PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Shapeshifter to "RALE"

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●それは遺跡の底に眠る
「……ここが依頼にあった『怪物』が出る遺跡ね。強力な個体らしいけど、準備は十分よね?」
 『氷神』吹雪 (p3x004727)は余裕ある大人の仕草で振り返り、仲間達に問う。その拍子に、遠く離れた場所からチロチロと流れていた地下水は一瞬で凍りついた。
「大丈夫なのです。吹雪さんが持ってきてくれた情報のおかげで、情報精度はかなり高いのです」
「そーそ、フブっちの一人勝ち? じゃなかった独壇場? それも違うか。まーそういうカンジの依頼だかんね」
 『白雪』パンジー (p3x000236)と『???のアバター』エイル・サカヅキ (p3x004400)の2人はその様子を見ていなかったが、彼女の――この場に限っては――とても大人びた佇まいに関心しつつ、集めてきた情報量についても称賛を送った。情報屋経由とはいえ、そこから掘り下げたのは彼女の功といえよう。
「ここまでトラップを回避できているのは吹雪さんの御蔭ですからね。たしかこの先の『怪物』……バグの影響下にあるモンスターについても聞いていたはずです」
「練達の研究員ということですから、懲らしめて元の姿にもどします。……クマさんが」
「研究員の方も気が気ではないでしょう。早々に終わらせなければなりませんね。それに――攻撃を受けたら姿が変わるだなんて、遭遇した側にとっても大変危険で不安な存在のはず」
 ハウメア (p3x001981)は目の前に広がる闇深い通路に視線を投げかけ、ふうとため息をつく。『魔法人形使い』ハルツフィーネ (p3x001701)は腕の中の「クマさん」を抱える手に力をこめ、イデア (p3x008017)はそんな彼女を気遣うように、そっとその背に手を添えた。
「でも、変わったモンスターだよ……じゃなかった、モンスターなのね。いきなり『翡翠』の迷宮森林に現れたと思ったら、周りにいた一般NPCやユーザーを何人か攻撃してから硬直して、思い出したように遺跡に逃げていった……だなんて」
「あれぇー、フブっち臆病風ビュンビュン丸? ……なんてね、ゴメンゴメン。あーしも『変わっちゃう』のは怖いかんね」
 エイルは思い返すように情報を紐解く吹雪をかるくからかうと、自身も思うところがあるのか、わずかに目を伏せた。
 今、こうやって『ネクスト』に降り立っているイレギュラーズは大なり小なり(というか全員『大なり』に該当するが)自分の身を変えている。その姿が、さらに違う、なにものかもわからぬものに変わったなら。
 それこそ、自分が考えつかないなにかとんでもない怪物めかしたものに変わってしまったのなら。
 それはそれで謳歌できている一部の者とちがい、全員(アバターだけを見れば)女性だ。繊細な感性の持ち主であることは疑いようもなく、今の姿には思い入れがあるはずで。
「この姿が変わるのは……怖いですね。私のほしかったものは、これだったかも、なんて想いますし」
 ハウメアの目がふせられ、その意味深長な感情が揺れるのを他の5人は感じ取った。偶然とか思い入れとか、それぞれのアバターにあるのだな、と。

 そういう、エモ散らかした主題であればまーこれからエモでエモなひとり語りの乱舞から敵の能力がなんかすごい心情系だったのになー。

●彼は言った。「それが君の本当の」、
 そのモンスターは、人の姿、その残骸を上半身に貼り付けながら、不定形のスライムが体組織の7割を占めていた。小さい人の上半身に、巨大なスライムがくっついているカンジといえば分かるだろうか。
 そこから飛び出した触手は絶えず振るわれ、飛沫を散らして周囲に襲いかかる。ビタンビタント地面を叩くことで、頭上から瓦礫を落としたりもする。どころか、体液のついた瓦礫でより強力なダメージをも叩き込んでくる。
 成程、このバグモンスターの危険性は折り紙付きというワケだ。だが、吹雪はここで首をひねった。
「おかしいわね、聞いた話だともうちょっと人の形がのこって」
 ビチャリ。吹雪の髪を僅かに触手飛沫が飛び跳ね、その頭を僅かに濡らした。
「……るって聞いたのにこんなに強くなってるなんて思わないじゃん! ボク悪く、…………、………………」
 その髪先は僅かに赤色を呈し、彼女の持つ美しい白と蒼のコントラストに違和感を添える。
 びちゃり。
 エイルの腹部にしとどに粘液がひっかかったが、肉体的な変調は――起きていない。ということにしておこう。
「きゃっ?! 何よぉ、も…………」
 ン゛! ン゛ン゛ン゛! と力いっぱい喉を鳴らしてから、エイルは周りを見た。
「ボクは悪くないよ!」
「あ、あああああああ、あーし全然ボロ出てねーし?!」
「クマさんは『出てる』って言っています」
「違います、そうではないのです、ハルツフィーネ様」
 焦る2人に冷静に突っ込むハルツフィーネに、イデアが止めに入った。
「『あのお2方が誰だか知りませんが』、私達も明日は我が身ということです!」
 ……そう。そろそろおわかりだろう。
 ここに現れた巨大なスライム状の敵に攻撃を受けた者がうけた『変化』の正体。
 それは――『アバターなら、本来の姿に強制的に変わってしまう』特性をもつ敵なのだ――!!

GMコメント

 これ、まかり間違えばエモ方面に話を触れたのでは? 与太にしないほうが良かったのでは?
 え、そんなものは求めてない? そう……。

●成功条件
・夢崩シェイプシフターの撃破

●失敗(はしないけど今後に差し障る)条件
・相手指差して「お前アレだろ」って言っちゃうこと。リアルネームを出すこと。

●夢崩シェイプシフター
 OP通りの外見、能力を持ちます。
 特に攻撃面では粘液には強力な毒を有し、麻痺毒や封印などの効果を付随してきます。
 遠近自在、わりと回避も高いので封殺BS押し切りみたいなことは難しいかもしれません。
 ある程度の苦戦を覚悟しましょう。

 ……みたいな建前はいいって? よかろう。

・攻撃を受けた際、一定確率(中~低確率)で「ヒットした部位」の姿が『リアルの姿』に似通っていきます。
 頭身が極端に本物と違う場合、それに伴いちょっとだけサイズが本物に寄ります。
 口調を演じている場合、まれに本人の口調に寄っていきます。演じようとしても貫通することがあります。

 なお、本人バレに近づけば近づくほど相手に大して与えるダメージが増えます。
 無理くりRPを続けるほど補正値が上がっていきます。
 あとはわかるな?

●戦場
 遺跡内・バトルフィールド。
 広さは十分ですが、破壊を伴う敵の攻撃の量次第では遺跡が崩落します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • Shapeshifter to "RALE"完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月21日 22時35分
  • 参加人数6/6人
  • 相談6日
  • 参加費---RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

パンジー(p3x000236)
今日はしたたかに
ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
ハウメア(p3x001981)
恋焔
エイル・サカヅキ(p3x004400)
???のアバター
吹雪(p3x004727)
氷神
イデア(p3x008017)
人形遣い

リプレイ


「情報精度の高いクエストじゃなかったの!? なにこの地獄絵図!」
「いやこういうイベは元の姿と向き合って一皮剥けて上級職ジョブチェンのフラグっしょ!?」
 『白雪』パンジー(p3x000236)はアバターとしての口調をかなぐり捨てて叫んだ。多分スライムのせいだな、そうに違いない。速攻で影響食らった『???のアバター』エイル・サカヅキ(p3x004400)が驚くべきリカバーの速さでギャル語に戻してきているから、多分ちょっとやそっとじゃ影響を受ける時間が限定されるはずなのだ。現に、パンジーの身体特徴は「まだ」本人に寄ってはいないのだから。
「ち、違うんだよ! ボクもこんな風になるだなんて知らな」
 ゲフン、ゲッフゲフッ!
 そんな激しい咳込みをした『氷神』吹雪(p3x004727)とかは影響を受けやすい特異な例なのかもしれないけど。見れば周囲のつららも秒で溶けているが、スッと姿勢を正したことで再び氷結範囲が広まる。難儀な能力だなあ。
「どうやらずいぶん厄介な相手のようね、皆で協力して早く倒しましょう。私は遠距離で支援するわ」
「と、兎に角早急に、速やかに、粘液に触れずに、奴を討伐しましょう! 私の得物は弓なので遠距離攻撃ですね!」
 吹雪は気を取り直してキリッとした顔で私は前に出ませんよ、絶対攻撃から逃げるぞみたいなツラをしてすすっと下がっていく。ハウメア(p3x001981)も手の弓をこれ見よがしに見せつけながら仲良く後退しようとしていた。この往生際の悪さは高い芸術点を狙えそうだ。
「ここまで私は関係ないという顔をしていましたが、この敵は良くないのでは??」
「身バレなんてしてしまったら今後の活動に差し障りがありますので全力で回避させていただきます。ええ、全力で!!!」
 なお、運命的に前衛張らないとちょっとアレげな『魔法人形使い』ハルツフィーネ(p3x001701)と『人形遣い』イデア(p3x008017)なのだが、両者ともにクマさんと黒騎士人形というデコイが存在するわけで。存在するんだけど、それらが仮に消えてしまったら攻撃手段が消滅する(ことはないだろうが、挙動は大きく変わるだろう)。
「あ、マジハウっぴはお口チャックでよろ」
「お口チャックしますからっ、そんなに睨まないでくださいっ」
 エイルはハウメアに顔を寄せると、マジ気味の表情と声のトーンで口止めを迫った。2人仲良く地獄を見ている手前、あれの再現など死んでもごめんということだろう。アレについては何も知らないが。そういうことっぽい。
「かくなるうえは皆を犠牲にしても守り通さねば……」
「キュートなクマさんでもって全力で黙らせなければ」
「ダメージはともかく身バレは絶対にNO! NOです! なにしろ正体バレ以前に戦闘手段がなくなります!」
 パンジーの言葉はどこか腹黒気味で、直後に振りまいた笑顔がどこか寒々しかった。ハルツフィーネはそのスキル特性的に、身バレなんぞしようものならギャップでデスペナルティものだろう。
 イデアはそもそも、手をやられると剣を握ってしまいそうだから駄目だ。人形の糸まで切ってしまう。
 三者三様、絶対に負けられない理由(大体不純)がある辺り非常に似た者同士感がなくはない。それ言ったら全員身バレは危ないのだが。

●完璧な作戦だ。成功するんならな!
「アタシが避けて気を抜いてる後衛に当たればいいんしょ! 解決!!」
 エイルは勢いよく踏み込むと足取り軽やかに触手の猛攻を避けていく。『当たらなければどうということはない』とは先人の知恵だが、ネクストに於いて高められた能力はその無茶振りを(ある程度)可能にするのだ。
「とにかく、アレを早々に倒してしまえばいいのです。いきます!」
 パンジーも接近戦に長けている(というかそれしかない)以上は退くという選択肢がない。社会的なあれこれを考えると、パンジーのダメージは上から3番目くらいにデカいと思う。意外と下の方だな。
「ところでエイルさん、お気づきですか」
「デアっち今ちょっと躱すのに忙しいから後にして!」
 イデアはエイルに問いかけ、エイルは即座に回答を拒否した。いいのかなあ、とイデアは思う。けっっこう重要な話なんだけどな。
「あの速度、あの手数。全員に向けられてお釣りがくるそれを、仮に1人で受けたらどうなると思います? 多分、望ましくないお話ですが……」
「え゛」
 それってつまり……回避するにも限度があるってコト?
「それはそれで楽しそうですが、今はそうも言っていられません」
 エイルがギエる前に、横合いから伸び上がった爪がシェイプシフターを叩き切る。表面が裂け、弾力のある粘液が辺りに飛び散った。そう、辺りに。具体的には『自域』くらいの範囲にびしゃって。
「ぶっちゃけあーし達にかかりそうになったことだけ目をつぶればハルっちナイスゥ!」
「私まで巻き込まれそうになったからついうっかりで盾をイデアさんに向けちゃったじゃないですか!」
「パンジー様、後でお話が……ある、ではない、あります」
 エイルはギリで避け、パンジーはカイトシールドでイデアに押し付けていた。背で受けたイデアは辛うじて即座に分かる変化はなかったが、言い切り口調になったので慌てて軌道修正。そうでなくても背中が濡れ透けとかマニアックがすぎる。
「ハルツフィーネさんの攻撃で動きが止まったわね。今のうちに全力で凍らせてしまえば流石に少しは動きが鈍くなるはずよ」
「私の得物は弓ですから距離を取るのは当然で仕方のないことですね。イヤー前衛ニ貢献デキナクテ辛イナー」
 吹雪は一瞬ながらも動きを止めたシェイプシフターに冷気を叩き込み、ハウメアは棒読みしつつ矢継ぎ早に射撃を行うことで逃げ場を奪い、シェイプシフターに地道に、しかし着実に手傷を与えていく。両者の攻撃精度、威力、方策、どれをとっても一線級のイレギュラーズを想起させる徹底ぶりだ。想起するだけでビギナーかもしれないんだけどね正体がわからないから。
 しかし、そのような戦い方が必ずしも奏功するとは限らない。吹雪の放った冷気は対象を凍らせ得るものだったが、スライムのような粘着質の液体は凍りにくいものと相場が決まっている。
 そして、表面が半端に凍ったそれに刺激を与えればどうなるか……聡明なハウメア(の本体)なら普段は違えなかった筈だ。
「あら? 思ったより凍らない上に触手がぐねぐね曲がって私の方へ!?」
「えっちょっなんで砕いた破片が粘液になって飛んでくるの可笑しくない?! ……ン゛ッ!」
 2人とも実力はあるのに自分がまだ社会的に死なないと思っておられる。危機感が足りない。一直線に向かってきた触手は吹雪の体をひとなでし、飛び散った粘液はハウメアの髪に軽くかかった。
 おお、天よ地よ周りの者よ、見るがいい。ハウメアの髪色はうっすら銀のなかに金を帯び、吹雪に至っては先程までああも豊満だった胸がサラリと消えているではないか。
「ボクのお胸がボクのサイズに?」
「『ボクのサイズ』……ぷっ……ふぶっちかーわーいーそーぉー↓↓」
「人を呪わば穴二つとはよく言ったものですね。余裕を見せているからそうなるのですよ」
「前に出て戦う私達はこんなに無事なのnぶふぅーっ!?」
 エイルとイデアの余裕ぶっこいた挑発行為に乗っかろうとし、しかしパンジーは顔から粘液をバチクソに被ってしまった。何故か顔は『パンジーのまま』で、頭身がやや上がっているし衣装も修道女ナイズされている。だが猫耳は消えない。いっそ殺せ。彼女は心の中で叫んだ。
「運命が敵に味方しないかぎり、私の連続攻撃で動きが止まらないなんておかしいのです。一心同体となった今、クマさんの爪は二度と過ちを許さず敵を倒し」
 ハルツフィーネは余裕綽々といった調子で遠間から爪による連続攻撃を続けていた。クマさんフォームで気合の入った彼女のクローは間違いなく、威力はトップクラス。動けなくなった相手には余裕で勝てる筈だった。
 筈、で留まったのは彼女が19時頃から2時間かけて演じられるダイアモンド上での点の取り合いとか見てる(かもしれない)が故の選択だからだ。
 だが、彼女は遠方から叩き込めばとか、動きを封じればとか、まあ取り敢えず無事でいられる、無事のまま生き残れるだろうと自分に言い聞かせたのだ。
 ……それはとても、普段ならありえない危機管理能力の欠乏であり。
 きっと全員、イイカンジに抜けているのであろう。そんなハルツフィーネを諌めるでもなく、その耳に誰のものともしれぬ――とても優しい音色の――『ごめんね』が聞こえた気がした。

「あ、後ろにもパない敵がー」
「後ろからなの?!」
「なんなのよっ、もう……!」
 エイルの棒読みとしか思えない声につられて振り返った後衛達は、完全に騙される形でシェイプシフターの攻撃を受けてしまった。
 ついでに言うとパンジーも巻き込み事故に遭った。


「パンジーぽよごっめーん☆」
「何てことするのですか?! こんな……それなら……」
 エイルのわざとらしい誘導に引っかかって被害を被ったパンジーは、どこか大人びた『声色』で彼女を批難する。だが声に気づいて喉に手を当て発声練習に入った姿は隙だらけだ。スライムとてそんな相手を見逃すつもりはない。
 だが、それがブラフであったなら?
 カイトシールドで真正面から受けるかのように身構えたパンジーは、しかし着弾に合わせて身をひねり、吹雪の方に粘液を弾き飛ばした。
「うわっぷっ! クラ……じゃなかったパンジーさんは何しちゃってるの? じゃなかった、何するんですか!」
 吹雪はだいぶ頭身が下がった身で抗議するが、パンジーはそんな相手に目もくれず自己暗示気味につぶやいている。
(私は修道女。何があっても動じない冷静沈着さを兼ね備えた神の使徒……)
 パンジーはアバターとしての設定をかなぐり捨てて己の「本質」に訴えかけ、まだいけるまだやれると自分を賦活する。髪色はともかく服装がどことなく修道女みを帯びたワンピースになっていたり頭身ちょっと上がったね成長期かな? みたいなナリだが、仲間達よりはバレかたが露骨ではない。
 ぶっちゃけ彼女以上にやべーケースがそこら中に転がっているともいう。
「私はハルツフィーネよ……、ではない、『です』!」
 クマさんの意図せぬ裏切り(語弊)によって銀髪の一部に茶が混じり、どこか表情が柔らかい童女のものからちょっとスレ気味の年頃の女の子感出てきたハルツフィーネが慌てて語尾を訂正する。壁になって攻撃を受け止め(た部分がうっすら質感を失っている)クマさんは、その姿を見て申し訳なさそうだ。そのお返しとばかりにビームを撃つ姿が哀愁を誘う。
「クソ、なんで私まで巻き添えを食らうのだ! こうなったら叩っ斬……ゴホン、私の黒騎士が微塵にして差し上げます!」
 これまで高い抵抗力で自分を保ってきたイデアだったが、さしもの彼女も攻撃を受け続ければそうはいかない。柔らかい物腰を(一瞬だけ)かなぐり捨てて腰に手を伸ばした彼女は、慌てて操り糸に意識を引き戻す。
「ちょ、ちょっと何するのよぉ><」
 エイルは先程からがっぱがっぱと酔拳の為に酒を呑んでいたわけだが、その内訳とノイズ混じりに変化した髪の色との対比を見れば、恐らくは誰もが『彼女』に思い当たったことだろう。その、うわキツにギリギリ入らない可愛らしい反応も『それ』だ。
「へ?? いやほらこういうギャルがちょっとかわいい一面見せるのとかも計算の内よJK」
「流石にそれは通らないと思うぞ……じゃなかった、思うのですが」
(やっぱり『お酒で髪の色が変わるAさんと無骨で金髪のBさん……!)
(あの修道服って……だよね! ボク知ってるんだ!)
(私の正体はまだバレてないわね、クマさんクマさん言ってるのが好きでやってるなんて思われたら……)
(まああれは絶対にあの子よねっ……かわいい一面があるのね……)
 エイルの凄絶な自己弁護に即ツッコミを入れたイデアだが、彼女は彼女でメイド服以外の部分(主に顔とか)がだいぶ中身に寄ってきているし口調も無骨なものになりかけている。というか他の面々も口にしないだけで互いの素性をなんとなくで察しつつある。一番絶妙にバレにくい造形っていうか分かりにくい諸々なのはハウメアなのだが、翼を片方もっていかれている姿はこう、周囲がネタにしづらい構図感ある。
「この……スライム風情がなんて事してくれるのよぉッ!!!!」
 なお、ハウメアがガチれば結構天井とかブチ崩れるし崩壊オチなんてサイテー! みたいな話になるのだが、みんな仲良くデスペナ負ってもリスポン地点は地上だ! カクゴシロ!
 攻撃を与えたり受けたりしてやや小さくなり、どこか幼女めいた可愛さを獲得していたスライムは崩落に巻き込まれ千千に潰れた。一同はリスポン地点で呆然としていた。
「何とは言わないけど希望ヶ浜の赤提灯集合ね。いや誰が来るか知らんけど6人席予約しとくわ」
「理由は何とは言いませんが、お互いの為にも、ね?」
「あっ、あのお店だね! わかったよ! ではなく、わかったわ」
「気は進みませんが。逃げて私がいない所で話をされる方が怖いです、ね」
「で、この忌々しい状態はいつまで続くんだ……でしょう?」
 エイルを始めとして赤ちょうちんのお店を思い出す中、イデアが自らの姿を指差す。敵を倒せば状態が戻るのは日曜朝の定番だが、今は土曜夜である。
「とりあえず笑っておけばいいですかね。うふふあはは。あっ、あそこにシェイプシフターの残りの破片が」
「「「「「死にさらせェェェェェェ!!!」」」」」
「ボクの胸を返して!!」

「心のパンドラ使用ないの?」
 そこになければないですね。

成否

成功

MVP

ハウメア(p3x001981)
恋焔

状態異常

パンジー(p3x000236)[死亡]
今日はしたたかに
ハルツフィーネ(p3x001701)[死亡]
闘神
ハウメア(p3x001981)[死亡]
恋焔
エイル・サカヅキ(p3x004400)[死亡]
???のアバター
吹雪(p3x004727)[死亡]
氷神
イデア(p3x008017)[死亡]
人形遣い

あとがき

 敢えてREALを崩してRALEって書いたんですけど、まあそれっぽい感じで崩れたシナリオでしたね。おもに体のバランスとか。
 MVPはみんななんとなく分かっててもなんか言いづらいで賞。

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