シナリオ詳細
夏に向けての大蛸退治
オープニング
六月。
この時期は本格的な夏に向け、各地で様々な催し物の準備が行われている。
国によって種類は色々だが、海洋であれば、やはり海水浴。
水着になって開放的な気分で砂浜で戯れ、泳ぎを楽しむのも夏の楽しみのひとつ。
そうした海水浴場に適した砂浜のある島では、サマーフェスの会場として選ばれるよう、今の内から清掃活動などに余念がない。
ただ、それだけでは済まないのが、混沌世界というもので――
「大蛸が出たぞー!」
海から這い上がって来た大蛸に、砂浜の清掃をしていた島民が一斉に避難する。
なにしろ大蛸は3m以上。
陸上だというのに重力に負けた様子はなく、動きは素早い。
8本の足を器用に使い、人間などは捕まったが最後、巻きつかれ動けないようにされた後、びったんびったん砂浜に叩きつけられ齧り殺される。
鮫ぐらいなら普通に叩き殺す島民だが、大蛸相手では分が悪い。
何しろこの大蛸、鮫程度なら絞め殺して食べるような狂暴さを持っている。
柔軟な筋肉の塊なので、多少の打撃では痛痒すら覚えず、斬りつけても表面が薄く切れる程度の頑丈さ。
どうやら火が嫌いなようなのだが、たいまつ程度では怒らせるぐらいで、逆に狂暴化させてしまう。
そんな大蛸が砂浜に上がって来ると、綺麗に清掃された場所を掘り起こす。
「ああーっ、朝からの苦労がー!」
島民から嘆きの声が上がるが、大蛸は知ったことではないと言わんばかりに掘り続け、貝を見つけては殻ごとバリボリ食べる。
どうやら砂浜を餌場にしているようだ。
それを見ていたクルル・クラッセン(p3p009235)が、弓を射る。
ずぶっ
矢じりの先が減り込むほど突き刺さるが、大蛸は腕の一本で矢を掴むと引き抜き、何事も無かったかのように砂浜を掘り返し続けた。
「頑丈すぎる~」
げんなりとした声でクルルは言った。
「ちょっと、私一人だけだと無理かな」
「やはり人手が必要ですかね」
「あれ一匹だけじゃないでしょうしね」
クルルの言葉に、大蛸の駆除を頼んだヴァンとリリスが返す。
それを聞いて、クルルは嫌な予感がして聞き返した。
「ひょっとして、何匹も居るの?」
「みたいです」
「海水浴のお客さんが来る前に全部駆除したいから、餌を使って誘き寄せて一網打尽にしようと思うの」
「だったら余計に一人じゃ無理。何人かでチームを組んでどうにかしないと」
「分かりました。どうにかしましょう」
「ローレットに頼んでくるから、もし良かったら、力を貸して」
2人の言葉に、頷くクルルだった。
●
「海洋に行って、大蛸を駆除してきて欲しいのです」
招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「夏に向けて海水浴場の整備をしていたら、大蛸が来て砂浜を掘り返しちゃうらしいのです」
どうやら砂浜の貝を獲りに来ているらしい。
何匹かいるらしく、当日は餌で纏めて誘き寄せるとのこと。
「捕まると砂浜に叩きつけられるらしいので、気をつけて欲しいのです」
下手をするとそのまま齧り殺されるとのことなので、気は抜けない。
「大蛸を駆除したら、掘り起こされた砂浜を元に戻す手伝いもしてあげて欲しいのです」
全てが終われば、砂浜で遊んでも良いとのこと。
とはいえまだ六月なので、水着で泳いだりするのは早いかもしれない。
最近は暑い日も続くので、出来ないこともないかもしれないが。
そして砂浜の近くには、氷で覆われた洞窟があり、そこでバーの用意がされているとのことなので、軽く飲んだり食べたりすることも出来るようだ。
大蛸を駆除できれば、そうした場所で軽く打ち上げをしてくれるとのことだが、参加するかどうかは自由とのことだった。
話を聞き終り、現地へと向かうイレギュラーズ達であった。
- 夏に向けての大蛸退治完了
- GM名春夏秋冬
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年06月27日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
晴れ渡る青空と陽に照らされてきらめく砂浜。
バカンスにはもってこいなロケーション。
「ここが、蛸の出てくる場所か。静かなもんだぜ」
現場に皆と共に訪れた、『小さい体に大きな勇気を』ホリ・マッセ(p3p005174)は周囲を見渡す。
目の前には広々とした海。
まさに海洋に相応しい光景で、思わず海水浴を楽しみたくなる所だが、危険な蛸が出る以上そうもいかない。
(まぁ、蛸のせいで放棄すんのは仕方ねぇ。死人が出てからじゃ遅いしな。そうならないために骨を折るのが自分達の仕事ってヤツだが)
同行している仲間はどう思ってるのか気になって視線を向けると、色んな意味でやる気になっていた。
「たこ焼き食べたい……じゃなくて、皆でせーっかく綺麗に掃除した海岸を荒らしまわって、もー!」
本音が漏れているのは、『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)。
「たこ焼き、じゃなくて、サマーフェスの準備を進める為にもっ。ばしーってやっつけてタコ料理にしちゃおーっ」
クルルの意気込みを聞いて、『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)が小首を傾げ疑問を口にする。
「大蛸、食べられるのかな?」
これに依頼人のリリスとヴァンが応えた。
「身が硬いけど美味しいらしいわ」
「普通の蛸より歯応えが凄いらしいです」
これを聞いて、料理上手な『若木』秋宮・史之(p3p002233)が言った。
「大蛸かあ。下準備が大変そう」
「びったんびったん叩きつけて柔らかくしてから食べるみたいです」
ヴァンの説明を聞いて、史之はレシピを思いつく。
「でもそれさえ済ませてしまえば、たこパができるね。個人的にはアヒージョにしたいところだけど」
すでに幾つもの料理が頭に浮かんでいる。
「他にはパスタも良いだろうし、たこ焼きもしてみようかな。それに――」
「美味しそう」
史之の話を聞いていた、『虎風迅雷』ソア(p3p007025)が期待感いっぱいに言った。
「リッツパークで食べたのはとても美味しかったの! 同じタコではないと思うけれど挑戦してみたいわ!」
皆、蛸を食べる気満々である。
とはいえ依頼で来ているので、まずは蛸の討伐に集中する。
「今回も、宜しくお願いしますね?」
依頼人の2人に声を掛けるのは、『花盾』橋場・ステラ(p3p008617)。
(何だか最近リリスさん、ヴァンさんとよくお会いする様な気がします……)
何度か依頼で顔を合わせたことがあり、リリスとヴァンも気軽な声で返す。
「今日もよろしくね。頼りにしてるわ」
「海水浴や夏フェスを成功させるためにも、お願いします」
「そっか、もう夏も近いのですね……ええ、任せて下さい」
ステラと依頼人の話を聞いて、『Meteora Barista』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)が言った。
「ふむ……確かに邪魔さえ入らなければ、ここは良い観光地になりそうだ。そのためにも蛸の討伐は確実にするつもりだが、供養のためにもやはり食べてしまいたい。そのための下準備は頼めるだろうか?」
モカの話を聞いて、島民に釜茹でと塩揉みの準備を頼むリリスとヴァン。
それと合わせて、蛸を誘き寄せる餌の設置も行われる。
設置の際に、ステラが一計を案じた。
「餌の配置を多少ずらしたりとか出来るでしょうか?」
今回は回復役が少ないため、各個短期撃破を狙っているのだが、その助けにならないかと提案したのだ。
ステラの提案に応え、餌の配置はズラして複数作ることに。
準備が進み、大蛸との戦いが近付くにつれ気合が入っていくのは、『鉄拳超制裁!』実験体37号(p3p002277)。
(久々の依頼、すごく緊張する……!)
依頼を成功させるため意気込んでいるが、それと同じぐらい内心で盛り上がっているのは、皆と同じく蛸を倒した後のこと。
(今回の獲物は夏の美味しい海の幸! 蛸さん!)
ウォーカーで、元の世界ではちゃんとご飯を食べられなかったので美味しいものを食べるのが好きな実験体37号にとって、やはり戦い終わった後のタコパーティは期待が高まる。
期待感を胸に皆が待っていると、餌につられた大蛸が浜辺に上がる。
合計で5匹。
最初に予想されていたよりは少し多いが、それだけ食べ応えがあるというもの。
タコパーティのためにも、皆は戦いへと向かった。
●食材との戦い
「全部で5匹。これ以上は増えそうにないけど、油断せず一気に叩こう」
全体を俯瞰して見ていた史之は、皆が効率的に動けるよう統率役を買って出る。
史之の指示を聞き、モカが先陣を切った。
(まずは動きを鈍らせる)
大蛸の配置を確認すると、一気に駆ける。
(蛸の急所は両目の間だったな)
残像が見えるほどの高速移動で大蛸に反応させる猶予を与えず、次々急所に鋭い蹴撃を叩き込む。
胡蜂乱舞脚。
文字通りスズメバチの一撃を思わせる攻撃は、急所を撃ち抜き動きを鈍らせた。
大蛸の動きが鈍っている隙を逃さず追撃。
狙いは、皆で最初に集中攻撃する1匹。
史之が最適の1匹を見極めモカに指示を出すと、モカは応え流星破撃を放つ。
気功により叩き込まれた衝撃は、大蛸の内部に侵透。
加護と気力を破壊した。
「今だ、行こう!」
機を見計らった史之が率先して前に出る。
大蛸の動きも意識しながら、場合によってはすぐに味方を庇えるよう意識しながら刃を振るう。
ギガクラッシュ。
雷撃の剣が、斬り裂くと同時に雷で大蛸を撃ち据える。
痙攣する様に動きが止まった所で、追撃のバーンアウトライト。
全身の力を込めた右拳が叩き込まれ、爆裂させる。
爆裂箇所を焼かれ、もだえる大蛸。
やはり炎の類は大きくダメージを受けるようだった。
明らかに弱っていく大蛸に、連携攻撃が入る。
「さあ、いくよ! びりびりどーん!」
ソアは間合いを詰め、夜葬儀鳳花。
花吹雪を思わせる極小の炎乱が咲き乱れ、傷付いた大蛸を包むと一気に押し寄せる。
命中するたびに炎の花が咲き、大蛸は焼き焦げていく。
連続攻撃を受け逃げようとする大蛸に、ソアは退路を断つようにハンターズを召喚。
召喚されるや否や、ざわめき群がり大蛸から血を流させた。
仲間の攻撃を途切れさせることなく、ステラが連撃を放つ。
(最初から全力で仕掛けます)
出し惜しみなしの全力攻撃。
魔力を集中し形作った黒の大顎で、ごっそりと噛み潰す。
ちょうど急所である脳天を抉り獲ったこともあり、そのまま大蛸は動かなくなる。
まずは1匹。
しかしここからが正念場。
不意打ちから持ち直した大蛸達が、連携は無く、けれど一斉に襲い掛かろうとして来る。
そこにクルルが纏めて矢を放つ。
(一斉に襲い掛かられないように、足止めしないと)
倒すことよりも仲間の支援を第一に、泣き叫ぶマンドレイクを大蛸達に向け射る。
群れの中間点に着弾すると同時にマントレイクの絶叫が響き、狂乱の坩堝へと誘う。
麻痺し、あるいは混乱して蛸同士で触腕を叩きつけた。
大蛸が混乱している隙を逃さず、ハートが追撃。
(……海水浴場の危機。このままじゃ海の家も屋台も開けない。なんとしても解決しなきゃ)
海水浴場の平穏を勝ち取るべく、初手から全力。
(集中攻撃して一気に撃破する)
魔力を集中し放たれる神気閃光。
大蛸の触腕の先端を消し飛ばし動きが鈍った所で、連撃のマジカル☆アハトアハトへと繋げる。
接地アンカー射出し、砲撃形態に移行。
「砲身展開。バレル固定。超高圧縮魔力弾装填」
狙いをつけ攻撃。
「発射(フォイア)!」
魔力弾が大蛸の胴体を貫き、その後方に居たもう1匹にもダメージを与えた。
集中攻撃で弱った1匹に、実験体37号が跳び込む。
(今回の蛸さん……! すごく大きい! でも負けない!)
闘志と共に間合いを詰めると、大蛸が迎撃する余裕を与えず烈火業炎撃。
炎纏う大戦斧は大蛸を斬り潰しながら、同時に焼き払う。
苦しげに悶える大蛸。
(利いてる!)
手応えを感じた実験体37号は、更なる一撃を叩き込む。
ヘイトレッド・トランプル。
鋭い爪牙が大蛸の脳天を斬り裂いた。
痛みに暴れる大蛸に、追撃を与えるのはホリ。
狙うは、実験体37号が傷を与えた脳天。
(仲間のアシストをしねぇとな)
距離を詰め多段牽制。仲間が大蛸から距離を取れるよう攻撃すると、更に踏み込みヘイトレッド・トランプル。
仲間が与えた傷をさらに深くするような一撃を叩きつけた。
皆は連携を取りながら各個撃破していく。
その甲斐もあり次々倒し、残りは2匹。
だが追い詰められた大蛸の攻撃は苛烈さを増していた。
(危ねっ!)
大蛸の触腕数本に襲い掛かられ、ホリは全力回避。
1本2本と避けるが全ては避け切れず何本か受け、体勢を崩しそうになった所に史之が庇いに入る。
「怪我は?」
「大丈夫だ! 助かった!」
ホリは礼を返すと体勢を整え、ヘイトレッド・トランプルで反撃。
触腕の1本を切り落とした。
傷を受けた大蛸が怒りでホリに向かおうとした所に、実験体37号が名乗り口上で引きつける。
「こっちだよ蛸さん!」
引き付けに集中するため全力防御で守りを固め、蛸を引き離す。
これにより2匹のタコは、個別に分けられた。
そこを各個撃破していく。
(食べられる所がちょっと減っちゃうかもだけど)
状況が状況なので、ハートは大蛸を倒すことに集中。
間合いを詰めると、全身の筋力を魔力へと変換。
フルメタルボム。
拳を減り込ませ衝撃を流し込むと、浸透した魔力が爆発力へと変わり、大蛸の一部を爆裂させた。
そこにステラが毒手を突き刺す。
(後でこの部分は切り落とさないとですね)
ステラは、あとで食べることも考え、胴体ではなく触腕を享楽のボルジアで斬り裂く。
毒を受け弱る大蛸。
そこにソアが、大蛸の懐に跳び込み爪をふるう。
「とどめの、いっちげーき!」
宣言通り、脳天を斬り裂いた爪の一撃は大蛸を倒した。
残るは1匹。
それも集中攻撃で止めを刺していく。
(前に再現性大阪にタコが出て来た時はうっかり食べ損ねたけど、今回は逃がさないんだよ)
狩人の目でクルルが、アルラウネの口付けを射る。
狙い過たず脳天に命中。
体勢を崩した大蛸に、モカが連撃。
「止めは頼む」
「任せてよ」
モカは史之に声を掛けたあと、暴れる大蛸の触腕を掻い潜り間合いを詰めると残影百手。
残影が残るほどの連続攻撃。
傷付き弱った蛸に、史之が止めの一撃。
「手を抜いてもらえると思うなよ。俺は食欲と女王陛下には忠実なんだ」
勢い良く突進し、その勢いも込めたギガクラッシュ。
脳天を焼き切り絶命させた。
見事、大蛸の全てを討伐する。
戦い終わり、ここからはタコパーティ。
「よし、ここからが本番だ」
気のせいか、戦いの時より気合を入れる史之。
「まずは下拵えから。これをするとしないじゃ、仕上がりが段違いだからね」
「それなら、ワタシも」
実験体37号が提案する。
「細かい作業はできないけれど力には自信があるから、大きいものを持ったりとかそんな感じの事を手伝うよ!」
「ありがとう。だったら、切り分けて持って行って貰えるかな?」
「分かった! どこ切れば良い?」
史之の指示を受け切り分ける実験体37号。
ちなみにその際、蛸からは血が出ているようには見えない。
「タコの血って青いと聞いたけれど、よく分からないな」
史之の疑問を耳にしたヴァンが、ひょいっと近付き説明した。
「濃い青じゃないので分かり辛いんですよ。極寒の地のタコだと青が濃いので分かり易いみたいですが」
などと雑学が披露されている間も、蛸の下拵えは進む。
「こっちの切り分けたの、貰っても良いかな?」
モカが頼むと、実験体37号が切り分けた物を持ち上げながら応えた。
「なら持って行ってあげる!」
「ありがとう。なら、あっちに持って行ってくれるかな。まずは塩揉みしてぬめりを取りたい」
「良いよー!」
実験体37号は笑顔で応えると、モカと一緒に蛸を持って行く。
島民が大量の塩と釜茹での準備をしてくれている場所まで持って行くと、まずは調理用のテーブルに置いた。
「水洗いして――」
手を加える前に、素材の味を確かめたいので刺身用に薄切りにする。
「とりあえず味見をしようと思うんだが、誰か食べてみたい人はいるかな?」
これに応えたのは、ソア。
「はーい! 食べるよー!」
一切れ口に入れると――
「は、歯ごたえがすごい!」
並の蛸よりも噛み応えがある。
「でも美味しい!」
ソアの言う通り、並の蛸よりも旨味が強い。
彼女だけでなく、実験体37号も試してみると美味しさで笑顔になる。
「美味しい! これならいっぱい食べれそう!」
「良かった。なら、たくさん食べれるよう種類を多く作ろう。なにかリクエストはあるかな?」
これにソアが笑顔で返す。
「バーベキューしてみたい! あとタコ焼き。こっちは自分で作ってみたい。それと、から揚げも良いよね。濃いめの味の衣をたっぷりつけてカリッと揚げたい。あー、ビールがあればきっと美味しいー!」
ソアの言葉が聞こえた依頼人のリリスが、ひょいっと近付き言った。
「ビールならあるわよ。氷結洞窟に打ち上げ用に持って来てるから。バーベーキューとかもするなら、砂浜の所まで持って来るわ」
「ビールあるんだ。なら、ワインとかもあるのかな?」
リリスの話を聞いた史之が尋ねる。
「ブロッコリーとあわせてアヒージョを作ろうと思うんだけど、それだとビールよりワインの方が合う気がするんだ」
「好いわね。スパークリングワインとか持って来てるから用意するわ」
着々と蛸料理の準備が進む中、豪快な料理に挑戦する者も。
「あの、蛸は海の悪魔的な文化だったりしますか?」
ステラが島民に尋ねると、笑顔で応えは帰ってくる。
「ここでもよく食べますよ。こんだけデカいのは初めてですけど」
「そうなんですか、良かった。なら、丸ごと焼いてみるのはどうでしょう? 皆で食べてみませんか」
ステラの提案に島民は賛同し、苦味が出ないよう内臓を抜いて丸焼きの準備に入る。
「それでは、こちらはお願いします。拙は砂浜の後片付けをしようと思いますので」
すると、解体された大蛸を運び終えたハートと、クルルも手伝いに来てくれる。
「私も手伝うよ。人手は多い方が速く終わりそうだからね」
「シャベル借りて来たよー!」
大きなシャベルを手に、砂浜の手入れをしていく。
戦闘で抉れた砂浜平らに戻し、尖った石や貝殻のような危険な物を除去。
「これぐらいで良いかな?」
「こっちも終わりました」
ハートが周囲を確認し、ステラは蛸の墨で染まった砂を海際に置き波で洗われるようにしておく。
終わった所で、すこし休憩。
クルルは折角なので、砂でファルカウっぽいものを作ったりして一息入れた。
その間に、蛸の下ごしらえは終わり料理作りが進む。
「タコの炊き込みご飯、作って貰っても良いかな?」
ハートも参加して、茹でたたこを醤油で炊き込んだごはんを作って貰う。
香ばしい美味しそうな匂いが広がる。
他にも美味しそうな匂いはたくさん。
「にんにくの香りってなんでこんなに食欲をそそるのかな」
アヒージョを作っていた史之は、そこからみじん切りにしたタコのラグーソースを作りパスタと合わせる。
出来あがっていく料理の音も食欲を誘った。
他にもタコ焼きに唐揚げ、バーベキュー用に串に刺し、刺身も盛りつけ、あとは丸焼きを待つのみ。
その間に、砂風呂をモカが試してみる。
熱した砂を敷き詰められたところに寝て、さらに熱した砂を被せていく。
「ポカポカする。結構気持ちいいな」
そんなこんなで、料理は出来あがり。
皆で美味しく食べていく。
「タコ料理がこれほど出てくるかよ。すげーな」
所狭しと広げられた蛸料理の数々に驚きながら、ホリも含めた皆は美味しく食べていく。
「うん、美味しい」
「パスタも美味しー!」
史之やソアが、唐揚げやパスタにアヒージョ、醤油で味付けしたバーベーキューを笑顔で食べる。
「おこげ美味しい」
「このたこ焼き、おっきくて外がカリッとしてて中はトロっとしてて美味しいー!」
「刺身もいけますね。丸焼きは食べ応えがあります」
ハートや実験体37号、そしてステラが、炊き込みご飯やたこ焼きに、刺身や丸焼きを美味しく頂く。
そしてお酒も楽しむ者も。
「ん、このワイン、蛸に合うな」
「タコパーティさいこーだね!」
モカは料理との組み合わせを堪能し、クルルは美味しい酒の肴に天ぷらやタコ焼き、アヒージョを楽しみながらお酒をくいくい飲んだ。
楽しく食べて飲んでタコパーティを満喫する。
食べ終われば後片付け。
そして蛸の量が多く食べ切れ無かった物は、冷凍保存することに。
話を聞いたハートが提案する。
「……いっそのこと人を集めてたこ祭りとかにしてしまえばいいのでは」
乗り気な島民達だった。
そして片付けも終わり、帰るまでのひとときを各々静かに過ごすことに。
(夏本番になれば、また遊びにくるかもしれませんしね)
ステラのように、また訪れることも考えながら、下見をするように島をのんびり散歩するイレギュラーズ達だった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
お疲れ様でした!
書き終わった後の感想としては、タコパーティ良いなー、でした。
楽しそう。
そんな感じに、書いていて楽しくなるリプレイでした。ありがとうございます。
それでは、最後に重ねまして。
皆さま、お疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!
GMコメント
おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
24本目のシナリオは、アフターアクションでいただいた内容を元に作った物になります。
今回の舞台は、夏ごろに海水浴とかサマーフェス関連のシナリオの舞台にしようかと思っています。
そして、以下詳細になります。
●成功条件
大蛸の全滅
●戦場
砂浜で戦うことになります。
砂浜なので、少しだけ足場を取られますが、戦闘に支障があるほどではありません。
戦闘の際に、邪魔になる障害物などはありません。
●敵
大蛸×4匹以上
ご参加いただいたレベル帯などによって、4匹以上になったりします。
攻撃手段は、
触腕
近単ですが、1匹につき最大で6本が同時に攻撃してくる場合があります。
攻撃を与えたあと、身体に巻き付いて動きを封じ、砂浜に叩きつけることで追加ダメージを与えて来る場合があります。
墨
中範ですがダメージは無いです。
命中すると暗闇と猛毒になります。
この2種類の攻撃手段を持ちます。
動きはそれなりに速く、HPと防御力は割と高いです。
大蛸同士で連携して行動することはありません。
●流れ
今回の流れは、
1 現地に到着。
2 餌に誘き寄せられた大蛸を皆で倒す。
3 後片付け。砂浜の整備など。
4 打ち上げ。洞窟内のバーや砂浜で過ごすのも可能。
という流れになります。
●依頼人
リリス&ヴァン&島民の人達
島をリゾート地にしようと整備していた所に大蛸が現れたので、ローレットに駆除を頼んだ。
何か必与な物があれば用意してくれます。
●その他
舞台となる砂浜は、海水浴に適した綺麗な場所です。
隣りに氷で覆われた洞窟があり、落ち着いた雰囲気のバーや休憩所などがあります。
砂浜の一部を使った砂風呂なども計画されていますが、大蛸のせいで頓挫してます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
説明は以上になります。
それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。
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