PandoraPartyProject

シナリオ詳細

五度目の傭兵団

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●過信の果てに
「お前達、ここを通りたければ俺達に護衛を頼んでいけ!」
 砂嵐のあるオアシス付近の砂漠。ここで、先に進もうとする隊商に傭兵団が護衛を依頼……と言うよりも、強要していた。要は、金を払わなければ襲撃すると言うことだ。
「また、このパターンか……いくぞ!」
 それに対し、既に対象の護衛を受けている冒険者達がまたか、と言う顔をしつつ傭兵団を排除しようとする。護衛依頼を受けてから同じようなやりとりが四度あり、冒険者達はその都度楽勝で数に勝る傭兵団を蹴散らしてきた。
 故に、今度も楽勝で蹴散らせると甘く見ていたのだが、それがいけなかった。冒険者達が五度目に遭遇した傭兵団は、今までの傭兵団とは天地の差というレベルで強かった。
「くそっ! 今度の連中は何て強いんだ! 今までの連中の比じゃないぞ!」
 冒険者達がそれに気付いた時にはもう遅く、彼らは数に勝る傭兵団にあっという間に蹴散らされて、囚われの身となってしまった。

●四度目までに仕込まれた罠
「そんな感じでですね、このクエストに失敗したパーティー五組ほどが囚われてしまいました。
 その救出は既に手配してありますので、皆さんにはこのクエストのクリアをお願いします」
 『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)のアバターである『緑の騎士』ウィルヘルム(p3y000126)が、目の前の同じくアバター姿になっているイレギュラーズ達に告げた。
 クエスト自体は、隊商の依頼とわかりやすい。ただ、砂嵐のお国柄、護衛すると言いつつ金をせびってくる傭兵団が問題だった。
「このクエストでは、都合五度、傭兵団が金の支払いを強要してきます。
 もちろん、金を払ってしまったら当然依頼は失敗になりますので、クエストを成功させるには五度とも実力で傭兵団を排除しなくてはなりません」
 ウィルヘルムが言うには、一度目から四度目までは傭兵団と名乗っているのが嘘と思えるほどに弱くて、既に失敗したパーティー達も余裕で勝利したとのことだ。
「問題は、五度目の傭兵団です。この傭兵団は四度目までの傭兵団とは違って、基本的に傭兵団に相応しい戦闘力を有しています」
 その上で、この傭兵団には相手の過信や油断、慢心に応じて能力が跳ね上がる特性がある。失敗したパーティー達は、四度目までの傭兵団との圧勝と言える勝利によって少なからず自らの実力を過信して慢心を抱いてしまい、五度目の傭兵団の能力を強化させてクエストに失敗してしまったのだ。
「狼少年の嘘でも三度繰り返せば慣れきってしまったそうですから、四度圧勝すれば自分達は強いのかも、と過信してしまう気持ちはわからないではありません。
 ですが、タネさえわかりきっていれば、皆さんが引っかかることはないと信じています」
 アバター姿のイレギュラーズ達を、ウィルヘルムは真剣な眼差しで見つめる。
「こんなクエストを放置して、同じような犠牲者をこれ以上出すわけにはいきません。
 ぜひとも油断なく成功して、このクエストを終わらせて下さいますようお願いします」
 そこまで言うと、ウィルヘルムは深々と頭を下げた。

GMコメント

 こんにちは、緑城雄山です。ROOも3本目となります。よろしくお願いします。
 さて今回のクエストですが、四度までで楽勝気分にさせて五度目でその楽勝気分をついて仕留めると言う、ある意味で初見殺しなクエストとなっております。
皆さんには、このクエストの攻略をお願いします。

【重要】慢心度チェック
 このシナリオには、皆さんのプレイングに過信、油断、慢心と言った要素がある場合、その程度に応じて敵である五度目の傭兵団の能力が跳ね上がると言うギミックがあります。
 なお、ある程度の自信や意気込みは当然あってしかるべきですので、それらはこのギミックの対象とはなりません。

●成功条件
 護衛の成功(五度目の傭兵団の撃退(生死不問)が必須)

●失敗条件
 護衛対象の隊商から1人でも死者が出る

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●ロケーション
 五度目の傭兵団が出現する、オアシス近くの砂漠。時間は昼間、天候は晴れ。
 環境による戦闘へのペナルティーはありません。

●初期配置
 イレギュラーズ達の最前衛と傭兵団達の最前衛は、最低40メートル離れているものとします。イレギュラーズ達の前衛は、隊商の戦闘と共にひとかたまりになっているものとします。

●五度目の傭兵団の傭兵 ✕約30
 五度目に出現する傭兵団に属する傭兵達です。既述のとおり、相手の慢心度合いによって能力が強化される特性を持ちます。
 大きく左、中央、右の三グループに分かれており、各グループは7:3の割合で曲刀装備の前衛とクロスボウ装備の後衛に分かれています。能力傾向としては、前衛がスピード、手数型、後衛が火力型です。
 慢心度チェックによる強化無しの状態であることが前提となりますが、イレギュラーズ達であればしっかり戦えば十分に勝利を収めることが可能でしょう。
 また、彼らは護衛対象である対象に手を出すことはありません。

●一度目~四度目の傭兵団
 数は多いのですが、雑魚もいいところで、初心の冒険者にすら容易く蹴散らされます(なので、五度目の傭兵団と戦う前に慢心を抱くと言う仕掛けになっているのですが)。
 戦闘判定は五度目の傭兵団との遭遇から始まりますので、その時には既に蹴散らされている扱いとなります。また、それによるHP、APの損耗は全く発生していないものとします。

●隊商
 クエストの依頼主の隊商です。戦闘開始時は、ほぼ一列縦隊の長い列になっています。
 五度目の傭兵団の傭兵達の攻撃対象になることはなく、傭兵達によるものであれば流れ弾さえも彼らを傷つけることはありません。
 一方、イレギュラーズ達の範囲攻撃の対象となった場合にはしっかりと傷つきます。一度攻撃されれば間違いなく戦闘不能となり、そうなるとその攻撃が【不殺】属性を持たない限り死亡します。ご注意下さい。
 なお、彼らはクエストが失敗すると依頼開始地点にリポップします。これが、クエスト成功まで続きます。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

 それでは、皆さんのご参加をお待ちしております。

  • 五度目の傭兵団完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月21日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アンドレイ(p3x001619)
わーるどいずまいん♂
タイム(p3x007854)
希望の穿光
入江・星(p3x008000)
根性、見せたれや
名も無き泥の詩人(p3x008376)
■■■
スイッチ(p3x008566)
機翼疾駆
現場・ネイコ(p3x008689)
ご安全に!プリンセス
ルイズ・キャロライン(p3x008702)
必ず、絶対にその首を
アズハ(p3x009471)
青き調和

リプレイ

●ギミックさえわかっていれば
「うーん、ゲームでありそうな見事な初見殺しっぷり……」
 今回引き受けたクエストの内容に、魔法少女の姿をした『ご安全に! プリンセス』現場・ネイコ(p3x008689)が腕を組んで難しい顔をした。
 クエスト自体は、ごく普通の隊商の護衛である。ただ、都合五度隊商から護衛料と称して金をせびり取ろうとする傭兵団達が、問題だった。一度目から四度目に出現する傭兵団は極めて弱いのだが、それで自分達が強いなどと慢心すると、その慢心度合いに応じて五度目に出現する傭兵団にバフがかかる、と言うギミックが存在しているのだ。
 これが通常のゲームであれば何度か試行錯誤したり情報を集めたりしながら、クエスト達成を目指していける。だが、この『Rapid Origin Online』においては、一度失敗すれば五度目の傭兵団によって囚われ、売られてしまう。『Rapid Origin Online』を蝕むバグにはクソゲーと言いたくなるものが少なくないのだが、これもその一つと言えるだろう。
「なるほど。同じのが四回も続けば、次も同じだって当然思うよな。なかなかにずる賢い」
 『AzureHarmony』アズハ(p3x009471)は目を閉じたまま、そのギミックのやり口に納得したようにうんうんと頷いた。
「……だが、タネがわかってしまえば効かなくなる類のものでもあるな?」
「そうだよね。情報を集めてくれたウィルヘルムさんや囚われた皆の為にも、クエスト達成目指して頑張っていこう!」
 初見殺しは、相手が何も知らないが故に有効である。だが、事前に情報が割れているとなれば、アズハにしてもネイコにしても、勝利によって油断せず戦いに臨み、クリアするまでであった。
「油断があったとはいえ、五度も冒険者のパーティを退けるとは、五度目は本当に強いんだね。
 前衛後衛で連携も取れていそうだし、何より数が多いのが厄介そうかな」
 青と金のオッドアイが特徴的な『可能性の分岐点』スイッチ(p3x008566)はそう言ったが、その油断こそが、五度目の傭兵団を強力なバフで強化していた。もっとも五度目の傭兵団に関して言えば、スイッチが手強そうに感じたとおり、傭兵団を名乗れるだけの実力は持ち合わせている。
 だがやはり、タネがわかっていれば、対処自体は簡単である。五度目で気を引き締め直し、全力でかかるまでだ。
(襲ってくる相手を倒す。至ってシンプルな依頼だ。現実の依頼もこういうのばかりだと、ありがたいものだが)
 だが、実際はそんな単純な依頼ばかりではないことに、いかにも吟遊詩人と言った風体の『■■■』名も無き泥の詩人(p3x008376)は苦笑いを浮かべる。それにしても、と泥の詩人は思う。
「情報を制する者が戦いを制するとは、よく言ったものだ。アイツらの敗因はただ一つ『繰り返し』過ぎた。
 これがこの世界が生み出した依頼なのか、それともアイツらが一人でに考えて起こしたものなのかは判断材料が足りないが、どちらにせよ今回を最後の襲撃とさせよう。
 ――さて、傭兵団は俺の悲願を叶えてくれるかな」
 五度目の傭兵団への期待を込めて、泥の詩人は独りほくそ笑む。

「油断させて失敗させようって、意地の悪いクエストなのね?」
「ホンマ、油断したところを本気でズドンっていうのは、よう考えられとるなぁ。確かに、何も知らんなら油断してしまいそうやわ」
 「中の人」ほぼそのままに獣耳をつけただけの『冒険者』タイム(p3x007854)が首を傾げれば、ツンツンとした金髪にサラリーマン風のスーツ姿と言った出で立ちの『11勝26敗5分』入江・星(p3x008000)が顔をしかめた。
「そんなクエストでも、あらかじめ情報を知ってるんだからこっちのものでしょ~? 簡単簡単!
 ぱぱぱーっとやっつけて、クリア目指していこー! ねっ」
 現実では後衛である故に、『Rapid Origin Online』では前衛に挑戦することにしたタイムは、ファイティングポーズを取ってシュッシュッと拳を繰り出しながら、クエストは余裕だと言わんばかりの発言をした。
「いやいや、そう考えさせる所までが罠なんやろ。
 慢心、油断、人が上手いことコントロール出来ん部分着いてくるあたり、ホンマいやらしぃわ。
 そんないやらしいことしてくる相手に、油断なんてできるわけないやろ? 気ぃ引き締めていこか」
 情報を知っていたら知っていたでこうなるのだなと思いながら、星はタイムの言を嗜める。
(こ、こんなかんじでいいんですかね? いえ、こういうげぇむはじめてなので分からないんですけど、大丈夫ですよね多分!)
 その内心では、きちんとアバターなりのキャラを演じられているか、ドギマギしている星だった。

「五回目だけ、やべえ強さになんのか。じゃあなんだ、四回目までの奴等は、五回目を強くするためのただの踏み台って事か?」
 色黒の肌に隆々とした筋肉を持つ『剛力剛腕』アンドレイ(p3x001619)が、苛立ち交じりに疑問を口にした。クエストのギミックとしては、そういう事である。
「――そいつらが、可哀想じゃねえか! ぶっ倒してやるよ! このイカれたクエストを、終わらせてやる!」
 アンドレイは、クエストが繰り返される度に踏み台にされる四度目までの傭兵団達に、同情したらしい。憤りのままに、アンドレイは吼えた。
(これは……クエスト失敗すると隊商がリポップするという事は……。
 こいつらから金品を巻き上げて皆殺しにしたら、リポップしてまたそれを…………)
 そこまで考えて、『かんがえちゅう』ルイズ・キャロライン(p3x008702)はこほん、と咳払いをした。さすがに、クエストを失敗に導くような仮定を仲間達の前で口に出すわけにはいかない。
(仮想現実ですもの、仮想現実……ここで、そんな儲け方をしても無意味です)
 そう考えて、ルイズは頭をよぎった邪な思案を振り払った。
 なおこれはルイズが知るべくもない余談ではあるが、隊商がリポップした場合、巻き上げた金品も同時にその場から消滅してリポップするため、ルイズが考えたような儲け方は不可能だったりする。

●世界を犯す一撃
 事前の情報どおり、一度目から四度目までに出現した傭兵団はイレギュラーズ達の敵ではなく、瞬殺された。そして、問題の五度目の傭兵団が現れる。
「次が本命かな。これまでのようにいくとは、思わないことだ」
 その姿を目にしたスイッチが、仲間達にそう語りかけて慢心を戒めた。もちろん、仕掛けがわかっていて油断するはずがないと、イレギュラーズ達はスイッチの言にこくりと頷く。かくして、イレギュラーズ達は油断を排し気を引き締めて、五度目の傭兵団と対峙した。

「世界を犯す俺様の一撃、喰らえ『カラミティブリンガー』! 災厄の黒炎に焼かれてくたばりな!」
 最初に仕掛けたのは、アンドレイだ。範囲攻撃を仕掛けるなら敵味方がはっきりと分かれている今のうちとばかりに、左右と中央の三つの集団に分かれている傭兵達のうち中央の集団の前へと一気に進み出ると、拳で地面を殴りつけた。すると、中央の集団にいる前衛七人が生命を蝕む黒い炎に包まれて、悶え苦しんでいく。
「くそっ! こいつ、何かやべえぞ!」
 赤い布で覆われた股間のナブラ、すなわち逆三角形以外ほぼ全裸の、ムキムキとした筋肉質の体を持つ褐色肌の男が、「世界を犯す」などと言いながら地面を殴りつけたら、味方が何人も黒い炎に包まれた。しかも、その男は得体の知れない怖気の走るような――男色家としての――目に見えるほどに濃密なオーラを纏っている。
 これが、やばくなくて何だと言うのだろうか。アンドレイの攻撃どころか存在自体に危険を感じた傭兵達は、前から、右から、左から、アンドレイを取り囲んでいく。アンドレイは回避の技量も防御の技量も高いのだが、さすがに三十を数える傭兵達に取り囲まれては全ては避けきれず、褐色の肌にいくつもの傷を刻まれ、紅い血を流した。だが、アンドレイはこの程度は余裕だと言わんばかりに、不敵に笑う。
「一人、こちらに来てもらおうか」
 泥の詩人は、黒い炎に包まれた傭兵の一人に、白い手袋を投げつけた。パシン、と手袋が傭兵の顔を打つ。ギロリ、とその傭兵が泥の詩人に敵意に満ちた眼差しを向けた。泥の詩人としては、もちろん願ったり叶ったりである。ついでに、この傭兵が死の気分を味合わせてくれるなら、なおさら望ましい。
「アンドレイさん、今行くわ! ぱーんち!」
 傭兵達に囲まれているアンドレイを援護しようと、タイムはダッと真っすぐに駆け出していき、アンドレイを囲む傭兵の一人に拳を叩きつける。
「あっ、ほんとに強い! 今までみたいにワンパンじゃ倒せないっ!?」
 タイムの拳は確かに傭兵にダメージを与え、その脚をふらつかせたものの、これまでのように拳の一撃だけで戦闘不能に陥ることはなかった。
「キミ達は、後ろに下がっておいて」
 傭兵団が隊商を狙うことはないと予め分かっているし、味方もわざわざ護衛隊商を範囲攻撃に巻き込んだりはしないだろうが、それでも万一と言うことがある。スイッチは背面のスラスターを展開しつつ、隊商の先頭にいる商人達に戦闘に巻き込まれないようにと後方への移動を指示した。
 ゴオッ! 噴かされたスラスターの膨大な推力が、タイムに殴られた傭兵の側へとスイッチを一気に運ぶ。その勢いのままに、スイッチは魔剣『グランティーヴァ』で斬りかかった。スピードを乗せつつ袈裟に振り下ろされた大剣は、ざっくりと傭兵の胴体に斜めに深い傷を刻む。
 そして、傭兵達が「こいつっ!?」と思った時には、スイッチは後退して元の場所に戻っていた。
 タイムとスイッチに攻撃された傭兵を戦闘不能に追い込むべく、ネイコはピンクのオーラを纏いながら飛翔し、『デストロイア・チェーンソー』を大上段に振り上げる。ネイコが傭兵の側に至った時には、ピンクのオーラは『デストロイア・チェーンソー』を濃密に包み込んでいた。
「これで決めるよっ! プリンセス、ストラァーイク!」
「ぎゃああああっ!」
 凝縮したオーラによって濃いピンクの剣にも見える『デストロイア・チェーンソー』を、ネイコは叫びながら一気に振り下ろす。縦に振り下ろされた桃色の一閃に切り裂かれた傭兵は、襲い来る苦痛に断末魔の叫びをあげて斃れた。
「本番ですね。今度こそ……斬り甲斐が有る事を、期待します」
 四度も巻き藁同然の雑魚を相手するのに倦んでいたルイズは、ようやくまともな相手を斬れると、アンドレイを取り囲む傭兵の一人の首に狙いをつけて刀を振るう。だが、その一閃は狙いが首だと感づいた傭兵の曲刀に受け止められ、首にほんの微かな傷をつけるに留まった。
(仕損じるとは、お恥ずかしい話ですね。では、恥ずかしながら二の太刀を用いねばなりませんか)
 ルイズの初撃を防いだこの傭兵は、その後一度斬りつけたからには必ず斬り伏せるというルイズに執拗に攻撃され、最後にはしっかりと斬り捨てられることになる。
「数の不利は、これで覆してやるさ」
 アンドレイや仲間達を巻き込まないように注意を払いつつ、アズハはアンドレイを取り囲む傭兵達の右側を狙い、スナイパーライフルを乱射する。次々と襲い来る銃弾に、その半数以上が狂乱に陥った。まともに戦えない者が増えれば、それだけ数の不利は和らぐ。アズハの乱射は直接的には不利を覆すとまではいかずとも、そうなる一助には確かになった。
「ほな、私はこっちに仕掛けよか」
 アズハがアンドレイの右側にいる傭兵達を狂乱に陥れたのを見て、星はアンドレイの左側にいる傭兵達へと接近すると、フェイントを交えつつ軍隊格闘術で次々と攻撃していく。その動きに翻弄された傭兵達は、思うような動きを取れなくなってしまっていた。

●勝利、そしてクエスト達成
 五度目の傭兵団は、四度目までの傭兵団と比べると確かに強かった。だが、イレギュラーズ達の方が実力は上だった。
 アンドレイを取り囲んでいる傭兵達は、アズハや星によって幾人もが動きを止められている間に、スイッチ、ネイコ、ルイズ、タイムによって多少時間は要したものの次々と倒されていった。
 その間、アンドレイが倒れずに済んだのはアンドレイ自身の回避や防御、タフネス自体が秀でていたからであるのはもちろんだが、泥の詩人が次々とアンドレイの前から自分の方へと傭兵達を誘き寄せていったことも大きい。
「護衛は俺たちで十分だよ。サービスは押し付けるものじゃないよ?」
 そう相手に告げながら、アズハは傭兵団の最後の一人を倒した。けっきょく、アンドレイと泥の詩人が相応に深手を負ったものの、イレギュラーズ達は誰も倒れることなく五度目の傭兵団に勝利した。
「護衛依頼なのに護衛を気にしなくていいとか、すっごい変な気分だったね!」
 ネイコは、五度目の傭兵団との戦闘をそう振り返る。確かに、範囲攻撃による巻き添えにさえ気を付ければ傭兵達との戦闘に集中できると言うのは、楽ではあるが奇妙でもあった。

 その後、イレギュラーズ達は隊商を目的地へと無事に送り届け、クエストを達成する。
「やったね、星くん!」
「ん? どしたんや、タイムちゃん。ハイタッチ?」
 嬉しそうに片手を掲げるタイムに、星は応えるように片手を掲げた。
「「いぇーい!」」
 そして二人は、ハイタッチで最初のクエストクリアを喜び合う。
「あ、あと、フレンド登録いいですかー?」
「おう、ええでええで」
 そしてタイムから求められたフレンド登録を、星は快諾した。
「最後だけは、斬り甲斐があってよかったです」
「確かに、傭兵団と言うに相応しい強さだったね。タネを知らずに油断してたら、とんでもないことになっていたかも」
「そうであれば、俺も『死』を体験できていたかもしれないな」
 五度目の傭兵団の傭兵がそれなりの実力を持っていたこともあって、ルイズは四度も雑魚を相手させられた鬱憤を晴らせたらしく、多少ご機嫌な様子に見えた。そのルイズの言に頷きながら、スイッチは五度目の傭兵団の実力を振り返り、慢心によるバフが乗っていたらと想像して軽く身震いをした。
 泥の詩人は、五度目の傭兵団との戦闘で死を迎えられなかったのを、残念がっていた。次こそは、『死』を体験させてくれる相手と出会えればと、心の中で思う。
「はっ! 何にせよ、イカれたクエストはもう終わりだ!」
 だからその仮定はもう意味がないと言わんばかりに、傷だらけのアンドレイが息巻いた。もう四度目までの傭兵団が踏み台にされることはないとあってか、溜飲は下がったようだった。

成否

成功

MVP

アンドレイ(p3x001619)
わーるどいずまいん♂

状態異常

なし

あとがき

 シナリオへのご参加、ありがとうございました。五度目の傭兵団は皆さんの活躍によって蹴散らされ、クエストは成功に導かれました。
 MVPは、初手で傭兵達の注目を集めるべくして集めて、その攻撃を引き受け盾役となったアンドレイさんにお送りします。

 それでは、お疲れさまでした。

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