PandoraPartyProject

シナリオ詳細

悪いな特異運命座標、このフロア縦ノリなんだ。

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●刹那を生きる若者たち
 音楽があふれる世界、ムズィーク。
 非常に現代によく似たこの世界では、カフェや商業施設は勿論、人々は自宅でも音楽を常に楽しむ世界。
 そのジャンルは人によって異なるが、特に争うことなくそれぞれの音楽を尊重し、愛する。そんな世界。

 ーーだったのだが。

 ここ最近とあるジャンルの音楽を嗜む者たちによる、問題行動が多発している。
 パーカッションとベースの重低音が効いた音楽を垂れ流し、衣服をだらしなく着こなしている若者が町を騒ぎながら練り歩く。この町で若者たちは『ウェイ族』と呼ばれている。

 彼らが闊歩する街中で、とある商業施設のスクリーンは、クラシックをBGMに、こんなニュースを放映している。

「XX月△△日の未明、路上に一時停車中の車が若者たちに横転させられる事件が発生しました。若者たちは調べに対し、面白そうだからやってみた。別に怪我人が出たわけではないから問題はないだろう、とのことで反省の様子は見られないとのことでした。警察関係者によりますと、またしてもいわゆる『ウェイ族』の犯行だということで、現場も手を焼いているとのことです。」
「いやぁ、またウェイ族ですか。特定のジャンルを否定するわけではありませんが、困りものですよねぇ。」
 コメンテーターの発言に、ビルの真下で唇を噛む若い男が一人。彼こそ、この町でこのジャンルの音楽を流行らせた第一人者ビート=ハイハットだ。
「違えよ……。」
 彼は、その拳を握りしめた。

 その時、街を闊歩する50人くらいの若者たちが見えた。彼らはどうやら、コンサートホールに向かいながらで騒いでいるようだ。
 嫌な予感がする、と慌ててコンサートホールの前に駆け付けると、時すでに遅し、若者たちはコンサートホールになだれ込む瞬間だった。
「うぇーい!!」
「せっかくのデカい箱なんだから、酒無いとノれねぇだろうがよぉ!」
「おけ、任せろ。秒で持ってくるわ。」
「おいあそこ見てみろよ! すっげぇふかふかの椅子があるぜ! シートも酒飲みたいだろうよ!」
「あー、やべ。そろそろ色んなもん切れてきたわ……。すぅ……はぁ……へへっ。」

 ありとあらゆるところで若者が暴れ、果ては何かをキメこんでいる若者たちで溢れたコンサートホールは地獄絵図。
 当人たちにとっては刹那を楽しんでいるだけだが、このままではコンサートホールは
 だが道行く人は、『またウェイ族か』『これだから新しい音楽を聞くやつに碌な奴はいない』と、彼らに侮蔑のまなざしを向けている。
 「このジャンルが悪いんじゃねえんだよ……なんでなんだよ。」

 コンサートホールという箱(フロア)が縦ノリで盛り上がっている片隅で、男は1人悲しく佇むのだった。

●ホールの暴走を鎮めよう
「音楽は実に良いものだ。それは人を楽しませ、そして癒すことができるものだ。ちょっとした映画にも、音楽という物はつきものだし、最近はヒーリングミュージックという物もあるようだね。」
 協会案内人カストルは、そういうと優雅に紅茶を一口啜る。
「レゲェは、クラシックに比べるとずいぶんと新しい音楽みたいだね。新しいものに抵抗を覚える人もいる、というのは間違いないけど、このままだとそれを嗜む人がかわいそうな目に合うのは明らかだ。」
 カストルは言葉を続ける。
「新しい音楽を聞く人への誤解を解いてきてほしい、なんてことは言わないさ。培ってきた印象なんて早々拭えるものじゃないしね。ただ、よりその印象が悪くなる前に、ウェイ族……だったかな。コンサートホールで暴れている若者たちの暴動を鎮圧してきてほしいんだ。」
 大丈夫、このフロア縦ノリだからといわれても、パンチのきいた一撃をお見舞いすれば良いから。
 そう言うとカストルは、手近にあったラジカセのスイッチを入れる。
 パーカッションのリズミカルな音とうねる様なベースの音が、絶妙の心地よい効果音を奏でていた。

NMコメント

 こんにちYear。
 NMの水野弥生です。
 音楽ってやっぱり文化ですね。
 
 ということで、今回は人々が音楽を愛し、どこに行っても常に音楽が流れている世界です。
 その世界で、レゲェを嗜む若者が、ちょっとした問題を起こしているようです。
 今回は、協力者のビートと一緒に、コンサートホールでの彼らの暴走を止めていただきたいと思います。

●やること
 ウェイ族の鎮静化。
 ただし、こちらの話は何を言っても『うぇーいwww』と返され、悪ノリに巻き込まれかねません。
 パンチ(物理)を効かせて力づくで鎮静化を目指すと良いでしょう。

●敵:ウェイ族の若者(全体で50名程度)
 10代後半から20代の男女です。すっごい直球に言うと「パリピ」「ウェーイ系」というやつです。
 声が大きく、悪ノリが過ぎるのが特徴です。
 基本的に素手での攻撃ですが、その辺に落ちてるものやメリケンサックを隠し持っている人もいるかもしれません。
 また、一部にはちょっと危ない葉っぱの粉を吸うのが好きな人もいるようです。
 雰囲気ですので、好きに設定してもらって構いません。
 (一気に20人相手取ってもいいですし、リーダー格の一人だけを倒していただいても構いません。)

●味方:ビート=ハイハット
 20代前半の男性です。
 彼自身この音楽のジャンルの第一人者みたいな人物なので、連れていくことで何か有利に働くかもしれません。
 ちなみに、喧嘩もそこそこ強いです。

  • 悪いな特異運命座標、このフロア縦ノリなんだ。完了
  • NM名水野弥生
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月03日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)
一番の宝物は「日常」
すずな(p3p005307)
信ず刄
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女

リプレイ

●悪ノリは決して縦ノリではない
「うぇーいwww」
「やっぱデカい箱(ホール)は良いよなぁっ」
 ムズィークのコンサートホールからは、パーカッションとベースの重低音のハーモニー、そして周囲の迷惑を顧みず騒ぐ若者たちの声が聞こえる。
「ノリノリになっちゃったあまりに暴れちゃう人たちが出てきちゃったの!?」
 セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)は目の前のホールの光景に驚きを隠すことができない。
「その音楽が好きなのは分かるけど、暴れちゃったらほかの人たちが好きになってくれなくなっちゃうし……『好き』の気持ちを暴走させちゃわないようにビシッと教えてあげないとだよね……!」
 ビートさん、とセリカは声をかける。
「ホールに行く前に、少し教えてほしいことがあるんです。」
 真剣な彼女のまなざしに、ビートは何かを感じ取ったらしい。
「わかった。時間はあまりないから手短にな。」
 ほかのイレギュラーズに後ほど合流する旨を伝え、2人は少し離れたところで何か話をしているように見える。よく見るとそれは体でリズムを刻んでいるように見えた。

 さて、コンサートホールに乗り込んだイレギュラーズ達。
「君達!音楽を楽しむことは構わない! しかし他人の迷惑を省みず、己の快楽だけを求めるのは間違っている!  冷静になって自分達がどんな目で見られ、どれほどの人に迷惑をかけているか理解したまえ!」
 マリア・レイシス(p3p006685)は扉を開けるや否や、大声で若者たちに呼びかける。それにすずな(p3p005307)も続く。
「音楽はとても良いものです。 この世界はとても素敵だと私も思います。 しかし、自由に音楽を楽しむ、と言っても限度があります! 迷惑をかけるなど言語道断!」
 2人の呼びかけは至極正論だ。だが、ウェイ族の反応は心打たれたという反応ではなく、寧ろ下卑た目で彼女らを見ていた。
「私たちが世の中を正しますってか! ギャハハ!」
「ところで俺たちとイ・イ・コ・ト、しない?」
 控えめに言って最低な彼らの言動に、マリアは額に青筋を浮かべてわなわなと震えている。
「口で言っても分からないなら……仕方あるまい……軍人流の教育という物を骨の髄まで叩き込んでやろう……。」
 あ、これは。
 察したすずながマリアに声をかける。
「マリアさん、何を言っても無駄です――今は!」
「すずな君もそう思わないかい? 君からも言ってやってくれ!」
「ええ、そう思います。だから、取り敢えず――頭冷やして貰いましょうか、物理的に。」

 一方そのころ、メリー・フローラ・アベル(p3p007440)は複数人のウェイ族に囲まれていた。
「お嬢ちゃん、ここは、子供の来るところじゃないんだよ。」
「そうそう、おうちにいなきゃダメだよ。」
 見た目が子供故に煽られたメリーだが、ふっと笑って彼女もウェイ族を煽り返す。
「この世界の不良ってなんだかとても弱そうね。何ていうか、軟弱で覇気がないのよ覇気が。私が知ってる不良のほうがよっぽど強かったわ。」
 自分の強さの話じゃないんかい、と謎マウントにツッコむ者は誰もいない。少し機嫌の悪そうなウェイ族たちの顔など気に掛ける様子でもなく、彼女は煽り続ける。
「わたしの世界の不良はもっと凶暴でおっかなくて肝が据わってて強そうな奴らよ。なにより団結力があったわ。単純だけどグループがちゃんと組織になっているの。規模によっては、このわたしすらやられかねないくらい。」
 なんだこのガキ、やっちまえ!
 ウェイ族の声が聞こえる。しかしメリーは全く動じない。
「はぁ……よく吠える弱いお馬鹿さんは嫌いなの。」
 刹那、激しく瞬く神聖の光が、ホールの中を駆け巡る。攻撃を受けた若者たちは、吹き飛ばされて白目を剥いている。
「お、おい、なんだこのガキ。」
「やべぇぞ、このままだと俺らがやられるって!」
 うわー、と、蜘蛛の子を散らすように若者たちが逃げていく。
「わたしにはメリーという名前がちゃんとあるのに。本当に頭の悪い人は嫌いだわ……ん?」
 彼女は何か葉っぱのようなものを見つけたようだ。少し甘いにおいがする。彼女はポケットにそれをこっそり入れて、満足げに別の煽る対象を探し始めるのだった。

 メリーが放った神気閃光が、このホールでの戦いの狼煙となった。それはホールの少し離れた位置にいたマリアとすずなにも分かった。
「あー!あれだ!ギブアップは早めにね?死ぬことはないと思うけど……。」
「安心してくださいね、峰は返してますから……。とは言っても手加減はしませんので、相当痛いでしょうが!」
 2人がにこりと笑うと、メリーとはまた違った稲妻がホールを奔る。その雷はあるウェイ族のすぐ隣に落ちたようだ。
 彼らが怯んだ隙に、マリアは華麗なフットワークでウェイ族一人一人にボディーブローを、すずなは峰打ちを叩き込んでいく。
「だって、ねえ? 貴方達が従わないのが悪いんですよ?」
 すずなは笑顔を崩すことなくにじり寄る。
「自由を貫く覚悟――出来てるんですよね……?」
 お、おい、やっちまえ、とそれでもウェイ族は歯向かってくる。
 飛び廻し蹴りを織り交ぜつつ、マリアは必殺技を放つタイミングを見計らっている。
「いくよ! すずな君! タイガーウルフバズーカだ!!」
「ば、バズーカ……!? えぇー……や、やればいいんでしょ、やれば!!」
 バズーカ、と称して叩き込まれるのは、ドロップキックとフルスイング峰打ちだ。
 この二つが叩き込まれたウェイ族は、目を回して倒れる。
 しかしウェイ族も数が多い。3人でもってしてもまだウェイ族は残っており、所構わず迷惑行為を繰り返している。

 そんな中、2人分の人影が、ホールの扉越しに見えた。
「レゲエ好きのみなさん! みんながレゲエが好きなのはとってもわかるけど、「好き」だったら何でもしていいわけじゃないんだよ!」
 必死に呼びかけるその人影はセリカだ。彼女は懸命に説得を続ける。
「もし、好きになってほしい人が、こうしてみんなに迷惑をかけてるのを見ちゃったら、 きっと好きになってくれないどころか、かえって嫌いになっちゃうかもしれないよ! だから、静かに聞いて、とまでは言わないけど、場所とか時間とかみんなの迷惑にならないようにして聞いてほしいですっ!」
 シーンと、ホールが一瞬静まり返る。が、数十人の仲間をボコボコにされて、ウェイ族も黙っていなかった。
「迷惑かけたら暴力で解決なのかよ!」
「そうだそうだ! ちょっと可愛く声かけたら許してもらえると思ったら、大間違いだぞ!」
 話を聞く気のないウェイ族の反応に、セリカは悲しそうな顔をする。こうなれば、実力行使しかないのだから。
 先に到着していた3人に、聖なる光の加護を施し、彼女は歌を歌い始める。その声は救いの音色なのだが、今回は少し毛色が違う。
「さっきビートさんに、教えてもらったんです。そのリズムに合わせて……!」
 重低音と清らかな歌声が織りなす旋律は、不思議と耳を傾けてしまう。彼女のレゲエのイメージダウンをさせたくない気持ちに嘘はないのだ。その想いが、こもっている。

 暫くして、ホールには正座するウェイ族が複数人いた。そこではマリアとすずなが彼らにお説教している。
「反省したまえ!君も!そこも!全員反省会だ!何がウェイ族だ!」
「悪い事をした人は反省して貰わないとですからね。」
「私は虎だ! 虎のように獰猛な軍人だ! ついでに言うとそこのかわいい私の親友は狼だぞ!! ほら!今まで迷惑をかけた人達に謝りたまえ!」
「って何言ってるんですか、そこ私関係ないんですけど!? あと獰猛とか言ってるの笑いますね。――あ、貴方達は謝るまでそのままです。」
「ごめんなさいは?」
 すみませんでした、と小声で聞こえる。大声でもう一回、と言おうとするマリアに、セリカはまぁまぁと窘める。
 ウェイ族の若者たちが、これ以上の騒ぎを起こすことはもうないだろう。

 ちなみにメリーはというと、ホールの隅で見つけたいい匂いの葉っぱを吸い込もうとしている。もっとも、粉にして吸い込まない限り、そういうお薬としての効能はないのだが。
 「ちぇ、たばこじゃないからどんなものだろうと思ったのだけど、これじゃただいい匂いのする葉っぱね。」
 そういうと彼女はポイっと葉っぱを捨てたのだった。

●全てを終えて
 暴走を鎮圧した彼女たちは、のんびりとムズィークを観光することとした。
 マリアとすずなは、友人である小夜のために、お土産を買うことにした。旅先で見つけたのは、天然石で装飾されたきれいなオルゴールだ。
「すずな君! 小夜君にこれなんかどうだい?でもこの世界から持って帰れるのかな? 」
「あ、それいいですね! 音なので目が見えない小夜さんでも楽しめそう……。持って帰れたらいいのですけどね……。」
 とりあえず、オルゴールを買うことにした。そこからはきれいな音色が流れている。
 ほかにも、セリカはムズィークでもおいしいと評判のカフェで、ボサノヴァ長の音楽を聴きながらケーキに舌鼓を打ったし、メリーはメリーでお店の大人たちにおねだりし、ポップミュージックが流れる店内のアイスクリームをかなり安い値段で楽しんでいたようだ。
 音楽は、日常に溢れるもの。
 どのようなジャンルであれ、それは人の生活を豊かにするものだ。
 その音楽を無意識に耳にしながら、イレギュラーズたちは羽を伸ばして家路に着くのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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