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シナリオ詳細

【日夜探偵事務所】とある日常の事件録

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●なんでもない素晴らしい一日

 暖かな春のある昼下がり、身なりの良い青年は、ある一点を見て、大きな大きなため息をついた。

「……僕が不在の間に、厄介な怪異が暴れていないのは、まあ、素晴らしい事だが」

日夜歩……この『日夜探偵事務所』の所長かつ探偵でもある彼が目にしたのは、自身のデスクに積もる、依頼書の山、山、山。

「ローザ君。確かに僕は、つい先刻まで、日を跨いで出払っていたとも。その間に依頼が舞い込んだら、受けられるものは受けてやって欲しい、とも言った」
「うん、ローザちゃん、ちゃんと受付したよー」
「だがね、僕はこうも言い添えた筈だよ。『僕達のなせる仕事量にも限度がある。だから、くれぐれも量は調整してくれ』とも」
「そうだっけ?」
「そうなのだ。いいか??? 如何に常人より無理が利くとはいえど、僕の身体は一つなんだぞ??? ローザ君、君を加えたら仕事は2倍以上はこなせるかもしれないが、それはそれとして何なんだこの量は???」
「だって、ここ、一応は探偵の仕事受け付けてるのにさ、いつも閑古鳥がカンカンだからさー。偶然いっぱい舞い込んだ時が稼ぎ時じゃん。それにほしみーもいるじゃん」
「……もしかして星宮君のことを言っているのか? 彼はこの春進級したとはいえ、まだ小学生だぞ。彼をこき使うのはブラック労働もいいところだぞ。」
「まあまあ、あの子も社会科見学ってことでー、ねっ?」
「ああくそ、かくなる上は……」

悪態をついた日夜が、最後に縋った場所はもちろん……。

●猫の手も借りたい彼等に愛の手を

「うーん……日夜さん、他に普通の人を雇うつもり、無いのかなあ」

 幾ら、日夜探偵事務所が怪異を主に扱う事務所といえど。表向きは普通の探偵事務所なので、そういう依頼も受けているとはいえど。こうなる事を想定できなかったのだろうか。
……できなかったから、こうなっているのだろう。

 ともかく、今積もっている案件をどうにかできなければ。いざ、本来の専門である怪異事件が舞い込んだ際に、どうにもこうにも支障が出かねないだろう。
そのためにも、これらを無事に処理しなければ。

「というわけで、頑張ってね、イレギュラーズ。……帰ってきたら、あたしも美味しいお茶、いれておくから」

そう言って境界案内人は、静かにあなた達を送り出した……。 

NMコメント

 どうも、なななななです。
怪異の関わらない、平和な事件に関わるもよし。日夜と共に、小さな怪異に触れるもよし。
ワチャワチャ元気に、一個一個依頼を解決していきましょう。

以下、詳細になります。

●ジアース

 皆様が赴く世界の名前です。要するに神秘、怪異、化物、魔術が存在する現代日本……と思っていただければ結構です。

それらの存在は公には知られておらず……何も知らない人間は、それらに貪られ、弄ばれ、真相も分からぬままに命を落とす事も珍しくありません。
それらを扱い、対処するのが、【日夜探偵事務所】の裏の顔でもあります。

●目的
『日夜探偵事務所の仕事を手伝う事』。

 普段は閑古鳥の鳴く事務所なのですが、この日は珍しく、多くの依頼が舞い込んでいるようです。
ローザが依頼人から話を聞き、怪異に関わることなら日夜、捜し物なら太一、悩み相談ならばローザがアドバイス……という風に仕事を振り分けているようですが、如何せんてんやわんやです。

今回はちょっとだけ、探偵達の仕事を手伝ってあげてください。

●NPC

星宮 太一(ホシミヤ タイチ)

・日夜探偵事務所によく通う子供です。
怪異の好む香りを常に放ってしまう特殊体質持ちですが、ローザの『御守』のお陰で、日常生活に支障はないようです。
今回は、『猫探し』『落とし物探し』等、危険の少ない仕事を手伝っています。

日夜 歩(ヒヨリ アユム)

・OPに登場した、探偵事務所の所長です。生真面目で身なりの良い青年で、今回のシナリオ参加者の実力を信頼しているようです。男女問わず、他人を『君』付で呼びます。
彼も実は、人間では無いそうです。
今回の彼は、ごくごく小さな怪異事件を順々に解決しに行きます。

ロザリー・カンナヅキ(ローザ)

・OPに登場した、軽い雰囲気の若い占い師です。しかし、怪異に精通しており、それに対する防衛術も心得ています。特殊体質の星宮少年が普段平和に暮らせているのも、彼女謹製の『御守』の力があるからです。
誰彼構わず『ちゃん』付したり、あだ名をつけたりと、良く言えばフレンドリー、悪く言えば馴れ馴れしく人物です。
依頼人の悩み相談や、アドバイスをします。

※上記NPCは、プレイングで指定があれば皆様のリプレイに登場、協力します。

●プレイング例


【Aさん】
ペット探しを手伝うよ!

えーと、ペットのヘビのタマちゃんを探してくれ、って?
……蛇なのに変な名前。まあいいや。

『動物疎通』で、近所のワンちゃんネコちゃんに聞き込みをしようっと。
あとはご近所さんにも聴き込んでみよう。山奥でもないのにヘビがいたりしたら、結構目立つはずだし。
無事に見つかるといいなあ。

【Bさん】
小さな怪異事件の解決を手伝うよ。
民宿の座敷わらしが、自分の存在に気づいてほしくって、お客さんに小さないたずらをするって言うから、そっちに行ってみようかな。

というわけで、こんにちはー!
うん、きみのこと、ちゃんと見えてるし聞こえるよ。一緒に遊ぼうよ。
何する?お手玉?お歌?ゲームでもいいけど。
また遊びに来るから、二度といたずらしちゃだめだぞーっ

【Cさん】
はあ……恋愛相談ですか……よりによってこの私に……
彼ピが……イケメンすぎて辛い……?
眩しくて目が潰れちゃいそう……?
リア充爆発しろ……

それはともかく……まあ……今の彼がとても眩しく見えてるならそれはそれでいいんじゃないですかね……
え……キラキラすぎて悪い虫が寄ってきたらどうしよう……?
……ローザさん、どう思います?……はあ、その虫どもに負けないくらい自分を磨いて、彼にちゃんとラブを伝えろと……

と、言うことらしいです……我々からは以上です……
ではどうぞ……末永く爆発なさってください……


以上になります。
それでは、探偵達と共に良き一日を。

  • 【日夜探偵事務所】とある日常の事件録完了
  • NM名ななななな
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月16日 22時01分
  • 章数1章
  • 総採用数4人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家

「探偵さんのお仕事って何するのかしら!」

 章姫からの純な疑問に、鬼灯はーーその顔の大半こそ黒く覆い隠されているが、他の誰が見てもそうと分かるであろうーー苦笑いを浮かべてから、改めて尾行を続ける。

 腕を組み、談笑しながら歩く、スーツの男と、濃ゆいメイクの女。一見すると仲睦まじい二人。しかし、骨子のがっしりとした男の手、その薬指だけは不自然に色白く凹みができており、女はそれを隠すように指を絡めてくる。

 そう、今日の彼は、浮気調査に臨む探偵。そして、これは『アタリ』だったのだ。
男を尾行していた鬼灯は、それをカメラに収めようとするが。

「あーなーたー!」
「奥方殿っ!?」

 シャッターを切るよりも早く、駆けたのは白髪交じりの主婦……詰まる所、あの男の妻だ。
探偵に依頼をする一方、妻もまた、夫を信じたかったのかもしれないが……。
乾いた音が、高らかに響き渡る。

「誰よこの泥棒猫! 貴方も私という妻を差し置いてどういうつもりィ!?」
「妻ァ!? ねぇ崇クン! もう離婚したって言ったじゃない!」
「ち、違うんだこれはっ……!」

結果はこの通り。
ドラマさながらの台詞が飛び交う有様だ。

「どろぼうねこ? 猫さんが何か泥棒しちゃったの? でも猫さんはいらっしゃらないのだわ?」
「章殿……」

 そんな修羅場とは無縁の、愛しい妻の言葉に、ほっと心を和ませる。
まあ、既に証拠は押さえた。後の事は、彼女たちに任せるとしよう……。

成否

成功


第1章 第2節

楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾

「星宮くん、おっひさー!」
「会長さん!」

 再会にきゃいきゃいと湧く二人。しかし今日は彼等も探偵の一員、ハイタッチもそこそこに、即座に仕事に移る。
二人が探すのはインコのハルマキちゃん。こんがり狐色の羽が特徴的な子だ。

 ともかく、茄子子の足で稼ぐ聞込み&ぶっ刺さる上目遣いが周辺住人を協力的にし、ハルマキがこの二丁目にいるらしい、という所までは突き止めた。
しかし、あともうひと押し。インコの居所を絞り込む、ないしは誘い込む手段が必要だ。

この時、茄子子の頭に電流走る。

「そうだ、祈雨術で雨を降らせることが出来れば、屋根の下とかに避難してくれて探しやすくなるかもしれない……!」

えっ?

「星宮くん一緒に儀式しよう、儀式!ㅤ雨乞い!」
「雨乞い!? あ、でも儀式の方法なら……ローザさんが確か……」

ええっ?

 ……それから暫く、焚火を囲んで、えんにゃらふんにゃらうんなほらと歌い踊る少年とうら若い女性。
しかし、その祈りが届いてか、ポツポツと降り出した雨は、やがてザアザアと大きなものへと変わっていった。

 茄子子達も慌てて軒下に避難するが、彼女らと同じく、滑り込むようにそこに飛び込む影が一つ。

「あっ美味しそう!」
「『あっ見つけた!』とかじゃなく!?」

 かくして、小さくて、可愛くて、どこかいい匂いのするインコのハルマキちゃんは、無事に保護されたのだった。
……今夜は春巻きにしよう。唐揚げでもいいな、と、誰かが呟いた。

成否

成功


第1章 第3節

アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし

 さくさくと草を踏み分け、暗く深い森へと入っていくのはアクア。
肝試しに行った子供達が帰ってこない、と母親達から駆け込みの依頼が入ったのだ。とにかく急ぎの案件と言うことで、助っ人探偵たる彼女に、これが回された、という訳だ。

「確かにおにーさんの言う通り……肝試しにはいい場所かも」

 歩から預かったメモを手に、ルートを辿るが……不意に、子供達の泣き叫ぶ声が聞こえてくる。急いで駆け出せば、そこには狼に似た怪異に、全身に擦り傷、切り傷、噛み傷を作った少年達。彼等をその状況に追い込んだ怪異は、転んで動けぬ子供の一人の血肉にかぶりつこうとしているのだ。

「させない……!」

 アクアの伸ばす影の手がそれを捕らえ、すんでの所で、ガチガチと鳴らした歯は子供の眼前で止まった。続いて踏み込んだ強烈な右ストレートが、怪異を打ち砕いた。

「皆、立てる? 大丈夫……?」
「あ、ありがとう姉ちゃん」
「も、もうアイツ居ないんだよな」
「間に合ってよかった……」

 彼等は皆疲れ果て、傷を受けているが、全員命に別状はない。ほっと胸をなでおろす。
じゃあ帰ろう、と言った矢先、メモをいれていたポケットに手を入れるが。
あれ、と溢れる間の抜けた声。

「……あれ、メモ、ない。帰り道、どっちだっけ……?」
「ええーっ!?」

 危うく迷子がもうひとり増えてしまう所だったが、比較的傷の浅い子供達の先導を受け、アクアもまた無事に帰還したのだった。

成否

成功


第1章 第4節

コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ

 コゼットが赴いたのは、とある女性の身辺調査。依頼人は、彼女の恋人たる男性だ。

『笑顔が素敵で、気立ても良くて、自慢の恋人なんだ』

そう明るく語る青年の顔が今でも思い出されるが、その後、曇った顔でこう続けていた。

『でも、周りの奴らが、あの子は黒い噂が絶えないからやめとけって言ってて、でも俺はどうしても信じたくって。……これを通じて、彼女の無実を確かめたいんだ。そうしたら、正式に結婚を申し込もうかと』

そう真摯に依頼されては、断る訳にもいかなかった。さて、件の女性は、今、カフェへと入っていった。
コゼットも、五感を研ぎ澄ませながら、気づかれぬようファミリアーのねずみを忍び込ませ、彼女の椅子の下にちょこんと止まらせる。
真向かいには、あの恋人とは別の、一周り以上の年齢差を感じる男が座った。

『で、件のお坊ちゃんとはどうなんだ?』
『バッチリ。アイツバンバン貢いでくれるから助かっちゃう』
『ほぅら、オレも言った通りだったろ』
(あれがあの人の本性。優しそうな人だと思ったのに……)

カフェを出た彼らは、次なる場所へと移動する。行き先はホテル『チェリーナイト』。

『じゃあ、頑張るお前にご褒美だ。今日はどうやって攻められたい?』
『パパの好きなのでいいよ』
『ほう……じゃあ……グチャグチャにするぜ?』
『……いいよ』

 耳の中まで赤く染まったコゼットは、脱兎の如く逃げ出す。……彼にはお生憎様だが、ありのままを伝えなければ。

成否

成功


第1章 第5節

 デスクを埋め尽くしたあの日の惨状から、数日を経て。
日夜歩のデスクはすっかりきれいに片付き、その分書類棚に収まった『解決済』『経過観察』のファイルは、すっかり厚みを増した。

……こうして、連日の日夜探偵事務所の働きと、イレギュラーズ達の懸命な働きにより、積もり積もっていた依頼の殆どが、片付けられた。

また連日、閑古鳥の鳴く日々が戻るだろうが、所長の日夜はこう答えることだろう。

「まあ、僕は何も、金のためだけに働いている訳ではないからね。むしろ、これくらい静かな方が好ましいくらいだ。怪異に望まずも巻き込まれてしまった人々の悲鳴も、良からぬ事を考える人外の高笑いも、よく聞こえるというものさ」

それを余裕と取るか、強がりと取るかは……きっと、貴方次第だろう。

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