PandoraPartyProject

シナリオ詳細

子供たちはただ平和な日々を待ち望む

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●孤児院が窮地に立たされています
「た、大変です、神父様!」
 ある日の夜更けのこと。その日の会計作業を蝋燭の灯りを頼りに行っていたパーヴェル・アクショーネンコは、スタッフのマルガリータが部屋の扉を押し開けて飛び込んでくる音に硬筆を止めた。
 彼女の顔色は青いを通り越して蒼白だ。毛皮の下の肌から血の気が引いているのがよく分かる。そうして、マルガリータは恐れを露わにしながらその名を告げた。
「こ、光臨教会の司祭様が……」
「なんですって」
 彼女の言葉に、パーヴェルが思わず席を立った。ノートを閉じて急いで玄関口に向かうと、そこには光臨教会の司祭、ガゼル獣人のゲラシム・エフィムキンが冷たい目をして立っている。
 そしてゲラシムは、心底から呆れたという声色でパーヴェルに告げた。
「困りますねぇ、パーヴェル神父。神の僕たる貴方が、神に刃を向けるなど」
 その発言に、パーヴェルの眉間に深いしわが寄った。この司祭は、まるで神の敵であるかのようにパーヴェルを言う。
「ゲラシム司祭……では、貴方は神の子である子供たちと、子供たちのため懸命に働く私たちが、飢えてもよいと仰るのですか!?」
 寝静まった子供たちを起こさないように、しかし最大限声を荒げながらパーヴェルは言った。その言葉に、ゲラシムはゆるゆると頭を振る。
「勿論、そんなことは言いません。だから『飢えない程度に』金を渡しているではありませんか」
 さも当たり前であるかのように、そうするのが当然であるかのようにゲラシムは言う。
 しかしこの言葉がパーヴェルの心に火を点した。踵を返して自室に駆け戻ると、帳簿のノートを片手に戻ってくる。
「これをご覧になっても、まだ同じ事が申せましょうか!?」
 彼がゲラシムに突きつけたのは一枚のメモ書きだった。走り書きされた文字と数字を読んだゲラシムが、小さく目を見開く。
「む……」
「市内の商店でのソバの実と牛乳の販売価格の1キログラムあたりの平均です。明らかに我々が教会に支払っている単価よりも低い。二割もですよ!」
 パーヴェルが叩きつけたそれは。光臨教会が孤児院へ過大に請求し、その差額分を中抜きしていることの何よりの証明だった。
 黙りこくるゲラシムに、パーヴェルはなおもまくし立てる。
「……」
「補助金が増額されないのはこの際目をつむりましょう、光臨教会傘下の孤児院はここだけではありませんから。しかし、食料品や備品の請求を水増ししているのはどういうことです!? 貴方は我々からなおむしり取って、私腹を肥やそうというのですか!!」
 激高するパーヴェルの言葉を、ゲラシムは黙って聞いていた。だが深くため息をつくと、その右手が法服の懐へと入れられる。
「やれやれ、貴方はこの現実を前にしても、賢明に判断できる人だと思っていたのですがね」
「何をーー」
 ゲラシムの言葉にパーヴェルが反論するが、それより早く。ゲラシムの懐から拳銃が抜かれた。銃口がまっすぐ、パーヴェルに向けられる。
「残念ですよ、パーヴェル・ダニーロヴィチ・アクショーネンコ」
 パン、と乾いた銃声が夜の町に響き渡った。

●この男性もさすがに焦っています
「お歴々、緊急の案件が一つある。願わくば対応を頼みたい」
 いつも以上に酔いの醒めた表情をして、『ツンドラの大酒飲み』グリゴリー・ジェニーソヴィチ・カシモフは特異運命座標にそう告げた。
 いつもにこにこと笑みを浮かべている彼が真顔になっている。珍しいこともあるものだ。特異運命座標が首を傾げつつ先を促すと、眉間に指を押し当てながら彼が話し始める。
「案件というのは、そう、ユルコフスク五番街コチュソフ通り『朝日を待つ子らの家』についてだ。ここを預かるアクショーネンコ神父が銃撃され、意識不明の重体だ」
 その言葉に、にわかに場がざわついた。アクショーネンコ神父とはこれまでに二度、依頼に際して助力している。その彼が銃撃されて重体だなどと。
 信じられないと言わんばかりの彼らに、グリゴリーは説明を続けた。
「犯人は分かっている。彼らの上役、光臨教会のトップに当たる司祭、ゲラシム・エフィムキン。彼が『朝日を待つ子らの家』に押しかけて、口論の末にアクショーネンコ神父を拳銃で撃った。子供たちもいるその場でだ。夜半だったから、犯行現場を目の当たりにしたのはスタッフの二名だけになるがね」
 彼の言葉に、何人かの特異運命座標がそっと胸を撫で下ろした。自分たちの親代わりである神父が、教会の人間に銃撃されるシーンなど、見てはならない。見せてもならない。
 そこまで分かっているなら、どうしてここにいるのか、と一人の特異運命座標がグリゴリーに質問する。それに対して獅子獣人の彼は、指を一本立てながら片目をつむった。
「ここで、下手人が教会の司祭だと言うことが問題になってくるのさ、お歴々。司祭の地位は市内の警官よりも高い。逮捕状を発行しても、教会に司法を持ち込むのが憚られる。いくらスヴェトキナのお嬢さんとグロムイコのお嬢さんが訴えても、警察に出来ることは限られてしまうんだ」
 その言葉を聞いて、嘆息する彼らだ。どこの世界でも、宗教団体というのは一種の治外法権。警察が介入できないことをいいことに、悪事を働く教会や宗教団体は少なくないのだ。
 そうだとしても、自分たちの悪事が暴かれそうになったからと言って口封じに殺すなんて、神職にあるまじき外道ぶり。
 特異運命座標の瞳に怒りの色が混じる中で、グリゴリーは真剣な目をして言った。
「ここまで来れば分かるだろう? 今回の案件は、ずばり、エフィムキン司祭の『暗殺』だ」
 暗殺。その言葉に再び場がざわつく。
 教会関係者の暗殺など、汚れ仕事もいいところだ。世界を救い、世界に生きる人々を守るため、確保しても法では裁けない人物だとはいえ、気持ちのいいものでもない。
 手元の本をめくりながら、グリゴリーは話を続ける。
「調べたところ、光臨教会は何かと悪い噂のつきまとう教会でね。エフィムキン司祭の手引きの元、ユルコフスクの暗部に深く根を張っているらしい。暗殺される理由には事欠かないのさ」
 曰く、現在光臨教会の周辺はユルコフスク市の警察が見張っていて、教会内部で不審な動きがないか、司祭が悪事を働いていないか、見ているとのことだ。グリゴリーの手で教会の内部に転移をする故、侵入と脱出については考えなくていいとのこと。
「方法は任せよう。ただし、教会の外には警察が張り付いている。教会に軟禁されているに近い司祭をどう殺すか、よく考えてくれたまえ」
 そう話すと、グリゴリーは手にしたショットグラスにウイスキーを注いだ。それを一息で飲み干してから、沈鬱な面持ちで口を開く。
「悪魔というのは、得てして神や天使の姿をしているものだ。そうして人々を堕落に導く。それがヒトの形をしていてもおかしくない……そうだろう、お歴々?」

NMコメント

 こんにちは、屋守保英です。
 ユルコフスクの孤児院依頼、第三弾。いよいよクライマックスです。
 銃撃されたパーヴェル神父の無念を晴らすためにも、悪徳な司祭をぶちのめしましょう。

●目標
 ゲラシム・エフィムキン司祭の暗殺。

●舞台・場面
 ユルコフスクの町一番街「光臨教会」です。場面は教会の中に転移したところから始まります。
 ゲラシムは教会の一番奥の私室にいる他、教会の地下室にいることもあります。
 また、教会の中は何人もの兵士がいて、内部を巡回しています。

●特記事項
 ・このシナリオには戦闘フェーズがあります。ゲラシムは拳銃を手にして、遠距離から攻撃を仕掛けてきます。
  しかし素人であるため、命中率はそんなによくありません。

 それでは、皆様の力の籠もったプレイングをお待ちしております。

  • 子供たちはただ平和な日々を待ち望む完了
  • NM名屋守保英
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月26日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女

リプレイ

●祈らずとても神や守らん
 教会の内部、礼拝堂の真ん中に姿を見せながら、『汚い魔法少女』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)はげっそりとした表情を見せた。
「ええ……子供を飢えさせて大人が私服を肥やすとかありえないでしょ……引くわ~無いわ~」
 子供を大人が食い物にするなんてあり得ない。完璧に彼は悪人だ。
 『『幻狼』灰色狼』ジェイク・夜乃(p3p001103)も溜息を零しながら目を伏せた。
「銃撃された神父の無念を晴らすため、そして、孤児院を食い物にする悪徳司祭に酬いを受けさせるため……か」
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)も苦い表情をしながらジェイクに目を向ける。
「悪逆非道な行いに天罰を下す……天誅ってやつか。ジェイクにとっては、慣れた案件か?」
「冗談」
 世界の問いかけにジェイクは肩をすくめた。その瞳には憤怒の炎が灯っている。
「俺もどっちかというと悪人の部類だがよ、子供を食い物にはしやしねえ……気に入らねえんだよ、子供を泣かすやつは」
 彼の隣に立つ『闇と炎』アクア・フィーリス(p3p006784)も、いつもの虚ろな眼差しの奥に、明確な炎を宿していた。
「わたしも、許せない……自分のため、だけに、何も悪くない人を、追い込んで……!」
 許せない、許すわけにはいかない。絶対に報いを受けさせてやる。アクアの発した言葉にメリーも頷いた。
「そうそう。大人は子供にご飯とお小遣いを出す機械であるべきでしょ。常識的に考えて」
 彼女の発言にジェイクも足を踏み出す。一秒でも早く引導を渡してやらねば。
「全くだ。大人ってのは子供を大事にするもんだ。子供を食い物にして私腹を肥やすなんて、冗談じゃない」
「うん。子供たちに、つらい思いは、させない……神父さんの仇、絶対に取る……!」
 アクアも彼に続いて教会の奥に向かう。彼らの後を追いながら、ふと世界が零した。
「……ところで暗殺にイレギュラーズ4人なんて戦力過多じゃありませんこと?」
「いいだろ。塵も残らないくらいに殺しちまえばいいんだ」
 世界の言葉にジェイクが振り返りながら嘯く。その口元にはまさしく狼のように、獰猛な笑みが浮かんでいた。

●臆病の神降ろし
 礼拝堂の奥の扉を開けて、教会のスタッフが寝泊まりする棟に入る。立地故にか、複雑に折れ曲がった廊下を通りながらジェイクが問う。
「道中に罠はなさそうか?」
「うん……でも、そうだよね。侵入者がいるなんて、考えているはず、ないもの」
 先頭を行くアクアが周囲に目を向けながら言った。それもそうだ、教会の中で司祭を害そうなどという輩が早々いるはずもない。警備員の姿はあるが、侵入者向けではなさそうだ。
「警備員も、恐らくは司祭を外に出さないために配置されているんだろうな」
「ああ、なるほど? 外に逃げられたら司祭が悪人だということが明らかになってしまうものね」
 世界の言葉にメリーも納得したように頷く。確かにゲラシムが外に出たら、また同じようなことをするだろう。教会としても本意じゃないはずだ。
 と、世界の訝しむ目はジェイクへと向いた。
「にしてもジェイク。なんでまたそんな、気取った白スーツを着ているんだ」
「先ずは雰囲気作りが大事だろ? あの男だって教会で銃撃シーンは白スーツだったしな」
 そう問われたジェイクは目に眩しいくらいの白スーツを纏っていた。確かに何かの映画の主人公が身につけていてもおかしくはない。
 と、アクアが足を止めて手を伸ばした。
「しっ、待って」
 突然の行動に三人が目を見開くと、アクアが後方に視線を投げて言った。
「足音。きっと警備員だよ」
「おっと」
 すぐにジェイクと世界が身を隠す。アクアも通路の反対側に身を隠した。だが、メリーはそこで敢えて姿を晒す。
「むっ、そこの者、止まれ!」
 メリーに気づいた虎獣人の警備員と鹿獣人の警備員が警棒をこちらに向けてきた。彼らに、メリーは無害そうな視線を向けながら両手を組む。
「ああ、そんな。私はただ、私の罪を告白しに来ただけなのです」
 まるで敬虔な信徒のように話す彼女の言葉に、警備員たちが互いに顔を見合わせる。だが、すぐに小さく頭を振った。
「告解に来ただと? この教会は現在立ち入り禁止だ。見逃してやるから、三番街の『曙色教会』にでも行け」
「ああ、そんな無体を。私はただ――」
 なおも懇願しながら、メリーは視線を後方に向ける。ちょうどアクアと目が合った。すぐさまアクアが幻影を作り出して走らせる。
「ん……?」
 まるでネズミが駆けたかのような動きに、警備員がすぐさま反応した。メリーから視線が外れる。
 次の瞬間、アクアが物陰から飛び出した。メリーも前に飛び出す。
「たゃっ」
「せいっ」
 そのまま、警備員の首筋に裏拳一発。そのまま警備員の意識が刈り取られた。
「ぐ……!?」
「う……」
 倒れる警備員。それを見たメリーが額を拭った。
「ふう、これでよし」
「気絶させるのって、これでよかった、よね……?」
 アクアも少し不安そうな顔をして男性二人を見上げると、苦笑しながらジェイクが言う。
「うーん……まぁ、いいだろ」
「そのへんに転がしておいて進もう」
 世界もそう言いながら、警備員の身体を廊下の端に寄せた。そうして四人は再び老化を進んでいく。
「ゲラシムはどっちだろう?」
「今の警備員はあちらから来た。行ってみよう」
 警備員がやってきた方向を頼りに進んでいくと、その突き当りには大きな扉があった。関係者エリアの中にあるとは思えない、派手な扉だ。
「ここが、司祭の部屋か?」
「きっとそうよ、こんなに豪華な扉なのだもの」
 ジェイクが銃を取り出しながら口にすると、メリーも扉に触れながら返した。そして、四人が扉の取っ手を握る。
「よし、行くか」
「うん……!」
 世界が、アクアが口にしたのを確認して、一気に扉を開け放って中に飛び込んだ。机で何かを書いていたらしいゲラシムが驚いている。
「なっ、何者だ!?」
「よう、ゲラシム司祭。天誅を下しに来たぜ」
 世界が嘯くと、ジェイクがわざとらしく拳銃を掲げながら言い放つ。
「俺の事は神の御使いとでも思いな。神様に頼まれちまったんだよ。偽りの司祭を地獄に送ってこいってな」
 その言葉に目を見開くゲラシムを睨みながら、メリーがぺろりと舌を舐めずった。
「部屋には誰も居なさそうね? よかったわ、心置きなく殺せる」
「あんたみたいなのが生きてたってどうしようもない! ここで終わらせてやる!」
 敵意を剥き出しにするアクアが、身体から立ち上る炎を一層激しく燃え上がらせる。慌てて立ち上がったゲラシムが、机の引き出しに手を入れた。
「お、おのれ! 何処の誰かは知らんが、私はここで死ぬわけにはいかん。死んでなるものか!」
 その手には拳銃が握られている。銃口が鈍く輝いた。

●神は非礼を受けず
 窓の外が僅かに騒がしくなる中、メリーがまず口を開いた。
「皆、いいかしら」
「なんだ」
 ジェイクが鋭い視線を向けると、一歩前に進み出ながらメリーが言う。
「あいつの攻撃は私に受けさせて欲しい」
 その言葉を聞いて、三人が目を見開いた。相手の銃撃を自ら、防御もなしに受け止めようとは。
「受けさせて、って……大丈夫か? 向こうは銃を持っているんだぞ」
 世界が心配そうな言葉をかけるが、しかしメリーは首を振った。
「だからこそ。いいの、単なるワガママだから」
 そう言いながら静かに歩き始めるメリー。徐々に距離を詰める彼女に、ゲラシムが大声を上げた。
「バカにしおって、殺してやる!」
「おっと」
 放たれる銃弾。狙いもつけられずに撃たれたそれが、メリーの腕に当たる。
「メリー!」
「おい!」
 アクアが、ジェイクが声を上げるが、メリーは足を止めない。苦痛に声を上げもしない。
「ふん……このくらい、なんてことないわよ」
 なおも歩くメリーに、ゲラシムは大きく目を見開いた。確かに当たったのに、目の前の少女はまだ立っている。
「ば、バカな!?」
 そこから矢継ぎ早に引き金が引かれ、銃弾が次々メリーの身体を貫いていく。急所には当たっていないが、素人にしてはなかなかいい腕前だ。
 だが、それでも。メリーは立っている。
「くっ……ほら、どうしたの? 殺してみなさいよ」
「お、お前は……」
 両腕を広げるメリー。その姿に慄くゲラシムに、ジェイクから呆れを含んだ声がかかる。
「やれやれ、随分お粗末だ。銃ってのはな……こう使うんだよ!」
 刹那、無数の銃弾が降り注いだ。ゲラシムの身体を貫き、角を砕く。
「ご――!?」
 次の瞬間には飛び出したアクアが肉薄した。光をまとった拳が唸る。
「気絶とか意識が無いじゃ甘い! きっちり文字通り死ぬまで殺してやる!!」
「ぐ、あ……!!」
 派手に殴り飛ばされたゲラシムの身体が棚に突っ込んだ。血が飛んで棚に置かれた調度品を汚す。
「やれやれ。こう派手にやったら外の警官たちに気付かれると思うんだがな」
 呆れたように世界が言えば、その手が陣を描いて。呼び出された白蛇がゲラシムの身体に噛みつき首を絞める。
「お前の悪事もこれで終わりだ、ゲラシム・エフィムキン」
「あ……」
 その言葉を最後に、ゲラシムが事切れた。血まみれの彼はもう動かない。アクアがその身体を軽く蹴る。
「……終わった?」
「だな。さあ、このクソ司祭の悪事を暴く証拠を探してやろうぜ!」
 ジェイクが頷けば、すぐに部屋の中の捜索が始まった。出るわ出るわ、裏帳簿と不正献金の証拠の数々。思っていた以上に黒かった。
「やることやったらとっととずらかるぞ……しかし、意識不明な神父が心配だな」
「どうせなら、グリゴリーに神父の入院している場所まで送ってもらう? 彼なら知ってるでしょ」
 世界が言葉を漏らすと、メリーが親指をくいと入り口に向ける。
 そのまま、音もなく静かに去っていく四人。ゲラシム・エフィムキンの遺体が発見されるまで、後少し。

成否

成功

状態異常

なし

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