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シナリオ詳細

とある劇団の不幸な一日

完了

参加者 : 5 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング



 ここは無辜なる混沌とは異なるが、少し似てるファンタジーの世界。
 洋風の建物が建ち並ぶ様はまるで幻想のようだが、お国柄は戦争を禁じ武装を捨てた国だった。
 だから、誰かを傷つける行為は等しく「罪」であり「罰」を与えられる。

 そんな国での娯楽と言えばその国中を廻るサーカス劇団『ムーンリット』だった。
 彼らはジャグリングや空中ブランコ、猛獣使いなどの様々なパフォーマンスを駆使し、少しずつ知名度を上げていった今や国内外屈指のサーカス劇団だ。
 そんな劇団は今日も今日とて開演時間を待っていた。

 ──が。

「うわあぁぁ!!」
「な、なんだなんだ?!」
 突如聞こえてきた悲鳴でその一日は始まる。
「おいどうしたライド!」
「す、すまねぇ……受身を取り損ねて……足が……っく」
「おいおい……もうすぐ開演だぞ?!」
 ライドと呼ばれていた男の足は、彼がどんなに踏ん張っても動いてくれそうにない。どうやら空中ブランコのリハーサル中にそこから安全ネットへ落ちてしまったようだった。幸い落命はしなかったものの着地に失敗したと言うところだろう。
「だ、団長〜」
「なんだアネッサ! 今取り込みちゅう……」
「リーナがパフォーマンス中に倒れたの!」
「はぁ?!」
 今度は団体型パフォーマンスをしていた一人が体調不良を起こしたらしい。
「団長……」
「今度はなんだ!! って、ピーター! なんだよ、その腕は!?」
「へへ、へまっちまったぜ……今日はジャグリング持てそうにねぇ、かも」
 今度はジャグリングを担当する男が、腕に包帯をグルグルと巻いた状態で現れた。
「一体全体今日はどうなってやがる?! 開演時間はもう間もねぇんだぞ!!」
「ここはやはり中止にすべきでは……」
「いんや……もう客は入り始めてるんだ、今更……」
 どうしたらいい? どうしたらいい? この劇団の団長が周囲を見渡して……つい、あなたと目が合うだろう。
「……お前、舞台に上がれ」
 え?! と声を上げるあなたに団長は有無を聞かない。
「このサーカスはたくさんの人々が待ってるんだ、中止になんて出来るわけがねえ……。お前なら出来る、俺や他の団員も全力でサポートしよう! ……やってくれ、頼む!!」
 全力で頭を下げるあなたが下した答えは──。





 ──少し前、無辜なる混沌は境界図書館。
「団員が次々に負傷するサーカス劇団のお話なんだよね……」
 一冊の本を手に取り静かに話し始めたのは境界案内人のセイジ。
「今回はその負傷した劇団の代わりにパフォーマンスをするお仕事……になる、かな?」
 あ、大丈夫! パフォーマンス技術とかはこの世界に行ったら自然と身についているから! と付け足しつつ
「普段の自分じゃ出来ないパフォーマンスも出来るかもしれないし、気楽なお仕事になる気がするんだよね。ね、どうかな? 行ってきてくれるかい?」
 セイジの問いに頷いたのは五人の特異運命座標だった。

NMコメント

 月熾です。
 この度はリクエスト、ありがとうございます。

●目標
 サーカスを盛り上げよう!

●出来る事
 ジャグリング、空中ブランコ、団体型パフォーマンス、猛獣使い……その他オリジナルパフォーマンス等ありましたら是非挑戦してみて下さい。

●サンプルプレイング
 俺はジャグリングをやってみようかな!
混沌では不器用だがこの世界でなら……ほい! ほい! うぎゃ!! れ、練習はまぁ少しぐらいは必要だよな……。
 そろそろ本番……くっ、緊張してきたぜ……俺は上手く出来るのか? いや、やってやるぜ……
 団長、見ててくれよな!!



 それでは皆様のプレイング、お待ちしております!

  • とある劇団の不幸な一日完了
  • NM名月熾
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月08日 22時05分
  • 参加人数5/5人
  • 相談6日
  • 参加費---RC

参加者 : 5 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(5人)

ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)
名無しの
有栖川 卯月(p3p008551)
お茶会は毎日終わらない!
グリム・クロウ・ルインズ(p3p008578)
孤独の雨
ルーキス・ファウン(p3p008870)
蒼光双閃

リプレイ



「お前等にはぶっつけ本番で悪ぃ事をしてるのは重々。だが……サーカス団団長としては客をガッカリさせたくねぇって気持ちが勝っちまった」
 その土地に所有するサーカステントの中の一つ、練習用のテントへ移った特異運命座標の前で暗い表情を浮かべるのはサーカス団団長。
 いきなり特異運命座標へサーカスの配役を任せた団長ではあるが、何せメインキャスト以外で公演を行うのは久々の事であるらしい。
「す、凄い……驚くほど運が無い! 命に別状がないのは何よりだけど……後でお祓いして貰った方がいいと思うよ」
 『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)はそう苦笑しながらもジャグリングの準備を始める。特に器具に怪しい点はないとは思うが、入念に見ておく事は損にはならないだろう。これがもしも亡霊類いの仕業だとしたら手の打ちようもないのだが……ともあれただの不運である事を願うばかりである。
「……ここまで一気に負傷するとは、とてもついていないな?」
 『誰かの為の墓守』グリム・クロウ・ルインズ(p3p008578)はトランポリンの締まり具合や跳ねた時の反発力を確認しながら、大怪我をしたサーカス団の団員達を思う。本番当日に怪我をしたり事故を起こしたりする事は、団員達自身も悔しい思いを抱いてるに違いないだろう。だから、だから……自分もそうならないようにと気を引きしめるべく準備の手は抜けないだろう。
「あまり魅せることはなれていないが、頼まれたからには頑張ろう。それにサーカスとは楽しませるものなのだろう……なら、楽しんでやってみようとは思う」
「ああ、大勢のお客さんが楽しみにしている舞台、何としてでも成功させなくては……」
 困り果てていた団長の願い、そして何よりも待ってるお客もいる……獅子の喉元を優しく擦りながらコミュニケーションを取り猛獣使いに挑戦する『散華閃刀』ルーキス・ファウン(p3p008870)と共にその気持ちを改めていた。改めて確認すれば今回は獅子? の相棒ティアラちゃんとパフォーマンスする事になりそうだ。
 獅子の身体に蛇の尻尾、背中には鷲の翼。……あの。これ猛獣じゃなくて魔物ですよね? っていうかよくこれ捕まえられましたね?
「団長さん、あぁ見えて凄腕の傭兵か狩人なのでは」

「私がやるのは空中ブランコ! って、わぁ……高い……」
 空中ブランコのスタート地点に来た『お茶会は毎日終わらない』有栖川 卯月(p3p008551)はその高さに少し身体を震わせる。だがそれ以上にワクワクしている彼女もいた。
「うさてゃんは空を飛べないから擬似的にでも飛べたらいいなって!」
 卯月はブランコの縄に触れて感触を確かめる。キュッと引っ張った手応えは途中で切れる心配もなさそうに思えた。縄自体も非常に頑丈なもので、これなら落ちることは無いだろうと少しだけホッとする。
「あれ? ……安全ベルトとか……」
「そんなの付けてたらかっこ悪いじゃないか。俺達はベルトはつけないよ、すぐ下に丈夫な安全ネットだってあるしね」
「えぇっ?!」
 いやいやホントに?! 卯月は前に見える景色と説明してくれた男性へ視線を交互にさせる。

「ピエロってのはつまりは観客を笑わせりゃいいんだろ。いやそれとも笑われてるのかね」
 『名無しの』ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)が手に持つピエロの白塗り道具を見ながら呟く。
「ま、どちらにせよ老いも若いも男も女も関係なしに笑顔にするのはすこーしばかりやりがいがありそうだがよ。さてそれじゃ行くとするか」
 ……上手く道化を演じられてたらいいんだがなぁ。彼は少しばかり自信がなさそうにそんな事を零す。
 道化に弄ばれた事はあれど、自分がそうなれるかどうかはわかるわけも無ければ、なれたとしてそれもまた複雑な思いがあるのだ。
「はぁ……」
 ピエロに求められるものは遊び心と愉快、そして人と関わっていく術。お客さんを楽しませているのは大半がピエロだと言っても過言程ではないだろう。
「練習してみた感じ、なれないところはあるものの大丈夫そうかな?」
 そこへある程度の練習を終えた卯月が通りかかる。
「他の特異運命座標も頑張ってんだ、何よりも自分で選んだ配役……全力で全うしてやろうじゃねぇか!」
 仲間の練習姿にひと押しされたのか、ニコラスも気持ちを新たにその凛々しい顔に白塗りを施し始めた。





 ──そして、程なくして本番が訪れる。

「レディィスェンドジェントルメエェン! 老若男女の皆々様方! よぉぉおこそおいでくださいました!! 私、本日司会を務めさせていただきまするピエロでございますれば! ってあだっ!?」
「おんんんまえ何やってやがる!?」
 ニコラスがスムーズに司会を始めてみれば、団長の鉄拳がすぐさま落とされた。
「痛い! 急に何をするのですか団長殿!」
「司会はこの俺! 団長の役目だってんだ!!」
「……え?」
「だからお前はさっさと裏へ戻れ!!」
「そんなご無体な! ちょっとだけ! チョットだけですから!」
「しつこい!! いいから行け!!」
「はいはい。わかりました。分かりましたよー。貴方様にそう言われたならば仕方がない。出番欲しさに顔を出したこの卑しき道化めは舞台袖まで退散しましょう!
 それでは皆々様方、月光に照らされし我らが舞台。一夜の夢をお楽しみくださいませ」
 ワハハと笑い声が響き渡るサーカステント内、団長とニコラスのやり取りでステージの掴みは上々のようだった。

「さぁ最初はジャグリングのウィリアム! 華麗なるその様に余所見は厳禁! 奮ってご覧下さいませ!」
 団長の視界の後にウィリアムが登場すればそれだけで拍手が鳴り響く。このサーカスがどれだけの人を待たせていたか……彼は直ぐに実感できた。
「さぁ、余所見は厳禁です……それ!」
 ウィリアムが勢いよく器具を振るい投げる。最初は二つで様子を見ながら、それから一つずつ増やして……計五つの器具を使用していく。
 器用に進めお客さんからは上々な反応を得られた頃、ウィリアムは突如としてその動きを止めた。
「……さぁ次は皆さんに魔法を届けましょう。このクラブ、ただのこん棒ではありません。何と魔法が使えるクラブなのです!」
(まぁ、魔法を使えるのは僕なんだけどね!)
 ウィリアムは通常よりも高く振るいあげたクラブへ七色の星の輝きや蛇のようなうねりのある電撃を当てる。キラキラと輝くそれはまさしくイリュージョンのようで、集客の子供達の注目をさらに集めた。

「さぁさぁお次はトランポリン! キャストはグリムだぜ!」
 ピエロのニコラスがジャンプの仕草で演目紹介をすれば大きく拍手が鳴り響く。
「団長さん……」
「……なんだ」
 ステージの影、胸元で握りこぶしを作りこのステージへ向かう決意を固めるのはグリム。
「団長さん、精一杯頑張って拍手で終われるように魅せてくる。……だから応援して観ててほしい」
「当たり前だ。……自分が思うようにやってこい!」
「はい!」
 団長の言葉を合図に、グリムはステージへ飛び出していく。
「さぁ、軽やかなパフォーマンスをご覧あれ!」
 そう言うとグリムはウサギのように跳んで跳んで。クルクル回りとても楽しそうにしてみれば、お客の目も段々と輝いてくる事だろう。
(……うぉ、空中で回る感覚はなんというか不思議なモノがあるな)
 びゅんって落ちてぴょんと跳ねてクルクル回る。おお〜! と言うお客のリアクションがあれば、グリムは熱い闘志を燃やしてクルクル、クルクル。
(うん、姿勢の制御が難しいけどなんとか形にはなったと思う)
 とにかくウサギみたいにぴょんぴょん跳ねて、最後には決めて見せよう独楽みたいにクルクルクルリと大回転を!!
(決まれ!!)
「はっ!!」
 綺麗に着地をして見せればほら! 溢れんばかりの大拍手がこのステージに降り注いだ。

「お次は空中ブランコ! 卯月が華麗に空中を跳び回るぜ!」
 今度のニコラスは準備中の間にバルーンアートでステージを温める。
「緊張してきた……」
「あれ、あのお姉ちゃんも新しい人かな?」
「大丈夫かな?」
 卯月が空中ブランコは落ちるか落ちないかとドキドキしていると、ふとそんな声が聞こえた。
(初めて見る人が出てて、見ている人たちは心配だと思う。でもそれも味方につけて、自信満々に堂々といけば……きっと大丈夫!)
「行っくよー!!」
 卯月は勢いよくブランコに乗る。大きく二回揺られたなら片手を離してみたり、違うブランコに移ってみたり……一つ一つを丁寧に完璧に。
 そうした卯月の丁寧なパフォーマンスにお客の驚愕の声と拍手が聞こえてくる。それもきっと卯月のさらなる力になるのだろう。
「さぁ、最後のひとっ飛び!」
 全てをきっちりやり切ってステージに綺麗に跳躍して戻ってくれば、きっとみんな楽しんでおわれるよね!
 卯月の思惑通り沢山の拍手が溢れた。

 舞台袖へ移動した彼女はカタカタと震える手をぎゅぅっと握り安堵する。
「良かった、やり切れた。お客さん、喜んでくれた……!!」

「最後の演目の前に星の海へとご招待しちまおう! 輝く太陽、煌めく満月に一等星……ピエロからのサプライズ! ってね!」
 ニコラスが作り出した幻影に魅了されたなら最後の演目がさぁ始まる。

「さぁティアラちゃん! 行きますよー!」
演目は「火の輪くぐり」からの「玉乗り」。トリを任されたルーキスに出来ることはティアラちゃんを信じて的確な指示を出す。
 大勢のお客さんの前では緊張しながら見守る。だがルーキスは自分の緊張は彼女にも伝わるだろうと必死な思いで緊張を隠し、
「さぁ最後ですよティアラちゃん! 俺達ならきっと出来る!」
 最後に大技を決めて──フィニッシュ!!

 その瞬間これまで以上に大きな拍手が鳴り響いた。
 それはこのステージが紛れもなく成功を収めた証だろう!

成否

成功

状態異常

なし

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