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シナリオ詳細

【黄昏幻影奇譚】蚕神編

完了

参加者 : 1 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●蚕神
「うふふ、そろそろかしらね?可愛い可愛い子供達」
 そう愛おしそうに『それら』を見つめる。一人の女性。
「もうすぐかしらね?」
ーーお姉様。
 そう言いながら入ってきたのは、お姉様と呼ばれた女性と瓜二つの顔。双子だろうか。
 だが、この二人の共通点はそれだけではない。
 頭部には蚕のそれと思われる二つの触覚。そして翅。
 誰がどう見ても違う事はない。
 怪異だ。
「さあ、私達の可愛い子供達。早く、その姿を見せてちょうだい?」
 うっとりと『それら』を眺めるその表情はどこまでも蠱惑的で、そして狂っていた。

●書斎
「やあ、イレギュラーズの諸君。よく来てくれたね」
 書斎に入って来たイレギュラーズを出迎える境界案内人のミヤコ。
「今回も中々な依頼をさせてもらうよ」
 その手に握られている本、『黄昏幻影奇譚』を見ればそれはお察しである。
「今回は蚕神の双子神の討伐だ」
 この二柱はその名の通り蚕の神であり、そして一心同体とも呼べる存在だ。
「と言っても片方が死んだからって、もう片方も同時に死ぬわけではない」
 この神は蚕の神。二柱でひとつ。自身の半身とも呼べる存在をーーつまり妹に相当する神だーーを創る事が出来る。
 そしてそれは神を創るだけでなく。配下も創れるのだ。
「もちろんそれは短時間で行われるものではない」
 が、二神がいる部屋には既に無数の卵が存在する。イレギュラーズが到着する頃には孵化寸前であろう。
「そしてこの蚕神。一番厄介なのが強力な洗脳能力を持っている事だ」
 蚕神も例の如く、祀られる存在である。そしてその祀り手の中核を担うのが女性である。男性は数が少ない為に、その発言力は皆無に等しい。と言っても、怪異が相手では発言もなにもあったものではないのだが。
 故に。女性を洗脳してしまえば、集落一つ支配下に置く事など容易い。
「……あと、これを言うべきか悩んだんだが」
 卵は蚕神が産んだものではない。ならばどうやってそんなものを。
ーーその卵は。その材料は。
 小さな子供、特に赤子だ。

NMコメント

●目標
蚕神の討伐

●蚕神について
女性を洗脳して子供を産ませた後に
供物として捧げさせた上で
自分の子供として創り変えています。
蚕神がいる現場には無数の卵があります。
きっとどこからか攫ってきた子供もいるでしょう。
状況不利と見れば逃走します。
絶対に逃がさないよう、願います。
居場所は集落から離れた場所にある神社にいます。

●技
繭を作る:自身をもしくは片割れを守る繭を作ります。
絹の糸:伸縮自在の糸を生成し、攻撃に利用します。
愛子:生まれたばかりの子供を喰らい、我が血肉とします。
この双子神は連携を取る事を得意としています。

●子供達
辺り一面卵だらけですが、放って置くとどんどん孵化していきます。
卵は通常攻撃で普通に割れますが、範囲攻撃の方が早いです。
また、孵化しても一撃で死にます。
圧倒的質量で押し寄せて来る攻撃を得意とします。
また、蚕神の盾になる事もあります。

●集落について
人口は大体五十人ぐらい。
女性は全員洗脳されています。
が、男性陣は無事です。
万が一女性に見つかれば面倒な事になるでしょう。
男性ならきっと上手く蚕神の所まで手引きしてくれます。
ハイド アンド シーク。
蚕神について何か情報を教えてくれるかもしれません。

  • 【黄昏幻影奇譚】蚕神編完了
  • NM名アルク
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年05月05日 22時20分
  • 参加人数1/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 1 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(1人)

饗世 日澄(p3p009571)
紡ぐ者

リプレイ

●集落
 蚕神がいる集落。そこへ『特異運命座標』饗世 日澄(p3p009571)は一人やって来ていた。
 相手は二対。おまけに無数の卵があり、今にも孵化しそうだという。その孵化したばかりの子供も即座に戦闘に加わるのだと言うのだから、圧倒的に不利な状況である。
 普通ならば。
 それはともかく、集落へ入らねばならない。
 幸い(?)にも自分は性別不詳。見ただけでは性別はわからない。それに演技をすることも得意だ。
 とはいえ、普通に入れば即座に女性陣に囲まれるだろう。本当なら洗脳されたふりをして侵入するところだが、自分は部外者だ。恐らくはすぐばれるであろう。良くても怪しまれる。ならば大人しく身を潜めながら入るしかない。
 まずは男性陣との接触だ。
 こそこそ。
 周囲に目を光らせ、女性陣の動きを警戒する。人自体は少ないのかもしれないが、看過出来る人数ではない。見つかれば即座に集落中に知れ渡る。おまけにその男性がどこにいるかもわからない。
 嫌な緊張感。
 いない。家の中だろうか。
 窓の隙間から家の中を伺う。そうすること、数軒目。
 いた。幸いにも男性一人しかいないようだ。
が、玄関は表通りに面している為にそこから入るにはリスクがある。
 裏口を見つけ、中へ。
 男性を驚かせぬよう、軽く壁をノック。
ーーあなたは?
 やはりと言うべきか少し驚かれたが、事情を説明する。
ーー……なるほど。話はわかりました。しかし……。
 二対いる怪異に卵。どう見ても多勢に無勢ではある。それゆえの不安。男の心情もわからないでもない。
「対策はある。無理そうなら逃げる。信じてもらえないだろうか」
 思案する男性。そして意を決したか。
ーーわかりました。神社まで私が案内します。ですが、それまでは私の指示に従ってくださいね?
 神社までは集落の中を進むしかない。これで余計なトラブルに遭わずに済む。
 今度は二人でハイド アンド シーク。神社へ向かうのだった。

●神社へ、そして
 男性の案内もあって時間はかかりこそすれ、無事に神社へ辿り着いた日澄。
 その男性も家に帰らせたところで神社に入り、蚕神を探す。
 集落を包んでいた異質な空気が神社は特にそれが濃ゆくなる。間違いなくここにいる。
 相手も恐らくは気付いているだろうか。そして神様を拝む場所、拝殿。いるとしたら間違いなくここだろう。
 両開きの扉を開き中へ侵入しーー

 ばたん!

 ……どうやらここから帰すつもりはないようだ。まあ、用が済むまでここから帰るつもりはないのだから関係ない。
 それよりも辺り一面に充満している臭気。
 はっきり言って臭い。しかも形容しがたい。
 蚕神のものあろうか。それとも周りの無数の卵のものだろうか。
 はっきり言ってここに長居したくない。
「あらあら、お客様ですよ?お姉様」
「そのようね?何かしら。何の用かしら」
 日澄の背後に突如現れ、そして二人揃って日澄の両頬を撫でまわす。いつのまに。
 拳を薙ぎ払うように振り回す日澄。ふわりと軽くかわす二人。
 頭に蚕のそれと思われる触角。そして翅。
 間違いない、怪異だ。
「うふふ、元気なお客様ね?お姉様」
「ええ、そうね?たっぷりおもてなししてさしあげなきゃ」
 妖艶に、蠱惑的にわらう二対。
ーー本当なら子供を私達の眷属にするのだけど……。あなた、あまりに可愛らしいから特別よ?
 そんなもの、御免被る。
「さあ!皆々様方お立ち合い!満員御礼感謝感激雨霰の恐悦至極にございます!」
ーー今からご覧いただくのは蚕神とその二対が作り出した卵にして愛子の対決であります!この結末はいったいどうなりますことやら!!
 口上と共に始まる怪異退治という名の演目。役者は揃っている。
 その火蓋が今切って落とされるーー。

●輪舞曲
 戦闘に対する超集中。失敗という名のリスクの軽減。そして絶望の海を呪う歌。
 卵が壊れる音。
 そこに躊躇などありはしない。そんなもの、するだけつまらない。だってそこに入っているのは紛れもない、人間なのだから。
 神の傲慢で化け物にされたのなら。最後は人の傲慢の為に化け物ではなく人として死んでくれ。
 それは間違いなく傲慢な宣言だった。
「あらあ、私達の可愛い子供達が。仕方のないお客様ねえ?」
「そうねえ?でもその分、とびっきり可愛い子になりそうよ?お姉様」
 自分達の可愛い子である卵が破壊されたというのにその反応か。やはり人間達とは反応が違う。怪異とは、神とは理不尽なもの。得てして傲慢なものだ。
 指の先から放たれる絹の糸。それをサイドステップでかわすが更に別角度から伸びてくる。
 両腕ごと体を縛られきつく締めあげる。
「んー……結構強く締めてるつもりなんだけど、悲鳴の一つもなし?」
「結構強情ねえ?」
 それが演技なのか不明だが
ーーところで
「『カッコウの托卵』という言葉を知っているだろうか」
 カッコウが卵の世話を他の個体に託する習性の事だ。ちなみにこれはカッコウに限った話ではない。そしてそれは同種・他の種に関係なく托卵がおこなわれる。
ーー僕は、別の種を宿主にして子を孕ませることは、生物として自然なことだと思うんだ。
「ふふ、つまるところ、貴女は神ですらなく、真っ当な自然法則に則った酷く迷惑な神気取りであるということだ」
 不敵にわらう日澄。
「うふふ、言ってくれるわねえ?」
「うふふ、そうねえ?お姉様」

 ぱりん。

 何かが割れる音。何が?考える必要もないだろう。
 先ほどのディスペアー・ブルーですべて破壊しきれたわけではない。残った卵が孵化する。
 それが一体や二体ではない。圧倒的な数。その物量で押し潰そうとする。
 カウンターに再びディスペアー・ブルーをかます。蚕神は繭で防いだようだが若干傷があるのが見て取れる。
「さあ、いらっしゃい。私達の可愛い子」
「あなた達を私達の糧にしてあげるわ」
ーーああ、綺麗になったわね、お姉様。
ーーあなたも綺麗になったわ。
 自ら作り変えた子らを平然と貪る。血生臭い臭いが既に充満している臭気と混ざる。とてつもない臭気。常人であれば吐いているか気を失っているだろう。
 それとは別に不快さが増す。悪性の怪異同士がいちゃついているところを見せられて何がいいのか。
 やはりこの二対とは相容れられない。そのつもりなど元からないが。
ーーまあ、何者にも触れられたくない大切なお二人の世界があることでしょう。利害一致でございます!素晴らしい!
「私も触れるどころか近寄りたくないので、遠距離より『ソウルストライク』の魔弾にて失礼いたしますわね」
 『つい、うっかり』いつもより力が入ってしまった弾丸。それは話を聞く限りでは元凶である姉のほうへ放たれる。そして眉間に綺麗に吸い込まれ、貫きーー
「お姉様!?」
ーーああ、なんてことなんてこと。
 あからさまに狼狽える妹。だが、即座に落ち着いて見せる。
「まあいいわ。こんなゴミ、もはや用済みよ。姉妹なら作ればいい」
 無造作に蹴り飛ばされる姉。
 さっと身構える日澄。片割れの蚕神に魔力が収束しているのがわかる。そして一気に解き放たれる魔力の暴風。それにより卵もろとも建物が神社が吹き飛ばされる。
「うっふふ……、今日のところは見逃してあげるわ。またどこかでお会いしましょ?」
 自らの翅で逃走を図る蚕神。
「逃がすとでも?」
 ソウルストライクよりもっと飛距離のある弾丸。悪夢の名を冠するそれは蚕神へ負い迫り、そしてその身体を貫く。
 一瞬世界の時が止まる。そして力をなくした蚕神は落下し、そして霧散した。姉のほうもどうやら妹と同じく霧散したようだ。
ーーああ、その姉妹愛が紛れもない贋作だとしても感動のあまり目から涙が、いや虫の汁かこれ、うっわ……おっと失敬。
 なんとも慇懃無礼なセリフである。
「……ん?」
 二対がいた場所それぞれに30センチ程の長さの桑の木で作られた偶像らしきものが落ちている。
 そういえば道案内してくれた男性曰く、蚕神は人形神として祀っていたものだ。その神性は養蚕に始まり、豊作や豊漁といった食糧まわりのご利益がある。
 そして特筆すべきは他にもそれが家に関するものが多いということ。婦人病・子供守護・家族の息災と繁盛の守り神・屋敷神。家を守ることが女性の役目とされていた時代ーー少なくともそれが当たり前だとされていたこの集落では、何よりも重要視される。それゆえに蚕神を祀っていたのだ。
 守護神である蚕神が、なぜ祟り神となったのか。その原因はわかっていないらしい。
 その女性陣であるが、蚕神を倒したことにより洗脳が解けたことが確認された。……ただし洗脳の影響なのか、記憶が曖昧なのが気になりはするが。

 その後、日澄を筆頭に集落総出で神社の後片付けと『人間の子供達』をエンバーミング付きで手厚く葬ったという。しかもそれが一人一人しっかりやったというのだから脱帽ものである。日数がかなりかかったのは言うまでもないだろうが。
 ……ちなみにその作業、様子を見に来た境界案内人のミヤコも手伝うことになったのはまた別の話である。

成否

成功

状態異常

なし

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