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シナリオ詳細

<ヴァーリの裁決>紺碧の涙

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<ヴァーリの裁決>
 ローレットが本拠地を構える、幻想王国。
 昨今、幻想の裏市場にて、秘密裏に開かれていたのは、大規模な奴隷売買。
 どうやら奴隷商と一部の貴族が手を結んだ結果であり、それによって治安の悪化は避けられないだろう。
 それに加えかつてのサーカス事件以来、三大貴族派及び王党派を中心に腐敗が広がってしまい、もはや国難といえる程に弱まっていた。
 しかしながら、腐敗した貴族達が再び好き勝手に勢力拡大を図ってしまっても、後々の火種になるのは間違いない。
 故に三大貴族は、ガブリエル・ロウ・バルツァーレク伯をこの事態収拾に向けた筆頭役として沈静を図ることとなる。
 しかしながら、彼自身がこの事態を抑えつけるような事は出来るわけも無い。
 事実上の実働部隊となるは、勿論ローレットに所属する君達である。
 ガブリエルの協力者であるイレーヌ・アルエもまた、ローレットの情報屋と共に情報を収集し、イレギュラーズに向けて『奴隷達の救出、そして商人達の捕縛』という依頼が出されるのである。

●紺碧の涙
「イレギュラーズの皆さん、ちょっとお話、聞いてほしいのです!」
 と、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が、ギルド・ローレットの皆へと声を掛ける。
 そして集まったイレギュラーズ達の前に居たのは、『元宇宙警察忍者巡査部長中忍』射タ風 レン(p3p004728)。
 レンと肩を並べるようにしながらユリーカは。
「幻想王国に現れる奴隷商退治に皆さん協力いただき、本当に感謝なのです。ただ、その奴隷商の暗躍が続く中、最近なのですが別の事件が発生してしまったのです」
「極秘情報なので、皆さんも他言無用なのですが……王家のレガリアの一つが眠る『古廟スラン・ロウ』の結界に何者かが侵入し、レガリアが奪われて仕舞ったのです。さらには伝説の神鳥が眠る『神翼庭園ウィツィロ』の封印もまた暴かれてしまったのです」
「それに影響されたかはまだ解らないのですが、それとほぼ同時期に幻想各地に多くの魔物が現れ始めたのです。どうも『鳥』や『巨人』にかかわる魔物達が多い様で、彼らがターゲットとするのは幻想王国の各地に広がる領地なのです」
 そして、横のレンをちらりと見上げながら。
「ヴァルツァーレク領の、こちらにいるレンさんの隣の領地に先日、魔物達の襲撃事件が発生したのです。そうなれば、追々レンさんの領地にも危機が及ぶのは間違いないのです……! そこで、イレギュラーズの皆さんに、お力を貸していただきたいのです!!」
 イレギュラーズの仲間の領地が、魔物によって破壊される……その様な事態を看過する事は出来ない。
 そしてユリーカは、もう一度皆を見渡して。
「様々な事件が次々と起こり、それらがどういう形で繋がるのかは正直解らないのですけれど……でも、魔物の襲撃を指を咥えて待っている訳にも行かないのです。それに皆さんの領地にも、同じような脅威がいつ来るとも限らないのです……だから、イレギュラーズの皆さん、魔物の撃退をよろしくお願いしますなのです!」
 と、ぺこり頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回の依頼ですが、『射タ風 レン』さんの領地に向けて忍び寄る魔物達を退治してきてほしい、という依頼になります。

 ●成功条件
   領地へと襲撃に来る魔物を退治する事です。
   勿論ですが、領民の方々を守る事も必要になります。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はBです。
   依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●ブレイブメダリオン
  このシナリオ成功時参加者全員にブレイブメダリオンが配られます。
  ゴールド、ミスリル、アダマンタイトとメダルごとにランクがあり、
  それぞれゴールド=1p、ミスリル=2p、アダマンタイト=5pとして扱われブレイブメダリオンランキングにて総ポイント数が掲示されます。
  このメダルはPC間で譲渡可能です。

 ●周りの状況
   今回の舞台はレンさんの領地『文化振興都市カルコサ』の『港町インマウス』になります。
   結構建物が多いので、町中で戦うと被害が大きくなるかもしれません。
   なので、できるだけ海辺に誘い込んで迎撃するのが良いかもしれません。
   
   敵となる魔物達は、全部飛行タイプの『鳥』の魔物達で、海辺の方から仕掛けてきます。
   上手く惹きつけないと、そのまま町の方へ飛んで行ってしまう……という可能性がありますので、魔物の陽動は忘れずにお願いします。

 ●討伐目標
   敵として襲撃してくるのは、大きな翼を持った敵、コカトリスです。
   体調1.5m程と、皆様より一回り小さいくらい(といっても鳥としてはかなりでかい部類)になります。
   数は10匹、鋭い嘴、鋭いかぎ爪で切り裂き攻撃を主軸に仕掛けてきます。
   その鋭い爪、嘴で服や防具を切り裂き、防御力を奪った上で頭から咥えて、海の上で落とす……という行動をとります。
   上手く咥えられなければ、嘴で目をつついてきたり、羽をバサバサ震わせて強風を吹き荒れさせる(BS:体勢不利)事が可能です。
   ちなみに海の上で落とされたら、再び地上に戻ってくるまでは遠距離攻撃しか届かないでしょうから、飲まれて海上落下させられない様にご注意ください。
   
   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <ヴァーリの裁決>紺碧の涙完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月18日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
一条 夢心地(p3p008344)
殿
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
アムル・ウル・アラム(p3p009613)
夜を歩む

リプレイ

●近づく影
 ローレットが本拠地を構えし国、幻想王国。
 そこでここ最近においては奴隷売買が頻繁に行われており、その解決に尽力していたイレギュラーズ。
 ……だが、今回の事件はまた別のモノ。
 幻想王国各地に点在するイレギュラーズ達の預かる領地が、様々なモンスター達に襲撃されてしまう……という事件が、ここ最近急増しているという。
「コャー……こっちの国も色々とあやしい動きが目についてきたというか……私はよくわからないのだけれど、レガリア? が盗まれるって大変なことよね?」
 と、『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)小首を傾げると、それに『ジョーンシトロンの一閃』橋場・ステラ(p3p008617)も。
「そうですね。ラサの騒動が一段落かと思えば、今度は此方。奴隷市に何かの復活やら、世界はいつも忙しいですね……」
 と溜息を吐く。
 そして『英雄的振る舞い』オウェード=ランドマスター(p3p009184)と『金色のいとし子』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)も続けざまに。
「本当、幻想は奴隷に今回の魔物と、最近は物騒じゃな……そして、価値の下がった勇者任命と……」
「そうだな。『レガリア』の盗難、それに伴っての、魔物の大量発生、それに『勇者』、か……最後は兎も角、恣意的なものは、感じざるを得ない、な」
 それら事件の時期としては一致しているが、モンスターと領地の襲撃を直接的に結びつける証拠……というのは未だ見つかっていない。
 しかし何にせよ仲間の領地を侵す脅威をそのまま放置しておく訳にはいかない。
「しかし、何故ここ狙ったのかな……? 何かを探している、のか……」
 ふと、アムル・ウル・アラム(p3p009613)が、今回のモンスター達が何故にレンの領地を襲ったのかに首を傾げる。
 暫し一人で考えて見るも、その答えを結びつけるものがなく、解は出てこない。
 ただ解っているのは、今回襲撃してくる敵が大きな翼を持った鳥獣、コカトリス達である、という事。
 鳥故に、家畜とかを襲うというなら、まだ良く聞く話ではあるけれど。
「近かった、とか、通り道だった、なんて事も……あるかもしれない、けれど……人を襲うにしても、何故、何の為に襲うのか……それぞれ、だよね……家畜じゃなくて、人を襲うというのは……食事以外のなにかの理由があるのかな……って」
 とアムルの考慮に、こくりと胡桃は頷き。
「そうなの。でもコカトリスって、良く聞くのは鶏の体を持っているのだけど、飛ぶ種類が居るのねぇ……? まぁ、それはそれとして、鳥退治なのです」
 そんな胡桃の言葉にニッ、と満面の笑みを浮かべるのは、己も鳥種な『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)。
「大丈夫大丈夫、俺より小さい鳥だ、なーんにも心配すること無いぜ! なんたって俺は海洋王国公認の『鳥種勇者』だぞ? 新しい鳥種勇者の活躍、見るがいいぜ! 飛行種族と小波の短剣、水空両用。全ての場は俺のもんだからな!!」
 潮風の香る羽を振るわせて相当の自信を見せるカイト。
 そしてエクスマリア、『殿』一条 夢心地(p3p008344)、ステラに『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)も。
「何にせよ、領地への被害は防がなければ。マリアの領地でなくとも、各領地はイレギュラーズ全体への信頼から預けられたモノ。それを守れぬなど、あってはならないこと、だ」
「うむ。領地運営に必要なものは、何よりも助け合いの心じゃ。知行に四苦八苦する者なら、それは充分に理解している筈よ。被害を最小限に食い止めるべく、微力ながらこの刀振るおうではないか」
「何はともあれ、街の、人々の危険ですから、見過ごす訳にはいきません。飛んでくるなら、全部撃ち落とすのみ、です」
「そうね、短期決戦で臨みたいところだけれども、難しいかしら……でも、頑張るしか無いのよね」
 そんな仲間達の言葉に、オウェードも。
「ああ。勇者任命の価値は下がったかもしれないが……やれる事はやっておこうかねッ!」
 と、気合いを入れる。
 そしてイレギュラーズ達は射タ風 レンの治める領地『文化振興都市カルコサ』の『港町インマウス』へとたどり着くのであった。

●鳥の零すもの
「さて、と……ここの様じゃな」
 と夢心地が周りを見渡すと、海に面した所に銅像や宿屋……という環境。
「街中を危険にさらすわけにもいかないから、出来る限り海よりで戦う必要がありそうなのね」
 と胡桃が零すと、それに夢心地も頷き。
「うむ、うむ。皆まで言わずとも分かっておる。民への被害をゼロにしたい、当然じゃ。となれば、コカトリスが現れたら町の方へ行かせない様にせねばな」
「そうなの。海辺よりの所で引き付けて戦うの。でも……私、水は苦手だから、できるだけ捕まらないように頑張るの」
「うむ、分かったのじゃ! ではカイト、エクスマリア、行くぞよ!」
 夢心地の言葉と共に、カイトとエクスマリア二人が、空へと飛び上がる。
 ……それとほぼ同時に、海の方からバサ、バサ、と羽音を立てながら飛行してくる鳥。
 かなり上空なのに、明らかに大きな体躯。
「本当……大きい……」
 とアムルが一言零し、それに頷くステラ。
「ええ……そういえば、今回の襲撃、神鳥の封印絡みであれば、ハイペリオンの羽根が何か反応したりするのでしょうか……一応、確認はしてみたい所ですね。それに後はコカトリス……拙が元いた世界での伝承だと、猛毒を持つ話が多かったです。一応、毒の対策はしておきましょう」
 青薔薇を持つ彼女こそ、毒は無効。
 敵が毒を持つかもまだ分かっていないけれど、取りあえず飛んでくるコカトリス達を、街中にまで進ませるわけには行かない。
 カイト、エクスマリア、夢心地の三人が上空からそのままコカトリスに接近……対するコカトリス達はバサバサと羽根を瞬かせ、強風を吹き荒れさせる。
 乱れた風が、エクスマリアと夢心地の体勢に影響を与えるが、カイトはそれをものともせずに、先陣切って接近。
 更にコカトリスに対し、地上の女王がダミー・コカトリスを創り出し、コカトリスの群れの周りをぐるぐると飛ばして、飛行する三人を補助。
 コカトリス達はそれを威嚇する様に更に上方へ飛び上がり、急降下して攻撃し、ダミーは消失。
「中々好戦的なヤツだ。だがな、お前達より俺は更に高く飛べるんだぜ!」
 いつの間にかコカトリス達より更に上空へと飛翔していたカイトは『緋色の大翼』を展開し、怒りを付与。
 同時に夢心地も名乗り口上を声高らかに上げ、更に怒りを付与。
 そして、二人の怒りが上手く回りきらなかったコカトリスには、エクスマリアがディスペアー・ブルーを発動して攻撃。
 三人の怒り付与と襲撃に、コカトリス達はイレギュラーズ達を敵と認識。
 そして地上に向けて降下すれば、そこにはオウェードが待ち構えていて。
「さぁ、こっちじゃ! ワシが相手しようではないか!」
 と、オウェードはディフェンドオーダーで防御重視にしつつ、上空と同様名乗り口上を上げて、降下してきたコカトリス達を、出来うる限り地上に縛り付けようと、地上にて怒り付与を行う。
 そう仲間達が動く中、女王とアムル、胡桃が。
「……さて、と……では宜しいでしょうか? ……行きますわよ」
「……うん」
「了解なの!」
 不意を突く形で姿を現わした彼ら彼女らが敵の前に立ち塞がり、素早くアムルがソニックエッジを放つ。
 続いて女王も大罪女王を発動し、オウェードへのターゲットの一部を剥がして、自分へと向くようにする。
 そして胡桃は「らいとにんぐすた~りんぐ」を、発動し、ショック降下で抵抗力を大幅に削ぐ。
 最後にステラが、プラチナムインベルタを全力で放ち、地上のコカトリスを纏めて攻撃する。
 次の刻、早々にコカトリスは早々に甲高い鳴き声を上げて、イレギュラーズ達を威嚇。
 そして至近距離のオウェードとカイト、エクスマリアへ二体ずつ、鋭い嘴を突き立て、その防御を切り裂くべく動く。
 更に別のコカトリス2匹については、少し浮かんだところで羽根をはためかせ、強風を吹き荒れさせてイレギュラーズ達の体勢を崩そうとする。
 そして体勢を崩したところに、残る2匹のコカトリスが。
『ピィィィ……!!』
 と、強く鳴いて、女王とエクスマリアへと飛行接近。
「っ……流石に取り付かれたわね!」
 とっさに躱そうとするが、大きく開いた嘴に挟まれ捕縛。
 対しエクスマリアについては多少距離を取っていた故に、その動きを察知し、咥えられる前に回避する。
 そして咥えられた女王は、コカトリスと共に海の方へ。
 カイトがすぐにそれを追跡するが。
「っ……離しなさい! 我が業を、求めよ!」
 と、女王は口内に向けて剣魔双撃を放つ。
 流石のウィークポイントである口内に喰らったコカトリスは、グギャァと鳴いて口を開く……さすれば、咥えられていた女王は、そのまま海中へと落下。
「そこの船のロープを使え!」
 とカイトが叫びつつ、口内攻撃を受けたコカトリスよりも高所で。
「俺は猛禽だからな、鳥も食うぜ! だから美味しい焼き鳥になっちまえよ!」
 炎狩を敵の更に上空から放ち、コカトリスを炎に包み……コカトリスは更に悲鳴を上げて行く。
 敵の攻撃一巡した所で、アムルは『Andante:歩く速さで』発動し、敵に微かな羽音を響かせ、APを吸収しつつ足止め。
 続き夢心地は黒顎魔王、エクスマリアは『金色のいとし子』で自己治癒を付与しつつ、再度ディスペアー・ブルー。
 魅了効果が上手く入れば、同士討ちを狙える筈……とは言え次の刻を待つ。
 そしてオウェードが、攻撃してきた敵を返り討ちにするべくバックハンドブロウを叩きつけ、その後、胡桃がAKAの後に魔砲を撃ち抜き、ステラは識別ありのプラチナムインベルタで、的確に敵を範囲攻撃。
 ……一方、海に堕とされた女王は、カイトの持ち込んだ『紅鷹丸』にロープで何とか上がる。
 そして、海に堕としたコカトリスをにらみつけ。
「この我(わたし)を海に落としたわね……っ! かっ捌いて焼き鳥にでもしてやる!!」
 並々ならぬ嫌悪感、そして……怒りを露わに叫ぶ。
 ……流石にその叫びに、コカトリス数匹がピィ、と甲高く鳴いて驚いた模様。
「凄いですね……その気迫。兎も角咥えられたら、早々に口の中に打込めば、海への落下は避けられそうですか」
「ん……そうだね」
 ステラに頷く胡桃。
 取りあえず二人は最後方に居る事で、咥えられる可能性は一番少ないだろうが、注意はしなければならない。
 更に次の刻。
 エクスマリアの魅了効果が解除出来なかった数匹が、仲間同士の同士討ちを始めると……それに対抗してピギャァと鳴いて反撃するコカトリス。
 イレギュラーズに相対出来る戦力は半分程度となり、対処にも多少の余裕が取れる状態へ。
「……まだ、停まっていて」
 と再度アムルがAndante:歩く速さでを発動し、残る敵を再度足止め。
 そして、そんなコカトリス達に一切の容赦なく女王が。
「燃え尽きなさい!!」
 と、全力のH・ブランディッシュを振り薙ぎ、纏めて攻撃。
 さらにはカイトの炎狩り、夢心地の黒顎魔王も容赦なく打ち付けられ、オウェードも更にバックハンドブロウ。
 そして胡桃が後衛から魔砲とブラックジャックの連打、ステラがプラチナムインベルタ、と立て続けに攻撃。
 ……流石に攻撃を受けて、魅了のこうかが薄れた敵もいるが、そこに再度エクスマリアのディスペアー・ブルーが発動。
 再度の魅了効果に陥れて、敵の手数……いや、嘴数を極力下げるようにしていく。
 そうイレギュラーズが手数を制限する攻撃を繰り返し続け、数刻。
 中々しぶとかったコカトリス陣だが、同士討ちもあり傷だらけに。
「さぁさぁ、もう終わりかぁ!」
「その様じゃのう! 悔しいのなら、攻撃してくるのじゃ!」
 カイトと夢心地の挑発に対し、コカトリスは威嚇の咆吼を上げるまで。
 そんなコカトリス達に。
「さぁ、そろそろおしまいにしてあげましょう!」
 とステラが渾身のプラチナムインベルタ。
 舞い狂う鋼の驟雨が羽根と身体を貫き、次々と悲鳴が上がる。
 そしてステラに続いて胡桃の魔砲と、アムルのソニックエッジが立て続けに決まり、一匹、また一匹と止めを刺す。
 そして……。
『ピィィィ……!!』
 残り一匹となった所にひときわ甲高く響き渡る鳴き声……大きく羽根を翻して強風で体勢を崩した所に、そのまま逃げようと……。
「逃がさねえよ? 猛禽舐めんな!」
 とカイトが回り込んでのバックハンドブロウ。
 その一撃の前に、全てのコカトリスが海辺の砂浜に並ぶのであった。

●安らかに
 そして、襲撃せしモンスター達を一通り倒し通したイレギュラーズ。
 目の前に転がる、自分達より少し小ぶりなコカトリス共の遺体を見下ろしながら、オウェードは。
「しかし、ワシらが奴隷商人を取り締まっている間、このように魔物襲撃が来るとはのう……怪王種の例もあり、敵も必死のようじゃな……これは最悪、カムイグラの黄泉津瑞神のような決戦が、いずれ来るかもしれぬのぅ……」
 と、ぼんやりとした不安を口にする。
 ……とは言え、現時点においてはその朧気な不安以上、確実な答えは見いだせない。
「まぁ、確かにのう。しかしながら、それに備える以前に領民達を護る事が麿らにとって重要な事じゃ。領民に気取られること無く、片を付けることこそが最善。人知れず問題事を解決してこその殿的存在じゃからの。なーっはっはっは!!」
 扇子を広げ、心地よく高笑いする夢心地。
 確かに彼の言う通り、下手に民に気を遣わせるより、何も無かったから安心してくれ……と言えた方が、今後の襲撃の不安に思わせることも無く、良い事であろう。
 流石に今回は海岸からとは言え、近くに宿屋などがある関係上、全く知らない状態……という訳には流石にいかないけれど、今回はまぁ、上々と行った所なのは間違いない。
「とにかく今は勇者になる為の競争じゃのう……ワシも勇者を狙ってるのだが、なろうがならなくともたどり着く道は皆同じじゃ……パンドラを貯めて破滅を阻止する。これも無駄な行為では無い……」
「そうね……ま、これから先にどういう事が待ち構えているかは解らないけど。取りあえずは被害を受けた所の修復とかをしに行きましょうか」
「そうじゃな、レジーナ様。ワシも全力で手伝わせて貰おう」
 女王に頷くオウェード。
 そして、多少ではあるが被害を受けた海辺の宿屋の修復を始めるイレギュラーズ。
 仲間達が修復している一方、海辺に残るコカトリスの影を見つめるのはアムル。
 倒したコカトリスの身体を暫く見つめるが……その姿は消える気配は無い。
「うーん……消えない、のかな……。そうなると、ここに放置したまま、というのはちょっとまずいかな……」
 放置しておけば……万が一ではあるが再び息を吹き返したときにまずいかもしれない。
 ただでさえ……周りの鳥や魚たちの生態系にも影響が出るかもしれないだろう。
「出来る限り回収しないと、不味いよね……? 手伝って貰っても、いいかな……?」
「コャー。了解なの」
 鳥に吹きかけられた塩水をふるふるっと身体を震わせながら、アムルに頷く胡桃。
 鳥が万が一にも動き出さないよう、取りあえず翼やらを解体。
 更にエクスマリアが。
「鳥の心臓は……ここか。ここを突いておけば、再び動き出す事は無いだろう」
 と、改めて心臓を刺して、完全に息の根を止める。
 そして街の外れまで運び、地中へと埋葬。
「……これで、良し……っと。それではローレットに報告に帰りましょう」
 ステラの言葉に皆も頷き、そしてイレギュラーズ達は『文化振興都市カルコサ』を後にするのであった。

成否

成功

MVP

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽

状態異常

なし

あとがき

皆様のおかげで、大きな被害無く街は守られた様です。
街の方々も、皆様に感謝一杯だと思います……!
領地防衛シナリオに参加いただきました皆様、ありがとうございました!

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