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シナリオ詳細

【書痴楼戦線】罷免決議・アレクサンドリア潜入作戦

相談期間中

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オープニング


 作戦本部の天幕、明かり窓からのぞく、遥か彼方の地平線に、山脈に似て横たわる大図書館がある。
 その名をアレクサンドリア。あらゆる書籍の貯蔵庫にして、墓場にして、処刑場。
 内蔵施設のひとつ、溶岩焚書場からたちのぼる煙が、とめどなくミクロの灰となって世界に降り注いでいる。
「……作戦を説明するわ。ノープラン、出たとこ勝負。以上」
 一同から説明し難い感情を向けられるのは、部隊長の『元』対象X:ザナドゥ・メリーロンドであった。
「だ、だってしょうがないじゃない! アレクサンドリアの情報は、【持ち出すことができない】んだから!
 私だって……内部の地図とか、護衛の人数装備とか、民間人施設とか、知っておきたかったのよ」
 アレクサンドリアを見る。感情が、その目に灯る。
「父さん……」
 彼女が口にしたその言葉を、気に留め、咎める者はいなかった。
「……ごめん、ブリーフィングを続けるわ。
 アレクサンドリア内部の情報は、【プロテクト】によって守られていて、外からは全くの不明。それを覆そうとするのは、例えばこの星のルール……そうね、重力を反転させようというのと同じ、無謀な試みだから、覚えておいて。
 でも、内部で何をすればいいかは、はっきりしているわ」
 ザナドゥは複数の羊皮紙を掲げる。
「おそらくは最奥にいる、処置牢長官『ジグラート』に、この罷免状を突きつけること。みんなが持っているのも、複製とはいえ正式な書面だから、何度かできれば確実に……」
 言い淀んで。
「……確実に、封印できるわ。現長官は、永年に渡って処置牢を我が物とし、逆らう者は実の息子であろうと投獄した、血も涙もない男。神権組織の腐敗も、ジグラートの専横に由来するもの。けれど……誰も手出しができなかった」
「などという憂慮すべき自体も、今日この日まで、ということだね」
 ひとり、腕を組んで黙りこくっていた男……『処置牢のアカウンター』がついに口を開いた。
「ああ心配はいらないよ、僕も『書痴楼』の職員だが、長官は嫌いだ。大嫌いだ。何が嫌いかって、アレクサンドリアの本を全て禁帯出にしているのが一番気に食わない。世に出せば、それだけで文明は100年進もうというのに。
 さて、僕もアレクサンドリア内部のことは知らない。いや、一度か二度入った履歴が残っているんだが、アレクサンドリアの情報はゲートを出る時に抜き取られてしまった。ということはつまり……?」
「中に入れば思い出せるんでしょ。はぁ」
「そう! 前もって打ち合わせしておいてよかったねザナドゥ君。適切な補助こそが説明には重要なのだから。
 では第一の作戦だ。この僕を、アレクサンドリア内部に案内したまえローレット!」
 アカウンターは、すると手に持っていたブリーフケースを蹴飛ばし、乱暴に開いた。
 その中には……暗黒。
「見給え、そのための力を貸そう! これなるは『書痴楼』の秘術、移動魔書館!
 この暗黒の中に潜むは、僕の管理する全書籍の中でも、君たちに縁の深いアルファベットの魔本!
 君たちが捕らえた罪人の『力』そのものである!」


「魔書、あるいは魔本について、ここを出る前に説明しておくよ」
 協会図書館にて、説明されたことを思い出す。
「電池、バッテリーを知っているかい? あの世界における魔書は、それに相当する。
 ただし、魔書が充電できるのは、魔書が対応した罪の回路のみだけだ。
 殺人、放火、盗撮、欺瞞、無頼、怠惰、可愛さ……まあ、いろいろあるよね。
 魔書を保持すると、君の中に必ず存在する『罪の回路』に、力が充電され。
 そして君は罪の存在を一時的に認識し、自在に力を引き出せるようになる。
 つまり……スキルに依らない数々の技を、使えるようになるということさ。
 もし手にすることがあれば、いろいろ試してみるといい」

NMコメント

●ごあいさつ
 こんにちは、はじめまして。
 ノベルマスターの君島世界です。

 今回は、明確に前作『書痴牢戦線(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4695)』の続編となります。
 前作に参加する必要はありませんが、事前知識なしの参加は厳しいと思ってください。

 それぞれのアルファベット魔書が対応する罪の回路は、あえて明記しません。
 また、本来であれば即座に焚書されていたものも、今回は使用可能です(アカウンターが悪さしました)。

 それでは、皆様のプレイングを心待ちにしております。

●目標
 全三章を予定しています。
 第一章:移動魔書館の力を借り、アレクサンドリアのゲートを『破壊』する
 第二章:アレクサンドリア内部を探索し、ガーディアンとの散発的な戦闘に勝利する
 第三章:処置牢長官『ジグラート』に、罷免状を複数回突きつける

●味方について
 ザナドゥ・メリーロンド:魔書ではなく個人として参加しています。ドス戦闘術の名人です。プレイングで呼び出せば手伝ってくれます。
 アカウンター:頑なに『処置牢』を『書痴楼』と呼称する偏屈職員です。戦いはできませんが、移動魔書館が使えます。プレイングで呼び出すと嫌な顔をします。

●特殊ルール
 前作『書痴牢戦線』で回収した罪人に由来する魔書を用いたプレイングには、達成判定にボーナスが与えられます。
 使用に制限はありませんが、1プレイングに持ち出せる魔書は1冊のみとなります(アカウンターが怒るので)。
 混沌やその他の世界に由来する書籍は、残念ながらこの機能を持ちません。

●サンプルプレイング
 使用魔書:T(たぬき)
 対応する罪の回路:可愛さ
 作戦:このオレの可愛さにガーディアンが夢中になっている間に、仲間がゲートを突破するって寸法よ! ガハハ勝ったな酒呑んでくるァ!

  • 【書痴楼戦線】罷免決議・アレクサンドリア潜入作戦相談期間中
  • NM名君島世界
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 依頼公開日時2021年06月27日 22時15分
  • 第2章募集中0人
  • 総採用数3人
  • 参加費50RC

参加するためにはログインして下さい。


第1章

第1章 第1節

Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
シュレーディンガーの男の娘


「じゃあまずは……なんていったら、この子怒るかしら」
「ははは、ミイラ取りがミイラになるとはよく言ったものだが」
 ザナドゥはアカウンターから一冊の魔本を受け取り、己の『罪の回路』に魔力を回した。
「……まさか、ね。あのローレットから、仮とはいえ処置牢収蔵対象が現れるなんて」
「なんでもあり、が彼女たちのルール。いや、僕たちが彼らの可能性にそれを感じているだけに過ぎんか!」
 アカウンターの、ザナドゥの見つめる虹色の輝きの中から――いたずらな微笑みが生まれる。
 少女の瞳が湛える底なしの蠱惑に、ザナドゥは顔を赤らめた。
 PON☆☆☆♪
「はぁい、宿主様(ザナドゥ)。『宿主になってね』Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)、端末召喚に応じるわ!
 って、なんで宿主様、顔赤くして――もしかして、思い出しちゃってる?」
「っ、い、いいから」
 否定はしなかった。
「良かったもんねー、アレ。じゃあアカウンターさん、私のも頂戴」
「いいとも。『W』の魔本だね」
 Aliceもまた『罪の回路』を励起させた。
 ……。
 ようこそローレット、お久しぶりです。
「地の文サマ?」
 私は語るだけ。ローレットは聞くだけ。それだけの関係です。
「十分よ。情報蒐集手段としては、あなた以上に有能なアシスタントはいないわ」
 信頼に感謝と祝福を。
 では、本作戦に参加する全ローレットを対象とした、情報自動通達を開始します。

成否

成功


第1章 第2節

 本作戦における追加ルールの解説をいたします。
 前節における展開の結果、本作戦に参加する全ローレットに、追加の加護が付与されております。
 それは、『知覚範囲が描写範囲に等しくなる』というもの。
 つまり貴方は、柱の陰に潜む暗殺者の存在を知っています。
 目の前の人が望むアイテムを知っています。
 パスワードや合言葉だって、そのメモがある場所(あるいは、ここに無いこと)を知っています。
 ゲートに仕掛けられた防衛機構の能力を知っています。
 あらゆる調査という行為に対し、自動的な成功が約束されています。

 それでも、だとしても。アレクサンドリアは難攻不落の要塞であることに、依然変わりはありません。
 まずはどうぞ、ゲートの突破を。
 貴方が知っているゲートの防衛に対し、貴方がいかなる力を用いて抗うか――その結果は、未だ不透明。
 魔本による『罪の回路』の励起は、その助けとなることでしょう。


第1章 第3節

三國・誠司(p3p008563)
一般人


「罪を……その力を貸してくれ、同志!」
 魔本の輝きを前に、『一般人』三國・誠司(p3p008563)がかっこいいポーズを決める。
「力をっていうか金髪巨乳美少女アンドロイドのオーレリアたん貸して!!」
『貸さぬわボケエ!!』
 ちゅどーん。
 落雷がなんとなくで落ちた。
「んNANDE! オーレリアたんの総火力実戦データ取るよ? ほしいでしょ!?」
『なんでもへちまもないわ! 属性にしか興味を持たぬ若輩にはMOTTAINAI!』
「言ってくれるなあお父様! あの握手は両家の正式なご挨拶だったはずだ!」
 誠司がこきりと指を鳴らす。魔本の表紙から投影されているユーバーと、殴り合い宇宙も辞さぬと言った雰囲気であった。
 と。
「理解しました。オーバーデストロイモード・スタンバイ」
『オーレリア!?』「オーレリアたんいたの!? ひゃっほう」
「どっちでもいいからスイッチ押して下さい。私は殺戮兵器――自律回路を外された、戦争人形なn」
「ぽちっと」
 セリフの途中で誠司が『スイッチ』を押した。
「……ッ!?」
『誠司、お前それオーレリアの、ちく』
「ン~~間違えたかなあフフフフ。ま戦いの中の回避不能ラッキースケベだよね。じゃ僕はこれで」
 誠司は逃げた。ゲートに向かって全速力で。
「オーレリア……オーバーキリングモード起動……!
 全ての被造物よ、おまえごと死ね(壊れろ)!」
 なお、なんだかんだで目的は達成された模様。

成否

成功


第1章 第4節

三國・誠司(p3p008563)
一般人

 見よ、『一般人』三國・誠司(p3p008563)が斜め45度の角度で飛んでいく……。
「オーレリアたんのことは諦めないからなー!」
 誠司の落下予想地点、ドップラー効果で高くなっていく捨て台詞を、ひとりの貧乳怪盗が聞いていた。
「お、あれこそは僕の『罪の回路』の出力にして貧乳怪盗、ガリア・フールたんじゃないですか」
 ご説明ありがとうございます。
「でも避けてー! ガリアたんよけてー! 君の『それ』じゃあクッションちからがまるで足りていない!」
「ええ、わかってるわ――死ぬのね、ここで」
 ガリアは、そのスカートの裏側から掌銃を取り出す。
 撃鉄を上げた。ポイントする……『前』を。
「ほんとに助けないから」
 タァアン!
 ルージュ色の特殊弾が、火炎の尾を引いて跳ぶ。
 その弾丸の周囲を、火口(ほくち)となるべく、誠司のネット弾が包み込んだ。
 ニールシュートポジションの、誠司の肘には新しい傷が燃える。
「なあ、ガリアたん……。
 偽善だろうが何だろうが、何かを変えたいって気持ちはあったはずなんだ」
「そうね」
「その『変えなきゃならない』相手は、この先にいる。
 だから少しだけでいい、力を貸してくれ」
「今回だけ? それとも、『これからも』?」
「…………こ」

 誠司の返答は、爆音にかき消えた。

「わるいひと」
 ふたり、それ以上応答せず、それぞれの銃を再装填する。
 ガリアが先に駆け出した。爆炎の中に消えた後ろ姿を、追う。

成否

成功

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[2021-06-27 22:15:08]
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