シナリオ詳細
少年と勇者のカード
オープニング
バグがないか確認するだけの、簡単なテストプレイのはずだった――。
佐伯操が優秀な人材として集めた『佐伯研究室』の学生たち。彼ら彼女ら4人は、テストプレイヤーとして、仮想空間――R.O.Oの世界『ネクスト』にいち早くログインしていた。
●プレイヤーログ:『ななお』『ミント』『ジェイスン』『シンジロー』
テストプレイのひとまずの目的は、リアルな城下町を探索し、マップデータを把握することだった。その道中、明らかに困っている様子の幼い少年を見つけた。
「お気に入りのタロットカードを失くしちゃって……あと8枚がどうしても見つからないんだ。お父さんに買ってもらった宝物なのに――」
とある商人の息子の話を聞くと、「クエストを受注しますか?」というアナウンスが流れた。
「町のどこかにあるはずなんだ、お願い! 見つけてくれたらお礼もするから」
少年から懇願された4人は、顔を見合わせながら、
「どうする?」
「これもテストプレイの内容に含まれてるの?」
「面白そうだし、やろうよ!」
「カードを探すだけなら……」
4人は協力し合い、城下町を隈なく探し回った。そして、ようやく8枚のカードをそろえることができた。カードの絵柄にはそれぞれ種類があり、魔術師、死神、悪魔、天使、皇帝、女帝、騎士、ライオンが描かれていた。
「間違いない、カードはこれで全部だな」
そろった8枚のカードを眺めていると、明らかな異変が訪れた。
「きゃあああああああああ?!」
「な……?!」
「うわああああああああ?!」
「?!?!??!」
――4人のログは、ここで途切れていた。
●R.O.Oのエラー
(R.O.Oの概要は把握してるという方は、次の章へどうぞ!)
『強制召喚を打ち破り、元の世界に帰還する事』を目標に、日々研究に打ち込む練達科学者達。その悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想空間、R.O.O――正式名称『Rapid Origin Online』。
現在、R.O.Oには原因不明のエラーが生じている。管理者である練達三塔主の権限すらはじき、ログイン中の『プレイヤー』たちがR.O.O内に閉じ込められる事態が発生しているのだ。ログイン装置につながれたままのプレイヤーが目を覚ますことはなく、その意識はR.O.O内に留まり続けていた。
●依頼内容
コントロール不能となったR.O.Oの調査、閉じ込められたプレイヤーを救出するため、三塔主はローレットに協力を要請した。
R.O.Oの世界『ネクスト』で活動するための『アバター』――プレイヤーとしての姿を各々が構築し、イレギュラーズは仮想空間の世界に臨むこととなった。
今回の救出対象は、『ななお』、『ミント』、『ジェイスン』、『シンジロー』の登録名でログインした、練達の学生4人である。ネクストにおける『幻想』――『伝承』の首都に当たる範囲で、4人のログを遡ることができなくなった。共に行動し、簡単なクエストに挑んだはずの4人だったが、何か不測の事態が発生したようだ。
4人が最後に接触した依頼人、商人の息子が関係していることは確かだ。その目標の座標は把握されている。城下町に存在するログインポイント――『サクラメント』を利用することで、イレギュラーズはその場に直行することが可能となっていた。
商人の息子からのクエストを受注することで、4人が消息を絶った原因を探る――それがイレギュラーズに課せられた依頼だった。
●クエストを受注しますか?
「お気に入りのタロットカードを失くしちゃって……あと8枚がどうしても見つからないんだ。お父さんに買ってもらった宝物なのに――」
少年は機械的に台詞を繰り返す。しかし、以前とは異なる変化が見られた。
「もし見つけてくれたら、お礼に――」
少年はそう言って、4種類の絵柄のカードを見せた。
「めずらしい勇者のカードをあげるよ」
そのカードには、救出対象である4人の学生の登録名があり、それぞれのアバターの姿が描かれていた。
- 少年と勇者のカード完了
- GM名夏雨
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年06月10日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
『神の仔竜』リュート(p3x000684)は自らの飛行能力を生かして、『魔法人形使い』ハルツフィーネ(p3x001701)と共に高所からのカード探しを請け負う。
「ク、クマさんが飛んでるっす!?」
リュートは、間近で見たハルツフィーネの人形使いとしての能力に驚きを隠せなかった。女児であるハルツフィーネの身の丈を超えるほどのテディベアは、魔力によって生成された翼により自在に浮遊する。ハルツフィーネはそのテディベアの背に乗り、リュートと連れ立ってカード探しを開始した。
「まるで、現実の王都を見ているようですね……」
上空のハルツフィーネは、ゲームの世界に再現された王都そのものの町を見下ろし、改めてR.O.Oの世界に感銘を受けた。
『生存カウンター4』九重ツルギ(p3x007105) は、少年が勇者のカードと称した、救出対象である4人のカードの1枚に触れる許しをもらった。カードに触れることで、ツルギはそのものの残留思念を読み取ることができた。
ツルギがカードに集中している間、『人型戦車』WYA7371(p3x007371) は、少年からカードを落とした場所のヒントを聞き出す。
「いろんなところを探検してたんだけど……木登りしたり、一緒にワンちゃんと遊んだりもしたよ――」
WYAは少年の言葉に相槌を打ちながら、あらゆる面からカードの場所を分析していた。
――分かっていることは、城下町内かつテストプレイ中の4人で集め切ることのできる場所にあるということ。奇抜な位置を探すよりは、合理的な場所に目星をつけるべきでしょう 。
カードに残されている過去の記憶をさかのぼっていたツルギの頭の中には、ある場所の映像が浮かんだ。
「この場所は――」
ログインポイントである『サクラメント』や、タロットカードの持ち主である少年は、大教会の付近に配置されていた。
『ツナ缶海賊団見習い』エクシル(p3x000649)と『ブッ壊し屋』レニー(p3x005709) の2人は大教会の前を通り過ぎて、目星をつけた騎士兵舎に向かおうとしていた。
「父親からもらった大切なタロットか……」
レニーは『家族からの大切な贈り物』を探す少年に、少なからず同情していた。自らも大切に持ち続けている、母代わりの存在――シスターグレイシーから貰った特別なペン ダント を握り締める。
エクシルと共に大教会の付近を歩くレニーは、修道服を着たシスターの姿を何人も見かけた。その中に見覚えのある後ろ姿を見つけ、レニーは思わず駆け出しそうになった。
エクシルは唐突なレニーの行動に目を丸くする。
「どうしたの?」
エクシルにそう尋ねられたレニーは、人混みの中ですでに相手の姿を見失っていた。
レニーは、どこか落胆したように答えた。
「いや、なんでもない……」
――こんなところにいる訳がない、な。
「ーー武装<メイクアップ>、ロゼッタネビュラっ!」
自らを強化する能力によって、『虚花』リラグレーテ(p3x008418)は一瞬の内に華麗な転身を遂げた。様変わりしたリラグレーテの装いは、歯車をモチーフにした装飾が目立つ、いわゆるスチームパンク風のものだった。街中を探し回るには充分に身軽そうなパンツスタイルで、胸には真紅の薔薇の装飾もあった。タロットカードの知識をある程度得ていたリラグレーテは、歯車の装飾を見た瞬間に、あるカードを連想した。
「なるほど……私は『運命の輪』ということかな」
各々のペアと探す方向を定め、リラグレーテは『朝霧に舞う花』レインリリィ(p3x002101)と共に行動を開始する。
レインリリィはまず、目の前の大教会の中から探索することを提案した。
「ひとまず、教会を中心に探してみないか?」
レインリリィと同様に教会に注意を向けていたリラグレーテは、
「そうですね……カードの絵柄が関係しているとしたら、天使と悪魔がありそう」
ハルツフィーネは地上との連携を強化するために、もう1体のテディベアを連絡役として生み出していた。
通常のぬいぐるみサイズのテディベアは、五感を共有するハルツフィーネの意思により、自在に地上を動き回る。ハルツフィーネたち以外の斑の状況を確認しつつ、上空からもあらゆる場所に視線を巡らせる。
しばらくリュートと共に飛行していたハルツフィーネは、テディベアを経由して伝わるツルギの声に気づいた。
ツルギとWYAは、ハルツフィーネらをある場所に呼び寄せた。
「ツルギの協力により、死神と魔術師のカードを発見しました」
ツルギと共にカードを見つけ出したWYAは、墓地に呼び寄せたハルツフィーネとリュートに成果を報告した。
「この木の上にも、カードの存在を感じるんだ――」
そう言って、ツルギは墓地の大樹を見上げた。太い幹に太い枝を伸ばした大樹は、木登りに適した形状をしている。身軽なものであれば、木の上から町を眺めることもできそうだ。
「飛行が可能な御二人ならば、適任かつ効率も良いと判断しました」
WYAは、木の上のどこかにあるはずのカード探しをハルツフィーネとリュートに託す。快く引き受けた2人は、頭上高くにある枝葉まで飛び上がる。
リュートは、少年の行動形跡に目を丸くしながら言った。
「あの子は、こんなとろまで登っていたのかい……?」
リュートらがカードを探して生い茂る枝葉をかき分けている内に、地上の2人はあることに気づく。木の上からひらひらと舞い落ちてくる1枚のカードを発見し、WYAは自らのアームでカードを捕える。それは女帝のタロットカードに間違いなかった。
もう1体のテディベアは、ハルツフィーネが墓地にいる間にも、町中を動き回っていた。他の班の状況把握のために、忙しなく駆け回るテディベアは、エクシルとレニーの姿を捉えた。
「待ーーーてーーーー!!!!」
レニーと1匹の野良犬を追いかけるエクシルは、鋭い声を上げる。
「返せー! ヨダレでカードがふやけちまう……!」
野良犬はカードらしきものをくわえていて、カードの心配をするレニーも懸命に野良犬の跡を追いかけていた。 すばしこい犬の動きに苦戦しているようで、その2人の様子を共有したハルツフィーネは、即座にリュートと一緒に応援に向かった。
4人で野良犬を追い詰めたことによって、犬はカードを落として逃げ去った。
エクシルはヨダレのしみがついた状態の皇帝のカードを摘み上げながら言った。
「オイラたちは、騎士とライオンのカードも見つけたよ。他の人は順調かニャ?」
レインリリィは人間種のようにも見えるが、その全身は機械で構成されていた。四肢の関節を切り離すことができるレインリリィは、切り離したパーツを自在に動かすことができた。
機械の体を駆使して、レインリリィは切り離した右上腕部を使ってある場所を探る。
教会の中に並べられた長椅子の下――狭い場所に上腕を差し入れ、レインリリィは目当てのカードを見つけ出すと、
「これで、天使と悪魔のカードがそろったな」
レインリリィとリラグレーテは地道にカード探しを続け、教会の中から天使と悪魔のカードを探し出した。
「では、ストレイシープに救いの糸を垂らすとしましょう?」
リラグレーテがそうつぶやいた直後、連絡役として奔走していたハルツフィーネのテディベアが、2人の前にも現れる。成果を確認したハルツフィーネは、2人にも事前に決めておいた集合場所に合流するよう促した。
郊外の森を背にするような、町の中心から離れた場所――予定の集合場所には、すでにツルギとWYAの姿があった。その場には、WYAによる砲撃の轟音が何度か響き渡った。
砲撃の跡が残る地面には、深く陥没させた穴ができあがっていた。
ツルギとWYAは協力して罠のための穴を整えていく。
――皆さん、お優しいですね。少年のためを思ってカードを傷つけずにクリアを目指すとは。
少年のためを思う作戦を尊重し、ツルギは穴の底にそっと集めたカードを置いた。
最後に天使と悪魔のカードを見つけたリラグレーテとレインリリィも集合し、8人は穴を囲んで身構える。
残りの2枚を穴の底に放り投げた瞬間、穴の底から光があふれ出す。激しい明滅を繰り返すと共に、周囲の地表は砕け、光の向こうには次々とシルエットが浮かび上がる。
初手で相手の不意を突く作戦に則り、WYAは即座に攻撃を展開する。
「全砲門開放、フルアタック――」
WYAから放たれるエネルギー弾は長く尾を引き、翼を広げたかのような三日月型に広がって斉射された。カードの魔物たちは穴の底からその全貌を明かそうとするが、激しい攻撃に晒される。穴の底に仕掛けた網が妨げとなっているのか、未だ光に包まれた状態の姿は穴の中でうごめくばかりだった。
WYAに続こうと、ハルツフィーネは自身が操る巨大なテディベアに魔力を集中させる。
テディベアは両手を掲げて威嚇の構えを見せ、ぬいぐるみの体からクマそのものの咆哮を発した。ビリビリと鼓膜を震わせる咆哮は衝撃波となって魔物たちを襲い、相手を地面ごと爆発四散させる勢いだった。
光に包まれた状態の魔物らを穴の底に押し込めようと、イレギュラーズは攻めかかる。だが、魔物の中でも天使と悪魔の姿だけが宙へと飛び上がり、カードのイメージそのものの姿を現した。どちらも古紙の質感を帯びた、人形味を感じさせる姿であった。
リュートは穴の底から這い上がろうとする残りの魔物たちに対し、わずかでも時間を稼ごうと対抗する。
「ぎゃうー! るぅー!」
愛らしい声ながらも、リュートは竜神の力を込めて威嚇する。魔物の意識がリュートに向いている隙を狙い、リラグレーテは、長槍のような杖を振りかざす。印を結ぶように杖を振るリラグレーテは、瞬時に魔弾の連撃を放つ。リラグレーテの攻撃は、焼夷弾の如く地表を燃え上がらせた。
燃え盛る炎の向こうで、固まっていた影が複数に別れる。勢いよく炎の壁を突き抜けて現れたカードの皇帝、女帝、騎士、魔術師、ライオン、死神は、瞬く間にイレギュラーズに攻撃を向けた。
敵の動きにも動じることなく、リュートは色とりどりの光弾を連続で吹き出し、魔物の掃討を図る。リュートに続くレインリリィはレイピアを構え、その刃に炎の力をまとわせた。
炎刃によって多くを薙ぎ払おうとするレインリリィに対し、魔物らはすばやく散開する。レニーは魔物らの動きに合わせて突撃する構えを見せた。
剣の形をしてはいるが、鉄塊そのものの剣を扱うレニーは、フェイントを交えながら相手の騎士を薙ぎ払う。
ツルギも前衛として臨み、レニーに攻撃を集中させようとする女帝などの動きをけん制する。エクシルはレニーと共に相手のかく乱に努め、俊敏な動きを生かして切り込んでいく。
炎の力を駆使することによって、紙そのものの特性を持つ敵の弱点を攻めていく。魔物らは炎にも怯まず果敢に抵抗を続けるが、その姿はススまみれになっていた。
アルコールによって炎の勢いが増すことを期待して、ツルギはWYAの標的である魔術師に向けてサイバー酒の瓶を投げつけた。サイバー酒を浴びせかけられた魔術師は、エネルギー弾を放つWYAによって炎の海に包まれる。炎の向こうで地面にうずくまる魔術師は、そのまま動かなくなった。
「ちっちゃいからって、舐めると痛い目あうッスよ!」
一見愛らしい見た目の子竜のリュートは、低空飛行を続ける天使にじゃれつくようにまとわりつく。人形そのものの天使は表情を変えることはなく、リュートは相手にじゃれつくような愛らしい仕草を見せている。しかし、ぶちぶちと引きちぎられる天使の羽の音が、凶暴な竜の一面を現していた。
必死にリュートを振り落とした天使に向けて、レインリリィは追撃の構えを見せた。その動きに付随して、天使も反撃の動きを見せる。天使の姿が不意に二重にぶれたかと思うと、気づけば目の前には大量のカードが紙吹雪のように舞い踊っていた。複数のカードが強い輝きを帯びると、そこから瞬く間に複数の天使たちが飛び出し、一挙にレインリリィへと迫る。
宙に体を踊らせながら、レインリリィは天使が繰り出す槍の切っ先を機敏な動きでかわし切る。レインリリィを狙う天使の攻撃を目にしたツルギは、実体を持たない分身たちがレインリリィの体をすり抜けていく瞬間を目にした。
天使の攻撃に続き、悪魔や死神も次々と姿をくらまし、無数のカードを散らした。
各々の間で激しい攻防が展開される中、ツルギやレニーは悪魔や死神の攻撃を引きつけようと動く。その動きに誘われるように、瞬時にカードから飛び出した悪魔たちは、ツルギへと向かっていく。
「さあ、貴方の本性(なかみ)――」
盾と細剣を構えたツルギは、唯一実体を持つ悪魔の姿を見極め、
「ブチ撒けて頂きましょう!!」
ツルギが突き出した剣の切っ先は、四方から迫った悪魔の1体を捉えた。悪魔は激しく突き倒されると共に、その場にくずおれたままとなった。
炎の責苦を受けながらも、瞬く間に互いへの攻撃を繰り広げ、魔物たちは分身の技を見せつける。
レニーは自らの剣を振り抜くと同時に、
「カードごと……吹き飛ばしてやるよ!」
激しい旋風を巻き起こす。レニーが生み出した旋風は、分身を生み出す媒介となる無数のカードを、上空高く巻き上げる。
カードから宙へと飛び出した騎士とライオンは、態勢を崩しながらもレインリリィやハルツフィーネに向けて突撃する。
レインリリィが拳を握り突き出した左腕からは、駆動音が響き始める。その駆動音が増大した瞬間、レインリリィの左腕は、頭上の騎士に向けて弾丸のような速さで放たれる。レインリリィの左腕が甲冑ごと騎士の胸を貫いた直後、
「クマさんのカードが無い時点で――」
ハルツフィーネのテディベアは、魔力によって生成した鋭い爪を生やし、飛びかかるライオンを迎え撃つ。
「あなた達の負けは決まっています」
そう言い捨てるハルツフィーネはテディベアを操り、容赦なくライオンの体を切り裂いた。
半数を超える敵を討ち果たしつつも、残る皇帝、女帝、死神はひたすらにイレギュラーズを狙う。無謀や恐れを知らない立ち回りが敵の優位さを引き立たせ、勇姿を見せつける中で攻撃にさらされ続けた者は、強制ログアウト――『死亡』へと追い込まれた。
危機に近づいた状態にも関わらず、不敵に笑みを浮かべるレニーは、その自信と相違ない剣さばきで、死神を追い詰めていく。
「消し炭にしてあげるよ!」
リラグレーテは魔弾を放つことで援護に回り、最後に残された皇帝への進撃を後押しする。WYAはその行動に応じようと、右腕の装備からレーザーを出力することで、長大な刃を振りかざす。
皇帝を斬り伏せようと挑んだWYAの刃は、相手に防ぐ隙を与えず、その体を寸断した。
気がつけば、切り離された一部は皇帝のカードに戻り、出現した皇帝の姿は消失していた。他の魔物も、いつの間にか元のカードに戻っていた。
イレギュラーズはカードを回収し、持ち主の少年の下へと向かった。
「すごい! 全部見つけてくれたんだね!」
タロットカードを受け取った少年は、喜びを露わにした。
「本当にありがとう。約束通り、この勇者のカードは君たちのものだよ」
少年がカードを手渡した瞬間、カードの飾り枠の中の4人の姿は消えていた。何が起きたのかと思えば、学生4人は音もなく現れた。
気づけば斜め向かいに座り込む4人の人影が存在し、塀にもたれかかる学生たちの姿だと気づく。
イレギュラーズは学生たちの存命を確認し、4人は無事にログアウトすることができた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
ご参加ありがとうございました。
おつかいミッションをこなす系の依頼でした。ゲームの世界的な事象に挑む依頼をまた出せたらと思います。
GMコメント
導入部分は、『クエストを受注しますか?』の章の内容になります。
●重要な備考
R.O.Oシナリオにおいては、『死亡』判定が容易に行われます。
死亡した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシート内に『デスカウント』が通知される形になります。
現時点においてアバターではないキャラクターには影響ありません。
●ログアウトについて
『クエスト』受注時には自身でログアウトを行う事ができず、『クエストを達成/失敗』するか『死亡』する事でログアウトを行う事が可能となります。
その他のR.O.Oの詳細はこちらです。
https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
●成功条件
商人の息子からのクエストを達成し、学生4人を救出すること。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●探索エリアとクエストについて
舞台は『伝承』の首都です。リアル世界の王都と似通っている点は多く、大教会もあります。
探すべき場所は、依頼人の少年から800メートルの範囲内(大教会も含まれます)。少年は、カードの場所のヒントについては教えてくれます。それ以外は答えません。
●敵について
8枚のカード(魔術師、死神、悪魔、天使、皇帝、女帝、騎士、ライオン)をそろえることで、カードに描かれたものが召喚されます。倒して元のカードに戻さない限り、クエストは達成されません。
計8体のカードの基本攻撃は、物至単。また、分身絵札(神近列:自らの姿を舞い踊る無数のカードに変化させ、カードから複製した分身と共に相手の隙を突く)の攻撃も扱います。
絵札、紙の特性を持っているので、多くの弱点がありそうです。逆に、生物系には有効な攻撃、バッドステータスは無効になる場合もあります。
個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。
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