PandoraPartyProject

シナリオ詳細

子供達の夢を守る為に

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■サンタクロースの危機
「うむ、今回も良きクリスマス。そして平和な年越しを迎えられた事は何よりじゃな」
 とある世界の年越し風景。年末のクリスマスの大仕事を終えた初老の、赤服の男性……伝説のサンタクロースその人は、長い顎髭を撫でながら感慨深げにそう語る。
 もっとも、毎年同じ事を言っているのだが。サンタクロース見習いの者達はツッコミたいがつっこまないのが礼儀なのである。さておき。
 今年はいつもと違う風景が一つあった。生きた人形少女、アリスが共に暮らしているからだ。人間に恨みを抱く危険な人形だが、今は大人しく、それでいて楽しそうにしている。
「ふふ、そうね。人間が平和に、というのはちょっと癪だけど。まあ、今は黙っておいてあげる」
「そうかいそうかい」
 アリスが淹れてきたホットミルクを一すすり。大きく息を吐いて……異変はそこで起きた。
「うぐっ!?」
「お、おじいさん!?」
 急に胸を押さえて苦しみ始めたのだ。サンタクロースは『子供達の願望の具現化』だから、それが潰えぬ限り痛みも苦しみも感じないのに、だ。
「ル、ルシフェル君を、呼ぶ、んじゃ……彼なら、どうすべき、か知っておる……」
「わ、わかったわ!」
 半泣きの目を拭い涙を拭き、アリスは駆け出す。氷の森に住まう鹿の姿をした天使に会いに。

「……こいつはまずいな」
 倒れ伏したサンタクロースの姿を見て、開口一番。ルシフェルも表情を歪めた。事態は思った以上に深刻らしい。
「どういうことなの……?」
「おやっさんが倒れる。それはつまり、『子供達が希望を失いつつある』って事だ」
 子供達が未来に抱く無限の夢。それをエネルギーとして、心臓としてサンタクロースはこの世界に存在している。つまり、それがなくなるとサンタクロースは消滅してしまうのだ。
「子供達が……? でも、なんで? この間クリスマスは……きちんと」
 その希望を忘れさせない為に、毎年のクリスマスはやってくる。サンタクロースは子供達に夢を配る。それはきちんと行ったのに、だ。
「……待て。これは……夢の世界で悪魔が動いていやがる」
「夢の世界……じゃあそこに乗り込めばいいのね!?」
「そうだが、お前は駄目だ。心に闇を持ちすぎている。俺は夢の世界への架け橋を作らなきゃいけない……」
「……ああもう、こんな時に、あの『人間達』がいてくれたら!!」

NMコメント

 夢は大事。以下略です。
 舞台は拙作『トナカイさんの勧誘』と同じですが、ご覧にならなくても大丈夫です。すぐに夢の世界へ移動しますので。
 今回のオーダーは、【夢の世界で暴れている悪魔達を倒す】です。なお、夢の世界では悪夢に囚われた子供達が見ていますので、彼ら彼女らが喜ぶように戦うとなお良いです。
 具体的には変身ヒーローや魔法少女、ドラゴンを退治する王子様など、格好良く振る舞ってあげると良いでしょう。
 以下敵概要
・ナイトメア×4
 子供達にとっての悪……ドラゴンや怪獣、魔女などの形をとっています。大した知能も力もないですが、子供達の夢を食らう食欲と体力だけは凄まじいです。
 ただし、その食欲を超える程の大きな夢、希望には弱いので、子供達の心をうまく呼び起こすと……。

・フィールド:夢の世界
 子供達の夢の世界です。この世界にいる間は活性化スキルに関係なくいろんな力を使えるものとします。
 例として神秘スキルしかないけど物理一辺倒で戦う。物理スキルしかないけど魔法攻撃が大得意、など。プレイングでどんな風に、どんな格好で戦うかを示して下さい。
 一番大事なのは、【子供達が憧れる存在として戦う事】です。

 以上となります。少々変則的ですが……子供達の夢を守ってあげてください。

  • 子供達の夢を守る為に完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年02月05日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾

リプレイ

■魔法騎士と魔法少女
 燃え盛り崩れていく城を背景に、『二人でひとつ』藤野 蛍(p3p003861)と『二人でひとつ』桜咲 珠緒(p3p004426)は黒き龍を前に立つ。ちらりと後ろを振り返ると、全く違う様相の世界と化け物。そして頭上には怯えた様子で身を寄せ合い震える子供達。ここが子供達の夢の世界だと把握する。
 ならばやる事は一つ。蛍と珠緒は視線を交わして頷きあい鏡に移したかのように左右対称のポーズを取り、手を天に掲げる。珠緒はちょっと恥ずかしそうにしていた気がするが、気にしないように。
 光に包まれた二人の体は、蛍が青、珠緒が赤を基調としたおそろいの衣装を身につける。
「希望を喰らい悪夢を齎す悪魔、許せません!」
「『二人でひとつ』の魔法少女、参上だよ!」
グガァァ! と龍が咆哮を発する。吐く息は強風となり二人を吹き飛ばそうとするが、二人は手を繋ぎ耐える。
 風が吹き止むまでの間、手を繋いでいない空いた片手に力を込める。蛍の手には光り輝く剣が、珠緒の手からは幾多もの透明な画面が表示され空間に散らばっていく。
「蛍さん、援護します!」
「ありがとう、珠緒さん!」
 蛍の手を離す直前、一つの画面から力が蛍に流れ彼女の脚力を補強する。珠緒の援護を感じ頬が緩むのを堪えながらも蛍は剣を構え、ドラゴンに向かって駆け出していく。
「っくぅ! かったいなぁもう!」
 無駄にタフだという話は聞いていた。それがこのドラゴンの姿では硬い鱗という形で顕現している。蛍が駆け出した速度と共に振り下ろした剣の一撃は鱗に阻まれ肉体までは届かない。
 しかし鱗の一枚は確実に破損している。だったら諦めずに追撃するのみ!
 再度剣を振るおうとした蛍に、ドラゴンは踏み潰さんと足を持ち上げていく。しかしその緩慢な動きは蛍にとって驚異にはならない。
「おっと、そんなのろまな攻撃には当たらないよ!」
「おねーちゃんかっこいー!」
 上空から女の子の声が降り注ぐ。巨大な龍にも怯まず立ち向かう蛍の姿はまるで王子様のようで。女の子に希望を与えたようだ。
「こちらも行きますよ!」
 ズン、と巨躯を地面におろした龍へ向けて、珠緒の展開した術式の一つから光の柱が放たれる。龍に比べれば小さなものの、大きな光の柱は脚を貫き穴を空ける。
 まだまだ体力は有り余ってる様子の龍。しかし珠緒と蛍の連携、そして一向に踏み潰す事のできない苛立ちからか咆哮を再度あげる。口の端からは炎が漏れ出る。
「おねーちゃんあぶない!」
 珠緒へと女の子から声が飛ぶ。しかし珠緒は慌てない。足を止めて術式をばらまいていく。彼女は自らの身を守らない。
 何故ならば、最愛にして最高の、騎士がここにいるから。
「珠緒さんを守り抜く金剛不壊の魔法騎士――それがボクよ!」
 防御術式のかかったマントで自らと珠緒を守り、炎を振り払い蛍は誇り高く叫ぶ。誰にも、彼女を傷つける事はさせないと。

■褐色姫の奮闘
「魔法姫、モカ・ビアンキーニ参上!」
 禍々しい森のフィールド。そこではオールドスタイルな魔女が箒を片手に待ち構えていた。そこへ足を踏み入れたのは『Stella Cadente』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)その人だ。
 ただいつもの、男前な格好をしたモカではない。純白のドレスに魔法のステッキ。如何にも魔法を扱うお姫様といった格好で、だ。ご丁寧に頭には豪華なティアラまであしらわれている。
 魔女が言葉を発しないのは決して違和感が凄いからではない。ないんだよ。
「な、なんだその顔は。私だってたまには清楚な姫をやってみたいんだよ!」
 沈黙が痛かったのか。モカは咄嗟に言い訳を口にしてしまう。
「モカ姫、頑張ってー!」
 それでも純粋無垢な子供達は、モカに声援を送ってくれる。救いに来たはずの彼女だが、心を子供達に救われていた。
 ちょっと涙ぐみそうになっていたモカだが、気を取り直し右手に持ったステッキをビシッと魔女に突きつける。
「と、とにかくお前はここで退治してやる!」
 精神を集中させると、ステッキから電撃が魔女へ向けて奔りだす。初めての魔法に内心感動しつつも、顔には出さない。
 電撃は魔女に見事命中するが、それだけで倒れる程ではない。多少服は焦げたようだが、魔女も口元で何か呟きを漏らす。
 モカには聞こえなかったそれだが魔法の詠唱だったらしい。近くの木々から葉が鋭い刃と化してモカに襲いかかる。
「危ないな! このフィールド自体が奴の武器って事か……」
 間一髪で横っ飛び回避をしたモカはドレスの裾を直しながら冷や汗をかく。相手の得意なフィールドで、不慣れな魔法で果たして倒せるのか、と。
 しかし諦めるつもりは毛頭ない。再度ステッキを振りかざし、今度は炎を出そうと念じていく。

■会長、それはモンクって言うんです
「私だってたまにはステゴロしてみたい!」
 『特異運命座標』楊枝 茄子子(p3p008356)は本来ならばか弱い少女、きっと少女である。仲間の傷を癒やし、殴り合いなどもっての他。羽衣教会の会長という立場もあり肉弾戦は避けてきていた彼女だが……。
「でたなナイトメア(怪人)!!」
 虫と人間が中途半端に融合したような見た目の怪人が、街中で暴れまわっている。そんなフィールドに降り立った茄子子は一声叫ぶと、免罪符を天に掲げる。
 派手な光と共に変身BGM(ご想像におまかせします。プレイングには天使の歌とありました)が鳴り響く。何事かと怪人が目を細める。
 と、怪人の背後から茄子子が飛び蹴りを繰り出した! もんどり打った怪人だがなんとか立ち上がる。その視線は「ヒーローの癖に不意打ちとは卑怯な!」とでも言いたそうだ。
 しかし茄子子は全く悪びれる様子はない。それどころか不意打ちした隙に変身を完了させている。赤いスーツのような物に身を包み、バイザーもつけている。本人も良くわかっていないがヒーローっぽい何かにはなったようだ。
 証拠に子供達からは応援の声援が飛んでいる。
「ヒーローだー! ちょっと卑怯だけど!」
「卑怯も何も、勝てば官軍なのだよ!」
 多分子供達には言葉の意味は伝わっていないだろうけども、何故か格好良く見えるので無問題だ。
「いくぞ、怪人! 大天使の祝福パーンチ!!」
 本来ならば仲間を癒やす奇跡の力。それが夢の世界で謎の反転を起こして敵を粉砕する力になる。右手に天使の奇跡を纏い、大地を蹴り、怪人の顎に向けてアッパーカット!
 ものの見事に決まった一撃に怪人は打ち上げられ、頭から地面に突き刺さる。が、この程度で消えはしない。
「流石にタフだね、いいよ、もっとやろうか!」
 ……それはヒーローではなくモンクの戦い方だとつっこむ者はこの場にはいない。

■悪夢は終わる
「珠緒さん、今だよ!」
 龍の鱗を貫き、大地に脚を繋ぎ止めた蛍が叫ぶ。珠緒が先程まで展開していた術式はただの演出などではない。全てはこの一撃の為の布石なのだ。
「処理反転、集積魔力開放、集積点連結、砲術回路形成、砲身構築、炉心充填……いけます!」
 珠緒の組んだ両手に魔力が貯まる。周囲の術式が光り輝く。それを確認した蛍が剣を手放し龍から離れる。珠緒自身が砲身となり、蛍の持つ魔法剣を照準として放つ最大の一撃!
 極大の爆発と轟音。子供達が思わず目と耳を塞ぐ。
 ようやく全てが落ち着いた頃、子供達が恐る恐る目を開けると、そこには蛍と珠緒が手を繋いで立っていた。
「す、すっごーい!」

「くっ……慣れない戦い方をするものじゃないね」
 一方森のフィールドでは、モカが魔女相手に苦戦を強いられていた。慣れぬ魔法の扱いに四苦八苦している間に、魔女の操る木の枝に四肢を絡め取られていたのだ。
 万事休す、そう思われた時に子供達が叫ぶ。
「モカ姫ー! そんな魔女なんかに負けないでー!!」
 その声が力となる。子供達の願いがモカの体に宿る。
「そうだ、負ける訳にはいかないんだ!」
 放つ事が難しいならば、体の内側から爆発させればいい。祈りと願いを力に変えたモカの両手両足から魔力が爆発し、樹の枝を粉砕する。
 怯んだ魔女へ向けて、荒ぶる力をそのまま開放するようにステッキを振るう。最初の雷撃の数倍はあろうかという太さの魔砲が、魔女を飲み込み消し去った。
「やったー、モカ姫ー!」

「これでトドメだよ!」
「いっけー、ヒーロー!!」
 子供達の声援を拳に宿し、弱った怪人に向けて放つ。拳を受けて倒れそうになった怪人に、倒れる前に更に拳、拳、拳!
 ひたすら殴り続け穴だらけになったかのような怪人がようやく倒れ、茄子子は手を掲げ勝利を叫ぶ。
「正義はかーっつ!! あ、まって脇腹いた、痛い!!」
「あはは、なんだあのヒーロー! 面白いー!」
 普段動き慣れていない体が急に激しい運動をすると脇腹が痛くなるアレである。運動不足が露見した茄子子であった。

 最後に残った一匹のナイトメアだが、子供達を解放すると一目散に逃げていった。仲間たちが倒されたを見て勝てないと悟ったのだろう。
 ともあれこれで悪夢は終わりである。子供達の希望と夢が元通りになった事でサンタクロースもやがて体調を取り戻すだろう。
「サンタクロースにとって子供達の希望こそが支え……ボクにとっての珠緒さんみたいなものなんだね」
「蛍さん……ええ、明日も、明後日も、ずっと一緒ですよ」
 子供達の見てる前でも、甘い空気を出す事を忘れない二人。一部の女の子は羨ましそうに見つめている。
「はー、つっかれた……やっぱヒーラーの方がいいや。楽しかったけどね!」
「同感だな、慣れない事は急にやるものじゃなかった」
 普段の自分と違う自分を演じた茄子子とモカは、疲れた様子で、でもどこか楽しげにそう語り。手を振る子供達に笑いかけて夢の世界を後にした。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM