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シナリオ詳細

<Genius Game Next>アルテミア(30)のハイボールウェディング(ただいま炎上中)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ウェディングベルは突然に
 ある女騎士の話をしよーじゃないか。
 アルテミア(30)と呼ばれる無敵の女騎士はマジで無敵であった。
 王党派名門フィルティス家の血を引く近衛騎士団所属騎士アルテミアは暖かい家庭に心身とも豊かに育ち、騎士としての腕も立ちバチボコに美人であったためあらゆる男が『彼女は高嶺の花さ☆』とか言いだし強い男もバチボコに倒してしまうせいで婚期は遅れに遅れたまに軽率な男が近づいても鬼妹ことエルメリアが荒ぶる妹のポーズで威嚇するため彼女の周りに男っ気はなかった。無気であった。これが酸素だったら死んでいる。
 そして彼女は『高嶺の花さ☆』のまま堂々の三十路へロードイン。同僚(銀髪)がスマイル寿退社した一言にキレてハイボールキメたその夜にすげー勢いで婚姻にこぎ着けたのであった。

「っしゃああああああああああらああああああああああああああ!
 見たか世界! 私だってねえ! その気になれば寿退社なんて秒なのよ秒!」
 もはやどこに向けたのかわかんねー怒りをウェディングブーケと共に掲げ、鳴り響くウェディングベルの下で勝利の昇魂ポーズをキメたアルテミア(30)がそこにはいた。
 真っ白なウェディングドレスは名門子爵ドーマン家から贈られたものであり誰がどう見ても何の問題も無い円満な結婚。
 周りの人達もなんかの補完計画かなってくらい円を組んで拍手しながらおめでとうおめでとうゆーてる風景。やったぜアルテミア最終回や! 次回作マダムテミアをご期待ください!
 とかやっていたら。
「「ヒャッハーウェディングだー!」」
 火炎放射器を抱えたモヒカン棘パッドの男達が馬車バギーをかっ飛ばして参上。ジャンピングファイヤーすると美しいチャペルの庭をたちまち炎でなめていった。
 燃え上がる教会。悲鳴をあげて逃げ出す人々。
 ドーマン子爵もダッシュで逃げる始末。
 燃えさかる教会をバックに、まだ昇魂ポーズポーズだったアルテミア(30)は両目かっぴらいて震えた。
「折角……」
 握りしめた花束(半分燃えてる)を地面に叩きつけ、血が流れんばかりにギラついた目で叫んだ。
「折角掴んだウェディングに何してくれてんのよ! こんの盗賊野郎がぁ――!」
 アルテミア(30)最後の戦い――ウェディングベルに代わりまして、ファイティングゴングが鳴り響く!(カァン!)

●大規模クエスト発令中
 いやあ乱世乱世。練達三塔からの依頼でゴザルよ。混沌法則解明計画が巨大なバグによってゆがみ生まれた仮想世界ネクストにはあまたの研究員たちの意識が閉じ込められたのでゴザル。彼らを救うべく依頼されたるは我らローレット・イレギュラーズ。アバターを作り仮想世界へいざログイン。そんな中おこった一大イベントそれがGenius Game Next。
 砂嵐より来たる国家規模の大盗賊団を伝承の地にて撃退するイベントでゴザル。
 いざ乱世戦国のネクスト! 解決したあかつきには多くの研究員たちの魂が救出されるでござろう!

 で、今回の舞台はヴァン・ドーマン子爵領、聖クッコロ教会のチャペルであります。
 砂蠍盗賊団所属リア充爆殺旅団が教会を燃やし火の海とした所から始まるこのクエスト。彼らを倒し撃退すればクリアである。
 戦場には復讐の花嫁ことアルテミア30と姉の晴れ舞台を燃やした盗賊ブッコロとばかりに荒ぶる妹のポーズで突入してきたマダムエルメリアが第三勢力ユニットとして存在。彼女たちと力を合わせ盗賊団を倒すのだ!

GMコメント

●クエスト内容
 成功条件はリア充爆殺旅団の全滅ないしは撤退。
 シンプルなバトルシナリオとなっております。シンプル? is this simple!?(訳:これのどこがシンプルだっていうのよジョニー!)

●聖クッコロ教会
 神の奇跡をうけたという聖人女騎士クッコロの――てこの解説いります?
 とても大きな教会でチャペルも豪華。庭も豪華。でもいま全部燃えてるの! ゆるさん!
 皆さんは主に外からワーッと突入して庭とかチャペル内とかで戦いまくる筈。あの教会のステンドガラスぶち割りながら突入するやつやりたくないですか? 私はやりたい。

●エネミーデータ
 リア充爆殺旅団はリア充を爆殺する旅団である。
 モヒカンと棘いっぱいの肩パットをしたヒャッハーたちだがヒャッハーが過ぎたせいで婚期を逃しいつしか幸せなカップルを爆破したり結婚式場を爆破したりする盗賊団へと代わっていった彼ら。特技は火炎放射と爆発。あとSNSの炎上。
 大半は雑魚ヒャッハーの群れなんですがいちいちジープで特攻したり爆発したりするのでこっちのダメージもかなりのもの。

 幹部勢はネームドヒャッハーたちで構成されておりこいつらは案外強いヒャッハーたちの模様。腹にダイナマイト巻いて突っ込んできたり爆弾をボーリングみてーにぼんぼん飛ばしてきたり自ら大炎上しながら突っ込んできたりといちいちやることが派手。
 たぶん教会吹っ飛ぶんじゃない? 跡形もなく。

●第三勢力
・アルテミア(30)
 実は今年で31。カウントダウンが半年を切ったいま、なんとしても婚姻を締結しマダムテミアになりたい。そのためならば悪鬼羅刹を踏み滅ぼす所存。
 結婚式の最中だったので装備もなにもないが、その執念と磨き上げた女騎士パワーでもって徒手空拳でも戦えるぞ!

・マダムエルメリア
 いつの間にかフツーに結婚してフツーに有閑マダムになっていたアルテミア(30)の妹エルメリア。
 アルテミア姉さんに近づくゴミ虫を『きゅ☆』とか『ぱっちん☆』とかしてきた手腕を今日こそ発揮するのだ! やっぱ式中だったのでドレスだし素手だけど荒ぶる妹のポーズで堂々突入。結婚式が中止になるのはいいけどアルテミアのピンチは許容できないの死ねぇい!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

※重要な備考『情勢変化』
<Genius Game Next>の結果に応じて『ネクスト』の情勢が激変する可能性があります。
又、詳細は知れませんが結果次第によりR.O.Oより特別報奨が与えられると告知されています。

  • <Genius Game Next>アルテミア(30)のハイボールウェディング(ただいま炎上中)完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年06月17日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

一(p3x000034)
黒縁眼鏡の
フィリア・フィル・フィルス(p3x000674)
清純なる聖愛姫
ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
ハウメア(p3x001981)
恋焔
コル(p3x007025)
双ツ星
カロリ(p3x007114)
双ツ星
陽炎(p3x007949)
影絵舞台
イルシア(p3x008209)
再現性母

リプレイ


「くらえ三十路ウェディングロード爆走姫騎士引退キック!」
 ウェディングドレスのアルテミア(30)がきりもみ回転しながらピンヒールによるドロップキックを浴びせると、馬車バギーでジャンピングファイヤーしていたモヒカンがひでぶって言いながら吹っ飛んでいった。
 その後ろでは荒ぶる妹のポーズ(両手をY字に掲げて両手で鎌首もたげてダッシュする動き)で乱入してきたマダムエルメリアが妹真拳によって三秒で死ぬか淡路島に流されるかするツボをついてヒャッハーを爆発四散させた。
 燃え上がるチャペルと荒れ狂う姉妹。
 四枚の翼を広げふんわーりと降臨した天使ハウメア(p3x001981)は嘘かってくらい穏やかな笑みを浮かべて神の弓をかざした。
「アルテミアさん、そしてエルメリアさん。私は神聖なる結婚式を乱す悪を許さない通りすがりの戦乙女ハウメア。私と私の仲間達が手を貸しましょう」
「本当ですかハウメアさm――あれ、どこかで会いました?」
 荒ぶる妹のポーズのまま振り返るエルメリアの真顔に『まさかァ!』と返すと、ハウメアはなんか神聖なポーズをとった。
(なんなのよアレはッ!!! なんであんなキャラなのよ!? 私あんなに飢えてないわよ!?
 それにハイボールキメたその夜に勢いで婚姻ってなんなのよっ!! チョロすぎじゃないですか!!!
 新郎は真っ先に逃げた腰抜けだし、絶対ロクな未来が見えないじゃないっ!!
 ああもうっ!! こんな設定を考えたヤツ恨むわよ!!!)
 背後でなんかくろいねこがニヤァって笑った気がした。
「あ、せーの」
 さっきまで楽団があの結婚式んとき必ずかかるやつを演奏していた場所に立って、『学生』一(p3x000034)が火のついた矢を弓にかけた。
「撤退させるだけでもいいそうなんですけど、ほら……それじゃアルテミアさんの溜飲が下がらないじゃないですか。
 リア充爆殺旅団の方をここで全員確保するのを目指しましょう!
 ていうか式の途中じゃなくても教会に火を放つのは時と場合によっては重罰が待っていますから、ね……!」
 て言いながら矢を放ち、わぁいお花キレイて言ってたヒャッハーたちを花畑ごと焼いた。
 花畑にうつ伏せになって両手で顎肘ついて鼻歌うたってたモヒカンが悲鳴をあげて転げ回る。
「どうしてでしょう。このエリアだけ攻めてくる盗賊の質が違う気がします……」
「り、リア充爆殺。つまり、女性にお相手して頂けない悲しみを爆発に変えておられる方々。ですね?
 それは何とも、おいたわしい……私で良ければ、いくらでもお相手差し上げるのですがげふんげふん。そ、それはともかく何とか致しませんと!」
 そこへ堂々参戦『清純なる聖愛姫』フィリア・フィル・フィルス(p3x000674)。
 超高速でくまのぬいぐるみをぬいぬいしていた『魔法人形使い』ハルツフィーネ(p3x001701)が無表情のままぺかーって新しいくまぬいを頭上にかかげた。横ででかいぬいぐるみのクマさんがぱふぱふ拍手している。
 布で出来た翼をぱたぱたやって飛んでいくニュークマヌイ。
「デート程度ならまだしも、結婚式を台無しにするとは……悪ふざけにも程があります、ね。
 頭に来ました。世の中にはやっていいヒャッハーと、悪いヒャッハーがある事を教えましょう。
 あ、ニュークマさんは逃げたドーマン子爵を連れてきてくださいね」
 片手をうにょうにょ動かしてニュークマを操作して飛ばしていくハルツフィーネ。隣で拍手していた巨大クマさんがよっこいしょと立ち上がって手を払い、高速準備運動をするとしゃきーんってファイティングポーズをとった。
「マスターも仰っておられました。
 『結婚式は一生に一度の晴れ舞台なのよ!とっても素敵なのだわ!』――と」
 ウィーンって音をたててなんかの起動音とする『No.01』陽炎(p3x007949)。
 開いた目の奥でチカチカと文字列のようなものを流すと、懐から黒塗りのクナイを取り出した。
「それを台無しにするとは言語道断でございます。
 ええ、戦闘アンドロイドとてそれくらいのデータは備えておりますよ。
 ましてや今回は苦労を重ね、漸く幸せを掴んだレディの式だと言うではありませんか。
 戦闘アンドロイドNo.01――陽炎、起動致します」
 しゅばって飛んでいく陽炎を一旦見送ってから、『双ツ星』コル(p3x007025)はながい狼尻尾をゆらゆらさせた。
「アルテミアさんがかわいそうですー……。
 彼女をこれ以上のひどい目にあわせるわけにはいきませんね。
 ここは私たちがうんと目立って少しでもリア充爆殺旅団を引きつけてやりましょう」
 ねっ、と振り返ると、『双ツ星』カロリ(p3x007114)が狼尻尾をぱたぱたやった。
「そうだね。さ、おいで」
 差し出した両手にぴょこんと飛び乗るコル。
 一方。
「チャペルはもう諦める事にしてしまうのね……?」
 大体同じ姿勢で娘をお姫様抱っこした『再現性母』イルシア(p3x008209)が、両目かっぴらいてゆーらゆーら歩いていた。
「大体わかったわ! 爆殺旅団をチャペルごと残らず燃やせばいいのね!!!!!」
 抱えていた娘エルシアが『えぇ……?』て顔しながらも懐から魔法の火炎瓶を取り出す。
「パーティータイムよ!」
 火炎瓶を手に取ると、イルシアは足下にあった魔法の一斗缶を蹴倒してから瓶を壁に叩きつけた。
 パリーンという音と共に炎が広がる。
「古来から炎は(中略)だからこれは放火じゃないわ――浄化よ!」
 イルシアがこっち見ながらいった。そう、画面越しのあなたの目をである。


「ヒャッハー! チャペルの中は無人だぜぇ!」
「いいやヒャッハー! 牧師が一人残ってるぜぇ!」
 モヒカン肩パットの額に『嫉』てタトゥーほった男達がトゲのついた斧を手に赤い絨毯を歩く。
 壇の裏に隠れていた牧師(ぽいひと)は聖書を抱え神への祈りをつぶやいていた。
 祈りが途切れ、薄めを開けた、その時。
「お待たせ!」
 ステンドグラスが破壊され、外から二人の天使……否、人狼が飛び込んできた。
 カロリと、彼に抱きかかえられたコルである。
「ちょっとドキドキしたけど、僕も。ここじゃないと、出来ないのが惜しいね」
「ふふーっ、ずっとこういうのやって欲しかった」
「続きは、また後で。ね」
 コルの額にくちづけをすると、カロリは彼女をおろして格闘の構えをとった。
「ぷーい、代わりに後でいっぱいですからね?」
 ナックルを握り込み、ガンガンと両手のそれを打ち合わせるコル。
「「ヒャッハーカップルダァ!!」」
 斧を振り上げ同時に飛びかかるヒャッハー。
 が、コルとカロリはただのカップルではない。
 ヒュンと、黒き風と化すかのごとくヒャッハー達の視界から消えると驚きに目を見開く彼らの背後へと現れた。
 同時に繰り出されたパンチが後頭部に炸裂。意識を半分ほど刈り取り、そして同時に繰り出されたハイキックが今度は完全に意識を刈り取っていく。
「二人なら、どんな相手でも大丈夫だね」
「今日は、君の騎士だから。絶対に守りきるよ」
 するりとコルの背へ回り、背後に回り込んでいたヒャッハーたちへ構えるカロリ。
 コルもまた、前方の扉や窓から次々と入り込んでくるヒャッハーたちへと構える。
(現実には死なない、って分かっててもね。コルが傷ついて倒れるのは、絶対に。見たくないから。
 君には、いつも笑っていてほしいから、こんなところじゃ死ねないよ!
 続きは、後で。って約束だからね)
 背を向け合っていても、互いの表情がわかっているかのように笑い合う二人。
 そのカップルっぷりにヒャッハーたちのヒャッハー心が点火した。
 と、その時。
「ふふふ……私の幸せを邪魔するものは、全て燃え尽きてしまえばいいわ!」
 天上から声がした。
 否、ここは屋内。つまりは天井――見上げたヒャッハーたちに応えるように、イルシアはマッチをすって火を付ける。
 まだ昼間になるチャペルの天井は薄暗く、ともした火はイルシアの美しい顔を薄オレンジにゆらす。
「そんな無防備な所に出てくるとはばかな女だぜェ!」
「火あぶりにしてやるぜェ!」
 他の口調で喋ったら死ぬのかってくらい統一された台詞で舌を出すヒャッハーたち。彼らが火炎放射器を掲げたその瞬間。
 彼らの後ろになんか立っていたエルシアがハイライトの消えた目ぇして一斗缶を蹴倒した。
 もう魔法のってつけるのを諦めたガソリンが床にひろがっていき、ゾッとしたヒャッハーたちへ手をかざすイルシア。その手、二本の指でつままれたマッチ棒の炎。
「燃えるのはあなたよ」
 二本の指が開かれた。

 爆発を起こしガラスがうちがわから吹き飛ぶ教会。
 庭からその様子を見ていたニノマエは、火だるまになって転がってくるヒャッハーからそそっと距離をとった。
「すごいな、イルシアさん……伝承の平和を脅かす敵を倒すためなら教会や自分の危険を顧みないなんて……」
 アーチェリーめいた弓に矢をつがえ、モヒカンに火のついたヒャッハーが走るその背にむけて撃つ。
 後頭部にスコーンとささった矢に突き飛ばされるかのようにして、ヒャッハーがうつ伏せにぶっ倒れた。
「それにハウメアさんも。まるでアルテミア(30)を自分のことのように親身に気配りされて……きっととても心根の優しい方なんでしょうね」
 弓に特別な矢をつがえ、シュッと180度後方反転。駆けつけたヒャッハーたちがとげとげして山羊の頭蓋骨とかついた馬車から下りたその直後を狙って発射すると、矢はヒャッハーに刺さって爆発。その後方のヒャッハーたちを馬車ごとまとめて吹き飛ばした。
 ふとふりかえると、翼を広げて空へ浮かび上がっていたハウメアがエンジェルハイロウを高速回転。間に展開していた魔方陣が大きく広がり、彼女が弓に光の矢をつがえる動作に連動して無数の矢が魔方陣から出現した。
「幸福なる人々を襲う邪な者たちよ、改心するのです」
 ハウメアが矢を放つと紫炎の矢が雨のように降り注ぎ、ヒャッハーたちを次々に爆発させていく。
 さっきからなんでヒャッハーが爆発してるのかは知らない。中の具に燃えやすいものでも入ってたんじゃない?
「孤児院の子供でもしないレベルの悪ふざけ、ですね。躾がなっていません。ママに教育し直してもらうことをお勧めします」
 そこへハルツフィーネが駆けつけ、ビッと指を突きつけた。
 矢の雨から生き残ったひときわ屈強なヒャッハーが鉄仮面を叩き、ショットガンをがしゃこんとやる。
 対抗するように、巨大なクマのぬいぐるみが間に入って身構えた。
「ヒャッハー! ぬいぐるみに何が出来るってんだァ!? 俺の名前を言っ――」
「クマさんビーム!」
 目からびゃーって発射されたビームが鉄仮面に直撃。
 からの。
「クマさんクロー!」
 魔法の爪をはやしたクマさんのすくい上げるような一撃が鉄仮面ヒャッハーを空中に浮かせ。
 からの。
「クマさんエアリアルコンボ!」
 空中に対空したクマさんの連続パンチでボコボコにしたあとローリングソバットでヒャッハーを吹っ飛ばした。
 吹っ飛んでいった先はチャペルの入り口。そこではフィリアが『誘引の香り』を発動してヒャッハーを引きつけていた。
(ついでに旅団の皆さんに襲われたり剥かれたりしても美味しいとか思っていません。いませんよ?
 こんな格好ですが、私は清純清楚にして高貴なる聖愛姫なんですから!)
 何やらそんなロールを行いながらまわりを取り囲むヒャッハーたちにせくしーぽーずをとるフィリア。
 ヒャッハーもろくに抵抗しないからかかーごめかごめって言いながらゆっくり円周軌道上を横歩きし始め、それぞれ斧や鉄球やねこじゃらしを取り出していた。
 と、そこへ。
「隙だらけです」
 黒い鎖鉄球が――否、影でできた鎖と球体が飛びヒャッハーたちをドミノ倒し的になぎ倒していく。
「ヒャッハー! 誰だァ!」
 起き上がってピストルを構えるヒャッハー。
 目の奥で複雑な光をつくった陽炎は、沈黙したままスッと揃えた二本指を出して見せた。まるで上向きの手招きでもするかのような姿勢で出された指を。
「――影鎖牢」
 クイ、と上げたその途端影でできた鎖が大量に地面から飛び出しヒャッハーたちに巻き付いたかと思うと、空に飛び上がった無数の影のしずくがクナイのような形をとりヒャッハーたちへ降り注ぐ。
 ヒャッハーをあらかたかたづけたところで、チャペルで姫騎士サマーソルトソバットキックを繰り出していたアルテミア(30)へと向き直った。
 ヒャッハーをぼこし終え、姫騎士空手の構えでゼーゼーいうアルテミア(30)。
「アルテミア様……あなたあはとても美しく聡明で腕も立つ方です。きっと良縁に恵まれますよ」
「ハッ、私は一体!?」
 我に返ったらしいアルテミア(30)は『私ったらはしたない』とかいいながらウェディングドレスの裾を直していた。
 隣でヒャッハーに馬乗りになり『目だァ耳だァ』て言いながらマダム百烈突きをうちこんでいたエルメリアも、返り血をぬぐってあらあらうふふと笑った。
 そこへ翼を広げてファーっていう神聖な(?)効果音と共におりたつハウメア。
「貴女を置いて逃げるような腰抜けなんて忘れてしまいましょう?
 大丈夫、今回は縁がなかっただけでまたスグに素敵な出会いがありますよ!」
「え、あの……」
 何か言おうとするアルテミア(30)。そこへ――。
「アルテミアーーーーーー!!」
 マントをなびかせ騎士鎧を着込んだドーマン子爵が両手をグーにして突き出すポーズで飛んできた。飛んできたっていうか、ハルツフィーネのウィングクマさんに掴まれたうーひょーキャッチャー方式で連れてこられていた。
 トゥッといって離脱し回転しながら片膝と片拳をうちつけ着地。
 物陰にひそんでいたヒャッハーがアルテミア(30)の背後を狙ってマシンガン構えるも、素早く抜いた短剣を投げてヒャッハーを倒した。
「遅くなったなアルテミア。てっきり俺と一緒に逃げたと思ったぜ。鎧もないのに無茶するよなぁ」
 ハンサムに笑うドーマン子爵。
 そしてアルテミア(30)へ向き直り手をとると、ポケットから取り出した指輪をそっと薬指へとはめた。
「もう離さない。さあ、式をやり直そう」
 その後ろで炎をあげながら倒壊するチャペル。
 転落したベルがリンゴーンと音を立てた。
「まさか本当に仕切り直すために一時避難していただけとは……」
 戻ってきたことに免じて許しましょう、と手を叩くハルツフィーネ。横でクマさんが、その頭上でウィングクマさんがパフパフと拍手する。
「おめでとう」
「おめでとうです」
「おめでとうございます」
 同じく拍手するフィリアとニノマエ。
「「おめでとう!」」
 手を取り合ってやってきたコルとカロリも寄り添いながらも拍手した。
「おめでとうございますアルテミア様」
「可愛い娘ができるといいわね」
 ぱちぱちする陽炎とイルシア、あと焦げ付いたエルシア。
「ありがとう……私、今度こそ幸せになるわ!」
 まるこげになったブーケを放り投げると、ドーマン子爵と手を取り合って教会の階段を駆け下りていく。
 その背をみつめながら。
「何をみせられてるの、私は……」
 ちょっと素がデカかったハウメアであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

フィリア・フィル・フィルス(p3x000674)[死亡]
清純なる聖愛姫

あとがき

 ――忘れてるかも知れないけど、盗賊団は撃退できました
 ――半分わすれかけていたけど、研究者たちの意識も救出できました

 ――アルテミア・ドーマンは子爵と幸せな結婚をし何の問題も無い貴族生活をスタートしたようです

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