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シナリオ詳細

<リーグルの唄>出会い、混乱、あなたの奴隷

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●奴隷市の混乱と災厄
 はじめはただ、奴隷を買いに来ただけだった。
 ラサの一件で外聞が悪くなったとはいえ畑や牧場の労働力は必要だし、高い知性や教養を求めないのであれば充分合理的な買い物だ。
 それでも奴隷売買を反対する動きは高まり、ギルドローレットなどはその矛であるかのように幻想国内にあるいくつもの奴隷売買所を襲撃していた。
 ゆえに、当然というべきか、ラサより流れてきた奴隷商ズェッペと反アーベントロート派悪徳貴族の間でアンダーグラウンドな奴隷売買が行われるに至る。
 こうしてある幻想貴族の召使いである男もまた、その闇奴隷市の場所へとやってきたのである。
「この場所で間違いないはずだが……」
 招待客にのみ配られるカード。黒い鳥を象ったロゴマークと、簡単な地図が書いてあるものだ。
 それをかざし、そしておろし、目の前にある小汚い建物を眺めた。
 まあ入ってみればわかる。
 男はカードをポケットにしまって建物へと歩き出した……その時。

 どぶっ、という漬物石をベニヤ板に落としたような音がした。
 振り返れば、それが高所から落下した人間であることがわかる。更には、その胴体が激しく引き裂かれくの字を通り越して折り曲げられた状態であることも。
 むっとたちのぼる鉄くささ。
「――!?」
 混乱する、にはまだ早い。
 続いて建物の窓から男の首がボールのように放り投げられ、おそるおそる中を覗いてみると首の元持ち主であったろう男達が床へ重なるように倒れていた。確認するまでもない。皆死んでいる。身なりのよさから、自分と同じ貴族の召使いだろう。奴隷を買いに来たはずが、無残にも殺されるなどと……。
 一体なにものがそんなことを。
 そう考えて更に中を深くのぞき込んだ所で、男はがしりと頭を掴まれた。
 鹿の頭と角をもった、ヒグマのように大きくずんぐりとした、それでいて恐ろしく鋭く太い爪をもった怪物(モンスター)であった。
 その爪が、男の眼球へと食い込んでいく。
 悲鳴は、あがった。たった一秒たりとも続かなかったが。

●命の価値
「やあ、闇奴隷市がモンスターに襲われてるって情報は聞いたかい? うちにも討伐依頼が来てるから、いますぐにでも向かって欲しいんだけど――」
 所変わってギルド・ローレットの事務所兼酒場にて。『黒猫の』ショウ(p3n000005)はボードに貼り付けた地図を指さしてそう言った。
「スラム街にアングラな奴隷市場を一日限定で開いたらしいんだけど、そこがモンスターに襲われてね。警備員もスタッフもみんな残らず殺されるって話さ。生存者もいくらかいるかもしれないけど、現場の様子を偵察した限りじゃ望み薄だね」
 けど良いニュースもあるよ! とショウは指を立てた。
「販売される奴隷達はまとめて鉄格子の内に閉じ込めてあったおかげで、モンスターに襲われずに済んでるみたいだ。
 モンスターを倒すついでに、彼らを救出してあげるっていうのもアリだよね。売り手も買い手も一緒に消えたわけだし、どうしたところで誰も困らない」
 とはいえ急ぎの仕事というだけあって、モンスターの種類や規模は判明していないようだ。
 偵察に入れたファミリアーは鹿頭の怪物を見たが、それ以外にも頭が三つある怪鳥や闇色の狼や人食い山羊といった様々な種類の怪物も目撃されている。
「何が出てきてもいいように、自分の得意分野を押しつけて戦っていこうね。それじゃあ、ヨロシク」

GMコメント

このシナリオはラリーシナリオです。仕様についてはマニュアルをご覧ください。
https://rev1.reversion.jp/page/scenariorule#menu13

採用人数:20人前後予定
章構成:1章のみ予定

■グループタグ
 誰かと一緒に参加したい場合はプレイングの一行目に【】で囲んだグループ名と人数を記載してください。所属タグと同列でOKです。(人数を記載するのは、人数が揃わないうちに描写が完了してしまうのを防ぐためです)
 このタグによってサーチするので、逆にキャラIDや名前を書いてもはぐれてしまうおそれがあります。ご注意ください。
例:【もふもふチーム】3名

■オーダー
 モンスターによって壊滅した闇奴隷市。その現場に突入してモンスターを駆除するのが依頼の目的です。

■エネミー
 出現するモンスターは動物の特徴をもった怪物たちのようですが詳細や個体数は不明。
 とはいえぶっつけ本番でもなんとかなる筈なので、自分の得意分野を押しつけるバトルをかましていきましょう。
 メタな言い方をすると、例え苦手な敵が出ても別の人に任せれば良いだけなので対策プレイングの必要がありません。ガンガンいこう。ガンガン!

■フィールド
 奴隷売買が行われる筈だった建物内です。
 スラムに存在する教会跡地ですが、建物内外に怪物が溢れているため屋内外それぞれでの戦いが行われる筈です。あんまり細かいことを考えずにいつものペースでガッと行っちゃってください。

■奴隷
 販売される筈だった奴隷が生き残っています。
 地下室に監禁されたものもいれば、一~数人分の鉄格子籠にいれられた者など様々です。
 今まさに怪物たちはこの障害をやぶって奴隷達をも殺そうとしているので、もし救出する予定があるなら早めに倒してしまいましょう。
 救出した奴隷をどうするかは(自分の手の届く範囲であれば)お好きに選択してください。連れ帰るなり野に放つなりです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <リーグルの唄>出会い、混乱、あなたの奴隷完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別ラリー
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月28日 22時30分
  • 章数1章
  • 総採用数10人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役
かんな(p3p007880)
ホワイトリリィ

 無垢なる白い細槍が飛び、山羊とヒグマを掛け合わせたような怪物の脇腹へと突き刺さっていく。
 今まさに奴隷の入った鉄籠に迫っていた怪物はぎろりと槍の飛んできたほうをにらみ、自らに刺さった槍を抜いて捨てる。
 ――と、その瞬間には既に至近距離まで接近してた『カピブタ好き』かんな(p3p007880)が右腕を『世界を食らう怪物』の腕へと変化。相手の顔面をそぎおとす勢いで掴み、そして地面へと叩きつけた。
「なんだか大変な事になっているみたいね。
 とはいえ、救える人が居るのなら躊躇う理由も無いかしら」
 ちらりと見やれば、奴隷は身を抱いて震えている。
 かんなはフッと目を細めた。
(そういえば、救出してからどうするか、は考えてもなかったわね。
 ……まあ、私と一緒に来たい、なんていう奇特な人も居ないでしょうし、ローレットに任せてしまうのが確実よね)
 大体、怪物が怪物を殺したようなものだ。そんな光景をみてついて行きたい者など……。
 そう考えてきびすを返した、そのとき。
 かんなの服の裾をつまむものがあった。
 鉄籠から精一杯に手を伸ばした、奴隷の少女のものだった。

 同時刻。建物の外には鉄籠がいくつも並んでいた。
 本来なら奴隷商が客をあつめてお好きな奴隷をどうぞと展覧を開くつもりのものだったようだが、売り手も買い手も今や肉塊。首が三つに増え蛇のように伸ばした巨大なトカゲ型怪物が舌を伸ばして奴隷達へとせまっていく。
 中央の首が震える奴隷へと伸びた――その瞬間。
 溢れんばかりの鳥の群れが殺到。三ツ首トカゲの目をついばみ、そこへ更に魔術の杭が打ち込まれた。
『遅くなってごめんな。大丈夫か?』
 『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)が颯爽と現れ、奴隷達にピッと手をかざしてみせる。
(体も心もたくさん傷ついてるんだろうな。
 このまま放っておけないよ!なんとか治してあげたい)
 稔なら『犬に興味はない。好きにすれば良いさ』なんて言うんだろうなと考えながら、Tricky Stars虚Sideは身構えた。

成否

成功


第1章 第2節

奴隷・No・51(p3p008487)
17(p3p008904)
首狩り奴隷令嬢
首塚 あやめ(p3p009048)
首輪フェチ
首塚 斬月(p3p009111)
慈愛のザントマン

 蛇の道は蛇、と言ったら語弊があるのかもしれない。
「クヒヒ! 私の首輪センサーにビンビン感じてますよ!
 ハアハア…首輪を付けてた奴隷達を見つけるなら私に任せてください!
 兄さん、早く奴隷達を助けに行きましょう!」
 首輪をつけた者や首輪そのものの位置を感知できるという『首輪フェチ』首塚 あやめ(p3p009048)は口元を拭って呼吸を荒くした。
 なぜなら展覧会場へとやってきて、首輪をつけた奴隷達を目の前にしたからである。
「クヒヒ! 奴隷達の首輪を見てるだけで、ご飯三杯はイケますねぇ。
 後、この奴隷達を劣悪な環境で扱ってた商人共は叩き潰しましょう、兄さん」
「あやめ、まずは三つ言っておくべきことがある」
 『慈愛のザントマン』首塚 斬月(p3p009111)は腰に手を当て、生臭い風に長い髪をなびかせた。
「第一に、商人共は既に『叩き潰されて』いる。
 第二に、首輪フェチもほどほどにしなさい。
 第三に――」
 舌をむき出しにして飛びかかる狼型の怪物を、斬月は鋭い蹴りを側頭部にたたき込むことで吹き飛ばした。
「『ザントマン・ファミリー』は奴隷に慈愛をもって接する」
 そこへ大蛇めいた怪物と巨大な鴉がた怪物が出現。斬月を取り囲もうとするも――。
「17君、51君」
 『首狩り奴隷令嬢』17(p3p008904)、奴隷・No・51(p3p008487)がそれぞれ背後より現れ即座に迎撃を開始した。
(斬月様はお優しい事で。
 あやめ様もそうですが「慈愛のザントマン」とか名乗ってる方々はどこか頭がおかしいのではなくて?
 普通、奴隷商人が奴隷達の為にこんな割の合わない事なんてしませんよ、どこの篤志家ですか、全く)
 17はカランビットナイフを二枚、両手それぞれに握り込むと大蛇の横をぬるりを滑り抜けるようにしながらその肉体を切り裂いていく。
「貴方様の命令なら従いましょうとも。例え、吐き気がする人助けであろうとも……ね」
「勘違いしないでくださいね、私は『ご主人様』が貴方方と行動を共にする様に言ってるからついて来てるだけ」
 51もまた茨の巻き付いたマジックマスケットの狙いを鴉怪物へ定め、ひきがねを退いた。
「『ご主人様』が「この先に居る奴隷達を助けて欲しい」と言ってるから……まあ、斬月様は『ご主人様』への理解が深いので貴方の指示でしたら間違いはないでしょうね」
 つぼみの形をした弾丸が着弾したと同時に怪物を茨が包み込み、ドッと地面へと墜落させる。
 そんな中で、斬月はゆったりとした足取りで奴隷達へと近づいていく。
「君達、我々が来たからにはもう安心だ。
 さて諸君には二つの道がある
 一つは拉致された者や家に帰りたい者は責任を持って我々が送り届けよう。
 もう一つは……事情があり帰る場所がない者達。俺達の『家族』にならないか?
 身分は奴隷のままだが、俺が責任を持って君達を守ろう。
 そしていつか君達を大切にしてくれる人に引きあわせよう……どうだろうか?」
 こうして、ザントマン・ファミリーは家族を増やしていくのである。

成否

成功


第1章 第3節

鈴鳴 詩音(p3p008729)
白鬼村の娘
アム・ハーバーランド(p3p009564)
未知への期待

 せりが行われる広い地下室へ、『探求と覚悟』アム・ハーバーランド(p3p009564)がゆっくりと石階段を降りていく。
 狼がグルルと喉を鳴らす声。
 フロアに姿を見せたその瞬間に爪と牙をむき出しにした狼型怪物が襲いかかる――も、アムは大きな斧でひと薙ぎにすることで振り払った。
「センサーが沢山反応してると思ったら、こんな隠し部屋があったのね」
 振り返ると、細い石階段。その先は本棚の並ぶ応接間だったが、本棚をどかすことでこの階段が現れる仕組みになっていた。
 改めて部屋をみれば、重なった死体と檻に入った奴隷たち。
「スタッフや警備員、買おうとした人は死んじゃったみたいだけど……」
 そこへ風のように現れる『白鬼村の娘』鈴鳴 詩音(p3p008729)。
「下がって……まだ『そいつ』、生きてる……」
 真っ赤な剣を抜刀。と同時に黒い球体のような怪物へと迫る。
 球体は毛糸玉をほどくかのように翼を広げ頭をあげると、奇怪な鴉の怪物となって襲いかかった。
 爪と刀が交差。
 詩音の肩から血が吹き出すが、一方鴉のほうは首がずるりと落ち全身から崩れていった。
 そして牢のむこうで震える奴隷たちへと目を向ける二人。
「家族がいる人なら家族の元へ帰すよ。もし身寄りが無いなら……」
「一緒に……来る?」

成否

成功


第1章 第4節

モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
イザカ・VⅢ・モリス(p3p009602)
改造人類

 建物屋上。鎖に繋がれ鳥籠めいた鉄格子のボックスへ入れられた奴隷が二人。
 ボックスの上には、鴉めいた怪物が翼をひろげて待ち受けていた。
 その手前には、切り裂かれたとみられる奴隷商の死体。
「これは酷い……まぁ彼らも奴隷に酷い扱いをしただろう。因果応報だな」
 『Barista Meteora』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
 は階段をあがって屋上へ出ると、鴉の怪物へと目を向けた。
「……なんで初仕事でアングラなことに関わってるんだろうか俺は」
 そこへおよそ偶然にも駆けつけた『改造人類』イザカ・VⅢ・モリス(p3p009602)。
「変ッ……身!! VⅢ、活動開始(ACT ON)!!」
 生体装甲を纏い蜻蛉男へと変身すると、モカと共にダッシュ。
 怪物は翼を羽ばたかせて浮きあがり、ナイフのように鋭い魔力をまとった羽根を無数に発射した。
 二人は射撃を掻い潜って跳躍。
 モカの連続キックによって翼を破壊することで鴉の怪物と共に墜落。
 それを踏み台にして落下の衝撃をかわしたイザカは、駆けつけたマシン・テンペスターへとまたがった。
「これで終わりだ!!」
 地面から起き上がり、折れた翼をばたつかせる怪物。そこへイザカのバイクが突っ込み、更にVⅢ反転マッハキック――及びモカのシューティングスターキックが交差した。

「さあ、嬢ちゃん達は逃げるといい。次は捕まらないようにね」
「逃げる場所があるならいいが、行く当ては無いんだろ?」
 ボックスから解放した奴隷たちを前に並ぶ二人。
「そうなの?」
「私の店(カフェ)で働きながら社会や知識を学んで、独り立ちしないか」
「そりゃあいい。俺も一人くらいは面倒見てあげる。独り立ちするまでね」
 差し出した二人の手を、奴隷たちは不安と希望のまじった目をして……そして、握った。

成否

成功

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