PandoraPartyProject

シナリオ詳細

夏だ!ゴブリンだ!……サメだぁー!?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●海開き前の、海洋の海岸
「いやぁ……海開き前だというのに暑いですね、兄貴」
 海洋――ネオ・フロンティア海洋王国。
 炎天下の下、二人の男が砂浜でゴミ拾いをしている。背の高い方が汗を拭い、小太りの男に声を掛ける。
「そりゃあ暑いだろう、夏が近づいているんだから」
 小太りの男は意に介さないまま弟にこたえながら、木製のトングで、テキパキとゴミを拾っていく。
 背の高い男は兄の発言に納得が行かなかったのか、兄の隣で小言を言い続ける。
「大体やってられませんよね、ゴミ拾いって……いつものように警備をシている方がマシです!」
「仕事に文句を言うな……」
「大体ですよ、なんで数週間前にも拾ったのに新しいゴミがあるんですか。まだ海開きもしていないのに」
「大方海ゴブリンでも来て宴会でもしてたんだろう、最近多いからな」
「ゴブリンの海賊ですか……なれないことして大丈夫なんですかね?あいつら」
「知るか、いい加減真面目にしないと主人に言うぞ?」
 やたらと口が回る弟に釘を刺す兄。うぐ、と冷や汗を流した弟は、ようやく自分の仕事に取り掛かろうと砂浜の奥の方へと向かう。
「やれやれ……」
 サボり気味な弟を持つと大変だ、そう小太りな男もため息をつき、散らばる骨や布切れなどを拾い上げていく――が。
「兄貴!?」
 弟が血相を変えて戻ってきた、またか、そろそろ本気で叱ってやらねばな……そう顔を見上げた兄の視界に入ってきたものは。
「何だ一体……な、何だ!?」

――巨大な、サメの姿であった。


●シャーク海賊団!
「と、いうわけで事件なのです! みなさん集まってください!」
 一足早い浴衣姿でノリノリの『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が、イレギュラーズの8人に向かって声をかける。
 招集されたイレギュラーズ達の姿を見ると、依頼内容の書かれた紙と地図を置き、緊迫感の一切ない声で続ける。
「まあ、皆さんにとっては大した依頼ではないのです。 海洋の貴族様の領地で海賊団が暴れているとの事で、助けて欲しいとのことなのです」
 その海賊団は海から突如押し寄せ、海岸のとある村から略奪の限りを尽くしたという。これ以上暴れられる前に食い止めて欲しいと、一帯を治める貴族から依頼が届いたのだ。
 貴族によるとその海賊団は『シャーク海賊団』といい、巨大なサメと、7人の精鋭ゴブリンによる名前通りの連中で、小規模ながらも手強い連中らしい。
 サメは魔法の衝撃を放つ遠距離攻撃に長け、ゴブリンはナイフで格闘戦をしかけてくるという。その上サメは攻撃の時以外は海に潜ってしまうというからたちが悪い。
 
「どうやら海賊さん達は、海岸線沿いに略奪をしているらしくて……被害のあった村から海岸線沿いで警戒していれば間違いなく会える、という話らしいです」

 サメさんが陸にあがれないからですかね?そうユリーカが言いながら地図に印をつける。

「反対側は貴族さんの傭兵団で無事な人達が集まって防衛線を張ってくれるらしいのです、皆さんはここで、海賊団を食い止めて欲しいそうです!」
 まあ変なのを連れていても所詮ゴブリンなのです。 そんなに心配しなくても大丈夫ですよ! 夏を楽しみにする情報屋は、頼もしげな表情であなた達を見つめていた。

GMコメント

 見習いGMの塩魔法使いです。ゴブリンは依頼の花形ですね。
 それでは。

●ロケーション
 海洋の砂浜、炎天下で戦います。
 依頼が終わったら夕暮れまでは好きにしていいそうです。(そそくさと帰るのもまた自由です)
 日焼けが嫌な人は帽子をかぶっていきましょう
 因みに、「夕暮れまでに何もなかったら帰っていいよ」とは言われていますが必ず来ます。

●敵
・精鋭ゴブリン ×7
『自称』精鋭を名乗る海のゴブリンです。精鋭を名乗るだけあり、イレギュラーズと対等に渡り合える力を持っています。
 ナイフで様々な必殺技(ランク2相当の物理技)を使ってくるでしょう。手強い相手ではありませんが囲まれないようにだけは注意。
 ゴブリン達の中に、特に強い「リーダー」が混じっている可能性があります。

・『サメ先生』×1
 海のゴブリン達が勢いづいた原因。5mほどはある巨大なサメ。
 空を飛び、神秘能力に長け、強烈な技(ランク3相当の神秘技)を放ってきます。ただ砂浜より奥には行けない模様……
 APが残っている限り攻撃を終えると海に潜って攻撃を防いでしまうため、海の中でも問題なく活動できるイレギュラーズが懐に飛び込むか、APが切れるまで耐え、陸地に登ってきたところをタコ殴りにするしかない。

●戦闘補足
 メタですが。ゴブリンに割く人員と、サメ先生に割く人員で強さが変わります。
 極論ですが1人しか海に適応できるメンバーが居なければ、サメ先生は弱体化し、ゴブリンは文字通り精鋭になります。
 逆に1人しか陸地に残らなければ、ゴブリンは虎の威を借る狐になり、無双だって可能です。
 そういうことなのです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●アドリブについて
 依頼中、台詞回しや行動にいくらかアドリブが入ることがあります。
 「アドリブ歓迎orアドリブ無し」の文言をステータスシートかプレイングのどちらかに記載していただけると幸いです。

  • 夏だ!ゴブリンだ!……サメだぁー!?完了
  • GM名塩魔法使い
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年07月07日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
戦気昂揚
セアラ・シズ・ラファティ(p3p000390)
flawless Diva
北斗(p3p000484)
遠い海からやってきたトド
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
クロジンデ・エーベルヴァイン(p3p001736)
受付嬢
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
ティアブラス(p3p004950)
自称天使

リプレイ

●海だ!
 ネオ・フロンティア海洋王国。通称海洋。
 「リゾート」として名高いその国の砂浜は、一般的に「ビーチ」とされていないものであっても極めて高い質を誇る。
 その証拠に、特に有名リゾート地でもないこの砂浜でさえ、恐ろしい程の誘惑に満ち溢れていた。
 さらさらの砂、照りつける太陽、雲一つない爽やかな青空。そして、冒険心をくすぐる波の音。
 そう、これが『仕事』でさえなければ、今すぐ泳いでしまいたいほどの――

「えっ、少し浮かれすぎてないかですって? そ、そんなの気のせいよぉ」
『夢色観光旅行』レスト・リゾート(p3p003959) が仲間に見られていたことに気付いたのか、ふくらまそうとしていた浮き輪を隠しながら誤魔化す。浮かれても仕方ない、それほどの絶好の海日和なのだ。リゾートを見ていた『flawless Diva』セアラ・シズ・ラファティ(p3p000390)もくすくすと笑いながら、そう同調する。
「海、海ですね……わたしの故郷とは違いますが、やはり海は心が躍りますね」
 海種であるセアラにとってもまた気分が高揚するものであったに違いない、あるいは彼女に天啓を与える神のそれであったのかもしれないが。
「……こほん、えぇ、目的は忘れておりません、ゴブリンにサメですよね」
「そうですね、他にはいないようです」
『自称天使』ティアブラス(p3p004950)が、依頼主の貴族から提供された報告書をめくり、予め印を付けていたところを皆に見せる。――彼らは傷つけたり略奪行為は行ったものの命を奪う事はしていない事。また、今まではこの地域では『海ゴブリン』というあだ名で呼ばれ、精々巣から出て時々暴れては自滅する程度のいわゆる『ヤンキー』程度の存在であったという第一発見者である兄弟からの証言等が記載されていた。
「ひと夏の思い出に若気の至りという奴でございましょうか? ちょっとやる事が派手ではございますが」
 推測しながらも、どこか無関心そうにつぶやく。
「海ゴブリンか、あんまり悪い奴らじゃなさそうなんだよなー」
 海洋の漁村出身である『大空緋翔』カイト・シャルラハ(p3p000684)は、報告書の中にある海ゴブリンとある文字列に少し考え込む。彼の記憶の中の彼らも兄弟の供述通り、ただちょっと暴れる程度の存在であったはずだ、と。
「サメとやらのやつのせいなのか? サメの方はわかんねーな……」
「海洋って、鮫が多いんですよねぇ……」
 そう不安そうに振る舞うのは、『遠い海からやってきたトド』北斗(p3p000484)である。被捕食者である北斗にとっては、サメ相手は不安なところがあるのだろう。気が弱いからなおさらである、とはいえ、平和、特に海洋の平和への熱意は人一倍強いはずだ。
「鮫とゴブリンか……確かに、どういう経緯でこいつらがつるんでるのか気になるところではあるな」
 一方、『海抜ゼロメートル地帯』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)が報告書を腕組みしながら眺め、ため息をつく。ゴブリンとサメは本来陸と海の生き物。お互いの領域を出ることはあれど、絡む事は滅多に無いはずだ。
 現に、海岸線に沿って略奪するという、略奪にも逃走にも不利な行為をしているのだから。考えれば考える程不可解になってくる。
「どういう経緯でゴブリンがサメを用心棒に雇うような奇妙な共闘状態になったんだろー?」
 ゴブリンシャークの海でも仲介人にいたのかな。『名探偵』クロジンデ・エーベルヴァイン(p3p001736)は茫然と佇みながら、「いっしょの人」もとい、『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)に声をかける。潮は連れ添っていたポチ――彼の連れている小さな鮫を歌いながら愛でていたのだが、声をかけられると、太陽を眺め今が昼下がりである事を確認し、時刻的にも来てもおかしくないことを確認する。
「ふむ、もう来たのか。皆、装備を隠すように」
 そう言うと長杖を自らの大きな服の下に隠し。「ポチも付き合う相手はよく考えるんじゃよ」そうポチに言い聞かせながら、水筒を取り出し、一服をする。

 イレギュラーズ達は武装を解除し、思い思いの方法で観光客を装う。そうしている間にも、お互いの戦闘陣形を確認し、少しでも有利になれるように、打ち合わせ通りの調整を行いながら。
 そうこうしているうちに数分が経ち――奴らはやってきた。

●サメ先生登場!
「ゴブ!? 前方になにかいるゴブ!」
 『シャーク海賊団』だ。海賊団にしては、略奪した食料や水を台車で引いているゴブリンの姿も見えるが。
 その7体の緑肌の亜人達――ゴブリンの一人がイレギュラーズ達の方を指差し、異変を伝える。
 武装解除したイレギュラーズ達はこれ以上無いカモに見えたのだろう、台車を置き、わらわらとナイフを持って集まってくる。
「観光客ゴブか……やいやい! そこのお前ら!」
 ゴブリンの1体がご丁寧に語尾にゴブを付けながら、ナイフにしては長い得物を向ける。
「金と食料! それと売れそうなもん! 全部おいていけ!」
 やや豪華な服装を纏ったゴブリン、間違いなくアレがシャーク海賊団とやらのリーダーであろう。
「わかりました、これしかありませんが……」
 ナイフを突きつけられたティアブラスが何のためらいもなく水晶玉をゴブリンに見せる。こっそり魔力を込めながら――
「受け取ってくれますよね?」
「そう、それゴブ! そいつを……ゴブ!?」

 光の閃光を叩きつける――だが、隣にいるゴブリンが即座に庇い、攻撃を受け止める。
「……そう楽にはいきませんか」
「す、済まないゴブ……油断したゴブ! これは観光客じゃないゴブ! 奴らの雇った傭兵団ゴブ!」
「か、かかれゴブ! サメ先生もやってしまってくださいゴブ!」

 突然の奇襲に舌打ちをしたゴブリン達が雄叫びを上げると、地響きがなり、海が唸りをあげる。
直後、飛び出したのは巨大な黒い影、その大きさは下手な建物よりも大きいほどで。
「あれがサメ先生ねぇ……煽てられていそうですけどぉ、油断しないでいきたいですよぅ」
 北斗が――おそらく『サメ先生』であろう存在を怯えながらも、立ち向かうべき相手の姿を目に焼き付ける。恐らく彼は自らのようにある程度の陸上での浮遊能力はあるのだろう、そう判断しながら。
「海で鮫と戯れるのは久しぶりですが……それにしても随分と大きいですね」
 セアラが海から飛び出したその威勢のよい姿に、思わず感想をこぼす。
「グゴガアァァァ!!!」
 巨大なサメは海から飛び上がると、まず真っ先に自分より小さなサメ――潮と彼の連れるポチを2匹睨みつけると、立派な牙が生え揃った大きな口を開く。魔導の波動が募り、如何にもなチャージ音が響く。
「やれやれ、まず真っ先に小さくて弱そうなヤツということか……これは一つ喝を入れてやらないとのう」
 直後、潮の眼前に強烈な破滅の魔法が放たれる、だが潮はポチの方をちらと見ると、サメ先生の放った魔撃の方へと向き直り、杖から放つ魔導で相殺する。飛び散る激しい閃光と爆風。だが、その体には傷一つない。
「ヒュー!アンタやるなぁ!」
 華麗に敵の攻撃を封じた潮の勇姿にカイトが口笛を吹くと、勇気をもたらす緋色の羽が舞う。潮は砂浜の外へ逃げていくポチに微笑むと、その羽を1枚取り、派手に海に飛びこんだ。続き、飛び込む3つの影。
「こいつらばっかりは本気で殺す気でいかないとまずい、ゴブ……かかれゴブー!」
 その言葉とともに、ナイフを持ったゴブリン達が残ったイレギュラーズへとわらわらと飛びかかる、その様子をダルそうに眺めたのはクロジンデ。
「数が多いのは厄介ー」
 だが、その手は迎撃の魔術を即座に編み出して、放たれるは呪いの花。容赦ない彼女の魔撃が毒の霧を生み、肺に取り込んでしまったゴブリン達が咳き込む。苦しむゴブリン達に別のゴブリン達やリーダーが声をかけ、許さぬとばかりにイレギュラーズ達にナイフを振るう。
「いいわよ~、クロジンデちゃん。おばさん達はその間にやんちゃな子を止めておくわね~」
 その様子を眺めるリゾートが、微笑みながらゴブリンのリーダーが持つ武器に狙いを定め、魔弾を放つ――弾かれた武器を慌てて空中キャッチし、リーダーがリゾートに威嚇する。
「な、何が『やんちゃな子』ゴブ! それが海賊に対する態度ゴブか!? 怖い怖いシャーク海賊団ゴブよ!?」
 確かに彼らには実力こそあれど、その様子には一切の覇気はない。カイトが不器用に指摘する。
「何が海賊だ、変にゴブゴブ言ってるし沖にも内陸にも行かねえしな!」
「うぐっ!?」「海賊やるなら沖の方に冒険しにいけよな!」「ゴブっ!?」
 図星。更に追撃のキック。メンタルも肉体も滅多打ちにされ、気絶した1体のゴブリンがリーダーの方へと転がっていく。
「……なら、貴様らを倒してから沖にいってやるゴブ!」
 リーダーの威勢の良い言葉が、海岸に響いた。


 一方、海中。巨大なサメ――サメ先生が、轟音と共に飛び込む。
 次の攻撃までゆっくり息を整え、次こそ壊滅的な一撃を浴びせるためにと――
「『サメ先生』と言いましたね。同じ海に生きるものとして皆様に迷惑をかける行為は許しません」
 美しい声、続いて水しぶきが4つ。サメ先生は唸りながら、その声の主を睨みつける。
 セアラが優雅に海中を舞いながら、変化を解除し、楽しそうに泳ぎながら勇気の唄を奏でる。海に差し込む陽の光が、彼女の鱗で散乱され、美しい輝きを放つ。
「海に逃げ込めば有利に戦える、そうお思いでしたか?」
 天罰を与えんと笑顔で微笑むセアラの周囲に3人が舞い降りる。まず北斗が素早く、次に潮がゆっくりと高度を合わせる。
「なんだ、白熊のくせになんで水中で呼吸ができるって顔してるんだ?」
 細けーことはいいんだよ!最後にエイヴァンがサメ先生の真上から飛びかかりながら、一発を食らわせる。血を吹き出しながら、吠えるサメ先生。その言葉は『崩れないバベル』を通しても意味を解することができなかったが、恐らく怒りに震えているのだろう。口から放たれる反撃の弾幕が激しく放たれる。
「さすがにぃ、おいらもぉ、捕食はさせないですよぅ……当たり前だよぅ!」
 北斗が、その弾幕の隙間を縫うようにサメ先生の懐に泳ぎこみ、渾身の頭突き。大きくよろめいたサメ先生の反撃の牙を受け、怯むも即座に癒やしの符と光が北斗を包む。
「肉体強化……少々厄介な魔法じゃが」
 投網をロープで補強しながら、潮が癒やしの神秘を行使する。その後ろで、舞うように遊泳しながら、セアラが微笑む。
「問題ありません。海種としての誇りと共に戦いましょう」
 二人は、サメ先生を捕らえんと、そして近接の二人を援護せんと、すばやく泳ぎ込み――


「ぐえあ!?」
 クロジンデの放った魔法でうまく動けずにいたゴブリンのリーダーが、威嚇射撃に足をすくわれ、ついに盛大にすっ転ぶ。リゾートがうふふと笑いながら、その右手からナイフをぶんどって。
「危ないものは、ないないしましょうね~。めっ!」
 にっこり笑いながら、即座に縛り上げていく。
「た、たいちょー!?」
 その様子を見、慌て近づいたゴブリンにクロジンデが警告する。
「用心棒先生やお仲間から離れて大丈夫なのー?」
「えっ、あ!?」
 魔力で作られた巨大な縄がゴブリンをひっぱたく、悪態をつく間もなく、ティアブラスの魔力が即座に降り注ぎ、転がされていく。
「き、貴様らぁ……!」
 縛られたゴブリンリーダーが簀巻きのまま、唸る。かろうじてたどり着いたゴブリンもカイトの短剣の餌食になり、トドメのキックを浴びてしまう。
「中々やるなあ! シャーク海賊団! でも流石にちょっと疲れてきたな!」
 楽しみながら戦うカイトにゴブリンが悔しそうに叫ぶ。
「お前らなんて! サメ先生がお前らの仲間を倒したら始末してくれるゴブ! なんせサメ先生はムテキ―」

 突然、爆音、驚くゴブリンリーダー、続いて、巨大な悲鳴。
「な、なんだゴブ!?」
 海が再び唸りだし、サメ先生が飛び出す――だが、その様子がおかしい。
 網に囚われ、その上暴れられないように光の術で縛られているではないか。
「サメ先生!?」
 飛び出したサメ先生は、同じく飛び出した北斗の尾に叩きつけられ、アタック――激しい砂嵐を巻き上げながら、砂浜に倒れ込む。
「討ち取ったり~」
 上機嫌で、潮達が海から戻ってくる。「あ、ああ……」残ったゴブリン達は、慌てふためくのみ。
「誰がムテキだって?」
 カイトが仲間に手を振りながら、笑う。
「う、うあ……」
 うわー!そう叫びながら突っ込んでいくほんの2,3人のゴブリン達。もう無理に命を奪う恐れのある攻撃は必要ないだろう。
 もうひと踏ん張りだ。砂浜を踏みしめ、8人のイレギュラーズ達は勝利に向けて、残りのゴブリン達を無力化せんと駆け出した。

●夏のゴブリン
 夕刻。
「こ、殺せゴブ!」
 ロープで縛られたゴブリンリーダーが、涙目でこちらを見上げながら強がる。その強がりも、波の音にかき消され、虚しさだけが登る。
 シャーク海賊団、確かに彼らは強力な存在であったが、それでも激戦を乗り越えてきたイレギュラーズ達には到底及ぶ存在ではなかった。

 一仕事終えたと普段着のままで温かい塩水を堪能するクロジンデ、それをニコニコと眺めながら、用意していた浮き輪と水着でぷかぷか浮くリゾート。ギフトで呼び出したラッコさんと遊ぼうと――
「あら、ラッコちゃんが二人?」
「それホバー移動の人ー」クロジンデのツッコミの直後、ぱく、と狙い通り小魚を捕まえた北斗であることに気づき、「あらあら、北斗ちゃんごめんなさいね~」と笑顔で笑う。

「いつも馬鹿にされてばかりで腹が立ったから、引きこもりのサメのモンスターを引き連れて一旗揚げようとした……」
 にしては随分と派手なことしでかしたんだなこいつら。過激な戦闘と長時間の取り調べの後に得られた真相に呆れため息をつくエイヴァン、ぴちぴちと恥ずかしそうに、網の中で跳ねるサメモンスターに対し、彼から事情を聞いた潮もまた帰ってきたポチを撫でながら一服する。
「ゴブリンは海が怖くてサメは陸が怖い……これじゃあ海岸しか荒らせないわけじゃのう」
「ゴブー!」
 恥ずかしさのあまり、海ゴブリン達の大合唱が大きくなる、上機嫌で海への平穏の歌を奏でていたセアラがそれに気がつくと、ヒレを動かしながら「そろそろ裁定を下すべきですね、神もそうおっしゃっています、天使さま」と声を掛ける。ティアブラスが頷くとゴブリン達の前に立ち、じっとその瞳を見つめる。黙り込むゴブリン達。
「本当に死にたいと思っているのですか?」
「……死にたくないゴブ」
 ティアブラスの言葉に、ぽつりとつぶやくゴブリン達。「ならば」
「ならばお助けしましょう、罪を憎んで人を憎まずです」
「天使ゴブか!?」
「見ての通り、まあ、最終的に被害者様がどう判断するかではございますが」
 もぞもぞとロープの中で拝もうとするゴブリン達にカイトが声をかける。海が怖いなら船に乗ればいいじゃないかと
「ふ、船!?そんなの誰も操れないゴブ……」
「じゃあ俺が教えるぜ!」
「丁度帰るための船を近くに止めてるしな」と言うカイトに対し「サメはどうするんだ?」とエイヴァンが質問を投げかける。
「船に載せて一緒に連れて行くぜ、あいつも少しは懲りるだろ」
「確かに、海の上にいるのに海の中に入れないのは相当来るじゃのう」
 潮がよっこらせと、サメ先生の巨体を抱える。海を堪能していたイレギュラーズ達も満足した様子であがり、ゴブリン達を船に積み込もうと、つかみかかる。
「ちょ、ちょっと待つゴブ!まだ心の準備が!」
「みんながいるから大丈夫よ~」「海賊団だろー」
 わんやわんやと運ばれていくゴブリン達、その様子を眺め、北斗がぽつりと、一言つぶやいた。
「まぁ、これで全てがうまく行ったらぁ、万々歳ですけどねぇ」

 その後『シャーク海賊団』は死者が居ない事も加味され、条件付きで無罪放免となったという。その条件は、「名を『シャーク探検団』に変え二度と悪事をしない事。その証拠として一夏をゴミ拾いとビーチのマスコットとして無償奉仕する事」というある意味厳しいものであるが……
 今では、彼らは来るべきイレギュラーズ達の招待に向けて、しっかりと歓迎の準備を続けていると言う。おまけに、案外人気が出ているようで領民も思わぬ産物に喜んでいるようだ。やんちゃではあるが根が悪いわけではないのだろう。

 かくして夏の海ゴブリン退治依頼は、『討伐』ではなく『更生』という形で終わった。今日も海ゴブリン達は、自らを救ってくれたイレギュラーズ達に感謝をしながら、自らの罪滅ぼしとしているという。

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 虎の威を借る狐とはよく言いますが、なんというか……だからって若気の至りに他人を巻き込まないで欲しいものです。
 

 それにしても、ただの退治には留まらず改心を願うとは……皆様の慈悲と努力が無ければ彼らはどうなっていたのやら。
 執筆をしながら、皆様の寛大な処置に涙を流す塩魔法使いなのでした。次の機会もよろしくおねがいします。
 リプレイがお気に召していただければ幸いです。

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