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シナリオ詳細

大地を泳ぐ魚

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●さかな? さかなは、えーと、海とか川とか、ふつう水の中を泳ぐよ?
 だと思ったか、ここは幻想。大地を泳ぐ魚だっている。
 問題はその魚が凶暴で危険だってことだ。
『黒猫の』ショウ(p3n000005)は一枚の依頼用紙をピッと差し出した。『カフカの討伐を望む』と大書してある。
「カフカは大地を泳ぐ鮫の一種だ。オカ(陸)のフカがなまってカフカになったらしい。普段は海面……じゃなかった、地面すれすれのところを泳いでいて、羊なんかの存在を感知すると地下深く潜り込み、真下へ回り込んで襲いかかるんだ。一撃で食い殺されることもあるから、牧場主からは特に恐れられている」
 想像してほしい。鮫の背びれが草や石ころなんかの間をつい~っと泳いでいくところを。
「そのうえ、そいつが足元から飛び出して噛み付いてくるわけだな」
「そういうこと」
 あなたの言葉にショウはそう返すと頭をガシガシかいた。
「何せ地下をホームグラウンドにしているもんだからまともに相手ができない。だからまずはやつを地上に引き出すところからやらなきゃならない。だがけっこうなことにやつには弱点がある。それが火だ。実はカフカの皮膚は火に弱くてね。マッチ一本でも火だるまになるくらいさ。さらに燃えている間は泳ぐことができなくなる。当然やつは火を消そうと地面の上を転げ回る。その間に攻撃するのがセオリーだ」
 ただ、と前置きしてショウは続ける。
「火だるまになっているあいだは周りに火が移ることがあるから危ないんだよな。過去に酪農家たちが共同で討伐をもくろんだところ、カフカ一匹のために山火事にまでなったことがある。キミ達が近接攻撃をしても火が燃え移る可能性があるから工夫しておかないと自分も火だるまに、なんてオチが待ってる」
 なかなか厄介なやつなのさ。と、ショウは言った。とはいえ。
「カフカの噛みつきは不意打ちの一種だ。つまり超反射神経の持ち主なら前触れを察知できるってわけさ」
 流れを説明すると、噛み付いてきたカフカの攻撃を避けて地上へ誘い出し、火炎ダメージを与え、火だるまになったカフカをタコ殴りにするのがベター。ということらしい。
「今回、8匹のカフカの集団がある牧場に現れた。羊の被害が多発しているらしい。牧場主が破産する前に助けてやってくれ。ある程度戦えばカフカは逃亡するから、そうだな、5匹は狩っておいてほしい。くれぐれも火事には気をつけて」
 というとショウは、メシ代だとコインを置いて立ち去った。
「そうそう、カフカの背びれは高級食材らしいよ。お土産に持って帰るのもありかも知れないね」
 と、言い添えて。

GMコメント

ようこそこんばんは。みどりです。
B級映画のサメさんは空を飛ぶくらいは余裕なようです。地面を泳ぐやつも多分居ます。

>詳細
カフカ 鮫の一種 体長は3mほどで大地を泳ぐ 反応と物理攻撃力および回避が高い
 移動 機動力+3 回避+10 背びれが見えています
 潜航 地面深くに潜り、密かに標的の足元へ移動します 主行動
 噛みつき 地上の獲物へ向かって飛び出し、噛みつきます(至近【乱れ】【出血】)
 暴れまわり 火のついた体で暴れまわります 火が消えると移動または潜航に戻ります(近接【火炎】)
 逃亡 HPが三分の一を切ると逃亡します 機動力+5

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 大地を泳ぐ魚完了
  • GM名赤白みどり
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年07月05日 21時40分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (10人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童
シエラ・バレスティ(p3p000604)
DexM001型 7810番機 SpiegelⅡ(p3p001649)
シュピーゲル
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
翼片の残滓
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
Briga=Crocuta(p3p002861)
戦好きのハイエナ
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
ロクスレイ(p3p004875)
特異運命座標

リプレイ


 おひさまぽかぽかいい天気。緑わたる風爽やか。羊の群れは雲のよう。
「どーせならハイキングに来たかったね。うーん……」
『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)が背伸びをする。まだ距離があるのか、カフカの背びれは見れない。待っていればそのうちあの特徴的な背びれが見えてくるはずだ。
「うーん、陸のフカ。オカカ。じゃなくてカフカ。最近どこでもサメを見る気がするよ。夏だもんね。でもビーチでカップルが襲われるんじゃなくて、牧場で羊が襲われるってのはなんか違うよね。狼の仕事だよね、これ。狼仕事しろ」
「そんなこと言ってると本当に来ちまうかもだぜ。俺、乱戦はごめんこうむりたいなあ」
『森の一族』ロクスレイ(p3p004875)が声を上げる。手元には布と松明が散乱している。度数の高い酒を染み込ませているのか鼻にツンと来た。
「それは?」
「ああ、火炎瓶みたいなもんだぜ。カフカは火に弱いって聞いたからこれでも十分使えるんじゃね? ヤー、炎なんて『森の一族』にゃ似合わねーんだけどなー。銃使ってんだから今更だろって? ですよねー」
「確かにマッチ一本で火だるまになるようなやつらしいから、その予想は当たってるだろうね。まあともかく追い払おうね、うん」
「……サメ、空飛ばないよね? 私の安息の地がなくなるのは困る」
 そう言ったのは『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)。エネミーサーチで周囲を探ってみるが、まだ対象は現れていないようだ。もちろん空にも。
「まだカフカは遠くにいるよ。今のうちに準備しちゃおう。ポテト、戦場に適したところ、見つかった?」
「ここからすこし西へいったところに草の生えていない空き地があると緑の精霊が言っている、そこがいいだろう」
 それにしてもと、『慈愛の恩恵』ポテト チップ(p3p000294)はあたりをぐるりと見回した。
「地中を泳いでいきなり出てくるとか、中々厄介だな……羊と牧場を守るためにもここで倒さないとな。5匹は、とのことだが、出来ればすべて倒したいところだ」
「砂の中泳いでようが、サメはサメだろ? いい酒の魚が出来そうだなァ! 肉も美味いらしいし、子供への土産にでもするか、二人共喜びそうだしな。そうと決まれば全力で倒してやろうじゃねェか! かかってこいや肴共ォ!! 一匹残らず喰ってやらァ!!」
 拳を打ち合わせて気勢を上げるのはブルーブラッドの『戦好きのハイエナ』Briga=Crocuta(p3p002861)だ。闘志満々。隠すつもりもない。野生と野生の対決を思わせる気迫だ。
 そしてここにも静かな闘志をみなぎらせる者が居た。『クーゲルシュライヴァー』DexM001型 7810番機 SpiegelⅡ(p3p001649)である。
「自宅警備より出向です。初の実戦となりましょーか。腕が鳴るです」
 一行はポテトの選んだ戦場へ移動し、大地へ杭を打ち込み始めた。
「杭はなるべく深く打ち込んでください。サメさんどのくらいパゥワーがありますかわからないですけど、行く手に杭が刺さっていれば少なくとも表層は泳げませぬ」
 SpiegelⅡの陣地構築の指示に従い、みんなそろってガンガン杭を打ち込んでいく。ある程度形になると彼女は続けた。
「配置は定置網漁を参考にするです。行きはよいよいかえりはこわき。サメが出られぬよう工夫するですよ」
 この工夫が後に大いに役立つのであるが、それはあとの楽しみにとっておいて。体長3mもあるサメを囲い込む作戦はけっこう体力が要った。みんなだんだん口数が少なくなってくる。
「えへへ~高級食材かー。美味さあまって感動100倍……! だよね、きっと! 必ずゲットするよ!」
 ブルーブラッドの『輝きのシリウス・グリーン』シエラ バレスティ(p3p000604) が、自分を奮い立たせるため食欲を闘志に変える。その隣で素朴な疑問を浮かべている『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)。
「焼きサメって美味しいの? 気になるけどきっちり仕事をこなしていこうか。すべてのサメを倒せたらいいね。一匹たりとも逃すつもりはないけれど」
 やがて陣地構築も終わりに近づいた頃、『青き戦士』アルテミア・フィルティス(p3p001981)が鋭く身を翻した。
「奴らがやってきたわ! 2時の方向、8匹!」
 草原を分かつように鋭い背びれが8つ、こちらへ近づいてくる。日光を照り返し、肩で風を切るように進むさまは海の(陸だけど)チンピラそのものだ。様子をうかがうようにゆっくりと近づいてくる、まるで威圧するように。
「ここは抑えておくから、早めに布陣を完成させて頂戴ね!!」
 言い捨ててアルテミアはサメへ向かっていく。ざぶりと、食事の予感を抱いたカフカがいっせいに大地へもぐる。
「ほ、ほんとに大地を泳ぐんだな……。この世界のサメはマジで何でもアリなのかよ……! ホント、混沌もいいとこっスね」
 アルテミアに続いて前へ出た『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)。自分の常識をひっくり返されて度肝を抜く。だがそれもつかのま、跳ねる心臓を押さえつけ勇気を奮い起こす。
 そこへシエラとルチアーノが駆けつける。
「陣地構築終わったよ! カフカをひきつけて檻の中へ! あわわっ!」
 背中を冷たいものが撫でる。シエラは直感が示した通り横へ飛んだ。ぞぶりと音を立てて地中からカフカが姿を現し、また大地へ潜る。一瞬のことだったが、暗い肌と鋭い乱ぐい歯がイレギュラーズたちの目に焼き付いた。あれが直撃したらと思うとぞっとする。
「ああん、背びれ切れなかった。次は必ず!」
 地団駄を踏むシエラ。
 葵とルチアーノは腕へ切り傷を入れ、血を地面へ振りまいた。ぐばっ、とカフカが地中から顔を出す。紙一重でそれをかわした一同は来た道を引き返しながらカフカの攻撃に備える。次から次へと、カフカは波のように襲いかかってくる。足元に注意しながら走り続ける。ものすごい勢いで飛び出してくるカフカを振り返り、葵は青ざめた。
「もしかして、一発でも当たるとヤベーやつなんじゃ……」
「うん、私もちょっとそんな気がしてきた」
 葵とアルテミアが言葉をかわす後ろで、ルチアーノが不機嫌そうに言い添える。
「当たらなければどうということはないんだよ。当たらなければね」
 地中深くへ潜行しているカフカへ名乗り口上は使えない。当たらなければという言葉は、彼自身の状況も指していた。
(次にカフカが顔を出した瞬間を狙う!)
 そう心に決め、走る両足へ力を込めた。
 アルテミアがふと浮遊感に襲われた。何事かと足元を見ると、そこには大きく開いた乱ぐい歯の歯列が。
「くっ、うあああ!」
 アルテミアに食らいつき、威容を晒すカフカ。その肌はどんよりと暗くにごり、どこを見ているのかわからない目がきょときょとと動く。一瞬にして体力の半分を持っていかれたアルテミア。防御に集中していたおかげで一命を取り留めることができた。
「こ、これは……。ちょっと厳しい、かも」
 荒い息を吐き、その場を離れるアルテミア。一瞬遅れて別のカフカが噛み付いた。骨を砕くはずだった歯が空を切る。
「とにかく罠まで走るっス! ここで攻撃はよしたほうがいいっスよ! 下手に攻めても事故が起きるだけっス!」
 葵の言う通り、足を止めれば奴らの餌食になるだけだ。囮組は罠まで全力で移動した。シエラが罠の内側へ大きくジャンプして入り込む。8匹のカフカが一斉に顔を出し、彼女へ噛み付こうとした。
「よっと」
 カフカの鼻面を蹴り飛ばし、シエラが飛び上がった。カフカの背面へ銀線が走り、背びれが胴体から離れる。
「月に狂いし獣の咆哮と共に葬り去る、滅びの一撃を受けよ、狼牙月光斬!」
 シエラはカフカへ会心の一撃を入れると、そのまま跳ねて罠の外へ飛び出た。
「おっしゃァ! 好機だ、燃やせ燃やせェ!!」
 罠の入り口へ杭を打ち込み、出口を塞ぐBriga。カフカどもが地面へ潜るその直前、二対の炎の花が咲く。ルチアーノの炎舞とポテトのマジックフラワーが同時に炸裂したのだ。着火点からまたたく間に火は燃え広がった。暴れまわるカフカ。それが隣のカフカへ延焼し、見る間に火だるまになっていく。ごうごうと音を立てて陸のサメは燃え上がる。
「やったのですよ。これぞ秘策、カフカでキャンプファイヤー作戦です!」
 SpiegelⅡが拳をグーにして天へ掲げる。
「はっはー! 燃えちまいなー!」
 ロクスレイが松明を投げ込み、ダメ押しをする。焦熱地獄というものがあるのならきっと、この場がそれに違いない。皮が溶け、肉がさらされ、壮絶な様子を見せるカフカども。
 だが。
 8匹のカフカがいっせいに暴れまわった。網にかかった魚のように、檻へ向かって突進する。しだいに杭が傾いてきた。SpiegelⅡが真っ青になってわたわたする。
「あわわ、このままだとサメさんに力負けしそうなのですよ」
「みんな撃ってー! 一体ずつ確実にやるよー。罠が無事なうちに減らせるだけ減らすよー!」
 軍師のリンネが号令をかけ、自身も輪廻転鐘へマギシュートを充填する。空気中を漂っていた魔素がリンネの鐘へ集っていき、しゅうしゅうと音を立てて煙があがる。死者を弔う一筋の煙のように。リンネは鐘をまっすぐ振り下ろした。充填された魔力がすさまじいスピードで放たれ、手前のカフカへ突き刺さる。カフカが大きく跳ねた。炎の中でもわかる血しぶき。カフカの唸り声に苦悶が加わる。
「下がって下がって。でないと蜂の巣になっちゃうよ」
 ミニュイがインスタントバレルを取り出した。ぐっと後ろに下がり、十分な間合いを確保すると血しぶきを上げるカフカに狙いをつける。攻撃へ意識を集中し、セイフティをはずし引き金を引けば、ライフルの上限を超えた弾丸が銃身から飛び出しカフカに襲いかかる。ハニーコムガトリングと呼ばれるイレギュラーズの秘技だ。巻き込まれたカフカたちが飛び跳ね、炎がさらに勢いを増す。
「ヒーハー! 死の森の出番だな!」
 マジックガン・カスタムとソード・マギ・リボルバーの二丁をかまえ、ロクスレイはハイテンションな叫びをあげた。彼のテンションへ答えるように二丁の銃の周りに魔法陣が浮かび、銃身へ吸い込まれていく。ある陣は不吉を、ある陣は呪いを、ある陣は殺意を表し、それらが積み重なり呪いの弾丸となってマズルから排出される。着弾した魔法の弾丸は周囲へ毒と呪いを撒き散らした。もくもくとどす黒い霧が立ち昇り、炎を青や緑に染める。
 檻へぐっと近づくふたつの影があった。火の粉が彼らを彩り、炎の舌が足元を舐める。
「ふふっ楽しいね。フランベされる巨大ザメなんて面白いよ。生死をかけた炎のタンゴ。情熱的にお相手してね」
 その一人、ルチアーノは檻越しに至近距離まで近づく。熱風が肌を焼いたが、彼は平然と距離を詰め、Ark-1をかまえる。近接格闘へ特化した特殊な銃だ。その銃把へ輝きが集っていく。眩しいほどのきらめき。熱で歪む景色の中で、ダイアモンドのような美しささえ感じさせるそれは爆彩花の輝きだ。気功を練り上げたルチアーノは全力でそれを手近に居たカフカの脳天へ振り下ろす。爆発。頭を吹き飛ばされたカフカがびくびくと震えながら横たわった。
「まずは一匹。やれやれ、サメだけあってタフだね。僕たちは信頼を得て仕事を託された。これ以上被害を出さないために全力で完璧に駆逐するよ!」
「ったりめぇよォ! 弱肉強食ってもんをこの場違いなサメどもに思い知らせてやるぜ!!」
 Brigaが凶暴な性をむき出しにして笑う。相手は既に罠の中、もはや反撃することも出来ない。となればあとはただ仕掛けるのみ。己の全身全霊を込めて、Brigaは捨て身の一撃を仕掛けた。痛みも反動も考慮しないその一撃は、カフカの体をいびつに凹ませ、向かいの杭まで吹き飛ばす。カフカは弱々しく尾で大地を叩き、なんとか体勢を戻そうとするが、その前に大量の体液を吐き出して息絶えた。
「日向、続けて行くぞ」
「オッケー、ポテトのアネさん。あ、でもその前に回復できたらお願いしていいっスか。止血だけでもいいっス。はい、忙しいっスね、はい。またあとで」
「そういうな、一段落ついたら回復してやる」
 言うなりポテトは残ったカフカへ向けて両手を突き出した。手と手の間にやがて黒い霧が生まれ、塊になる。ポテトはそれをそっと押し出すように前へ。流れていった霧が一匹のカフカを包んだ。カフカの暴れ方がひどくなる。毒撃にまともにやられればそうなるだろう。空気すら蝕み、対象の体内を毒に冒す魔法だ。カフカの神経網は痛みで腫れ上がり、内と外両方から焼かれるような痛みをあじわっていることだろう。
 葵は目測で慎重に距離を測った。標的はポテトの攻撃したカフカ。取り出したるはスタンダードBW。最高球速維持の術式が刻まれたサッカーボールは葵のもうひとつの拳だ。スタンダードBWを地面に置き、利き足をしならせ、蹴り出す。レーザーのようなシュート。まっすぐに真摯に一筋の光線めいて、あやまたず標的へ突き刺さる。ボールという大質量がカフカの体をえぐり、右から左へ大量の血肉を撒き散らしながら貫通する。
「ナイスシュート。息が荒いな、どうした?」
 ポテトが笑顔になり、葵の傷を回復させる。
「やせ我慢に決まってるじゃないスか……あー効く~~」
 傷が癒え、葵はほっとしてため息をついた。
 罠の中では炎が燃え盛り、カフカたちは突撃を繰り返している。杭の一部が大きくかしいで、ついに折れた。そこから火だるまのカフカが転がり出てくる。
「まだ一箇所だけだ。攻撃を集中させればいける!」
「は、はい!」
 アルテミアに励まされたSpiegelⅡが前へ出た。
 炎が彼女の髪を焦がしたが、SpiegelⅡは意に介さない。視線でガッチリとカフカの動きをとめる。奇しくもそれが檻を塞ぐ蓋となって、後続のカフカどもの邪魔をしている。
「シュピは防御に集中するです。攻撃は任せましたあ!」
 3mもの巨体に体当たりされるも、SpiegelⅡは軽く眉を寄せただけだった。体当たりの余波で足元がずれて靴跡が大地に残る。深く呼吸をし、自分で自分の体調を整える。
(まだだいじょうぶ、この程度なら耐えられます!)
 あらためて奮起すると、SpiegelⅡはカフカへ向き直った。
 そこへアルテミアが突っ込んだ。体を前に倒しての踏み込みから、全神経を攻撃へ研ぎ澄ませての雷のような一閃。弱点と思しきカフカの腹を狙い、見事そこを貫いた。ミラージュレイピアの威力はそこにとどまらず、さらに後方へ居るカフカをまとめて吹き飛ばす。突かれた部分から血しぶきが弾け、やがてそれも炎に飲まれる。最初のダメージを受けたカフカは、はらわたをぶちまけて事切れている。
 ついに檻が壊れ、残った4匹のカフカが雪崩のようにあふれでてきた。
「ヤー、こうなっちまえばただの燃えた丸太だな。哀れなもんだよ、まったく、なんてねー」
 大地の上を転がりまわって火を消そうとあがくカフカども。そこへ皆の攻撃が雨あられと降り注ぐ。少しでも火が消えそうになればすかさずロクスエルの作った火炎瓶が飛ぶ。リンネが逃亡しそうな個体へ目星をつけ、SpiegelⅡが目印代わりにマーキング。後退以外の動きを封じられた隙に、カフカは頭からしっぽまでていねいに破壊されていく。
 最後のカフカが燃え尽きたとき、草原を生臭い風が吹いた。


「うーん、こうなっちまうとさすがに土産にゃできねェな」
 Brigaがカフカの死体を眺め回して言う。表面はまっ黒焦げ、暴れまわって泥まみれ。おまけに仲間の毒が内部に溜まっている。せめて背びれだけでもと思ったが、これも焦げてしまっている。
「ああ、せっかくのお土産が……」
「余ったら牧場主さんにあげようと思ってたのに」
 ポテトとルチアーノが、がっかりして声を上げた。
「……と、思ったでしょー」
 突然シエラが胸を張った。道具袋からひっぱりだしたそれは、まごうことなきカフカの背びれだ。
「いったいいつのまに?」
 驚いたミニュイに背びれを向けて、シエラはにっこり笑って言った。
「カフカを罠にはめたときにね、得意の狼牙月光斬で切り取っておいたんだ! よかったらみんなで分けよう!」
「それはありがたい。帰ったらフカヒレで何を作ろうかなあ」
「わーいわーい、うれしいです」
 素直に喜ぶアルテミアとSpiegelⅡに、葵がつっこんだ。
「でも10人分だろ? 足りるの?」
「無理じゃないかな」
 そうリンネも言い添える。
「ヤー、ここは敢闘賞ってことでシエラが受け取るといいんじゃね?」
 というわけでお土産の行き先も決まり、イレギュラーズたちは意気揚々とその場をあとにしたのだった。

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

おつかれさまでした。
陣地構築と保護結界を組み合わせたスマートな作戦により大成功です。
アイテム背びれは並々ならぬ執念を見せたシエラさんへ贈ります。
またのご利用をお待ちしています。

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