シナリオ詳細
誰か一人でもデスペナ受けないと帰れまセン!
オープニング
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『ふふふ……騙して悪いが今から貴方達には殺し合いをしていただきます』
練達が開発したR.O.Oなる電子空間――その世界『ネクスト』の中でイレギュラーズ達はとある依頼を受けていた。それは最近発掘された地下迷宮の調査をしてほしいというもので……ゲーム内の『クエスト』とでも思えばいいのだろうか。
この世界に蔓延るバグの調査の為には、こういった案件も受けてネクスト世界にもかかわっていく事も必要だろうと目されている。
しかし今回の案件は――なんとイレギュラーズ達を嵌める為のものであった。
件の地下迷宮へと訪れたイレギュラーズ達はいきなり退路を強固な扉で閉ざされてしまった。強力な打撃を叩き込んでも微動だにせぬ……そして扉とは反対側には、まるでコロッセオの様な場所が存在していて。
『ふふふ。最後の一人になったら解放してあげましょう。
私はここで、命が散っていく様を見るのが趣味でしてねぇ……』
声はどこからか、不思議と空間自体に響いているかのように発せられている。魔術か何かだろうか――ともあれイレギュラーズ達を罠に嵌めた者はどこか別の場所で観戦している様だ。
脱出方法は見当たらない。
このまま奴の口車にのって殺し合いをするしか選択肢はないのだろうか――?
その葛藤こそが黒幕の酒の肴。生き残りたいのならば殺しあえ――
今日も悲痛なる叫びを聞けそうだと別室でワインを口に含め、ば。
「オラァ、死ねぇ!!」
「しゃらくせぇ!! 死ぬのはテメェだ――ッ!!」
『ええ――っ!?』
しかし秒でイレギュラーズ達は殺し合いを始めた! 思わず口に含んだワインを吹き出す程の超速度で。
ええ!? ちょ、ちょちょ、ちょっと待って! ストップ。スト――ップ!!
『いやいやいやいや何してるの! 君たちもうちょっとこう、手心をというか、躊躇いをというか……ここは『そんな! 仲間と殺し合いなんてできない!』っていう場面じゃないのかね!?』
「え、殺し合いを望んでたそっちの方がそんな事いうの……? 引くわ……」
「注文の多い依頼主だなぁ……」
『えぇ!? 君たち仲良くして!!?』
慌てふためく黒幕。しかし、別にイレギュラーズ達は慌てる様な事態でもないのだ。
なにせR.O.Oの世界で『死』は存在しない。
死亡クラスの傷を負った者はログアウトの様な状態になるだけの事。再びこの世界へとログインする事は可能なのだ。現実世界と異なり命を惜しむ様な必要もないのならば、何を躊躇う必要があろうか。
それに一度ログアウトしてログインしなおせば外にいる様な状態だ。
イレギュラーズ達を嵌めた依頼主をボコボコにするのはその時でいい。
「チッ……仕方ない。依頼主がそういうなら……」
「ああ――やめろ! こんな事は、黒幕を喜ばせるだけだ! 俺たちが、俺たちが殺しあうなんて……仲間だったじゃないか! こんなのぜったいおかしいよ! なぁ、やめろ――!!」
『わぁ凄い棒読み』
ともあれ最低一人でも外に出て黒幕をぶちのめさなければ出れないのは確かみたいだ。
故にやってやろうじゃないか。
やむなき事情なら互いに争いあうもハイルール違反ではない。
そうこれは――最低一人はデスペナを受けないと帰れない依頼(多分)なのだから!
- 誰か一人でもデスペナ受けないと帰れまセン!完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2021年05月30日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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罠の依頼。突如としてイレギュラーズに降りかかる試練……だが。
「悲しいわ……人と人が殺し合わなくちゃいけないだなんて! それも他人に強制されて……けれど、そう。私達にとっては今日が『そう』だったというだけなのね……」
エルシアちゃん、と言葉を紡ぐのは『再現性母』イルシア(p3x008209)だ。
同じ種族同士が相争うなど悲しい事……けれど彼女は知っている。
いつ何どき命を奪い合わなくてはならないのか判らないのが自然の摂理――
そしてそれが『今日』だったというだけの話なのだと。
だから彼女は当の昔に決意している――ここで生き残ろうとするならば。
「その分、沢山の犠牲者を出さないといけないというのね――解ったわ」
小さく。誰にも聞こえないように呟くと同時に――指を鳴らす。
さすればその行動を起点として周囲を炎が包んだ……こ、これではコロシアム内で逃げる場所すらなくなるではないか! これは、そう。彼女の抱く幻想の炎渦。
そう……誰もこの場から逃がさぬ意志。これぞ正しくバトル・フィールド!
「さあ、哀れなダンスをお踊りなさい――ふふっ」
『え、なにこれ。用意してないんですけど、え、どういう演出!?』
「なんて白々しい事を……! 私たちを更に追い詰めておきながら……!」
イルシアがお膳立てだとばかりに場を(物理的に)燃え上がらせるッ――!
えぇ!? 黒幕もビックリだよこんなの!
「……オーッホッホッホッホ! 随分と面白い歓迎をしてくれるじゃない、地上人は! でもスコタコス帝国ではこんなコロシアムなんて日常茶飯事……八天魔が一人、スキュリオラス様として思いっきり盛り上げてあげる!」
炎の勢いに乗るのは『深海の赤い悪魔』スキュリオラス・ド・スコタコス(p3x007036)だ――光届かぬ深海にあるスコタコス帝国からやってきた悪の幹部が今更殺し合い程度で引くとでも思っているのかと!
あ、いや、その、そういう設定なので、はい、キャラクター性を生かすチャンスかなっては思ってるんですけど……良いのかなこれで……大丈夫かな……いえ、やるしかない!
「さぁ――このスキュリオラス様に挑む愚か者は誰!? 精々楽しませて頂戴よね!」
「うう……こ、殺さなければ出られないというのなら、俺も全力で行かせてもらうぞ!! う、恨むならこんなステージを用意した奴を恨むんだな――ッ!!」
であればと『しょしんしゃ』ゴルド(p3x007874)も続くものだ! いや殺し合いとかめっちゃ急な話ですけどね? まぁ死んでも復活するだけって聞いてるし大丈夫だとは思う。だから殺っちゃおうか☆
イルシア君とかスキュリオラス君とかもノリノリみたいだし! まぁ己らを嵌めた者への始末は後できっちりつけるとして、今は。
「うわあああ死ね――ッ!!」
「やめろ、お前たち! あんな奴の口車にのせられるな!
殺しあったって本当に解放されるかは分からない……
落ち付くんだ、脱出する方法は必ずあるはず――ぐあッ!!」
このデスゲームに乗せられるとしよう――であればゴルドが放った火球を『サイバーウィザード』壱轟(p3x000188)は言葉を発しながら受け止めるものだ――あれ。ギリギリに当たらないように撃ったつもりだったのに!
それは庇う行動を見せたが故。
こんな不毛な殺し合いなんて反対だと示しながら身を焼かれる。
「う、うわあああああ――!! あ、熱い!! 熱い……!!
ううう!! せ、せめてお前は生き延びてく……ぐぁああああ!!」
「壱轟さん!! ま、まさかこんな……!!」
死の感覚――悶える様な動きを見せる壱轟に駆け寄るのは、咄嗟に庇われたイルシアだ――が。駆け寄られると同時にこっそり脇腹を刃から貫いておいた。天使の様な微笑みを壱轟にだけイルシアは見せて。
「ま、まさかこんな死にざま……わ、我ながら間抜けな事……で……」
よもや庇った相手に後ろから刺されるとは。しかし息も絶え絶え大声も出せず。
真っ先に一人落ちるのが誰の目にも確認(イルシアが刺したのは見えてない)出来れ――ば。
「壱轟さ――ん!! そ、そんな……仲間同士で殺し合わなくてはならないなんて……!
こんなの耐えられません!! わ、わたしには……皆様を傷つける事なんて!!」
『花嫁キャノン』澄恋(p3x009752)は決意する。
目の前で失われていく命……ああそんな! どうして!
皆、ここに来るまで味方だったというのに……!
震える声色。こんな狂気の世界に耐えられるものか――だから。
「只今より、ハラキリ☆セップク致しますッ! 皆さまどうか介錯をお願いしたく!!」
「任せて! 一撃であの世に送ってあげるわ!!」
どこからか『君、ちょっと思い切りよすぎない!?』と主催者の声が聞こえてくるが知った事か――ハラキリの文化こそ祖国の誇り。ただ唯一、旦那様錬成研究が完成する前に死を迎えてしまう事が残念だが……まぁ『次のわたし』が上手くやってくれることでしょう。元気よくイルシアが介錯の手伝いを願い出てくれた事だし――
「来世では運命の相手と出会えたら良いなァ゛――!! あっ婚姻届は準備済みで、ァ゛」
掛け声一つ。腹を捌くような動きを見せながらプスッとやられる澄恋――おいおいおいなんかめっちゃ減る速度早いんですけど。もうちょっとこう、君たち葛藤とかないの!? どうしてそこまで自信満々に殺し殺されに掛かれるの!!?
「まぁゲームですからね! 死んでも別に何も無いんですけどってかもうすでに1増えちゃったんですけど、やー流石そこはひめっていうかー、あッでもひめは姫なんで、ちょっと無様には死にたくないっていうか? やっぱり人とは違う散り方が相応しいっていうか?」
直後。主催者の意図を読んだかのように言葉を繋ぐのは『勧善懲悪超絶美少女姫天使』ひめにゃこ(p3x008456)である――勧善懲悪超絶美少女姫天使???
「いやーでもどうしても死んでほしい! どうしてもひめに死んでほしいって皆でひれ伏してくれたら死んで挙げてもいいかなーっては思うんですよ! まぁ? ひめも? そこまで器小さくないですし? だからほらほら早く頭を下げて――」
ひめにゃこはー、今日も~超絶カワイイー☆
「んですから、ぴょぇあああ!?」
髪を弄りながら『しょうがないなー』みたいな感じで話してカワイイと叫ん……だ瞬間、その背を銃弾が襲って来た。ひめ思わずビックリして変な声でちゃったよもう!!? 一体なに!!?
「蜂の巣だ。全員纏めて蜂の巣にしてやる――覚悟の出来た奴から表に出ろ。
いや一列に並んでもいいぞ。出来れば40m程度の所に並んでくれるとなお良し、だ」
それは『胡蝶の夢見人』君塚ゲンム(p3x000021)の一撃だ。
ああ――元々誰か一人死ねば良いというのなら簡単な事だった。こうして椅子に座り、ガトリングの銃口を加えて脳髄を打ち抜く様に。まるで聖書か何かのポーズであるかの様な美しさを兼ね揃える一時を心に謳歌しながら引き金を――を――あれ、あ、いや、無理だわ流石にガトリングの銃口は!!
「――という訳で茶番はともかく、自殺も容易でないとなれば殺り合って決めるしかないだろう――だから死ねひめにゃこ。安心しろ、これだけの銃弾を浴びれば苦痛も何もなくいける筈だ。タブン」
「んにゃ――!? ちょ、愚民がひめを狙うなんて、アイタタタタ!! ここは本能寺じゃないですよ!? ひめは敵じゃないです!! くっそ!このアクセスファンタズムちゃんと発動した事ない気がするんですけど! バグですか――!?」
安心してくださいひめにゃこさん、正常ですよ。
苦痛と殺意とその他色々な声が挙がりまくる殺し合いの場――
果たして生き残るは一体だれなのか! 火蓋は切って落とされた!
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「ふふふ……少し予想外ですが、まぁ偶にはこれも良いでしょう……」
同時刻。別室ではイレギュラーズ達を嵌めた依頼主がワインを飲んでいた。
なんか今回の参加者たちいつもと違う気がするけれど……まぁでも結局死ねば一緒だよね! どうせ脱出の手段なんかないんだし、最後の一人も餓死させればいつも通りさ!
高をくくって彼は喉奥へと至福の味わいを落とす。
コロシアムで行われる一連の出来事を眺めながら――
だから彼は気づかなかった。背後より迫りし意志がある事に。
「――暗殺開始でござる」
それは既に脱出を果たしていた『忍豹』空我(p3x001368)の鋭い一声であった。
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「オーッホッホッホ、ゲホッ! ゴホッッ!! わ、私を殺ろうなんてしゃらくさいわ!!
屈服しなさい! これがスコスタス帝国の力よ――ッ!!」
悪の女幹部たるスキュリオラスは慣れぬ高笑いにむせて涙目になりながらそれでも攻撃を紡ぐ。手にした鞭を振るいて敵――いや厳密には味方だが――を薙ぐのだ。いきなりPVPみたいなイベント始まった時にはビックリしたけど頑張りますの心情と共に!
毒をまき散らし阿鼻叫喚の世界を作り上げよう――痛かったらごめんね?
「え? 毒が卑怯って――? お黙り! 勝者こそが正義! 勝てばいいのよ!!」
「成程、真理ね……でも、これでも貴方は攻撃出来るのかしら?」
瞬間。言うはイルシアだ。
彼女の傍にいるのは――なんだ――? 八歳程度の少女ではないか。
その後ろにイルシアは位置していて……ま、まさか!!?
「いいこと、私に攻撃したらこの何の罪もないいたいけな可愛らしい少女が傷つくことになるわ? ――お分かり?」
「くっ!! こ、この外道が――!!」
その少女はエルシアという者。彼女はイルシアの能力の一端の様な存在であり……傷つけば消えるが、それまでは戦闘を補助する様な存在である。だがエルシアは状況が分かっていないのかイルシアの顔を見上げながら首をかしげているだけで。
くっ、か、かわいい……こんな少女を盾にしようと言うのか!!?
だがこれは少女を盾にしたイルシアが悪いのではない。
エルシア諸共攻撃しようとする者の意思こそが――悪なのだ!!
だってイルシア自体は別に彼女を傷つけようとなんてしていない。傷つけるのはいつだってその手に凶器を抱いている者達だ……ま、まさか気にせず攻撃なんてなさらないわよね……? こんないたいけな少女を、問答無用で殺すおつもりですか……?
「そんな事されたら――リアル私が死んでもいいって思われたみたいに感じて悲しくなってしまうわ!」
「ぴ、ぴえーん!! こんなやばいやつだらけの所にいられるか! ひめはもう家に帰ります!! あ、帰れないんでした!! ぴえーん!!」
エルシアにドン引きしつつ無駄に死亡フラグを立ててしまったひめにゃこ、絶体絶命である! アクセスファンタズムの不調か、ひめの可愛さが通じてないし……うう、こうなったら!!
「――忍法死んだふりの術!」
クマさんもこれで避ける事が出来るって聞きました! ふふん、ひめは賢い!
会場の隅で寝転がり誰の注目も浴びないように隠れる――こうして事態が収束するまで倒れていれば――んっ、なんか足が刺された様にイタ、ッ、あ!!
「あー! サソリの存在忘れてました!! やめてこっちこないで! 死んだふりしてるんですから、死んでる、死んでるから! あー! いやー!! ぐええ!」
ひめ、脱落――!! ああなんてこったい!
「はぁはぁ、俺の炎は熱いよ!! 燃やされたい奴から掛かってこ――い!」
直後。まるで迎撃するかのようにあちらこちらへとゴルドは火の玉を放ち続ける――尤も、それはギリギリ当たらないように計算された一撃ではあるのだが。場を駆け抜けゴルドは火球を創り出し放ち続け――しかしその時。
「貰ったぞ! その迂闊な動き、仕留めてみせる――!!」
君塚ゲンムの乱射が遂にゴルドを捉えた。
足を撃ち抜き身を貫く――さすればゴルドは声を挙げながら彼方で倒れるものだ――
すげぇややっぱり皆ノリが良い。まぁどうせいつかは自らも死ぬのだろうが。
「だがまぁ悪くない……死ぬには良い日だ、天気も良いし(多分)」
天を見上げて彼は呟く。まぁそこに在るのは地下の天井なんですけど。
直後。予想通りと言うべきかなんというか――己が背を貫く刃があった。それはイルシアの一撃だ。にっこりと微笑む彼女は、誰かが弱ったり隙を見せたりする時を狙っていて。
「ふふ――これも弱肉強食の世の摂理。ごめんなさいね」
「ぬ、ぉ――」
最後の反撃にとガトリングを向ける君塚ゲンム――だが。
イルシアは即座にエルシアを前に出して盾とする。こ、この外道――!!(本日二回目)
『ふふふ、いい感じに減ってきたようですね――と、ぬぁ!? な、なんだ貴様ら!!?』
瞬間。主催者の声がフィールドに響いた――と思えば、同時に苦悶の声が聞こえてきた。
それはなぜなのか? 理由はたった一つしかあるまい!
「問答模様。報いを受けよ」
「たのもー!! いい歳ぶっこいて画面相手にゲヘゲヘきっしょい笑い浮かべながら引きこもってるイタい野朗を再教育しに来ました! あ、反面教師としてはいいかもしれませんね……旦那様を錬成するときはこんなの絶対作らないので!」
空我や、再ログインで合流した澄恋らが襲撃を仕掛けてきているのだ。
サクラメントから再爆誕! 全く、それなりに走ったんですからね、もう!
「ふふふ、まさか白無垢が白装束になろうとは……か弱い乙女をよくもまぁ長距離歩かせてくれましたね? 足が太くなったらどうするつもりなんですか!!」
「え、もう既に大分か弱くない気が、ぶべら!」
あっ? か弱いだろ?
全く、命が散っていく様を見るのが趣味なら何回でもすぐ殺せるよう近くにサクラメント設置しておいてほしいものである――まぁサクラメントをこいつが認識してるかは不明だが、とにかく歩かされた恨みをあれやそれやビンタビンタ!!
至近からびんた!
中距離からびんた!
超遠距離からびんたった!
縦横無尽のビンタ乱舞が主催者の顔を腫らしていく――はーときゃっちのプロであり婚活中のわたしですが、死者復活も考えられない無能でひ弱な黒幕(笑)なんてこちらからごめんないです〜! 二度とそのツラ見せないでほしいです~!
「――来世はまともな脳みそが搭載されると良いですねっ!」
最後。全力で踏み込んで腰を回した超絶のビンタをぶち込んで。
ぶっ倒れる黒幕――さすれば、その前に現れたのは。
「全く殺してくれるとはやってくれるものだよ……リアルの感覚をもう一度味わう事になるなんて、な」
壱轟だ――全く。いくら死が身近にあると説明を受けていたとはいえ……リアルではかつて一度『死んだ』事がある壱轟にとってはなんとも『嫌』な感覚を味わされてしまった事だ。
腹の奥底がぐるりと回る様な感覚。
かつて感じた死とは少しばかり違った様な気もするが。
「だが、色々と作りこまれているのは確かな様だ――」
「な、なんだどうして!? どうしてさっき死んだはずの連中が!?」
「理解する必要はない。お前はな」
主催者が慌てふためく。まぁ死の感覚はさておいても、サクラメントまで戻された事は面倒だった。マップマップと、地図を見て急いで向かってここまで来た――が、甲斐はあったと思うべきか。
「不愉快な罠にはめてくれてありがとう――お礼にたっぷり俺たちの痛みを教えてやる。くらえぇッ!」
奴めの驚愕する傑作顔を見れたのだから。
炎を纏う一撃をここに。顔面を直撃させる一閃を――奴へと叩き込んでやった。
「これだけで終わると思わないでよね! もう少しボコボコにさせてもらうよ!」
「とにかく蜂の巣だ、蜂の巣にしてやる。ああ今まで散々楽しんできたのだろう――? 偶にはプレイヤーの気分も味わってみたらどうだ?」
「そうですよ! どーせ最後に生き残った人もどっちにしろ殺すつもりだったんでしょう? ならズルはお互い様ですね! 歯ぁ食いしばってください! これぞ、勧善懲悪超絶美少女姫天使パァ――ンチ!」
「ひ、ひえええ――お助け――!!」
更に復活して駆けつけてきてたゴルドと君塚ゲンム、そしてひめにゃこも合流し依頼主をぶちのめしていく。気分が解消されるまで叩きのめしてやった所で……おっとさて、コロシアムの封鎖を解除せねば。えーとどこだボタンは?
「ふぅ! まさか私が生き残るなんてね! ゲーム歴も浅いし持久戦向きでもないから、いつか死ぬと思っていたのだけれども……まぁこれも幹部の実力って奴よ! オーッホッホッホッホ――んつ?」
画面に映っている辛うじて生き残ったスキュリオラスが勝利の高笑いを挙げた、瞬間。
なんか足元で痛みが走ったので見てみれば――あっ、サソリ君。
「えっ? ちょっと! こんな終わりアリなの!?
ああ嘘ォ――!! もー! 覚えてらっしゃい――!!」
まった来週――!! 叫んでリスボーン地点へ往く赤い悪魔。
めっちゃ被害の出たこの依頼。しかしR.O.Oとは便利なものだ……結局壱轟達の様に再度ログインするだけで、特にペナルティも何もないのだから。
「……だが、仮想空間とはいえあまり気分のいいものではないよな」
これから何度『死』を経験する事になるのか。
壱轟はなんとなし吐息一つ――漏らすものであった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
なんてひどい被害数だ……!!
MVPはめちゃめちゃデスしてた貴女に!
ありがとうございました!!
GMコメント
大変だ! 皆さんは唐突に依頼主によって閉じ込められました!
殺し合いをせよという状況……しかし別に死んでも特に問題ないこの世界。皆さんは全力でバトルを楽しみますか? それとも『やめろー!』と殺し合いを止める役をしてみますか? とりあえず最終的に皆さんを罠に嵌めた奴をボコボコにできればOKです!
●依頼達成条件
最終的に黒幕をボコって全員で脱出する事。(デスペナによる脱出も含む)
●フィールド
鋼鉄のとある山岳地帯の一角に存在する地下迷宮です。
まるでコロッセオの様な迷宮舞台に皆さんは閉じ込められました。戦う空間だけでなく横道とかもあり、多少歩けたりするようにはなってるようですが脱出できる手段は今の所、見当たらないように感じます……
黒幕はここに皆さんを集わせて殺し合いをさせて、その悲痛な叫びを聞き……たいようですが、皆さんは別に死んでも特にペナルティの様なものはありません。なのでめっちゃ全力でバトルしても特に問題ないかと思われます。
死んだらどこかのサクラメントからまたこの世界にログイン出来る事でしょう。
最終的には(現場に辿り着くまで時間がかかるかもしれませんが)再び現場に駆けつける事が出来るものとします。黒幕叩きのめして皆を開放して帰りましょう!
ちなみに黒幕は地下迷宮の入り口……に入る前に、右の方に暫く歩いてると別の入り口があって、そこをまっすぐ行くとなんか魔術で観戦してる部屋がありますのでそこにいます。ボコりましょう。
●魔物っぽいやつ
なんかあっちこっち歩いてるとごく偶にちっちゃいサソリみたいなのがいます。
あんま強くないですし好戦的でもないのですが、これまた偶に近くにいる人をプスッて刺すことがあります。それがトドメの一撃とかになったりするかもしれません。如何にROOとはいえ流石にトドメの一撃までは……ってなったらサソリがプスッってするかも。プスッ。
●黒幕
仲のいい者達が殺しあうのを眺めて愉悦することが趣味な人。
この人はまさか死人が蘇るとは思ってないようです。もしもデスペナ受けて再ログインしてきた人がいたらめっちゃ驚くことでしょう。戦闘能力はありません。見つける事が出来たらボコボコにできます。やっちまいましょう。
●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
※重要な備考
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
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