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シナリオ詳細

<minstrel journey>割断聖盾のディザイア

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●グリーンハットの詠い手
 緑のハットを目深に被った青年は高台から街を見下ろす。兵士の姿をした者達が住人達を避難させている様子が見える。
 戦が始まる、大きな戦が、このままだと大勢の人々が命を落としてしまうだろう。住人も兵士も、王様だって。
 剣は斬り、盾は防ぐ。本来はその様な使い方をするものだ。勿論例外はあれど。しかしこの土地では今、盾が剣を叩き折ろうと躍起になってるではないか。前までは無敵の剣と盾と云われた国々が喧嘩をしている。このままではどちらも疲れて滅びてしまうではないか。その前に止めなければならない、この国ではまだ詠い足りていないのだから。
 詩とは、詠とは自由ではないといけない。互いに傷つけるぐらいなら自分の詩を聞いて欲しい。弦楽器を取り出し音を奏で、唄えば気づいた兵士が怒って此方に怒鳴ってくる。
「わかってるさ、わかってるよ」
 青年は苦笑しながら高台から降りて街を歩く。こわいこわい戦の雰囲気な筈が、彼の周りだけ楽しげなのだ。毒気の抜かれた兵士はぽかんとその様子を見送るしかできない。
「さぁて、どうしたものかな」
 鼻唄を口ずさみながらグリーンハットの青年は街の外へと向かう。
「おにいちゃん、だぁれ?」
 小さな観客であった女の子から声を掛けられればにこやかに微笑んで。
「やぁお嬢さん、聴いててくれたみたいだね。僕は旅の詠い手、冒険譚や活劇譚を広めるお兄さんさ」
 大丈夫。と笑顔弾けさせ問われてもいない自信を口にするのだ。
「怖い事なんて直ぐに終わるさ。任せておくれよ」

●剣の国、盾の国
 境界図書館に集まる面々を見て。
「やぁやぁ、どうも」
 境界案内人であり吟遊詩人のカルヴァン=ライムハットは緑の帽子を取って緩い挨拶を行う。
「君達の活躍は聞いているさ、依頼があれば勇猛を刻み、悩める人あれば慈愛を分ける。そうじゃない時もある? それはまぁそれとしてだよ」
 名も無き世界、二つの国の戦闘を止めて欲しい。カルヴァンはゆっくりと紡ぎ出す。
「剣の国と盾の国……元々は友好関係であり、争う事なんて無かった」
 ある時、盾の国が剣の国との同盟を一方的に切り、兵士を送り出しては戦を仕掛けているらしい。
「ちょっと気になるよね。だから君達には小競り合いが始まる前に盾の国の兵士にちょっかいを出してきてほしい。話を聞いてると戦闘は避けられないと思うから、戦いながら兵士の様子がおかしいとか顔色が変とか……えーっと、何喋ってるかわからない、とかでもなんでもいいから当たって調べてきてくれないかな」
 簡単に言えば、剣の国の兵士達より前に戦いながら兵士の様子を調べてくれという事だろう。
「そしてすまない、時間が無くて送り届けるのは敵布陣の直ぐ近く。彼等の出立も近いだろうから迅速な行動が必要になってしまうだろう。僕も手伝えればいいんだが……」
 戦いは苦手でね、足でまといになってしまうよと苦笑して。
「命の応酬、戦闘の内容については君達に任せる。頼んだよ」
 一礼し、微笑みながらカルヴァンは貴方達を戦場へと送り出すだろう。

NMコメント

初めまして胡狼蛙です。
ライブノベル1作目、ご縁ありましたらどうぞ宜しくお願い致します。

●名も無き世界
 この世界には名はありません、皆さんと冒険していく内に何かがわかるかもしれない。

●剣の国、盾の国
 名も無き世界にある2つの国、今回の舞台となります。元々は良好な関係にあった国だが、ある時を境に盾の国の様子がおかしくなったようで。

●目的
 剣の国の街に盾の国の兵士が攻め込んでくるようです。戦が始まる前に平野に布陣している盾の国の兵士に奇襲を掛けて衝突を避けつつ、様子のおかしい兵士達を調べて下さい。
 非戦スキルも組み合わせる等すれば更に効率よく動けるかもしれません。
 例:兵士の槍を【アクティブ】で弾きながら顔を覗き込む。挑発して言葉を引き出す等など簡単な事でも大丈夫です。

●フィールド
 遮蔽物の少ない平野。整備されているのか歩行等に問題は無い。貴方達は大きめの岩場の影に転送され、覗いてみればテント等の野営道具を片付けている兵士達が見えるだろう。

●敵
・盾の国の剣兵×6
 通常攻撃:物至単。
 一刀両断:物至単 通常攻撃大振りで威力が高い。

・盾の国の槍兵×6
 通常攻撃:物近単。
 一閃突き:物近単 通常攻撃より隙が大きいが威力が高い。

・盾の国の銃兵×4
 通常攻撃:物遠単。
 集中射撃:物超単。【溜1】威力が高い。

 共通して防御が高い代わりに攻撃性能は低くなっており、そこまで強くないです。

●その他
 純戦に近いシナリオになっております。命を取れば取ったなりの情報を。生かして気絶させれば生かしたなりの情報を得る事になりますので。魅せたい、かっこいいプレイングが頂ければ嬉しく存じます。宜しくお願い致します。

  • <minstrel journey>割断聖盾のディザイア完了
  • NM名胡狼蛙
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月09日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
ルビー・アールオース(p3p009378)
正義の味方

リプレイ

●聖盾の濁り
 剣の国から近い平野、見晴らしも悪くない街道も見える地にイレギュラーズ達が降り立つ。
「さて、と。どうしたものか……」
 転送された『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)達はすぐ近くの岩陰に潜み、野営している盾の国の兵士達を覗き見る。
「詠い手から聞く話によると剣と盾の国は元は親密であったとか……宣戦布告、というわけでも無さそうですし、一方的な侵略行為とは不明点も多いですね」
 同じく潜んでいる『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)の車体から声が聞こえてくる。詠み手が語っていた言が正しければ、確かにこの戦には“ちぐはぐ”な点が見受けられるのだ。
「そんな事したら他の国からも信用できないって思われるのに。にも拘らずそんな事をしてきたのは––」
「どちらかの国が不義理は働かせたか。或いは他の……ふぬぬぬ……言い出したらきりがありませんわ」
 『正義の味方』ルビー・アールオース(p3p009378)の言に『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)が続く。
「ま、それを調べる為に俺達が来た訳だしな。できるだけ引き出してやろうじゃないか」
 行人の視線の先、野営している兵士達は皆視線を下げ、互いに目を合わせないようにしているかのようだ。規律が守られている、というよりも怯えているという表現がしっくりくるだろうか。
「停戦を呼び掛ける立場や余裕もない以上、僕らにできるのは腕っぷしを生かすことだけ。できることをしましょう」
「えぇ、最初の一手はわたくしにぴっかりお任せ下さいまし!」
 先の見えない暗雲を払う、不穏の種を取り除く取っ掛かりを得る為の依頼。四人は視線を交差させて頷き合う。
 排除して脅威を消す戦いではなく、原因を晴らし護る戦闘。何も知らぬ兵士はおろかこの場の誰も感じ得ない事ではあるが、盾を冠する彼等に対して“護る”とは、なんとも皮肉な事だと後に吟遊詩人は語る。

●ひび割れた紋
「それじゃマリーちゃん、いけるかい?」
「いつでも」
 二人が立ち上がり身構える。それが合図となったか、タントが「すぅ……」と息を吸い込み岩陰からその身体を晒して駆ける。

「オーッホッホッホッ! 何があったか存じませんが、暴行蛮行許すまじ! そう! このわたくし!」
 野営している兵士を前に。
  \きらめけ!/
 放つは陽のきらめき。
  \ぼくらの!/
 指を鳴らすは太陽の娘。
\\\タント様!///
‪「––が!成敗いたしますわーー!」
 グレートトリートバンディットポーズを取ればどこからか聴こえてくる大喝采を背にタントがその場の全員の目を惹きつける。一番始めに我に返った軍帽を被った剣兵が周囲を大喝すればその場で呆けていた兵士達が続々と武器を構え襲撃者に応戦しようとするが。

「普通ならば前衛を置いて後衛の銃兵から片付けるなんて思わないでしょう」
 崩れていたとはいえ集団戦闘の心得がある軍隊、後衛に攻撃を通さない為の布陣構築までは時間が掛からない……筈であった。
「そう、普通の反応の特異点だけだったらね!」
 彼、はたまた彼女か。反応に魂を燃やしたアルプスは生憎とその普通が通用しない相手。
「(ようし、スーパーノヴァを……アッこれ必殺ついてる)」
 ゼピュロスの息吹たるアミュレットがアルプスに力を与え正解の道筋を見せる。
「(それなら一段階落としてブルーコメットを……と思ったけどこれも世間一般の目で見ると火力高いかな)」
 ゼピュロスの息吹が見せた道筋をとりあえず脇に置いて。
「ええい、エッジまで加減して敵銃兵の腕ごと銃を撥ねて行きます!」
「指揮官は轢かないようにしてくれよ、アルプスさん」
 絶好調のアルプスに行人の気持ちが漏れ出る。流石は盾の国というべきか、奇襲への立て直しも迅速といえるレベルであったのだが、アルプス達がその構築を上回ったという事なのだろう。タントに向けていた意識を爆速二輪へ向けようとするが。
「行人」
「あぁ、行こう」
 ギア・ゼロで己のリミッターを外したルビーが行人と共に戦場へ躍り出る。深紅の月の名を冠するカルミルーナを大鎌機構へ変形させながら二人を背にしていた兵士達へ向かって。
「なんの義も無く攻め込むなんてなにを考えているの! 剣の国とは仲が良かったんでしょう。なのにどうしてそれをいきなり無に返すようなことを!」
「ここに義はあるのか。君たちの胸に信はあるのか」
 並んで問う行人はじっと彼等の様子を伺う。激昂し指示を飛ばす軍帽の剣兵を見てあれが指揮官かと確信しながら蔦纏う刀を抜き、襲い掛かる槍をいなして峰で打つ。後の後に優れた失伝刀術「慧眼」は確実に敵の攻撃を受け流しながら返していく。
「こんな事をしていたらよその国からだって悪く見られる。貴方達の国に一体何があったの?」
 叫ぶルビーに兵士は答えない。否、唇を震わせ虚ろな瞳に怒りが滲んでいる。ただ感情に任せた剣を跳躍で躱し、カルミルーナで武器を弾き飛ばす。
 意識が二人に向けられ始めるが、忘れてはいけない者が居る。
「銃兵は轢きましたし、後は任せましたよ……と言おうとしましたが」
「オーッホッホッホッ! このくらいは余裕のよっタント様ですわ、支援は任せてくださいまし! この勢いのまま崩しますわ!!」
「ではありがたく」
 タントの女神の口付けにより活力回復したアルプスが指揮官に狙いをつけて攻撃を仕掛ける。避けられてしまうがそれで良いのだ。指揮を担っている将の視線を逸らせれば仕事は十二分に行ったのだから。ついでに背後に控えていた槍兵は轢いた。
「まだまだいきますわ!」
 太陽の系譜が陽光と成りて照らし、敵の攻撃を一身に受けているルビーと行人から疲労感が抜ける。タント自身も充填により支援術式をできる限り振りまく事ができるので、持久戦に引っ張られた盾の国の軍が勝てる可能性は更に低くなってしまう。
「随分と焦っているじゃないか」
 行人が眼前の兵士に声を掛ける。崩れた小隊はもはや機能しているとは言い難い状態。それでもかかってくる彼等の顔に変化が見え始めた。虚ろだった瞳が焦りに濡れ、がむしゃらに襲い掛かってくる。
 元来、盾の国は名の通り守勢の戦を得てとしていた。侵略を防ぎ、戦力を削いで返り討ちにするという彼等のやり口が今回の戦闘において全く見えないのだ。
「貴方達は本当に自分の意思で戦っているの?」
 正気は保ち、意識ははっきりとしている。少なくともルビーはそのように見えた。だがこれは……
「何かに、誰かに命令されてらっしゃるの?」
 ルビーの傷を幻想福音で癒しながら敵を見据え。問われた兵士は肩をびくりと振るわせる。それが図星であったのかは定かでは無いが、反応があったことは大きい。自棄になりながら襲ってくる兵士を気絶させればいつの間にやら残ったのは軍帽を被った剣兵。血走った目で剣を構えると此方に向かって突撃を開始––
「そこ危ないですよ」
 する前にアルプスの肉体言語によって背後から突撃を食らって失神したのであった。

●穢された盾
 戦闘を終了させ、気絶している兵士達を縛る。念の為に彼らの荷物や装備を改めたが至って変わった物はなく。家族の写し絵や個人的な物品であろうものしか見つからなかった。
 タントの幻想福音で気絶している軍帽の兵士を回復させればやがて目を覚まし、己の状態で敗北を悟る。先程の様子とは一転して幾分かの冷静さえ感じるだろう。
 ぽつりぽつりと語り始めたのは、ある日を境に王様は人が変わったかのように厳しくなり、剣の国との同盟決裂も突然決まったのだという。今回の侵攻もいきなり決まったことであり、将官達も諫めたのだが、歯向かう者は一族郎党処分すると達しがあったらしく、家族を人質に取られ仕方なく出陣したらしい。
「真偽はさておき、人が変わったかのようにか……」
 行人は顎を指で掻きながら呟く。兵士の怯えは自分達の敗北が家族の死に繋がっていると思えばあり得ることなのだろうかと。
「大事な人を人質になんて……」
「不義理を成していたのは上の者でしたか……」
 苦い顔をしたルビーとタントにアルプスは頷き。
「しかしこれで大分情報は手にはいったんじゃないですかね。少なくとも取っ掛かりは得られた筈です」
「あぁ、依頼は完遂だ。剣の国との戦闘は止められて、ある程度の情報は得られた。後は国が頑張る所なんだろうさ」
 吟遊詩人に後を託し、混沌へと戻ろうとした直前。意識の回復した盾の国の兵士が彼らに頭を下げた。
「ありがとう、最後の最後で盾の誇りを汚さずに済んだ」……と。確かにまだ全てが終わったわけではない。しかしてまだこの国は諦めていないのだ。これより始まるのは悪辣を倒す物語……次の回想まで詩は閉じるとしよう。

 また次回もよろしく頼むよ。特異運命座標達。

成否

成功

状態異常

なし

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