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シナリオ詳細

みんなの奴隷物語

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●世界観はみんなの心の中にある
 今は昔、奴隷といふものありけり。
 隣人もすなる奴隷といふものを、我もしてみんと試すものなり。

 ところで、奴隷とは何だろう。

 『人間でありながら所有の客体即ち所有物とされる者を言う。人間としての名誉、権利・自由を認められず、他人の所有物として取り扱われる人。所有者の全的支配に服し、労働を強制され、譲渡・売買の対象とされた。』……Wikipedia先生、かく語りき。
 『奴隷』の2文字を知る者ならば、なんとなーく頭の中にふわふわっと「『奴隷』? たぶんね、えーと……こんな感じ」みたいなイメージがある。そう、それが君の『奴隷』だ。

 この物語は、そんなふわふわっとしたイメージから始まるみんなの物語である。

●奴隷体験日記
「この本がとても独特なので、ぜひご紹介したいと思って声をかけてしまいました」
 境界案内人の翠仙(性別不詳)が薄い本を手に微笑んでいる。
 本のタイトルは、『奴隷体験日記』。
 不真面目なオーラがうにょにょにょっ、もさもさもさっ、と出ているその本は、複数の著者によって綴られた日記集だ。

「この本はですね、薄い本です。
 同好の士が綴った『ボクこれ好き。書いたから見て』っていう本ですよ」
 境界図書館には、色々な本がある。厚い本もあれば薄い本もあるのだ。
「しかもこれ、アンソロジーなんです!」
 アンソロジー? 一部のイレギュラーズが首をかしげる中、用語説明もせずに翠仙は一人で盛り上がる。
「奴隷というものが存在しない世界の人が、奴隷ってどんな感じだろう? って想像して奴隷なりきりプレイをしてみたよっていう日記集なんです」

 さて、気になる本の内容である。
 ある作者は、一日中縄にぐるぐる巻きにされてお布団の中ですやすや寝て過ごした。
 ある作者は、見えないご主人様(きっと脳内に存在する)に語り掛けながら自宅の大掃除をした。
 ある作者は、「ひとりじゃ無理」と気づいてギャラリーを集めてみんなで檻に入って歓談した。
 ある作者は、「役割分担しよう」と思いついてご主人様役と奴隷役を割り振り、奴隷売買ごっこをした。
 ある作者は、「われは奴隷を解放する英雄である!」と旗を振って英雄宣言をした。

「さて、みなさま」
 翠仙がおずおずと視線を向ける。
 誰に? あなたにです。
「奴隷ごっこしてみませんか?」
 翠仙はキラキラと期待に目を輝かせて語り掛ける。
 誰に? あなたにです。
「あんな奴隷になってみたり、こんな奴隷になってみたり。あるいは……ご主人様になってみたり、英雄になってみたり。お友達同士で奴隷ごっこしてみたり。過ごし方は自由です」
 世界観がよくわからない、そんな視線を感じれば翠仙は首をかしげて考えた。
「この本の世界観は……なんでもあり、ファンタジーです」
 機械もあれば魔法もある。場所はビルが並ぶ都市でもよいし、草原でもよい。薄い本、しかもアンソロジーとあって、作者の想像力により世界は無限に広がっている。そんな世界で遊んでみよう。

 つまり今回は、そんなフリーダムなネタ依頼なのである。

NMコメント

 おはようございます。remoです。
 初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。

 今回は「奴隷になったりご主人様になったりする」というコンセプト。かなり自由度が高いライブノベルです。「自分はこうしたい!」と書けば比較的その通り遊べてしまいます。
 ソロ描写もOKですし、お友達と一緒の描写もOKです。
 健全なシナリオなので大きいお友達向けな内容は翠仙のようなお子様(?)でも安心して楽しめる表現でふわふわっと描写させていただきます。
 「自由と言われても何をしたらいいかわからない」という方のために、以下に遊び方の例を書きますので、参考にしていただけましたら幸いです。

●遊び方の例
1、奴隷として参加
 奴隷になってみましょう。どんな経緯で奴隷になったのか、ご主人様はどんな人か、どんな衣装でどんな目にあってしまうのか。奴隷として捕まるシーン、捕まってから売られるまで商品として準備されちゃうシーン、買われるシーン、などなど……「こういう描写を見てみたい」と思うがまま、プレイングに書いてみましょう。

2、奴隷以外で参加
 奴隷を買う側の人になってみましょう。どんな奴隷が売られているか。買うのか。買わずに奴隷商人を成敗して奴隷解放したりするのか。お友達同士で奴隷役と非奴隷役とに分かれて「買う場合:今日は1日〇〇ちゃんのご主人様」「解放する場合:奴隷として捕まってしまった〇〇ちゃんを助けにいく!」など、ドラマを作ってみるのも素敵ですね。

●プレイングについて
 ライブノベルの物語世界では、皆様の行動は基本、成功します。
 戦闘に役立てたい武具やスキル、台詞や心情を書いて、自由に遊んでみてください。
 キャラクター様の個性やプレイヤー様の自由な発想を発揮する機会になれば、幸いでございます。

  • みんなの奴隷物語完了
  • NM名remo
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年02月25日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
回言 世界(p3p007315)
隠者
ドゥー・ウーヤー(p3p007913)
海を越えて
斑鳩・静音(p3p008290)
半妖の依り代

リプレイ

●競売、はじまり
 奴隷が競売にかけられる。

 日向 葵(p3p000366)と回言 世界(p3p007315)はその日、競売会場に来ていた。
「奴隷、なぁ……教科書でしか見た無いんスよね。しかも、教科書に記されているのはずっと昔の話。今じゃ考えられねぇっスよ」
 葵が言うと、世界も頷いた。
「俺の知っている限り、大体は人ではなく物として扱われてる印象があるな。時代と場所によってはまだそれなりにまともな扱いを受ける事もあったそうだが……過酷な労働やらなにやらで酷い目に遭っているイメージが一般的か」
「実際に体験してみねぇと分からない事だってあるよな……どんな気持ちで買われたのか、とか。買う側はどんな目線なのか、とか?」
 社会見学のようなノリで会話をする2人。そんな中、他の客の間では1人の奴隷が話題になっていた。
「あの奴隷は、ずっと売れ残っているのか?」
 奴隷のドゥー・ウーヤー(p3p007913)は、話題の奴隷に一瞬だけ顔を向け、すぐに顔を逸らした。話題の奴隷、斑鳩・静音(p3p008290)は肉感的な妖貌の少女で、見る者を誘惑するような色香を放っていた。しかも、ほぼ裸体である。
「こいつはわけありだ。変態だぞ」
 鎖のリードが付いた首輪だけ着けさせられた静音は、「凄く失礼だと思うんだけど?」と呟いた。
「ちょっと鞭での叩き方で(もっと気持ちよくなる意味で)こうして欲しいと頼んだり、首輪の締め付けが緩いからもう少しきつめに頼んだりしただけなのに」
「黙れ! 立場がわかっているのか!」
 床に鞭が打たれる。

 ピシィッ!

 詳細な会話は聞こえないものの、奴隷が脅される様を見た葵が眉を寄せる。
「教科書にはたしか安い金で買える労働力、欲求発散、愛玩動物とか……マジで人権もクソも無いな」
 その耳には「商品に傷はつけないように」という注意も聞こえていた。
(……あー)
 『商品』なのだ。
(今でこそ奴隷は格差やら人権無視やらって書かれてるけど、先入観を無くして見てみると、奴隷って「人」と言うより「物」に近かったのかもな。なるほど、誰も彼もためらいが無いわけっスよ、いい勉強になった)
 次々と奴隷が競り落とされていく。葵はその様子を見守り、(そろそろオレも一人くらいは買ってみるか)と決意する。

 ちょうど奴隷商が次を知らせる。注目を一身に集めて震えているのは……。
「マジかよ、10もいかねぇような子供じゃないっスか」
「御覧くださいこの子供、珍しい瞳をしており……」
「ええいムチャクチャな値段を提示して買ってやる! その分の金は捻」
「物語世界の加護があるから」
 世界が肩をすくめる。何? と見てみれば、なんと必要なだけの金がいつの間にか手の内にある。
「あんのかよ。……さすが『境界図書館の亡霊』と噂されるだけあるっスね」
 無事に競り落とし、買った奴隷と建物を出て行く葵。別れ際にキャンディを渡して見送り、世界が呟く。

「ふむ、やはり大人ではなく子供の方を買うべきだろうか」
(値段もそう高く無いことが多いし、何より反逆される可能性もされた時のリスクも少ない。下手に青年の奴隷でも雇ってみろ。クソ雑魚フィジカルの俺が素手で絞殺される姿が容易に想像できるってもんだ)
 潤沢な資金を手に、世界が子供を競り落とす。
(数人程買えば家事なんかは全部任せてしまえるな)
 次々と購入すれば、周囲が唖然とした目を向けてくる。だが、当人は気にした様子もなく淡々と手続きを済ませていた。
(数人程買えば家事なんかは全部任せてしまえるな)
 ああ、何もしなくていいとはなんと素晴らしい事だろう。世界は奴隷達を連れ立って家へと帰るのであった。


●スリッパの達人と楽しそうな少女
 奴隷として売られたドゥーと静音は貴族の家へと連れられていた。
「奴隷……」
 ドゥーは着せられた服の下に隠れた小さな羽根を微かに動かす。誰かのお古らしき服は、サイズが少し大きかった。思い出すのは、元の世界で過ごした日々。親が死んでからは大変だった。今よりも幼いドゥーはくたくたになるまで働き、腹を空かせていた。
(でも特定のご主人様とかはいなかったなぁ。だから厳密には奴隷じゃないよね)
 そして、思う。
(奴隷になった俺がやるのは汚れ仕事だ)
 草むしりをしていると奴隷仲間が囁いた。
「聞いた? 一緒に買われた静音は厨房で皿を割ってしまって罰を受けているらしいよ」
「ずっと? ご飯は?」
「ご飯はちゃんと与えられてるみたいだよ」
 そこへ主人が姿を見せる。奴隷達の間に緊張が走った。
「庭石が汚れている、拭いておけ。水やりもやっておけ」
「はい」
 従順に返答する奴隷達に満足したのか、主人は指示を追加する。
「ついでに例の奴隷に出した食事の始末と、ゴミも出しておけ」
「はい」
(なんか家事手伝いになってきてる気がするけど)
 ドゥーは頷き、奴隷仲間と共にゴミ出し係を請け負って屋敷へと戻る。
(……これ、汚れ仕事かな?)

 例の奴隷とは、罰を与えられた静音の事だ。静音は亀甲縛りされた姿で個室に閉じ込められていた。
「早く済ませろよ」
 何か不手際があれば自分も同じ目にあってしまう、と奴隷達はビクビクしながら仕事を済ませた。その様子を見ながら、静香が不満を零す。
「お皿を割ってしまったお仕置きだから仕方ないけど、私としてはもう少し縄の締め付けをキツくしてほしかったかな」
「えっ?」
 居合わせた者が耳を疑った。だが、聞き間違いではない。
「具体的には肌に後がくっきり刻まれるレベルで……。はっ、もしかして締め付けがそこまで強くなかった事もお仕置きの一環だったという事!?」
 可憐な声が紡ぐズレた台詞に、様子を見に来た主人がため息をついた。
「様子を見に来てみれば、相変わらずか」
「あっ、ご主人様」
「次は地下室に放り込むぞ」
「ご主人様、地下室には何があるの?」
 どこかワクワクと楽しみにするような静香の声を聴きながらドゥーは仲間達と大掃除を始めていた。
「きゃっ」
 仲間の少女が悲鳴をあげる。見れば、カサカサと蠢く小さな虫が……。
 パシン!
 ドゥーは無言のままにスリッパを叩きつけた。一撃で見事に仕留めれば、仲間が歓声をあげる。
「すごい!」
「ドゥー、こっちにもいるよ」

 実は、ドゥーは今日までふと存在を忘れられがちなほど存在感が薄い奴隷だった。だがこの「虫さんべしべし事件」の後、「ドゥーはスリッパの達人で、頼りになる」と謎の評判になり、スリッパ片手にあっちでべしべし、こっちでべしべし、これまで以上に忙しく働くことになるのであった。

「ふう、クタクタだ」
(屋根があるだけ幸せだなぁ……)
 奴隷生活の朝は早く、夜は遅い。
 ドゥーは窮屈な物置めいた部屋でしなびたパンを食べながら窓を見た。遠く煌めく星々が清らかな光を放っている。
「……帰ったら家の掃除、やろうかな」
 密やかな声は夜の静寂に染み込むようだった。

 なお、静香は触手や寄生植物がぎっしり蔓延った暗い地下室に監禁される事一週間、様子を見に来た主人と再対面して。
「どうだ?」
「うん、すごくたのしかったよ」
「そうか……」
 主人を大層困惑させたのであった。


●ご主人様は大忙し
 所変わって、世界の家である。

「危ない、それじゃ左手を切ってしまうぞ」
「こうですか、おにいちゃ……ご主人様」
「そうそう」
「お野菜、切れました!」
「よくできました。あと包丁を人に向けると危ないから気を付けようか」
 ガシャーン!
 台の上に立つ奴隷に包丁の使い方を教える世界の耳に異音が届く。
「今行く。あ、包丁は俺が戻るまで触らないように」
 駆けつけると年少の子がゴミ袋をぶちまけて自らも頭からゴミをかぶって地面に座り込んで泣いている。
「は、派手にぶちまけたな」
 パリーン!
 次いで響く物が割れる音。世界は薄々何が起きたのか察しながらも台所に戻った。
「も、申し訳ありませ……」
 皿が割れていた。
「怪我はないか? ああ、破片に触らないように」
 慌てる奴隷に指示を出しながら自ら破片を片付ける世界。その服の裾をくいくいと引く別の奴隷。
「ぱぱ、おしっこ……」
「俺はパパじゃな、」
 同時に玄関から声がする。
「ご主人様、買い出しにいった子が財布を落として帰ってきました」
「ええ……」
「ご主人様、ご主人様、お掃除してたら窓ガラスが割れてしまいました」
「なんで」
「まま、おしっこ漏れちゃった」
「俺はママでもな、……あー」

(おかしいな、楽をするために奴隷を買ってみたのに結局俺が色々やることになってるぞ?)
 連れ帰った子供たちの世話を焼きながら世界は「こんなはずじゃあなかったんだけどなぁ」と呟くのだった。


●夕映
 返景に染まりながら手を引く。とぼとぼと歩く歩幅が小さく、頼りない。
 皮膚はかさかさとしていて、汚れている。

「……そうか、親が戦争に巻き込まれて、な……そりゃ辛かったっスね」
 葵が優しい声で言葉を返せば、子供が鼻を啜る音がした。無言でハンカチを渡そうとすれば、戸惑いの気配。

 茜に溶けて滲む夕陽を背負うようにして葵はしゃがみこんだ。
「やっぱオレには出来ねぇわ」
 受け取ってもらえなかったハンカチで子供の頬をそっと拭い、瞳を覗き込むようにして葵は微笑んだ。

 そうだ――、葵は呟き、懐から世界のキャンディを取り出した。外装をほどき、ころりとした中身を小さな手に置いてやる。
 小さな子供の手のうちで、真っ赤なキャンディは甘やかに煌めいていた。見つめる子供の瞳から新しい涙が溢れ出す。なかなか止まらない涙雫を拭いながら、葵は眉を下げてくしゃりと笑った。
(コイツはこの世界だけの存在だとしても、物扱いにはできねぇっス)
「オレはどうも奴隷を買うのには向いてねぇタイプの人間っスね!」
 子供がようやく顔をあげる。円かな瞳に映る彩の異なる双眸がゆっくりと瞬いて、一抹の寂しさと穏静が風となって空に舞い上がるようだった。

成否

成功

状態異常

なし

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