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シナリオ詳細

野球しようぜ!ボールは、えっなにこれ……

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ユニフォームは輝き、白球を追いかける
 かきぃん、と小気味の良い音がスタジアムに響く。
 ノースダイヴァー・クルセイダースの主砲、星光のサントリアのフルスイングがボールを真芯で捉え、今日一番の放物線を空に描いた。
 ホームランだ。それを見ていたクルセイダースのメンバーは、何よりもサントリア本人はそう確信し、ゆうゆうと一塁ベースに向けて歩みを進め、

ド、ッォォオオオオン!!!

 という轟音に己の迂闊を悟る。今日の対戦相手はサウスエルバン・ルナリアンズ。その外野手はかの大魔道士、前知後智のエルネストだ。ホームラン確実の打球に落雷を落として勢いを殺し、凡百のフライに変えることなど朝飯前だ。
 サントリアは舌打ち一つ、先程までとは打って変わって全力で駆ける。ルール上、魔法によって軌道を変えた打球はそのままキャッチしてもアウトにはならない。しかし、エルネストの念動による送球は、今からでも自分を刺殺(アウト)しうる。がしゃがしゃとユニフォームのプレートアーマーを鳴らし、サントリアは走る。
 彼が一塁ベースにスライディングするのと、サントリアの念動魔法によって音速を超えたボールが飛び込んできたのは、傍目にはほぼ同時。
 巻き上がった砂埃が収まるのを待って、塁審が高らかに宣言を上げる。

「アウト!!」

 サントリアの胸板を覆う鋼の胴鎧。そこには棘付鉄球(ボール)が深くめり込んでいた。

●境界図書館にて
「野球に興味あるかい?」

 野球?集まったイレギュラーズは境界案内人、カストルの言葉に首を傾げる。

「とある世界では野球が大流行していてね、ちょうど欠員が出たチームがあるから、助っ人をやってみないか。って依頼なんだ」

 なるほど。イレギュラーズは得心する。たまにはそう言う牧歌的な依頼も良いんじゃないかな。そう思った。ここまでは。

「そうそう、道具もちゃんとレンタルできるから安心してね」

 と、カストルが示してみせた先を見てみると。
 鋼のガントレット、重そうなメイス、棘付きの鉄球。あれがユニフォームだよ、と指差す方を見てみれば、一揃いのプレートアーマー。

 野球?イレギュラーズは首をかしげる。

「野球だよ。少なくともその世界ではそう呼ばれてるスポーツだ。あ、そうそう。良い忘れてたんだけど、この『野球』は試合中にチームの半分が戦闘不能になると負けちゃうから注意してね」

 ちょっと待って。イレギュラーズは問いただそうとするが。

「それじゃあ、怪我はしないように気をつけてね」

 カストルはそう言ってイレギュラーズを送り出すのだった。

NMコメント

 こんばんは、小柄井枷木です。
 野球回を書いてみたくなったので野球回を出してみました。野球だろうがどう見ても。

 シナリオの目的はこの野球を楽しむことです。
 今回は、欠員が出たチームにPCが助っ人として参加するという形になります。
 基本的なルールは野球に準じますが、ボールは棘鉄球、グローブはガントレット、ユニフォームはプレートアーマー。試合中の武器、魔法の使用可能、チームの半分が戦闘不能になると敗北するというルールなどの違いがあります。物騒なドラ○ースだと思ってください。あるいはほぼ直球でウィ○ボールです。
 1チーム9人なので、PC全員が戦闘不能になっても即座に負けることはありませんが、ピンチを演出するためにプレイングでチームメンバー(モブ)を何人戦闘不能にしてくださいとか指定してもらっても構いません。モブ選手も鍛えているのでちょっと殴ったくらいじゃ死にません。気兼ねなく(敵だろうが味方だろうが)戦闘不能にしてあげましょう。

 真面目に野球として勝利を目指すのも、相手を戦闘不能にして勝利を目指すのも自由です。皆さんが思うように野球を楽しんでいただけたらと思います。
 それでは、ご参加お待ちしております。

  • 野球しようぜ!ボールは、えっなにこれ……完了
  • NM名小柄井枷木
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年03月05日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘
リサ・ディーラング(p3p008016)
蒸気迫撃

リプレイ

●たまには玉遊び
「プレイッボーッル!」
 主審の宣言が高らかにスタジアムに響く。本日の試合はセントアラスム・アルカニスツとロウアーラクド・グリフィンズの因縁の対決だ。アルカニスツは前回の試合で大量の戦闘不能者を出して敗北しており、今回の試合には出場自体を危ぶまれていたものの、助っ人選手を起用することで間に合わせてきていた。

 1回の表。グリフィンズの攻撃である。先頭打者、二の足踏まずのイグハドは一投目を空振ったものの、内心の落胆を隠せずにいた。
(助っ人が来ると聞いてどんなのかと思えば……とんだ素人とはな)
 先程の空振りは、曲がりなりにもプロの試合に種々状しているとは思えない素人めいた投球フォームからのヘロヘロ玉に面食らったからだ。あるいは、そうやって意表を突くための作戦だったのかもしれないが、何度も通用すると思われるのは癪だった。
「次はホームランだ」
イグハドはピッチャーを睨みつけて呟く。先程通りの頼りない投球の軌道を見極め、フルスイングをかましたイグハドが感じたのはしかし、メイスが空を切る感触だった。

「ストライッ!バッターアウッ!」
 主審の宣言を聞き、ピッチャーマウンドに立つ回言 世界(p3p007315)はほっと一息をつく。なんとか3球目も空振らせることができた。実は世界はプロ相手にも通用する名ピッチャーだったのか?そんな訳はない。三振をもぎ取った秘密はショウ・ザ・インパクト。ノーモーションで放たれる衝撃で投球をありえない方向に変化させていたのだ。
(帰っていいかなぁ。俺もう帰っていいかなぁ)
 なお、歓声に沸く観客席を尻目に世界の内心はただそれだけを考えていた。大事なことなので2回言った。こんな野球と那の津いただけのデスゲーム、世界としてはただただ五体満足で帰ることだけを考えていた。

さて、先頭打者は凡退。続く第2打者は硬鎧のルザーグだ。大きな当たりはないが堅実なヒットで出塁を稼ぐことに定評がある。イグハドの様子を見て、世界の投球についても概ねの予想を立てていた。厄介ではあるが、対応できないほどではないと判断していた。自分まで凡退しては流れが完全に絶たれてしまう。打席に立ったルザーグは意識を集中させてメイスを構える。
 一投目で様子を見て、続く2投目で勝負に出る。掛けではあったが手応えはあり。2,3塁間を抜ける鋭いゴロだ。三塁手が捕球するのが見えたが、自分の足ならば余裕でセーフだ。ルザーグはそう考えていたが、

 ズドン!!

 という音が響き、脇腹に大きな衝撃を受けた所でルザーグの意識はこの試合の間閉ざされることとなる。

「うっし、当たったっす!」
レールガンを構えた三塁手、リサ・ディーラング(p3p008016)はガッツポーズ。いやレールガンて。単なる投擲では間に合わない距離でもレールガンなら余裕のアウト。リサは試合開始前に道具を自分に合わせた粗方改造した仕事の出来に満足そうに頷いた。塁審は疑惑の表情をリサに向けるが鎧(ユニフォーム)の一部だから合法、と言いはった。無法である。

 1番2番と調子よくアウトを取ったアルカニスツだが3番には出塁を許してしまう。そうして続く4番はグリフィンズの主砲、憤怒のマスラガッツだ。構えるメイスは通常の倍はあろうかという太さに長さ。まともに扱えるものは少ないが、これでクリティカルヒットを与えればホームランは確実。乱闘になれば相手選手を一振りで3人は血祭りにあげる凶悪な得物だ。
 そんな凶器を構えながら、マスラガッツは二つ名とは裏腹に冷静にスタジアムを睥睨する。アルカニスツのもとからの選手に、先程グリフィンズからアウトをもぎ取った助っ人の実量は推し量れた。内野には強力な守備を揃えてきている。しかし、
 (外野は穴のようだな)
 もとよりアルカニスツはそこが弱かった。助っ人で強化してくるかと思えば、それらしき白い人影は、フラフラと宙をを舞うものの、その動きはどうにも頼りなく見えた。空を飛べるものを外野に置くのは定石だが、だからといって空を飛べるものが優れた外野手とは限らない。マスラガッツはほくそ笑む。外野が弱いのなら、そこだけを狙う自分にとっては都合のいいことだ。
一投目からフルスイング。真芯に当たった打球は大きなアーチを描いて客席へ。そこへ、先程見た白い外野手が向かうのを見たが、マスラガッツは一笑に付す。あんな頼りなさでは打球に弾かれボールともども客席に叩き込まれることだろう。戦闘不能になった場合、たとえ捕球に成功していてもアウトにはならない。マスラガッツは得点の確信し足を進め、飛んできたボールに弾き飛ばされ、スタジアムの壁に叩きつけられた。戦闘不能である。

「ふぅ、うまくいったですの」
 ライトを守るのはノリア・ソーリア(p3p000062)。見た目は空を泳ぐ人魚といった姿で、透明な尻尾はいかにも儚げな雰囲気を感じさせるが、その実かなりの耐久力を持つ防御強者だ。野球自体には不慣れであり、グローブ(ガントレット)でボールをキャッチすることはできなくても、身体で受け止めてしまえば、止められないものではないのだ。ついでにノリアが大海の抱擁に身を任せていると攻撃者にダメージが返り、要するに強烈なバッター返しが炸裂したというわけだ。

さて、これにてスリーアウト。攻守は入れ替わる。

●ガンガンいこうぜ
「さぁ、こっちの攻撃だよ、積極的にやっていこうね!」
 ベンチにて、なぜか、助っ人であるンクルス・クー(p3p007660)がアルカニスツのメンバーに指示を出していた。
「実は野球ってよく分かってないのだけどね?でも楽しそう!」
 なんて事前に言っていた割には、よどみなく指揮しているし、アルカニスツのメンバーにも素直にそれを聞いている。あるいは単なる応援か何かかと思われているのかもしれないが、実際指示を受けたメンバーの能力は向上しているように見えた。ンクルスに言わせればそれは創造神の加護らしいが、はてさて。

アルカニスツの攻撃、ンクルスの指示を受けたメンバーが手堅いヒットを打つが、同時に何人かは潰されてしまう。何を隠そう、この競技はバッターが一番危険だ。出塁されても戦闘不能になったら特典されないからね。というわけで実際に得点が入るのは守備の人数も減ってくる試合終盤だったりするのだが、それはさておき。

「うん、やっぱりおとなしく三振しとこう」
 世界がそんな様子を見てこの競技のヤバさに震えていたり。相手ピッチャーが当たり前のようにビーンボールを狙ってきておとなしく三振するのにもリスクがあるのかと戦慄したり。そのビーンボールを狙ったのがノリアだったのでピッチャーになったりなどしていた。

そんなこんなでお互いに点を譲らないまま試合は3回表まで進む。この野球は9回まであるが、大体の試合は5回までに人数が足りなくなりゲームセットになるため、すでに終盤戦と言えた。アルカニスツは助っ人のイレギュラーズは全員健在だが他のメンバーが数人欠けており、グリフィンズもすでに半数近くが削れていた。お互いに欠員負けが見えている状況、ここが正念場と言えた。
 グリフィンズの先頭打者は欠けた守備の穴を突き出塁に成功。続く打者は自らを犠牲にするも走者を押し上げる。しかし、その次の打者は。

(よし、ここでヤるんだよ!)
(気が進まないんだけど……)

 ここでキャッチャーンクルスがビーンボールの指示。今回一度もビーンボールを見せていない世界に油断していた打者はまともにこれを受けていしまう。これでグリフィンズの戦闘不能者は4人。あと一人でも戦闘不能者を出せば試合はコールド、先に人数割れを起こしたグリフィンズの敗北となる。
だが、そう言う状況で次の打者はここ一番の勝負に強い背水のサンガだ。一投目から狙っていくスイング。見事に球を捉え、打球は一塁手の頭上を大きく飛び越える。レフト守備は既に欠けている。ショート守備、雷光のサンサベルが駆けつけるものの、既にランナーはベースを回っている。ここで点を取られても、戦闘不能者を出してコールドに慣れば点数差でアルカニスツの負けとなる。狙うなら、サンガではなく、今まさにホームベースへ帰ろうとしている走る城塞、クラクライだ。
 全力の送球。サンサベル得意の雷光魔法で加速されたボールは一筋の光線(レーザービーム)じみて本塁へと迫る。その球勢は受け止める捕手のことを何も考慮していないようにすら感じられるが、肝心の捕手、ンクルスは余裕の表情。
「これこそ私の見せ所だね!!!」
 ボールを受け止める、突っ込んでくる走者を受け止める。両方こなさねばならない場面で、ンクルスはそれをやってのけた。
 一足先に飛んできたボールをガントレットでしっかりとキャッチして、そのままスライディングで滑り込んできたクラクライに上から叩きつける。

「アウッ!」
 主審の判定と同時、世界が仕掛けていた精霊爆弾によって爆発した本塁がクラクライの意識を刈り取り、グリフィンズは人数割れ。試合はアルカニスツの勝利で幕を閉じたのだった。

 スタジアムに響く歓声、怒号。大量の怪我人は出たものの、勝利を掴んだアルカニスツ、引いてはイレギュラーズの胸中には爽やかな感情が巻き起こったことだろう。起こったと言いなさい。

成否

成功

状態異常

なし

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