PandoraPartyProject

シナリオ詳細

砂に潜る足跡

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●砂に潜る足跡
 一面の砂漠が広がり、風が吹けば砂嵐が巻き起こる地、『サンドストーム』。
 そんなサンドストームの一角に、寂れ果てた遺跡が存在しており……訪れる者は殆ど居ない。
『……シィィィ……ィィィィ……』
 ……そんな遺跡の静寂に合奏するかの如く……何かの声が響き渡る。
 その鳴き声は、最初の内は小さく、少なかったが……日が経つにつれて、数が増えていく。
「……ん、何だこの声は……?」
 ……と、その声に立ち止ったのは、サンドストームの傭兵団『レナヴィスカ』に最近入団した団員達。
 仕事を終えた帰り道に、何か胸騒ぎがして……周り道をした所に、聞こえたその鳴き声。
「解らねえ……でも最近この辺りで変な鳴き声がする、ってのは聞いた事があるな」
「そうか……もしかしたら、お宝があるかもしれねぇ……持ち帰ればよくやった、って褒めてくれるかもしれないしな……良し、行こうぜ!」
 そして、その鳴き声に呼び寄せられるように、団員達は遺跡の中へと潜入。
 ……そして、また暫くの静寂の後。
『……ぎゃああああ!!』
『や、やめろ……く、来るなぁあああ!!』
 その静寂を切り裂くが如く、響き渡るのは絶叫。
 恐怖に彩られた絶叫が遺跡の外に漏れ出していくが……人里離れたこの遺跡を偶然訪れるような者は、そうそう居る訳が無い。
 そして……暫くの絶叫が響き渡った後、彼らが再び姿を見せる事無く、遺跡は再び。
『……シィィィ……ィィィィ……』
 という……何かの鳴き声が、時折響き渡るのであった。


『救出者、求む』
 『サンドストーム』の首都『オアシスの都ネフェレスト』の一角に張り出された、一枚の掲示物。
 日時と場所だけが指定されており、一件しては何かの悪戯ではないか……とも思えるその掲示物。
 だが、ROOの世界に潜り込んだ君達は、何故かその掲示物に引かれてしまい……その指定日時と場所へと赴く。
 その場所は、ネフェレストの一角の裏路地……薄暗くて、人通りが殆ど無い所。
 誰も通りがからず、本当にここか……と思った所に。
「……あなた達、掲示を見てきてくれた方達かしら?」
 静かに、姿を現わしたのは……フードを被った女性。
 彼女の表情は薄暗闇に隠れているが……尖った耳に下がるイヤリングから、ハーモニアであろう、というのは解る。
 そして、そんな彼女の言葉に頷いてくれた君達に。
「そう……ありがとうございます。訳合って、身分は明かせないのだけれど……貴方達にお願いがあるの」
 と言うと共に、地図を渡す彼女。
 ここ、ネフェレストから数日位の距離の場所に印が付けられていて。
「ここで……数日前、私の収める団の新人団員達がここで消息を失ったのです。恐らく……何かの事故や事件に巻き込まれてしまった、と思われます……彼らの消息を確かめてきて欲しいのです」
「本当、不躾なお願いであり、申し訳ないのですが……どうか宜しくお願いします」
 本当に申し訳なさそうに頭を下げる彼女に、周りの者達も頭を下げた。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 ROO第三段のシナリオは、サンドストームに住まう者からの依頼、となります。

 ●ROOとは
  練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
  練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
  R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
  練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
  自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
   特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

 ●成功条件
   廃遺跡に救う魔物を退治する事が必須条件です。
   可能ならば、遺跡の中で倒れてしまった、依頼主の仲間の遺品を持ち帰ってきて頂きたいです。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はBです。
   依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   ROO世界の『サンドストーム』に点在する遺跡の中が舞台となります。
   遺跡の中は薄暗く、灯がないと一寸先も見えない様な状態ですので、灯の持込は必須でしょう。
   又、遺跡の中にはいつの間にか住み着いてしまったモンスターである『巨大人食い蜘蛛』達がおり、依頼主の仲間はこれに食われてしまった様です。
   このモンスターは、瓦礫の散乱する遺跡の一部屋におり、瓦礫の影から突如姿を現わしたり、頭上から襲いかかってくるので、上下左右の全方位に気をつけて下さい。
   尚、人食い蜘蛛のお腹の中に、恐らく遺品が残っているでしょう。
   ただ燃やしたりすると、蜘蛛諸共燃え尽きてしまいますので、敵を消し炭にする場合は、その辺りご注意下さい。

 ●討伐目標
   ・巨大人食い蜘蛛 x 10匹
     一体一体の大きさは、小学生位の大きさです。
     その蜘蛛脚には粘着性のものが塗布されており、天井やら壁やら、移動する場所に制限はありません。
     更にその脚には毒針が付いており、ぶすっと刺すと身体中が痺れる、強力な痺れ毒(BS痺れ)が付与される様です。
     勿論蜘蛛なので、複数の脚があるので、痺れ毒の攻撃は複数の脚で次々と突き刺してきますので、複数回攻撃可能……という事になります。
     尚、痺れ毒で動けなくなると、人食い蜘蛛は集団で取り囲み、頭から丸呑みにしようとしてきますので、痺れた時は出来る限り早急に解除する事をお勧めします。
     ちなみに人食い蜘蛛の体力は、皆様と互角に渡り合える位のしぶとさは持って居る様です。

※重要な備考

 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 砂に潜る足跡完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月30日 20時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

花糸撫子(p3x000645)
霞草
アクセル(p3x007325)
クリムゾン・ドラゴニア
フー・タオ(p3x008299)
秘すれば花なり
きうりん(p3x008356)
雑草魂
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
壱狐(p3x008364)
神刀付喪
純恋(p3x009412)
もう一人のわたし
アズハ(p3x009471)
青き調和

リプレイ

●影に紛れし
 辺り一面に砂が舞い、渇いた暑さが住まう人々を傷付ける地、『サンドストーム』。
 その一角に眠りしは、人の手を離れ放置され続け、朽ちかけている遺跡群。
 そんな遺跡群に足を踏み入れてしまった部下の消息を追って欲しい、とネフェレストで依頼を受けたイレギュラーズ達。
 吹き付ける砂嵐に逆らいながら……砂漠を歩く。
「っ……」
 そんあ舞い上がる砂埃が顔に辺り、僅かに顔をしかめたのは『クリムゾン・ドラゴニア』アクセル(p3x007325)。
 現実世界でも、同じ様な事は経験しているが……ここは仮想世界『R.O.O』。
 辺りの風景も、見知った光景とうり二つ……だが自分自身は、仮初めの姿。
「……しかし、漸く来れたな、砂嵐。それも……あのフードを被った女の声……聞き覚えがある様な気が、する……なんてな?」
 アクセルは静かに笑みを浮かべる。
 ……勿論彼女が、その聞き覚えのある彼女と関連しているかなどは知る由もない。
 とは言え団員達が遺跡に入り込んでしまい、それを助けてきて欲しい……というのは、何となく現実世界にも通じるような、そんな気がする。
 だが、そんな彼女の口ぶりからすれば、恐らく団員達の命は……。
「うむ。言いようからして、依頼人としても生存は絶望視している様子。数日経っている以上致し方なし、か……」
「そうね。消息を絶った団員……どうにか生き延びて、無事だったらいいけれど、楽観視は出来ない場所なのでしょう?」
「ああ。遺跡の情報が少ない以上、慎重に進んだ方が良かろう。それに遺跡と言えば、ファルベライズを思い出すものではあるが……此の度のは無関係と思って良い者かどうかも解らぬな」
 と、『秘すれば花なり』フー・タオ(p3x008299)と『霞草』花糸撫子(p3x000645)の会話に、目を閉じた『妖刀付喪』壱狐(p3x008364)が。
(「そうか……こちらのラサ……砂嵐も数多くの遺跡が眠っている様だな……興味深い。そして当然傭兵団が消息を絶った危険もある、と……せめて、遺品は持ち帰らないとな」)
 と考える。
 そしてフーは。
「まぁ、このR.O.Oのネクストやらが、どのようにデータを吸い出しているかは分かったものではないのはあるがな……」
 と言うと、それに花糸撫子が。
「そうね。それにプレイヤーの私たちは死んでも生き返るけれど、団員達の様なNPCは……どうなのかしら? システムだから、クエストが起こる度に同じ目に遭っているのかしら? そうだとしたら……この世界の命って、すごく……軽いわね」
 軽く唇を噛みしめる花糸撫子にフーが。
「そうだな……まぁ、逆にNPCは違うかもしれない。何にせよ、厄介な遺跡に厄介者が住んでいるというのは間違いないが」
 と、そんな仲間達の会話に恐怖を露わにするのは『しろきはなよめ』純恋(p3x009412)。
「ひぇえ……今回は暗い遺跡に行くのですね……大丈夫でしょうか……」
 それに『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)が。
「そうですね……消息を絶つという事は、かなり危険な遺跡なのでしょう。無闇に足を踏み入れた結果、命を失う……良くある顛末です……だからこそ、明日は我が身、です」
「そ、そうですね……オバケが出そうで怖……くはないのですが、なるべく遺品も回収して、彼らの居来た証を届けてあげたいですね……!」
「ええ……大事な依頼です。頑張りましょうっ!」
 びくびくしながらも、団員達の救出に向けて意気込む純恋と、ぐっと拳を握りしめるカノン。
 そして壱狐とアクセル、『開墾魂!』きうりん(p3x008356)も。
「そうですね。せめて彼らの遺品だけでも持ち帰らないとな」
「そうだな。魔物退治と廃品回収といきますか」
「ええ! 巨大人食い蜘蛛……きゅうりは食べるのかな……ってそんなこと考えてる場合じゃねぇ! さっさと倒して団の平和を取り戻そう! ついでに遺品を拾えれば尚良しって事で!!」
 そんな仲間達の気合いの入れ様に、花糸撫子と『AzureHarmony』アズハ(p3x009471)も。
「そうね。私も易々と死んでしまうつもりはないわ。できることなら死なずにいたいものだけど、命を投げ捨てるのはまた違う。いざとなったら皆の盾になる事は厭わないけどね」
「そうだな……俺たちも戻れない、なんて事にならないように、一歩一歩、気をつけて進んで行こう」
 と覚悟を決めて、そしてイレギュラーズ達は団員達が消息を絶ったという……砂に半ば埋もれし遺跡へ急ぐのであった。

●暗闇の影
 そして、遺跡へと辿り着いたイレギュラーズ。
 周りには町や村もなく、人里離れたこの遺跡は常に静寂に包まれている。
 ……だが、そんな静寂を妨げるように。
『……シィィィ……シィィィ……』
 と、何かの獣の鳴き声が、イレギュラーズ達の耳にも伝わってくる。
「ここが、その遺跡か……中々に薄気味悪い所だな」
 とアズハの言葉。
 そして手早く、探索の準備を整え始める。
「撃つとぴかぴかする武器と松明を持って来ましたが、これで辺りは見えるでしょうか?」
「ええ、大丈夫そうですね。一応私もランプを持って来ましたし……カノンさんも確かランタンを持って来てる筈なので、問題無いと思います」
「良かったです……!」
 純恋の灯に加えて、花糸撫子とカノンが腰に灯を点し、下げる。
 更に壱狐は、持ち込んだ灯を職人魂を活用し、光量及び耐久性を強化。
「戦闘中に手が塞がっては困りますからね。しっかりと改良しておきました」
 そんな灯りを3人が灯す事で……探索にはかなりの光量を確保。
 更にはきうりんとフーが。
「私は逆に暗視対策バッチリなのです!」
「そうだな……照明から距離がある所は、妾達が対応するとしよう」
 モノクルスコープを片手に、暗所での視界をも確りと確保しておく。
 各々の灯りの確保を確認した所で、舞い込む砂を振り払いながら、地下へと降りてく。
 降り立った場所の周りは真っ暗闇で、灯を点さなければ、殆ど視界のない状態。
 前線に壱狐、花糸撫子、きうりんの3人が配し、後衛に純恋とフーが灯りを点す事で、視界を確保。
 そして広がる光景と、現実世界での記憶を重ねて。
「ふむふむ……これはまた、色宝の遺跡とはまた違った趣ですかね?」
 と壱狐が僅かに微笑むと、アクセルも。
「そうだな……さて……どこから来るやがるかね? あの時は遺跡の最奥部が定石だったが、今回の相手はただの獣だ。考えがあって襲う様な奴らじゃねえしな」
 と言いながら、灯に点された周囲の壁や地面をしっかりと見据える。
 勿論今の所は、何の変哲も無い壁なのだが。
「えーっと……今回は蜘蛛でしたよね? その足に毒性の強い粘液が付いてるとか……」
「ああ。蜘蛛、蜘蛛ねえ……特に厄介なのは、痺れ毒ってところかい? 頭から食われんのは勘弁して欲しいね、全く」
「ええ……あ、でも……まさか地面から毒のぬるぬるが垂れてくるなんて事ないですよね……あったら悲鳴あげちゃいそう……!」
「無いとは言い切れんな。だがそういったのがあったら、その近くに人食い蜘蛛が居るのは間違い無いって事さ」
「ひ、ひぃぃ……」
 アクセルに、悲鳴を圧し殺す純恋。
 そしてイレギュラーズ達は、常に周囲を警戒しながら更に遺跡内を潜っていく。
 ……何となしに不意に足元に灯を向けた壱狐が。
「……む?」
 人気の無い遺跡故に、足元にはかなりの埃が積もっているような状態なのだが……少し前に漬けられたであろう足跡を発見。
「どうした?」
 とアズハが確認する様、一歩前に進み出る。
「……こっちで間違い無さそうだ。新し目の足跡があるからな」
「これは……確かにそうだな。足跡は……あっちの方へ続いている。と言う事は」
 とアズハが呟いた瞬間。
『……シィィィ……シィィィ……!』
 先ほどよりも更に近くで、獣の唸り声のような音が響き渡る。
「っ、うわあああ!!」
 悲鳴を上げる純恋……だが、蜘蛛の影はない。
 一応、アズハが人助けセンサーを張り巡らせて、周囲から人の救いを求める気配を探るが……反応はない。
「……これは、人食い蜘蛛共の鳴き声なのは間違い無いだろう。あっちか」
「うん、かなり近くまで来てるみたいだね! いつ出てくるかもしれないから、みんな注意だよ!」
 アズハにきうりんが注意喚起し、そして……イレギュラーズは更に遺跡の奥地へ。
 通路を出て、部屋のような所に足を踏み入れる前には、花糸撫子とカノンが松明を投げ込んだり、周りに転がる石ころを投げ込んで、暫し息を潜める。
 ……すると。
『シィィィ……!!』
 部屋の中に、様々な方角から降りてくる人食い蜘蛛達。
 ただ、音を立てたものが偽物だと気づくと、すぐに周囲をぐるりと見渡して……イレギュラーズ達を視界に収める。
『シィーーー!!』
 一層甲高い音を響かせ、地面をカサカサと這いずってくる。
「早速だけど……これでも喰らって!」
 と、近寄ってくる蜘蛛に向けて、魔弾Cの一射を射抜き、最前の蜘蛛を足止め。
 そして入れ替わるようきうりんが。
「よおし! まとめてかかってこーい!!」
 と自信満々にアクティブスキル4を発動し、敵を惹きつける。
 それにカサカサっ、と嫌な音を立てながら壁、天井……と、様々な方角から攻撃を始める人食い蜘蛛。
 ……流石にそんな蜘蛛共の気色悪い動きに。
「うわ、あまって気持ち悪い気持ち悪い! もっとマイルドに掛かってきて!!」
 と叫ぶも、蜘蛛達はそんなの聞く耳持たず。
 ……そして段々と集結しつつある敵陣へ、続けて花糸撫子がなるべく敵を多く巻き込みながら、アクティブスキル3を発動……その狙いは敵の脚。
 攻撃を喰らった蜘蛛共が、僅かに怯み足踏みをすると。
「あら、あら。手足が止まっているわよ?」
 と、あえて笑い飛ばす。
 それを挑発と受け取ったのかは解らないが、蜘蛛共は再度シィィ、と鳴き声を上げて威嚇。
 続けてフーが。
「蜘蛛か……ただ断順に棲みついただけに見えなくもない。まぁ遺品が燃え尽きていいのなら全力を出すことにもやぶさかではないのだが……まあ良い。この程度の相手に本気を出す必要も無いだろう」
 と言いつつ、天井川から仕掛けてくる敵に向けて、ThunderFallで雷を起こし、次々と落雷させる。
 天井から地面へと落下した蜘蛛に、更にアズハが。
「お前たちが食った団員たちの遺品、取り出させてもらうよ」
 と言いながら、アクティブスキル1の一撃で確実に一体に大怪我を負わせていく。
 更に続く純恋が。
「べ、別に蜘蛛なんかにびびビビってなんかないですから!」
 と、精一杯の強がりを口にしつつ。
「それにシーシー言ってるくせに、おまえが一番うるさいんですよっ! お口にちゃっくあたーーーっく!!」
 とアクティブスキル2を狙い撃ちし、敵を呪縛に捉える。
 と、そこまでイレギュラーズが攻撃した所で、蜘蛛共の反撃。
 彼らが狙うは……やはり一番挑発してきていて、作物の匂いが漂い、一番美味しそう……と感じたのかは解らないが、きうりん。
 数匹で一気に襲いかかり、痺れ毒を彼女に塗りつける。
 だけど、きうりんは。
「よしこーい! 私が全部受け止めてやるよ!!」
 と、惹きつけをおそろかにする事はしない。
 そして……流石に痺れ毒が前進に回り、動きが鈍ったきうりんを、頭から丸呑みにしようとする人食い蜘蛛。
「いいぜ、私でおなかいっぱいになりな! 皆も私諸共攻撃を仕掛けていよ!」
 でも、全く動じる事の無いきうりん。
 頭食われても、思いっきり暴れる事で、惹きつけ役の使命を全うする。
 そんな犠牲を買ってくれたきうりんと……彼らに食われてしまったであろう、傭兵団『レナヴィスカ』の団員達の遺品を持ち帰る為に。
「本当、燃やし尽くせば一番楽なんだが、遺品を持ち帰るのも仕事だしな……という訳で、確実に息の根を止めていくぜ」
「ええ……解りました」
 アクセルとカノンの声に頷き、イレギュラーズ達は全力攻撃。
 数多の方角から仕掛けてくる蜘蛛を一匹ずつ確実に仕留め……その動きを封じていく。
 そして、蜘蛛共がこの場に誘き寄せられてから数十分。
 10匹居た蜘蛛共も、かろうじて動くのは……残り一匹。
「これで最後か……手間取らせやがって。終わり次第、アンタ達の腹をかっさく必要も有るしな……とっとと倒れろ!」
 とアクセルがクリムゾンファングを穿ち、その足を引きちぎる。
 バランスを崩した蜘蛛が回避しようと、後方に下がろうとするが……そこには壱狐。
「私たちなんて食べても美味しく無いんですよ!」
 と、渾身の一撃を放ち、他の脚をも全て薙ぎ払う。
 そして純恋が。
「うふふ……地獄でわたしと結婚式を挙げましょうね」
 にっこりと微笑みながらの、アクティブスキル1を発動。
 その一撃に……最後の一匹も崩れ墜ちていった。

●命の残り香
 そして……全ての蜘蛛が動きを止めた後。
「ふぅ……ひとまずは始末をつけれたみたいだね……」
 息を吐くアズハに、周りの仲間達も頷く。
 しかし、まだ仕事は残っている……蜘蛛共の腹の中に残っているであろう、団員達の遺品を探す事。
「一匹ずつ、腹を割いて……指輪や装飾品とかを探すか」
「そうだね。余り時間も掛けてられないし、始めよう」
 アクセルにアズハが頷き、手分けして蜘蛛の腹を裂いて、内容物の確認を始めるイレギュラーズ。
 ……だが、流石に亡くなった人の遺留品を探すというのに、心はキリキリと締め付けられる様に感じてしまう。
「……なかなかに堪えるな、これ……でも悲しい報告になってしまうが、依頼主に届けねばならないからな……」
 とアズハの言葉に、フーが。
「うむ……妾とて、思う事がない訳ではない。果たしてこれがクエストやらだったとして……此奴等は被害者役を定められていたのだろうか……とな。もう一つの世界で生きるというのは……どういう事なのであろうな」
 と、軽く首を傾げる。
 勿論……彼らが助かる世界線は、あったかもしれない。
 でも、今ここに広がる仮想世界においては……彼らの死は避けられぬものだった、というのが事実。
 蜘蛛の腹の中から、次々と見つかる遺留品は……彼らが仮想世界で生きた証であり……元に戻らない現実で。
「仮想世界であっても、これもまた現実なのですね……」
「ええ……そういう事ですね……」
 純恋に頷くカノン。
 そして、蜘蛛の腹の中で、消化されずに残っていた遺留品を手にしたイレギュラーズ達は……フードを被った、依頼主の下へ。
「これが、蜘蛛の腹の中に残っていた遺留品です。団員の方達は……」
 壱狐が顔を伏せると、依頼主は。
「やはり、そうでしたか……ええ、仕方ありません。皆さんには、辛い仕事となり、申し訳ありません」
 頭を下げる彼女。
 そして、彼女が顔を上げた所にアクセルが。
「……なぁ、赤犬の事は、知ってるかい?」
 と、問いかけるが……彼女は。
「……何の事かしら? 知らないわ……」
 と首を振る。
 それにアクセルは。
「そっか……わかった。じゃ、また逢おうぜ」
 とだけ言い……そしてイレギュラーズ達もその場を後にするのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

きうりん(p3x008356)[死亡]
雑草魂

あとがき

ROOサンドストームでの団員(遺留品)救出シナリオに参加、ありがとうございました!
団員達は既に消化された後……という事では、その遺留品捜しは中々に辛い所ではあったでしょう。
でも……こういった事を繰り返す事で、R.O.Oの人達も強くなっていく、のかもしれませんね。

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