PandoraPartyProject

シナリオ詳細

パラディン・エトワール

完了

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 石畳の道に石やレンガでできた家が立ち並んでいる。その場所は今、激しい雷雨に見舞われているが、そんな中二人の青年は道の真ん中に立ってお互いに剣を構えていた。
「ふん、こんな嵐の日に僕を呼んで……一体何のようなんだい?」
 片方の、黒を基調とした貴族服を着た仮面の青年は自身を呼び出した張本人に問いかけた。
「もちろん決まっている。早く彼女を解放するんだ! 君だって気付いているだろう、彼女は君を望んでいないことを!」
 もう片方の、青を基調とした貴族服を着た帽子の青年は怒りをあらわにしながら仮面の青年に言葉をぶつける。二人の応酬が終わると同時に、雷が鳴った。
「うるさい! たとえどう思われようが、それが貴族の子供の定めということを忘れたのか!」
 帽子の青年に触発されて仮面の青年の言葉も熱くなっていく。
「……君がそのつもりならしょうがない。なら、力づくでも彼女との婚約を迫ることはやめてもらおう」
 二人の青年は、それぞれ雷の魔法や得意の剣術で激しい雨の中戦っていた。そんな時だった、本来割り込むはずのない邪魔者が入ったのは。

「はっ、なんですか? その軟弱な剣術じゃ上位夢魔にも勝てやしないですよ」
 
 邪魔者は、騎士甲冑を着た女騎士であった。
「誰だ、貴様は!」
「待ってください、この事態は台本には書いていないことです。おそらく彼女は、いや、あれは夢魔、それも最近確認されることが多い最上位夢魔です!」
 女騎士は二人の話を聞いて口角を上げる。見た目は人間のそれは、笑いながらもヒトならざるオーラを放っていた。それの名はパラディン・ドレアム。剣術の腕に関しては最上位夢魔の中でも随一の実力を持つ強力な存在だ。
「だが、配下の夢魔を連れていないなら僕でも勝てるはず。勝負だ! 最上位夢魔」
「やめなさい、あなたでは奴には……」
「黙れ! 『主』だからって主役ばかり取りやがって! こうなったら僕がアイツを倒して次の主役をとってやる」
 仮面の青年は本来は決闘の時に使うはずだった黒い稲妻をパラディン・ドレアムにぶつけ、自身もまた剣を持って飛び掛かっていく。しかし……
「こんな『子供騙し』の魔法で私に勝てるとでも思っているのかしら? それとも、こんな派手なだけの見掛け倒しの雷撃で本物の夢魔を倒せるとでも?」
 煙が明けた先にはいまだ白いままの鎧をつけたパラディン・ドレアムが立っていた。それは仮面の青年が持っている剣を素手でつかんでそのまま投げ飛ばす。
 ここで一つ、この【夢世界】について補足の説明をしよう。この夢世界、《シアトリックス・セット》の住人はそれぞれが役を演じながら、さも劇を行っているような生活をしている。その中でも、一部の人間は本当に劇を演じており、彼らは魅せるための剣術や魔法を磨いていた。その弊害か、その剣術や魔法は実戦においては時間稼ぎになれば御の字な弱さになっているのである。だが、それが日常である住人達はそれが弱いとは知っておらず、真実を知っているのは帽子の青年ことこの夢世界の主であるエトワール・レインだけである。
「さて、残るはあなただけですよ。かかってきなさい!」
 パラディン・ドレアムにそう言われながらも、レインは立ち向かえずにいた。しかし、それでも相手の目を離すことだけはしなかった。


 ついにこの夢世界が狙われたようだね。夢世界全体の戦闘技術が高くないから心配はしていたんだが……ここは、君たちに協力を要請しないとだね。
 ということで、今回やってもらうことはパラディン・ドレアムの撃破とレインの保護だね。あと、おそらくだけどあの夢魔もウィザード・ドレアムと同じく生かしておいて交渉すればいい結果になるかもしれないから、よろしくね。
 では、君たちの無事をこの場で祈らせてもらうよ。

NMコメント

 はじめましての方も、そうじゃない人もよろしゅーお願いします。桃山シュヴァリエです。今回も強力な最上位夢魔単体の戦闘です。今回は特殊条件が多めですので、それらをうまくクリアすれば途中結果やエンディングが変わるかもしれないので頑張ってください。

今回の目的
 最上位夢魔パラディン・ドレアムの撃破

※今回は特殊条件が二つあります。まず一つ目はエトワール・レインを戦闘で活躍させること。二つ目は【不殺】属性でとどめを刺し、かつ他の最上位夢魔と戦ってくれるよう説得することです。これらの条件の達成具合でエンディング等が変わります。

※【不殺】でとどめを刺したけど説得を行わなかった、もしくはエトワール・レインが撃破された場合はバッドエンドとなるため気を付けてください。

エネミーデータ
 【最上位夢魔】エトワール・レイン
  夢世界において伝説とされていた最上位夢魔の一体。通常の人間とほぼほぼ似た姿をしている。強力な剣術や体術に特化しており、その攻撃は魔法をも切り裂きます。ただし、彼女は他の最上位夢魔とは違って自分が認めた相手なら従うようなので、不殺で倒せば仲間になる可能性があります。

登場NPCについて
 エトワール・レイン
  夢世界《シアトリックス・セット》の主。剣術については実戦には向いていないですがかなりの腕前で、魔法については使い方次第では目くらましにはなるでしょう。

  • パラディン・エトワール完了
  • NM名桃山シュヴァリエ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月23日 22時05分
  • 参加人数2/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(2人)

メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
アルラウテ・ベルンリッシュ(p3p009825)
春を取り戻し者

リプレイ


「さて、ここからどこまで生きていられるんでしょうねえ、主サマ?」
 パラディン・ドレアムは剣を振りながらレインに攻撃していく。レインも剣で応戦するが達刃級の剣の使い手相手には歯が立たず、魔法についても見掛け倒しが故に迂闊に使えずにいた。こうしてレインはジリジリと追い詰められていたその時だった。『汚い魔法少女』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)はレインの後ろに立って、こう叫んだ。
「レイン、今こそ魔法を使いなさい!」
 当然現れた乱入者を前にして、パラディン・ドレアムは動きを止めてしまう。その隙をついてレインは魔法を浴びせた。
「サンダーストライク!」
 レインが放った魔法はパラディン・ドレアムに直撃する。するとどうだろう、以前撃った時の反応が嘘だったかのように、レインはかなり苦しんでいるように見えた。
「私自身には夢魔と戦う力はないわ。だけど、あなたを祈ることぐらいならできる。レイン、あなたの勝利を祈るわよ」
 メリーは役に立てないことを憂うような顔でレインを見た。レインは微笑んで返す。
「安心したまえ。あの程度の敵など、この《シアトリックス・セット》の主であるエトワール・レインが倒して見せるさ」
 しかし、レインは気づかなかった。メリーもまた、彼女とは別の方向で『演じて』いることに……


 使いようによっては派手な攻撃ってのも役に立つだろうけど、地味で目立たない攻撃のほうが実戦では有利よね。メリーの心中ではレインの魔法に対してこう評価を下していた。メリーが元々いた世界ではほとんどの人間は魔法を使うことができず、そのような人美地は魔法を目視できなかったが故にメリーは自由に立ち回って過ごすことができたのだ。そのような思いを抱きながら、メリーは祈りを捧げるふりをして慈術でパラディン・ドレアムの体力を奪っていった。少しずつ、しかし確実に弱っていく夢魔を尻目にレインは少しずつ優勢を取り返していく。ここについても、実はメリーがライトヒールで受けた傷を回復させたこともあってのことであるが、戦闘に完全に集中しているレインはそのことに気づく由もなかった。さらに言えば、レインの魔法でパラディン・ドレアムが弱った理由もまたメリーにある。レインのサンダーストライクが当たった直後、メリーが拷術ですさまじい痛みをパラディン・ドレアムに与えていたのである。
 メリーが行っていたことは接待プレイのようなものに近く、彼女の思惑通りにいけばレインを立たせたうえでパラディン・ドレアムを倒せただろう。そう、レインがメリーが思った以上に賢く、馬鹿でなければ……


 戦いが始まってしばらく、ついにパラディン・ドレアムは膝を地につけた。メリーはレインに駆け寄る。
「やったじゃない、レイン! じゃあ、あとのことは私に任せて……」
「……君は僕がこんな勝ち方で喜ぶような愚か者に見えるかい?」
 銃口がメリーの胸に突き付けられた。
「は? どういうことよ? 冗談にしては少しきつすぎやしないかしら?」
「はあ、この期に及んで白を切るつもりだね……奴は、君が弱らせていたんだろう?」
 そういってレインが指さしたのはパラディン・ドレアム。そう、レインはいつからかメリーがパラディン・ドレアムを追い詰めていたことに気づいていたのである。
「で、なんで銃口を突き付けているわけ? そこは古傷が痛むからやめてほしいのだけど」
「それなら尚更やめないさ。君が奴に使った魔術、それがわかれば次の襲撃にも耐えることが……」
「わかったわ。そのくらいのことなら簡単なことだし教えてもいいわよ。それよりもあいつを倒さないと……」
 メリーが倒れているパラディン・ドレアムに目を向けた時、それはもうこの場にはいなかった。
「はあ、あなたのせいで奴を取り逃がしたじゃない! どうしてくれるのよ」
「そんなことは構わないさ! それよりあの魔法を……」
 じれったく、うっとおしくもなったメリーは威嚇術でレインを突き飛ばす。これにはレインも怒りをあらわにした。
「何をするんだ!」
「起こっている場合じゃないわよ! 早く奴を探し出さないと……」
「ああ、パラディン・ドレアムならすでに逃げていますよ」
 不意に声が届いた。二人が顔を向けた先にいたのは、全身が蔦で覆われた女性であった。
「申し遅れたわ。私の名はドリアード・ドレアム。はるか古代の時代にウィザード、パラディンと共に封印されていた……」
「御託はいいわ。それで、あいつがどこに逃げたかを早く教えなさい」
 ドリアード・ドレアムの自己紹介をぶった斬ってメリーはパラディン・ドレアムの行方を聞いた。
「まあまあ、落ち着いてください。貴女たちがパラディンを長時間拘束してくれたおかげで私たちもその存在を感知し、今はウィザードが説得を行っているところです。それよりも、あなたたちに、というよりはイレギュラーズに伝えたいことがあります」
 イレギュラーズと聞いて、メリーはドリアード・ドレアムの目をよく見始めた。
「これより私たちは、あなたたちにレギュラーズにとある方を紹介しようと考えています。その方の名はロード・ナイトメア。古き時代に君臨した夢魔の王にして、現代の夢魔の王に対する最大の反対勢力です」
 ロード・ナイトメア、その名を聞いてレインは震え始めた。どうやら夢世界の住人にとってその名前はかなり恐怖を与えているようだ。
「もちろん、ただで会わせるとは言えません。ロードに会うには夢魔の中でもかなり強い存在たちと当たることになりますし、それらもまた一筋縄ではいかないでしょう。ですが、ロードに会って協力を得ることができれば、あなたたちが倒す敵、マスター・ナイトメアの撃破にもつながるはずです。では、いい返事を……」
「ちょっと待った」
 いつからいたのか、ここで境界案内人であるウォーカーが口をはさんだ。
「話は聞かせてもらったよ。もしよければ、その依頼は僕の名において受けさせてもらうね」
「ふふ、話が早くて助かったわ。じゃあ、ロード・ナイトメアとの交渉、ならびにその障壁となる夢魔たちの説得、頑張りなさい」
 そういうとドリアード・ドレアムは姿を消していった。ウォーカーはイレギュラーズと共に境界図書館に戻った後、こう宣言する。
「さあ、これより大規模依頼の準備に移ろうと思う。しばらくその準備のために僕は忙しくなるが、それでも僕のことは忘れないでくれよ。ではごきげんよう」
 こうして、イレギュラーズと夢魔との戦いはさらなるステージへと加速を始めていくのであった。


「ふむ、どうやらイレギュラーズとやらが私の城に来るみたいだな……バード、君は奴らのことを少しは知っているのだろう?」
 ここはとある夢世界の一角にある城。この場所にはロード・ナイトメアとその側近の一人であるバード・ドレアムがいた。
「そうですね。ちょうど僕の分身が別世界に来たときにいたイレギュラーズもまたパラディン・ドレアムと戦っているみたいですしね……期待、できそうです」
  はるか古代の時代に君臨した夢魔の王は、長きにわたる封印を何者かに解かれたことでその姿を復活させた。同時に、その側近である最上位夢魔もまた、バード・ドレアムを含めて複数復活している。そんな中、二人は不敵に笑う。イレギュラーズたちにとっても、古の時代を戦ってきた最上位夢魔たちと戦い続けることはかなりの困難だろう。しかし、夢世界の救出において、それは大きな希望にもなりうる。さあ、そこに待ち受けるのは、希望か、絶望か……

成否

成功

状態異常

なし

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