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シナリオ詳細

【黄昏幻影奇譚】荒覇吐編

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●アラハバキ
 枯れていく。飢えていく。病が流行っていく。そして世界が壊れていく。
ああ、ああーー
 まただ。またしても。やはり誰も。
 いつからだっただろうか。こんな事になってしまったのは。
誰か。誰でもいい。誰か私をーー

●客人神
「やあ、イレギュラーズの諸君。よく来てくれたね」
 そう言ってイレギュラーズを迎えた境界案内人のミヤコ。
 黄昏幻影奇譚が用意されている、という事はまたしても怪異絡みだろう。
「早速だけど。客人神、て知ってるかな?」
 神社の主祭神と対等もしくは下位に位置する神。外からやって来て主祭神には従属はしていない状態で祀られる神の事である。
「それゆえ旅の神とされる事もある」
 そして少し間を置き、軽く溜息。
「今回はその神の一柱である荒覇吐(アラハバキ)神の討伐が目的だ」
 先程の溜息の真意を尋ねる。
「この荒覇吐、出自は不明なんだけどね?本当なら討伐しなくても良かった筈の神様なんだ」
 意味がわからない。
「うん、なんの因果かその神性が歪んでしまったみたいでね」
ーーそれが厄災を撒き散らす神と成り果ててしまった。
 そこにいるだけで死をばら撒くのだ。そしてこの荒覇吐。旅の神がゆえに各地を旅するしかない。そしてその被害は広がっていく。
大地は枯れ果て飢饉となる。そして食料を奪うため、凄惨な殺し合いが始まる。病が流行り治療法もない。そして親が子を殺し始める。天災が起き、手の打ちようがない。そして世界も、人間も荒れていく。
 まさに神の所業と言える厄災である。歩く天災、とでも言うべきか。
「……本当はこの神様。人間の事が大好きだったんだ。人とお喋りするのが好きだった。共に食事をするのが好きだった。人をずっと見守っていくつもりだったんだ。ただ、なぜか神様としての在り方が変わってしまった」
 神は人間と同じ様に自害する事は出来ない。ゆえに。それゆえに。そうするしかないのだ。
ーーだから。だからどうかこの神様に。終わりを与えてあげて欲しい。

NMコメント

●目標
荒覇吐の討伐

●荒覇吐について
荒覇吐の居場所は大まかですが判明しています。
今は洞窟の中に引きこもっていますが
OPにあったように旅の神です。
いつまでも洞窟にいられません。

荒覇吐がいた村も判明しています。廃村ですが。
謎だらけの神ですが、村内を調査すれば
何かわかるかもしれません。
わからないかもしれません。
少なくともどのような生活をしていたかぐらいは記録に残っているでしょう。

●技
枯れ果てる大地:大地が、動物が、植物が枯れていきます。
疫病:病がばら撒かれます。
荒れ狂う世界:天災により世界が荒れます。
流れる涙:自己回復します。

  • 【黄昏幻影奇譚】荒覇吐編完了
  • NM名アルク
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年03月14日 21時55分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

志屍 志(p3p000416)
密偵頭兼誓願伝達業
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
ドゥー・ウーヤー(p3p007913)
海を越えて

リプレイ

●荒覇吐
 荒覇吐を討伐する為、黄昏幻影奇譚の世界に降り立ったイレギュラーズの一行。空は雲がどんよりとしていて暗い。今にも降り出しそうである。そしてその荒覇吐がいたという廃村に来たはいいが、目的の洞窟は大まかな場所しか聞かされていないためにあとは実地で探すしかない。
 ならばと『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)が精霊操作にて調査に乗り出す。
「随分と周辺に影響出そうだし、キミ達ならすぐ感知できるでしょう」
 動物疎通を使えば何かしらの情報を拾えたかもしれないが、今回ばかりは期待するのは無理だろう。
 それに洞窟自体は今いる村から近い場所にあるらしい。きっとすぐ見つかるはずだ。見つかれば後は自分たちの出番である。
 それとは別に村内を調査をしている者もいる。『遺言代筆業』志屍 瑠璃(p3p000416)と『海を越えて』ドゥー・ウーヤー(p3p007913)だ。
 何をしているのかと言われれば。ギフト『屍の声を聴く』とスキルの霊魂疎通で死者の魂との意思疎通をしているのだ。それぞれの想いを胸に。
 旅人(ウォーカー)でもある瑠璃。今回の荒覇吐は。故郷にあった神社にて祀られていた神様と同じ名前であり。そして自分が所属していた組織と名前が似ている。要は今回の荒覇吐に親近感を覚えたのだ。だからこそなのだろうか。だからこそこの状況は信じたくはなかった。きっと今でもそうなのかもしれない。自身の故郷でも同じ状況になったとしたら、それこそ今の自分と同じ事をするだろう。それにもし自分がこの荒覇吐と同じ立場になってしまったら。自身を殺める禁忌を持たない人の身である事に、どれほど救われるだろうか。だからこそ、討伐対象である荒覇吐を放っておけなかったのだ。
 同じく旅人(ウォーカー)のドゥー。望まない変貌。やりたくもない事をやってしまう。それは非常に辛い事だと思う。だからこそ止めなければならない。それにはまず荒覇吐について知らなければならない。知りたい事は沢山ある。だが、今はそれほど時間はかけられない。きっとこの神様について知れば知るほど辛くなるだろう。でも。だからこそ。この神様を止めなければ。

●洞窟
 ルーキスの調査も程なくして終わりを告げた。目的の洞窟が見つかったのだ。そして荒覇吐が中にいるのも確認済みだ。
 妻であるルーキスに労いの声をかけつつ『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)は思考する。
 神殺し。響きだけなら格好いいかもしれない。実際の所どうかは知らないが。とは言ってもやらなければならない事案である。在り方が変わってしまったがゆえに。仕方がない、と納得するしかない。しなければやってられないのだ。
 そして神様の仮住まいである洞窟の前。瑠璃の神楽が奉納される。なんでも瑠璃の故郷で行われていた神楽なのだとか。その神楽を奉納する瑠璃も内心は決して穏やかではないだろう。だが、それでも荒覇吐に出来ることがあるのならば。
 洞窟内。壁にもたれて座っているのが一人。いや、一柱か。
ーー君達は……?いや、それよりもここへ来てはいけない!すぐに立ち去りたまえ!
 荒覇吐の神性の影響力だろうか。よく見れば蝙蝠やらなんやらの死体がそのへんに転がっている。斑点模様があるところを見ると疫病だろう、どれも真新しいモノばかりである。
「……あなたを、止めにきたんだ」
 絞り出すように声をかけるドゥー。
ーーあ、ああ……、ああああああ!!!!
 まずい、力が暴走している!自らに危機が迫っていると本能が察知したのだろうか。
 激しく揺れる地面。雷を伴う激しい雨。
 そして洞窟も地震の影響もあるだろうが、急速に乾燥しひび割れていく。
 それが落石となり、生命力を奪う力となりイレギュラーズを襲う!
 咄嗟にルーキスを庇うルナール。庇い役として元々名乗りを上げてはいたが咄嗟に妻を庇ったのは流石というべきか。
「ひゃっほう神殺しだぁ☆」
 お礼も程々にファントムチェイサーで狙撃し始めるルーキスのテンションは高い。
 ルーキスも旅人(ウォーカー)ゆえ、別世界から来ている。元の世界は神霊やら魔物やらが跋扈する魔術世界。この手の存在は特段珍しくもないだろう。
 そして混沌、延いては黄昏幻影奇譚における別世界での神殺し。なぜこの荒覇吐がこうなったのかはわからないし、後で調査するにしても。
 害が出る以上は仕方がない。
 それに異世界の神様を相手取るのは初めてなのだ、これも良い経験になるだろう。
「頑張ろうねぇルナール先生」
 先生。夫婦ではあるが師弟関係でもある。そして先生はルーキスのはずなのだが、ルナールが先生とはこれいかに。
「何やらうちの奥さんが大変楽しそうで何よりだな?」
 ルーキスに苦笑しつつも荒覇吐へ一気に距離を詰め、放つクレセントサイズ。
「さて、この神様とやらは何処が一番脆いかな?」
 いつもなら攻撃はルーキスに任せ、自分は庇い役に徹するのだが今は必要ないだろう。
 死者に口無しとは言うが。霊魂との意思疎通が出来る瑠璃。その口から語られるは。
 霊魂が語った荒覇吐の事。それが一つ一つ語られていく。恨み辛み。
 当然の事であろう。良き隣人であったはずな存在が理不尽に牙を剥く。そして何もかも奪っていくのだ。
 だが、それよりも。この神が目を丸くしたのは。
 それが恨み節ばかりではない。瑠璃に無数の村人が重なって見えるのは気のせいだろうか。
 恨み言があるのは事実だが、荒覇吐を想い気にかける者も多数いるのだ。
いわく、お礼とそしてーー。
ーーわからない!わからない!どうしてこうなってしまったのか!こんな、こんな!
 慟哭。絶望。悲哀。その心中は如何程か。流れる涙は荒覇吐が死ぬことを許してくれない。そして相反する力である疫病がばら撒かれる。命を蝕み徐々に削っていく。
 瑠璃と同じく霊魂の声を聞いていたドゥー。霊魂が何を語られていたのか、それを知っている。
 だからこそ、早く終わりを告げられるようにと全力で放たれるベリアルインパクト。
 何もかもが自分のせいで壊れ、大好きな人達も傷ついていく。自分が同じ立場ならそんな事、耐えられない。だからこそこんな戦い、長く続けたくない。せめて最後は安らかに眠って欲しい。
 そして再び瑠璃。霊魂から聞いたのは恨み言があったのは事実。だがそれだけてはない。それ以上に優しい言葉、そして願いがあった。つまり安らかに眠って欲しいーーと。更には恨みを言っていた者も結局は願いは一緒だったのだ。全員が全員、この神様が大好きだったのだ。
 願いがあるのは瑠璃も同様である。この神が『新しい場所へ行きたい』という願いが強く強く願えるように。
 神とは信徒の願いを力とするもの。だからこそこの神に助力を乞い、その力を借りて呪術を放つ。呪いと願いは表裏一体。呪いは願いに他ならない。
 瑠璃の願い。
ーーどうぞこの優しい悪神に私の、願いが通じますように。
 呟きと共に放たれた呪術は悪神に終わりを告げた。

ーーありがとう、人の子らよ。どうか汝らの行く末に幸多からんことを。

荒覇吐がそう最後に願う声が聞こえた気がした。

●その後
 洞窟に来る前にいた寂れた村。荒覇吐が滞在していた村。調査しようと村に行きたがるルーキスに苦笑しつつも
「はいはい、うちの可愛い奥さんがそういうなら調査しに行くかー」
 カミサマってのは概念的には強いもの。それを歪める原因とは如何程なものなのか。それを突き止めるとは面白そうではないか。
「面白いかはさておいて、何かわかれば今後の役に立つかもしれないしな」
 そんな会話をしつつも村を再調査する一同。だが、残念ながら神性が歪んだと思われる原因はわからずじまいである。
 しかし、荒覇吐がどんな生活をしていたかはわかった。それこそミヤコが言っていたように。
やれ、どんな会話をしたとか。やれ、どんな食事をしたとか。あるいはどんな農作業をしたとか、祭の準備を積極的にやってくれたとか。
 そんな何気無い、普通の生活。
 それが、突如崩れ去る。神性の歪み。
 きっとこれで終わりではない。恐らく今回と同じような事がこれからも有るはずだ。
 なればこそ、自分達なら止められる。
 それぞれの想いを胸にイレギュラーズは帰路に着くのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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