に街の電機店にはラジオが置かれ、そこから流れる放送を、都の人々はまるで集会場の如く集まり、聞いている。
 ……今迄の古い生活からは一新された、新たなる生活を京に棲まう人々は、思い思いに楽しんでいる。
 しかし、そんなレトロモダンな雰囲気の街並みも、一歩路地を曲がればまだまだ、昔の都の雰囲気が残る部分が残されて居る。
 そうレトロとイニシエが共存するここ、神咒曙光はつい先日にアップデートされたのだ。
 そんな新しくも古い、この世界において最近発生している事件。
『はぁ……はぁ、はぁ……』
 都を駆けているのは、この都に棲まう、極々普通の一般人。
 しかしその表情は焦燥の色が濃い。
 ……そんな彼の後を追いかけるように。
『おい! どこに行った!』
『四神の眷属への叛逆者をのさばらせておく訳にはいかん! 何としてでも、彼を捕らえるのだ!!』
 叫び声が躱され、十数人レベルでの闇の姿を纏った者隊が、彼を追い詰める。
『……なんなんだよ、何なんだよ……俺が何をしたって言うんだ……!』
 極々普通に街を歩いていただけの彼に、突如降りかかったのは『叛逆者』の烙印。
 ……普通に住んでいるだけの者達が、四神の眷属達の気紛れで『叛逆者』へと仕立てられ、それを捕らえさせるというのは……気が触れた四神らの戯れなのかもしれない。
 勿論、被害者はたまったものではないだろう。
 だが……四神の天啓は、彼らにとって絶対。それに背くことは、絶対の悪。
『……おい、あそこだ、あそこにいたぞ、 皆、出逢え出逢え!!』
『ちっ……!!』
 笛を吹き、仲間達を呼び込む追跡者達と、逃げる『叛逆者』。
 そんな罪のやりとりが、最近この神咒曙光で多発していたのであった。


 そして最近アップデートされた神咒曙光の世界にログインした君達……そのウィンドウには、見慣れぬ『侵略ド』のパラメーターが現れている。
 勿論それだけがアップデートではない。
 今回のアップデートはRapid Origin Online(R.O.O)2.0『帝都星読キネマ譚』イベントの実装であり、その副題には『月没』と言う名称が付けられていた。
 しかしそのアップデートは、通常のアップデートの流れではない。
 練達の上層部に属する『佐伯 操』と、神威神楽の陰陽師『月ヶ瀬・庚』が協力する事による介入……勿論それは、ログインするイレギュラーズ達を補佐するが為の、緊急対処。
 その結果、本来天香遮那と敵対し霞帝の下に付くことになっていたプレイヤー達は、その介入によってイレギュラーズ達はネクストの世界高天京特務高等警察の立ち位置に変化し、遮那との共同戦線を張ることになる。
 だが……何故、共同戦線を張らねばならないのか?
 その理由こそ、ログインしたイレギュラーズ達が元いた世界で突如発生した『侵食の月』。
 突如希望ヶ浜と神咒曙光に現れた皆既月食なのだが……徐々に陽が月を奪い返すと蝕み始めるという奇妙な動きをするものであり、人々はその満ち欠けに、不思議な間隔を覚える事となる。
 更にその現実世界への影響と共に、ゲームであるR.O.Oの神咒曙光においては『侵食度』という、先程の見慣れぬ新たなパラメータが表示されたのだ。
 それこそが……『真性怪異』による影響であろう。
 R.O.Oと希望ヶ浜、どちらにおいても、平穏を脅かそうとする真性怪異の影。
 先程の皆既月食と密接に関わり……夜妖達を倒さなければ、今後、更なる悪化した事態が起きるのは間違いない。
 だからこそ、今此処でイレギュラーズ達が、手を出さねばならない。
 ……そんな事態を受けたイレギュラーズ達に、つづりは。
「では……特高の皆さん、宜しく御願いしますね」
 と、頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回はR.O.Oの世界でのシナリオですが……どうやら現実世界ともリンクしている様です。

●成功条件
 帝都高天京に棲まう一般人『ヒイラギ』を、追撃の手から守りきる事です。

●情報精度なし
 ヒイズル『帝都星読キネマ譚』には、情報精度が存在しません。
 未来が予知されているからです。

●侵食度
 当シナリオは成功することで希望ヶ浜及び神光の共通パラメーターである『侵食度』の進行を遅らせることが出来ます。

●魔哭天焦『月閃』
 当シナリオは『月閃』という能力を、一人につき一度だけ使用することが出来ます。
 プレイングで月閃を宣言した際には、数ターンの間、戦闘能力がハネ上がります。
 夜妖を纏うため、禍々しいオーラに包まれます。
 またこの時『反転イラスト』などの姿になることも出来ます。
 月閃はイレギュラーズに強大な力を与えますが、その代償は謎に包まれています。

●周りの状況
 今回の舞台となるのは、レトロモダンな雰囲気のある帝都高天京の裏路地です。
 表通りは石畳やら、レンガ造りの建物が並びますが、裏路地はそこまで整備されておらず……レンガ造りの建物と、木造の建物が半々で立ち並んでいるような地帯になります。
 又時間は夜半頃になり、灯りは殆ど無いので周囲は真っ暗闇になります。
 被害者の彼は必死に逃げている為、無我夢中で逃走中ですので、灯りは余り関係ありません。
 ただ敵を倒す為には、その暗闇は大きな障害となりますので、何らかの形で対処が必要です。
 
 又ログイン位置は遠いところになりますので、死んだ後の戦列復帰は難しいでしょう。

●討伐目標
・闇を纏いし、四神の僕達 x 20人
  姿形は人の様相ではありますが、その手に大きな刀を持ち、その刀は血を吸う効果を持っている様です。
  彼らは盲目的に、四神の指定した『叛逆者』を殺す為に行動を取りますので、それが戦場に居て攻撃可能ならば、可能な限り叛逆者を殺そうとします。
  なので、叛逆者に攻撃を通さない様に対処するのがポイントとなるでしょう。
  攻撃力は高めですが、防御力、体力は少し低めの様です。

・闇を纏う先導者 x 1人
  僕達を先導する指揮者です。
  彼は前にでて攻撃する事はありませんが、僕達を統率し、効率的に敵を殺す方法を採ります。
  彼を倒せば、僕達の統率が乱れるでしょうが……彼を倒す為には盾となる僕達をある程度倒さなければなりません。
  尚自衛する程度の攻撃力しかありませんが、体力はかなり高い様です。


 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • <月没>罪喰らい完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月15日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

じぇい君(p3x001103)
オオカミ少年
ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
九重ツルギ(p3x007105)
殉教者
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
ネコモ(p3x008783)
ニャンラトテップ
ハンモちゃん(p3x008917)
金枝 繁茂のアバター
ECHO(p3x009308)
癒歌の蒼

リプレイ

●無実の罪に
 大正ロマンが広がるR.O.Oの帝都高天京。
 レトロな雰囲気と共に、レンガ造りの建物が立ち並ぶ高天京は、何だかちょっと異世界な雰囲気すらも感じてしまう、そんな場所。
 それを彩るは馬車や路面電車という、『ハイソ』な交通手段やら、綺羅びやかに着飾った人々が往来するという……そんな光景が目新しい。
 でも……そんなレトロモダンで、煌びやかな世界の裏には昔の光景が残る所もあり、新旧が混在した世界線が広がっている。
 ……だが、そんな煌びやかな世界で罷り通るのは、何の罪も無い普通の人々が、強制的に叛逆者の烙印を押され、話を聞く間もなく殺されてしまう……という事件。
「偉い神が適当に叛逆者の烙印を押せば、それが罪となる……と言う事ですか」
 『魔法人形使い』ハルツフィーネ(p3x001701)が、その手をぐっと握りしめながら呟く通り、今回の依頼はそんな叛逆者の烙印を押された一般人を救出してきて欲しい、という事。
「んー……神霊の類いはヒトより圧倒的に影響力の高い存在で……それが掛け違えばなかなかに厄介な事になる、という訳だね」
「ええ……まるで性格が最悪な貴族の遊びを見ている様で、気分が悪いです」
 『夜告鳥の幻影』イズル(p3x008599)の言葉に、眼を閉じて辛辣に紡ぐハルツフィーネ。
 そんな二人の言葉に『殉教者』九重ツルギ(p3x007105)と『オオカミ少年』じぇい君(p3x001103)は。
「現実では無いとはいえ、四神がこれほど堕落しているとは残念ですね……「
「そうだね。こっちの四神は、僕の知ってる四神とは大分違うね。彼らにも言い分があると思う。しかし、神様とあろうお方が、一般人を寄ってたかって襲うってのは言語道断だよ。正義の少年義賊として、これは見過ごす事は出来ないね」
「ええ……それにこれはイーゼラー教布教のチャンス。信徒(予定)のヒイラギさんを何としても活かさなければ!」
「え……あ、まぁ……そうだね……ははは」
 ツルギの言葉に苦笑するじぇい君。
 勿論、こんな事件……昔から起きていたなんて事は無い。
 つい先日に行われたアップデートにより、大きく事態は動いた。
 ただその結果として、イレギュラーズ達はこの世界の『特務高等警察』のロールが与えられたのだ。
「んー……今回の大型アップデート、なかなか不可思議な要素が多いにゃねぇ」
「……アップデートで此処まで状況が変わるなんて事は予想外だった。自分以上にこの世界に関わっている人間、此処に住まう人間には、それ以上の衝撃だろう……」
「そうねぇ……なんだか物騒な事になっているみたいで、穏やかじゃありませんねぇ……」
「そうにゃね。この侵略度とか言うのも、現実にどういった影響を出てくるかまだまだわからないけれど、ほっといたら碌でもない事になるのは確かだろうにゃー」
「ええ。その中でも、多少でも出来る事があるンだったら……『--音声認識正常』。高天京特務高等警察、出動します」
 『碧音の金糸雀』ECHO(p3x009308)、『月将』ハンモちゃん(p3x008917)、そして『にゃーん』ネコモ(p3x008783)らが各々言葉を紡いでいくと、それに『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)も。
「神様の気紛れだか、気が触れたのかは知りませんが、見過ごす事が出来ません。それに疑問を覚えない狂信だって矯正してやりたいですが……今はそれ所じゃありませんねっ」
 ぐっ、と拳を握りしめて気合いを入れたカノンに、ハンモちゃんとネコモ、ハルツフィーネも。
「そうねぇ……月下を血で染めようだなんて神様もお戯れになられていますし、ハンモも遊戯に混ぜて頂きましょうか」
「そうにゃねー。とりま悪化を防ぐためにも、任務を頑張るとするかにゃー」
「ええ……色々と気になる事はありますが、まずはヒイラギさんを助けましょう」
 と覚悟を決め、そしてイレギュラーズ達は急ぎ、件の街の裏路地へと急ぐのであった。

●罪喰らう影
 そして、煌びやかな表通りを過ぎ……昔ながらの風景が未だ残る裏路地へ。
 灯りは殆ど照らされて居らず、真っ暗な状態。
「んー……かなり薄暗いなぁ」
 とぼやくじぇい君に、ハルツフィーネは。
「ええ……取りあえず私はこれがありますから大丈夫ですが、皆さんは……灯りとか持ってませんか?」
「勿論、こんな事も有ろうかとランプは持ってきたよ! みんなももし足りなければ、幾つかあるから持ってってね!」
 じぇい君が、バックの中から幾つか明かりを取り出す。
 そんな灯りを灯しつつ、裏路地を左へ、右へとくまなく捜索開始する。
 ……表通りの喧騒が僅かにこちらへ漏れてはくるものの、裏路地自体が立てるのは、静けさのみ。
 しかし……暫くした所で。
『おい、逃げるな! 皆、追え、追えっ!!』
 と、静けさを劈く叫び声。
 その声の方向は、数百メートル先、と言った所だろうか……かなり近いのは間違いない。
「……こっちかな? 皆、急ごう」
 と燻し銀のバックルを握りしめたイズルが、救いを求める声を鋭く感知し、その方向へ皆と共に急行。
 すると、通りの逆側の方から。
『はぁ、はぁ……うわ、ここにもいるのかっ!?』
 と人の姿に驚き、慌てて引き替えそうとする男の姿。
 しかし、その背後からも。
『居たぞ、逃がすな、捕まえろ!!』
 と、大きな声を上げて追い立てる……人の姿をした夜妖達。
 そしてイレギュラーズは、というと……立ち止まっている男性の下へ急行し、彼と追い立てる男の間に立ち塞がる。
 そして、早速カノンとツルギが。
「それ以上は進めさせません。狼藉を反省する時です!」
「ったく、大した事ないな四神ってのは! 一人すらマトモに捕まえられねえのかよ?」
 と相手に対し威勢良く叫び、更にツルギは『月閃』の力を借り、ヒトの姿をした『異形』の姿になり、先程聞いたヒイラギの声色で。
「殺せるもんなら殺してみな。お前らの本性(なかみ)、ブチ撒けてやるよ!」
 と敵を挑発。
 ……その一方で、イズルは背に匿った彼に。
「やあ、こんばんわ。私たちは高天京特m……特高の方から来たものだよ」
 と語りかける。
 ……だが、突然特高なんていわれれば、彼は。
『な、何で俺を!? 俺が何をしたって言うんだよ!? 俺は何もしてねぇ、何もしてねぇって!!』
 と必死に自分が無実である、と訴えかける。
 ……そんな彼の肩をぽん、と優しく叩きながらイズルは更に。
「あなた……ヒイラギさん。詳しい話はあとにしましょう。ここでは巻き込んでしまうから、少し離れようか」
 と彼を促し、その場から離れるように誘導。
 ヒイラギはちょっと怯えた表情を浮かべつつも、イズルの言葉に頷き、共に仲間達の元を離れていく。
 ……その後ろ姿を見送りながら、ネコモが。
「さーて、今回の任務はヒイラギってヒトを助ければいいのにゃねー。先導者ってのをぶっ飛ばせば、とりあえずの安全は確保出来そうだけど……取り巻きが邪魔にゃねー。作戦はどうするにゃ?」
 と小首をかしげると、ECHOが。
「ツルギさんが囮になりつつ、私たちが周りの敵を倒す……でしょうか? ヒイラギさんの保護は、取りあえず出来ましたし、そこに近づかせない様にしないといけませんね」
 と言い、こくこくと頷くネコモ。
「ふむふむ……かしこま! それじゃぁ先ずは取り巻きをボッコボコにすればいいのにゃね! それじゃー、行くのにゃ!」
 そんなネコモの言葉に、敵対する彼らは。
『何だと!? ふざけやがって……全員、殺すのだ! 奴らも叛逆者だ!!』
 と言い放ち、配下の僕達に攻撃命令を下す。
 しかし、そんな敵の動きに対しハンモちゃんが。
「ふふ……なら御相手しましょう!」
 と『月閃』の力を解放し、禍々しいオーラを噴出させる。
『な……っ!?』
 そのオーラに、僅かながら圧倒されてしまう敵軍。
「さぁさぁ、男喰が夜伽の御相手をいたしましょう。さぁ香りに溺れ極楽へ味わって沈んで下さい」
 先陣切っハンモちゃんは、相手を狂気に陥れる香りを放つ。
 その香りに惑わされる者達が数体出現し、仲間討ちを始めていく。
『おい、正気に戻れよ!』
 と叫ぶモノと、それを聞かぬモノ。
 ただ、混乱に陥ったのはほんの僅かなので、大きく戦力が減る事は無い。
 そんな戦列に、更にネコモも力を解放。
「露払いはまかせろー!!」
 威風堂々たる声と共に竜巻猫風脚を敵陣にぶちこみ、敵を薙ぎ払っていくと、それに続く形でツルギは己が防御を強化しつつ、雷鳴の一閃を放ち、更にじぇい君も前線に立ち塞がり、別の集団に怒りを買う一撃を叩き込んで行く。
 一方ハルツフィーネは、クマさんの力をその身に纏いつつ。
「……さぁ、今宵のクマさんは、血に餓えています。耐えられると……思わない事です」
 と言いつつ、背後のクマさんが『がおー!』と咆哮を上げて衝撃波を放つと、連動するようにカノンも。
「戦闘開始……切り拓きます!」
 と黒い靄に身を包んだ力を解放し、己を強化……そして相手の行動を阻害する魔法の一撃を放つ。
 そして、残るECHOは。
「わたしの声が聞こえる限り、終わらせません」
 と矢面に立つじぇい君とツルギを最優先に回復を飛ばして、確実に回復していく。
 そんなイレギュラーズ達の動きに、先導者の男は戦況を観察し判断。
『いいか、左の者達はそこの若いのを殺せ! 右は一旦守勢を取りつつ、混乱に陥っている奴を正義の名の下に殺すのだ!!』
 的確に指示を与え、その指示に従い仲間を殺す事も厭わずに、叛逆者を殺害する。
 ……そんな仲間を殺す事も厭わぬ敵の動きに、ハルツフィーネは。
「……まるで邪神と狂信者のよう、ですね」
 と冷たく一言。
 まぁ……叛逆者の烙印を押し、盲目的にそいつを殺すまで追い立てるというのは、狂信者という名にふさわしい振る舞いだろう。
 しかし彼らにとっては、狂信者であろうとなかろうと、全く関係無い事……ただ、四神の勅命に従い、その指示の元叛逆者を殺すだけの事。
『殺す。叛逆者も、叛逆者をかくまおうとする者も、全て殺すのだ!!』
 そんな敵の狂気を軽く受け流しつつ、手分けして僕達を一匹ずつ、確実に仕留めて行く。
 そして、ヒイラギを保護し、十数分。
「お待たせしました。もう、大丈夫です」
 と、避難誘導させていたイズルが戦列へと復帰する。
「おかえりにゃ。もう、大丈夫にゃ?」
「ええ……かなり興奮していたので、落ちつかせるまで時間がかかりましたが、もう大丈夫です」
 ネコモに頷くイズル……そしてイレギュラーズ達は、更なる攻勢へとシフト。
「さぁて、こっからが『俺』の出番だ!」
 と先に月閃の力を発動為た仲間達と入れ替わる様に、じぇい君が力を発動し、巨大な灰色の人狼の姿へと変貌。
 そして強力な力で立ち向かってくる僕達を一匹、また一匹……と次々と倒し始める。
 20人居た僕達だが、同士討ちも利用し、いつの間にやら残りは3人にまで減る。
 そうなれば、さすがに先導者を守りきる事は最早僕達には出来ない状態で……イレギュラーズ達の矛先は、半数は先導者に向けられる。
「お前にも言い分があるだろう。冥土の土産に聞いてやる!」
 とじぇい君が強い口調で言い放ち、問いただす。
 しかし、やはりと言うべきか……先導者は。
『五月蠅い! 叛逆者を匿う叛逆者は更なる重罪人物だ! お前達を殺し、叛逆者も殺す!!』
 と強い口調で叫び、全く聞く耳を持たない。
 全く聞く耳を持たぬ先導者と、それに従い声を上げ、粛々と反転攻勢を続ける僕達。
 ……そんな敵に、ハルツフィーネが。
「そうですか……なら、仕方ありません。餓えている今宵のクマさんのお食事になって貰いますよ」
 と、彼女も反転した力を纏う。
 ……そして強大な力を伴う、音の一撃と共にクマさんの鋭い爪が、先導者の脇を抉る。
 その一撃に続き、ツルギは。
「よい月ですね、『無能』ども」
 と月閃解けても、敵の挑発は止める事無く……僕達を攻撃。
 僕がまた一人、更に一人……と殺されていき、最早残るは先導者のみ。
『くそっ……この罪深き者達が!!』
 と先導者は唇を噛みしめ、そうイレギュラーズ達に吐き捨てるが……最早大勢は決して居る状態。
「ふふ。相手が有象無象なら戦う事も争うことも必要ありません。ただ蹂躙すればよろしい、でしょう?」
 とハンモちゃんが更なる香りで先導者を惑わし、更にカノンも魔弾をその身体正中へと討ち貫いていく。
 そんなイレギュラーズ達の猛攻と『月閃』の力の前に……妄信者達は、全て死に絶えるのであった。

●罪を晴らす
 そしてイレギュラーズ達は、無事に『ヒイラギ』を救出する。
「ふぅ……どうにか終わった様ねぇ……みんな、お疲れ様」
 と元に戻ったハンモちゃんが、皆を労う。
 そして……倒した21体の他に、叛逆者の後を思う者が居ないか、周囲の気配を探るイレギュラーズ。
「……うん、他に声も無い様ですし……大丈夫だと思います」
 ECHOの言葉に、他の皆も頷く。
 そしてイレギュラーズ達は、避難させていたヒイラギの下へと向かう。
 完全に怯えきっている彼に、先ずはイズルが。
「取りあえず、貴方を叛逆者である、と言っていた者達は全て倒しました……ひとまずは安心して貰っても、大丈夫ですよ」
 と優しく声を掛ける。
『ほ、本当なのかぁ……俺、ほ、本当に何もしてねぇよぉ……』
 頭を抱えている彼。
 そんな彼をケアする為に、カノンや暖かい物を飲ませたり、ECHOが落ちつかせるよう背中をさすってみたり。
 時間を掛けて、少しずつ、少しずつ……彼を落ちつかせていく。
 そして、ある程度彼が落ち着いた所で、じぇい君とハルツフィーネが務めて冷静な口調で。
「ところで、ヒイラギさん。どうして命を狙われたのですか? 何か、心当たりでもあるのでしょうか?」
「そうですね。例えば……四神の何かにラクガキをしたとか、
 と改めて問いかける。
 叛逆者に仕立て上げられたからには、何か理由があっての事だろうと考えるのは、ごく自然な事。
 ……でも、彼は。
『ほ、本当に何もしてねぇって!! 神様を信じて無い事も無いし、手を合わせたりもする! だから、俺が叛逆者だって突然言われて、何なんだって思ったんだって!!』
 訴えかける彼の目は、嘘をついていないだろう……って言っているのは分かる。
 勿論、無意識に罰当たりなことをしたかもしれないけれど……彼が進んで不敬なる事をした事は無いのは、間違いないだろう。
「そうですか……分かりました。では、取りあえずご自宅までお送り致しますよ。大丈夫大丈夫……送るだけですから♪」
 艶っぽい視線を向けるハンモちゃんだが、恐れ戦いている彼はそれに気付く事も無い
 空に瞬く侵食の月は不気味に光るものの……彼を無事に救出したのは間違いないし、これで『侵食度』も少しは改善した事だろう。
 そうイレギュラーズ達は信じつつ、その場を後にするのであった。


成否

成功

MVP

なし

状態異常

じぇい君(p3x001103)[死亡]
オオカミ少年
ハンモちゃん(p3x008917)[死亡]
金枝 繁茂のアバター

あとがき

月没依頼に参加頂き、ありがとうございます!
今回は新たなる力と共に戦うというシナリオでした。
今後どういう感じになっていくかは、正直分かりませんが……きっと皆様の力がこれからも必要になる事でしょう!

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