PandoraPartyProject

シナリオ詳細

――はぁ、はぁ……君の下着何色……?

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ある昼下がりの境界図書館にて

「さて、次の依頼先を探しておかねぇと」
 此処は境界図書館。数多の書物を抱え、異世界への旅をサポートする場所。そしてそれを手引きする人物を境界案内人と言う。
 この黒衣の背の高い男『朧』もその一人であった。本日は図書館の掃除を兼ねて次の依頼先になるであろう書物、ないしは入口を探していたのである。
「お、これなんかいいんじゃねえか」
 手に取ったのは王道の竜退治の英雄の話。
 ああ、でも特に問題はないらしい。
「うんうん、英雄もちゃんと竜に剣を突き立て――」
『貴様の付けている下着の色はっ!!  何色だ!!』
「……ん?」
 懐から栞を取り出し挟んで一旦本を閉じる。天井を仰ぐ。繊細な細工が眼前に広がっていた。すーっと深呼吸して再度本を開く。
『貴様の付けている下着の色はっ!!  何色だ!!』
「ああ!?」
 図書館ではお静かに。
 まあ此処には朧しかいないからそれは置いておくとして。
「なんだい、この台詞!? この物語はこんなんじゃねぇぞ!?」
 朧は此処にある書物の八割型は記憶しているがこんなトンチキな台詞の本は覚えがない。あってたまるか。
 慌てて隣の本、次の本と手に取り素早く目を通すがどれもこれもが下着に関しての台詞にすり替わっていた。何故こんなことに、顔を覆った朧だがふと一つの可能性に思い当たる。
「……誰かが、悪戯してんのか……?」

 ――はぁ、はぁ……君の下着何色……?
「!?」
 確かに聞こえた声に弾かれたように朧は振り向いた。間違いなく、この中に犯人が潜んでいる……!

●――はぁ、はぁ……君の下着何色……?

「まず、最初に言っておく。本当にすまねぇ」
 開口一番。朧はあなた方に頭を下げる。
 どうしたのかと問えば黒衣は頬をかきながら溜息をついた。
「いやあ、いつもはなあ。お前さん達にいろんな世界に飛んでもらってそこで活動してもらうんだが……」
 ちら、と本棚に視線をやった後に朧は溜息混じり一冊の本を取り出した。
 そこには柔らかく微笑んだ優しげな王子が姫に向かってこう囁いていた。

 ――貴方の下着は何色ですか?

「……は?」
 思わず口から漏れた一文字に朧は頭を抱え次の本を取り出した。
 探偵が犯人を指差して推理を披露するクライマックスシーン。探偵が高らかに宣言している。
 ――あなたの下着は! 黒色で紫のレースをあしらっているものですね!?

「こういう訳なんだよ」
「どういう訳だよ」
 思わず即座にツッコミを入れたあなた方だが、一先ず朧の話を要約するとこうだ。
 朧が管理するこの境界図書館の本、大事なシーンが悉く下着に関するものにすり替わっているのだそうだ。慌てて修正しようとしても次から次へとすり替わってしまい、いたちごっこになるそうだ。

「多分、奴さんはこの図書館の中のどこかに居る。で、お前さん達には其奴を探し出して懲らしめてやってほしい」
 内容はともかく大事な書物に悪戯をされては困る、と朧は苦々しく呟く。しかし、どの様にこの広大な図書館から犯人を探し出せば良いのだろうか。
「そうさね……こんだけ下着に執着してんだ。今つけてる下着を細かく語れば釣れるんじゃねぇのかい……」
 明後日の方向を見て黄昏れる朧に、もう何も言えなかった。

NMコメント

 ★このシナリオは重大なキャラ崩壊、おせんしてぃぶを含む可能性があります。あらかじめご了承の上ご参加ください。

 初めましての方は初めまして。
 そうでない方は今回もよろしくお願い致します。白です。
 春には昔から変態が湧くといわれてますよね。
 変態なのは私の頭でした。トンチキ出したかってん……。

●目標
 今着けている下着について事細かく語り下着魔(仮称)を釣りだしてぶん殴る。

●舞台
 境界図書館です、とてつもなく広い図書館と思ってください。
 背の高い本棚がたくさん並んでおり、数多の書物が保管されています。今回は朧の権限により異世界の入り口を閉じている為本の中に下着魔(仮称)は逃げ込めません。
●敵
 下着魔(仮称)
 見た目は小人を彷彿とさせる何かです。
 典型的な変態で老若男問わず現在着けている下着の色や形状を聞き出すことに執念を燃やしています。此奴の所為で本がめちゃくちゃになってしまいました。あらゆるギフトや非戦を無効化にする野郎ですが下着の話をするとホイホイつられます。なぜなら変態だから。
 戦闘能力自体は皆無に等しく不利を悟ると逃げようとします。

●NPC
 朧
 今回の依頼人兼境界案内人です。
 黒衣の衣装に身を包み素顔は一切謎な身長183㎝の細身の筋肉質な男性です。
 特にご指定が無ければリプレイには然程登場しません。
 彼にさせたいことがあればプレイングにてご指示をいただければ基本的に従います。

●サンプルプレイング
 は!? 今履いてる下着についてですってぇ!?
 い、嫌よ!! ……うぅ、絶対に言わなきゃダメ……?
 し、白字に青色のストライプのトランクスよ!!
 文句ある!?

 こんな感じです。それではいってらっしゃい。
 そして本当にごめんなさい。

  • ――はぁ、はぁ……君の下着何色……?完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月23日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ルクト・ナード(p3p007354)
蒼空の眼
ネイ・キッド(p3p008598)
パンイチの猛者
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う
ダリル(p3p009658)
勇猛なる狩人

リプレイ


「……下着の事を聞いて回る変態……か。そういう者も居るのだな……全く、迷惑なものだ……」
 全くもって理解できないとルクト・ナード(p3p007354)は蟀谷を揉んだ。阿呆らしいが実害が出てしまっている以上さっさと仕留めねばならないだろう。
「今着てる下着について話せって? へぇ、ほぉ、ふぅん。まさかこの私にそんな質問が来るとはね。ビックリだ」
「お前さんの場合、見たらわからぁな」
 腕を組み、ふむふむと顎を手をやるネイ・キッド(p3p008598)はその名の通り、パンイチである。既に見えている。
「お前さん、服はどうした」
「この服装かい? ただの趣味だよ!」
 きらんと輝く白い歯と無駄にいい笑顔に朧は思考を放棄することに決めた。
「ふむふむ。つまりはアレか、高らかに叫べばよいのであるな! ぱんつとやらを!!」
「いや、叫ぶ必要はねぇぞ」
「目立つ事は堕天使的にポイント高し! ダリルポイント1点を差し上げよう!」
「ダリルポイントって何?」
「ダリルポイントをご存じでない!?」
 ががーんとショックを隠せないダリル(p3p009658)は大きく仰け反った後、まぁ良いかと取り直す。ダリルポイントって何?
「ぱんつ!」
「???」
「混沌で今流行の挨拶なんですよ、朧様!」
「え、マジで……? 混沌こわ……」
 元気よく挨拶をする澄恋(p3p009412)は袖で口元を覆い、よよよと目を伏せる。突然現れたスポットライトが澄恋を照らし。どこからともなく桜の花弁が周りを舞っている。屋内なのに。
「その、(本の)大事なとこが(下着になって)大変なことになっちゃってるんですね……そしてワガママな彼に今着けているぱんつについて囁くことが求められている、と。成る程。そういうプレイですかね」
「言い方」
「お任せください、欲求不満の彼をプロ花嫁のスゴ技テクで骨抜きにさせてみせましょう!」
 『プロ花嫁のスゴ技テク』にそわっとした朧だがすぐにプロ花嫁ってなんだよと内心でツッコミを入れた。胸に手をあてすぅーっと息を吸い込み澄恋は目を見開いた。
「わたしのぱんつは白色でぇええすッッ!!!!」
 ――でぇええすッッ、でぇええすッ……。
 境界図書館に全力名乗り口上が響き渡る。
 え? 嫁入り前の娘がはしたない? プロ花嫁だから問題ない。いいね? 

 ガタァッ! 
 派手な音が響き、特異運命座標達は下着魔(仮称)をボコボコにすべく作戦を開始した。


「……機能性を重視して、紐のものを使っている……義肢に絡んだ時、外しやすい。まぁ、今回のように……私服の時にしか、使わない」
 自分の下着について話すという謎のオーダーに困惑しつつ、ルクトは咳ばらいをして語りだす。ちなみに今日のルクトはいつものボディスーツではなく白いシャツに青のチェックのネクタイを締め、スカートとお揃いのミニスカートである。
 ――デザインは……?
「そ、そこまで言う必要はないだろう!?」
 ――知りたいなぁ……?
「お、釣れかけてんな」
 朧の一言に真面目なルクトはもうやけくそだと謂わんばかりに叫んだ。
「水色のっ!! レースをあしらった控えめなデザインだ!!!」
 はーはーと肩で息をした後に一気に顔に熱が集まりぐずっと涙が目尻にたまる。まだ十七歳の少女である、羞恥以外の何物でもないだろう。
「ううっ……」
「よしよし、よく頑張ったな」
「よし! ルクト君の仇は私が取ろうではないか!」
 次鋒はネイだ。どこかに潜んでいるであろう下着魔(仮称)に臆することなく胸を張り、語りだす。

「さて下着魔君、なぜ人はパンツという概念に駆り立てられるのだろうね」
 大学の講義の様にネイは穏やかな口調で問題を提起する。
「下着とは人間が初めに必ず履く衣類、原初原典全ての核となる存在だ。誰にも見れない見させない秘中の秘……幾重にも重ねられた洋服の布はまるで神秘のベールのようだ」
 ぺたぺたと裸足の足音が境界図書館の床へ吸い込まれていく。
「下着とはその人のパーソナルが宿ってると言っても過言でない。色、履き心地、形。見られないからこそ、全てがダイレクトにその人の好みへ直結する」
 ぴたり、と立ち止まりネイは背筋を伸ばし腕を広げた。
「そこを暴き立て真実の光の元に情報を晒させるのは、そう、端的に言えば探求心の現れ、その究極だ。素晴らしきかなパンツ暴き。一人のパンツマイスターとして敬意を表するよ」
 パンツマイスターとしての誇りを胸にネイはさらに続ける。ところでパンツマイスターって何?
「そうだ、単刀直入に言おう。実はね、私はパンイチだ。服なんぞ着てすらない。邪魔だもの。有り体に言えば、私は君と同じ変態だ。仲間だ。だから話をしないかい?私のパンツについて」
 ――……。
 数年ぶりに再会した友人に歩み寄るようにネイは潜んでいるであろう下着魔(仮称)に語り掛ける。
「同じ変態のよしみだ。君が私の目の前に来てさえすれば全力で語ろう。君の目にしかとパンツを焼き付け、君の耳に布の擦れ音を注ぎ、君の魂に、私のパンツの存在を刻み込むことを誓おう!」
(あ、駄目だ最後まで聞いてたら正気度無くなる)
 ルクトに温かい紅茶を出してやりながら朧は再度思考を放棄した。
 途中まで割と真剣に聞いてしまっていた、危ない危ない。

「あ、ちなみに形状は青色のトランクスさ」
「なんでカメラ目線なの?」
「ネイ殿の熱の籠った講義! 思わず聞き入ってしまったぞ!! 次は我だな!」
 朧のツッコミはスルーして三番手、ダリルがバトンを受け取る。
「それで下履きについてであるか。普段はス、スパ……なんじゃったかえっと……そう、スパーッツァとやらを履いておる!」
 ――スパッツかな……? いいね……。
「うむ! 肌に密着しておるのが中々に履き心地が良い。無駄にひらひらしていると落ち着かんからな。色も様々あるのが彩り合って楽しめるのが良い!我はもっぱら今履いておるくすみ色を好んでいるが、聞くところによると紅や紫、果ては金銀の物もあると聞く。たかが下着に金銀を用いるとは人の業は恐ろしいのじゃ……」
 贅沢じゃのう、とダリルは感嘆の溜息を漏らす。
 しかし、とダリルは徐に服の裾を摘まみ上げる。
「これは天界を追放され、此処混沌に来てからの物じゃ。そう、真に非ず。ならば見よ! 見たくば見せてやろうぞ!」
 かっと目を見開き、ダリルは一気に裾を捲りあげた。
「これが! 今に我の履く下着「シャイニングぱんつ」である!!」
 ――それはまさに聖なる輝き。下着、などという枠組みから外れた下界を離脱した至高の存在。いや、概念というべきだろうか。
 世界に平和をもたらす程の神々しさに、その昔この世からあらゆる争いが無くなったと伝えられている。知らんけど――。
 ――お、おお……! これが、これが伝説の……!!

 若干空間が揺らいだのを、四人は見逃さなかった。トドメと言わんばかりに最後に躍り出たのは澄恋だ。花嫁の支度には時間がかかるものである。
「改めて、ですが。プロ花嫁たるもの、旦那様色に染め上げてもらうため所持するぱんつは全て清楚・純潔の代表色である白なのです」
 先ほどのド派手な名乗り口上をあげたとは思えぬ嫋やかさで澄恋は微笑む。
「艶やかなリボンのあしらわれたものや繊細なレース生地のもの。人はそれを『 か弱い乙女のぱんつ』と呼びます」
 決して圧を掛けて納得させたわけじゃない。か弱い乙女がそんなことできるわけないよなァ!?
「……こほん。あとなんかほっそい紐みたいなやつ等々で真っ白オンリーでも相手を飽きさせないセレクションになっていますよ。あと白色限定にはなりますが、もしお好みのものがありそれを提示していただければ特定の日に着用してくることも勿論可能です。うふふ 露出の少なく着込みに着込んだ白無垢の下には、一体どんなぱんつが秘められているのでしょうねえ」
 妖艶な眼差しに思わずごくりと喉が鳴る。
 ああ、そういえば。と、澄恋は白無垢の裾を捲る。
 ちらりと覗く白く細い脚に朧は慌てて目を逸らした。
「そういえば今日は……ええとどのぱんつを履いてきたんでしたっけ……? かなり派手でセクスィーなやつだった気がするのですが…もっと語りたいのに思い出せません。そうだ、下着魔のあなたへ今から見せるので確認していただいても?」
――えっ?
「両目かっ開いてちゃんと隅々までチェックしてくださいね!」
 幾重にも重なり守られたまだ何にも染められていない花嫁の清純。
 その秘密を探る為下着魔(仮称)は姿を現し――。
「両目かっ開いてちゃんと隅々までチェックしてくださいね! ちらっ♡」
 一カメ、二カメ、三カメ――。
 がっしりと固定された顔面に憎悪の爪牙を思わせる膝蹴りが鮮やかに決まった。
「貴様の様な変態に手加減は必要ないな……? 絶対に仕留める。逃がさんぞ……!」
 紅茶を飲み干し、がちゃりとルクトが愛銃を構える。
――ごはっ、……はっ、紐、なんだね……ハァ……ハァ……
「貴様ァアアアアッ!」
 正確に放たれた粘着弾は下着魔(仮称)の足を絡めとり、床へと転がす。
 恨み、辛み、羞恥その他もろもろストレス。その全てを爪先へ乗せルクトは顔面へ蹴りを叩き込んだ。我々の業界ではご褒美です。ありがとうございます。
「騙して悪いが、これって依頼なんだ。倒されてくれたまえよ」
 ぺちぺちと隙間を埋める様にネイが下着魔(仮称)を叩く。
 実際に懲らしめるという依頼なのだから仕方ないね。
「魔砲じゃ本を傷つけるかもじゃし。マジックミサイルでも放っておくかのう」
 ダリルのマジックミサイルに打ち上げられながら下着魔(仮称)は最期にこう遺した。
「我が下着生に一片の悔いなし――!」
 こうして、下着魔(仮称)は倒され改竄された物語の内容は元に戻ったのである。
 めでたしめでたし――。
 なお、朧からの報酬は温泉旅行だった。
 
  

成否

成功

状態異常

なし

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