PandoraPartyProject

シナリオ詳細

百合に挟まる男をぶっ飛ばす話

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●IQを投げ捨てて読んでください
「あら、リボンが曲がっていますよ」
「あ……会長……」

 たおやかな指がそっと首元に伸び、赤いリボンタイをそっと整える。されるがままの少女の顔が赤いのは、横着を指摘されたからか、それとも、リボンを結び直す会長──彼女の通う学園の生徒会長だ──の整った顔(かんばせ)が吐息が触れそうなほどに近づいているからか。

「さぁ、直りましたよ。駄目ですよ、貴方も生徒会の一員なのですから、その自覚を持って、きちんと身だしなみを整えなくては」
「は、はい!ごめんなさい、お姉ちゃ、あ、いえ!すいません会長!」

 姉のように慕っているのは事実とはいえ、本当にそのように言い間違えてしまうと羞恥が勝る。ますます顔を赤くする。そんな、少女の様子に会長は優しく微笑む。

「ふふ、良いんですよ?」
「え……?」

 既にリボンは結び直したのに、再び会長の顔が近づく。しかしその指は首元ではなく、少女の赤く染まる、頬へと伸びて。

「私のこと、お姉ちゃん、と呼んでも」
「え、えぇ!?」

 風が吹き、桜吹雪を舞い散らる。それは、2人だけの世界を包み込み、何者の干渉も許さない結界のようで。
 しかし、どんなところにも情緒を理解しないヤバな輩は存在するのだ。

「君たち可愛いねぇ!ちょっとお茶しない!?」

 2人の元へ駆け寄ってくる影が一つ。全高3m、手足の鉤爪は鋼鉄をたやすく切り裂き、体液は強力な酸性を持つ敵対的侵略宇宙人、ユリノアイダニハサマルオトコ星人だ。女性二人が仲良くしている場面を強く憎み、そういった気配を感じるとどこからともなく駆けつけて切り裂こうとする。関係性とか。

「い、いやぁああああ!」
「お、お姉ちゃぁぁぁぁん!」
「ていうかどこ住み?俺と付き合わない!?」

 少女の悲鳴が響く。
 ────惨劇の夜が始まる。

●IQをちょっとずつ取戻、さなくてもいいや
「ユリノアイダニハサマルオトコ星人を倒してほしいんだ」

 境界案内人、カストルの言葉をイレギュラーズは受け止めきれなかった。

「ユリノアイダニハサマルオトコ星人を倒してほしいんだ」

 聞こえなかったわけじゃないんです。

「じゃあ説明を続けるけど、とある世界がユリノアイダニハサマルオトコ星人の侵略で滅びそうになっているから、そのユリノアイダニハサマルオトコ星人を倒してほしいんだよ」

 イレギュラーズはこのへんで考えることを放棄した。考えても無駄と悟ったのだ。

「ユリノアイダニハサマルオトコ星人は非常に用心深くてね、普段は巧妙に隠れていて見つけ出せないんだ。でも、女性同士の恋愛を非常に憎んでいてね、その波動を感じると我を忘れて襲いかかってくるらしい」

 あ、嫌な予感がする。

「というわけで君たちには女性同士の恋愛を装い、ユリノアイダニハサマルオトコ星人をおびき出して倒してほしいんだ。ユリノアイダニハサマルオトコ星人はまぁ強いけど君たちイレギュラーズなら問題なく倒せるはずだよ」

 つまり、おびき出せるかどうかだけが重要なわけですね。


「ちなみに、女性同士かどうかは見た目だけで判断するから、男のイレギュラーズでも女装とかすればこの作戦に参加できるから、そこは安心して欲しい」

 なんにも安心できねぇんだよなぁ。イレギュラーズはやりきれない思いを抱きながら、作戦会議を始めるのであった。

NMコメント

 こんばんは、小柄井枷木です。
 なんか頭悪いシナリオが思いついたので思うままに出してみました。

 作戦目標はユリノアイダニハサマルオトコ星人の撃破、ひいてはユリノアイダニハサマルオトコ星人をおびき出すために百合を演出することです。

 ユリノアイダニハサマルオトコ星人は非常に口渇で慎重なため、百合の波動を感知しない限り絶対に現れません。ただし、百合かどうかの判別は目視なので、女装した男が混じっていても出てきます。種族が違うので、多少無理のある女装でも騙されてくれます。やったね。
 ちなみに、ユリノアイダニハサマルオトコ星人はナンパのような台詞を言いますが、実際には全てユリノアイダニハサマルオトコ星の言語であり、どれも非常に敵対的な恫喝のセリフです。

ユリノアイダニハサマルオトコ星人はこの世界の住人では太刀打ちできない戦闘力を持ちますが、イレギュラーズなら問題なく倒せる程度でしかありません。戦闘のことは考えず、どうやっておびき出すかだけに注力してもらって大丈夫です。

 それでは、皆さんのご参加お待ちしております。

  • 百合に挟まる男をぶっ飛ばす話完了
  • NM名小柄井枷木
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年02月02日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
バク=エルナンデス(p3p009253)
未だ遅くない英雄譚
大橋 椿(p3p009457)
気ままな烏
メア・エテル(p3p009474)
一緒の思い出

リプレイ

●準備をしてるときが一番楽しいんですよね
「やらねば人々が害されるというのだ、何も躊躇わぬ必要はない!!!」

 という覚悟でこの依頼に望んだバク=エルナンデス(p3p009253)ではあったがすでにその心は折れそうに成っていた。
 何故か。ユリノアイダニハサマルオトコ星人の恐るべき戦闘能力に膝をついてしまった。なんていうわけではなく。むしろ遭遇してないどころかその準備をしているという段階であって。
 要するに。

「ふふ、人にお化粧するのってなんでこんなに楽しいのかしらね」
「私も普段はすっぴんもしくは最低限の化粧しかしないからなぁ……メアさんを頼りにしよう」
「はぁい、そっちは任せてね。うーん、髪の長さがあるからヘアアレンジだけでもだいぶ印象が変わりそうね」

 なぁんて会話を楽しげに、その手にやたらフリフリした衣装やら化粧道具やらを持ってしている、モカ・ビアンキーニ(p3p007999)とメア・エテル(p3p009474)がしているのを、バクは地獄の沙汰を待つ気分で聞いているのだった。

「ははは、女性陣は楽しそうだねぇ」

 もうひとりの男性である大橋 椿(p3p009457)はそうやって呑気に笑っていた。「人助けのためだからね、仕方ない仕方ない」みたいなことを言っていたが、どこか助平心を感じたのは気の所為かどうか。

 まぁ、そんなことはさておいて。

「さて、悩んでるのも楽しいけれど、そろそろ始めないといけないわ」
「うむ、私達もめかしこまないといけないからな」

 ここからはお着替えタイムです。なお、当シナリオは健全シナリオなので着替え中の詳細描写についてはご容赦いただきたい。私も苦渋の決断なのだ。わかってほしい。
 着替えが一通り終わったあと、バクが「いっそ殺せ」と言ったとだけお伝えしておきたい。

●いざ百合営業
 所変わって今回の事件の舞台である、ユリノアイダニハサマルオトコ星人に狙われている街である。年中を通して何らかの花が咲いていたり、レトロモダンな町並みとかだったりが有名で、ある種の観光地になっていたりするんだけどこの辺はあんまり重要じゃないので事あるごとに背景に花びらが舞うことだけ覚えてくれればいいです。

 そんな街に4人はやってきたわけなのだが、その華やかなることは街に咲き誇る花々にも負けないほどである。

「バクさん、少し歩幅が大きいな。もっと淑やかに歩かないと」

 先頭でバクの手を取り先導するのはモカである。普段は男装を好む彼女であるが、今回はシンプルな白いワンピースに合わせて白い帽子、それでいて足元は少し凝ったデザインの靴でワンポイントをあしらい、総括すれば嫋やかな令嬢といったコーディネートである。それでいてどことは言わないが出るとこは出ている体型が女らしいセクシーさも演出していてポイントが高い。

「むぅ、歩きにくいんじゃ……」
「ほら、言葉遣いも」
「わ、わかっ……わかりました……」

 手を引かれるバクはとは言えば、フリルがたくさんあしらわれた所謂ロリータスタイルのファッションだ。衣装選びのときに迂闊に自分の容姿なら幼い感じのが良いんじゃないかといったためにこの衣装が選ばれることとなった。一応、布の量が多いので体型を誤魔化しやすいなどという理由はつけられていたが、そもそもが少年のように小柄なバクであるから、その理由も建前のようなものだ。私はどんな服着ても似合うと思います。

 さておいて。

「うん、いい感じだ。とは言え、やっぱり歩き慣れない靴だと辛いかな?どこか休めるところに行こうか?」
「うぅ、任せる……お任せします……」

 やっぱり照れが入っているのか、うつむきがちなバクをモカがリードする様はまるで仲のいい姉妹のようで。とてもポイントが高いと思います。うん。ちょうどよく吹いた風が、二人の背景に花びらを舞わせるなどしました。

 一方、もう一組の方である。

「やっぱり手を繋ぐくらいはしたほうが良いわよね……抱きしめるのはやりすぎかしら?」
「ははは、やっぱり楽しそうだね?いや、俺……もとい私もイチャイチャするのはやぶさかじゃないけど。……もちろん、あくまで依頼のためだからね?」

 こちらも女装をしている椿であるが、割り切っているのかあまり照れている様子はない。むしろ、女装するくらいで女性とイチャつけるなら安いものだと思っているフシがある。けしからんやつである。
 まぁそれはさておき衣装の方であるが、椿はしっかりと成人男性の体型であるので、レディースものの服をそのまま着ても誤魔化しきれない。女装のコツは肩幅と腰回りを如何にしてごまかすか、というわけで下衣はラインを誤魔化しやすいゆったりとしたワイドパンツ、上も大きめサイズのシャツにセーラー服のように大きな襟のついたものだ。あとは、長髪で顔のラインを誤魔化したり、姿勢を工夫したりなどでなかなか様になっている女装姿である。もともとの顔もいいからね。

「なんだか椿さんのほうが消されそうな雰囲気を感じたわ」
「怖いこと言わないでよ、真面目にやるからさ」

 椿とペアになるのはメアだ。他のメンバーは男性だったり普段が男装だったりで、いつもと違う格好をしていが、彼女は普段から女性らしい衣装の女性なので、特に外見に変わりがあるわけではない。

「ふぅん、まぁいいわ。それより、ちょっと休憩するんでしょ?それなら、いい雰囲気の喫茶店があったから、そこの行きましょう?」
「ふむ、じゃあそうしようか」

 その分、一番自然体で動けるであろう彼女がある意味ではこの作戦の要かもしれなかった。

●こっから百合営業
 というわけで喫茶店である。小洒落たアンティーク調の内装で、またここにも色とりどりの花が飾られている。イベントスチルとかに出てきそうな感じです。4人は、そんな喫茶店のテラス席にいた。

「ふむ。お店の雰囲気もいいけど、この紅茶もなかなかの味だね」
「そうですね、ケーキも美味しいです」
「おや、バクさん」
「はい?」
「ここ、クリーム付いてるよ」
「えっ、あ……」

 モカは指摘すると同時、バクの頬を指で優しく拭う。

「ふふ、お行儀が悪かったかな?と、バクさん、真っ赤だね……かーわいい(ハート)」
「う、うぅ……」

 いたずらに微笑むモカに、バクはなにも言えなかった。

「いやー、眼福だねぇ」
「ちょっと、そっちばかり見てちゃダメよ」
「おっと、ごめんごめん。それじゃあ、何の話をしようか」
「うーん、そうね……」

 堂に入った百合営業を繰り広げるモカとバクに思わず目を取られていた椿である。メアはそれに苦言を呈する。あくまでも、可愛い嫉妬をしたかのような口調で。手練のやり口である。椿はバツの悪そうな顔でメアに向き直る。

「椿さんの髪、キレイよねぇ」
「え?そうかなぁ」

 なんの気負いのない態度で、メアは椿の髪を手に取り、まじまじと見つめる。自然、顔が近くなり、不意に吹いた風が背景に花びらを散らすなどした。

「そうよ。ねぇ、どんなお手入れしているの?」
「うーん、特別なことはなにもしていないんだけどね」
「そうなの?それでこれかぁ、ちょっと羨ましいわね」

 そのままメアは椿の髪を弄ぶ。椿も特に嫌そうな顔もせずされるがままだ。その様子は気安い友人同士、といった風にも見え、有識者によればこれもまた趣深いものであるらしい。

「おや、そちらは随分と仲がいいんだね。ふふ、可愛らしい」
「そう?そっちのほうが可愛いわよ」
「いやいや、皆可愛いいよ。もっと見せておくれ」
「……椿さん、なんか欲望が漏れてませんか」

 ペアで百合を演出しながらも、ペア同士の交流も忘れない。その様子はさながら花束をさらに束ねたかのようで、なにが言いたいかって言えばさっきから背景に花びらが飛び散りまくっているんですよ。
 そしてそれは、このシナリオにおける当初の目的を果たす条件が十分に整ったことを意味する。

「オッ、君たち可愛いジャーン!いまヒマ?俺とお茶しない?」

 今回の討伐目標、ユリノアイダニハサマルオトコ星人の登場である……!

●まぁ、基本行殺です
「性別問わず、相思相愛の間に割り込むのは無粋な事だ!」

 初手はユリノアイダニハサマルオトコ星人の鋭い鉤爪による一閃。しかしそれはモカの手によって受け止められ、そのまま勢いを利用して投げ飛ばされる。テラス席から店の外に。

「楽しい時間を邪魔するあなたは切り裂いてあげるわ!」
「もうちょっと楽しんでいたかったけど、これがお仕事だからね」
「ぬおぉお!この恨み晴らさでおくべきかぁ!」

 バクはなんかこう、軽く私怨が入ってる雰囲気ではあるが、まぁこいつがこんな性質だったら女装せずにすんだので、正当な怒りだろう。多分。
 初手で体勢を崩されたユリノアイダニハサマルオトコ星人はその猛攻になすすべなく、特に問題もなく撃破されたのであった。

●エピローグ
 ユリノアイダニハサマルオトコ星人は倒された。この街に平和が戻ったのだ。

「ふぅ、一件落着だの。さて、さっさと着替えに」

 無事に事件が解決し、バクはようやくこの羞恥から開放されると安堵していると。

「「「え?」」」
「は?」

 そこに重なったのは3人の疑問符。バクも更にそれに疑問を返し。

「楽しいからこのままデートを続けたいなって思ったんだけど」
「せっかくのデートですもの、わたしはいつまでだって大丈夫よ! 」
「これでおしまい。と言わず、もう少しこうしていない?」
「正気か!?」

 残念ながら正気である。バクはなんとか抵抗しようとしたが、多数決という力の前にはあまりに無力であった。

 このあと映画館とか行って日が暮れるまで遊んだという。

成否

成功

状態異常

なし

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