PandoraPartyProject

シナリオ詳細

「喫茶 千客万来」へようこそ!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 ●千客……不来?

 平和と調和を象徴とする街「フリィヤ」。
 空には光が溢れ、花緑は豊かに街を彩る。
 人は笑顔に溢れ、犯罪も数少ないと言われている。

 そんな街で、働く一人の少女がいた。

「はあぁ、今日もシューカクゼロ!!」

 へとへとになって店に戻ってきた薄桃色の髪のメイド少女は、ぱたりと床にへたり込んでしまう。
 両手にはチラシの束を持っている。おそらく、この店の販促用のものだ。

 本日、客は一人も入ってきていない。
 いや、昨日も一昨日も。
 最近、客と呼べる者は全く来ていないのだ。

「おやおや、今日もビラ配り失敗ですか?」
「マスター! なぜこの店の売上はずーっと上がらないのですか!?」

 っていうか、何でチラシすら受け取ってくれないのです!?
 メイド少女はそう頭を抱えて、目を見開いた。

 マスターと呼ばれた、若くも貫禄のある男性は考えるように口元に拳をあてる。
 そして少し考えた後、言葉を選びながら彼女に告げる。

「非常に言いにくいのだけれど──」
「な、なんですっ!? 何か心当たりが!?」

 メイド少女はドキドキしながら、マスターの言葉を待つ。

「君は神さまだから、そもそもこの世界の人には見えていないんだ」


 がーーーーーーん。


 意味を理解し、がっくりとうなだれるメイド少女。

 平和と調和を象徴とする街。
 そう呼べれているのは、無意識な神さまが地上に降り立っているから。

「そ、そうでした。私は神さま、なんでした……」
「そんな重要なことを忘れる君も君だよ」

 無意識すぎる彼女に、マスターは苦笑しながらそっとツッコむ。

「ど、どうすれば良いです!? 何かいい提案はありませんか!?」

 彼女の言葉に、マスターはうーん。と首を捻る。

「──君は人を見る目がある。手伝ってくれる人間を探してみてはどうかな?」

 マスターの言葉に、彼女は大きく頷いた。

「そ、そうですね……! 探してみます!」

 そう言うと彼女は店を飛び出し、街で見える助っ人を探すのであった。


 ●見える助っ人たち


「ふぅ、困った神さまだね」

 境界案内人のカストルがそう呟くと、四人の志願者が魔方陣と共に現れる。

「やぁ、君たちがこの『フリィヤ』の神さまを助けたい人たちだね?」

 本のページをめくり、カストルは順序よく説明を始める。

「この神さまは人には全く見えなくてね……何をしても、失敗ばかりなんだ」

 まぁ、この世界の平和と調和を保てているのは彼女のおかげなんだけどね。とカストル。

「彼女には唯一の強みがあって、それが『人を見る目』。その力で、君たちはここに集められたって訳だ」


 なぁに、緊張をする必要はないよ。とカストルは微笑みながら四人を宥める。

「君たちは、カフェの店員をやってくれればそれでいい」

 ただ接客態度や料理の調理速度・マニュアルをきちんと覚えているかどうかなどは、近くに居るマスターがしっかりと見ているから。そこだけは、抜かりのないように気をつけてね。

 お客さんによってはトラブルも発生するかも知れないけど……。
 その時の対処とかもきっと見てると思うから、その時は臨機応変にね。


 まぁ、君たちならやっていけると信じているよ。
 いつも通りにさえ、していればね。

NMコメント

●今回の世界
 平和と調和の世界『フリィヤ』
 光に溢れ、花緑に彩られている。
 犯罪は数少ないが、それは表向きの話。

●目標
 「喫茶・千客万来」のカフェ店員となって、売上に貢献

●出来ること
 販促業務(チラシ配り・店前で声かけ)
 ホール業務(接客)
 キッチン業務(調理・皿洗い)
 軽犯罪者の撃退

●NPC
 神さま/薄桃色のメイド少女
 おっちょこちょいなメイド少女。
 その正体は『フリィヤ』を守護する神さま。
 それなりの訳があって「喫茶・千客万来」で働いている。
 お客さまには全く見えないので、戦力外です。
 
マスター
 「喫茶・千客万来」のオーナー兼マスター。
 若い男性の容姿をしているが、年齢は不明。
 人材を育成するスキルは一級品で、その対象を見る目は鋭い。
 ホール・キッチン業務ではサポートをしてくれます。

●サンプルプレイング①
 いらっしゃいませ、と言って私はお客さまを迎える。
 お辞儀・所作・笑顔、全て満点。
 容姿も見目麗しく整え、特に男性客の注目の的になっている。
 だって、私は苦しい程に努力してきたんだもの。
 印象、そして接客に関しては誰よりも自信があるし、一級品だとクライアントの評価も得てきた。
 そんな私がこの喫茶店の売上に貢献出来ない訳がないじゃない?
 いずれはマスター、そして噂の神さまも私の虜にして差し上げるわ。

●サンプルプレイング②
 俺は生憎、人と話すってのが得意じゃねぇ。
 そもそも視線を交わすことすら無理な俺に出来ることは、料理ぐらい。
 元王宮料理人の俺にかかれば、不幸な面してる奴も少しはまともな顔しやがる。
 って、ここのマスターに言ったらあっさりと厨房を明け渡してくれたんだよなぁ。
 ま、人に頼まれるのは悪くない。たまにはこういうのも受けとかないとな?
 神さまってのに恩を売っておけば、それがいずれの何かに繋がる……なんてこともあるだろうしな。

●最後にNMよりごあいさつ
 こんにちは、悠空(yuku)と申します。
 平和に紛れる闇が好物です。
 
 平和と調和の神さまを、あなたの接客で救ってあげてください。
 一流の接客を見せつけるも良し、料理の彩りでお客さまを喜ばせるも良し。
 時には軽犯罪者を撃退するのも面白いでしょう。
 どうかあなたの力で、この喫茶店を盛り上げて下さい。

  • 「喫茶 千客万来」へようこそ!完了
  • NM名悠空(yuku)
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年09月03日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
ビアンカ・ネーヴェ(p3p009455)
白と黒の夢
キソナ・ホリョン・トワシー(p3p009545)
新たな可能性
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす

リプレイ

●神さまに出来ること

「お待ちしていました、です!」
 薄桃色のメイド少女こと神さまは、満面の笑みで四人を迎えた。
 その表情は実に純粋無垢で、一切の曇りがない。
 彼女を一瞥した後、四人は喫茶店全体を見回した。

「へぇ? 思っていたより綺麗な店なのね」
 一番に声を発したのは、メリー・フローラ・アベル(p3p007440)。
 彼女の言う通り、喫茶店は赤煉瓦で組まれた構造にシンプルな装飾。
 落ち着くための喫茶店としては、十分な内装だった。

「とても雰囲気も良くて、ミニライブなどにも良さそうです」
 続けて両手を合わせたのは、柊木 涼花(p3p010038)だ。
 音の響きもきっと良い気がします、と付け加えて。
 
「わぁ、ありがとうございます!いつもピカピカに綺麗にするのも仕事です!」
 にこり、と笑った先には、キソナ・ホリョン・トワシー(p3p009545)がいる。
 神さまのその煌めいた瞳に惹かれているのか、じっと見つめていた。

「神さま、『戦力外』なの?」
「ふぇ!?」
 不意の方向からの言葉に驚く神さま。
 その言葉を投げたのは、ビアンカ・ネーヴェ (p3p009455)。
 不思議とその青い瞳は吸い込まれそうで、神さまはじっと見つめてしまう。
「ここに来る前、そう聞いたから」
「そう、なんですぅ。チラシ配りや接客は私自体が見えないと意味がないので」

「うーん。それは違うんじゃない?」
 神さまの消極的な言葉に異論を呈したのは、メリーだ。
「ど、どういうことです?」
「見えないなら見えないで、出来ることがあるんじゃないってこと」
 メリーはそのまま、言葉を続ける。
「給仕をすれば、注文の品が急にテーブルに現れたように見える。下げる食器も一瞬で消えたように見えるから、集客効果としては十分だと思うけど」
「はっ、なるほど!!」
 目から鱗だった、と言わんばかりに神さまは大きく頷く。
「確かに。神さま、かなり頑張り屋みたいだから何か出来ることを探そうよ」
 メリーの意見にトワシーも賛同する。
「だったら、まずは作業分担しつつで神さまも何か出来そうな内容があればやってみましょう」
「ビアたちの作業から決めよう」
 涼花やビアンカもそれならば、と今後のやるべきことを提案した。

「み、みなさん……ありがとうございます!私も、精一杯にサポートします!」
 四人の優しさに、その場で泣きそうになった神さまだった。


●音楽とサプライズ!

「わたしは地上から音楽を奏でてお客さんを集めるので、メリーさんは飛行でビラ配りをお願いします」
「それぞれの得意分野で販促なんて、最高じゃない?」

 最初の仕事を主に任されたのは、涼花とメリーだ。
 ライブ経験による集客には慣れているという彼女が、まずは音楽で注目を集める。
 客が一か所に集まった所で、【飛行】を持ったメリーがチラシを配る。

「では、奏でます」
 涼花は楽器を奏でながら、持ち前の【歌唱】能力で通りすがる客の足を止める。
 その姿は音楽を心から楽しんでいて、聴いている人さえもそれが伝播するようだった。
「ねぇ。あの子、すごく楽しそうに歌ってるわね?」
「本当! しかもすごく声が通っていて聞きやすいわ!」
 集まっていた女性たちが噂する。
 
「さぁて、そろそろいいよね?」
 タイミングを上手く見計らい、飛行していたメリーはチラシをパフォーマンスかのように散らす。
 風操っているのかと思ってしまう程に、何十枚ものチラシたちは客の手元に見事に届く。
「もしかしたら、お店でも不思議なことが起こるかも!?」
 なんてことも、ほのめかしておく。神さまにさっき伝えた、あの接客はまさにそれだ。
 客たちは「何が起こるの?」「手品?」など、店の中の展開に心を躍らせる。

 カラカラン。
 店の扉が開く音がした。

「当喫茶店の入口はこちらです」
 出てきたのはメイド姿のトワシーとビアンカ。そして見えてはいないが、神さまも。
 可愛らしい外見の店員がお迎えしてくれる、ということもあるのか。
 集客された人々は、喫茶店へ吸い込まれるように入店を始めた。

「まずは第一関門クリアってとこかな?」
 この行列ならこれ以上呼び込む必要もないし、とメリー。
「そうですね。では、わたしたちも接客の方に回りましょうか」

 涼花とメリーも店内に戻り、接客の準備を始めた。



●マニュアルは完璧、そして曲者

 一方、こちらは店内。
 メリーと涼花は販促に続いて、店頭の行列への案内を任せた。

「はい、アイスミルクティーをお二つですね。かしこまりました」
 こちらは店内。マニュアルを完璧に入れたトワシーが、見事な接客でおもてなししている。
 一歩、二歩先を見て、相手の求めている内容を先読みする。
「紙ナプキンとスプーン、先に置いておきますね」
「お、気が利くね。どうもありがとう」
 そのマニュアルにはないであろう気遣いに、客も感心しているようだった。
 
「神さま、オーダー入ったからお茶を淹れるけど。やってみる?」
「いいんですか?」
 こくり、と頷くと、ビアンカがまずは手本を見せる。
 茶葉を蒸らすところから、丁寧に注ぐところまで。
「やってみて。ゆっくりでいいから」
「ゆ、ゆっくりと、丁寧に。やってみます……!」
 ぷるぷると震えながらも懸命にお茶を淹れる神さま。
 その様子に、ビアンカは微かに笑みを零していた。
「こ、零さずに淹れられました……!」
「これで出来ること、増えた」
「ビアンカさん、ありがとうございます!」
 神さまは嬉しそうにぺこり、と頭を下げた。
 
「アイスティー二つ、お待たせ致しました」
 ビアンカたちから引き継いだオーダー品をトワシーが提供する。
 所作が大変美しく、思わず客もじっと見惚れてしまう。
「すごい。まるで一流レストランに来たかのようだ」
 一人の客がそう喩えた。
「ありがとうございます、ご満足頂けて光栄でございます」
 トワシーは綺麗に微笑んだ。

「おうおう、ここが噂のサテンかぁ?」
 多くの客が居る中で割って入ってきた、一際ガラの悪そうな三人組。
 その明らかに横暴そうな雰囲気に周りは騒然とする。
「そうらしいですぜ、何でも不思議なことが起きるとか」
「ほぉ? 魔法でも使ってくれるってのかい?」
 そんなワケないだろう、と揶揄っては大笑いする三人。
「わ、わ、何だか危険なニオイがします……!」
 カウンター内で狼狽える神さまを、ビアンカが宥める。
「神さま、大丈夫。キミはビアたちが守るから」
 調理しているマスターと一緒にカウンターに居て、と神さまに言うと、ビアンカもホールに出る。
「ちょっと、お客さまが怯えているんだけど。表に出てくれる?」
 店頭で接客をしていたメリーが騒ぎを聞きつけて、三人に声を掛ける。
「あぁ? 俺たちは茶を飲みに来ただけだ」
「マナーも守らずに入ってくるとか、どういう教育受けてきたの?」
「っるせぇな! 兄貴がいいってんだから、早く席案内しろや!」
「聞こえなかったの。表に出てって言ってるの」
 メリーに襲いかかりそうな勢いの三人の間に、ビアンカも加わる。
「おうおう、こんな弱っちそうな嬢ちゃんたちに何が出来るのかねぇ?」
「御託はいい。これ以上お客さまを脅かすのは、許さない」
 トワシーもさすがに我慢出来なくなったのか、前に出る。
「やれるモンならやってみろや! 全員まとめて蹴散らしてやる!」
 言うと、三人組と涼花を除く三人は裏路地へと入っていった。

 舎弟二人にリーダーと思われる男は、こっそりと耳打つ。
「相手は全員上玉の女だ。使える所に使えば高く売れるやも知れん」
 それを聞いた舎弟たちは、にやにやと表情を変える。
「それもそうっすね」
「はーい、まるっきり聞こえてるのよね?」
 メリーが面倒くさそうに首を傾げる。
「けっ、地獄耳かよ!」
「失礼ね、あなたたちの声が大きいのよ」
「ぬかせ!」

 まずは仕掛けてくる輩たち。
 そんな二人をまずはトワシーとビアンカが応戦する。
 トワシーは【機詰繭】を使用し、周りを真っ白な水蒸気で曇らせる。
「ぶわっ!?」
 三人組の目が眩んでいる間に、ビアンカが急所を殴って攻撃。
「ぐっ!! こんな的確に……!?」
「あとは任せて!」
 怯んでいる隙にメリーが【拷術】を三人に使用し、完全に気絶させた。

「はぁ、疲れたぁ」
 ぱんぱんと手の汚れを払い、一段落。
「ありがとう、メリー」
「トワシーの水蒸気のおかげよ」
「何が出るか分からないから、運任せだったけど……良かった」
「ビアンカも、見事に隙を作ってくれて。助かった」
「ビアはあまりこういうの、好きじゃないから」
「涼花も同じこと言っていた。だから今は、店内ライブをしてくれてるはず」
「なるほど。裏路地とはいえ、音が漏れないように?」
「そういうこと」
 じゃあ、早く戻ろう。と三人は店内へ戻るのであった。



●商売繁盛!感謝感激!

 店内ではラストオーダー後の涼花によるミニライブで熱く盛り上がった。
 「喫茶 千客万来」はまさにその名の通り、客でいっぱいになったのである。

「ひぃ、ふぅ、みぃ……やりました、売上記録更新です!」
「それはおめでとうございます!」
 涼花が嬉しそうに拍手を送る。
「涼花さんのライブ、とても心地好かったです!お客さまも大満足!」
「あとは洗い場もほぼ一人でやってたの、……すごい」
「いえ、みなさんは戦ってお疲れだと思ったので。わたしはわたしのやるべきことを果たしたまでです」

「みなさん、今回は本当にありがとう。今日はずっと調理だったから、ホールは完全に任せっきりだったんだけど」
 マスターが四人に感謝の意を述べた。
「途中で変な輩が来たのは想定外だったけどね?」
「そちらに関してもありがとう。お礼と言ってはなんだけど、これから君たちに腕を振るって賄いを作らせてもらうよ」
 その言葉に四人は大いに喜んだ。
 すっかり空腹だった四人はその夜、豪華な賄いを堪能した。







 

成否

成功

状態異常

なし

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