PandoraPartyProject

シナリオ詳細

お届けします、その荷物。

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――繁忙期。
 それはどんな世界でも、どんな業種でも起こり得るものだ。

 とある業種では届いた大量の荷物を区別に仕分けて。
 とある業種では沢山の絵を描いては色んな場所に納品して。
 とある業種ではイベント開催のために工数を増やして品を作って。
 とある業種では突然やってくる者達に向けての講師を行って。

 とにかく、業種によって時期は違うものの繁忙期というのはやってくる……。


 異能力世界、エルグランデ。
 通常の現代日本とさほど変わりないが、人々は異能力を扱うという世界。
 ここでも繁忙期は訪れていた。

 異能力があったとしても、どうしても出来ないことが1つだけこの世界にはある。
 それは……荷物の配達。

 長距離移動系の能力ある人なら余裕なんじゃないの? と思うだろうが、この世界での移動能力は場所を知らないと行けない。
 そのため長距離移動の異能力を持っていたとしても初めて行く住所には自分の足で向かわなくてはならないのだ。

 そして……今回。最悪なことに配達員に不足が出始めた。
 このままではやばい! と募集をかけていても、追いつかないレベルで荷物が増加し続けているのだ。

 増える増える、小さな荷物や大きな荷物。
 このままいけば、エルグランデの配送業者が荷物で死んでしまう!

「誰かァ~! 助けてェ~~!!」

 名も知らぬ配達人の叫びが、何処かに響く……。


 境界図書館にて、1人の男が本を広げてイレギュラーズ達を待っていた。
 彼――エーリッヒは柔らかに微笑むと、こんな事を言いだした。

「皆さんにはこれから配達員になってもらいたいんですよ。お給料は境界の名声って形で」

 すごくメタな話をされた。
 が、詳しく聞いてみればマジでやばいので、手助けが欲しいという。

 配送業者は今の時期、大量にやってくる荷物を仕分けて運び出しを行わなければならないのだが、配達側の人数の手が足りなくて配送センターに荷物が溜まっているのだという。
 このままでは荷物の配送が出来ず配送センターに溜まってしまい、下手すれば圧死者が出てしまうかもしれない……ということで、急遽イレギュラーズ4名を派遣することになったという。

「皆さんの持つスキルなら、なんとかなるんじゃないかなぁと思いまして。あちらの世界には無いやり方で荷物を運べば、きっとすぐに終わりますよ。ええ、きっと」

 ゆるく言い切ったエーリッヒ。
 本当に大丈夫だろうなぁ? という気持ちを持つかもしれないが、まあそれは置いといて。

 突然任命された配達人・イレギュラーズ。
 果たして彼らが足を運ぶ先は――。

NMコメント

 はじめましての方ははじめまして、御影イズミです。
 エルグランデは初めて行くから住民の住所なんて知らない?
 大丈夫、何故か知らないけどイレギュラーズはエルグランデの住所が頭の中にある。
 なぜだろうね。

 今回のシナリオは配達系のものとなり、4つの地区のうちの何処かへ配達に向かうというシナリオになります。
 下記の特殊ルールを読まれた上でのプレイング投稿をお願いします。

◆目標
 選んだ地区へ荷物を全て運ぶ。

◆特殊ルール『地区』
 プレイングの1行目に以下に割り振られた番号を書いてください。
 同じ番号が重なっても問題ありません。

 地区ごとにダメージを伴わないちょっとしたハプニングと、ちょっとした嬉しい出来事が待ち構えています。
 なおここに記されていなくとも、起こって欲しいハプニング・嬉しい出来事が思い浮かびましたらプレイングに記載していただくと起こるかもしれません。
 地区は以下の4つのみです。

 1:住宅街
 様々な住人に宅配が遅いと怒られたり、突然の猫に引っかかれたり。
 でも美味しいものを食べれます。

 2:森林地区
 生い茂る森の中で迷ったり、突然のキノコに幻覚見せられたり。
 でも珍しい植物が見つけられます。

 3:山岳地区
 いつの間にか降ってきた落石で道が塞がれたり、突然のタカにつつかれたり。
 でも珍しい鉱石が見つけられます。

 4:海岸沿い
 知らぬ内にやってきた突然の大津波に襲われたり、突然のサメが襲ってきたり。
 でも珍しい魚が見つけられます。

◆サンプルプレイング1

 1
 住宅街で猫に追いかけられながらも、必死に住人への荷物を配達するよ。
 あ、配達中に美味しそうなレストランとかないかな? 帰り道に行けそうなところ。
 今日は何も食べてないから、仕事が終わったら思いっきりご飯を食べるんだ!

◆サンプルプレイング2

 4
 なんかサメがやってくるって聞いたからこっちのルート選んだけど、本当に来るのかな。
 って言ってたらマジで来たァ!! うわ、流石に荷物守らなきゃ!!
 どうにか追い払って荷物だけは死守するぞ!!


 説明は以上です。
 物語の続きを、楽しみにしております。

  • お届けします、その荷物。完了
  • NM名御影イズミ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月05日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール
葛籠 檻(p3p009493)
蛇蠱の傍
緋翠 アルク(p3p009647)
知識が使えない元錬金術師

リプレイ

●住宅街へお届けします!
「来たことは無いのに、地図が思い浮かぶ……不思議だねえ」

 預かった荷物を馬車に詰め込むクルル・クラッセン(p3p009235)は、頭の中にあるお届け先の地図に不思議な感覚を覚えていた。
 この世界は文字通り『頭に地図を叩き込む』。そのおかげで馬車も止めること無く進めるため、クルルは自分が持てるサイズの荷物を目一杯詰め込む。
 重い荷物は? と他の配達員に聞かれれば、クルルはちょっと可愛げのある表情で答えた。

「すごーく重いのは無理! おばーちゃんだから、ぎっくり腰になっちゃう~!」

 ……本来なら持てるが、軽い方が楽なのでとは彼女の言葉。


 住宅街は現代日本と変わりなく、整列された家が並んでいる。
 似たような建築物が多くて目まぐるしさを覚えながらも、なんとか1件目を見つけたクルル。インターホンを鳴らし、出てきたおばあさんに荷物を配達した。

「あらあら、ありがとねぇ。よかったら、冷たいお茶を飲んで行きなさいな」
「……えーと、それじゃあ……」

 飲んで行きなさいと言われて、ちょっと断れなかったクルル。ご厚意に甘えておばあさんのお宅に上がり、冷たい麦茶を頂いた。
 すると今度はお茶菓子を頂いたので、食べずにはいられなかった。そこからおばあさんとの会話が始まってしまい、約1時間ほどは滞在してしまう。
 しかし滞在が長くなったと気づいたクルルは慌てて立ち上がり、急いで配達に戻った。おばあさんに沢山のお礼を言って。

 当然、次の配達先では怒られてしまった。
 今回の遅延は大元の配達が遅れているからとは言え、先程の分で遅れているのもあって誠心誠意謝る。
 次も、その次も、たくさん。

 やがてクルルはこのままでは間に合わない! と判断。
 軽いものをファミリアーに頼んでポストに届けてもらい、小包などをクルルが運ぶという分配手段で配達を乗り切った。

「はぁ……なんとか、配り終えたかな……?」

 少々疲れ気味なクルル。住宅街に近いショッピングモールに足を運ぶと、突然、ぱんぱかぱーん! と何かが鳴り響く。
 どうやらクルルは10万人目の来店らしく、モール内にあるアイスクリーム店の無料引き換え券を渡される。
 怒られたり、間に合いそうになかったりと色々あったが、そんなことも吹き飛ばすほどの幸運がクルルに訪れたのだった。


●森林地区へお届けします!
「ふむ……」

 森林地区を担当する緋翠 アルク(p3p009647)は周囲の状況を確認しつつ、草をかき分けて歩いていた。
 珍しい植物があるとは聞いているが、その植物を実際に目にしたことはない。配達がてら、見つけることが出来ないだろうかと辺りを散策していた。
 しかし彼は気づかない。その散策がよりによって迷子の始まりとなろうとは……。

「ん、これは確か食薬に使えるな? いくつか摘んでいくとしよう」

 錬金術の素材に使えそうな草花を摘みながら、アルクは森林内を探索する。本来の目的である配達を忘れてはいないのだが、目の前のお宝を無視することは出来なくて摘み続けていた。
 ついでにと茸類を採っていくアルク。毒茸は避けて出来るだけ食料になるようにと確保しながら森林の奥へと進む。
 故に彼が歩いた道は摘まれた草花で溢れているため、帰り道はわかりやすい。……はずだった。

「……おっと?」

 一度足を止めたアルクは、周囲を見る。前へ進んでいるはずなのだが、一向に視界が拓ける様子がない。
 おかしいなと気づいたのは、先程入手した薬草が同じように生えていることだ。
 これだけならば別の道に来たかと考えるかもしれないが、アルクは念の為にと周囲の草を結んでいたため、結ばれた草を見て迷子だと気づいた。

 森林地区は迷子になりやすいとは聞いていたが、まさか草花が誘導しているとは。
 どうしたものかと悩んでいると、ふと目の前に何やらふわふわしたものが見え始める。
 ――これが幻覚であるとは、アルクは気づいていないのだが。

「おや、どうした? 迷子か?」

 迷子になってる本人が言う台詞ではないのだが、どうやらアルクには幻覚で目の前に迷い込んだ誰かが見えているようで、親しげに会話をしている。
 その様子は傍から見れば、常軌を逸したものに見えるだろう。しかしこの森林地区ではよくあることらしく、通りがかりの村人がアルクに声をかけてきた。

 朗らかに笑う村人はアルクに道案内をし、森の特性についても語る。
 この森は古くから村を守るために外敵を排除する異能力を持ってしまった草花が生えており、通る際には特殊な香を持ち歩く必要があるそうだ。
 しかし今回は臨時の配達ということで香を配る余裕がなかったため、アルクは迷子になったのだと。

「なるほど、そういうこともあるのか……」

 勉強になったなと呟きながらも、アルクは村への配達を終わらせたのだった。


●山岳地帯へお届けします!
「あれだけの荷物ならば、皆各地を巡るほうが佳い。それぞれ得意な部分を活かすことが出来れば、万々歳となるわけだな」

 ひょいひょいと岩壁を蹴って道を進む葛籠 檻(p3p009493)。彼はところどころ道なき道を歩まねばたどり着けない山岳地帯を進んでいた。
 細かな砂が風に乗って視界を妨げ、小さな石が檻の足元を少しずつ妨害してしまい進みづらい。
 しかし檻はもともと山生まれなため、このようなトラブルには慣れている。足を取られないように小石を避け、風が強くなったら一度止まって収まるのを待ってから先へ進む。
 時々、タカやハヤブサといった猛禽類が檻の腕に肩に止まってはくちばしで突いてくるのだが、ただのじゃれ合いだろうと気にしなかった。

 やがて彼の足が山頂付近に辿り着いたところで、村人達が檻に向かって手を降っているのが見えた。
 配達物を待ちわびているからだろうと少し微笑ましく思っていたのだが……彼らの表情は、焦りに満ちていた。

(ん、なんだろうか……?)

 村人達の声は風にかき消され、よく聞こえない。しかし檻に向けて何かの注意をしているような、そんな雰囲気が伺えた。
 一度止まって周囲を見渡す。村人達の動作をよく観察すれば、指差す先には少しはみ出た岩の形が見えた。

「……あれは」

 なんだろうかと口にしたのも束の間、風が大きく檻の身体を揺らす。それと同時にはみ出た岩がぐらりと揺らいで崩れ落ち始めた。
 流石にこれは食らったら死ぬだろうという大きさの岩は真っ直ぐ、曲がること無く檻に向かって落ちてきた。

「ならば、そうさな。こうするほうが良いであろう!」

 ぐっと拳を握りしめた檻は、降り注いでくる巨岩に向けてその拳を突き立ててぶち壊す。こうすりゃ早く道は作れる。
 焦りに満ちていた村人達の表情は檻のその行いに驚き、そして何か見間違えたのではないかという顔をしていた。
 そんな村人達の驚きなど気にすること無く、檻は村の入口にまでたどり着くことが出来た。

「さあ、お届け物であるぞ」

 檻の天真爛漫な笑顔の宅配便は、無事に終わらせることが出来たのだった。


●海岸沿いへお届けします!
「超能力も万能じゃないんスね……。でも確かに、場所を知らなきゃ移動できねぇのは理にかなってるか」

 海岸沿いの村に向かっている日向 葵(p3p000366)は、頭に叩き込まれた地図と一緒に複数の配達物を抱えて走っていた。
 いつもならボールと一緒に出向くのだが、今回は急がなければならないことと、両手が塞がっているのでお預け。置いていくこととなった。

 波打ち際から距離を取った位置を走り、急ぐことを心がける。それでも砂が靴を奪って走りづらい。
 葵はこの状況が、昔に参加したビーチサッカーに似ているなと思い出した。今日はボールを置いてきたのでもう一度同じことをやるには叶わないが。
 それでも多少の訓練にはなると、嬉々として走っていた。

 だが……葵が海岸沿いの村に近づくにつれて、徐々に雲行きが怪しくなっていた。
 何やら水平線の向こうが真っ黒な雲に覆われはじめ、ゴロゴロと雷の予兆を示し始めた。

「おっと……アレは」

 ゆっくり揺れていた波が、ずるずると大きく引いていく。
 葵は直感的に理解した。『津波が来るぞ』と。

 だがこの海岸沿いのハプニングはそれだけではなさそうだ。なぜなら、葵の目には《サメ注意》の看板が映されている。
 大きくうねりを上げた波の中から、なんだか見慣れたような見慣れてないような背びれが浮かぶ。なお葵とは結構離れているというのに、超デケェ。

「うわぁ……流石にこっち来る前に走り抜けはー……無理か」

 ちらりと村の方面を見るが、まだまだ走り抜けるには遠い。しかも津波の速度も半端なく、サメもめっちゃ海面から飛び跳ねてこちらの様子を伺っている。
 ならば到達に合わせ迎撃するしか無いと、葵は周囲を見る。程よい高さの崖を見つけた彼はサメが再び海面に上がったときに少し挑発を入れ、到達速度を早めた。

 津波が葵に到達する直前、足に思いっきり力を込めて程よい高さの崖に登って津波を回避。大きく打ち上がった水しぶきに合わせてサメが到達すると、先手必勝と言わんばかりに超加速したキックで蹴り飛ばした。

「テメェは海で大人しくしてろっての!!」

 遠くに吹っ飛んだサメは水平線の向こうまで飛んでいき、津波もサメが吹き飛んだことで和らぎ始めた。波が少しずつ引いてきたところで、葵は砂浜に何か煌めくものを見つけた。
 拾ってみればそれは虹色の貝殻。綺麗だし、記念に持ち帰ろうと手に持って配達を続けた。

 村に到着し、配達物をしっかり配る葵。そんな中、先程手に入れた虹色の貝殻を見て村の人々が驚いていた。
 コレクターの間では伝説となっている幻の虹色の貝殻。それを目の当たりにしたのだから。

「……え、コレクターの間で伝説の……」

 驚く葵は固まったまま、村人達から伝説の人だと持ち上げられるのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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