シナリオ詳細
デートを賭けて模擬戦だ! ~裏切りもありよ~
オープニング
●このOPには一部メタ表現が含まれております
「何ですって、姐御!? 姐御がデートに!?」
「だから、『お嬢様』と呼べと言ってるだろう! まぁ、それでどう返事をしたものか迷ってるんだけどさ……」
ファルベライズの動乱において、イレギュラーズ達はザン三兄弟の『ホルスの子供達』を撃破した。元盗賊であったユメーミル・ヒモーテ(p3n000203)はその助力を最後の大仕事として、手下共々監視下で奉仕活動に従事する生活に終わりを告げて自由の身になった。
だが、ザン三兄弟の『ホルスの子供達』との戦闘の際に、コラバポス 夏子(p3p000808)がユメーミルをデートに誘っていたのだ。
そのことを打ち明けられた手下達は、ざわざわ、とざわめきあった。ある者はこれでユメーミルが幸せになれることを願い、ある者はユメーミルが弄ばれているのではないかと心配する。しかし反応に差はあれ、手下達は皆ユメーミルを慕っており、その幸せを願っているのだ。
とは言え、敬愛するユメーミルがポッと出てきた相手に持って行かれるのは面白くないし、そもそも手下達は夏子の実力も人柄も知らず、ユメーミルを任せられるのかどうかもわからない。ならば、と手下達は相談の末、あるアイデアを示した。
「その男の実力を見せてもらいやしょう! 模擬戦です! それでその男が勝てば、姐御はその男とデートする。どうでしょう?」
「……なるほどねえ。確かに、うじうじ迷ってるよりいいかもしれないね。それで、何人で行く気だい?」
「全員に決まってますよ!」
「ええっ!? いくら何でも三十対一は酷くないかい?」
「そうですねぇ……GMにもシナリオ作成の都合がありますから、三十一対八でどうでしょう?」
「何だい、GMとかシナリオ作成とかわけのわからないことを言って……まぁ、相手はイレギュラーズだし、そのぐらいが妥当かねえ」
こうして手下の提案のままに、ユメーミルは夏子とデートするかを模擬戦で決めることにしたのだった。
●手下達の暗躍
「果たし状……? 一体、何だろうねえ」
ユメーミルの手下が出した果たし状に、夏子は怪訝な顔をする。だが、それを読み進めていくうちに笑みを浮かべていった。
「なるほどねえ、デートのOKをかけて手下達との模擬戦かぁ。なら、勝たなくっちゃね!」
そう意気込む夏子。だが、彼はまだ知らない。ユメーミルの手下達が夏子にさらに厳しい試練を課そうと、模擬戦への参加者にいわゆるリア充を妬む者がいないか探り、寝返りの工作をかけていることを……。
- デートを賭けて模擬戦だ! ~裏切りもありよ~完了
- GM名緑城雄山
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年03月03日 22時01分
- 参加人数8/8人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●模擬戦当日の朝
(いやぁ、しかし心強いなぁ……。
生死の天秤振れる間隙共に駆け、死角補い背中任せ命預けた同胞にこの土壇場でさらなる助力を頂ける。
誠実に仕事をしてきたからに違いない。今日程報われてる事もそんな無いと思う。
良い職場 仲間に恵まれたぁ……)
『夢見る非モテ』ユメーミル・ヒモーテ(p3n000203)とのデートを賭けた模擬戦の日の朝、『八百屋の息子』コラバポス 夏子(p3p000808)は朝日を浴びながら感慨に浸っていた。だが、夏子はまだ知らない。ユメーミルの手下達が仕掛けた工作に加え、個々の事情や感情によって、その仲間達が様々な思惑を抱いていることを。
その原因の一つが、夏子のどんな女性とも仲良くし、デートし、逢瀬を重ねたいと望む姿勢であったことは否定出来ない。
夏子には、恋や愛は理解出来ない。ただ、大切な家族を――街一つ出来そうなほどに――増やして共に楽しく毎日を過ごしたいと願う。そこに、相手を一人に絞ると言う考えは存在しない。仮にそうするよう説かれたとしても、夏子には理解出来ないし、理解したくもないであろう。
これまでローレットの依頼を誠実にこなしてきた夏子は、女性との関係においてもそれぞれの相手に対しては誠実に――あくまで夏子としては、ではあるが――接するのだろう。だが、恋愛において同時に複数の相手を対象とするのは、少なくとも世の女性達の多くからすれば、とても誠実な態度とは言えるものではない。
その齟齬に気付いていない夏子は、今回のユメーミルとの出会いをモノにするべく、全力で模擬戦に臨もうと意気込んだ。
(夏子さんってばいつも挨拶みたいに女の子をデートに誘うの、ずっと冗談かと思っていたのに……。
人のそーゆーコト邪魔しない方がいいって分かってる……分かってるけど)
その頃、『優光紡ぐ』タイム(p3p007854)はベッドの上で、寝不足に加えて胸の内でもやもやするものに苦しんでいた。冗談と思っていたと言うよりも「冗談と思っていたかった」夏子の無節操さではあるが、まさかデートを賭けて模擬戦などと言う話になったことに、タイムの受けた衝撃は大きい。
故にタイムは、手下達の工作などは関係なく、自分の正直な意志として今回の模擬戦に勝ちたくないからと他の参戦メンバーに協力を訴えた。それを聞いたある者は協力を約束したが、応じなかった者もいる。
勝負の行方はわからず、模擬戦に勝てば夏子はユメーミルとデートすることになる。タイムははあ、と深く溜息をついてから、戦場に向かう準備を始めた。
●……まぁ、そうなるな
模擬戦の戦場であるファルベライズ周辺の砂漠には、イレギュラーズ達、そしてユメーミルと手下達が集まっていた。
(夏子さんって明るいし気さくだし、なにげに気も使えるし。実はモテるんだよな、ああいうタイプ。
本人気づいてないっぽいけど……まあいいや)
『若木』秋宮・史之(p3p002233)は勝つ気満々の夏子を見てそんなことを考えたが、すぐにこの後の戦いに向けて意識を切り替えた。
(俺は俺のなすべきことをやろうじゃないか)
史之の為すべき事とは、夏子の護衛だ。今回、ユメーミルの手下達が寝返り工作をかけていることもあって、もしやすると裏切って夏子を攻撃する者がいるかも知れない。その時は、盾となって夏子を庇うつもりだ。
なお、史之は寝返り工作は二つの理由から断っている。一つは、対価が思うよりも少なかったこと。これは、手下達からすれば仕方ないところであった。彼らは奉仕活動の期間を終えた直後で、言わば娑婆に出たばかりなのだ。もう一つは、こちらがメインの理由なのだが、何より史之の信義に反するからだ。
「夏子さんのデートが掛かっているとなれば、これはお力添えをしないわけにはいきませんね。
夏子さんの側で模擬戦を行うことは、クライアントの意向でもありますので」
規定どおりの報酬ならば、規定どおりにビジネスをするまでと、あくまでビジネスライクな姿勢で模擬戦に臨むのは『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)だ。その視線が夏子に向いた時、寛治の眼鏡のレンズがキラッと光った。
『Meteora Barista』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)は、今は自身の恋愛には興味は無いが、人の恋路は応援するというスタンスでいる。ユメーミルの前で夏子に誘いをかけられると非常にややこしい事態に陥るので、男性の姿で参戦すると言う配慮も欠かさない。
ただ、モカは一つの懸念を抱いていた。
(……夏子さん自身がユメーミルさん一筋になれるかどうかが、心配なんだよなぁ……)
すぐにこの懸念は的中し、男装で挑んだ配慮も台無しにされることになる。
「夏子さん! ユメーミルさんとのデートが終わったら、私ともデートしてくれるんでしょう!?」
「もちろん! 喜んで!」
『Sensitivity』Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)が「私を食べて」と言わんばかりに、夏子の腕を取り身体を密着させて、デートの誘いをかける。それも、ユメーミルや手下達に聞こえよとばかりに大きめの声で。そして夏子は喜色満面で、OKの返事を返す。
その様子に、ユメーミルと手下達はざわめき、モカは頭を抱え、タイムの胸中の靄はさらに濃くなっていった。
「そんな……姐御をデートに誘っておきながら……」
「姐御とのデートがかかった模擬戦で、あんな姿を見せるなんて……」
手下達の中には、ユメーミルを幸せにしてくれるのではと夏子に期待した者もいたし、ユメーミルを弄ぶのではと夏子を疑った者もいた。だが、Aliceの誘惑に応じる姿に、手下達は一様に「姐御の純情を弄ばれた」と失望と怒りを抱いた。
「アハ……アハハ……そうだろうね、アタシなんかに声をかけるって、何かおかしいと思ってたよ……」
「いや、まぁ、姐御……デートの前にあんな奴だったとわかって良かったと思えば……」
自分とのデートを賭けた模擬戦でそんな姿を見せられたショックは大きく、ユメーミルは乾いた笑みを漏らす。側にいる手下が、必死になってユメーミルを慰めた。
もちろん、夏子はユメーミルを裏切るつもりなどない。だが、ユメーミルの夢見る「幸せな結婚」はあくまで相手が自分だけに愛情を注いでくれる前提であり、手下達もそれを知っている。複数の相手と同時に交際するような男との交際や結婚など、ユメーミルも手下達も望んでいないのだ。
●パーティーアタック、次々と
――ともあれ、模擬戦は始まった。
「俺が夏子! ユメーミルちゃんのデート相手、夏子!」
夏子は前に出て堂々とそう宣言するが、手下達からすれば「どの口が言うか」である。ユメーミルは、ただ無言で試作型レールガンをギュッと握りしめた。妙な空気に首を捻る夏子だったが、すぐにその疑問どころではなくなる。
「見事に振られちゃったねー。大丈夫、心配しないで? 私が宿主として飼ってあげるから。幸せな夢を、見せてあげる♡」
ありえたかも知れない自分の姿をその身に纏ったAliceが、巨大なハートを放ったのだ。史之が夏子を庇いに入ろうとするが、わずかに間に合わず夏子の背中にハートは命中し、Aliceの宿主となって全年齢対象のリプレイでは描写出来ないことをしている幻覚を夏子に見せた。Aliceは、「面白そうだから」と手下達に組していたのだ。
「――夏子さん、ごめんなさい!」
「これ以上はさせないよ。夏子さんにはこの戦いを見届ける責務があるんだからね。夏子さんも、しっかりするんだ!」
「あ、あれ? Aliceちゃんは?」
続いて、タイムが全力を振り絞った魔力の弾丸を夏子に放つ。だが、これには史之が間に合った。自らの身体を盾にして、タイムの魔力の弾丸を受け止める。同時に史之は夏子に声をかけ、夏子を幻覚の世界から引っ張り戻した。
「夏子さんには悪いけれど、私も可愛い乙女の味方、ってところなの……ふふ。
まぁ、協力すると言ったけど……誰に協力するとまでは……言ってない、わね?」
さらに、『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)が動いた。黒く大きな顎を召喚すると、タイムの攻撃に合わせるようにして、夏子に向けてけしかける。だがこれも、史之が盾となってその身で受け止めた。
「それに夏子さん、女性陣皆とデートするって言ってたけど、私、夏子さんとデートする気は無いわ。デートをする相手はただ一人と決めているのよ?」
顎は史之に受け止められてしまったが、それに構わずエルスは夏子に告げる。――もっとも、その相手とデート出来るかどうかは別であるが。
それにしても、とエルスは思う。悪い男は、どうしてこうも乙女を泣かせてしまうのか。もっとも、その程度では想い人を諦めたりはしないのだが。そして、恋心を自覚しているかはともかく、タイムもきっとそうであろう。ならば、どうして味方せずにいられようか。
「頑張れ、タイム。伝えたい事が、あるのだろう?」
『金獅子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)は、タイムにひっそりと耳打ちすると、勢いよく駆け出した。夏子を追い越し、手下達の後衛までたどりつくとユメーミルに声をかける。
「ユメーミルと言ったか、最初に確認したいのだが――卿を幸せにするのは、男でなければ出来ないのか?」
突然の言葉に困惑するユメーミルに、ベルフラウは滔々と語る。
これ程大勢の部下に慕われ、幸せを願われている女であれば、真にその願いを叶えられる者こそが彼女の隣にいるべきであり、それはたかが男だ女だ等という事で決められはしないのだと。
「どうかな『お嬢様』……否、『お姫様』。私にもチャンスをくれないか? 卿をこの腕に抱くチャンスを。」
そうだな……夏子が卿を倒せばデートなら、私の方は卿を守りきれた場合でどうだろうか?」
そしてベルフラウはユメーミルの前で片膝を付くと、ユメーミルの手を取りその甲へ誓いのキスをした。
「私が膝を折らぬ限り、卿には傷一つ付けさせないと約束しよう」
このベルフラウの行動は、ユメーミルの求める王子様像に適っていた。さらに言えば、デートを持ちかけてきた相手が他の女に誘惑されて、嬉々として応じる姿を見せられたユメーミルは傷心の最中である。そこに『お姫様』呼びが決め手となり、ベルフラウが女性であることも忘れて、ユメーミルは夢心地と言った表情で頬を紅く染めながら頷いた。
「済まんな、夏子。お前にはお前の貫かねばならない愛がある様に、私には私の貫かねばならぬ愛がある」
『二人』の女の為、ベルフラウはユメーミルを護る盾たらんとする。
「姐御をあんな野郎には渡せねえ! イレギュラーズも半分は『こっち側』だ! この模擬戦、勝つぞ!」
「おおっ!」
実際にはタイムは手下側についたわけではなく、エルスはそんなタイムに協力しているだけなのだが、手下達は彼女達も味方と認識して意気を上げた。後衛は次々と矢を夏子に射かけていき、前衛は左右から夏子と史之に迫らんとする。さすがにこれだけの数に一気に迫られると、夏子も史之も無傷というわけにはいかない。
「いいですよ、夏子さん。そうやって敵を集めておいてください。私が範囲攻撃で一網打尽にします」
「なっ!? 新田さんは夏子さんに協力するのでは!?」
「敵の数が多いですからね。範囲攻撃で効率よく無力化せざるを得ないのです」
夏子、史之、そして手下達の前衛が一カ所に集まったところに、寛治はスタングレネードを投げ入れる。爆音と閃光が、手下達とともに夏子と史之を巻き込んでいく。味方さえも巻き込む攻撃に史之は抗議の意味を込めて尋ねたが、寛治は仕方なくそうしているのだと言わんばかりに答えた。
――実際の所は、何処かから示されたファンドの案件を交換条件として、故意に夏子を後ろから撃っているのであるが。
「ああ、もう。どうしてこうなった……」
手下達が寝返りの工作をかけていることは、モカも当然知っていた。しかし、それにしても状況が混沌としすぎている。そして、模擬戦が始まるよりも前に、その勝敗に関係なく恋路を応援するも何もなくなってしまった。もっとも、これに関しては夏子の自業自得ではあるのだが。
ともあれ、抱いていた懸念が見事に的中し、手下達への内応者が続々と出た――ように、モカにも見えた――と言う頭を抱えたくなるような状況ではあるが、やることはやらねばならない。
モカは、手下達の前衛の殲滅は寛治に任せることにして、手下達の後衛へと駆けた。そして手頃な手下に足技のコンビネーションで攻撃を仕掛けると、さらに動きのギアを上げて残像を発生させながら、後衛達を次々とその足にかけていった。
●夏子、倒れる
その後であるが、まず史之が戦闘不能に陥った。並の相手なら長く持ち堪えられただろうが、如何せんエルス、Alice、寛治からの攻撃を夏子の盾として受け続け、さらに手下達の前衛の半数からも攻撃を受け、癒やし手による援護がない状況ではさすがに耐えるにも限界があった。
次いで、タイムによる回復を以てしても寛治のスタングレネードに体力を削られ、手下達の前衛が全滅。さらに、モカによって手下達の後衛が全て倒れた。この時点で、モカはやるべきことはやったと戦闘から離脱する。
「……デートなら、わたしとしてよ。夏子さん」
「もちろん、タイムちゃんとも喜んでデートするよ」
「違う、そうじゃなくて……」
他のイレギュラーズからも手下達からも攻撃され、傷を深めながらもなお戦おうとする夏子の胸に、タイムは飛び込んでしがみついた。涙で顔をくしゃくしゃにしながら、夏子にしか聞こえない声で訴えかける。夏子はポンとタイムの頭に掌を置き、優しく撫でながら快諾するのだが、タイムの聞きたい答えはそうではなかった。
タイムとしては、わたし『だけ』とデートしたいと言いたくて、夏子からもタイムちゃんと『だけ』デートすると言う返答を聞きたかったのだ。その齟齬を埋めようとしたタイムだったが、それを最後まで夏子に伝えることは出来なかった。
「……いい加減頑丈ですね、この夏子」
呆れ交じりに呟きながら放たれた寛治の必殺の魔弾が、夏子の背中に直撃したからだ。ぐらり、とタイムにもたれるように、夏子がくずおれる。
その後、寛治は模擬戦の勝利を得ようとユメーミルに攻撃を仕掛けたが、果たせなかった。ベルフラウが盾となって寛治の魔弾を受け止めている間に、ユメーミル、エルス、タイム、Aliceから次々と攻撃されたからだ。そして、盾役を喪った寛治が長くそれらの攻撃に耐えることは出来なかった。
寛治が倒れた時点で、タイム、エルスにとってはこれ以上戦う意味は無く、二人は降参を宣言した。
●模擬戦終わりて
模擬戦が終わると、タイムは天使の救済を思わせる音色を奏でて、ベルフラウや倒れた者達の傷を癒やしていった。
「わがまま言って、ごめんなさい」
「大丈夫だよ、タイムちゃん」
しゅんとして謝るタイムに、夏子は気にしていないと笑顔を向ける。その横に、Aliceがしなだれかかっているのであるが。実際、エナジーを糧とするサイキックヴァンパイアであるAliceにとって、精力的な夏子は宿主とするのに満更ではなかった。
「……こう言う結果なのでね。デートの話は、なかったことにさせてもらうよ。その二人とお幸せに」
「そうかぁ。どんな結果であれ、僕ぁユメーミルちゃんの決定を尊重するよ」
ユメーミルは、淡々と夏子に模擬戦の結果を受けての結論を告げた。夏子は、それでは仕方ないとばかりに頷く。
エルスは、恋をする乙女は微笑ましいと思い、タイムを見守っている。同じような境遇にある身としては、その恋心が実ることを願うばかりだ。一方、自分の恋に関しては……。
(夏子さんは悪い男にしても、まだ可愛い方よね。あの方は……本当に底知れないもの。何を言っても余裕風を吹かせて……っ! ……くっ)
想い人のことを思い起こし、エルスは内心で悔しがるのだった
「さあ、皆。喉が渇いただろう? 打ち上げと洒落込もうじゃないか」
そこに、戦場から離脱していたモカがいくつものクーラーボックスを持参し、中のドリンクを次々と配る。よく冷えたドリンクは、砂漠で戦い火照った身体と渇いた喉に、深く染み入った。喉が潤うと、模擬戦の激しさは何処へやら、場の雰囲気は和気藹々としたものとなる。
「ユメーミルさんは、ないものねだりしてない? 恋に恋してるようにしか見えないな」
「そう……かねえ?」
そんな中、史之はユメーミルに声をかけたが、実際に史之の言は当たっていた。さすがは、婚約者持ちと言うべきか。
史之としてはもっと周りを――例えば、ユメーミルを慕って身体を張って応援する部下達を――見るように勧めるつもりだったが、そこにベルフラウが割って入る。
「恋に恋しててもいいじゃないか。そんな雛鳥にも、旅立ちは訪れる……なあ、ユメーミル」
ユメーミルはベルフラウの言葉に頬を染めつつ、ふと頭に浮かんだ疑問を口にする。
「そう……かもしれないね。ところで……アンタは、アタシだけを愛してくれるのかい?」
その問いに対する、ベルフラウの返事は――。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
シナリオへのご参加、ありがとうございました。模擬戦は手下陣営の勝利に終わり、夏子さんとユメーミルのデートは成立しませんでした。
今回は裏切り、パーティーアタックありと言うことで、皆さんのプレイングを見て愉悦に浸ってました。一方で、どうリプレイにしたものか非常に頭を抱えたのですが(苦笑)
MVPは、冷たい飲み物を用意して模擬戦の後をいい雰囲気にして下さったモカさんにお送りします。
それでは、お疲れ様でした!
GMコメント
こんにちは、緑城雄山です。今回はコラバポス 夏子さんのアフターアクションからシナリオを用意しました。
ユメーミルと手下達に勝って夏子さんがユメーミルとデート出来るようにして下さい、と普段なら言っているところですが、今回はそうしないために動いても構いません。
●成功条件
どちらかの陣営が全員戦闘不能になる。
●Danger!
当シナリオではパーティーアタックが発生する可能性があります。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
パーティーアタックの発生はこのシナリオにおいては「想定内の事態」とします。
●ロケーション
ファルベライズ付近の砂漠です。天候は昼。
障害物などは周囲にはなく、足場による戦闘へのペナルティーはありません。
・初期配置
イレギュラーズ達は一カ所に固まっています。
手下達の前衛はイレギュラーズ達から30メートル弱離れて左右に分かれて布陣しており、後衛とユメーミルは前衛から10メートル後方にいます。つまりは、V字型の陣形です。
●特殊ルール
今回のシナリオでは、「『ハイ・ルール』2、同じ依頼を受けた冒険者間で戦闘を行ってはならない」が適用されません。
故にパーティーアタックが可能ですが、それでPCPL共に遺恨を残すのはNGとします。
つまり、やるなら仲良くパーティーアタックして下さい。
●ユメーミル・ヒモーテ
元は、色宝を狙った盗賊の女頭領です。色宝の奪取に失敗した結果捕縛され奉仕活動を課せられていましたが、ファルベライズの動乱で『ホルスの子供達』の撃破に協力したのを最後に自由を得ました。
能力傾向は攻撃力は非常に高く、命中、生命力、特殊抵抗も高い水準にあります。一方、回避と防御技術は低めです。
基本は試作型レールガン装備ですが、懐に入られた場合は試作型レールガンを置いて格闘戦に移行します。
・攻撃手段など
試作型レールガン 物超単 【弱点】
格闘 物至単
●手下達
夏子さんがユメーミルにふさわしいか確かめるべく模擬戦に臨んでいます。
武装は遠近対応で、命中と回避が高くなっています。
今回はユメーミルの幸せがかかっていると考えているため、士気がやたらと高い上、【怒り】が効きません。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしております。
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