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シナリオ詳細

【自由ノ丘学園演劇祭~ブツを取り戻せ!~】

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●自由ノ丘学園演劇祭 3日前
 現代日本によく似た世界。
 文明は相応に発展しており、多くの人がスマートフォンや携帯ゲーム機を持ち歩いている。
 食品をはじめ生活に必要なものはそろっており、生きていく分にはまったく困らないだろう。

 特にこの町は、住宅街とアーケード街、そして学校が近い位置にあり、買い物をするにも便利な立地だ。
 スーパーは勿論、100円均一やホームセンターもあり、欲しいものはそこに行けば何でも売っている。
 少しお洒落なカフェで談笑しながらケーキを頬張る人の姿も見える。
 初夏に入り暑くなってきたからか、学生の中にはアイスを頬張りながら家路につく者もいる。

 少し汗ばみ始める初夏の季節に、文化祭が行われる。
 年に一度の催し物、それは生徒たちにとって大切な思い出となる……はずなのだが。
 ーー思わぬトラブルが、発生した。
 
 自由ノ丘学園の体育倉庫には、西日が差している。
 そこに、ポツンとたたずむ少女が一人。
「大変……。」
 真っ青な顔をして女子高生が今にも泣きだしそうになっている。
 ーー夏野ひかり、この学園に通う高校3年生で、3年A組の演劇祭実行委員長だ。
 この学園では、この季節になると各クラスが演劇を披露する演劇祭が行われる。
 演劇祭は生徒会と教師による採点が行われるコンクールで、全校生徒が本気で取り組む行事である。
 特に、3年生ともなれば受験前最後ということもあり、特に気合が入っている。
 そんな本気で取り組んできた行事に使う小道具や衣装が……消えた。
 小道具が入っていたはずの工具箱には、一通の手紙が入っている。
 
 ーー手紙の中身は
 
 うちのクラスがA組ごときに負けるだなんて、ありえませんわ!
 衣装や小道具を返してほしいのであれば、取り返しに来なさいな。
 まぁもっとも、ワタクシはとてもやさしいので、預かり場所くらいは教えてあげますわ。
 ☆男子の衣装は東校舎1Fの音楽室
 ☆女子の衣装は東校舎4Fの理科室
 ☆小道具は西校舎3Fの家庭科室
 ☆音響用のCDは、体育館の放送室
 もっとも、うちのクラスの屈強な男子を隠し場所前に配置しているから、どうしようもありませんわね。
 さぁ、成績優秀なA組の実行委員長様、お手並み拝見ですわね。
 
 そんな挑発的な言葉が並ぶ手紙の主に、心当たりがあった。
 3年B組冬﨑レナだ。
 レナは何かにつけてひかりに突っかかることが多いのだが、普段のひかりはそれを相手にしなかった。
 3年A組に、腕っぷしが強い男子生徒はいない。
 かといって、一人で立ち向かう勇気はないし、演劇祭のクラスの予算は使い果たしてしまった。
 演劇祭まで残り時間はわずかだ。

●二度とは戻らぬ晴れ舞台のために
「ということで、困っている女の子がいるんだよー。」
 困った顔で、協会案内人のポルックスはイレギュラーズを見ている。
「まあでも、生きていくうえで必要な道具は基本的に手に入る世界だから、買い物には困らない世界だね。」
 ポルックスはそういうと、思いついたように言葉を発する。
「つまり、戦わなくても相手が欲しいものを渡してあげれば、戦いは回避できるかもしれないね。」
 彼女は話を続ける。
「今回やることはとても盗まれたものを取り返すことだよ。ただ、取り返したくもこわーいお兄さん達が各教室の入り口をふさいでる。どうにか衣装や小道具を取り返して、大事な思い出を作ってもらおう!」
 目の前のイレギュラーズ一人一人に目を配り、ポルックスはニコッと笑った。
「大丈夫。あなたたちならきっとうまくやれるわ! 戦うのが苦手なら、袖の下を渡してあげましょ。」

NMコメント

 こんにちは!NMの水野弥生です。今回は文化祭直前のお話を書いてみました!よろしくお願いいたします。
●世界説明
 ご存知の通り現代日本によく似た世界です。
 皆さんには学園の生徒として動いていただければやりやすいかと思います。
 学校の近くにはアーケードがあるので、違法なものでなければ手に入ります。
 ただし、未成年がお酒やたばこを買おうとすると怒られますので、その点はご了承ください。

●目標
 盗まれた演劇祭で使うものを取り返してください。
 取り返す方法について、戦闘・交渉の手段は問いません。(詳細は敵についての説明をご覧ください。)

●他に出来る事
 敵のもとに乗り込む前に、買い物に行ったり、ひかりに話を聞くことができます。
 ぜひ活用してくださいね。
 ※首謀者のレナにも話を聞くことができます。

●敵
 今回の敵は、首謀者含めて5人です。
 
 ☆首謀者:冬﨑レナ
 今回の首謀者で3年B組の演劇祭実行委員長です。
 彼女はA組のひかりに、成績や運動能力で常に遅れをとってきていました。
 本件についての同期は勿論妬みからくるもの。
 ただ、遅れをとるだけあってどうしてもどこか抜けています。
 取り返す時の話には直接かかわってはきません。
 
 ☆東校舎1Fの音楽室:合気道部のタナカ
 合気道で、彼にかなうものはこの学園にはいません。
 体を全力でねじられてしまうでしょう。
 しかし、彼は欲しいものがあります。そう、テスト対策のノートです。
 彼のご家庭は成績にうるさいので、苦手科目(英語)の対策ノートが欲しいようです。
 
 ☆東校舎4Fの理科室:キックボクシング部のスズキ
 蹴り技における格闘技で、彼にかなうものはこの学園にはいません。
 蹴られると下手をすると骨が折れてしまうでしょう。
 しかし、そんな彼は重度の愛犬家。自宅で飼っている犬がかわいくて仕方がありません。
 愛犬が喜ぶものを渡すと、強面の彼の顔が少年のようにまぶしい笑顔になったとか。
 
 ☆西校舎3Fの家庭科室:相撲部のサトウ
 張り手や押し出しで、彼にかなうものはこの学園にはいません。
 張り手を食らった暁には、2mは吹っ飛ばされることでしょう。
 しかし、そんな彼は食べるのが大好き。ただ、好き嫌いも激しいらしいので注意が必要。
 最近はケーキにハマっているとかいないとか。
 
 ☆体育館の放送室:空手部のキムラ
 空手で組手をするとき、彼にかなうものはこの学園にはいません。
 彼は基本的に、空手以外のことに興味がありませんので、物で釣られることはなさそうです。
 彼については、純粋に戦闘で勝負するのが吉でしょう。
 

●味方
 ☆今回の被害者:夏野ひかり
 3年A組の演劇祭の実行委員長です。
 成績優秀で、今回の首謀者のレナとは小学生のころからの同級生。
 ちなみに、3年A組は自由ノ丘学園の中では成績トップのクラスです。

●サンプルプレイング
 いくら負けたくないからって、そんなズルは許せない。
 今回は、腕っぷしの強い男子4人が相手ね。
 ーーん? 甘いものが好きな子がいるわね。
 「私も甘いものが好きなの。良かったら、そこのケーキ屋さんで季節限定の商品を買ってきたの。どう?」
 ケーキをダシに、彼には扉の前から退いてもらおう。

●補足
 本シナリオのエネミーには、腕っぷしが強いものを配置していますが、
 交渉等切り口はいろいろあります。
 ぜひいろいろな切り口から挑戦していただければと思います!
 もちろん、戦闘も大歓迎です!

  • 【自由ノ丘学園演劇祭~ブツを取り戻せ!~】完了
  • NM名水野弥生
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年06月09日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先
海紅玉 彼方(p3p008804)
扇動者たらん
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ


「道具を隠して妨害か。わかりやすいくらいに陰湿だな。いや、隠し場所を教えてしまうほどのわかりやすさならいっそ清々しいか?」
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は、分かり易すぎるレナからの挑発の手紙を見て苦笑する。
「腕っぷしでもいいんだけど、時間がないなら穏便に……準備していこうか。」

 向かったのは3年B組の教室。そこに、女子生徒が一人。
 ーー事件の首謀者、冬﨑レナだ。
「冬﨑さんだね。ちょっといいかい?」
「何か用かしら? テストと演劇祭の前で忙しいから、手短にお願い。」
 レナは怪訝な顏で、イズマを見る。
「ほら、レナさんの言っている通り、テストも近いだろう。英語の勉強をしているんだが、よかったら今回のテストのポイントを教えてくれないか。」
 イズマはノートを見せる。
「仕方がないわね……。いいわ、教えてあげる。」
 テストのポイントをまとめながら、レナがポツリと呟く。
「テストも、演劇祭も、どんな手を使ってでも、ひかりに負けるわけにはいかないの。」
 ーーどれだけ頑張っても、なぜか一つ上をいかれてしまう。悔しくて仕方がない。なら、手段は選んでいられない。

「……これでどう? 90点は固いと思うわ。」
 大きなため息をついてササっと補足説明をしていく。ノートの付箋に書かれたその説明は、とても分かり易いものだった。
「ありがとう、これでテストも何とかなりそうだ。演劇祭、楽しみしてる。」
 ノートを鞄にしまい、教室を後にして音楽室に向かう。

「あれが合気道部のタナカさんか。」
 音楽室の前には、真面目そうな男子生徒が英単語帳を片手に立っている。
 彼に早速声を掛ける。
「タナカさんかな。A組の子に頼まれてね。文化祭の道具を隠してるんだって? 返してくれないか?」
 英単語帳をめくりながらタナカはダメだ、と答える。
「そうか、今の君に必要なものを持ってるんだけどなぁ。」
 ノートをタナカに見せながら続ける。
「というわけで取引しようか。ここに英語のテスト対策ノートがある。俺も見たけど結構わかりやすいよ。成績は大事だろう? これを渡す代わりに、そこを退いてくれないか?」
 ノートをめくるタナカ。必要としている情報がそこにあるからか、ドアの前から退く。
 音楽室から衣装を回収し、タナカに声を掛ける。
「……そのノート、誰が作ったと思う? レナさんには感謝しないとね?」
 演劇祭の成功を願ってるよ。そう言ってイズマは衣装を返すべくひかりの元に向かうのだった。


「今回は学園祭のお手伝いだと思ってたけどこういうことだったんだね。まあ、どういう仕事であれ本気でやらせてもらうよ!」
 『レディ・ガーネット』海紅玉 彼方(p3p008804)はそう言って意気揚々と職員室に向かう。
「早速なんだけど、演劇祭の前にライブをやりたいなって思ってるんだ! 先生の皆さん、応援おねがーい!」
 教師にアイドルとして自己紹介をすることでアイドル活動の許可を得る。
 教師陣は「かわいい」「頑張ってね」と、彼女のアイドル活動を暖かい目で応援してくれる。
 彼女のアイドル活動が快諾されたのは、誰の目にも明らかだった。
 教師の一人が彼方に体育館の放送室のカギを渡す。ここまでくればこっちのものである。
 決して腕っぷしは強くない彼女だが、それは混沌世界での話。この世界であれば、同じ年頃の男子高校生ごときに負けるはずはないのだ。

 体育館の放送室の前では、一人の男子生徒が臨戦態勢で構えている。胸元の名札には「キムラ」の文字。
 しかし、そんなことは関係ない、鮮やかな身のこなしで、キムラの構えを崩す。
 うおっ、とよろけた瞬間を、彼方が見逃すはずもなかった。
「これでもアイドルだから、戦えて当然だよ?」
 刹那、ノーモーションでキムラに向けて衝撃を放つ。よろけていたこともありバランスをとることもできず、キムラは部屋の外に吹き飛ばれされる。
 盛大に床に頭を打ち付け、キムラはピクリとも動かなくなった。どうやら脳震盪でも起こして気絶したようだ。

 サッと放送室に入り、マイクのボリュームを上げて放送を始める。
「みんなー! 私の話を聞いて―!」
 全校に彼方の声が響き渡る。
「3年A組の演劇祭で使う道具が盗まれちゃったの! 犯人は3年B組の人なのはわかってるんだけど、盗まれた道具を探すのを手伝ってくれないかな?」
 それから、と彼方は言葉を続ける。
「今から、演劇祭の前哨戦ってことで、音楽室でライブやりまーす! ステージ飛び入りや楽器の演奏大歓迎! みんなで盛り上がっていこう!」

 音楽室の状況はすでに落ち着いているとはいえ、協力者は多いほうが良い。
 意気揚々と音楽室へ向かい、多くの声援に囲まれる中、ゲリラライブが始まるのだった。

 事が落ち着いた後、音楽経験者で揃ってセッションを始めたのは、言うまでもない。


「そんな理由で、大切な道具を、盗むだなんて……。」
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は悲しげに、しかし二度と同じことをさせないという意思を強い意志を、その瞳に宿している。
 海種のノリアは、海での生活が長いこともあり、陸の生き物には詳しくない。
 それに、スズキが愛犬の喜ぶものを欲しがっている話はひかりから聞いているが、彼女の中ではそれを材料にして道具を返してもらうというのは、しっくり来ないらしい。
「わたしは、わたしのやりかたで、ゆきますの! こらしめる、なんて言うのは、烏滸がましいですけれど、二度と、こんなつまらないことが、起こりませんように。」
 
 彼女が向かったのは理科室。そこには筋骨隆々とした男子生徒・スズキが立っている。
 人間の姿に変化し、ノリアは優しく声を掛けた。
「あの……盗んだものを、どうか、返してほしいですの……。」
 スズキは、明らかに嫌そうな顔をして、彼女の言葉無視する。
 A組の人たちも困っている、こんなことをしても何にもならない。
 粘り強く声を掛ける彼女を煩わしく思ったのか、スズキはノリアを蹴とばす。
 蹴りが入った腹部を抑えながらも、ノリアはへこたれない。悲しそうでありながらもどこかおどろおどろしく続ける。
「返してくれないかぎり……安心して、ゆけませんの。もしかして、もう、忘れられてしまったのでしょうか……。昔、同じことをされた女生徒が、責任を感じて自殺してしまったという事件は……。」
 すうっ、と変化を解除し、物質中親和でドアをする抜ける。もちろん、つるんとしたゼラチン質の尻尾を見せることも忘れない。

ーーひぃっ! 悪かった! 悪かったよぉっ! うわぁぁぁっ!

 ドア越しに情けない男子の悲鳴が聞こえたかと思うと、猛ダッシュで廊下を走る音が聞こえる。脅かしは成功したようだ。

「さて、ことの経緯と、幽霊が出たという噂を、みなに、広めましょう。今後……同じことをする人が、出ないように。」
 そういうとノリアは理科室を後にする。

 後日、自殺した女子生徒の幽霊の目撃談が学園中を駆け巡ることになったが、それはまた別のお話。


「あら、何か困っているの? 貴女は確か、ひかりさんだったかしら? あぁ、あたしは九尾理愛(つづらお・りあ)。ちょっと前からお世話になっている教育実習生よ。よろしくね。」
 道具を盗まれて困っているひかりの元に、気さくに声を掛ける女性が一人。『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)だ。
「何か困っているなら相談に乗るけど……ふむふむ、そう言う事ね。いいわ、先生たちに任せておいて、あなた達は演劇祭の準備をできるところまでやっておきなさい。」

 リアはそういうと、商店街であるものを買って家庭科室を訪れる。
 見るからに体格のいい男子生徒が、家庭科室の前で四股を踏んで待機している。
「はい、どーも、貴方がサトウね。」
 なんだよお前、といわんばかりの表情をしているサトウを他所にリアは話を続ける。
「単刀直入に言うわ。貴方、演劇祭で使われる道具を隠したでしょ。それ、返してほしいの。」
 サトウは首を横に振る。
 わざとらしい大きなため息をついてリアは買っておいたものをサトウに見せつける。
「駄目? そう、残念ね。返してくれたら、生徒達に配る為に買ってきたケーキを全部貴方にあげようと思ったのだけど……うーん、残念。他の子達と食べるしかないなー。」
 チラッとサトウを見る彼はケーキを前に目を輝かせている。
「サトウが素直に返してくれたらなー全部あげるのになー。」
 チラッチラッと効果音が聞こえてきそうな勢いで、箱を開けてケーキを食べようとする。
「俺も……ケーキ食べたい。」
 そういうと、サトウは家庭科室のドアを開ける。
 はーい、そんないい子にはご褒美、とケーキの箱を渡して目的の物を回収する。
「先生ありがとう!」
 歓喜の声を背にして、リアは家庭科室を後にし、次の場所へ向かう。
 
 3年B組の教室には、教室を出ようとするレナの姿があった。
 リアは彼女に声を掛ける。
「レナ、なんで先生が貴女のところに来たかわかるかしら?」
 ぎくり、とした表情でリアの顔を見る。
「貴女が道具を隠した事、全部わかっているからね? 競い合うって事は、大いに結構。お互いに切磋琢磨していけば、大きな成長に繋がるからね。でも、卑怯な手段は取っちゃ駄目よ? 卑怯な事をするなんて、貴女には似合わないから、ね? 」
 リアの一言に思うことがあったのだろう。
 レナ自身の表情は悔し気な、しかし正々堂々と頑張ろうと決めた、そんな表情をしていた。
 それじゃ、演劇祭頑張ってね。そう言って職員室に戻るのだった。


 ーー演劇祭当日。
 優勝は、A組とB組の同率優勝だった。
 相も変わらずレナはひかりのことをライバル視しているが、溝は少し埋まったようだ。
 どのクラスの作品も素晴らしく、そして輝いていたのは、言うまでもない。

成否

成功

状態異常

なし

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