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シナリオ詳細

<半影食>月宵を待ちて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<半影食>月宵を待ちて
 とうにお盆も過ぎて、間もなく9月と行った時期。
 練達が一区画であるここ、希望ヶ浜はいつもと変わらなぬ日常が繰り広げられている。
 ……しかしながら、そんな日常に静かに忍び寄るのは……怪異の影。
「ふぅ……まだまだ蒸し暑ぃなー……」
「まったくだぜー。まぁ、もー暫く暑い日が続きそうだしなぁ、……ほんっとにだりいわー』
 と愚痴を零すのは、大学生位の学生達。
 コンビニの前にたむろし、買ったビールをグダグダくだを巻きつつも……こうやって友人達と過ごす時間を楽しんで居る。
 ……だが、そんな時間をダラダラ過ごしていても、深夜の時間も過ぎてしまえば、切り上げてそろそろ帰るかー……という話になって。
「んじゃ、そろそろいい時間だし、そろそろ帰るかー」
「だなー。んじゃーまた明日~!」
 そうして手を振り、三々五々それぞれの家への帰路に着く大学生達。
『あー……ダリィなぁ……明日は二限からだから、多少楽だけどよぉ……あの教授のは、めちゃくちゃ眠くなるんだよなー』
 酒を飲んで、ふわふわとした感じになりながら……歩き慣れた道を曲がり、進み、曲がる。
 ……だが、そんな歩き慣れた道を幾つか曲がった所で
「……ん?」
 彼の周りに広がるのは、いつもと違う風景。
 石造りの建物に蒸気が噴出する世界……そんなの、希望ヶ浜で見た事なんて無い。
「あれー……おっかしぃなぁ……ここ、こんな景色だったかー? やべ、飲み過ぎたかもしれねーなぁ……」
 それを飲み過ぎたせいで、幻覚を見ている、と勘違いしちょっと反省する彼。
 ……だが、そんな彼に向けて。
『……グルルゥゥゥ……』
 街中である筈のここで聞こえる筈の無い……何か、獰猛な獣の鳴き声。
『え……?』
 振り返った彼の視界に映ったのは、紅く染まった月と……漆黒の影の群れ。
 その影の群れは、次々と彼を取り囲むように蠢く。
『……う、うわああああ!!』
 周囲を取り囲んできた黒い影は、次々と彼に向けて突撃してくるのであった。


「皆さん。今日も来て頂きありがとうございます……お時間、ありますでしょうか?」
 と、カフェ・ローレットに居る君達に声を掛けてきたのは、音呂木・ひよの。
 彼女の言葉に頷いたり、何何、と頚を傾げてきた君達へ。
「……希望ヶ浜の悪性怪異:夜妖<ヨル>の活動が最近活発化しているのは、周知の所だとは思います。原因としては、今迄無害であった神が、現世に急速的に影響をおよぼしている、という現象からでした」
「更に別世界であるR.O.O『帝都星読キネマ譚 第二幕』が始まると同時に、この希望ヶ浜に『奇妙な月』が隠れるという現象が発生したのです。皆既月食と言えばそれまでですが……ですが、徐々に日が月を喰らうかのような動きは、説明出来ません」
「この『侵食の月』の出現と合わせて、更に希望ヶ浜に出てきて締まった異世界への門は、ここの風景とは全く違う様な風景を作り出し、見せている様なのです。その幻惑の世界に……また、希望ヶ浜に棲まう、極々一般の人が迷い込んで仕舞いました」
「皆さんにはこの一般の人を、一刻も早く救出してきて欲しいのです。恐らく彼は、突然の事に恐怖し……人の言う事等聞く耳を持たないかもしれません。ですが、彼を助けなければ、彼は犠牲になるだけです」
「どうか……皆さんの力で、彼を救い出してきて下さい、御願いします」
 と、ひよのは皆に頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 希望ヶ浜に次々と開く異世界への門……今迄は希望ヶ浜の様な世界でしたが、今回は勝手が違うようです。

●Danger!(狂気)
 当シナリオには『見てはいけないものを見たときに狂気に陥る』可能性が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●侵食度
 当シナリオは成功することで希望ヶ浜及び神光の共通パラメーターである『侵食度』の進行を遅らせることが出来ます。

●成功条件
 希望ヶ浜の大学生『サカグチ・アユム』を救出する事です

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 今回舞台となるのは、希望ヶ浜とは似ても似つかぬスチームパンク風な世界です。
 石畳に石で出来た建物が周囲に並んでいます。
 当然、被害者である大学生はそんな風景を見た事もありません。
 それに加えて、結構酒を飲んでしまっており……前後不覚な状態になった上で、夜妖に突然襲撃されて混乱の極みに陥っています。
 彼に声を掛けたとしても、恐らく全く聞かない状態なので、ある程度力尽くで対応する必要が有るでしょう

●討伐目標
・命を狩りし『影鷲』 x 6匹
  その身体が全部漆黒に包まれており、宵闇の中においては、その姿形がかなり見辛い状態の敵です。
  武器となるのは、その鋭い鷲爪です。
  切れ味鋭く、その一閃はかなり高い攻撃力を持ち、影のような姿であり、攻撃を躱す能力に長けています。
  ただ、体力はそこまで高くありません。

・不定形なる存在『闇液』x4匹
  完全に不定形な存在である、いわばスライムの様な姿の者達です。
  彼らは飛ぶことはありませんが、闇に紛れて足元に接近……そして突然足元に纏わり付いて、皆様の脚を拘束して動きを制限してきます。
  また体力もかなり高く、不定型な存在故に攻撃を受けても受け流しして、ダメージをある程度軽減する、という力を持っています。
  その不定型な姿形をある程度固めるような行動を行えば、受け流しの能力を制限する事が出来るかも知れません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <半影食>月宵を待ちて完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月11日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
フォークロワ=バロン(p3p008405)
嘘に誠に
糸色 月夜(p3p009451)
郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼
白妙姫(p3p009627)
慈鬼
山本 雄斗(p3p009723)
命を抱いて
黒田 清彦(p3p010097)
漆黒の妖怪斬り

リプレイ

●ぎた後
 お盆も過ぎた、9月。
 練達の一区画、希望ヶ浜地域は常日頃と変わらない、いつもと変わらぬ日常が繰り広げられている。
 ……そんないつもと変わらぬ日常を過ごす希望ヶ浜の人々。
 コンビニにたむろして酒を飲んで、帰って……と、ダラダラした日を過ごしている大学生達やら、仕事終わりに食べ物を買って帰る人達やら……様々な人の生活を支えている。
 しかし。
「ったく……うるせェ、うるせェぞ。希望ヶ浜で、俺の庭でナニやってンだ!」
 と『まくなぎ』糸色 月夜(p3p009451)が息巻く様に、極々普通の生活を過ごす希望ヶ浜の人々を最近蝕む、奇妙なる事件。
 別世界であるR.O.Oのアップデートと共に、この希望ヶ浜に現れた奇妙な月『侵食の月』が出現。
 そして今迄のような、現実世界が崩れたような光景から、全く違う異世界の光景へと迷い込んでしまう……という話。
「ったく、R.O.Oだか、神だか、真性怪異だか知らねェけどよ、喧嘩売ってくる神なら容赦しないがよ」
 と溜息をつく月夜に、『嘘に誠に』フォークロワ=バロン(p3p008405)と『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は。
「現実と仮想世界が関係した事件の数々、人と神の均衡が崩れた故の異変、と言ったところですが……早めに手を打たねば手遅れになりそうですね……」
「そうだね。現実世界への侵食とは、また厄介なことになっているね……」
 と、二人の言葉に『慈鬼』白妙姫(p3p009627)と『ヒーロー志望』山本 雄斗(p3p009723)も。
「異界騒ぎとでも言うべきか、何やらこういう事件が増えてきておるな」
「そうだねー。もうすぐ夏も終わるんだから、怪談はそろそろ自重するべきじゃないかと思うんだけど。そう言えば、今迄も幾つかの異界に行ったけど、あんまり世界そのものは統一性が無いんだよね? 実は建国さん以外に異界を作っていたりするのかな?」
「そうじゃな。今回は恐ろしさというよりは、異彩な世界、という風じゃの? 正しく異界転生じゃ」
 そこに『ハイテンションガール』郷田 京(p3p009529)が。
「異世界転生……まーた異世界迷子なのね。なんだか最近多くない? 迷い込む人。誘われちゃうのかな~、こういうのって?」
 と小首をかしげると、それに『赤い頭巾の悪食狼』Я・E・D(p3p009532)は。
「そうだね……何故かこういう世界に不思議に誘われてしまう人って、意外に多いらしい。自分では意識してなくても、無意識に誘われて仕舞うとか……」
「そうかー。なんだかホラー映画みたいだけど、本人にとっちゃそのものよね? ま、酒を飲み過ぎて彼自身はそんな事意識してはないだろうけど」
 ……と、そんな会話をしていた所へ月夜が。
「ったく、大学生を助けろ、だ? 自分の命くらい、自分で守れない奴は嫌いだが……交通事故みてェなもんだろ、今回の事件は。酔っ払ってようがシラフだが、巻き込まれたのなら仕方ねえ、救ってやる。別にひよのに頼まれたからやンじゃねェからな、チッッ!」
 裏に過る思いはさもありなん。
 まぁ、依頼に掛ける思いは色々あれど……彼を助けたい、その思いは違い無い。
「しかし彼が異世界に飲み込まれれば、それがまた噂となって侵食が進んで新たな異世界が作り出されてしまいますね……」
「そうだな。大元の解決も大事だが、今は囚われた大学生を助け出さねば。これでも今は希望ヶ浜の教師だからね、教え子を守るのは当然だろう?」
「うんうん。うだうだ言ってても仕方ないし、サクッと助けちゃおう!」
 フォークロア、ゼフィラ、雄斗が気合いを入れる中、『漆黒の妖怪斬り』黒田 清彦(p3p010097)は。
「そうだな……ああ、誰も死なさねえよ。その為に、俺達はやってきたんだ。だから、絶対に死なさねえ」
 一際強い、人を助けたい……という気持ち。
 酒を飲んで前後不覚になってしまったというのもあるだろう……でも、だから死んで言い、なんて訳は無い。
「良し。んじゃー皆も準備いいよな? それじゃー行くぜー!」
 と京は拳をボキボキと鳴らしながら、彼が迷い込んだ所へと急ぐのであった。

●異世界迷う
 そしてイレギュラーズ達も足を踏み入れる異世界。
 希望ヶ浜とは様変わりし、まるで鉄帝の街角の風景のような、そんな気さえしてくる。
 でも、確かに今さっきまで歩いていたのは希望ヶ浜のいつもの風景……それが、瞬く間に様変わりしてしまうという実体験。
「さて、と……どこだ? 迷い込んだ大学生とやらはよぉ?」
 周りをぐるりと見渡す月夜だが、視界内にアー取りあえず、人の姿は無い。
 しかし……空に煌めく月の紅い灯りは、不思議な焦燥感を与えてくるもの。
「さて、夜妖よりも先に、かの大学生を見つけたいものじゃが……どうじゃ?」
「そうだね。うーん……こっち、かな?」
 白妙姫の言葉に、ある方向を指指す雄斗……ほんの僅かではあるが、人の救いを求める様な気配を感じ取った。
「了解……それじゃ行くか。皆、遅れるなよ」
 とゼフィラは仲間達にそう声を掛け、イレギュラーズ達はその方向へ。
 そして暫し歩を進めると。
『う、うわあああ!! な、なんだお前達は、来るな、来るなぁああ!!』
 聞こえてきたのは、悲痛な男の叫び。
 その声に鋭く反応し、行く先をその声の方向へと切り替えると……向かい側の方から必死な表情で走ってくる男。
「おい、こっちだ!」
 と大声を発する月夜。
 それに藁をも縋る思いでやって来る彼……そして彼を抱き留めるように受け止めるゼフィラ。
「大丈夫かい?」
 ニッ、と笑い掛けながら声を掛けるが、彼は。
『な、何なんだよぉ!! 突然こんな所に迷い込んで、意味が分からねえよぉ!!』
 涙目で訴えかける彼と……その後ろから、闇の影を抱いた者達が、彼を標的にしようと襲い掛かってくる。
『うわあああ、ま、もっと来たぁああ!!』
 狼狽した彼が叫び、それに月夜が。
「うるせェ、黙れ! 今すぐ酒臭ェ口閉じて寝てろ!」
 と決して優しい言葉を掛ける事無く、拳一発殴り、無力化……と言うよりかは、気絶させる。
「ごめんね? でも貴方はここに居たことも忘れた方が良いと思う。だから……ちょっとだけ、眠っていてね」
『……ぅ……』
 薄れ行く意識に、Я・E・Dが投げかける言葉。
 そして、その場に倒れこんだ彼を京が取りあえず自分達の後ろに放り投げ、一先ずの安全確保。
 対し、追いかけてきた夜妖達は次々とイレギュラーズ達に対峙し、奇っ怪な鳴き声を上げて威嚇する。
 その鳴き声は明らかに鳥のようなものではなく、心を奮い上がらせる様な呻き声。
「さぁ、開幕は派手に行きましょうか! It's show time!」
 そこに早速、フォークロワがアシカールパンツァーをどかん、とぶっ放し、その場を眩い光と、轟音に包みこませる。
 ……不意打ち気味に放たれたその一撃に夜妖達は眩しそうに、一旦回避行動を取る。
 勿論それを直視して仕舞えば、イレギュラーズ達も無事には居られなかった所だろう……だが、事前に打ち合わせていたので、何とか目眩ましされずに対処する。
 そして夜妖達が怯んでいる間に、先陣を切るイレギュラーズ達が夜妖に接近。
 取りあえず、姿が具体化している影鷲たちをターゲットに定めつつ。
「ま、暗くたって音葉響くわよね。目で見るだけが能じゃないって事よ!」
 と京は敵を大勢巻き込む勢いで、開幕一閃、空高く飛び上がり、落下と共に地面に向けて放つ踵落とし。
 その一閃着地と共に、脚に纏いし火炎が全方位に巻き起こる。
 勿論その一撃は、空を飛ぶ闇鷲達には、余り効果は無い。
 だが、真なる狙いは地面に隠れている筈の、液状の敵である闇液を炙り出すこと。
「燃やしちまえば不定形なんて言ってらんないでしょー、あっはっはー!!」」
 そんな京の一撃により、僅かではあるが周りとは違う蠢きをした所を確認する事が出来る。
「……ここの辺りに闇液が居る様だな。では、闇液の足止めは任せて貰うぞ」
 と清彦が不定形なる闇液と思しき場所へと飛びかかる。
 軽く張り付くような足元……うぞぞぞぞ、と足先から足首、そして踝へと侵食しようと這いずり上がってくる。
 だが、それに決して動じる事無く。
「俺ぁ、まだこの世界には不慣れだからよ、前のように一刀両断と言うわけにはいかねえ。ただ、そんな俺でも『誰かを救う』ことは出来ると信じてるのさ」
 そう告げると共に、地面に向けて牽制攻撃を仕掛けて、敵を牽制する。
 今回の相手となるのは、姿形のはっきりしている闇鷲と、姿形の視認し辛い闇液の2種。
 勿論戦い方も大きく違うもの……だからイレギュラーズとして取った選択は。
「先ずは影鷲をさっさと仕留めて行きましょう。それまで清彦さん、宜しく頼みますね」
「ああ……分かった!」
 フォークロワの言葉に強く頷く清彦。
 清彦が影鷲の下に配する事で、闇液達を出来うる限り惹きつけている間に、影鷲を仕留める作戦。
「さて、身体を張るのは得意ではないが、『サカグチ』君を守る為だ、仕方あるまい」
 とゼフィラは言いつつ、先の刻でダメージを受けた清彦を回復しつつ、敵の動きを仲間達に報告。
 その言葉を聞きつつ、Я・E・Dが敵味方を判断する傀儡の糸で影鷲たちを絡め取る。
 流石に数匹は、その攻撃を上手く躱していくが、躱した敵を瞬時に見定めて京が単体を狙う蹴り技で確りとダメージを叩き込む。
 そ更に白妙姫の変幻せし邪剣が敵の翼を切り刻み、雄斗も集中した気を放つ一撃で、確実に攻撃。
 そして月夜は、己が血飛沫を刃に変える一撃で敵を切り刻み、フォークロワも魔光で攻撃。
 影鷲は六匹、対しヒーラーとして動くゼフィラと、闇液に対応する清彦を除けば、イレギュラーズ達も六人……ほぼ一対一で敵に応対する事になる。
 ターゲットに収まらない闇鷹がいない事も在り、ヒットアンドアウェイの不意打ちを仕掛ける事は出来ず……更に体力もそこまで高く無い彼らは、数刻の内に飛ぶ力を失い、地面へ落下し……そのまま息絶え、影のままに消えていく。
 そして六匹の影鷲たちを倒したイレギュラーズ達は、漆黒の闇では見辛い闇液の対処へ。
 清彦が立ち回るものの、四匹全てがいるのかどうかは分からない。
「不定型な存在……これはいかなる物の怪か、名状しがたいのぅ」
 と白妙姫が息を吐く。
 不定型故に、攻撃をしても、聞いているのは不確かな状態。
「うーん……一応水分で出来た存在だし、たぶんこれで固まってくれるんじゃないかなぁ、たぶん」
 とЯ・E・Dが足元にばらまいたのは、油を固める粉。
 ……ほんの僅かではあるが、足元の感触が少し硬くなった様な気もするが、気のせいかも知れない。
「本当、鬱陶しい奴らだなぁ……ま、それなら纏めて叩くしか無いけど」
 と雄斗の言葉にフォークロワが頷いて。
「そうですね。大学生の彼が目を覚ますまでには決着をつけないといけませんし、纏めて仕掛けていきましょう」
 と頷きつつ、イレギュラーズ達の攻撃開始。
 足元の地面に対して刀を突き立て、炎で燃やしつくし、そして銃弾で蜂の巣にする。
 ……手応えは無いが、視認出来る範囲に満遍なく攻撃を仕掛けつつ、地面の蠢き方を観察。
 盛り上がったり、隙間を空けるような動きを見せたところを発見すれば、その場所に向けて粉を撒いて僅かであっても凝固させる。
 そこに単体攻撃を仕掛ける事で……確実に一匹ずつを仕留めて行く。
 そして……。
さぁ、ではそろそろ終わりにするとするかのう? 覚悟するのじゃ」
 と白妙姫の宣告と共に放たれる、魔性の一閃。
 僅かに凝固していた身に渾身の一撃でその身を打ち砕くと共に、続く雄斗の気を込めた砲弾が直撃。
 固化した所から皹が入り、それが不定形の身を分断。
 ……そして。
「んじゃ、これでトドメだっ!!」
 と京の炎の襲撃が地面に決まり、地面を灼き尽くす炎が、全ての液体を干上がらせるのであった。

●夢のうつつ
 そして……。
「やっと終わったか……ったく、手間掛けさせやがって」
 と辛辣に言葉を吐き捨てる月夜。
 ……そして自分達の背後には、気絶させた状態で転がされている、かの大学生の姿。
 単に気絶させているだけだし、命には別状は無いだろうが……その記憶に深く刻み込まれたのは、恐らく……恐怖の体験。
「取りあえず……このまま戻したら、後々に不味い事になりそうだね……なら、仕方ないか……」
 とЯ・E・Dは言いつつ、彼の所へ。
 彼の容態を観察しつつ、目を覚ますのを待つ。
 その一方で月夜は。
「んじゃ、そいつの様子見は任せたぜ?」
「……ん、おめぇは?」
「俺はな、ちょっとヤル事があんでな。じゃあな」
 清彦にそう言い残し、仲間達から離れる月夜。
 夜妖達が現れた方角へと向かい……その周囲をくまなく捜索。
「……まさか鳥とスライムだけが出て来るなんて事はねーだろうしな。ほら、異形の神か、もののけか。そろそろ出て来い、手っ取り早く!」
 と怒号を含みながら言い放つ。
 ……ただ、その言葉に何か反応を返すような事も無くて、しびれを切らした月夜が更に。
「おい、焦らすのが好きなようだが、限界だ。後何人のパンピーの命と安寧を脅かす? 希望ヶ浜に手ェ出すな。喧嘩売るなら神でも買うぞ!!」
 更に強い口調で叫ぶ月夜。
 でも、やはり……その言葉に応える者はおらず、成果は無い。
 そんな月夜の挑発の一方で、気絶していた彼を見守り続けていた他の仲間達。
「……ぅ……ん……?」
 ぼんやりと目を開き、軽く身体を起き上がらせる彼。
 飲み過ぎてしまったな……と言った感触を覚え、軽い頭痛を感じている彼。
 ……そんな彼が目を覚ました所に、早速Я・E・Dが。
「……起きた早々で悪いけど……悪い夢はこれで終わりだよ。起きたら、きっとまた平和な日々が戻るから」
 と言いながらЯ・E・Dは彼へ催眠を掛ける。
『え……? ……ぅ……すぅ……』
 良く分からない、という間に……再び眠りへと落ちる彼。
 ……そして眠りこけた彼を背負う清彦。
「良し。後はこの世界からの脱出だな」
「ああ。確か……あっちだったか? ま、あんまりここに長いして居たくもねえし、さっさと出ようぜ!」
「そうだな。現世で目を覚ませば、酒の飲み過ぎで少し寝た位に思ってくれる筈だね」
 と、イレギュラーズ達は、迷い込んだ彼と共に、異世界を後にする。
 そして現世に戻り……希望ヶ浜の人気の無い街角で彼を降ろし、彼から視認出来ない距離まで離れて、暫し待機。
 ……再び目を覚ました彼は、暫くきょろきょろと周囲を見渡した後、小首を傾げつつ立ち上がり……その場を後にする。
 どうやら、先ほど迄の経験は夢だったのだろう……と思ってくれた事とだろう。
「うむ。取りあえずは一件落着じゃろうか?」
「そうですね……では、私たちも戻りましょうか」
 白妙姫にフォークロワが頷き……そしてイレギュラーズ達もその場を後にするのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

新たなる夜妖対峙にご参加頂きまして、ありがとうございました!
R.O.Oと希望ヶ浜の怪異、これからどうリンクしていうかはまだまだ分からない部分も多いですが、皆様の手で少しずつ解き明かされていく事でしょう……。
是非とも皆様の力を、これからも発揮していって下さいね……!

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