PandoraPartyProject

シナリオ詳細

チョコレート・クッキング!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●チョコレート作りの教室が大変なようです
「や、皆。ちょっとお願いしたいことがあるんだけど、いいかしら」
 『雑踏の黒猫又』稲森・千河は本を一冊手にしながら、そう特異運命座標たちに告げた。
 その本は彼女の元いた世界、人間と妖怪が共に暮らす世界のそれだ。だいたい彼女はそこから事件を持ってくるが、果たして今回は何が起こったのか。
 得意運命座標が首を傾げると、千河はあくびをしながら話し始めた。
「くわ……実はねー、あたしたちの世界でも、この時期はチョコレートを男女で贈り合う風習があってさ。こっちだとなんだっけ、グラオ・クローネだっけ? そんな感じのがあるのよ」
 曰く、バレンタインデー。あちらの世界の昔の聖人にちなんだ名前なのだそうな。そのイベントが来る2月14日、千河の世界でもあるらしい。
「で、それ絡みで困っているところが一つあって……手作りチョコレートを作るプログラムをやってるお料理教室なんだけど、人が全然入ってないらしくてねー、それで参加者集められないと破産だーってなっちゃってるの」
 その言葉に、得意運命座標たちははーっと息を吐いた。なるほど、それは大変だ。教室側としても教室を開催しないわけには行かないだろうし、しかし開催した所で人が集まらないのであればどうしようもない。
 聞けば、もうなりふり構わずにプログラム参加希望のチラシを配っているらしく。彼女の通う大学にもやってきたのだそうだ。
「こっちの世界でもそういう風習、あるでしょ? だから皆にどうかなーと思って、持ってきたのよ……ふあぁぁ」
 本の間に挟んでいたチラシをひらひらやりながら、千河はもう一度あくびをした。
「やることは単純。お料理教室で手作りチョコレートを作るだけ。型に入れて冷やし固めるやつでも、チョコレートクッキーでも、スコーンでも、フォンダンショコラでも、何でもいいって言ってたわ。生徒の自主性に任せるんだって」
 そう話しながら、指を折りつつチョコレートのお菓子を数え始める彼女。そういう姿はまさしく年頃の娘だ。手作りのお菓子を作りたい気持ちもあるのだろう。
 かくして、説明を終えた千河が本を開く。もう一度あくびをしながら、彼女は得意運命座標に向き直った。
「気軽な気持ちで参加してくれればいいから……それじゃ、よろしくー。ふあぁ……」

NMコメント

 特異運命座標の皆様、こんにちは。
 屋守保英です。
 バレンタインの時期ですね。異世界でチョコレート作り、いかがでしょう。

●目的
 ・チョコレートを作る。

●場面
 地球によく似たとある世界、都心部にあるお料理教室です。
 お料理教室ではチョコレート作りのプログラムが行われていて、得意運命座標以外にお客さんはいません。
 プログラムの流れはありますが、作れるチョコレートはかなり自由です。
 なお、千河も室内にいて一緒にプログラムを受講しています。プレイングで言及いただければ登場します。

 それでは、皆さんの楽しいプレイングをお待ちしております。

  • チョコレート・クッキング!完了
  • NM名屋守保英
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年02月23日 22時03分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
フィーア=U=ツヴァンツィヒ(p3p008864)
実証・実験
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ

●料理教室、開始!
 『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は甘いものが好きだ。『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)も甘いものが好きだ。
「料理教室ねえ。俺はどちらかというと食べる専門なんだけどな」
「奇遇だ。私もチョコを作って食べれると聞いたから参加した口でね」
 甘いもの好きな男性二人がにんまり笑う横で、『実証・実験』フィーア=U=ツヴァンツィヒ(p3p008864)は満面の笑顔だ。
「チョコレート! 知識としては知ってるけど食べたことはないんだよね!」
 『新たな可能性』イズマ・トーティス(p3p009471)も、教室の中を興味深そうに見ながら沸き立つ気持ちを抑えられない様子。
「料理教室は初めてなんだ、楽しんでいきたいね!」
 熟練者二名、初心者二名。これはこれで面白いと思いながら、稲森・千河は担当の烏天狗、弥栄・真希に声をかける。
「という感じなんだけど、問題ない?」
「大丈夫よー稲森さん、本当にありがとう」
 千河に手を合わせながら頭を下げる真希だ。そして彼女は四人に向き直る。
「というわけで、私が今日の教室を担当する弥栄です。よろしくお願いしますー」
「よろしくお願いします」
 ゲオルグが軽く頭を下げると、その横でフィーアが飛び跳ねた。
「はい先生! 私ケーキ! チョコレートケーキ作りたい!」
「いいですねー。でも埃が立っちゃうので落ち着いてー」
 興奮するフィーアを落ち着かせながら、真希が視線を向けるのはイズマだ。
「俺は何を作ろう……色んなものを作れるんだな、迷ってしまう」
 実際今も何を作るか悩んでいる様子。フィーアのそばを離れて、彼の隣に立ちながら声をかける。
「それじゃシンプルなのを作ってみましょうか。お料理、初めてなんですよね?」
「ああ。ただ、色々な経験をしてみたくて」
 そう答えながら、イズマははにかむように笑った。悩んでいると言えば世界もそうだが、こちらは如何に手間を掛けずに作るかを悩んでいるようで。
「楽に作れてかつ美味しい物がベストなんだが」
 彼は自分で答えを出させたほうがいい。各人を作業台の前に案内して、真希はぽんと手を打った。
「それじゃ、各自料理を始めてください。分からないことがあったらすぐに呼んでくださいねー」

●ゲオルグの場合
「ふん、ふん」
 薄力粉とベーキングパウダー、純ココアをふるうゲオルグの手付きには淀みがない。そこに千河がやって来てボウルの中身を覗き込んだ。
「レオンハートさんはクッキー?」
「ああ、だがただのクッキーではないぞ」
 彼女の言葉に笑いながら、ゲオルグが作業台の上からそれを取る。お手本にと持参した現物だ。
「ずばり、にゃんたまクッキーだ!」
「あ、それ?」
 彼が差し出したのは、ふわもこな動物を模したクッキーだ。ふわふわ毛並みにマシュマロボディ、愛らしい表情がクッキーでも表現されている。
「少しでも現物を表現できるよう尽くさねば。無論、味の追求もしていくぞ」
 真剣な表情で粉をふるうゲオルグ。材料は全て入り、あとは混ぜてまとめる作業だ。
「ふーん。型抜き?」
「いや、手で成形するほうがいいかもしれん」
 まとめた生地を伸ばしながら、ゲオルグが問いに答える。ふわっとした質感を出すなら、手でまとめたほうがきっとそれっぽい。
 オーブンに入れて焼く間、デコレーション用のチョコを用意する。ホワイトチョコを丁寧に湯煎すれば、いい塩梅にトロトロだ。
「さてと、そろそろ……おっ、いい具合だ」
 音を立てたオーブンから取り出すと、綺麗に焼けたにゃんたまたちが。ふわっと膨らんだ見た目は実に愛らしい。
「味も想定どおり。さて次だ」
 一つを取って味をチェック。頷いたら、デコレーションだ。

●世界の場合
 隣の作業台。世界はガラス製の背の高い容器をでんと置いていた。
「チョコ関連なら何でも良さそうだったしな、教室に容器があって助かった」
 世界が作ろうとしているのはチョコレートパフェだ。見た目も華やかで見栄えがする、そして飾るだけなので楽という寸法だ。傍にやってきた千河も目を見開く。
「わ、パフェ? すごいの作るね、回言さん」
「手間が少なそうだしな。それに、持ち帰りを考えなくていい」
 彼女の言葉に世界が口角を上げる、が。
「うん、それはいいと思うんだけどさ」
 千河が容器の一番下を指差しながら指摘した。
「一番下、何敷くの? 大概さ、コーンフレークとかあるじゃない」
「あっ」
 その鋭い指摘にハッとする。そうだ、このままでは食感がもったりしてメリハリがない。
「うーん……よし」
 しばし考え込んだ世界が手に取ったのはクルミだ。袋に入れて綿棒で砕けば、立派なナッツクランチに。
「ん、クルミか。いいねー」
 千河が見守る中、クルミを入れて、ソフトクリーム、アイスと盛り付けていく。上にチョコシロップをかけ、クッキーといちごで飾り付け。これで完成だ。
「さて、時間が余ったな……千河、そっちはどうだ」
「んー、ぼちぼちかな」
 千河に声をかけると、彼女は自分の作業台に戻って一粒のトリュフを手に取った。皆を見て回る間にちゃっかり作っていたらしい。
「トリュフ。試しに一つ作ってみたんだけど、どう?」
「ふーん……味見していいか」
 千河の手の上のそれを世界の指がつまむ。そのまま、トリュフは口の中に消えていった。

●フィーアの場合
 対してフィーア。料理初心者ということで真希がそばについている。
「ふむふむ、カカオパウダーを混ぜていく感じなんだね」
「はい。メレンゲにすればふわふわになるんですけど、今回は簡単レシピで行きましょう」
 割ってほぐした卵に砂糖を混ぜ、ふわっとするまでハンドミキサーで泡立て。そこに薄力粉と純ココアをふるい入れ、ゴムベラで均一になるまで。型に入れたらオーブンに投入だ。
「焼き上がりはまだかなー、まだかなー」
「焦ってもしょうがないですよー、じっくり待ちましょう」
 オーブンの前でソワソワするフィーアを、真希が苦笑しながら見ている。やがてチーンと鳴るオーブン。蓋を開ければ湯気とともにスポンジケーキがお目見えだ。
「おー! 美味しそうにできた! あちっ」
「あっ、大丈夫ですか!?」
 喜々として取り出そうとしたフィーアの手が鉄板に触れた。慌てて手を引っ込めたところに千河がやってくる。
「ケーキ、どう?」
「あ、千河君! 今焼けた!」
 満面の笑みでスポンジを差し出すと、猫又の少女はくすっと笑って手を振る。
「頑張ってね、デコレーションで出来栄えが決まるし」
「うん!」
 彼女も忙しいらしい。千河を見送りながらスポンジを型から外す。冷ましてスライスしたら、別に作っておいたクリームの出番。
「さっき作ったチョコクリームを挟んでいきましょう。表面にも塗ったら、あとは――」
「飾り付け!」
 フィーアの手がヘラを取る。表面にクリームを塗って整えた後、色とりどりのフルーツをてんこ盛りに。
「出来たー!」
「んー、うん! 個性的でいいと思いますよー!」
 出来たケーキを見て真希が笑う。こういうのもまた、ありだろう。

●イズマの場合
 さて、イズマは。真希がフィーアに初手を教える間にしっかり手を石鹸で洗っていた。こういう基本は大事である。
「……何だか新鮮だな。よし、よろしくお願いします!」
「はい、よろしくお願いしまーす」
 待ち時間の間に作りたいものも決まった。真希に対して手を動かしながらイメージを伝える。
「一口サイズのチョコを作ってみようと思うんだ。楽器とか、音楽モチーフのデコレーションで……」
「いいですねー、こういう紙カップを使えば簡単ですよ」
 そう言いながら真希が出したのはお弁当のおかずなどを入れる紙製のカップ。これを器にすれば一つ一つ最初から小分けに出来る。
 頷いて、まずはチョコの準備だ。板チョコを包丁で刻んで、生クリームと一緒にゆっくり溶かす。
「湯煎して溶かしましょう。焦らず丁寧に混ぜてくださいね」
「分かった……う、意外と重いな」
 ヘラを絶えず動かしながらイズマが息を吐いた。混ぜ終わったらチョコを器に入れるが、ここで一工夫。
「チョコレートを型に流し込む時は、この絞り袋を使います。口金を大きいものにすると、絞りやすいですよー」
「なるほど、いろんな道具があるんだな」
 絞り袋に入れたチョコをにゅるっと絞り出し、軽く表面を整えたらいよいよだ。真希がチョコペンとチョコスプレーを取り出す。
「さあ、冷めないうちにデコレーションです!」
「うっ、難しい……!」
 最初は模様作りに苦戦していたイズマだが、やっていくうちにだんだん形になってきた。冷蔵庫で冷やしつつ、真希と言葉を交わす。
「最後の方は慣れてきて、うまく作れたよ」
「いい感じでしたねー、それじゃ、そろそろ出してみましょうか」
 真希も頷いて冷蔵庫の扉を開けた。冷えて固まったチョコレートは、表面がつやつやと輝いていた。

●料理教室、終了!
 出来上がったらあとはお披露目と試食タイムだ。
「ねーねー何作ったの? ちょっと交換しない?」
「いいとも。はい、どうぞ」
 フィーアがチョコケーキの一切れを、ゲオルグのにゃんたまクッキーと交換し。
「千河、結局抹茶トリュフはどうなったんだ。もう一度味見しようか?」
「大丈夫ですー、もう三個もあげましたー」
「あ、なら世界さん、俺のチョコ一つ味見してくれるか?」
 世界が千河に手を差し出すも拒否され、イズマが代わりに一口チョコを手の上に乗せて。
 そして皆で味わった後、真希が黒板の前で声を張る。
「皆さん、楽しかったですかー?」
 その言葉に、全員が笑顔を見せて言う。
「楽しかった!」
「こういうの、俺には似合わないんじゃないかなぁと思ってたけど、楽しかったよ」
「たまには好き勝手に作るのもいいな」
「うむ、なんだかんだ手作りとは楽しいものだ」
 楽しく甘い時間。こうしたバレンタインも、きっと悪くはない。

成否

成功

状態異常

なし

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