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シナリオ詳細

【Tissier Town】ソーダキャンディの洞窟を行け

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●おかしな街の、クールなホットスポット

 いつもにこやかな住人達が、美味と平和を愛し、それらに感謝を捧げながら生きる街、ティシエール街。
しかし、今日この日のティシエール街は、少しばかり騒々しかった。何かのお祭りなのか。否、今年のティシエール祭は無事に終わっている。街に無礼者でも紛れ込んだのか。否、そういう事件も先日あったにはあったのだが……その無礼者達はしっかりと絞られ、戒められ、今や街の平和を見守り、見回る警備員という立場を与えられている。

では、何があったのかというと。

「で、兄ちゃん。その洞窟とやらには入ったのかね」
「いや、備えもなしに行くのは危ねえかな、って思って行ってねぇっす。でも、壁を触ったら、ヒヤッとして。で、この街も色んなものが食えるじゃねぇっすか。ひょっとしたらーってちょこっとナイフで削って舐めてみたら、ひゃっこくて、甘酸っぱくって、シュワッとしました」
「だから『ソーダキャンディの洞窟』なのねぇ。素敵だわぁ、一度行ってみたいわね」
「いいなーすごいなー! ねえ、他にどんなのがあったのー?」
「んー、いかんせん入り口しか見てないからなあ……」

 ティシエール街の警備員達の手によりこの所発見された、通称『ソーダキャンディの洞窟』。この街の話題は、最近そのことでもちきりだった。今日も今日とて、その発見者たる数人の若者達が、その数倍以上の老若男女に囲まれ、質問攻めにあっている。彼らの質問に答え、微笑み、困り、そうしている内にも日が暮れ、皆、それぞれの家路へとついていく。

その夜、警備員達の住まい兼詰め所にて。

「やはり皆、あの洞窟のことが気になっているらしいぜ」
「だよなー。長く住んでる人すらも知らない洞窟、グーゼン見っけちゃった訳だしぃ」
「オレ等も一応、勝手に行くなーとは行ってるし……ここの人もいい人ばっかだから、ンな無茶するたあ思わねぇけど……でも、放っとくのもまずいよな。危険だから行くなーって言うにしても、中に何があるか、せめて知っておかないと」
「でも、俺等はまあ……最悪喧嘩はどうにかできても、そういう探検のプロじゃないっすよ?」
「そうだな、そこんところ素人と言っても過言じゃない。こういう探索は、プロに頼むべきだ」
「あっ、じゃあじゃあ、『あの人達』はどうっすか!? ほら、マリアばーちゃんの知り合いの!」
「ああ、あの人達なら……腕はもちろん、そういうとこの冒険にも手慣れてるだろうな」
「じゃあ、なんとかお願いしてきましょう!」

そうして、白羽の矢が立ったのは……。

●いざ、未知なる道へ

「……ティシエール街に、最近、壁面がスカイブルーに輝く、ひんやりとした壁の洞窟が見つかったんですって」

 マチネは、手帳を手にそう告げた。今回は、街の古株も知らなかったという、ティシエール街の秘境……『ソーダキャンディの洞窟』の内部を調査、探索してほしいという事だ。

「……何があるかもわからないところだけど、誰も知らなかった場所に行けるって、なんだかワクワクするね。いいお土産話、期待してるからねっ」

いざ、未知なる探検の幕が上がる……。

NMコメント

どうも、なななななです。
少し暖かくなってきたこの頃に、ひんやりクールな洞窟探検はいかがでしょう。
以下、詳細になります。

●ティシエール街

 家も公園の遊具も外灯も、お菓子で作られた不思議な街です。
 
 街中のお菓子全てに不思議な魔法が掛かっていて、思いっきり踏んだり叩いたりすれば割れるものの、何をしても汚れる事はなく、食べてお腹を壊すこともありません。
また、食べてもまたすぐに、新しいものがどこかからやってきます。 
『チョコ噴水』『パフェ公園』『シュガーハーバー』『ハニー池』『ベークド通り』等、人気のスポットから寂れた裏通りまで、お菓子に覆い尽くされています。

 『ティーパーティー』を経てから、徐々に隣町や遠方の人々を積極的に招待するようになり、今やすっかり、観光客にも人気の街となったようです。
この街の発祥もまた、『お菓子の魔女の物語』として、街の所々で、密かに語られるようになりました。

最近は、新たなスポット『ソーダキャンディの洞窟』に住人達が興味を示しています。


●目的

『ソーダキャンディの洞窟を探検、調査してくること』。

 壁面すべてがソーダキャンディで構成された、不思議な青の洞窟です。
ティシエール街の警備員達の手により、ある日突然発見されたといいます。
彼等も入り口だけを見て、深入りしなかったので詳細は不明ですが……大まかに以下の情報がもたらされています。

・ティシエール街の建物や遊具など同様、この洞窟も食べられる(シュワッと爽やかな味がしたそうです)
・入り口からも冷気が漂ってきており、足元も気をつけないと滑ってしまいそう
・洞窟そのものがほんのり明るく輝いており、明かりは恐らくは不要であろうこと
・耳をすませば風の吹き込む音は聞こえたものの、獣の唸り声は聞こえず……恐らく、全く生き物が居ない場所である

……などなど。

他にも『こういうものがあるのではないか』『こんな危険がありやしないか』『こんな備えをしていこう』などと、プレイングに自由に記載してください。

貴方のプレイングが、この洞窟の正体を作るのです。

以上になります。
それでは、良き探検を。

  • 【Tissier Town】ソーダキャンディの洞窟を行け完了
  • NM名ななななな
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月23日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
箕島 つつじ(p3p008266)
砂原で咲う花
ボディ・ダクレ(p3p008384)
アイのカタチ
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ

●いざ、青き洞窟へ

 今の時期、春のティシエール街には珍しい、防寒具に身を包み、足元をスパイクを仕込んだシューズで固めた四人組。それが、今まさに、ソーダキャンディの洞窟の前に集まっている。

「問題の場所はここッス……あとはお願いします、イレギュラーズの皆さん!」
「案内ご苦労」

 ここまで案内してくれた若者へ、短く感謝を言うと、まずは『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)が、慎重に足を踏み入れていく。

「しかし、生き物は居ないというが……まさか、キャンディでできたゴーレムのようなものがいたりしないだろうな……いやまさか、そんな面倒なこと……」

ぶつくさ言う世界を他所に、未知の場所へ心を躍らせる者も居た。

「お菓子でできた街っていうんもそうやけど、未知のスポットっていうのももっとワクワクするなー!」
「ええ、まさか飴……いや、氷菓でしょうか。こんなものでできた洞窟があるとは」

『砂原で咲う花』箕島 つつじ(p3p008266)の言葉を、『激情のエラー』ボディ・ダクレ(p3p008384)も頷き肯定する。

「この街は何度も訪れているけど、まだまだ未知の場所があるんだな」

驚いたけれど、ここの人達には、いつもお世話になっているから。いい報告ができるよう、しっかり調査をしよう。
『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)も、やる気は十分だ。

 事前の話には聞いていたが、洞窟内の光源……洞窟そのものが薄く発光していることもあって、それでも、見落としが無いようにと、つつじは壁に手を付き、もう片方の手でランタンを持ちながら、慎重に歩を進めた。
洞窟は、多少のアップダウンはあれど、少しずつ、緩やかに下っている。既に地表からどの程度下がっただろうか、それでも尚、一行の行くべき道を示すかのように、青白キャンディが細く、垂れ下がっていた。

「これ落ちたら危ないなあ、砕いてこか」
「……とか言って、キャンディを食べたいだけじゃないのか」
「ぎくぅ」
「まあまあ、落ちてきたら危ないのは事実ですから」
「そうだな、それにここもティシエール街と同じなら……食べてもそのうち再生するだろう」
「……まあ、長く歩いたし。一度休憩するか」

四人は鍾乳石、もしくは氷柱のようになったそれを砕いた後、丁度いい高さの石にそれぞれ腰掛ける。
その欠片を口に含めば、舌を楽しませる刺激と、疲れの吹き飛ぶような、爽やかで甘酸っぱい味が、頬を緩ませる。

「わあ、見て!」

その時、つつじが、ランタンを掲げて皆に呼びかけた。
そこには、砕いた氷柱達の断面、ぼんやり青く灯る壁、そこにランタンの光が反射して。
青空の中に、星々が輝くような。そんな幻想的な空間が、広がっていた。

「これは素晴らしい」
「せやろ? 寒さ対策しとけば、ええ観光スポットになりそう!」

 洞窟で見つけた絶景にはしゃぐつつじに、穏やかな表情を浮かべる男性陣。あれは何座に見えるだの、洞窟のひんやりした空気を忘れさせるような暖かな談義が、しばらく続いた。

「さあ、まだ洞窟は奥まで続いてる。頑張ろう」
「……まあ、いい小休止にはなったな」

残りのアイスキャンディを、支給された保存容器ーー丁度警備員の若者から「よかったら皆さんも、持ち帰って食べてみてください」と渡されていたのだーーに、入れて、一行は再び歩き始めた。

●そこで待っていた者

奥に進むに連れて、壁面の煌めきも、キラキラというより、テラテラとしたものに変わっていく。

「これは……壁が濡れているのか?」
「奥に水場があるのかもしれないな。ともかく、先程以上に滑りやすそうだ。皆も気をつけて」
「キャンディとはいえ、滑って転んで頭ぶつけたら痛いしな……」

 刹那、「アー」という声が聞こえたかと思うと、続けてドスン!と大きな音が響く。振り向けば、すってんころり、ボディが頭を地面に叩きつけていた。慌てて、つつじとイズマが駆け寄る。

「大丈夫か!?」
「もー! 気をつけて言うたやん!」
「いやあ、ご心配をおかけしました。頭部が機械で良かったですよ」
「……そうだな、ここが赤いキャンディにならなくてよかった」

 念の為にと世界がミリアドハーモニクスをかけ、彼の身体に異常のないことを確かめると、イレギュラーズはこれまで以上に、慎重に歩くようになった。

 洞窟はここまではほぼ一本道で、入り口から入ってきた風も、ゆるく下へと吹き下ろしている。それに従い、イズマは足を進める。壁を掘り進めれば、どこに行き着くかを確かめたい所だが、今回はそこまではしない。あくまで『今』の状態を確かめるのが先決なのだ。

と、遠くにピチョン……ピチョン……と、何かの滴るような音が聞こえてきた。

「水場があるのかもしれない」
「それは助かるな、喉が渇いてきたところだ」

その音の源にたどり着くと、そこに広がるのは、地底湖だ。
水底も青く光っているが、水そのものは、掬い上げれば透明で、内側に小さく泡が弾けている。ここの壁を食べても問題ないのなら、水もまた然りと、世界はそれを飲んだ。

「これ、砂糖水……というか、ソーダだ」

まあ、他に水分がないんじゃ仕方ない。続けて数口、ゴクゴクとそれを飲んだ。

「ん? この水、なにか沈んでへん?」
「これは……果物の切れ端、でしょうか?」

地底湖の水を容器で採取したボディとつつじは、その中に沈む彩り豊かな欠片。サクランボに、パインに、黄桃だろうか。
ティシエール街を何度か訪れているイズマには、その欠片の正体に、見覚えがあった。

「もしかして……『シュガーハーバー』の、フルーツポンチの海じゃないか?」
「あー……そういや、さっきの兄ちゃんが、そういう場所もあるって言うてたっけ」
「それでは、この水の元は……海から来た、ということなんでしょうか」

掬ったばかりの水と、ティシエール街の地図を見比べ、考察を深める面々。

「……ところで、皆。さっきからこう、なにか視線を感じるんだが」

サイダーを飲み終えた世界が、目を細め、地底湖の対岸を見つめる。
対岸もまた、ソーダの岸壁に覆われ青く輝いているが……ここからでは距離が遠くて、何かが居るとしても、正直よくわからない。

「え? でも生き物はいないって話やなかった?」
「……光が反射しているだけ、と言われればそう見えますが……何かがある、と言われればそのような気も……」
「なら、俺が確かめてくるよ」

対岸まで渡る方法は、この地底湖を突っ切るより他になさそうだ。
今居るメンバーので最も水中での行動を得意とするイズマが泳ぎ、水中の様子を確かめながら、向かうこととなった。

水中には、先の考察通り、シュガーハーバーの砂と、フルーツの破片が沈む。だが、その中にも気になるものがあった。

(……これは……ソーダキャンディの壁の欠片、にも見えるけれど……)

 その色は真っ青で、輝く事なく、重苦しく水に沈むのみだ。
しかし一瞬、それと『目』が合ったような気がしたのだ。

 そうこうしているうちに、向う岸まで泳ぎ着いたイズマは、水面から顔を上げる。そこに居たのは。
青の洞窟、その壁と同じ材質で作られ、青白く発光する、アイスキャンディーのゴーレムだった。

『マサカ、マスター以外の人間ガ、ココ二来ルトハ』
「……君は?」
『……誰モ近クニ来ナケレバ、放ッテオコウト思ッタガ、来ラレテハ仕方ナイ。オ前ヲ待ツ仲間モ心配ダロウ。他ノ者モ、来ラレルヨウニ呼ンデヤロウ』

 ゴーレムが、手を水面に浸した途端、地底湖の水面がたちまち凍りつき、氷の橋がかかる。
何事かと、此岸で待っていた3人も駆けつけた。

「ご、ゴーレム……まさか本当に居たとはな……」
「なるほど……壁の色と同化して、見えにくくなってたんですね」

 まさか本当に居たのか……と驚く世界に、壁とゴーレムを交互に見て、納得するボディ。ゴーレムの方も、感情は読めないながらも、しげしげと4人を観察するだけで、これといって敵意は感じられない。……いや、強いて言うなら、ボディの頭部を凝視しているように見えるが。ボディの方も先程からずっとゴーレムの動きを観察しているので、お互い様と言えよう。

「えっと……キミは何なん?」
「我ハ、コノ街ヲ見守ルヨウニ、マスターニ命ジラレタ被造物。マスタート約束ヲシタ娘……『ティシエール』ノ名ヲ冠スルコノ街ヲ、ダ」
「ということは、きみは『お菓子の魔女』の……」
「アア、マスターハ我ニモ真ナヲ明カサナカッタガ……ソノ名デ呼バレテイル事ハ、我モ知ッテイル」

だが、その主人の現在の居場所は、自分にもわからないのだと、ゴーレムは告げた。

「……如何にも大層な役目背負ってるみたいやけど、そんな所にうちらが来てもうて、大丈夫やったん?」
「オ前達ノ行動モ、コレマデ見テイタガ、人間ガ未知ノ場所ニ興味ヲ示スノハ当然ダロウ。蛮行デモナイ以上ハ、別ニ構ワナイ。コノ場所ノ魔法ガ解ケテイナイ以上、コノ街ノ住人モ感謝ヲ忘レテハイナイ事ハ、ワカッテイタシナ」
「……水底に沈んでいた、青い欠片は?」
「アレハ我ヨリ先ノ型。寿命ヲ迎エ、コノ湖ニ葬ラレタノダ。……ユックリ、コノ湖ニ溶ケテイク事ダロウ」

 それよりも、ティシエール街の住人に伝えて欲しい事がある。
今後も、お前達のようにこの洞窟に、客人が訪れたのなら、我はそれを饗そう。今後もここに人が来るのなら、我が中を整備しておこう。ここで怪我をされたら、きっと主人も喜ばない。

 だが、くれぐれも、我が主人……お菓子の魔女との約束を忘れるな。
食べられるものがある喜びと、感謝を忘れるな。
マスターも、今もきっと、どこかで、我とお前たちを見ているぞ。

ゴーレムの望みは、ただそれだけだった。

 こうして、青白く輝く洞窟の欠片と、ゴーレムとの約束を手土産に。
一行は洞窟をあとにするのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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