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シナリオ詳細

【黄昏幻影奇譚】とおりゃんせ編

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●とおりゃんせ

 通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの細通じゃ
 天神さまの細道じゃ ちっと通して下しゃんせ

 黄昏時にどこからか聞こえてくるわらべ歌。幼い声。その歌はいったい何人の子供が歌っているのか。

 行きはよいよい 帰りはこわい
 こわいながらも
 通りゃんせ 通りゃんせ

 その声はどこまでも無邪気で、そして底知れぬ悪寒を感じさせるものだった。

●書斎
「行きはよいよい帰りは恐い」
 境界案内人のミヤコが待つ書斎にやってきたイレギュラーズ。
 そして怪異の蔓延るライブノベル『黄昏幻影奇譚』。
ーー君達は動揺の『とおりゃんせ』は知っているだろうか。
 『とおりゃんせ』。この童謡が世に出てから数百年は経つとされている。作詞者は誰なのかわかっていないとされるが、この童謡に込められた意味は諸説あるとされる。
 そして『行きはよいよい』はその童謡に出てくる一説である。
 小さな漁港のある町。元々人口の少ない場所ではあるが、そこのとある一角。裏寂れた路地裏。
 そこで『とおりゃんせ』が聞こえてくるという。
 見渡しても誰もいない。なのに聞こえてくる童謡。遊び歌でもある『とおりゃんせ』。遊んでいるのだろうか。無邪気な声。しかし、その声はどこか不気味さを孕んで。
「そしてこの童謡を聞いた者は神隠しに遭うという」
 出かけた者がいつまで経っても帰ってこない。
 何故か。町を出たのではないか、という至極当然な推測も出たがそれはあっさり否定される。
 目の前で突然人が消えたのだ。それも一人だけではなく、複数人。しかもその人が消える直前に言っていたのは『とおりゃんせ』を聞いたのだ、と。だが、どこを見渡しても『とおりゃんせ』を歌っている子供達の姿が見当たらない。
 そしてふと背後を見ると。古めかしい着物を着た子供が複数人『とおりゃんせ』を歌いながら遊んでいるのだ。「鬼役」と「子供役」に別れて。
「調べた限りでは犠牲者が出るたびに子供の数が増えていっているらしい。恐らく怪異に取り込まれているのだろう」
 このままでは町一つが怪異に取り込まれてしまう。そうなる前に手を打たねばならない。
「だから今回もよろしく頼むよ、イレギュラーズの諸君」
 そう言いつつイレギュラーズを送り出すミヤコ。
「遊び歌の鬼……捕まった子供達はどうなるんだろうね?」
 その独り言に反応する者は誰一人いなかった。

NMコメント

●黄昏幻影奇譚
怪異が蔓延る世界です。

●目標
怪異『とおりゃんせ』の対応

●調査
港町にて怪異『とおりゃんせ』の調査ができます。
何をどう調査するかをプレイングにて指定してくださいませ。

●敵
子供達ー???人
10人います。が、体力は共有化されているようです。

××ー1体
子供達の他に何かがいます。詳細は不明。

●技
子供達に関してはその人数による連携攻撃が得意です。
ですが具体的な攻撃は不明です。
正体不明の怪異に関してもどのような技を使ってくるかも不明です。

●歌詞
通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細通じゃ
天神様の 細道じゃ
ちっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに 参ります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ

  • 【黄昏幻影奇譚】とおりゃんせ編完了
  • NM名アルク
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年06月13日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
ボディ・ダクレ(p3p008384)
アイのカタチ

リプレイ

●とおりゃんせ
 港町。裏寂れた場所で今にも生活という名の人の息吹がなくなりそうな場所。
 そんな場所の黄昏時は寂寥感を漂わせている。
 その一角。路地裏に4人。
 イレギュラーズ。
 彼らは神隠しに遭った人間達の、延いては怪異『とおりゃんせ』の対応にやって来ていた。
「さて正体不明となるとなあ」
 自身の頬をかく『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)。
 童話、神話、寓話。この手の話は大元がわからないというのが定説だ。
 誰が広めたかわからないフォークロア。
 ただただ病気のように感染する。
 終わったかと思えば別の形で残っている。
「いっそ倣って歌ってみるとか? とおりゃんせだっけ」
 その視線を横にいる男、『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)に移す。
「え?俺も歌うのか…?」
 この2人は夫婦である。その妻であるルーキスの目がそうだ、と言わんばかりに輝いてしまっている。
 『とおりゃんせ』。この童謡は子供の頃に聞いた事があるし、大人になっても意外と覚えている。
「……音痴でも笑うなよ?歌はそんなに得意じゃないし……」
 自分も歌うのか、と戸惑いを見せるが巻き込まれたからには一応は歌う。こんな事なら学生時代に音楽位きちんとやっておくべきだった。 
 そんな二人を後ろからついてくる少女。『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)。
 海種である彼女は本来、下半身がゼラチン質の長く透き通った尾になっている。が、ここは黄昏幻影奇譚。混沌ではない。変化系スキル『第二存在』。このスキルを解除しない限りは、滅多な事を言えば『怪異』である事はばれないはずだが、やはり気にしているように見える。
「ここが漁港である事が不安ですの……」
 漁港。いわく、イワシやらタイやらが水揚げされたところで運がなかった、ぐらいにしか思わないが。
 もし突然アナゴの死体とご対面、なんて事になってしまったら……不安でしかない。
 その辺の線引きは他者にはわかりづらいかもしれないが、当の本人はマアナゴのレプトケファルス幼生の海種。同族のようなものである。それに……彼女自身もよく食材扱いされているが故、他人事(魚事?)ではないだろう。
 そんな面々をよそに
「どうしましょうか」
 と呟く『激情のエラー』ボディ・ダクレ(p3p008384)。
 この『とおりゃんせ』自体はボディには馴染みのない代物だ。事前情報として歌詞の中身ぐらいは教えてもらってはいるが、それだけである。
 囮になって神隠しに遭うにしてもそれは最終手段。危険だ。ならどうするか。
 というかその頭部は大丈夫なのだろうか。なぜならその頭部はモニターとスピーカーが付いた『匣』だからである。見る人が見ればわかるだろう、アナログテレビーーブラウン管テレビと称する人もいるかもしれないーーだ。『怪異』が蔓延るこの世界ではあるが、被り物であると言い張ればいける……かもしれない。

ーー……んせ

「ん?」
 振り返るボディ。

ーー……して 下しゃんせ
……来る。
「皆さん、怪異が来ますーー」

ーーこの子の七つの お祝いに お札を納めに 参ります
 聞こえる。はっきりと明瞭に。その声はこの場の全員に。だが、これはどこから聞こえてくるのか。不気味さを孕んだ幼い声だけが薄暗い路地裏に鳴り響く。それはまるで遊んでいるように。それはまるで楽しんでいるように。
 そしてそれはまるで

 次の獲物を見つけたかのように。

 そして4人が気付いた時にはーー

●神隠し
 『とおりゃんせ』を聞いていた4人が気付いた時にはそこは神社だった。
 どう見ても普通ではない。どうやらあちら側ーー異界に取り込まれたらしい。
 これが神隠しの一端であろうが……既に被害に遭った人は見当たらない。
 敷地の外は結界らしきものが張ってある為、出られそうもない。
 そして参道の奥、拝殿。その前。
 幼子らしき厚みのある影が10体程。古風な着物に身を纏い、横一列に並んでいる。
 いや、それよりも。拝殿よりもその奥にある本殿。なにか、いる。

ーーうふ。うふふ。
 ぞわり。

 幼子達はまるでこちらを誘うかのようにその本殿の方へ無邪気に走っていく。
「……」
 顔を見合わせる4人。行くしかない。

 本殿の扉。それが既に開かれている。その扉の脇に幼子がいるのは置いておくとして
ーー来る。
 空の天候が一気に悪くなる。黒く厚みある雲。湿っぽく異様な空気。激しく降り始める雨。そして落ち続ける雷。
 その扉の中から出てきたのは

「……雷神?」
 そう呟いたのは誰だったか。本殿から一気に噴き出してきた黒い靄が一気に形作り姿を現したのは。
 黒い雲らしきものに乗った鬼。牛の角を持ち虎の革のふんどしを締め、雷鼓。
 天神様。別名、雷神。

ーーグ、ガ……

 すっと伸ばした腕から迸るは相手を貫く雷撃。
 狙われるノーリア。
「つうっ……!」
 怪異。
 はっきり言って怖い。怯えればそれこそ怪異の思う壺。それはよくわかっている。だというのに怪異の恐ろしさを克服する事ができない。
「ああっ、歌が、きこえてきますの」
 自己強化魔術『大海の抱擁に身を委ね』、そして戦場離脱。
 出口を、逃げれる場所を探して必死に逃げる。幾人かの子供を引き連れて。怖い事に変わりはないが、敵の人数が減ればその分立ち回りやすくなる。更にノリア自身も体力が非常に高い為、ちょっとやそっとで倒れたりはしない。
 せめて皆が助けてくれるよう、あわよくばいなくなった人達と共に帰れるように。そう願うばかりだ。
「ノリアっ!」
 その様子を見ていたイレギュラーズ。ノリアが引き連れていったのはあくまで怪異。いくらノリアの体力が高いとはいえ、いつまでも持つわけではない。救いがあるとすればそれはこの子供達の体力が共有化されているという事か。
 ならば早急に倒すのみ。
「どういう経緯で発生したのか知らないけど」
 ルーキスのチェインライトニング。
「お仲間に加わる気はないんだ、寂しがり屋がいるからね」
 複数体巻き込んでの攻撃。その分体力が削られたはずだが、やはりしぶとい。
「ルナール先生も追撃よろしくネ!」
 任されたといわんばかりに動き出すルナール。子供達を優先したいところではあるがあの雷神の動きも怪しい。
 アイアース。防御力を破壊力に。吹き飛ばされる子供。
 見た目こそ子供であるが、この怪異にまつわる怪異譚は何なのか。
 怪異はその在り方を都市伝説や神話などに縛られる。
 つまり子供に限らず別の何かが怪異に変質してしまう場合がある。
 恐らくはルーキスも気になっているだろう。
 ボディが動く。子供達も対処しなければならないが雷神もまずい。
 何かをしようとしているようだが、放っておいたら危険だ。
 急加速からの接敵。速度を利用し、手に持った鉈を振りぬく。
 だが。

ーーとおりゃんせ とおりゃんせ。

 子供達が割って入り、攻撃をかばう。
 そこからボディへの連撃。殴打、蹴撃。
 そして雷神。
 イレギュラーズに向けて数多もの雷を落とす。
 咄嗟にルーキスをかばうルナール。
「あ、ぐ、あ……」
 苦悶の声。
「ルナール!」
 致命傷ではないが、決して浅くはない。
 何かがルーキスの中で切れる音がした。
 ルーキスから発せられる魔力量が甚大ではない。
「やってくれたねえ……?」
 再びうねり、のたうつ雷撃。流石に体力も残ってなかったのか、消滅する子供達。
 じろり、と雷神を見やるルーキス。
 ダイヤモンドダスト。高位魔術のそれは雷神を飲み込み、氷漬けにした。
 そしてそのまま大きな音を立てながら崩壊していくのだった。

●そして
 異界に誘われていたイレギュラーズだが、気が付いたら元の路地裏に立っていた。そこにはノリアの姿もあった。事情を呑み込めていないのかきょとんとしている。
 事情の説明。
 怪異の討伐自体は成功。だが、残念ながら被害者が帰ってくることはなかった。

 その後。改めて今回の件について調査したミヤコから資料を渡された。
 あの子供達は口減らしの為に親に神社へ置き去りにされた者達である、と。
 元々この町には子供が7歳になるまでは子供達は神様の物である、という考え方がある。それゆえ子供が生まれたら子を守ってくれるお札を貰いに神社へ参拝する。そして7歳になればそのお札を返しに行く。
ーー行きはよいよい 帰りはこわい
 つまり、お札を返した時点で子供を守ってくれるものがなくなるのだ。
 なら親が夕方にお札を返しに行くとも読み取れるがこれはなぜか。
 別に日を改めても良い筈だ。
 それは先に言った通り子供が神様の物である、という事。そして口減らしの為、である。
 神様の物なのだから勝手に手を出す訳にはいかない。だからといって食い扶持の問題がある。
 ならば神の子から人間の子になる境の日。家に帰ってこられないよう夕方に家を立ち、暗くなった時間に神社へ着き、お札を返してから子供を置き去りにする。
 その親の心境は如何程だろうか。
 そして怪異の被害者達。これは神社に子供を置き去りにした親達だという。ただ、怨念を晴らすと同時に子供らしく、しかも凄惨な手段で無邪気に親を殺したのではないだろうか。
 つまり、『遊び』ながら殺す。
 ならばなぜイレギュラーズが神隠しに。
 これは推測だが、イレギュラーズはこの世界において文字通りイレギュラーな存在だ。それゆえに排除しようとしたのではないだろうか。恐らくは一通り子供達の玩具にされた後で。
 そして雷神。
 雷神はあの神社に祀られていた存在だ。敬われてはいたが、子供達の怨念により、祟り神になってしまったのだ。
 この町なりの事情があったのだろうが、なんともいえない話である。 童謡『とおりゃんせ』自体は昔からあったものだが、その事情とやらが童謡に結びついて出来上がった代物。それが今回の怪異の正体である。

成否

成功

状態異常

なし

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