PandoraPartyProject

シナリオ詳細

あなたの好きな場所

完了

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オープニング

●Home sweet home
 小説を読んだ。それは一人の男の作家の物語だった。海辺に家を持ち黒い大きなバーニーズマウンテンドッグを飼い暮してる。小説に詰まれば犬を連れて浜辺へ出る。ときおり友人が訪ねて来る。友達……なのだろう。恋人という感じはしない関係だった。そういう静かな時間が過ぎて行く。俺はそれを羨ましいと思った。
 俺の名前はシュン。俺の人生はどちらかと言えば恵まれていないかもしれない。学生時代の弁当持ちの日は憂鬱だった。俺の持って来る弁当は馬鹿にされるからだ。そもそも交友関係が恵まれなかったからかもしれない。いじめとまで暴力的ではないが、グループの輪には入れていなかった。卒業し早々に就職した。仕事は楽なほうだった。仕事さえしていれば怒られることはない。がむしゃらに働きふと、家一軒ほど買える貯蓄があることに気が付いた。じゃあ家でも買ってみるかという気分になったが……どんな家がいいかわからない。そういえば両親は大往生し家族もいなかった。自分の引き出しの狭さに苦笑したが、ある日前述の小説に出会った。ふと思った『他の人間は自分の落ち着く場所、好きな景色などがあるのではないか』と。
 俺が小説を買った本屋は不思議な噂がある。『これは他人の人生の一場面を切り取った物語を記録している』そうまことしやかにささやかれている。

●好きな景色を教えて
「本の中の本ってちょっと不思議」
 ポルックスは小首をかしげてみた。
「今回の依頼は『あなたの好きな場所、好きな景色を教えて』と言うものだよ。それは青い花の咲く花畑でも、いつも暮らす自宅でも、仲間と勝利を勝ち取った日の朝日でも、酒場でウイスキーをあおっていても、ウォーカーの人なら元の世界でもね。何でもいいみたい」
 ポルックスはそれはまだ見たことのない想像の景色でもいいと付け加えた。そしてイレギュラーズが説明したものが本になるらしい。それを自分が好きな場所がピンと来ないシュンに見せてやって欲しいと言う。
「シュンのいる場所は現代の日本に似てるみたいだけど……混沌や異世界はそういうもの、ファンタジー世界。物語だから程度で変には思われないみたい」
 ぱあっとポルックスの表情が明るくなる。少し熱の入った台詞を続ける。
「わたしもあなたの好きな場所気になる! ぜひ教えてね?」

NMコメント

 こんにちは、7号です。皆さんの心の在りどころや、何気ない日常の景色、はたまた掴み取った場所なのか。そんなものを見てみたいなあという興味です。

●世界説明
 現代日本に似ています。ポルックスの説明通りに皆さんの好きな景色が飛躍したものでも「まあファンタジー小説だから」程度で認識されます。

●目標
 好きな景色、好きな場所を教えてください。

●サンプルプレイング
 私は故郷に降る雪景色が好き。朝起きるととても静かで……音を雪が全部吸収してしまう。暖炉の側で暖かいコーヒーを飲むのが好き。

●サンプルプレイングその2
 俺は戦場で戦ってる時が好きだ。土と血の臭いを感じながら、張り詰めた緊張感が自分の血を煮えたぎらせる。

  • あなたの好きな場所完了
  • NM名7号
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年06月27日 21時45分
  • 章数2章
  • 総採用数12人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節

●綺麗だと思う景色を教えて
 シュンが新しく興味を持った景色です。今まで見た中で美しいと思った景色を教えてください。
 引き続き
『あなたの好きな景色、好きな場所』でもOKです。


第2章 第2節

セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)
一番の宝物は「日常」

「美しい景色、かぁ……」
 セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)うんうん唸って思案した後にこう答えた。
「……ちょっとこじつけかもしれないけど『仲良きことは美しきかな』って言葉があったよね?
 そうやって、みんなで一緒に仲良く過ごしてる光景が。わたしが『美しい』って思った景色になる、かな?」
 それは何てことのない日常。何かが大きく変わることもない。世界が激動する訳でもない。ただありふれた光景。
 ローレットへ向かう道すがらサンドイッチを買えば店員のおばさんがりんごをオマケしてくれたり。
 ローレットの扉をくぐれば昨日依頼で同行した人が声をかけてくれる。友達なんかは今度の休日に紅茶とケーキを食べに行こうなんて誘ってくれて。
「その中で楽しく笑顔でいられる事は心をとっても明るく、あったかくしてくれるし。
 それがそうやって『ありふれた光景』であり続ける事がとっても大事だと思うんだよ」
 明日ここにいる人の誰かが仕事で命を落とすかもしれない。そうすればこの光景がきっと変わってしまう。そうならないためにも。

「だから、わたしはそんなありふれてるけど、かけがいの無い光景を、とっても、ずっと大切にしたい……!
 一緒に仲良く過ごしてるみんなも、もちろん、とっても、ずっと……!」
 そう答えるセリカの拳に自然と力が入る。セリカははっきりとそう答えた。それがセリカの美しいと思う景色であり大切なものであった。

成否

成功


第2章 第3節

「知らなかった……。普段の日常が美しいとか、綺麗とか。考えたこともなかった」
 シュンは自ら思いもつかなかった発想に少し驚いていた。相変わらず彼には今まで過ごしてきた日常の中で落ち着く場所、好きな景色と言うものはピンと来ていなかった。だが彼にも芽生えたものがあって。
「前に本屋に平積みになってる本……写真集で見た表紙の場所に行ってみたい」
 シュンの思い浮かべるのは『世界一美しい図書館』。理由は不明であるがそれに少しだけ『興味』をそそられた。

──そこにまずは行ってみよう。
 焦ることはない。ゆっくり好きな景色、綺麗な景色。そう思う場所を見つけよう。
 時間はたくさんある。

 小説に向かってお礼を言うのも何だか不思議な気がしたが、彼にはただの物語の登場人物──そうくくるにはためらいが出るくらい。血の通った人生を見た気がした。

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