PandoraPartyProject

シナリオ詳細

【Tissier Town】お茶の席ではお行儀よく

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●お茶会、その筈が

 今日のティシエール街は、普段街で見ない顔が、物珍しそうに街の一つ一つを見渡している。
年に一度のティシエール祭りなら、今年はとっくに終わったはずなのだが。街のシンボルたるチョコレート噴水前は、多くの人でごった返していた。彼らの手には、一様にクレープの封筒に包まれた『招待状』が握られている。

すると、ウェハースの演説台に、ふくよかな男性が上がってきた。

「皆様、はじめまして。私はこの街の長をしております、アルモンドと申します。本日はこのティシエール街までお越し下さり、誠にありがとうございます」

深々、白髪混じりの頭を下げて彼は続ける。

「本日、皆様をご招待しましたのは、外部の皆様にも、このティシエール街の魅力を伝えて、再び、この街の活気を取り戻したいから、であります。この街は今、年々若者の流出が増加しており……」

「話が長いんだよオヤジー!」
「そーだそーだ!」

しかし、そこに若い野次が飛び込んでくる。

「なぁ、早く食おうぜ、こんなに美味しいもんがあるんだから」
「賛成〜!」
「あ、あの、お兄さん達。お話が終わったらお菓子はたっぷりとありますから……もう少しだけ待ってはくださらないかしら?」
「うるせぇババア!」

静止に入ったマリアの横をズカズカと歩き、シフォンケーキの壁を毟り喰らう。
その手に、彼等が招待客たる証は、無い。

 勿論、この街のお菓子はいくら壊しても味は変わらないし、食べたらいつの間にか、また美味しいものがやってくるのだが。
このような横暴をされては、楽しめるものも楽しめない。
しかし、ティシエール街の人々は、このような騒ぎに見舞われたことなど無く。招待客の中にも、まさかこのような事態を想定していたものなど居るまい。

ただただ、彼等の身勝手な振る舞いに唖然とするばかりであった……。




「もうっ、酷い事する人もいるんだね」

 物静かなマチネにしては珍しく、眉を釣り上げて、頬をぷっくり膨らませている。彼女にとっても、平和なこの街が乱される事は、許しがたい事態であるようだ。

「勿論こんな事は止めなきゃ、なんだけど、多分、そのお兄さん達、お話を聞いてくれる感じじゃないよね……。だからイレギュラーズ。いっそのこと、思いっきりお灸を据えてあげてっ」

心なしか、平素よりも血気が頬に宿った顔で、彼女は貴方達を送り出した……。

NMコメント

ティシエール街へようこそ。
ティーパーティーが無事に楽しめるように、キュッとならず者を締めてください。キュッと。

以下、詳細になります。

●ティシエール街

 家も公園の遊具も外灯も、お菓子で作られた不思議な街です。
 
 街中のお菓子全てに不思議な魔法が掛かっていて、思いっきり踏んだり叩いたりすれば割れるものの、何をしても汚れる事はなく、食べてお腹を壊すこともありません。
また、食べてもまたすぐに、新しいものがどこかからやってきます。 
『チョコ噴水』『パフェ公園』『シュガーハーバー』『ハニー池』『ベークド通り』等、人気のスポットから寂れた裏通りまで、お菓子に覆い尽くされています。

 この街のお菓子は適当に剥がしたのを食べても美味しいのですが、アレンジを加える事で、より美味しく作り変えるものも多いようです。
今日はそのお菓子を、招待客一同に振る舞いながら、街の名物スポットを伝える催し……の、筈でした。

詳しい雰囲気などは、以下のリプレイをご参照ください。

↓↓↓
【Tissier Town】お菓子の街を、味わおう
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/5091

●目的
・『ならず者』をやっつけて、無事にティーパーティーを開催すること

 幾らティシエール街のパーティーといえども、いかんせん彼らは騒ぎ過ぎなので、軽く締めてあげてください。
因みに彼等は正式な招待客ではないらしく、ティシエール街の賑わいに惹かれやってきた浮浪者のようです。

●エネミー

ならず者×4

 テンションが上がりすぎたウェイ系の若者です。手にした固そうなお菓子で殴りかかってきます。殴打が地味に痛いのと、すばしっこいのが特徴です。
ちょっと頭を冷やしてあげてください。

●NPC
・ティシエール街の人々&招待客

 何年もずっと街でならず者が暴れることなど無かったのでアワアワしています。特にティシエール街の人々は老人や子供が多く、戦う力のあるものはあまりいません。
しかし、皆さんの応援をしてくれたり、騒動の鎮圧に貢献したイレギュラーズには、たっぷりとお礼をしてくれることでしょう。
 
 因みにティーパーティーには、街の名物おばあさん、マリアおばあちゃんも居ます。呼ばれたらイレギュラーズの近くまで来てくれることでしょう。



以上になります。
マナーの悪いお客様にはお帰りいただいて、美味しい時間を楽しみましょう。

  • 【Tissier Town】お茶の席ではお行儀よく完了
  • NM名ななななな
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年03月17日 21時55分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

嶺渡・蘇芳(p3p000520)
お料理しましょ
パティ・ポップ(p3p001367)
ドブネズミ行進曲
アドラ・ドール・シュタイフ(p3p008450)
名も無きドール
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ

●お茶会、その前に

 騒ぎ出した若者達に、なす術もなく戸惑う人々。その傍迷惑な男の肩に手を伸ばした青年を見て、町長とマリアは目を丸くした。

「あら、あなたはこの前お手伝いしてくれた……!」
「ティシエール祭にもお越しくださった方ではありませんか」
「町長さん、マリアさん。ここは俺達に任せて」

 そうして『新たな可能性』イズマ・トーティス(p3p009471)は微笑むと、今度は男達に強い口調で言い放つ。

「ちょっとこっちに来てもらおうか」
「おお、怖い怖い」
「なんだ、威勢のいいやつもいるじゃねーか」

 口ではそう言いながらも、男達はイズマの圧には逆らえず、男達は建物等からは少し離れた位置へと移動する。しかし、手にはしっかり、鉄棒の一部だったプリッツを握っているあたり、まだ戦意までは失っていないらしい。

「そんな事しなくたって、お菓子は逃げないのに。他の人を虐めるのはメッ、なんだよ」
「なんていうか、喧ちい連中でちゅね。
あちしも、パーティちゅるために、こんな連中を放置出来ないでちゅ。招かれざる連中には、ちゃっちゃと、お帰りちてもらうでちゅ」

 『初めてのバー』アドラ・ドール・シュタイフ(p3p008450)、『ドブネズミ行進曲』パティ・ポップ(p3p001367)は、イズマに比べると明らかに小さいもので。『この顔ぶれなら、コチラに分があるのでは』と淡い期待を持ったならず者達。しかし、その思い込みはすぐに打ち砕かれる事となる。

「もー、いけない子達ねー。こういうのは、節度を守るから楽しいのにねー。招かれざるお客様には、御退場をー」

 ゆっくりとした足取りで、前に出てきた『お料理しましょ』嶺渡・蘇芳(p3p000520)も、あらあらまあまあとばかりに男達に笑いかけるが。

「先に言っておくわー。ごめんなさいねー、おばさん、手加減が苦手なのよねー。だから、全速力で斬っちゃうからねー」
「ヒエッ……」

 笑顔の裏に『何か』を感じる男達。しかし、今更後には退けない。ヤケを起こしたものの一人が、巨大なロリポップを棍棒のようにして、最初にならず者達の注意を引いていたイズマへと殴りかかってくる。

「ワーッ!!!」
「おい、馬鹿!」
「あらま」

しかし、その飴は蘇芳には当たらない。彼女に当たるより先に砕け散った……否、蘇芳専用の包丁で切られたからだ。

「ゲエッ!?」
「隙アリでちゅ!」

 突然の事にうろたえる男に、パティが更に追撃を加える。目にも止まらぬ勢いで突撃したかと思えば、ブレイブラッシュを叩き込んだのだ。

「早く謝った方が良いと思うよ? そうじゃないと、もっと痛くなっちゃうかも」

 残る男達の顔を、アドラはウサギのぬいぐるみとともに覗き込む。飴とともに戦意も砕けた者。あっという間に圧倒されてしまった者。残るは恐れおののく二人。答えは明確だった。

「ご、ごめんなしゃい……」
「もう二度とこんな事はしまふぇん……」
「うん、じゃあ。手、出して」

アドラに促されるまま、リーダー格の男が震える手を伸ばす。

「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーますっ、指切った!」
「今回は力を使わせてもらったけど、本当は俺達だってこんな事はしたくないんだ。だって、こんな勝手な振る舞いをされちゃあ来た人が楽しめないだろ。もうこんな事はしないと、約束できるな?」

 アドラの純真無垢な約束と、イズマの念押しを裏切れる訳がない。伸びた一人を除いて、ならず者達は皆まっすぐ頷いた。勿論正座体勢で。

「うふふ、皆聞けば分かる良い子で、おばさんホッとしたわ〜」
「こうなるくらいなら、最初っから話を聞いてほしかったでちゅけどね」

 蘇芳と対照的にパティは毒づくが、しかしこれ以上彼らは暴れないと言うならば、手を下す理由もあるまい。
ふと周りを見てみると、イレギュラーズの活躍に、人々から称賛と拍手が巻き起こっていた。

さあ、改めて、甘く楽しいティーパーティーを始めようではないか。

●今度こそお茶会を

 ならず者達が鎮まってからは、招待客や、それをもてなすティシエール街の人々の、明るい笑い声が、辺りを包み込んでいた。街のヒーローでもあるイレギュラーズもその輪に加われば、暖かく迎え入れられる。

「何度も何度も、お世話になってしまい……申し訳ないです」
「あたしも、年ばかり重ねてお役に立てなかったわね……」
「町長さんもマリアさんも、気を落とさないで。それよりも、今日は紅茶を持ってきたんだ。ここのお菓子にもよく合うと思う」
「まあ……素敵だわね」

 イズマもまた、持参した紅茶を手土産に、町長、そしてマリアと明るく語らっている。

「何だか喉が渇いちゃったわあ。お茶、持ってきてくださる?」
「はい!! 今持ってきやす!!!」
「うふふ、すぐ動けるなんていい子ねぇ」
「……で、なんでこいつ等がまだ居るんでちゅか」

 うんざりした顔で、パティがそう尋ねる。蘇芳の要求に、元ならず者の男がパタパタ駆け回っていたからだ。

「さっき、町の人達に謝りに行く時にね、おばさんやアドラ君も付き合ってあげたんだけど、そこで約束したのよぉ。どうもこの子達、他に行く場所が無かったらしいんだけど、『迷惑をかけた分、町のためにちゃんと働きます。この素晴らしい街を守らせてください』って。そうしたら、町長さん達も許してくださるって」
「うん、それにさっき僕とも、針千本ってしたからね。もし破ったら、本気で千本飲ませちゃうからね」
「はっハイィィィィ! 二度と致しません!!」
「……ふぅん、そうでちたか」

 ならば、自分からはこれ以上は何も言うまい。万が一また暴れるなら、今度こそこの街に二度と入らせないようにするだけだ。それよりも。

 パティが目を向けたのは、テーブルに載せられた、ティシエール街の各所からより集めた特急の美味達だ。そのうち、『ベークド通り産』と記されたクッキーに、小さな手を目一杯伸ばす。

 さくり、葉を立てたならば広がるアーモンドの香りと、ほろりと崩れる食感。甘みはしっかり感じるのに、しつこさを全く感じさせない。
次に手を伸ばしたのは、その隣にある、ココアが練り込まれたクッキーだ。こちらはカリッ、と、より硬い歯ごたえではあるが、砕けた先から広がる、ココアの香りとほろ苦さが、クッキーの味により深みを与えていて。

「……美味しいでちゅ」

温かい紅茶に口をつけた後、次はどれを食べようと指を彷徨わせるパティだった。

「お兄さん達ぃ、そんなにキリキリ働き詰めじゃ疲れるでしょ、少し休みなさいな」
「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて順番に……」

 蘇芳の提案に、恐れ多くも甘える男達。もはや完全に、握られている気がする……が、形はともあれ彼らが改心してくれるなら、ティシエール街の人は拘らないのだった。休憩に入った元ならず者に、蘇芳が「これも美味しかったわよ」と、フルーツポンチゼリーを手渡す。見た目にキラキラ美しいだけでなく、つるんとした喉越し、炭酸のぱちぱち感が口の中を楽しませてくれる。

「ねっ、こうやって皆で食べると、どんなものでもとっても美味しくなるでしょう? 独り占めはダメよ、ここのお菓子は皆のものなんだから、皆で分け合わなきゃ、ねっ」
「分かったよ……お母ちゃあん……」

男の頬で一滴、涙が線を描いた。

「パフェ……食べてみたかったんだよね」

 一方、『ティシエール街のお菓子でオリジナルパフェを作ろう!』のコーナーにつられて、アドラは列に並んでいた。
パフェグラスにまずシリアルを注ぎ、その上にバナナを敷き詰め、更にサクサクウェハースを添えて、仕上げにクリームを乗せれば、まさしく完璧なバランスなパフェの出来上がりだ。しかし、もう一つ、何かが欲しいような。
ふと目に止まったのは、街のシンボル、チョコレート噴水。閃いた、とばかりにアドラはそこに近づけば、スプーンでチョコレートを掬って、パフェへそっと垂らしていく。白いクリームに、黒いドレスがよく映える。
まずは頂上のクリームから一すくい。ひんやりとした冷たさ、しかしまろやかな甘さが、舌に幸せを教えてくれる。

 すると招待客もアドラに倣い、続々と噴水側まで近づいてくる。彼らもまた、幸せの味に歓喜の声を上げていた。

「そうそう、イズマさん。今日のために、ハニー池の蜜を使ったキャラメルも作ったのよ。味見してくれるかしら」
「本当ですか、マリアさん」

そう言われれば、断る理由などない。
カラメルとミルクの色が合わさったような、艶のある小麦色。その一欠片を、口に含む。

 最初はキャンディのように固かったそれも、温度で徐々に柔らかくとろけていき、香ばしい香りとバターの芳醇な香り、柔らかい甘さが口の中に広がっていく。噛まずとも徐々に塊は小さくなっていき、最後には静かに溶けていった。

「美味しいです、マリアさん」
「まあ! 嬉しいわあ」

 実はね、今日はこんなのも作ったの。と、マリアは少女のようにはしゃいで、イズマを案内していく。彼にとっては何度も来たこの町だが、今日も美味しい発見がありそうだ。

 こうして、一度はトラブルに見舞われたティーパーティーは。
その場にいる者全てが笑顔のままで、幕を下ろしたのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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