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シナリオ詳細

球体砂時計と過去旅行

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●過去を見せる球体砂時計
 ――――――――ここは無数のガラス玉が置かれた部屋、否、『時間硝子の国』。
 キラキラときらめくさまざまな色の、そして球体型のガラス玉が棚に陳列され、キャビネットに飾られ、天井から吊るされ、部屋、否、国に妖しい光を照らしていた。

「クスクスクス……混沌世界のイレギュラーズ……なるほど、なかなか壮絶な過去を持った者たちがいるようだね」
 ガラス玉を手に取り笑うのは、深緑のタキシードを着た齢10歳に”見える”少年だ。

「会いたい人がいる者……やり直したい過去がある者……過去に留まりたい者……そうそう、そんな君たちにボクは”幸せな時間”を届けてあげたいんだ。クスクスクス……」
 そう笑いながら、少年が手に持つ球体のガラスの中には、サラサラと砂が流れる砂時計の仕組みがほどこされているようだ。
 砂時計の砂はまるで小さく透き通る宝石のようであり、透き通った異国の海の水のようでもあって、流れるたびに少年の蒼い瞳に光を照り返す。

「さあ、おいで、過去に”救い”を求める者たちよ。ボクが君たちに最高の”夢”を見せてあげるよ。安らかで、楽しくて、あたたかで、人によっては残酷な『過去旅行』をプレゼントしよう。魅せておくれ、君たちの旅路の景色を————――――」

●過去旅行
「お待ちしておりました。本日皆さまにご案内するご依頼は”時間硝子の国”におけるある現象を検証していただくことです。」
 スーツ姿の境界案内人は「そんなに身構える必要のない依頼ですのでご安心を」と言いながら、境界図書館内でイレギュラーズ達に紅茶を振る舞う。

「時間硝子の国はガラス細工文化が盛んな国なのですが、その中に魔法とガラス細工を併用して”タイムトラベル”を実現したガラス細工職人がいるのです。彼の名はティオ、外見年齢は10歳程度に見えますが実際の年齢は不明。このティオという……少年ということにしておきましょうか。この少年が造り出した”球体砂時計”という、球体のガラスの中に砂時計がほどこされたガラス細工をひっくり返すと、それをひっくり返した者が『戻りたいと願った過去』のビジョンをVR世界のように体感することが可能になると言われているのです。」

エメラルドナイトによれば、ティオは球体砂時計にはまったくの危険性が無く、一定の時間が過ぎれば自動的に現在の時間軸へ帰還するためなんの問題も無いと言われているが、本当に危険性が無いと言い切れないことには商品化ができないため、イレギュラーズ達に過去を旅して球体砂時計に危険性が無いことを証明して欲しいのだと言う。

「こんな人体実験のような依頼をお頼みするのは気が引けるのですが、数々の修羅場をくぐってきたイレギュラーズ達にこそ、あえて危険な依頼は頼みたいということで……私の見解では、ティオの言っていることには信憑性はあると思われます。ただ……」

 境界案内人は、スッとイレギュラーズ達を見渡してからこう言った。

「行きたい過去へ行ける過去旅行は一見魅力的に感じますが、必ずしも喜びや楽しさを感じられるとは限りません。人によっては悲しみを感じることもあるかもしれないのです。その点は留意しておいてください」

 球体砂時計で過去に戻れる時間はおよそ3時間、それを越えると自動的に旅行を始めた時間軸に送還されると言う。

「皆さまの過去旅行が安寧な旅であるよう祈っております。それでは、いってらっしゃいませ」

NMコメント

●ご挨拶
 こんにちは、来栖彰です。
 今回皆さまにお願いしたいのは『球体砂時計による過去旅行の実験』です。
 こちら特に「やり直したい過去がある」「過去に執着がある」「もう会えない会いたい人がいる」イレギュラーズの皆さまにおすすめとなっております。
 楽しい旅になるのか、悲しい過去になるのか、すべてはプレイング次第となります。
 是非お楽しみください。

●舞台
 ガラス細工の文化が盛んな『時間硝子の国』となります。
 イレギュラーズ達はこの国のティオという職人の作業場兼ギャラリーに行って過去旅行に臨みます。

●目的
 ・球体砂時計で過去旅行をすることに問題は無いかの実験(はっきり言って無い)
 ・やり直したい過去をシミュレーションしたり、今は会えない人に会いに行ったり、過去に遊びに行ったりする

●ティオについて
 ・球体砂時計を造ったガラス職人兼魔法使いです
 ・皆さまの過去には特に干渉しませんが、観察はしてる様子……?

●特殊ルール
 ・無し
 ・過去旅行はあくまで過去のシミュレーションなのでなんでもアリです

●プレイングについて
 イレギュラーズが行きたい過去と、その情景、出来事、登場人物やその特徴、そして何より重要な『イレギュラーズの過去への心情』をご記載ください。
 抽象的な表現での執筆となると思います。

 ・プレイング例
「もう今は会えない、マイケルとのデートの日をやり直したい。あの日、私たちは喧嘩になってしまった。せっかくマイケルは海が見渡せるステキなレストランを用意してくれていたのに、それを知らなかった私はつまらないことで怒って帰ってしまったの。マイケルが言った『ちょっと太った?』なんて言葉に怒ったりしないで、ロマンチックなデートをやり直したいの……まさかあんなことになるなんて、会えなくなるなんて、思わなかったから……」

  • 球体砂時計と過去旅行完了
  • NM名来栖彰
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年09月03日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
エーミール・アーベントロート(p3p009344)
夕焼けに立つヒト
緋翠 アルク(p3p009647)
知識が使えない元錬金術師
アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)
茨の棘

リプレイ

●悪魔の救済
「これをひっくり返すのね?」
 『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)は、薄緑色のガラス玉を手に取りひっくり返す。
 その瞬間、視界が回り思考が闇でふさがれた。

 ルーキスが目を開くと、見覚えのある景色が広がっていた。
「ここは……時間が戻ったみたいね」
 
美しい銀髪の半魔は、繁華街の建物の屋根に登って目的の人物を探し始める。

「……いた」
 彼女の見つめる先には、かつての友の恋人である男。この男、恋人とは名ばかりで、この後友人を教会へ呼び出してプロポーズし、大金を騙し取る非道な結婚詐欺師なのだ。

「教会に入る前にカタをつけなきゃね。ふふふ、私の大切な友達に手を出すのがいけないのよ」

 男はショーウィンドウを鏡代わりに髪を整え教会へ向かおうとする。が、そこを離れようとした瞬間、男が動く前に光が消えた。
「!? なんだ?」
「ふふ、気を付けてね」
「!?」
 耳元で突然女性の声が聞こえ身じろぐ。
 その瞬間、パッと目の前に灯りが取り戻される。
「……気のせいか? 疲れてんのかな」

(気のせいじゃないのよ? 無事教会に辿り着けるかしら)

 男が教会へ続くレンガ造りの道を歩き続けると、バッと突然目の前に真っ黒な柱が現れた。
「!? あっぶねえな…… こんなところに柱なんてあったか? ったく」
 男が柱を避けた瞬間―― ガツンッ!と鈍い音がして、頭部に強烈な痛みが走る。
「いってえ! ……!? なっなんだこれ……」
 男の目の前には、さっき避けたはずの黒い柱がまた立ちはだかっていた。どうやら柱に頭をぶつけたようだ。
「ない、さっきの場所には柱が…… なんでこんなところに……」
「気を付けてって言ったでしょう?」
「な、なんなんだよ! 誰だよ! 出て来いよ!」

 男が叫んだ瞬間、突如目の前に美しい半魔の美女の顔が現れる。

「気を付けてって何度も言ったじゃない。あの子に会いに行くんでしょ? 相応の覚悟はできているんだよね?」
「ヒッ!」

 ルーキスの声を聞いて震えあがった男は、走って逃げ出した。

 その1時間後、友人から「デートをドタキャンされた挙句、別れ話が始まった」とヤケ酒に付き合わされ、男が諦めたことを確認する。
 はいはいと友人の愚痴を聞きつつ、酔って眠りに入った彼女の魔術論文を覗き込む。
(ほうほう、ナルホド……? ふふ、ゆっくり休んで、今度こそいい男を見付けてね。論文、ご馳走様)

●君―僕―の存在は美しい
「では、行きましょうか」
 『夕焼けに立つヒト』エーミール・アーベントロート(p3p009344)は水色の球体砂時計をひっくり返した。
 視界は闇に包まれ、いったん思考が閉じられる。

 気が付いたら、そこはあの研究者たちがたくさんいる施設だった。
「本当に時間が戻ったようですね…… ああ、忌々しい連中の顔を思い出してしまった」

 その施設には同じ顔をした幼い少年たちもたくさんいた。
 その中で、エーミールは一人の人物を見付けようとする。
「さて、過去の私はどこにいたのだったか…… おや?」

 ふと右方向を向くと、壁に向かって油性ペンで落書きをしている幼いエーミールがいた。時間旅行では、望んだ者は同時空に同一人物が存在することも可能なのだ。
 幼いエーミールはまだ瞳孔の色が白くはなく、透き通った空のように美しい青を秘めた瞳をしていた。

「ふふ、昔の私は可愛らしいですね」
 その声を聞いて、まだ5歳のエーミールが大人になった自身を発見し、少しだけ驚いた様子を見せる。
 が、すぐに落書きの作業へ戻る。
(こういうところありましたね…… さて、私がやることはただひとつ)

「油性ペンを使って落書きしてるのですか!? 偉いですね~! あのど畜生共のアホ面が思い浮かびます! 天才的発想に脱帽です!」
「……?」
 幼いエーミールは突然褒められたことに対して不思議に思っている様子だったが「まあね」と一言返すと、また落書きの作業へ戻る。

「うん! その返事も素晴らしい! 君は声が美しいのですね。まるでカナリア…… いや、人魚の歌声のようだ」
「……人魚見たことあるの?」
「世界には、君が知らない生き物がたっくさんいるんですよ。そのことに興味を示せるとは、さすが3055番…… いや、さすがエーミール! 君は大人になったら、大きな冒険の旅に出ることでしょう。その聡明さ、その強さ、その美しい心…… 忘れないで、ずっと持ち続けてくださいね」
「……美しくなんかないよ。コピーだから。すぐ死ぬかもしれないし」
「そんなことはありません! コピーでも、否、コピーだからこそ君は美しいのです。君は思ってるより長生きしますよ。私が保証します」

「……おかしなことを言う」
 そう言う幼いエーミールの表情には、どこか先ほどとは違う色が付いているようだった。

「おかしくなんかない。君は、生き続けなければならない」

 エーミールはタイムリミットまで、幼い自分のそばを離れなかった。

●ありがとうを伝えに
「これが球体砂時計…… よし」
 『知識が使えない元錬金術師』緋翠 アルク(p3p009647)は紫色のガラス玉をひっくり返した。
 瞬間、スッと脳が思考をやめ、目の前が光で見えなくなる。

 目の前にほどよい影が取り戻されたとき、アルクの視界にはあの森が映っていた。
「ああ、あのときのままだ。この森、この家、懐かしい…… 間違いない、転移前に暮らしていたあの森の中だ」
 かつて師匠や兄弟子とすごした家の周りを歩き回ってみると、”彼”が井戸で水を汲んでいるのを見付けた。

「!! 師匠……」
「ん? アルクか? もう帰って来たのか。買い出しはどうした?」
(ああ、あのときのままだ)
 懐かしさに少し涙腺が緩むのを感じたが、気合を入れてそれを止める。

「うん……? お前、ちょっと買い物に行ってる間に少したくましくなったか?」
「……ええ、強くなりましたよ。」
「どうかしたのか……? ……お前、本当にアルクか? いや、間違いないはずだが…… この違和感はなんだ?」
「師匠、俺の話を聞いていただきたいのです」

――――

「なるほど、お前は間違いなく未来から来た、私が知る以上に強くなったアルクのようだ。……そうか、私が死んだ後、そんなことが……」
「突然、突拍子もないことを言い出してしまい……」
「ああ、なに、気にするな。錬金術に次元干渉が存在する世界で生きているんだ。不思議には思わないさ。それよりも、異世界ではちゃんと生活できているのか?」
「……お陰様で。今日は師匠に礼を言うために来たのです。あなたの教えのおかげで、俺は異世界での生活を乗り越えることができている。師匠の教えが今の俺を生かしてくれていると、伝えたかったのです」
「兄弟子のことを私になんとかして欲しい……というわけではなさそうだと感じたが、そうか。わざわざ礼を言いに来てくれたのか」
 アルクの師は嬉しそうに顔をほころばせ、またもアルクの涙腺が緩む。
「師匠、あと2時間ほど、ここにいてもいいですか? たくさんお話がしたいのです」
「ああ、何でも聞いて行くがいい。違う世界の錬金術についても、教えてやれることがあるかもしれん。話を聞かせておくれ」

「……っと、アルク、お疲れさん」
「!」
 師匠に異世界の錬金術について教授を受けていたところ、現れたのは兄弟子だった。

「? なんだよ」
「そろそろ時間だ。俺は今の俺がいるべき世界へ戻る」
「は? 何言ってんだ?」

「お前には言いたいことが山ほどある。だが、今はこれだけ言って潔く去ろう。お前のおかげで、俺は必ず強くなる。必ずだ」
「へ?」

「俺はお前を、絶対に許さない」

 元の次元に戻るため、世界が暗転する。
 「遠吠えのようだな……しかし、少しだけ心が晴れた気がする」

●幸せだよ
「これで、過去に戻れる」
 『鏡の中』アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)は、薄紅色のガラス玉をひっくり返す。
 途端、視界は塞がれるように暗くなり、思考が分散されるような感覚に襲われる。

 思考が纏まり出し目を開くと、かつて父と母、そして姉と共に過ごしたあの家の食卓にいた。
(すごい、本当に過去へ戻って来たんだ……)

 アレンの横には姉のリリアが座っていた。
「ああ、姉さん……」
(少し若い…… あの頃のままだ)
 リリアは母が作ったスープを美味しそうに飲み干していた。
「姉さん、それ美味しい? このバケットを漬けて食べるともっと美味しいと思うよ」

「……」
 リリアにバケットを差し出すアレンをチラッと見て、母はため息をつく。
「母さん?」
「……はあ、何でもないわ」

割り込むように、父が口を挟んでくる。
「アレン、母さんちょっと疲れてるみたいだ。気にしないでくれ」
「大丈夫?」

『心配ね。あまり疲れが取れないようなら、病院へ行った方がいいかもしれない』
「姉さんの言う通りだよ。顔色もよくないし、早めに医者に診てもらったらどうかな?」

 リリアと会話をするアレンを見て、なぜか母はポロポロと涙をこぼし始めた。
「ええ、そうね……」
「母さん、そんなに辛いなら我慢しちゃダメだよ?」

 アレンは本当は、父と母に言いたいことが山ほどあった。
 姉のことを構ってくれ。
 姉に優しくしてやってくれ。
 姉の分のご飯も作ってくれ。

 でも、どうやら今はそれを言っていいときではなさそうだ。
 それに、そんなことを言いに過去へ戻って来たわけじゃない。

「父さん、母さん、あのね」
 意を決して話をしようとするアレンに、両親は警戒心を覚える。
「今度は何?」
「僕ね、未来から来たんだよ。二人に言いたいことがあるから」

またも両親は、大きな溜息をつく。
「僕ね、今でも姉さんと二人一緒に暮らしてるんだ。僕、とっても幸せだよ」
 両親は、アレンをじっと見て「そうか、よかったね」と言うだけにとどめた。

「さあ、ご飯を食べ終わったら、過去の姉さんとの話を楽しもうかな」

成否

成功

状態異常

なし

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