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シナリオ詳細

【黄昏小町】おばけとあそぼ

完了

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オープニング

●迷子のように

 仲良しグループ、リキ、トモヒロ、アキ、そしてみっちゃんは、今日も今日とて、元気に黄昏小町の空の下を駆け回っていた。

「いえーい! おれいっちばーん!」
「はあ……また二番目だ。ちょっとは手加減してくださいよ、リキ」
「何でも全力なのが、リキの良いところじゃない。それよりみっちゃん、疲れてない?」
「うん、だいじょうぶだよ」

彼らは、お寺の境内から柿の木通りまでかけっこをしていた所だ。
いっぱい走ってちょうどお腹も空いたからと、近場から柿をもごうとした、その時。

「あっ、あの子……!」
「『アイ』とそっくりだ……」

 木に背中を預けるようにして、うずくまる小さな白い影。白いシーツに覆われたような子供の影。顔色は見えないが、しょんぼりとしている事は、どことなく子供心に伝わってきた。

「ねえ、きみ、どうしたの?」
『わかんないの』
「わかんないって、何が?」
『おうちが、どこかわからないの。じぶんが、どこからきたかもわからないの』
「えー、それじゃあどうしたらいいんだよ」
『さみしい、こわい、どうしよう……』
「大丈夫ですよ、僕達がついてますから」

 一見すると異様な様子の、あやしい『おばけ』に、彼等が臆すことなく話しかけられたのには、理由がある。

『うん。だって僕、ずうっと前に、真っ赤な中で死んじゃったから。でも、僕はもう満足。だけど、僕以外の子がここに来たら。きっと、優しくしてあげて』

――――また、遊んであげたらいいんだね?

『うん、そしたらその子も、足りないものが見つかって、帰り道が分かるようになるから』
 
いつかの『友達』の言葉を、4人は思い出したのだ。ならば、これからやる事に何ら迷いはない。

「ね、帰り方が分からないんなら、まず一緒に遊ぼ」
「そーそー!」
『……いいの?』
「うん、帰り道が思い出せるまで、付き合ってあげるわよ。ともかくここでウジウジしてても、どうにもなんないでしょ」
「それじゃあまずは、皆の秘密基地まで、案内しますよ」

おばけの手を引いて、子供達は永遠の夕焼け空へと駆け出していくのだった。
 

●迷わぬように

「また、黄昏小町におばけが出てきたんですって。それもたくさん」

 一見淡々と……しかし必要な事だけはしっかり伝わるように。マチネは、黄昏小町で起こっている事をあなた達に話した。

「でも、きっと……『前のとき』みたいに、皆で遊び相手になってあげれば、きっと満足すると思うんだ」

 そうすれば、その子達が黄昏小町で恐れられる『大化けおばけ』になってしまうことはないだろう。彼女はそう言って微笑んだ。

「だからお願い、イレギュラーズ。どうか、おばけちゃん達を、明るく導いてあげて」

……さあ、今日は何して遊ぼうか。
あなたの視界に、鮮やかな夕景色が広がっていく……。

NMコメント

どうも、なななななです。
一応、当ラリーは、当方のシナリオ【黄昏小町】この子、どこの子?(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/5189)の流れを汲んだシナリオになっておりますが、こちらに参加していない方でもどなたでもどうぞお越しください。 


その他、詳細は以下の通り。

●黄昏小町
 
 永遠に夕方が続く、古き良き日本のような光景が広がる世界です。
空模様や天気はいつまでも変わりませんが、一応『夜』という概念があるらしく、毎日決まった時間に放送が流れます。

 遊ぶのはここでやめにして、今日はもうお休みしよう……という意味もあるようですが、この黄昏小町には、『夜』になってもいつまでも遊んでいると、『大化けおばけ』にどこかへ連れて行かれてしまう……という伝承があるようですが……。


●目的
・『おばけ』と遊んで満足させること

どうやら、今現在黄昏小町にいる『おばけ』達が長くここに留まりすぎると、子供を連れ去るような悪い『大化けおばけ』になってしまうようです。
しかし、『おばけ』の足りないもの……遊びや美味しいおやつやを通じて、友情や愛情を与えれば、彼等は満足し、帰っていきます。
町に溢れたおばけを成仏させるには、これが一番良い方法です。

たくさんのおばけを巻き込む遊びも、おばけと一対一で遊ぶのも良いでしょう。

●NPC

・おばけ
 子供がボロシーツを被ったような外見をした、典型的な『おばけ』の姿をした何かです。
ものを掴んだり走ったりも十分できるので、普通の遊びをするぶんには支障はないでしょう。

・リキ、トモヒロ、アキ、みっちゃん
 OPでおばけの遊び相手になっていた、地元の仲良しグループの子達です。プレイングで触れられなければ、今回は特に登場しません。

●遊び場所候補(例)

・お寺
 仲良しグループが、いつも真っ先に集まる所です。
ここではよく、けんけんぱをしたり、押し相撲をしたり、何かおもちゃを持ち寄ったりと、色んな遊びをしています。

・公園
 仲良しグループがいつも皆で遊ぶ場所の一つです。
とても広くて動きやすいので、かくれんぼの他にも、けいどろやだるまさんが転んだ、等で遊ぶ日もあるそうです。

・柿の木通り
 子供達に大人気の、甘い甘い柿がたくさん生っている木が並ぶ通りです。
柔らかめから固めまで、食感もさまざま。


・駄菓子屋
 黄昏小町の中心にある、子供達の憩いの場です。
おばけはお菓子も好きなので、あげればきっと喜ぶでしょう。

以上になります。

  • 【黄昏小町】おばけとあそぼ完了
  • NM名ななななな
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年03月30日 21時10分
  • 章数1章
  • 総採用数2人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

チェル=ヴィオン=アストリティア(p3p005094)
カードは全てを告げる

 おばけ達がわらわらざわざわと、女性の元に集まっている。チェルの持つトランプに、興味を示したのだ。

「ごきげんよう、おばけさん。チェルと遊んでみませんこと?」

 『遊ぼう』と言われたなら、おばけ達は喜び集まるだろう。カードゲームをしようという提案に、異論のある者は居ない。内容はババ抜きだ。

 何人かの手番を経て、ペアになったカードが、次々と場に出されていく。残りの手札も少なく……ジョーカーを持つおばけの表情も、あわあわと
既におばけの表情に出てしまっていることもそうだが、チェルのセンサーは、『あわわわ、ババ、引いちゃった……!』と考えている彼らの心を看破する。そこを逆手に取り、わざとジョーカーを手札に加え。そのジョーカーを、他の参加者へと回すことで、場を一喜一憂させる。このゲームで、最初に抜けたのはチェルだった。

「もう一回? いいですわよ」

 再戦の要求も、快く引き受ける。おばけもチェルの立ち回りを見て成長したのか、ババを上手に避けたり、顔に出さなかったり、手札をシャッフルしたりと、よりババを『引かせる』ようなプレイスタイルを織り交ぜており……ゲームを通じて確実に成長を遂げる彼らの姿に、チェルも嬉しそうに笑みを深めた。

「ふふっ、今度は私の負けですわね」

 『やったね』『勝ったー!』と満足げに喜び跳ねる彼らの姿は、やがてキラキラとした光に包まれ、歓喜と共に消えていった。

「また、遊びましょうね」

成否

成功


第1章 第2節

古木・文(p3p001262)
文具屋

 広い道の真ん中で、仲良しグループの子供達が、おばけ達と手を繋ぎ、輪になって歌っている。
……が、その輪から離れていく者も何人か見受けられる。おばけの何人かと、みっちゃんを伴って、文は駄菓子屋を訪れたのだ。

「好きなものを持っておいで、ただし一人ふたつまでだよ」
「だって。皆、何にする?」
『うーん』『どうしよう』『悩むなあ』

 小銭を握りしめたおばけ達は、うんうんと悩ましげに、飴やキャラメルの入った瓶などを見つめている。
何とも不思議な光景ではあるが、店主の老婆には皆普通の子供に見えているのか、ニコニコとその光景を見守るのみだ。
大人にとってはほんの少しの、子供達にとっては長い長い思案の末、彼らが選んだのは。

「水飴、ガム、竹とんぼに紙風船。これは縄跳びかな」

 皆の所に戻ったらこれで遊ぼうね、というと、おばけ達は明るく頷いた。
こうしてお使いも終わり、籠いっぱいに皆へのお土産を持ってきたなら、楽しいおやつの時間だ。

 そして、あんなにはしゃいで疲れていた子供達は、おやつを食べればまたあっという間に集まって、遊び始める。今度はおじさんも一緒だ。
やがて、皆で飛んだ大縄跳びの回数が、50に届いた頃。

『やった、やったあ!』
『うれしいな、うれしいな』
『これで、みんな帰れる』

 最後に大きく飛び跳ねたおばけ達は、そのまま天に導かれるように浮き上がり、消えていく。
その姿を、目を細め、手を振って、文はそっと見送った。

成否

成功

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