シナリオ詳細
ロボロボ戦闘破壊しよう
オープニング
練達。言わずと知れたウォーカー達を中心とする国だ。
幾つかの集団が寄り集まった都市国家としての性質を持っている。
言ってしまえば、流れ者達が寄り合っている内に、いつのまにやら出来あがってしまった国だ。
技術面ではズバ抜けているため各国から重宝されているが、国力という点で見ると小さい。
もっとも、住人であるウォーカー達にとっては、そんなことは二の次なのかもしれないが。
ある日突然、この世界に召喚され。
世界を救うために働けと言われた所で――
うるさい早く元の世界に返せ
となって当然だろう。状況的には、異世界に拉致監禁された挙句に兵隊にされているような物である。
ふざけんな、となるのが当たり前だ。
なので、ウォーカー達が集まって出来た国である練達では、可能性を蒐集し、魔種と戦い世界を救う神託の宿命から目を背ける者が多い。
というわけで、練達の多くの人々は自身の故郷に戻るための研究を日夜続け、あるいはそれに賛同し、ないしは単に居心地が良いからそこで暮らしている。
それに文句あるならせめて、何をどうすれば元の世界に戻れるのかの具体的なロードマップ寄こせ、という話である。
まぁ、勝手に異世界召喚されてる現状で、仮にそんな物を出された所で信用できる物ではないが。
だからこそ練達の人達は、故郷の世界に戻るための研究に自分達で勤しんでいる。
リリスとヴァンが訪れた研究所の主も、そうした者達の1人だった。
「それで、何を土産に持って来た?」
「鉄帝の遺跡から手に入れた遺物ですよ、ニコラ」
外見は壮年の幻想種に見える男性、ヴァンは、研究所の主であるニコラに言った。
彼の言葉に、外見はカオスシードの初老の男に見えるニコラは、テーブルに置かれた物を見詰める。
「人型機械の残骸と、こっちの小瓶に入った水銀みたいに見えるのは何だ?」
「遺跡から発掘したメイドロボの身体の一部を取り出したものよ」
ニコラの問い掛けに、メイド服を着た幻想種に見える女性、リリスが応える。
「イオって名付けたわ。可愛いわよ」
「気に入っとるな。ということは、子供か、そのメイドロボ」
「見た目は十代後半って所だけど、中身は頭の良い赤ちゃんね。素直で可愛いわ」
「相変わらず子供好きじゃな、お前さん」
「可愛いもの。それより、それを調べて色々と作って欲しいのよ」
「ふむ」
ニコラは、人型機械の残骸はチラリと見ただけで興味を無くし、小瓶に入った水銀の塊のような物に好奇心をくすぐられる。
「メイドロボの身体の一部を取り出したと言っておったが、どうやって取り出した?」
「注射器で採血する要領で取り出しました」
ヴァンの応えに、少し考えてからニコラは問いを続ける。
「となると、血液代わりにこいつが流れとったということか?」
「いえ。元々は、大きな水銀の塊のような姿だったんですが、リリスさんの血を取り込んでマスター登録した後に、人型になりました」
「そうか……姿は、どうだ?」
この問い掛けに、リリスが応える。
「どことなく、私の娘達に似てたわね。多分、取り込んだ私の血の情報を流用して自分の姿を作ったんでしょ」
「なるほど。ということは、接触した物質の探査をしつつ、それに基づいて自分の構造を組み替える能力があるというわけだ……ナノマシン系列、それも自我やら持っとるならハイエンドクラスか」
ニコラは小瓶を軽く振りながら、楽しそうに笑みを浮かべる。
「研究材料として、そそられる。いいぞ、調べて色々と作ってみよう。そっちの要望は、何かあるか?」
「とりあえず義手とか作って欲しいわね。前に、貴方に見て貰った義手の子がいるでしょ? あの子の義手が、そろそろガタが来てるし」
「ん? ああ、あの小僧か。元気にしとるか?」
「ええ。元気に悪党から泥棒してるわよ」
「ははっ、なら良い。世界平和のためには金が要るからな。頑張って稼いで貰わんと」
割と矛盾したことを言っているが、本人達は本気である。
この3人、大目的は『自分の居た世界に戻ること』ではあるが、その前に『世界平和』を小目的にしている。
なぜなら世界情勢が不安な状況では、元の世界に戻るための技術開発に本腰を入れるのは難しいと考えているからだ。
仮に、帰るための技術を発明した所で、そのために必要な物資やエネルギーを他国に頼らなければいけない状況になれば、その時点で詰む。
それが解決できたとしても、いつ魔種やらに襲われるか分かった物ではないのだ。余計な懸念は排除した環境で実験やらに専念した方が良いと思っている。
もっともそれ以上に、現状をそのまま放置するのは気が引ける、という感情論が一番強いのではあるが。
転移してそれなりに年月を過ごせば、こちらの世界の住人にも情が移るってものである。
「とりあえず義手を作るとして、他には何か作って欲しいものはあるか?」
「最終的には、服ぐらいの厚さのパワードスーツ作って欲しいですね」
ヴァンが要望を口にした。
「義手だけだと、継続して商品にして売り出すのは難しいですから。誰でも普段の生活で使えるような物が欲しいです」
「なるほどなるほど。分かった、任せておけ」
などというやり取りがあった、数日後――
「戦闘ロボを作ったぞ!」
「なんで?」
呆れたようにリリスは言った。
「そんな物を作ってくれって頼んでないんだけど」
「まぁ、待て。少し話を聞け」
ニコラはリリスの言葉を手で制すと、続けて言った。
「格好良いじゃろう」
「バカなの?」
やたらとトゲトゲした見た目の戦闘ロボをジト目で見つつ、リリスは突っ込む。
「何でこんなもの作ったのよ。要らないじゃない」
「そんなことはない。これは必要なことなんじゃ」
ニコラは力説した。
「義手や義足を本物と変わらず動かすデータを手に入れるため、生身の人間と同じ動きが出来る戦闘ロボを動かしてデータを取る必要がある」
「だったら手をドリルにしてどうすんのよ!」
なんかギュインギュイン動いている。
「心配せんでも、ドリル以外のもあるぞ。2丁拳銃とか撃たせたいからな」
「完全に趣味ってだけじゃない……それで、データを取るって言ってたけど、どうするの?」
「対戦相手を用意してくれ。実戦で動かして、データを取る。可能なら、破壊してくれるぐらい強い相手が良い。あ、ただし、頭部の破壊はしないぐらい融通を聞かせてくれる相手が良いぞ。頭部に、お前さん達が持って来たメイドロボの一部を組み込んどるからな。あれは好いぞー。水滴ぐらいの量で、制御コアに出来るからな。しかも学習させればさせるほど性能が上がるし。それに――」
なおも何か言おうとするニコラに、キリが無くなりそうなので、ヴァンが提案した。
「分かりました。では、ローレットに行って頼んできます。戦う場所とかは、そちらで用意して下さいよ」
「ああ、分かった。そちらは任せてくれ」
ニコラの明るい声にため息をつきつつ、リリスとヴァンはローレットに依頼を出すことにした。
●
「練達で戦闘ロボと戦って欲しいのです」
招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「義手や義足を、本物と同じように動かすためのデータを取るために使うそうです」
話を聞くと、頭部以外は破壊しても構わないとのことだ。
「殺す気はないけど殺すつもりでやるので頑張って欲しいって言ってたのです」
なんだか不穏なことを言われながら、送り出されるイレギュラーズ達であった。
- ロボロボ戦闘破壊しよう完了
- GM名春夏秋冬
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年04月07日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
(闘技場のとき以来か。どうやらあれから進展があったみたいだな)
実験場に皆と共に訪れた『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は対戦相手となるロボを見ながら思う。
(で、今度は戦闘ロボと戦うのか……あれ? 義手って言ってた気がするけど、トゲトゲとかドリルとか……それで大丈夫なのか……?)
首を傾げそうになっていると、依頼人のリリスとヴァンが挨拶してきた。
「今回もよろしくお願いします」
挨拶を返し、気になっていることを尋ねてみれば、ロボを作ったニコラが応えた。
「ウォーカーとかだと身体の構造が違う場合があるし、データは多いに越したことは無い」
これを聞いて『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)が、しみじみと頷くように言った。
「最愛の旦那様を造る者としてデータ採取の必要性は嫌というほど解ります。試行を繰返し微々たる調整を幾多と重ねることで技術は洗練され、作品への愛が濃縮されるというものです」
そして意気込むように続ける。
「頭部以外の部品も、人工は天然に勝らないという固定概念もぶっ壊してやりましょう! 叡智が自然を越えるそのお手伝い、わたしたちにお任せください!」
これを聞いて好感を得たニコラは提案する。
「手伝って貰うだけだと気が引ける。今回も含めて人工生命に関するデータは儂も幾らか持っておる。閲覧できるようにしておくから、気が向けば後で見てみると良い」
「データを見せて貰えるのか?」
ニコラの話を聞いた『アサルトサラリーマン』雑賀 才蔵(p3p009175)が尋ねる。
「義手や義足のデータは、知り合いの医者が聞けば医療に生かせるかもと興味を持ちそうな話だ。良ければ後で見せて貰えるか?」
「構わんよ。今回の実験で得られるデータも含めて、見ていくと良い」
「そうか。なら、あとで見させて貰おう……それにしても――」
才蔵は、ぎゅんぎゅんドリルを回しているロボを見て、若干胡散臭げに呟く。
「意図はさっきの話で分かったが、ロボはともかくドリルというのは意味があるのかは疑問が湧くな……浪漫溢れるのは良いが……」
「うんうん、ロマンだよね! 会長にはよくわかんないけど!」
才蔵の呟きを聞いて、『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)が明るい声で言った。
「まぁ、ぶっ壊していいってことだし、盛大に壊してあげよう!ㅤ会長には無理だから他のみんながね!!」
茄子子の声が聞こえたロボ達が、かかってきなさい! とでも言うようにポーズを取る。
それを見ていた『若木』秋宮・史之(p3p002233)が楽しげに言った。
「うん、練達だねえ、練達って感じ!」
ロボ達を面白そうに見つめながら続けて言った。
「あっはっは、ロボ作っちゃったのかあ、いいねいいね、それでこそ練達の研究者だよ。実験へ全面的に協力させてもらおうかな」
やる気を見せる史之に、依頼人達は喜んだ。
そうして盛り上がっている中、『ロボット』というものに直接関わりが深そうな面々は、違う観点から興味深げにロボ達を見ていた。
「敵の機種は2パターン……人間サイズのロボットか……小さいな、俺の身長の半分位しか無いな」
異世界でタンクデサント戦術のために造られた『ヘビーアームズ』迅牙(p3p007704)は、感情の色を滲ませながら言った。
「それに……トゲトゲした装飾か、まるでロボットアニメの敵の様な見た目だな」
感情の色は、拳銃タイプよりもドリルタイプに向かっている。
迅牙の評価が聞こえた『孤独のニーヴ』ニーヴ・ニーヴ(p3p008903)は、ロボを見詰めながら言った。
「トゲトゲスタイリッシュなの、ボクは嫌いじゃないよ」
好奇心を滲ませながら続ける。
「命がけの戦闘となれば、学びの機会にはなると思うけれど……研究の手伝いが出来るように頑張っていこっか」
元々が異世界の電脳世界で管理用AIのような存在だったニーヴとしては、物理的な器の多様性というものは見ていて面白いのかもしれない。
2人がそれぞれの観点でロボを見詰める中、異世界で人工的に作り出された人であり、人型局地戦術決戦兵器の搭乗者である『シュピーゲル』DexM001型 7810番機 SpiegelⅡ(p3p001649)は、2丁拳銃タイプにターゲットを見定める。
(優先撃破対象は2丁拳銃タイプ。狙うなら、至近から更に攻撃集中を行って少しでも命中を上げると良いかも)
戦いを通じて、今以上に自分の機能を高めようとするかのように、真剣に戦術を組み上げていた。
それぞれがやる気を見せる中、戦う前に皆でミーティング。
作戦を決めると、実戦を開始することにした。
●戦闘開始!
開始の合図と共に、前衛組が跳び出す。
「さあ、俺たち相手にどこまで持つかな? いってみようやってみよう!」
史之は前に出ると同時に飛行を使い、ふわりと浮かぶ。
何故そんなことをするのか?
気分があがるからである!
それをロボ達は凝視する。
気のせいか「好いな~、アレ」と、心躍るオモチャを前にした子供のような視線だった。
動きが一瞬止まったロボに、名乗り口上を使い引きつける。
狙いはドリルタイプ。特に――
(会長さんに近付きそうなのは優先して引き付けておかないと)
全体の回復に動いてくれる茄子子は今回の戦いの生命線。
戦局の維持も考え動いていた。
それでいて、敵の撹乱と遊び心も忘れない。
ドリルタイプを誘導し、拳銃タイプの射線に跳び出させ同志撃ち。
「味方は撃つものです、はいここテストに出ます」
そうなの? と小首を傾げるロボだった。
前衛組の突撃は続く。
澄恋は勢い良く前に出ると、突進の勢いも利用して蹴戦。
風切る勢いで放たれた蹴りは頭部を強襲。
その威力に、ロボは身体を震わせ一瞬動きが鈍る。
(壊すなとは言われてますが蹴るなとは言われてませんからね)
というわけで、容赦なく連打。
その上で、破壊してしまうギリギリを見極めている。
(挨拶代わりに不殺とは何かを脳に直接語りかけます!)
肉体言語で語り掛けられ、蹴りを受ける度に学んでいくロボだった。
前衛で戦いが繰り広げられる中、ロボの後衛組が援護に動こうとする。
拳銃タイプが狙いをつけるが、させぬとばかりにイレギュラーズの攻撃が放たれた。
(前衛の人達に攻撃が向かわないようにしないと)
イズマは側面から素早く回り込む。
気付いた拳銃ロボは撃って来るが、回避しながら肉薄し外三光。
後の先を取った瞬間、相手に反応する暇を与えず追撃。
(出し惜しみはしない)
狙うは短期決戦。
全力を畳み掛けていく。
落首山茶花で惑わせながら首を斬りつけ、態勢が崩れた所に剣魔双撃。
密着状態から体全体を使った打撃で軽く吹っ飛ばしたところに、間髪入れず魔力を込めた剣閃を叩き込む。
威力は甚大。
とはいえ魔力消費も大きいため、そのままでは枯渇する。
そこに助けとなるのが会長な茄子子。
「回復するよ!」
全体の戦局を見渡しながら、茄子子は必要な場所に走っていく。
「今なら大丈夫! 落ち着いてこっちに来て!」
クェーサーアナライズを使い、味方を誘導しながら回復させる。
回復すると即座に移動。
一見するとその動きはデタラメで、連携が取れているようには見えない。
しかしそれはロボ達を嵌めるための罠。
学習機能を逆手にとって、あえて連携に穴が生じるような動きになるように先導している。
同時に、ダメージコントロールの計算も忘れない。
(ニーヴくんは――うん、これなら任せても大丈夫)
体力回復に動いているニーヴの状況を確認し、自分は魔力のリソース回復に集中する。
彼女と同じように、ニーヴも皆の回復のため積極的に動いていた。
(今は――茄子子会長から離れて動いた方が効率が好さそうかな)
ニーヴは茄子子の動きを確認しながら動く。
彼の役割は体力回復。
皆が積極的に動けるよう、体力が一定以下にならないよう立ち回っていく。
それはつまり、傷付いた仲間の傍に近付くことになるので、当然ロボ達の攻撃範囲に入ることでもある。
(右から来るかな?)
視覚だけでなく音も頼りに動く。
ドリルタイプは武器を使う音が大きいので分かり易い。
拳銃タイプは、ドリルタイプの動きに合わせて動いている節があるので、それを考えて動けば避けやすい。
そう思って動いていると、段々とロボ達の動きが洗練されていくのが分かる。
(学習してるんだ)
自分達との戦いを通じて成長していくロボ達にニーヴは、ほのぼのとした気持ちになる。
(ボクは、ロボ相手に何を教えてあげられるだろう?)
ロボ達と同じく、作られた存在である彼は共感を抱いている。
(かわいい)
自分達と関わって学んでいく姿は、元いた世界のプログラム達を思い出して親近感が湧いた。
それだけに何かしてあげたいという気持ちはあるけれど、出来ることに限界があるのはしょうがない。
(色々作戦を教えてあげたい気持ちはあるけれど、ボクが妙なことをするのは危ない気がするから、とりあえずは最善の行動を取れるように頑張っていこう)
ロボ達に直接何かを教えるのは仲間に任せることする。
今するべきは、仲間をサポートし自分の役割をこなすことだ。そうすればきっと――
(彼らに何かを教えてあげられるはずだ)
伝えるだけでなく、見て学ばせる方法もある。
そう考えながら、ニーヴは皆の回復に動いていた。
イレギュラーズ達は、仲間の動きを見ながら連携していく。
それは才蔵も同じだ。
(今なら、ミス・澄恋の援護に動いても問題ないな)
全体の指示を出している茄子子の声を聞きながら、才蔵は澄恋の援護に動く。
(ミス・楊枝からのオーダーからは、2手遅れて撃つとするか)
ロボの学習機能を逆手にとって、相手の連携の穴を作る作戦は事前に聞いている。
指揮者である茄子子の呼び掛けの内容と全体の動きから逆算して動く必要があるが、才蔵の動きは的確だ。
それは元居た世界と、そして今いる世界での戦闘経験に裏付けされた物。
遅延なくスムーズに。
十二分に離れた距離から放たれるクリティカルスナイプは、澄恋を撃とうとしていた拳銃タイプに命中。
攻撃を受け体勢を崩したロボは、それでも反撃しようと才蔵を撃つが、すでにその時には才蔵は動いている。
常に動き続け的にならないように走り続ける才蔵を、ロボ達は学ぶように見詰めていた。
学習し少しずつ手強くなっていくロボ達。
彼らと同じように、何かを得ようとするように戦うのはSpiegelⅡ。
「装甲、展開(スクリプト、オーバーライド)、戦闘機動構築開始(システムセットアップ)」
SpiegelⅡの呼び掛けに応じ現れた人型兵器に乗り込む。
「動作正常(ステータスグリーン)。いくよSpiegel」
『Jawohl(了解)』
機人同体。本体であるSpiegelと同調したSpiegelⅡはロボ達に向かっていく。
「ルーンシールド、マギ・ペンタグラム展開」
魔法による強化を継続展開。
多少攻撃されても捌き切れる状態にした所で、自らの攻撃の確実性を高めるために接近戦に持ち込む。
(今回の作戦は誤認情報を与えた上で、こちらの意図に気付かせずに撃破)
ロボに間違った行動を覚えさせるため、一見連携しているように見えて仲間とバラバラな動きを見せる。
そのため孤立して戦うようになるが、それはSpiegelⅡには望むところ。
(単独行動はシュピの本領とするところ)
「さて、貴方はどうでしょう?」
確かめるようにSpiegelⅡは攻撃を重ねていった。
ロボ達を誤認させるように戦う中、積極的に戦うのは迅牙。
(こいつは絶対に破壊してやる)
ドリルタイプを見定め、迅牙は全力を叩きつける。
拳銃タイプは仲間に任せ無視。
とにかくドリルタイプを執拗に攻撃する。
その攻撃には、感情の匂いが強い。
(俺が嫌いな『スーパーロボット』の様な見た目ヤツだから、コイツを徹底的に狙い……スクラップにしてやる)
フリーオフェンスを使い自己強化した所で、ドリルタイプの攻撃範囲の外から狙い撃ち。
射撃で牽制しつつ、ハイロングピアサーで動きを止めた所で魔砲の一撃。
(硬いな、しぶとい)
やたらと頑丈なロボに熱くなりそうになるが、事前に話し合った作戦を思い出し冷静になる。
(デタラメな動きをするか……おおざっぱに回避したりすれば良いのだろうか?)
わざと無駄な動きをして避けながら攻撃を重ねていった。
序盤、圧倒的にイレギュラーズ優勢。
そこからロボ達の動きは洗練されていったが、イレギュラーズ達の方が上手を行く。
(うん、そろそろかな)
羽衣賛歌で飛行しながら全体を俯瞰していた茄子子は、絶好のタイミングを見計らい号令を掛ける。
「よし今!ㅤやって!!」
合図を出すと同時に、さらに全体の状況を把握できるよう後方に下がる。
それは効果的な指示を出すため。
的確な指示を受けながら、皆は一斉攻撃に動いた。
「じゃあ本番だね」
史之は引き付けていた拳銃タイプにギガクラッシュ。
全身の力を雷撃に変換し、一閃と共に叩きつける。
飛行状態で宙を掛けるようにして、紫電を散らし放たれた閃きは、ロボの首を吹き飛ばすようにして破壊した。
同じように止めを刺そうと思いつつ、澄恋は戦い以外の事に気をとられる。
「にしても素敵な身体、幾千のコストが注がれて……ハッもしや今ニコラ様の技術を盗める好機では─―って痛ァ!」
思わぬ反撃。ドリルロボの手痛い一撃が炸裂。
とはいえ肉体言語で教えた不殺が効いたのか、痛みはともかく素肌に傷は付いていない。
そこに他のロボが追撃を掛けようとしたが、才蔵が止める。
「させんよ」
澄恋に連続掃射を浴びせようと集まっていた拳銃タイプにプラチナムインベルタ。
鋼の驟雨がロボの身体を撃ち据え、そのまま受け続ければ破壊されると散り散りにさせる。
(散ったか。なら、個別に仕留める)
わざと今まで雑な攻撃をしていた所を、今度は精密射撃。
動き回れないように足の関節部分を狙い撃ち、やたらスタイリッシュに動き回るロボの動きを阻害し仲間が狙い易くなるように立ち回る。
「頭さえ残しておけば破壊しても構わないのだろう?」
その言葉通り、頭部を残して破壊していく。
才蔵の援護のお掛けで態勢を整えた澄恋に、ニーヴが回復。
「怪我は残ってない?」
ニーヴに礼を返すと、情熱を込め攻撃を再開する。
「即時学習で、れでぃにも容赦なく攻撃するとは大いに優秀。正直好きになりかけましたよ。しかしここで負けてはプロ花嫁の名が廃ります」
宣言するように高らかに言った。
「旦那様に格好悪いところは見せられません!」
リーガルブレイドを自身に掛け強襲。
「殴って癒やす脳筋ヒーラーへの対処もちゃんと学習なさいな!」
旦那様との共同作業で愛の炎な炎獄を付与。
「愛とは何かを身体で覚えてもらいましょう! はぁときゃーっち!」
ロボの心臓部を抉りとった。
「観戦中のニコラ様! ほら撮ってください! わたしの旦那様があなたのロボに勝った瞬間ですよ! ぴーす!」
折角なので録画するニコラ。
てなことがある間も、皆はロボを一斉攻撃。
「余所見をしてる余裕はないですよ」
名乗り口上で拳銃タイプを引きつけたイズマは、自分の間合いから逃さず連続攻撃。
外三光からの落首山茶花。
そこから止めの剣魔双撃で、ロボの胴体を真っ二つにする勢いで破壊した。
イレギュラーズ達の攻撃で動きが鈍ったロボ達に、SpiegelⅡと迅牙が連続攻撃。
SpiegelⅡはオーバーザリミットを発動。
「コード:VOB(ヴァンガードオーバーブレイド)」
安全装置を解除し、全力攻撃の撃鉄をあげる。
リミッターを外した超速起動でソニックエッジ。
機神の如き勢いに、ロボは頭部を残して破壊される。
全力を振るい鳴り響く警告。
『Warnung(警告)。Unbekannt Einheit(不明ユニット)の接続を確認。ナノユニットの異常放出発生。機体維持に深刻な障害。直ちに使用を停止シテクダサイ』
しかし残さず破壊するため攻撃の手は止めない。
同じように迅牙も全力攻撃。
「吹き飛べ」
迅牙の狙いはあくまでもドリルタイプ。
レールガンを構え照準をつけ射撃。
狙い過たず胴体に命中させると、大きな風穴を開けるほど破壊した。
イレギュラーズ達の猛攻にロボ達は耐えられず残らず打ち倒される。
これにより依頼は完遂された。
「よし倒した! いいデータは取れたかな! イオくん、いい子に育つといいね!」
茄子子の言葉に依頼人の2人は礼を言った。
戦闘後――
「二コラさん。アリベールトの義肢ってのがあるよ。研究材料にどうぞ。見るだけでもインスピレーションが湧いたりしないかな?」
史之の申し出をありがたく受け、二コラは義肢の技術を読み取り研究に反映させる。
そのデータを澄恋や才蔵に開示。本人や知り合いが興味を持てば、いつでも追加のデータを提供すると約束してくれた。そして――
「さらに研究が進んで、面白いものができるといいね」
「素敵な結果に繋がるといいね」
イズマとニーヴに全力を尽くすと返す二コラだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした!
皆さまのお蔭でロボ達は学習し、そこから得られた技術と情報で、義手や義足などの制作が早まりました。
また、他の義肢を見せて貰えたので、そうした物のフィードバックから、より良いものが出来ることになります。
恐らく近い内に試作品などを作って、色々と活動を始めることでしょう。
そして今回出てきたロボ達やニコラは、また練達のシナリオを出す時に、出来れば出していきたいと思います。
ニコラは善良な倫理観のあるマッドサイエンティストなので、なにかしらトンチキな発明品とか出せないかなと思っていますが、なにかネタが浮かべば進める予定です。
他にも割とシリアスな感じの物も考え中です。
では、最後に重ねまして。
皆さまお疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!
GMコメント
おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
十本目のシナリオは、練達を舞台とした物になります。
今の所、幻想・鉄帝・練達を舞台として出しておりますが、今後は他の場所、深緑やラサ、それに海洋や豊穣なども舞台として出していければなと思っています。
また、シナリオの結果やプレイングの内容を反映させつつ、新規のシナリオを出していく予定です。
それらを回していくために、割とNPCを出して動かしてます。
ちなみに今回出したニコラは、倫理観はある善良なマッドサイエンティストとして、偶にトンチキな発明品を造ってはイレギュラーズに実験台になって貰うように頼む、とか出していこうかなと思っています。
それはさておきまして、以下詳細になります。
●成功条件
戦闘ロボを破壊する。
●戦闘ロボ
トゲトゲした装飾がされた、人間ぐらいの大きさのロボです。
ドリルタイプ×5
近接戦タイプ
手がドリルになっていて、ぎゅんぎゅん回して突いて来ようとする。
あと体当たりしてきます。
体当たりを食らうと、体勢不利になります。
やたらと頑丈。
2丁拳銃タイプ×5
遠距離戦タイプ
やたらとスタイリッシュに撃とうとする。
弾切れは無いです。
実弾ではなくエネルギー弾。
命中時、痺れ・ショック・感電のどれかに、ランダムで掛かる場合があります。
動きは素早く回避が高い。
戦っていく内に学習し、戦いが巧くなっていきます。
戦闘初期では連携などを取りませんが、PCの皆さんの動きを見て学習していきます。
一定以上のダメージを与えると、破壊判定になり動きが停止します。
頭部には制御コアが入っているため、頭部の破壊はしないで欲しいと依頼人には頼まれています。
他の箇所は壊してもオッケーとの事です。
●戦闘場所
50m×50mの正方形の平地。
戦闘に支障が出るような物はありません。
初期配置は、10m離れて向き合った状態で始まります。
戦闘開始のホイッスルと同時に戦闘開始です。
●依頼人
リリス&ヴァン&ニコラ
戦闘場の外から戦いを撮影してます。
話しても良いですし、話さなくても良いです。
●流れ
今回の流れは、
1 現地到着
2 戦闘場でロボと対峙する。
3 ロボと戦い破壊すれば依頼達成。
という流れになります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
説明は以上になります。
それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。
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