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シナリオ詳細

迷森械樹タケノッコーンVS迷森械樹キノッコーン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●古代キノコタケノコ戦争
 ジジイがいた。名前はキノタケ。
 森林迷宮に古くより住む齢何百年の長老である。
 太すぎて目を完全に覆い隠した白眉毛をぴくぴくさせ、村一番の霊力をもつという霊樹スギッカから戴いたという枝杖をつき、しわがれた声で語り始める。
「いにしえより受け継がれしこのスギッカ集落には、二つの派閥があった。
 深緑に生息する美味なる菓子植物『里タケノコ』を愛するタケノコ派。
 同じく深緑産の美味なる菓子植物『山キノコ』を愛するキノコ派。
 これらの派閥は部族を真っ二つにわり、時には血で血を洗う抗争をおこしたこともあった。
 今ではその両派閥が滅び、中立であった少数派閥スギノコ派が今の部族として残ったのじゃ」
「へー」
 正座してそのお話を聞いてたスイカちゃん。
 途中から飽きてきたのか爪のあいだのごみとか取ったりしはじめてたけど、一区切り突いたらしいので口をはさみにいった。
「なんで今その話?」
 ちらりと見れば、同じくローレット・イレギュラーズたちも座って長老の話を聞いている。
 長老はそれまで隠れていた目をクワッと開いた。
「二つの派閥が滅亡するきっかけとなった古代兵器! その封印がいまこそ切れてしまうからじゃ!」
 見よォ! といってそれまでのよぼよぼ感が吹っ飛ぶ勢いで杖を振り上げる。
 すると霊樹スギッカの根元が突如として掘り起こされ、大地より巨大なドリル状の物体が姿を現した。
「霊樹の根によって力を抑えられ封印されていた古代兵器――迷森械樹タケノッコーンじゃ!」
 タケノッコーンはヴォーンとそのドリル状のボディを回転させ地上へ完全に姿を露出させるとブレード面を花のように開き、ずらっと並んでいた小型タケノコ兵器を周囲へと展開させた。
 暴走を危惧し予め配置されていた森林警備隊のひと(暇だったので来てくれたおっさん一人)がオリャーといって殴りかかるも、地面を掘り進んで突如として飛び出すタケノコたちに翻弄され、最終的にはメインタケノッコーンによる追突で吹き飛ばされてしまった。
 バッと立ち上がるスイカちゃん。
「よっしゃ、つまりこのタケノッコーンを破壊するのがあたいらの任務だな!?」
「否、それだけではない」
 見よォともっかい言って逆側を指さす長老。
 すると空からどういうわけか降ってくる巨大キノコ型兵器。
「同じく迷森械樹キノッコーンじゃ!!」
 キノッコーンは傘部分に格納していた大量の小型キノコ兵器を展開。まるでプロペラ飛行するかのように回転して飛ぶキノコ群が茎(?)の末端からエネルギー弾を乱射。地上を無差別に撃ちまくった。
「地中と空、両方から攻めてくる迷森械樹だとォ!? こうしちゃいられねえぜ! あたいの対空能力を見せてやる!」
 ウオーといって石槍で棒高跳びを繰り出すスイカちゃん。
 飛んでくるキノコをベリーロールスタイルで飛び越え、くるっと回転し両足から着地。
 Y字のポーズでドヤ顔すると、長老とさっきの警備隊オッサン(もう重傷)が10点の札を上げた。
「フッ、これぞあたいが夜なべして開発した新技スイカジャンプだぶべら!?」
 回転しながら突っ込んできたキノコの直撃を受け吹き飛ぶスイカちゃん。
「ぐおおおおしまったー! かっこよさのあまり攻撃力とか考えてなかった! みんなー! あとはたのむー! たのむー!」

GMコメント

■迷森械樹タケノッコーンと迷森械樹キノッコーンを撃破しよう
 深緑の霊樹集落スギッカの長老より依頼をうけ、迷森械樹を撃破すべく派遣されたみなさん。
 地中と空中から同時に無差別攻撃してくる迷森械樹を相手にどう戦うのか?
 はい、今から解説していこうと思います!

■はいけい?
 迷森械樹は里タケノコ派と山キノコ派による醜い争いの末に開発された兵器です。目に見える人間を全員病院送りにすることを使命としており、両派閥見境無くぶっ飛ばしたせいで見事に両方自滅しました。
 この事件は『キノコタケノコの悲劇』或いは『大がかりな自滅』『おニューな道具に頼った老人の末路』『末代までの恥』『スギノコ派よく耐えた』と呼ばれています。

■フィールドとエネミーデータ
 舞台となるのはスギッカの集落。森に囲まれた霊樹の集落です。
 ハーモニアだけで構成されており、太くて頑丈な木の上にツリーハウスみたいなのを作って吊り橋で繋ぐというスタイルで家屋が並んでいます。住民はちゃんと逃げてるので人的被害の心配はしないでOKです。
 今地中からはタケノコが、空からはキノコが攻めてくる状態なので両方を同時に相手取る必要があります。
 高いとなら安全やろつってみんなで木の上に陣取ってると木ごと切り倒されるので、何人か地面に残してタケノコを引きつけさせるのがベストです。
 空からのキノコ攻撃は射撃と突撃が主ですが、こっちも飛んで高高度戦闘をしかけたり木のうえから射撃したりといった方法で対抗できます。
(高高度戦闘には必ず『飛行』スキルを活性化してください。簡易飛行や媒体飛行では戦えません)

 タケノコ系は防御を突破するタイプの攻撃が、キノコ系は回避能力が高いと言われており、それぞれの対応に優れたメンバーをおいとくのがよいでしょう。

 あとスイカちゃんと警備隊のおっさんは即病院送りになったので戦いには参加しません。横から応援してくれます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 迷森械樹タケノッコーンVS迷森械樹キノッコーン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月09日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
錫蘭 ルフナ(p3p004350)
澱の森の仔
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
リサ・ディーラング(p3p008016)
蒸気迫撃
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
観音打 至東(p3p008495)
アルフィンレーヌ(p3p008672)
みんなの?お母ちゃん
Я・E・D(p3p009532)
赤い頭巾の魔砲狼

リプレイ

●深緑キノコタケノコ戦争
 ふりしきるキノコ兵器による爆撃。
 大地を蹂躙してまわるタケノコ兵器。
 ピャーといいながらバレーボールみたいに吹っ飛ばされていくスイカちゃん。
「うーん、話半分に聞いていたあの昔話が本当だったとは……地獄のような光景だ」
 そんな中でひとり達観した『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)は、独自の紋章術式魔方陣を展開。オドを共振させてエネルギーを内部に無線充填させていく。
 一方でリュックサック型の兵器携行システムを下ろして手動で携行四門機関砲を展開する『ザ・ハンマーの弟子』リサ・ディーラング(p3p008016)。
 伸ばしたチューブ状の回転砲身をそれぞれセットし、両肩と両脇それぞれにガトリングガンを集めた面制圧装備を調える。普通に持ち歩いたら二秒で潰れる重量だが、外骨格型パワードスーツと無限蒸気式の動力によって支える仕組みである。
「にしてもなんすかこの珍兵器たちは。ここまで珍兵器っすと、逆に興味湧いてくるっすよー」
「やーははは。なにこれウケるござる。曲がりなりにも深緑に居を構える拙者でござるが、まさかご近所にかようなアレが潜んでいようとは」
 腰に下げた二本の刀。そのうち一本をすらりと抜いて、『破竜一番槍』観音打 至東(p3p008495)はその表面に切断の忍術を施した。
 特殊な呼吸法によって肉体の強度が増し、まるで影がすべてを無視して地を滑りゆくかのように身体をふわりと宙に浮かせた。こうなった至東にとっては水滴や光の線すらも足場となる。
「では拙者あっちのキノコを相手取るでござる。誰か援護射撃を」
「そういうのは私得意っす! お任せあれっすよ!」
 ビッと親指をたてるリサ。ウィリアムはそんな彼女たちを見て、反対側へと身体を向けた。
「じゃあ、僕はタケノコのほうを相手どろうかな」
 オド振動によって分離されたイオンによって生じた雷の柱が収束し、光の槍となってウィリアムのすぐ脇に浮かぶ。位置固定するように展開させた筒型魔方陣を腕の動きに連動させると、『そっちは任せたよ』と言って歩き始めた。

「異なる世界の異なる技術が肩を並べて戦う。これこそ混沌だぜ……フッ」
 木の枝にひっかかって逆さにつられたスイカちゃんがニヒルに笑っていた。っていうか他にすることがないからそうしていた。煙草の代わりに細い木の枝を二本指はさんでフゥーってやっていた。
 その下て、例の山キノコをさくさく食べてる『赤い頭巾の悪食狼』Я・E・D(p3p009532)。
「『里タケノコ』『山キノコ』も聞いただけで美味しそうなのに、どうして派閥で争っちゃったんだろうね……? とりあえず食べてみれば判るかなぁ」
 どっちもおいしいよね、ともしかしたらこの手の問題に対して大多数が抱いてることを言い出すЯ・E・D。
 そんなこと言っててもしゃあないというかはじまらないので、Я・E・Dは召喚したウッドストックライフルをキャッチ。と同時に牛革をなめしたウェスタンジャケットとジーンズパンツ、ついでにウェスタンハットによる服装へとチェンジした。
 その横で、深い呼吸と軽い瞑想をはかる『澱の森の仔』錫蘭 ルフナ(p3p004350)。
 『澱の森』を内なる世界に再現し、それを自身を通して周囲へ広げていく。
 それと引き換えにするように、周囲に存在する精霊たちを自らに取り込み、擬似的な神降ろしをはかった。
「『タケノコ主義者は味覚がおかしい! 優秀なきのこは彼らに哀れみをもって戦いを終わらせるべき!』」
「突然なに」
「あっごめんね、土地の精霊が宿ったみたい。ところでキノコって植物じゃな――『キノコは万物の長! キノコへの侮辱は万死に値する!』」
「突然なに!?」
「いえ、認めなければなりませんね、現実を。
 ところで私の世界にも千年に一度だけ採取できる伝説の菓子植物があるんですよ。名前は確か、そう――『フォート=アル』」
 なんかこの手の争いに新しい火種を投入しかねないことを言い出す『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)。
 本日はがちめの秘境森エルフ回だって聞いたから森のエルフみてーなあの、なんていの? 肩が出てて緑と土色でできてて妙に胸元強調されるあの謎の服あるじゃん。あれ、あれに着替えていた。
「今日の私はリディア(深緑ver)……いまにもBGMにケルトが流れそうな気分ですね」
「え、あ、はい」
 わりかし昔からその服を着ていた『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)が『今?』みたいな顔して振り返った。
 片手に里タケノコ、片手に山キノコをもち、それぞれを交互に食べるという今日の趣旨みたいなことをしつつである。
「リディアさん、残念なお知らせが一個あります」
「……なんでしょうか」
「今日、リディアが二人いますよね」
「いますね」
「口調が一緒ですね」
「そうですね」
「そのくせ服装と髪色も一緒になりましたね」
「言われてみればそうですね」
「この時点でもうどっちがこの台詞を喋ってるか、画面の前の皆さんは判別ついてませんよね」
「そうですね……!!」
 もっというと年齢も背格好も一緒なので、耳の形くらいでしか判別ができない今現在である。
「なので今日のテーマとしましては……一緒に動くたびに違いをつけていって、名前の語尾に(耳長)みたいにつけていくのはどうでしょうか」
「そうですね!(賛同)」
「では早速失礼して」
 リディア(しろくま)は白い熊のぬいぐるみをよいしょと持ち上げると、森の魔力を流して人形を稼働させはじめた。
 宙に浮かんでビッと戦闘の構えをとるくまさん。
「ああっ! ずるい! かわいい判別名を先にとるとか!」
 リディア(脳筋)が輝剣リーヴァテインを片手で持ち上げてブゥンブゥンて振り回し始めた。
「ほらみなさいこういうことになる!」
「名前判別はイメージが命。綺麗なイメージを先に取得した方が勝ちのルールなのです」
「いま初めて聞きましたけど納得いくのが癪ですね!」
 突如始まった新世紀リディア大戦。
 めちゃでっけーハンマーを床置きして、その上に腰掛けていた『ママの気遣い』アルフィンレーヌ(p3p008672)は『もう出番いいですか?』って顔して立ち上がった。
「この世界は不思議がいっぱいだと聞いたけど、木にお菓子がなるなんて本当に不思議ね。こういうこと、ここでは沢山あるのかしら」
「お子様ランチがなる木とかあるぜ」
「あらあら」
 逆さに吊られたスイカちゃんに山キノコをあーんしてあげると、アルフィンレーヌはハンマーの後ろんとこについてるバーナー(?)を上向きにして弱めに点火。どこからかでっかい土鍋と醤油とみりんと料理酒とタケノコとにんじんと椎茸と米と水を取り出した。
「さあ、戦闘の始まりよっ!」
「お料理番組じゃなくて?」

●kinotake battle
「今日は私とあなたでダブルリディアです!」
 またもや先手をうとうとしたリディア(モフモフ大好き)がしろくまさんを砲丸投げのフォームで構えた。
「ストップストップストップです! リディアさん!」
 そんなリディアの前に割り込んで両手をばったばったするリディア(マグロ一本釣り)。
「なんです、リディアさん?」
「なんですじゃないですよ! 本当にそのスタイルでいいんですか!? そのマスコットみたいなぬいぐるみを武器にするスタイルで本当にいいんですか? このアレンジお嫌いじゃありませんか!?」
 ハッと上向き、いまいちどしろくまさんを見つめるリディア(深緑出身16歳)。
「いわれてみれば……このスタイルは私らしくなかったですね」
「でしょう!?」
 といったそばからリディア(最初から魔法少女)は召喚した木のツルでしろくまさんをうぎゅるーって包み込んで(しろくまさんの顔だけ出た)巨大な槍みてーにかえると、それまで律儀に待ってくれていたタケノッコーンめがけてぶん投げた。
「えいっ!」
「しろくまさーーーーーーーーーーーーーーーん!」
 が、始まっちまったもんはしかたねえ。
 リディア(デビュー戦がいきなり絶望の青)は宝剣を握りしめると、どこからか飛んできた『姫獅子の鎧』のパーツを全身に装着。
 ボワッと蒼い炎のオーラを纏い、背部から吹き出るオーラスラスターによって両足を地面につけたままスライド突撃していった。
「ふぅんぬ!」
 ここまでかっこよかったけどかけ声でワンテンポずれるのはリディア(下着が赤白ストライプ疑惑)である。
 かけ声はともかく必殺の七星極光『蒼炎斬』でタケノッコーンが繰り出すタケノコビットたちを一斉に切り裂いた。
 グッと拳を握って身を乗り出すリディア(ロリエルフ)。
「リディアさん。衣装交換した時言い出せなかったけどあのように重い鎧を着けて動けるのはすごいと思います。重要な部分を守るためでしょうが、鎧の胸の辺りが少しきつくて苦しかったですけど。剣も重くて、私では振り回せる気がしませんでした。力強く堂々としていて姫騎士って素敵ですね」
「ア゜ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
 防御を貫くっつータケノッコーンの攻撃シーンを描写してる暇なんかねえ。
「ずっと封印されていた割に元気だねあの械樹。まったくもう無駄にいい仕事するんだから。
 とにかく何とか止めないとね……こんなのにやられて病院送りとか100年くらいネタにされてしまう!」
 伸びてくる無数のドリル状物体を腕と連動させた雷撃の槍で次々に打ち払うと、ウィリアムは手首に纏わせた魔方陣をひねるようにして解放。まるで全身をつかって掌底を放つかのようなフォームをとると、突き出しの動作によって雷撃槍を豪速で発射した。
 大爆発を起こすタケノッコーン。
「あらあら……派手ねえ」
 ふつふつ音をたてる土鍋の蓋を開くアルフィンレーヌ。
 できあがったタケノコご飯をお椀に盛り付けると、木からぶら下がっていたスイカちゃんやらさっきの爆発で転がってきたリディア&リディアやらに手渡していった。
「日々の健康は美味しいご飯からよ。ちゃんと食べてしっかり戦いましょうね」
「「ママー!」」
 ほこほこした仲間達がタケノコご飯にがっついてる横で、いそいそとスイーツ作りにとりかかるアルフィンレーヌ。
 里タケノコは見た目のわりにチョコレートのような食感と味がして、芯の所はビスケットに近いという。
 であるならばこれをクラッシュしてバニラのアイスクリームにまぶしてやればクッキー&クリーム風のスイーツになるのである。
「倒した敵をお料理するのも、なかなか楽しいわね」
 よく考えたらこれって里タケノコ型の機械のはずなんだけど実はどうやら美味しく食えるらしいって言ったら信じる?
 あとここ一連のお料理描写が全部『メガ・ヒール』の使用シーンだって言ったら信じる?
「うん、きっとこの子達は食べられるために産まれたんだと思う。歯ごたえがあっておいしいし」
 チョコビスケットサンドをサクサクやりながら、爆風で飛んできたタケノコビットを払いのけていくЯ・E・D。
 爆発のなかからギリギリ生き残ったタケノッコーンがウガーっていいながら最後の反撃に出ようとするが、Я・E・DもЯ・E・Dで最後のラストショットに出ようとしていた。
 被っていたウェスタンハットを脱いで放り投げると、意匠が最低限のパーツのみを残して消滅。赤い頭巾が頭に被さった。
 ついでに握っていたライフルも放り投げると、広がった彼女の影から大量のライフルが一斉に召喚され、ひとりでに敵へと狙いを定めた。
 ピッと指さすЯ・E・D。
「……タケノコもキノコもどちらも美味しい。
 きっと、古代の戦いはそれを認めたくなかった。
 これは、人間のサガが起こした悲劇……」
 すっごくシリアスめに目を細めると、ライフルの一斉発射によってタケノッコーンを粉砕した。

 一方こちらはルフナ。
「『キノコは自分で立てない未熟者! 傘の部分をなくしたらただの棒!』」
 目をタケノコにしてタケノコ型の杖をぶるんぶるん振り回していた。
「正気にもどるっすルフナさんー! タケノコ派のなにかが乗り移ってるっすー!」
「はっ、僕はいったい何を」
 『惟神』の術式を使って環境と深く繋がった結果タケノコ派の電波を受信しまくってしまったルフナ。
 あぶないあぶないといって、深呼吸&瞑想状態にはいった。
 再び己が内なる『澱の森』を己の肉体を通して展開。静謐な霊力が一本の木を中心に広がり、連鎖するように膨張した霊力がリサや至東たちの受けた傷を高速で修復していく。
「正直この場所になじみ続けるのは僕的に危ないから、できるだけ早くかたづけてね」
「そ、そうするっす」
 リサは木の枝にひっかけた強固なケブラーワイヤーとスチームウィンチによって自分を木の高いところに固定すると、自らを歩く銃座に変えて対空砲火を開始した。
「対象、キノコビット! ファイヤーっす!」
 両手に握ったレバースイッチを握り込むと、背部からものすごい勢いで蒸気が噴き出し四門の機関砲が火を噴いた。
 鉛弾を赤き天の川の如く放出すると、空中からこちらを射撃するキノコビットたちが次々に巻き込まれ爆発していく。
「そんなに煙ふいて、熱くないの?」
「私はこういうの平気っす。蒸気機関は別腹っすから!」
「べつばら……?」
「ですとろいぜむおーる!」
 そんな中で至東は爆発のなかを文字通り駆け抜けながら本体となるキノッコーンへと急接近。
 放たれるエネルギー弾をあえて回避せず。その一部を刀によるピッチャー返しで打ち込んでいく。
「こんなものを後世に残しては、後顧の憂いどころか武門の恥ともなりかねぬ。ですとろいぜむおーるでござる!」
 てやーといって滑り込んだ至東の連続斬撃がキノッコーンの傘部分を切断。飛行能力を喪失したキノッコーンが転落すると、リサがわーいといってパーツを分解しはじめた。
「あれ? これ機械っていうより植物っすね。中身ぎっしり何かの繊維っす。私の専門外っす。至東さーん、解析するのにこれ一晩抱えて眠って貰っても……」
「やだでござる!」
「枕の代わりにするだけでいいっすから」
「いーやーごーざーるー!」
 首をぶんぶんしてから、至東は残った部位を刀でずばずば細かく切り刻んでしまった。
 ついでに火を放っておく。
 ぱちぱち焼けるキノッコーンを前に、ルフナたちは静かに手を合わせた。
 古き負の遺産が消え去る瞬間を、せめて厳かに過ごそう……とかじゃなくて。
「なんか、いいにおいするね」
「ござるな」
「っすね」
 三人の脳裏に浮かんだのは、バーベキューの網にのるしいたけであった。




 かくして、スギッカ集落の危機は去り、負の遺産も無事に破壊されたのだった。
 めでたしめでたしと、今は言っておこう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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